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【発明の名称】 超音波流体移動装置およびこれを使用した攪拌器並びにポンプ
【発明者】 【氏名】遠山 茂樹

【氏名】真下 智昭

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が収容されまたは通過する空洞を有するステータと、前記ステータの外面に周方向に沿って取り付けられた複数の超音波発生素子とからなり、
前記複数の超音波発生素子は前記空洞内の流体を移動する力を生成することを特徴とする超音波流体移動装置。
【請求項2】
前記複数の超音波発生素子には、位相が異なる交流電圧が印加されることを特徴とする請求項1に記載の超音波流体移動装置。
【請求項3】
前記複数の超音波発生素子は、さらに軸方向に沿って複数取り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波流体移動装置。
【請求項4】
前記ステータは流体が収容されるカップ状の容器であり、前記複数の超音波発生素子は、前記流体を前記容器内で軸を中心に回転する方向および/または軸方向に動かす力を生成することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の超音波流体移動装置。
【請求項5】
前記ステータは流体が通過する管であり、前記複数の超音波発生素子は、前記流体を前記管内で軸方向に動かす力および/または前記軸を中心に回転する方向に動かす力を生成することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の超音波流体移動装置。
【請求項6】
請求項4に記載の超音波流体移動装置を使用した攪拌器。
【請求項7】
請求項5に記載の超音波流体移動装置を使用したポンプ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波により流体を移動させる装置に関し、具体的には、ステータの長さが短くても回転体を使用することなく流体を回転させることができる超音波流体移動装置およびこれを使用したポンプ並びに攪拌器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、回転水槽や、ポンプは、電磁モータを用いて駆動される。近年、マイクロロボットの駆動や、マイクロマシン,MEMSに応用することを目的として、マイクロポンプなどの流体移動装置の開発が盛んになされている。しかし、たとえば電磁式のマイクロポンプでは、小さなモータコイルに電流を流して駆動しなければならないが、通常、エネルギー効率が極度に低下するという問題があり、小型化には限界ある。
【0003】
また、マイクロポンプの製作には、複雑な微細加工を要するため、コストなどの問題があり、安価に製造することが難しい。また、水などをはじめとした流体は粘性が高く、微細管内で流体を移動させるためには、非常に大きな力が必要になる。そのため、機能性流体や圧電素子を用いた技術が研究段階にある。
【0004】
回転機構を持つポンプによらず、超音波により液体を搬送するための装置として、特許文献1に示すような超音液送マイクロチューブが提案されている。この超音液送マイクロチューブは、チューブの外周に、複数の進行波発生部(圧電材による超音波発生層)を所定の間隔で連続して形成し、液体がチューブ内を一定方向に移動するように構成されている。
【特許文献1】特開平6−233969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載されたような超音液送マイクロチューブは、液体を単にチューブの長手方向に移動させることには適しているが、その他の用途に応用することができない。たとえば、水槽中の液体を撹拌する回転水槽や、搬送とともに撹拌を行なうような複雑な流体移動装置などを実現することができない。
【0006】
本発明は、具体的には、ステータの長さが短くても、回転体を使用することなく流体を移動させることができる超音波流体移動装置およびこれを使用した攪拌器並びにポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は(1)から(7)を要旨とする。
(1)流体が収容されまたは通過する空洞を有するステータと、前記ステータの外面に周方向に沿って取り付けられた複数の超音波発生素子とからなり、
前記複数の超音波発生素子は前記空洞内の流体を移動する力を生成することを特徴とする超音波流体移動装置。
(2)前記複数の超音波発生素子には、位相が異なる交流電圧が印加されることを特徴とする(1)に記載の超音波流体移動装置。
(3)前記複数の超音波発生素子は、さらに軸方向に沿って複数取り付けられていることを特徴とする(1)または(2)に記載の超音波流体移動装置。
(4)前記ステータは流体が収容されるカップ状の容器であり、前記複数の超音波発生素子は、前記流体を前記容器内で軸を中心に回転する方向および/または軸方向に動かす力を生成することを特徴とする(1)から(3)の何れかに記載の超音波流体移動装置。
(5)前記ステータは流体が通過する管であり、前記複数の超音波発生素子は、前記流体を前記管内で軸方向に動かす力および/または前記軸を中心に回転する方向に動かす力を生成することを特徴とする(1)から(3)の何れかに記載の超音波流体移動装置。
(6)(4)に記載の超音波流体移動装置を使用した攪拌器。
(7)(5)に記載の超音波流体移動装置を使用したポンプ。
【0008】
本発明の概要を以下に説明する。
本発明の超音波流体移動装置は、流体を収容するための空洞を備えたステータと、前記ステータの外面に周方向に沿って取り付けられた複数の超音波発生素子とを備えており、前記複数の超音波発生素子には互いに位相が異なる交流電圧が印加され、発生した超音波により前記空洞内の流体を回転させることができる。
【0009】
本発明の超音波流体移動装置は、流体が通過するための流路を備えた管状のステータと、前記ステータの外面に周方向に沿って取り付けられた複数の超音波発生素子とを備えており、前記複数の超音波発生素子には、(1)位相が異なる第1の周波数の交流電圧が印加され、発生した超音波により前記流路内の流体を回転させ、および/または、(2)位相が同一または位相が異なる第2の周波数の交流電圧が印加され、発生した超音波により前記空洞内の流体を管軸方向に移動させる(通過させる)ことができる。
上記の構成とすることにより、ステータの外面に取付けられた複数の超音波発生素子により、ステータの空洞内で流体が回転しまたは通過し、あるいは回転しつつ通過する。
【0010】
本発明では、複数の超音波発生素子が前記ステータの外面の周方向に沿って複数取り付けられる。これら複数の超音波発生素子が空洞内面の形状を微小変位させ、流体は容器内で回転し、通過する。これにより、ステータを容器状に構成して流体撹拌装置として使用することもできるし、ステータを流体が通過する管状に構成してポンプとして使用することができる。
【0011】
また、本発明では、一つの超音波発生素子が、流体を回転させる第1周波数の超音波を発生するとともに、流体を管の軸方向に移動させる第2周波数の超音波を発生するように構成することができる。この場合に、一つの超音波発生素子に、時間を変えて2つの周波数を印加するようにできるし、同時に2つの周波数を印加するようにもできる。
【0012】
本発明の超音波流体移動装置では、超音波発生素子がステータの外面に周方向に沿って複数取り付けられているが、複数の超音波発生素子に同時に第2の周波数(位相は同一であってもよいし異なっていてもよい)を加えると、空洞内で流体は軸方向に移動する。
第1周波数と第2周波数とは、通常は異なるが、同一の周波数となる場合もある。
【0013】
なお、本発明の超音波流体移動装置では、ステータが管状であるときには、複数のステータを含むように構成できる。この場合には、複数のステータは、剛性を有する管や可撓性を有する管により接続でき、これらステータは直線状に配置されることもあるし、曲線状に配置されることもある。
【0014】
本発明では、超音波振動子を一つのステータの周方向に複数取り付けるとともに、軸方向に複数取り付けることができる。すなわち、軸方向に沿って、複数の超音波振動子セット(一つのセットは周方向に沿って複数取り付けられた超音波振動子からなる)を取り付けることができる。
【0015】
ステータとして硬質プラスチックや金属を使用することができる。硬質プラスチックを使用するときには、外面を導電性材料で被覆して、これをグランド電位とすることができる。ステータの外観形状は、超音波振動子が、密着して取り付けられる構造、例えば、円柱、角柱(N角柱:Nは3以上の整数)等であればよい。
なお、本発明では、超音波振動子は、必ずしも軸方向に沿って間隔を置いて複数をステータに取り付けなくてもよく、ステータの長さを短く構成できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、流体の撹拌や移動が可能な超音波流体移動装置(具体的にはポンプや攪拌器)を提供することができ、粘性の低い液体はもちろん粘性が高い液体にも適用できるし、さらには粉体にも適用できる。
また、本発明の超音波流体移動装置は、磁性流体などの取り扱いにも適している。すなわち、流体の移動に、圧電素子等の超音波発生素子を使用しているので、通常の電磁モータを使用する攪拌器やポンプで問題となる磁気の影響を受けることがない。
さらに、超音波による脱泡効果を得ることも可能である。さらに、流体により物品を搬送することもできるが、この場合には搬送と同時にその物品の超音波洗浄も可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1(A),(B),(C)は、ステータとして外観が角柱のものを使用した超音波流体移動装置の第1実施形態を示す説明図であり、(A)は斜視図、(B)は側面説明図、(C)は平面説明図である。図1(A)〜(C)において、超音波流体移動装置10は、ステータ11および超音波発生素子131〜134を備えている。なお、図1(A)では超音波発生素子133,134は表示されておらず、図1(B)では超音波発生素子133は表示されていない。
【0018】
ステータ11には、上面から底面に向かって断面が円形の穴12が設けられ、全体は容器状に構成されている。ステータ11には、蓋を設けることもできるが、本実施形態では上面は開放されている。ステータ11は、導電性材料(例えば、典型的には、鉄,ステンレス,アルミニウム,銅等)からなり、全体が直方体形状をなし、穴12には液体(ここでは水)Fが収容されている。なお、図1(A)〜(C)では、穴12の内面に突起を形成することで、水を効率よく回転させることも可能である。
本実施形態では、ステータ11として、平面視14mm×14mm、厚み11mm、穴径10mm、材質C5191(リン青銅)、超音波発生素子が取り付けられる面の表面粗さがRa=1.6のものを用いた。なお、ステータ11は金属に限定はされず、硬質プラスチックのような非金属であってもよく、この場合には外面に金属薄膜を形成するなどの処理が必要である。なお、超音波流体移動装置10では、ステータ11の直径を1〜2mm、長さを4〜5mm程度に構成することもできる。
【0019】
超音波発生素子131〜134は、ステータ11の四側面に取り付けられる板状の圧電素子であり、順次90°ずつ位相がずれた超音波を発生し、ステータ11の内面に振動波(進行波)を生じさせる。超音波発生素子131〜134として、本実施形態では富士セラッミク社の圧電素子(Z0.6T10×10S−W材料C82)を使用した。また、超音波発生素子131〜134をステータ11に取り付けるためにエポキシ系硬化樹脂を接着剤として用いた。
【0020】
たとえば、図2(A)に示すように、超音波発生素子131にV=Vsinωt、超音波発生素子132にV=Vsin(ωt+90°)、超音波発生素子133にV=Vsin(ωt+180°)、超音波発生素子134にV=Vsin(ωt+270°)の交流電圧を発振器により印加する。ここで、ωは、ステータ11の「流体回転のための固有振動数」であることが好ましい。これら4つの超音波発生素子131,132,133,134からは、90°ずつ位相がずれた超音波が発生し、穴12の内面に進行波が生じる。
【0021】
なお、超音波発生素子は、ステータ11の四側面の全てに取り付ける必要はなく、三側面に取り付けてもよいし、二側面に取り付けてもよい。
たとえば、図2(B)に示すように、ステータ11の三側面に超音波発生素子を取り付ける場合には、三つの超音波発生素子131,132,133に、V=Vsinωt、V=Vsin(ωt+90°)、V=Vsin(ωt+180°)の電圧を発振器により印加すればよい。
また、図2(C)に示すように、ステータ11の対向する二側面に超音波発生素子を取り付ける場合には、二つの超音波発生素子に、V=Vsinωt、V=Vsin(ωt+180°)の電圧を発振器により印加すればよいし、図2(D)に示すように、ステータ11の隣接する二側面に超音波発生素子を取り付ける場合には、二つの超音波発生素子に、V=Vsinωt、V=Vsin(ωt+90°)の電圧を発振器により印加すればよい。
【0022】
「流体回転のための固有振動数」は、ステータの形状や材料によって異なる。穴12に水を入れておき、ωを小さい値(たとえばゼロ)から大きい値(数Mhz)までスキャンし、液体Fの回転力が最大になる周波数が、「流体回転のための固有振動数」であるが、有限要素法を用いた共振解析、インピーダンスアナライザなどで測定することもできる。具体的にはωは、超音波周波数領域(たとえば、20kHz以上)の非可聴音である。なお、Vの値を変更することで、出力、すなわち、穴12内の液体の回転力を調整することができる。
【0023】
本実施形態では、進行波が発生している面において一点を観察すると、楕円運動が行なわれている。この楕円運動と、穴12内の液体F(ロータに相当する)との摩擦により、液体Fに駆動力が与えられ、液体が回転すると考えられ、超音波流体移動装置10は攪拌器(あるいは洗浄器)として使用することができる。
【0024】
本実施形態の超音波流体移動装置10は、モーター、回転羽根、回転ドラムなどの機械的部品を回転させることなく、水を回転、攪拌させることができるため、極めて静かな運転が可能な、かつ故障の少ない攪拌器を実現することができる。また、超音波駆動によるため薬剤を使用することなく洗浄ができる。
【0025】
図3(B)は、図3(A)に示すステータ11の穴12のある一点Pの動きを有限要素法解析ソフトウェア(Pro/Mechanica,パラメトリックテクノロジー社)を用いて解析した結果を示す図である。共振モードにおいて、楕円は時間経過とともに大きくなるが、入力(振動エネルギー)と出力(液体へ伝達されるエネルギー)が釣り合うところで、楕円の大きさは安定し、液体にはある一方向への推進力が与えられると考えられる。
【0026】
図4(A),(B)は、角柱を使用した本発明の超音波流体移動装置の第2実施形態を示す説明図であり、(A)は斜視図、(B)は側面説明図である。図4(A),(B)において、超音波流体移動装置20は、筒状のステータ21および超音波発生素子231〜234を備えている。なお、図4(A)では超音波発生素子233,234は表示されておらず、図4(B)では超音波発生素子233は表示されていない。第2実施形態によれば、ステータ21の内面にマイクロレベルの変位を起こさせることにより、液体の搬送を行うことができ、ステータ21に接続した細い管(たとえば、0.2〜3mm以下)内を水などの粘性の高い液体を搬送するポンプとして使用することができる。
【0027】
図4(A),(B)において、ステータ21には、上面と底面との間に断面が円形の貫通孔22が設けられた管構造となっており、液体Fが貫通孔22を通過する点が、図1のステータ11とは異なる。すなわち、ステータ21、超音波発生素子231〜234の構成や、超音波発生素子231〜234のステータ21の四側面への取り付け構造は、図1のステータ11、超音波発生素子131〜134の構成や、超音波発生素子131〜134のステータ11の四側面への取り付け構造と同じである。
【0028】
本実施形態でも、図5(A)に示すように、「流体回転のための固有振動数」に対応する(近い周波数であってもよい)周波数ωの電圧、
11=Vsinω
12=Vsin(ωt+90°)
13=Vsin(ωt+180°)
14=Vsin(ωt+270°)
を超音波発生素子231〜234に発振器により印加した場合において、ステータ21の貫通孔22の内面の一点では図3(B)に示したような楕円運動が生じ、これにより液体Fが回転する。
【0029】
また、図5(B)に示すように、ステータ21に、所定の周波数ωの電圧V2all=Vsinωtを発振器により印加すると、流体は軸方向に移動する(すなわち、ステータ21の貫通孔22を流通する)。この周波数ωは、「流体の軸方向移動のための固有振動数」である。
さらに、図5(C)に示すように、ステータ21に、周波数ωの電圧V11,V12,V13,V14を発振器により印加し、周波数ωの電圧V2allを発振器により印加すると、流体は回転しつつ軸方向に移動する。
【0030】
「流体の軸方向移動のための固有振動数」も、ステータの形状や材料によって異なり、貫通孔22内に水を入れ、ωを小さい値(たとえばゼロ)から大きい値(数Mhz)までスキャンし、液体Fの移動量が最大になる周波数が、「流体の軸方向移動のための固有振動数」である。この固有振動数は、前述した「流体回転のための固有振動数」と同様、有限要素法を用いた共振解析、インピーダンスアナライザなどで測定することもできる。具体的にはωも、超音波周波数領域(10kHz以上)の非可聴音である。
【0031】
なお、本実施形態でも、ステータ21の二側面(隣接する二側面でもよいし対向する二側面でもよい)に超音波発生素子を取り付けることもできるし、三側面に超音波発生素子を取り付けることもできる。
【0032】
図6(A),(B)は、ステータに角柱を使用した本発明の超音波流体移動装置の第3実施形態を示す説明図であり、(A)は斜視図、(B)は側面説明図である。図6(A),(B)において、超音波流体移動装置30は、筒状のステータ31および超音波発生素子331A,332A、333A,334A、超音波発生素子331B,332B、333B,334Bを備えている。
なお、図6(A)では超音波発生素子333A,334A、333B,334Bは表示されておらず、図6(B)では超音波発生素子333A,333Bは表示されていない。
【0033】
本実施形態では第2実施形態と同様に、ステータ31には貫通孔32が設けられており、液体Fが貫通孔32を通過する。本実施形態もでは、貫通孔32内の液体Fは回転するとともに軸方向に移動するので、超音波流体移動装置30をポンプとして使用することができる。
【0034】
なお、本実施形態でも、ステータ31の二側面(隣接する二側面でもよいし対向する二側面でもよい)に超音波発生素子を取り付けることもできるし、三側面に超音波発生素子を取り付けることもできる。本実施形態の超音波流体移動装置30でも、ステータ31の直径を1〜2mm、長さを4〜5mm程度に構成することも可能である。
【0035】
本実施形態では、図7に示すように、発振器Gにより超音波発生素子331A,331BにV11=Vsinωtを、332A,332BにV12=Vsin(ωt+90°)を、超音波発生素子333A,333BにV13=Vsin(ωt+180°)を、超音波発生素子334A,334BにV14=Vsin(ωt+270°)を印加するとともに、発振器Gにより超音波発生素子331A,332A,333A,334AにV21=Vsinωtを、超音波発生素子331B,332B,333B,334BにV22=Vsin(ωt+φ)を印加することができる。
【0036】
なお、各超音波発生素子に、V11,V12,V13,V14と、V21,V22とを、同時に印加しないようにしてもよいし、同時に印加するようにしてもよい。ここで、ωが第1周波数であり、ωが第2周波数である。また、φはステータの形状や材料に応じて適宜選択することができる。
【0037】
第2実施形態および第3実施形態の超音波流体移動装置では、液体を軸中心に回転させることができるとともに、軸方向に搬送することができ、将来的には、今後普及すると予想されるマイクロ化学実験における液体搬送、マイクロ医療などに応用することができる。たとえば、カテーテル治療などにおける、薬剤の投薬、血栓、出血、悪生物の吸引などに使用できる。また、マイクロポンプにおいて、液体に含まれる微粒子などの偏りを防止するために攪拌機として使用することができる。また、凝固した物体を粉砕することも可能である。
バルブレスのポンプに応用することも可能であり、微細管内で流体を移動させる場合において、流体の粘性が大きいため流体は流れないようなときにも、超音波をかけることでバルブが開いた状態を実現できる。
【0038】
図8は本発明の超音波流体移動装置の第4実施形態を示す説明図である。図8において、超音波流体移動装置40は、内周面進行波型であり、ステータ群と流体搬送管42とからなる。ステータ群は、貫通孔を有する複数のステータ41A〜41Eからなり、各ステータの各貫通孔には流体搬送管42が接続されている。
【0039】
本実施形態ではステータは5個(符号41A〜41E)としているが、2個、3個または6個以上としてもよい。41A〜41Eは、図4や図6で説明したステータ21,31と同じ構造にできる。また、図示してはいないが、本実施形態でも超音波発生素子は、第2実施形態および第3実施形態で使用したものと態様で取り付けることができる。
【0040】
図8では、1つのステータに取付けられた4個の超音波発生素子(図示せず)には、所定の発振器から、90°ずつ位相がずれた高周波電圧を加えることができる。高周波電圧が超音波発生素子に加える周波数が第1周波数のとき(すなわち、超音波発生素子41A〜41Eは第1周波数の超音波を発生するときは)、流体搬送管44中の流体は回転する。また、高周波電圧が超音波発生素子41A〜41Eに加える周波数が第2周波数のとき(すなわち、超音波発生素子41A〜41Eは第2周波数の超音波を発生するときは)、流体搬送管44の流体はその軸方向に移動する。また、流体搬送管42を剛体管または可撓性管により構成することができるし、全体を曲線上に構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の超音波流体移動装置の第1実施形態を示す説明図であり、(A)は斜視図、(B)は側面説明図、(C)は平面説明図である。
【図2】(A)は図1の超音波発生素子への電圧印加の態様を示す図、(B)はステータの三側面に超音波発生素子が取り付けられた場合の電圧印加の態様を示す図、(C)はステータの対向する二側面に超音波発生素子が取り付けられた場合の電圧印加の態様を示す図、(D)はステータの隣接する二側面に超音波発生素子が取り付けられた場合の電圧印加の態様を示す図である。
【図3】図1に示した超音波流体移動装置についての流体の動きの解析結果を示すための図であり、(A)はステータの穴のある一点を示し流体の回転を示すための図、(B)は有限要素法解析ソフトウェアを用いた解析結果を示す図である。
【図4】本発明の超音波流体移動装置の第2実施形態を示す説明図であり、(A)は斜視図、(B)は側面説明図である。
【図5】(A)は図4の超音波発生素子への電圧印加の態様を示す図、(B)はステータの三側面に超音波発生素子が取り付けられた場合の電圧印加の態様を示す図、(C)はステータの対向する二側面に超音波発生素子が取り付けられた場合の電圧印加の態様を示す図、(D)はステータの隣接する二側面に超音波発生素子が取り付けられた場合の電圧印加の態様を示す図である。
【図6】本発明の超音波流体移動装置の第3実施形態を示す説明図であり、(A)は斜視図、(B)は側面説明図である。
【図7】図6の超音波発生素子への電圧印加の一態様を示す図である。
【図8】本発明の超音波流体移動装置の第4実施形態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0042】
10,20,30,40 超音波流体移動装置
11,21,31,41 ステータ
12 穴
22,32 貫通孔
131,132,133,134,231,232,233,234,331A,332A,333A,334A,331B,332B,333B,334B 超音波発生素子
42 流体搬送管
F 流体
G,G,G,G 発振器
【出願人】 【識別番号】504132881
【氏名又は名称】国立大学法人東京農工大学
【出願日】 平成19年5月1日(2007.5.1)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−272694(P2008−272694A)
【公開日】 平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願番号】 特願2007−121197(P2007−121197)