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【発明の名称】 異物選別装置
【発明者】 【氏名】寳利 正秀

【氏名】杉本 克司

【氏名】景山 正志

【氏名】西本 昌昭

【氏名】高月 亜希子

【氏名】升尾 智裕

【氏名】高橋 直人

【要約】 【課題】作業者が攪拌部材の角度調節を行うことなく、低コストで、かつ、被選別物の攪拌を十分に行って選別能力が格段に向上した異物選別装置を提供する。

【構成】選別筒6の横断面形状は、正八角形乃至正十角形の多角形で構成するとともに、選別筒6内に、内角部に長尺状の攪拌部材31を取り付け、該攪拌部材31は、多角形内において対向する2つの内角部にそれぞれ配置される第1攪拌部材31A及び第2攪拌部材31Bと、該第1攪拌部材31A又は第2攪拌部材31Bのいずれか一方から選別筒6の回転方向側に偏移した内角部に配置される第3攪拌部材31Cと、から構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機筐の底部に終端が揚上経路に連通する横送経路を横設し、該横送経路の上方に、周面に多数の選別孔を穿設した選別筒の一端側を高位に、他端側を低位に回転可能に装着し、該選別筒の一端側から供給した穀粒のうち、正常な籾は該選別孔から漏下させて前記横送経路を介して揚上排出させる一方、粒径の大きい異物は選別筒の他端側に搬送させた後、機筐底部から排出させる異物選別装置において、
前記選別筒の横断面形状は、正八角形乃至正十角形の多角形で構成されるとともに、前記選別筒内には、内角部に長尺状の攪拌部材が取り付けられており、該攪拌部材は、前記多角形内において対向する2つの内角部にそれぞれ配置される第1及び第2攪拌部材と、該第1又は第2攪拌部材のいずれか一方から前記選別筒の回転方向側に偏移した内角部に配置される第3攪拌部材と、から構成されることを特徴とする異物選別装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、回転選別筒によって正常な穀粒から木片等の異物や、病害虫に侵された被害粒等を分離する異物選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の異物選別装置として、機筐の底部に終端が揚上経路に連通する横送経路を横設し、該横送経路の上方に、周面に多数の選別孔を穿設した選別筒の一端側を高位に、他端側を低位に回転可能に装着し、該選別筒の一端側から供給した穀粒のうち、正常な籾は該選別孔から漏下させて横送経路を介して揚上して排出させる一方、粒径の大きい木片等の異物や、粒径が大きく変形した被害粒(籾の全表面又は一部にカビが付着したもので、一般的に稲糀籾(いなこうじもみ)と言われている。)等は選別筒の他端側に搬送させた後、機筐底部から排出させるといった、籾を粒径により分離・選別する異物選別装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
上記選別装置は、選別孔を多数穿設した横断面が十二角形の選別筒が使用されており、該選別筒内には、攪拌作用を与えるために攪拌部材が取り付けられている。この攪拌部材について、図6及び図7を参照して詳細に説明する。十二面の選別筒102の各平面部には、内側に複数のリード板138が装着されており、中央付近をノブボルト140で固定してリード板138の回動調節が行える取り付け構造にしてある。これにより、被選別物を傾斜低位側への搬送を助長したり、選別筒内での攪拌力を高めたりする調節を行うことができる。
【特許文献1】特開2006−026466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような選別筒102の各平面部の内側に複数のリード板138を装着する構成であると、作業者が複数のリード板138の角度調節をその都度行う必要があり、また、製造コスト高となる問題点もあった。
【0005】
本発明は上記問題点にかんがみ、作業者が攪拌部材の角度調節を行うことなく、低コストで、かつ、被選別物の攪拌を十分に行って選別能力が格段に向上した異物選別装置を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明は、機筐の底部に終端が揚上経路に連通する横送経路を横設し、該横送経路の上方に、周面に多数の選別孔を穿設した選別筒の一端側を高位に、他端側を低位に回転可能に装着し、該選別筒の一端側から供給した穀粒のうち、正常な籾は該選別孔から漏下させて前記横送経路を介して揚上排出させる一方、粒径の大きい異物は選別筒の他端側に搬送させた後、機筐底部から排出させる異物選別装置において、
前記選別筒の横断面形状は、正八角形乃至正十角形の多角形で構成されるとともに、前記選別筒内には、内角部に長尺状の攪拌部材が取り付けられており、該攪拌部材は、前記多角形内において対向する2つの内角部にそれぞれ配置される第1及び第2攪拌部材と、該第1又は第2攪拌部材のいずれか一方から前記選別筒の回転方向側に偏移した内角部に配置される第3攪拌部材と、から構成される、という技術的手段を講じた。
【発明の効果】
【0007】
本発明の異物選別装置によれば、選別筒の横断面形状は、正八角形乃至正十角形の多角形で構成されているから、円筒形状のものや、角数が10を超えた多角形のものよりも攪拌の効果を高め、被選別物に混在する小さな穀粒の除去を促進することができる一方、正六角形のような角数が少ないものに比べて内角の角度が大きいために、被選別物の攪拌の効果が低く、選別孔を通過する面積が広がって選別物の漏下を促進することができる。
【0008】
また、前記選別筒内の攪拌部材は、前記多角形内において対向する2つの内角部にそれぞれ配置される第1及び第2攪拌部材と、該第1又は第2攪拌部材のいずれか一方から前記選別筒の回転方向側に偏移した内角部に配置される第3攪拌部材と、から構成されるので、選別筒内に攪拌部材が固定状に取り付けられ、作業者が攪拌部材の角度調節を行う必要は全くなく、また、攪拌部材の数が、第1、第2及び第3の3個であるために、簡単・低コストに攪拌部材を提供することができる。そして、前記多角形内において、前記第3攪拌部材の存在しない側は、被選別物の攪拌の効果が低いために、被選別物が選別孔に捕捉される量が増えて選別物の漏下量を格段に促進することができ、ひいては選別能力を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0010】
図1は本発明の異物選別装置の概略を示す縦断側面図であり、図2は図1のA-A線横断図である。
【0011】
図1及び図2において、異物選別装置1は、底部3が逆ハ字形で長方形状の機筐2と、機筐2の底部3の中央部に一端側から他端側にかけて横設したスクリューコンベア4からなる横送経路と、該横送経路4の終端側に連通するバケットコンベア5からなる揚上経路と、前記横送経路4の上方で、一端側を高位に、他端側を低位に(例えば、水平から2.5度傾斜)回転可能に装着し、周面に多数の選別孔を穿設した選別筒6とから主要部が構成される。
【0012】
前記選別筒6に穿設した選別孔13は長楕円形状であり、多数整列して設けてある。そして、該選別筒6はその軸芯位置にボス部7,8が支持杆9,10に嵌合され、一端側の支承軸11にはボス部7を回動可能に支持し、他端側の回転軸12にはボス部8を回動可能に支持されている。符号14はモータであり、Vベルト15を介して前記スクリューコンベア4を回転可能に構成している。スクリューコンベア4の下方には、前記底部3と連設されるコンベア樋3a(図2参照)が設けられており、該コンベア樋3aはその一部が開放可能な構成となっており、作業終了後の残留物を容易に除去可能である。
【0013】
前記スクリューコンベア4他端側にあるスクリュー軸4aは、バケットコンベア5の内調車を駆動するとともに、さらに、バケットコンベア5の機枠5a外方へ突出されており、該突出箇所に伝動プーリ16が軸着されている。そして、バケットコンベア5には前記スクリュー軸4aと平行な中継軸17が回転可能に設けられ、該中継軸17の伝動プーリ18とスクリュー軸4aの伝動プーリ16との間にVベルト20を巻回して、前記中継軸17を回転可能に形成されている。さらに、中継軸17の伝動プーリ19と選別筒6を回転させる回転軸12の伝動プーリ21との間は、Vベルト22が巻回され、選別筒6が図2に示すように矢印方向へゆっくりと低速回転(例えば、71〜72回転/分)される構成となっている。
【0014】
符号23は原料ホッパであり、該ホッパ23の供給口23aは選別筒6の開口部6aに臨ませてあり、前記供給口23aには原料投入シャッター24が設けられ、ノブボルト25により手動で供給口23aを開閉できる構成になっている。符号26はモータ15側のベルトカバーであり、符号27はバケットコンベア5側のベルトカバーであり、それぞれ蝶ボルト又はユリス化粧ネジ等で着脱自在に形成されている。
【0015】
前記機筐2上部には選別筒6が隠れるように蓋部2aが設けられており、機筐2のバケットコンベア5側には移動が容易になるように一対の車輪28が設けられている。そして、機筐2中央底部で、かつ、車輪28の近傍には、選別筒6の傾斜下位側から粒径の大きい木片等の異物や、粒径が大きく変形した稲糀籾を機外に取り出すための異物排出樋29が設けられている。符号30はバケットコンベア5の上部に設けられる選別された籾を貯留するためのタンク部である。
【0016】
図3は本発明の異物選別装置1の選別筒6の斜視図に、該選別筒6に穿設した選別孔13の長楕円形状の拡大図と、選別筒6の横断面図とを併記したものである。図3を参照すれば、選別筒6の大きさは、長さが約940mm、直径が約400mmである。選別筒6の横断面形状は、1つの内角が135度の正八角形乃至1つの内角が144度の正十角形の多角形を採用することができ、特に、正十角形が好ましい。すなわち、円筒形状のものや、角数が10を超えた正多角のものよりも攪拌の効果を高め、被選別物に混在する小さな穀粒の除去を促進することができる。また、例えば、正六角形のような角数が少ないものに比べて正十角形のものは、内角の角度が大きいために、被選別物の攪拌の効果が低く、選別孔13に捕捉される量が多くなって選別物の漏下を促進することができる。さらに、選別孔13の形状は、幅Wが約3mm、長さLが約30mmである。これにより、正常な籾のほか、これよりも粒径の小さい小米、未熟粒等は選別孔13から漏下することができるが、正常な籾よりも粒径の大きい木片等の異物や、粒径が5〜8mmに大きく変形した稲籾糀等は漏下することができない。
【0017】
そして、選別筒6内には、内角部に長尺状の攪拌部材31…が取り付けられており、該攪拌部材31は、多角形内において対向する2つの内角部α,βにそれぞれ配置される第1攪拌部材31A、第2攪拌部材31Bと、該第1攪拌部材31A又は第2攪拌部材31Bのいずれか一方から前記選別筒6の回転方向側に偏移した内角部γに配置される第3攪拌部材31Cと、から構成されている。
【0018】
つまり、選別筒6内には内角部に攪拌部材31…が固定状に取り付けられ、作業者が攪拌部材31…の角度調節を行う必要は全くなく、また、攪拌部材31…の数が、第1攪拌部材31A、第2攪拌部材31B及び第3攪拌部材31Cの3個であるために、簡単・低コストで攪拌部材31…を提供することができる。また、前記選別筒6の多角形内において、前記第3攪拌部材31Cの存在しない側は、被選別物の攪拌の効果が低いために、被選別物が選別孔13に捕捉される量が増えるので選別物の漏下量を格段に促進することができ、ひいては選別能力を向上させることができるという従来技術にはない格別な効果がある。
【0019】
図4は選別筒内の攪拌部材の個数とその取り付け位置を示した実施例である。この図4を参照して、本発明の選別筒が選別能力に優れていることを確認する。
【実施例1】
【0020】
図4の(イ)に示す選別筒6は(本発明)、攪拌部材27を3個備え、2個1組を対向する内角部に配置する一方、残る1個を偏移配置したものである。図4の(ロ)に示す選別筒6は(比較例1)、攪拌部材31を2個1組備え、それぞれを対向する内角部に配置したものである。図4の(ハ)に示す選別筒6は(比較例2)、攪拌部材31を4個2組備え、それぞれを対向する内角部に配置したものである。
【0021】
これら(イ)から(ハ)に示す選別筒6を、図1に示す異物選別装置1に組み込み、原料ホッパ23から被選別物を供給したときの選別率を比較した。このときの選別率とは、正常な籾が選別孔13に捕捉される量が多く、異物排出樋29に回収される正常な籾の量が少ないほど選別率を良とし、正常な籾が選別孔13に捕捉される量が少なく、異物排出樋29に回収される正常な籾の良が多いほど選別率を不良とする。
【0022】
そして、前記原料投入シャッター24により供給口23aを一定開度に調節し(流量;3,600kg/h)、選別筒6の回転数を71〜72回転/分として異物排出樋29に回収される正常な籾の量を測定した(表1参照)。
【表1】


【0023】
表1に示すように、攪拌部材の数が多くても、攪拌部材の数が少なくても選別率が不良となることが分かった。これは、攪拌部材の数が多いと被選別物を選別筒6の傾斜下方側に移送させる力が強くなって正常な籾であっても選別孔13に捕捉されず、選別筒6の他端部側から異物排出樋29に排出されてしまうことが原因と思われる。また、攪拌部材の数が少ないと搬送抵抗が生じず、攪拌の効果が低く、正常な籾が層流状となって選別孔13に漏下せず、選別筒6の他端部から異物排出樋29に排出されることが原因と思われる。一方、攪拌部材が3個の本発明の場合、選別筒6の多角形内において、第3攪拌部材31Cの存在しない側が被選別物の攪拌の効果が低いために、被選別物が選別孔13に捕捉される量が増えるので選別物の漏下量を格段に促進することができるものと思われる。
【0024】
図5は本発明の異物選別装置の概略を示す斜視図であり、この図5に表れるバケットコンベア5上部のタンク部30には、バケットにより投擲(てき)された穀粒が流下樋状の投入部32から堆積される。この際、バケットコンベア5のバケットの形状を浅形にすると、タンク部30の前壁部33に沿って穀粒を溜めることができる。符号34は、タンク部傾斜面35に設置した穀粒センサであり、穀粒の重みにより穀粒センサ34が感知すると、モータ14が停止し、スクリューコンベア4、バケットコンベア5及び選別筒6が全停止する構成となっている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の異物選別装置の概略を示す縦断側面図である。
【図2】図1のA-A線横断図である。
【図3】本発明の異物選別装置の選別筒の斜視図に、該選別筒に穿設した選別孔の拡大図と、選別筒の横断面図とを併記したものである。
【図4】選別筒内の攪拌部材の個数とその取り付け位置を示した実施例図である。
【図5】本発明の異物選別装置の概略を示す斜視図である。
【図6】従来の異物選別装置を示す側断面図である。
【図7】同上の正面断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 異物選別装置
2 機筐
2a 蓋部
3 底部
3a コンベア樋
4 スクリューコンベア
4a スクリュー軸
5 バケットコンベア
6 選別筒
6a 開口部
7 ボス部
8 ボス部
9 支持杆
10 支持杆
11 支持軸
12 回転軸
13 選別孔
14 モータ
15 Vベルト
16 伝動プーリ
17 中継軸
18 伝動プーリ
19 伝動プーリ
20 Vベルト
21 伝動プーリ
22 Vベルト
23 原料ホッパ
23a 供給口
24 原料投入シャッター
25 ノブボルト
26 ベルトカバー
27 ベルトカバー
28 車輪
29 異物排出樋
30 タンク部
31 攪拌部材
32 投入部
33 前壁部
34 穀粒センサ
35 タンク部傾斜面
【出願人】 【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
【出願日】 平成18年6月27日(2006.6.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−6321(P2008−6321A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−176191(P2006−176191)