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【発明の名称】 超音波ホーンおよび超音波接合装置
【発明者】 【氏名】中谷 直人

【氏名】関本 隆司

【氏名】戸来 正康

【要約】 【課題】接合条件によって接合面に平行な振動(横振動)と接合面に対して垂直方向の振動(縦振動)とを同時に重ねて加えたり、主として垂直方向の振動(縦振動)を加えるようにしたり、両方向の振動成分の割合を自由に変えられるようにする。

【解決手段】所定長さのロッド状のホーン52と、このホーン52の長手方向の一端に固定されホーン52をその長手方向に加振する超音波振動子54と、ホーン52の長手方向に平行な面にあって接合荷重が摺動部材96を介して印加される加圧受部58と、ホーン52の長手方向に平行で加圧受部58の形成面に対向する面にあって長手方向の固有振動が最大振幅となる位置以外の位置に設けられ接合部に押圧される1つの接合作用部60と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品の接続端子を上下に重ねた接合部を加圧しつつ加振することによって前記接合部を接合する超音波接合装置に用いる超音波ホーンであって、
所定長さのロッド状のホーンと、
このホーンの長手方向の一端に固定され前記ホーンをその長手方向に加振する超音波振動子と、
前記ホーンの前記長手方向に平行な面にあって接合荷重が摺動部材を介して印加される加圧受部と、
前記ホーンの長手方向に平行で前記加圧受部の形成面に対向する面にあって前記長手方向の固有振動が最大振幅となる位置以外の位置に設けられ前記接合部に押圧される1つの接合作用部と、
を備えることを特徴とする超音波ホーン。
【請求項2】
2つの加圧受部が、ホーンの長手方向の固有振動が最大振幅となる位置に設けられている請求項1の超音波ホーン。
【請求項3】
1つの加圧受部と接合作用部が垂直な加圧軸上に配設されている請求項1の超音波ホーン。
【請求項4】
ホーンは超音波振動子の加振による固有振動の1波長分に等しい長さである請求項1の超音波ホーン。
【請求項5】
ホーンは超音波振動子の加振による固有振動の半波長分に等しい長さである請求項1の超音波ホーン。
【請求項6】
2つの加圧受部はホーン長手方向の固有振動の振幅最大となる位置に設けられ、接合作用部は2つの加圧受部の中間に位置する請求項2の超音波ホーン。
【請求項7】
接合作用部のホーン長手方向の固定位置を変更可能とした請求項1〜6のいずれかの超音波ホーン。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかの超音波ホーンに用いるホーンであって、
その長手方向に平行な面に設けられ接合荷重が摺動部材を介して印加される加圧受部と、
前記長手方向に平行で前記加圧受部の形成面に対向する面にあって前記長手方向の固有振動が最大振幅となる位置以外の位置に設けられる1つの接合作用部と、
を備えることを特徴とする超音波ホーンに用いるホーン。
【請求項9】
長手方向の長さを同方向の固有振動の1波長分とした請求項8の超音波ホーンに用いるホーン。
【請求項10】
長手方向の長さを同方向の固有振動の半波長分とした請求項8の超音波ホーンに用いるホーン。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれかの超音波ホーンを用いた超音波接合装置であって、
両電子部品の接続端子を重ねて位置決めする位置決め手段と、
請求項1〜7のいずれかの超音波ホーンの接合作用部を両電子部品の接合部に位置合わせして超音波ホーンを保持しつつ加圧受部を水平方向に摺動可能に上方から加圧する加圧手段と、
前記加圧手段の加圧荷重および超音波振動子の駆動を制御する制御部と、
を備える超音波接合装置。
【請求項12】
位置決め手段は下側の電子部品を水平方向および垂直軸回りの回転方向に位置決め可能な位置決めテーブルと、
上側の電子部品を前記下側の電子部品の上方に供給し両電子部品の接続端子を位置合わせする供給手段と、
を備える請求項11の超音波接合装置。
【請求項13】
供給手段は上側の電子部品を下面に着脱可能に保持する保持板を備える請求項12の超音波接合装置。
【請求項14】
ホーンおよび位置決めテーブルの少なくとも一方に接合部を加熱するヒータが取付けられている請求項11の超音波接合装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、2つの電子部品の接続端子を重ねた接合部に超音波を加えながら荷重を加えることによって接続端子を接続するために用いる超音波ホーンと、この超音波ホーンに用いるホーンと、超音波接合装置とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体チップに形成された金属接続端子であるバンプと、プリント配線板に形成された接続端子となる回路パターンを接続するために、従来より超音波接合法が用いられている。また2枚のプリント配線板の接続端子となる回路パターン同士を重ねて超音波接合することも知られている。
【0003】
【特許文献1】特許第3848637号
【0004】
従来の金属同士の超音波接合法は、接合面に平行に振動を加えていた。これは上下一対の接続端子を互いに平行に摩擦することにより接合するものであった。特許文献1には、水平方向に長いロッド状のホーンの一端に超音波振動子を取付け、このホーンに形成される長手方向の固有振動の最大振幅となる位置を接合部に押圧することが示されている。この固有振動の最大振幅位置で一方の接続端子を加振することにより、この一方の接続端子を接合面と平行に効率良く加振できるものである。
【0005】
図6はここに用いる超音波ホーン10を示し、ホーン12と超音波振動子14で形成される。金属製のホーン12は断面四角形のロッド状であり、その長手方向の一端に超音波振動子14が固定されている。超音波振動子14はホーン10に長手方向の振動を加える。ホーン12の長さは、超音波振動子14の振動数(例えば40KHz)に対して1波長分(約120mm)に設定されている。
【0006】
ホーン12はその長手方向を水平にして用いられている。この場合ホーン12の長手方向(横方向)の振動は図6にAで示すように、両端と中央で振幅が最大となり、両端から長さの1/4の位置で最小になる。ホーン12はこの振幅最小となる点16(ノーダルポイント、節)で保持される。またホーン12の中央上面に加圧受部18が、中央下面に接合作用部20がそれぞれ設けられる。加圧受部18には加圧手段(図示せず)の一部である加圧用突部22が摺動部材24を介して当接する。
【0007】
ここに加圧受部18には垂直方向の加圧軸26に沿った荷重Fが加えられる。接合作用部20は水平に配置した電子部品の接合部(図示せず)に上から垂直に当接する。なおホーン12には、加圧軸26に対して垂直である長手方向の横振動Aと共に、これに直交する方向(加圧軸26に平行方向)の縦振動Bが発生している。
【0008】
すなわちホーン12の伸縮に伴ってこの伸縮方向(長手方向)に対して位相が90°ずれて直交方向に伸縮が発生する。なおこの直交方向の伸縮による振動(長手方向に対して直交方向の振動)は、必ずしも加圧軸26に平行な成分だけではなく、図6で紙面に垂直方向の成分を含んでいる。ここでは加圧軸26に平行な成分を縦振動Bという。
【0009】
従ってこの図6に示す超音波ホーン10を用いる場合には、接合作用部20が押圧する接合部に水平方向(ホーン12の長手方向の横振動方向)の振動を加えることになる。この振動により接合面の吸着物や酸化被膜が破壊され、接触面が機械的にクリーニングされると共に平滑化され、金属同士が凝着される。なお加圧用突起22は、加圧軸26上で加圧受部18を摺動部材24を介して加圧するので、ホーン12の水平方向の横振動は摺動部材24で吸収され、加圧手段には伝わらない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記の従来装置は接合部に水平方向の振動を加えるものであったが、発明者は研究の結果、接合条件によっては振動方向を水平方向でなく垂直方向とするのが望ましい場合があることを知った。例えば電子部品によっては固相接合によるものがあり、この接合においては垂直方向の振動成分を含むことが望ましいことが明らかになった。この垂直方向の振動を使用するために、従来の超音波ホーンはロッド状のホーンを長手方向を垂直にして用い、その上端部に超音波振動子を固定し、下端部に接合作用部を設ける構造となっている。したがって、この超音波ホーンを超音波接合装置に搭載する際には、加圧軸は必然的に垂直方向となり、加圧手段に必要な機構は構造上高くなるので装置は大型化するから、装置設計上で制約を受けるという問題があった。
【0011】
また、固相接合においては、垂直方向の振動成分を加えることから、接合性と電子部品の受けるダメージの両面を勘案する必要があり、接合作用部に垂直方向と水平方向の振動成分をある比率で複合して振動させることが望ましいことも分かってきた。
しかしながら、従来の超音波ホーンは接合作用部に水平方向の振動を得るために前述のように構成されており、垂直方向の振動成分を生じないようにしていた。また、接合作用部に垂直方向の振動を得るためには、前述のようにロッド状の超音波ホーンを長手方向を垂直にして、その上端に超音波振動子を配し、その下端を接合作用部として用いているので、水平方向の振動成分を得ることは困難であった。すなわち水平または垂直方向のみの振動しか得られないという問題があった。
そこで、装置の大型化を回避すると共に、このような複合振動を生じさせることができる超音波ホーンが求められることとなった。
【0012】
この発明は接合条件によって接合面に平行な振動(横振動)と接合面に対して垂直方向の振動(縦振動)とを同時に重ねて加えたり、主として垂直方向の振動(縦振動)を加えるようにしたり、両方向の振動成分の割合を自由に変えられるようにした超音波ホーンを提供することを第1の目的とする。
【0013】
またこの発明は、この超音波ホーンに用いるホーンを提供することを第2の目的とする。さらにこの発明は、超音波ホーンを用いた超音波接合装置を提供することを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明によれば第1の目的は、電子部品の接続端子を上下に重ねた接合部を加圧しつつ加振することによって前記接合部を接合する超音波接合装置に用いる超音波ホーンであって、所定長さのロッド状のホーンと、このホーンの長手方向の一端に固定され前記ホーンをその長手方向に加振する超音波振動子と、前記ホーンの前記長手方向に平行な面にあって接合荷重が摺動部材を介して印加される加圧受部と、前記ホーンの長手方向に平行で前記加圧受部の形成面に対向する面にあって前記長手方向の固有振動が最大振幅となる位置以外の位置に設けられ前記接合部に押圧される1つの接合作用部と、を備えることを特徴とする超音波ホーン、により達成される。
【0015】
第2の目的は、請求項1〜7のいずれかの超音波ホーンに用いるホーンであって、その長手方向に平行な面に設けられ接合荷重が摺動部材を介して印加される加圧受部と、前記長手方向に平行で前記加圧受部の形成面に対向する面にあって前記長手方向の固有振動が最大振幅となる位置以外の位置に設けられる1つの接合作用部と、を備えることを特徴とする超音波ホーンに用いるホーン、により達成される。
【0016】
また第3の目的は、請求項1〜7のいずれかの超音波ホーンを用いた超音波接合装置であって、両電子部品の接続端子を重ねて位置決めする位置決め手段と、請求項1〜7のいずれかの超音波ホーンの接合作用部を両電子部品の接合部に位置合わせして超音波ホーンを保持しつつ加圧受部を水平方向に摺動可能に上方から加圧する加圧手段と、前記加圧手段の加圧荷重および超音波振動子の駆動を制御する制御部と、を備える超音波接合装置、により達成される。
【発明の効果】
【0017】
ホーンには超音波振動子による加振により、ホーン長手方向に所定周波数の固有振動が発生し、この固有振動の最大振幅位置以外を接合作用部としたから、接合部に加わる振動成分として、ホーン長手方向の振動とこれに直交する方向の振動とを含ませることができる。このため接合作用部の位置を適切に決めることによってこの振動成分の加算割合を変えることができる。
【0018】
例えばホーン長手方向の固有振動の振幅が最小すなわちゼロとなる位置(ノーダルポイント、節)に接合作用部を設ければ、接合作用部の振動はホーン長手方向に直交する方向の振動成分(縦振動成分)が主体となる。接合作用部をこの位置から離せば、その離す距離の増大に伴ってホーン長手方向の振動成分の割合が増加する。従って接合部の接合条件に最適な振動成分の加算割合を実験などにより求め、接合作用部の位置を決めればよい。
【0019】
なお加圧受部には摺動部材を介して加圧手段の荷重が加えられるから、ホーン長手方向の振動は加圧手段に伝わらない。この発明によれば横配置型のホーンでありながらも縦振動を発生させることができるので縦振動を発生させる場合でも、縦配置型のホーンを使用しないから小型化でき、ひいては軽量化も実現できる超音波接合装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
2つの加圧受部をホーン長手方向の固有振動の振幅最大となる位置に設定すれば、この位置ではホーン長手方向に直交する振動成分が最小(ゼロ)になるので、加圧手段に加圧軸方向(上下方向)の振動が伝わらなくなり望ましい(請求項2)。しかし加圧受部を1つにしてもよい(請求項3)。この場合は加圧受部と接合作用部を垂直な加圧軸上に配列することによりホーンが長手方向に対し上下に撓むのを防ぐことができる。ホーンの長さは固有振動の1波長分に等しくするのがよいが(請求項4)、半波長分にほぼ等しい長さであってもよい(請求項5)。
【0021】
2つの加圧受部はホーン長手方向の固有振動の振幅最大位置に設け、1つの接合作用部はこれら2つの加圧受部の中間に位置させるのがよい(請求項6)。この場合接合作用部の加圧反力が2つの加圧受部に均等に加わることになり、ホーンを安定して保持することができる。
【0022】
接合作用部のホーン長手方向の固定位置は変更可能とすれば、接合部の接合条件に対応してホーン長手方向の振動成分とこれに直交する方向の振動成分の加算割合を変更できる(請求項7)。従って接合作用部の固定位置を変えて実際に接合を繰り返すことにより、接合条件に最適な加振条件を得ることができる。
【0023】
超音波ホーンに用いるホーンの長さは、ホーン長手方向の固有振動の1波長分(請求項9)、半波長分(請求項10)とすることができる。
【0024】
超音波接合装置に用いる位置決め手段は、下側の電子部品を水平方向および垂直軸(加圧軸)回り(回転方向)の位置決めするための位置決めテーブルと、上側の電子部品を下側の電子部品の上方に供給し両電子部品の接続端子を位置合わせするための供給手段とで形成することができる(請求項12)。ここに供給手段は、上側の電子部品を下面に着脱可能に保持する保持板を備えるものとすることができる(請求項13)。
【0025】
また接合部を加熱するためのヒータを超音波ホーン保持板および位置決めテーブルの一方または両方に設けておいてもよい(請求項14)。両電子部品の接合部に接着樹脂を介在させ、樹脂の未硬化状態で超音波による接合部の電気的接合を行うと共に、その後接着樹脂を硬化させてこの接合部を機械的に補強することが考えられるが、ヒータを設けることにより超音波接合時にこの接着樹脂を軟化させ、接続端子の重なり部分から樹脂を排出させて接続端子同士の接触を確実にすることができる。この場合樹脂を軟化させ流動化させるためにはヒータは150〜250℃に設定するのがよい。
【実施例1】
【0026】
図1は本発明の一実施例である超音波ホーンの構造およびその機能を示す図である。図2はこれを用いた超音波接合装置を一部断面して示す概念図である。
【0027】
図1において50は超音波ホーンであり、断面四角形のロッド状である金属製ホーン52と、その長手方向の一端に固定された超音波振動子54とを持つ。超音波振動子54はホーン52にホーン52の長手方向の固有振動を発生させる。すなわちホーン52は、超音波振動子54の発振周波数f(例えば40KHZ)に対するホーン52内の固有振動の1波長分の長さ(例えば120mm)である。
【0028】
このホーン52は長手方向を水平にして用いられる。断面四角形のホーン52の水平な上面56には、2つの加圧受部58,58が設けられ、水平な下面には接合作用部60が設けられる。ここに加圧受部58,58は、ホーン長手方向(水平方向)の振動A(横振動)の振幅が最大となる位置にある。ホーン52には、横振動Aと共に、90°位相がずれてこれに直交する方向の振動B(図1では上下方向の縦振動で示す)が発生する。
【0029】
加圧受部58,58は横振動Aの振幅が最大となる2つの位置に設ける。ここに加圧受部58,58の間隔は固有振動の1/2波長である。この加圧受部58,58には後記する二又状部材92側に設けてもよい。この実施例では加圧受部58,58を二又状部材92に設けた2つの突部93,93が摺動部材96,96を挟んで押圧される。
【0030】
接合作用部60は横振動Aの振幅が最小となる位置、すなわち2つの加圧受部58,58の中間に位置する。図1で62は加圧軸であり、両加圧受部58,58の中間(すなわち接合作用部60)を垂直に通る。後記加圧手段86の加圧荷重Fはこの加圧軸62に沿う。従って前記横振動Aはこの加圧軸62に垂直であり、縦振動Bは平行である。
【0031】
ホーン52上で長手方向の横振動Aの振幅が最小となる位置64,64が横振動Aのノーダルポイント(節)になる。すなわち加圧軸62上の位置と、ここから1/4波長離れた位置がノーダルポイント64,64になる。
【0032】
次に図2を用いて接合装置を説明する。この図において70は位置決めテーブルであり、水平面上で直交方向(X−Y方向)と、垂直方向回りの回転角度(θ方向)とに位置決め可能である。このテーブル70の上面には載置台72が固定され、その上に下側の電子部品であるリジッドプリント配線板74が固定されている。この配線板74の接続端子の上に接着樹脂フィルム76が貼られている。テーブル70の位置は位置制御部76により制御される。
【0033】
78は供給手段であり、上方の電子部品であるフレキシブルプリント配線板80をリジットプリント配線板74の上方に供給し、両配線板74、80の接続端子を長手方向に重ねて保持する。供給手段78は位置制御部76によって進退動し位置決めされる。この供給手段78はその下面に保持板82を備える。この保持板82はフレキシブルプリント配線板80を例えば吸気負圧によって下面に吸引して保持する。
【0034】
86は加圧手段である。加圧手段86は、配線板74,80の接続端子の重ね部(接合部)をフレキシブルプリント配線板80の上から下向きに加圧する加圧部88と、加圧部88と接続端子の重ね部との間に介在してこの重ね部に主として上下方向の超音波振動を付与する加振部90とを備える。加振部90は図1に示す前記超音波ホーン50と、この超音波ホーン50を保持しかつ加圧受部58,58を加圧する二又状部材92とを備える。
【0035】
すなわち二又状部材92は、上面が加圧部88が持つ上下方向のプランジャ94の下面に固定され、二又状部材92の下面から下方へ突出する2つの突部93,93が前記ホーン52の加圧受部58,58に押圧される。ホーン52の加圧受部58,58と突部93との間には摺動部材96,96が介在する。この摺動部材96,96は例えば摩擦抵抗が小さい部材である。
【0036】
ホーン52は図1のノーダルポイント64,64の位置で二又状部材92が下方に動かないように保持される。すなわちホーン52にはノーダルポイント64,64でホーン52の上下厚さの中央付近だけで螺合するボルト98,98が通され、これらボルト98,98の上端が二又状部材92に板ばね状の弾性体を介して係止されている。このためホーン52はこれら2本のボルト98,98で吊られて保持されることになる。
【0037】
加圧部88の加圧力F(荷重)はプランジャ94の途中に介在するロードセルなどを用いた圧力センサ100で検出される。この圧力センサ100で検出された加圧力Fが加圧制御部102に入力され、加圧制御部102は加圧部88の加圧力Fをフィードバック制御する。また超音波振動子54は加振制御部104によって所定周波数で駆動制御される。106は制御装置であり、位置制御部76、温度制御部84、加圧制御部102、加振制御部104など、各部に制御信号を送出し全体を制御する。
【0038】
前記ホーン52の周囲には電気ヒータからなる加熱部53が取付けられている。この加熱部53の温度は温度センサ(図示せず)で検出され温度制御部84に入力される。温度制御部84は加熱部53の温度を制御装置106が指令する温度Tとなるようにフィードバック制御する。
【0039】
次にこの接合装置の動作を説明する。まず加振部90を上昇させた図2の状態で、下のリジットプリント配線板74を載置台72にセットする。一方上の供給手段78の保持板82には、その下面にフレキシブルプリント配線板80を保持する。この状態で位置制御部76は、両プリント配線板74、80の接続端子が重なる位置になるようにテーブル70と供給手段78を位置制御する。
【0040】
次に加圧部88は加振部90を下降させ、ホーン52の接合作用部60をフレキシブルプリント配線板80の上面から両配線板74,80の接続端子の重ね部に押し当てる。その加圧力Fを設定圧にまた温度Tを設定温度にそれぞれ制御しつつ超音波振動子54を起動させる。このように両配線板74、80の接合部に主として上下方向の超音波振動を加えつつ設定圧力を加えると共に加熱部53による加熱を行うことにより、接続端子が樹脂フィルム76の未硬化状態下で固相接合される。
【0041】
この接合時間は極めて短く(約0.5秒)、その後樹脂フィルム76の未硬化状態のうちにまたは樹脂が適切な硬さに硬化した後に加圧部88は加振部90を上昇させ、ホーン52をフレキシブルプリント配線板80の上面から離す。その後供給手段78および保持板82はフレキシブルプリント配線板80から離れ次のフレキシブルプリント配線板80の供給準備をする。フレキシブルプリント配線板80はリジッドプリント配線板74に接合した状態でテーブル70から他の搬送手段によって移送され次工程に搬出される。そして樹脂フィルム76に対応した所定の手順で樹脂フィルム76が硬化される。
【0042】
この動作説明では、加熱部53による接合部の加熱は樹脂フィルム76を加熱により軟化させて接続端子の重ね部から排出させて接続端子同士の接触を確実にするものであり、主として凝着現象を利用した固相接合させるものとしているが、この発明はこれに限られるものではない。例えば、拡散現象を利用した固相拡散接合、または液相拡散接合(共晶接合)するものであってもよい。
【0043】
実施例1では、本発明の超音波ホーンを用いた超音波接合装置をフレキシブルプリント配線板とリジッドプリント配線板の接合を例に説明したが、これ以外の用途、例えば半導体チップをフレキシブルプリント配線板またはリジッドプリント配線板への接合(フリップチップ実装)にも使用できることはいうまでもない。
【実施例2】
【0044】
図3は超音波ホーンの他の実施例を示す図である。この超音波ホーン150は、固有振動の1/2波長分の長さを持ったホーン152と、その一端に固定した超音波振動子154とを持つ。この場合にはホーン152の長手方向の固有振動(横振動A)は振幅が両端で最大となり、中央で最小(ゼロ)になる。すなわちこの中央位置がノーダルポイント164となる。
【0045】
ホーン152の両端の上面が加圧受部158,158とされ、この位置に摺動部材196を挟んで加圧手段の突部93(図2参照)が押圧される。中央下面には接合作用部160が設けられる。この超音波ホーン150は前記図2の実施例1における超音波ホーン50に代えて用いられる。すなわち1つのノーダルポイント164でボルト(図示せず)により二又状部材(図示せず)に吊られる。このためホーン152は2つの加圧部材158,158が二又状部材92により下向きに押され、中央のノーダルポイント164で上向きに引き揚げられる状態で加圧手段(図示せず)に保持される。
【0046】
ホーン152には横振動Aに対して位相が90°ずれた縦振動Bが発生するから、接合作用部160には主として縦方向(上下方向)の振動が発生する。このため固相接合(常温接合)に好都合な振動を接合部に加えることができる。またこの実施例によれば、ホーン152の長さが実施例1(図1)のものに比べて半分にすることができ、装置の小型化に適する。
【実施例3】
【0047】
図4は超音波ホーンの他の実施例を示す図である。この超音波ホーン250は、前記図3に示した超音波ホーン150とほぼ同じ構造である。このため同一部分に同一符号を付してその説明は繰り返さない。図3のものと異なるのは、接合作用部260を縦振動振幅Bが最大となる位置以外の異なる固定位置にした点である。
【0048】
図4はホーン152の下面の長手方向に異なる3つの位置に接合作用部260を設けたように示しているが、実際には3つのホーンにそれぞれ1つずつ設ける。なお1つのホーンで3つの接合作用部260を固定位置変更できるようにしてもよい。1つの位置Pは、ホーン152の中央(または一端)から1/8波長ずれた位置、すなわちホーン152の一端と中央との中間位置である。この位置Pに設けた接合作用部260には、横振動Aおよび縦振動Bの最大振幅の約70%の振幅の振動が加わる。従って横振動Aと縦振動Bがほぼ同じ成分比で加わる。
【0049】
位置Qは前記図3と同様にホーン152の中央であり、この場合の接合作用部260には主として縦振動Bが加わり横振動Aの成分はほぼゼロになる。位置Rは、ホーン152の中央と一端との中間より一端側へ偏位させた位置であり、接合作用部260に横振動Aが最大振幅の約85%、縦振動Bが最大振幅の約50%の振幅を持つ振動が加わることになる。
【0050】
このように接合作用部260の位置を変更することにより接合作用部260に発生する横振動Aと縦振動Bの成分比を変えることができる。従って接合対象によって最適な振動成分比を選択することにより、適切な接合が可能になる。
【実施例4】
【0051】
図5は他の実施例を示す図である。この超音波ホーン360は、前記図4に示した超音波ホーン260とほぼ同じ構造であり、同一部分に同一符号を付したのでその説明は繰り返さない。図4のものと異なるのは加圧受部93と接合作用部260とを共通な垂直の加圧軸362上に配設した点である。
【0052】
この実施例によれば、加圧力Fの方向が加圧受部93,接合作用部260を通る加圧軸362に加わるから、加圧力Fが接合作用部260に直接伝わる。このためホーン152に曲げ方向の荷重が加わることがなく、ホーン152の保持が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施例である超音波ホーンを示す図
【図2】超音波接合装置を一部断面して示す図
【図3】超音波ホーンの他の実施例を示す図
【図4】超音波ホーンの他の実施例を示す図
【図5】超音波ホーンの他の実施例を示す図
【図6】超音波ホーンの従来例を示す図
【符号の説明】
【0054】
50、150、250、360 超音波ホーン
52、152 ホーン
54、154 超音波振動子
58、158 加圧受部
60、160、260 接合作用部
62、362 加圧軸
64 ノーダルポイント
70 位置決めテーブル
74 リジッドプリント配線板(下側の電子部品)
76 位置制御部
78 供給手段
80 フレキシブルプリント配線板(上側の電子部品)
82 保持板
84 温度制御部
86 加圧手段
88 加圧部
90 加振部
92 二又状部材
93 突部
96 摺動部材
100 圧力センサ
102 加圧制御部
104 加振制御部
【出願人】 【識別番号】000227836
【氏名又は名称】日本アビオニクス株式会社
【識別番号】303019846
【氏名又は名称】ESB株式会社
【出願日】 平成19年6月1日(2007.6.1)
【代理人】 【識別番号】100082223
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 文雄

【識別番号】100094282
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 洋資


【公開番号】 特開2008−296161(P2008−296161A)
【公開日】 平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願番号】 特願2007−146692(P2007−146692)