トップ :: B 処理操作 運輸 :: B06 機械的振動の発生または伝達一般

【発明の名称】 振動子
【発明者】 【氏名】安井 亨

【氏名】安藤 英一

【要約】 【課題】厚み方向の振動変位分布の不均一さを緩和し、また、共振周波数の変化ならびに厚み振動の減衰を軽減する。

【解決手段】圧電セラミックスを用いた振動子において、所望の厚さを有する圧電セラミックスと、上記圧電セラミックスを第1の方向に延長して貫通する第1の孔と、上記圧電セラミックスを上記第1の方向と直交する第2の方向に延長して貫通する第2の孔と、上記圧電セラミックスの第1の面に配設された第1の電極と、上記第1の面とは異なる第2の面に配設された第2の電極とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電セラミックスを用いた振動子において、
所望の厚さを有する圧電セラミックスと、
前記圧電セラミックスを第1の方向に延長して貫通する第1の孔と、
前記圧電セラミックスを前記第1の方向と直交する第2の方向に延長して貫通する第2の孔と、
前記圧電セラミックスの第1の面に配設された第1の電極と、
前記第1の面とは異なる第2の面に配設された第2の電極と
を有することを特徴とする振動子。
【請求項2】
請求項1に記載の振動子において、
前記第2の電極は、前記第1の電極と所定の間隔を開けて前記圧電セラミックスの前記第1の面の一部から前記第1の面と隣り合う第3の面を経て前記第1の面と対向する前記第2の面まで配設される
ことを特徴とする振動子。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか1項に記載の振動子において、
前記第1の孔は複数形成され、互いに厚み振動の1/4波長以下の間隔を開けて配置された
ことを特徴とする振動子。
【請求項4】
請求項1、2または3のいずれか1項に記載の振動子において、
前記第2の孔は複数形成され、互いに厚み振動の1/4波長以下の間隔を開けて配置された
ことを特徴とする振動子。
【請求項5】
請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の振動子において、
前記第1の孔は、前記圧電セラミックスの厚さ方向における全長が厚み振動の1/4波長以上である
ことを特徴とする振動子。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5のいずれか1項に記載の振動子において、
前記第2の孔は、前記圧電セラミックスの厚さ方向における全長が厚み振動の1/4波長以上である
ことを特徴とする振動子。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5または6のいずれか1項に記載の振動子において、
前記第1の孔は、前記全長の中心位置が厚み振動の節となる位置と一致する
ことを特徴とする振動子。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6または7のいずれか1項に記載の振動子において、
前記第2の孔は、前記全長の中心位置が厚み振動の節となる位置と一致する
ことを特徴とする振動子。
【請求項9】
請求項1、2、3、4、5、6、7または8のいずれか1項に記載の振動子において、
前記圧電セラミックスはべべリング加工されている
ことを特徴とする振動子。
【請求項10】
圧電セラミックスを用いた振動子において、
所定の厚さを有しかつ対向する第1の面と第2の面とを有する圧電セラミックスと、
前記圧電セラミックスの第1の面に第1の方向で配設された第1の溝と、
前記圧電セラミックスの前記第2の面に前記第1の方向と直交する第2の方向で配設された第2の溝と、
前記圧電セラミックスの前記第1の面側に形成された第1の電極と、
前記圧電セラミックスの前記第2の面側に形成された第2の電極と
を有することを特徴とする振動子。
【請求項11】
請求項10に記載の振動子において、
前記第1の電極は、前記第1の面から前記第1の溝の終端があり前記第1の面と隣り合う第3の面まで配設された
ことを特徴とする振動子。
【請求項12】
請求項11に記載の振動子において、
前記第1の電極は、前記第1の溝の終端のある前記第3の面で前記第1の溝の切込み位置よりも深い位置まで延設された
ことを特徴とする振動子。
【請求項13】
請求項10、11または12のいずれか1項に記載の振動子において、
前記第2の電極は、前記第2の面から前記第2の溝の終端があり前記第2の面と隣り合う第4の面まで配設された
ことを特徴とする振動子。
【請求項14】
請求項13に記載の振動子において、
前記第2の電極は、前記第2の溝の終端のある前記第4の面で前記第2の溝の切込み位置よりも深い位置まで延設された
ことを特徴とする振動子。
【請求項15】
請求項10、11、12、13または14のいずれか1項に記載の振動子において、
前記第1の溝は複数形成され、互いに厚み振動の1/4波長以下の間隔を開けて配置された
ことを特徴とする振動子。
【請求項16】
請求項10、11、12、13、14または15のいずれか1項に記載の振動子において、
前記第2の溝は複数形成され、互いに厚み振動の1/4波長以下の間隔を開けて配置された
ことを特徴とする振動子。
【請求項17】
請求項10、11、12、13、14、15または16のいずれか1項に記載の振動子において、
前記第1の溝の深さは、前記圧電セラミックスの厚さ方向における全長が厚み振動の1/4波長以上である
ことを特徴とする振動子。
【請求項18】
請求項10、11、12、13、14、15、16または17のいずれか1項に記載の振動子において、
前記第2の溝の深さは、前記圧電セラミックスの厚さ方向における全長が厚み振動の1/4波長以上である
ことを特徴とする振動子。
【請求項19】
請求項10、11、12、13、14、15、16、17または18のいずれか1項に記載の振動子において、
前記第1の溝の深さは、厚み振動の節の位置を超えた深さである
ことを特徴とする振動子。
【請求項20】
請求項10、11、12、13、14、15、16、17、18または19のいずれか1項に記載の振動子において、
前記第2の溝の深さは、厚み振動の節の位置を超えた深さである
ことを特徴とする振動子。
【請求項21】
請求項10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20のいずれか1項に記載の振動子において、
前記第1の溝と前記第2の溝とは、厚み振動の節となる位置を中心に対称な形状である
ことを特徴とする振動子。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、振動子に関し、さらに詳細には、交流電圧を印加すると圧電効果により当該交流電圧に応じた振動を生ずる圧電セラミックスよりなる振動子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、圧電セラミックスよりなる振動子に溝を設けることにより、当該振動子における不均一な振動を緩和するという手法が知られている。
【0003】

ここで、図1(a)(b)には、上記したような溝を設けた従来の振動子が示されており、この振動子10は、圧電効果により電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換する略直方体状の圧電セラミックス12と、圧電セラミックス12の上面12a側から下面12b側に向けて厚さt方向に切り欠かれかつ矢印X方向(長手方向)に沿って延設されるとともに矢印Y方向(幅方向)に沿って後述する所定の間隔を開けて平行に形成された溝22a、溝22b、溝22cと、圧電セラミックス12に電圧を印加するために圧電セラミックス12の上面12aに溝22a、溝22b、溝22cを覆うことなく配設された一方の電極14と、圧電セラミックス12に電圧を印加するために圧電セラミックス12の下面12bに配設された他方の電極16とを有している。
【0004】
次に、溝22a、溝22bおよび溝22cの詳細について説明すると、溝22a、溝22bおよび溝22cは、圧電セラミックス12の厚さtに対して数10%の深さで切り欠かれている。
【0005】
また、溝22a、溝22bおよび溝22cは、圧電セラミックス12の音速と交流電圧を印加するために使用される交流電流の周波数との除算で表される圧電セラミックス12の厚み振動の波長の1/4、即ち、1/4波長以下の間隔で平行に配設されている。
【0006】

以上の構成において、振動子10の電極14と電極16とに交流電流を印加すると、印加された交流電流の交流電圧による圧電セラミックス12の圧電効果により、振動子10には当該交流電圧に応じた厚さt方向の振動たる厚み振動が発生する。
【0007】
この際に、圧電セラミックス12の上面12aには溝22a、溝22bおよび溝22cが形成されているため、溝22a、溝22bおよび溝22cが延設された方向(矢印X方向(長手方向))と直交する方向(矢印Y方向(幅方向))における不均一な振動を抑制することができる。
【0008】

しかしながら、上記した振動子10においては、溝22a、溝22bおよび溝22cが延設された方向(矢印X方向(長手方向))と平行な方向における不均一な振動は抑制することができないという問題点があった。
【0009】
即ち、溝22a、溝22bおよび溝22cは、圧電セラミックス12の上面12a側に矢印X方向(長手方向)に沿って延設されるとともに矢印Y方向(幅方向)に沿って1/4波長以下の間隔で平行に配設されているため、厚み方向における振動変位分布の不均一さは、溝22a、溝22bおよび溝22cが延設された方向(矢印X方向(長手方向))と直交する方向(矢印Y方向(幅方向))では、溝22a、溝22bおよび溝22cにより遮断されて緩和される。
【0010】
一方、溝22a、溝22bおよび溝22cが延設された方向(矢印X方向(長手方向))と平行な方向においては、振動変位分布の不均一さは緩和されることがなく不均一のままとなっていた。
【0011】

このような問題を解決するための手法として、例えば、図2(a)(b)(c)に示すような振動子が提案されている。
【0012】
なお、以下の説明において、図1(a)(b)に示す振動子と同一または相当する構成や方向を示すにあたっては、図1(a)(b)に関して用いた符号と同一のものを用いることにより、それらの詳細な説明は適宜に省略するものとする。
【0013】

この振動子20は、圧電効果により電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換する略直方体状の圧電セラミックス12と、圧電セラミックス12の上面12a側から下面12b側に向けて厚さt方向に切り欠かれかつ矢印X方向(長手方向)に沿って延設されるとともに矢印Y方向(幅方向)に沿って後述する所定の間隔を開けて平行に形成された溝22a、溝22b、溝22cと、圧電セラミックス12の上面12a側から下面12b側に向けて厚さt方向に切り欠かれかつ矢印Y方向(幅方向)に沿って延設されるとともに矢印X方向(長手方向)に沿って後述する所定の間隔を開けて平行に形成された溝24a、溝24b、溝24c、溝24dと、圧電セラミックス12に電圧を印加するために圧電セラミックス12の上面12aに溝22a、溝22b、溝22cならびに溝24a、溝24b、溝24c、溝24dを覆うことなく配設された一方の電極14と、圧電セラミックス12に電圧を印加するために圧電セラミックス12の下面12bに配設された他方の電極16とを有している。
【0014】
次に、溝22a、溝22b、溝22cならびに溝24a、溝24b、溝24c、溝24dの詳細について説明すると、溝22a、溝22b、溝22cと溝24a、溝24b、溝24c、溝24dとは、互いに直交する方向に延長して配置されている。
【0015】
そして、溝22a、溝22b、溝22cならびに溝24a、溝24b、溝24c、溝24dは、圧電セラミックス12の厚さtに対して数10%の深さで切り欠かれている。
【0016】
また、溝22a、溝22b、溝22cならびに溝24a、溝24b、溝24c、溝24dは、圧電セラミックス12の音速と交流電圧を印加するために使用される交流電流の周波数との除算で表される圧電セラミックス12の厚み振動の波長の1/4、即ち、1/4波長以下の間隔で平行に配設されている。
【0017】

以上の構成において、振動子20の電極14と電極16とに交流電流を印加すると、印加された交流電流の交流電圧による圧電セラミックス12の圧電効果により、振動子20には当該交流電圧に応じた厚さt方向の振動たる厚み振動が発生する。
【0018】
この際に、圧電セラミックス12の上面12aには溝22a、溝22bおよび溝22cが形成されているため、溝22a、溝22bおよび溝22cが延設された方向(矢印X方向(長手方向))と直交する方向(矢印Y方向(幅方向))における不均一な振動を抑制することができる。
【0019】
また、圧電セラミックス12の上面12aには溝24a、溝24b、溝24cおよび溝24dが形成されているため、溝24a、溝24b、溝24cおよび溝24dが延設された方向(矢印Y方向(幅方向))と直交する方向(矢印X方向(長手方向))、即ち、溝22a、溝22bおよび溝22cが延設された方向(矢印X方向(長手方向))と平行な方向における不均一な振動も抑制することができる。
【0020】

即ち、溝22a、溝22bおよび溝22cは、圧電セラミックス12の上面12a側に矢印X方向(長手方向)に沿って延設されるとともに矢印Y方向(幅方向)に沿って1/4波長以下の間隔で平行に配設されているため、厚み方向における振動変位分布の不均一さは、溝22a、溝22bおよび溝22cが延設された方向(矢印X方向(長手方向))と直交する方向(矢印Y方向(幅方向))では、溝22a、溝22bおよび溝22cにより遮断されて緩和される。
【0021】
同様に、溝24a、溝24b、溝24cおよび溝24dは、圧電セラミックス12の上面12a側に矢印Y方向(幅方向)に沿って延設されるとともに矢印X方向(長手向)に沿って1/4波長以下の間隔で平行に配設されているため、厚み方向における振動変位分布の不均一さは、溝24a、溝24b、溝24cおよび溝24dが延設された方向(矢印Y方向(幅方向))と直交する方向(矢印X方向(長手方向))、即ち、溝22a、溝22bおよび溝22cが延設された方向(矢印X方向(長手方向))と平行な方向では、溝24a、溝24b、溝24cおよび溝24dにより遮断されて緩和される。
【0022】

ところが、このような振動子20においては、電極14が溝22a、溝22b、溝22cおよび溝24a、溝24b、溝24c、溝24dによって複数の面(振動子20においては、20個の面である。)に電気的に分断されており、複数の面に分断された電極14を電気的に同電位とするためには、分断された面毎に半田付けして全ての面を電気的に接続しなければならないものであった。
【0023】
このため、電気的接続の際に半田の使用量が多くなって半田の質量が増加し、これによる振動子20の質量増加に伴い、振動子20の共振周波数が変化するとともに厚み振動が減衰してしまうという問題点があった。
【0024】
また、電気的接続の際に分断された面毎に半田付けするため半田付けする箇所が多くなり、その作業が繁雑であるとともに、半田不良になる割合が増加する恐れがあるという問題点も指摘されていた。
【0025】

なお、本願出願人が特許出願のときに知っている先行技術は、文献公知発明に係る発明ではないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明は、従来の技術の有する上記したような種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、厚み方向における振動変位分布の不均一さを緩和した振動子を提供しようとするものである。
【0027】
また、本発明の目的とするところは、電気的接続の際における半田の使用料を低減して、半田の質量増加に伴う共振周波数の変化や厚み振動の減衰を軽減するようにした振動子を提供しようとするものである。
【0028】
さらに、電気的接続の際に半田付けする箇所を低減して、半田付け作業を簡易化するとともに、半田不良になる割合を低減するようにした振動子を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記目的達成するために、本発明は、圧電セラミックス内に互いに直交する貫通孔を設けるようにしたものである。
【0030】
従って、こうした本発明によれば、互いに直交する貫通孔により厚み方向における振動変位分布の不均一さを遮断して緩和することができる。
【0031】
また、こうした本発明によれば、電気的接続の際に半田付けする箇所を低減することができ、これにより電気的接続の際に使用する半田の質量が低減されて、共振周波数の変化や厚み振動の減衰を軽減することができる。
【0032】
さらに、こうした本発明によれば、電気的接続の際に半田付けする箇所が低減されるので、半田付け作業が簡易化されるとともに、半田不良になる割合も低減することができる。
【0033】

また、本発明は、圧電セラミックスにおける対向する2つの面のそれぞれに互いに直交する方向で溝を設けるようにしたものである。
【0034】
こうした本発明による振動子によれば、互いに直交する溝により厚み方向における振動変位分布の不均一さを遮断して緩和することができる。
【0035】
また、こうした本発明によれば、電気的接続の際に半田付けする箇所を低減することができ、これにより電気的接続の際に使用する半田の質量が低減されて、共振周波数の変化や厚み振動の減衰を軽減することができる。
【0036】
さらに、こうした本発明によれば、電気的接続の際に半田付けする箇所が低減されるので、半田付け作業が簡易化されるとともに、半田不良になる割合も低減することができる。
【0037】
さらにまた、こうした本発明によれば、対向する面にそれぞれ溝を設けるようにしたため、一方の面のみに溝を形成することによる電極分断に伴う半田付けの際の質量増加に起因する共振周波数の変化や厚み振動の減衰ならびに発熱を軽減することができる。
【0038】

即ち、本発明のうち請求項1に記載の発明は、圧電セラミックスを用いた振動子において、所望の厚さを有する圧電セラミックスと、上記圧電セラミックスを第1の方向に延長して貫通する第1の孔と、上記圧電セラミックスを上記第1の方向と直交する第2の方向に延長して貫通する第2の孔と、上記圧電セラミックスの第1の面に配設された第1の電極と、上記第1の面とは異なる第2の面に配設された第2の電極とを有するようにしたものである。
【0039】
また、本発明のうち請求項2に記載の発明は、本発明のうち請求項1に記載にの発明において、上記第2の電極は、上記第1の電極と所定の間隔を開けて上記圧電セラミックスの上記第1の面の一部から上記第1の面と隣り合う第3の面を経て上記第1の面と対向する上記第2の面まで配設されるようにしたものである。
【0040】
また、本発明のうち請求項3に記載の発明は、本発明のうち請求項1または2のいずれか1項に記載の発明において、上記第1の孔は複数形成され、互いに厚み振動の1/4波長以下の間隔を開けて配置されるようにしたものである。
【0041】
また、本発明のうち請求項4に記載の発明は、本発明のうち請求項1、2または3のいずれか1項に記載の発明において、上記第2の孔は複数形成され、互いに厚み振動の1/4波長以下の間隔を開けて配置されるようにしたものである。
【0042】
また、本発明のうち請求項5に記載の発明は、本発明のうち請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の発明において、上記第1の孔は、上記圧電セラミックスの厚さ方向における全長が厚み振動の1/4波長以上であるようにしたものである。
【0043】
また、本発明のうち請求項6に記載の発明は、本発明のうち請求項1、2、3、4または5のいずれか1項に記載の発明において、上記第2の孔は、上記圧電セラミックスの厚さ方向における全長が厚み振動の1/4波長以上であるようにしたものである。
【0044】
また、本発明のうち請求項7に記載の発明は、本発明のうち請求項1、2、3、4、5または6のいずれか1項に記載の発明において、上記第1の孔は、上記全長の中心位置が厚み振動の節となる位置と一致するようにしたものである。
【0045】
また、本発明のうち請求項8に記載の発明は、本発明のうち請求項1、2、3、4、5、6または7のいずれか1項に記載の発明において、上記第2の孔は、上記全長の中心位置が厚み振動の節となる位置と一致するようにしたものである。
【0046】
また、本発明のうち請求項9に記載の発明は、本発明のうち請求項1、2、3、4、5、6、7または8のいずれか1項に記載の発明において、上記圧電セラミックスはべべリング加工されているようにしたものである。
【0047】
また、本発明のうち請求項10に記載の発明は、圧電セラミックスを用いた振動子において、所定の厚さを有しかつ対向する第1の面と第2の面とを有する圧電セラミックスと、上記圧電セラミックスの第1の面に第1の方向で配設された第1の溝と、上記圧電セラミックスの上記第2の面に上記第1の方向と直交する第2の方向で配設された第2の溝と、上記圧電セラミックスの上記第1の面側に形成された第1の電極と、上記圧電セラミックスの上記第2の面側に形成された第2の電極とを有するようにしたものである。
【0048】
また、本発明のうち請求項11に記載の発明は、本発明のうち請求項10に記載の発明において、上記第1の電極は、上記第1の面から上記第1の溝の終端があり上記第1の面と隣り合う第3の面まで配設されるようにしたものである。
【0049】
また、本発明のうち請求項12に記載の発明は、本発明のうち請求項11に記載の発明において、上記第1の電極は、上記第1の溝の終端のある上記第3の面で上記第1の溝の切込み位置よりも深い位置まで延設されるようにしたものである。
【0050】
また、本発明のうち請求項13に記載の発明は、本発明のうち請求項10、11または12のいずれか1項に記載の発明において、上記第2の電極は、上記第2の面から上記第2の溝の終端があり上記第2の面と隣り合う第4の面まで配設されるようにしたものである。
【0051】
また、本発明のうち請求項14に記載の発明は、本発明のうち請求項13に記載の発明において、上記第2の電極は、上記第2の溝の終端のある上記第4の面で上記第2の溝の切込み位置よりも深い位置まで延設されるようにしたものである。
【0052】
また、本発明のうち請求項15に記載の発明は、本発明のうち請求項10、11、12、13または14のいずれか1項に記載の発明において、上記第1の溝は複数形成され、互いに厚み振動の1/4波長以下の間隔を開けて配置されるようにしたものである。
【0053】
また、本発明のうち請求項16に記載の発明は、本発明のうち請求項10、11、12、13、14または15のいずれか1項に記載の発明において、上記第2の溝は複数形成され、互いに厚み振動の1/4波長以下の間隔を開けて配置されるようにしたものである。
【0054】
また、本発明のうち請求項17に記載の発明は、本発明のうち請求項10、11、12、13、14、15または16のいずれか1項に記載の発明において、上記第1の溝の深さは、上記圧電セラミックスの厚さ方向における全長が厚み振動の1/4波長以上であるようにしたものである。
【0055】
また、本発明のうち請求項18に記載の発明は、本発明のうち請求項10、11、12、13、14、15、16または17のいずれか1項に記載の発明において、上記第2の溝の深さは、上記圧電セラミックスの厚さ方向における全長が厚み振動の1/4波長以上であるようにしたものである。
【0056】
また、本発明のうち請求項19に記載の発明は、本発明のうち請求項10、11、12、13、14、15、16、17または18のいずれか1項に記載の発明において、上記第1の溝の深さは、厚み振動の節の位置を超えた深さであるようにしたものである。
【0057】
また、本発明のうち請求項20に記載の発明は、本発明のうち請求項10、11、12、13、14、15、16、17、18または19のいずれか1項に記載の発明において、上記第2の溝の深さは、厚み振動の節の位置を超えた深さであるようにしたものである。
【0058】
また、本発明のうち請求項21に記載の発明は、本発明のうち請求項10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20のいずれか1項に記載の発明において、上記第1の溝と上記第2の溝とは、厚み振動の節となる位置を中心に対称な形状であるようにしたものである。
【発明の効果】
【0059】
本発明は、以上説明したように構成されているので、厚み方向における振動変位分布の不均一さを緩和することができるという優れた効果を奏する。
【0060】
また、本発明は、以上説明したように構成されているので、電気的接続の際における半田の使用料が低減され、半田の質量増加に伴う共振周波数の変化や厚み振動の減衰を軽減することができるという優れた効果を奏する。
【0061】
さらに、本発明は、以上説明したように構成されているので、電気的接続の際に半田付けする箇所が低減され、半田付け作業が簡易化されるとともに、半田不良になる割合が低減されるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による振動子の実施の形態の一例について詳細に説明するものとする。
【0063】
なお、以下の実施の形態の説明において、図1(a)(b)ならびに図2(a)(b)(c)に示す振動子と同一または相当する構成や方向を示すにあたっては、図1(a)(b)ならびに図2(a)(b)(c)に関して用いた符号と同一のものを用いることにより、それらの詳細な説明は適宜に省略するものとする。
【0064】

まず、図3(a)(b)(c)を参照しながら、本発明による振動子の第1の実施の形態について説明する。
【0065】
なお、図3(a)には本発明の第1の実施の形態による振動子の斜視構成説明図が示されており、図3(b)には図3(a)に示す振動子のD−D線による断面構成説明図が示されており、図3(c)には図3(a)に示す振動子のE−E線による断面構成説明図が示されている。
【0066】

この図3(a)(b)(c)に示す振動子30は、圧電効果により電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換する略直方体状の圧電セラミックス12と、圧電セラミックス12の内部に矢印X方向(長手方向)に沿って延長されるとともに矢印Y方向(幅方向)に沿って後述する所定の間隔L2を開けて平行に穿設された貫通孔32a、貫通孔32b、貫通孔32cと、圧電セラミックス12の内部に矢印Y方向(幅方向)に沿って延長されるとともに矢印X方向(長手方向)に沿って後述する所定の間隔L2を開けて平行に穿設された貫通孔34a、貫通孔34b、貫通孔34c、貫通孔34dと、圧電セラミックス12に電圧を印加するために圧電セラミックス12の上面12aの一部に配設された一方の電極14と、圧電セラミックス12に電圧を印加するために電極14と所定の間隔Gを開けて圧電セラミックス12の上面12aの一部から一方の側面12cを経て下面12bに至るように配設された電極16とを有している。
【0067】

より詳細には、圧電セラミックス12は、その全周の縁部が面取りされてべべリング加工を施されている。また、圧電セラミックス12の上面12a、側面12cならびに底面12bに形成された電極14、電極16の全周の縁部も、圧電セラミックス12のべべリング加工に沿って面取りされてべべリング加工を施されている。
【0068】
なお、圧電セラミックス12の厚さtは、圧電セラミックス12の音速と交流電圧を印加するために使用される交流電流の周波数との除算で表される波長の1/2、即ち、1/2波長に設定されている。
【0069】

次に、貫通孔32a、貫通孔32b、貫通孔32cおよび貫通孔34a、貫通孔34b、貫通孔34c、貫通孔34dの詳細について説明すると、これらの貫通孔32a、貫通孔32b、貫通孔32cと貫通孔34a、貫通孔34b、貫通孔34c、貫通孔34dとは、互いに直交する方向に延長して配置されている。
【0070】
そして、貫通孔32a、貫通孔32b、貫通孔32cならびに貫通孔34a、貫通孔34b、貫通孔34c、貫通孔34dは、圧電セラミックス12の上面12aと下面12bとの間に厚さt方向に沿って長さL1で切り欠かれている。
【0071】
この長さL1は、圧電セラミックス12の音速と交流電圧を印加するために使用される交流電流の周波数との除算で表される圧電セラミックス12の厚み振動の波長の1/4、即ち、1/4波長以上に設定されている。
【0072】
また、貫通孔32a、貫通孔32b、貫通孔32cならびに貫通孔34a、貫通孔34b、貫通孔34c、貫通孔34dは、圧電セラミックス12の厚さt方向における中心と長さL1の厚さt方向における中心とが一致するようにして形成されている。
【0073】
従って、貫通孔32a、貫通孔32b、貫通孔32cならびに貫通孔34a、貫通孔34b、貫通孔34c、貫通孔34dは、振動子30の厚み振動の節となる位置を中心に対象な形状であり、かつ、1/4波長以上の長さで形成されることになる。
【0074】
一方、貫通孔32a、貫通孔32b、貫通孔32cならびに貫通孔34a、貫通孔34b、貫通孔34c、貫通孔34dをそれぞれ平行に配置する間隔L2は、圧電セラミックス12の音速と交流電圧を印加するために使用される交流電流の周波数との除算で表される波長の1/4、即ち、1/4波長以下に設定されている。
【0075】

また、電極14ならびに電極16は、蒸着法により導電性の材質を圧電セラミックス12の表面に蒸着させることにより形成されている。
【0076】
ここで、電極16は、圧電セラミックス12の下面12bから一方の側面12cを経て上面12aの一部まで配設されており、上面12aにおいては、所定の間隔Gにより電極14と電気的に分断されている。
【0077】

以上の構成において、振動子30の電極14と電極16とに交流電流を印加すると、印加された交流電流の交流電圧による圧電セラミックス12の圧電効果により、振動子30には当該交流電圧に応じた厚さt方向の振動たる厚み振動が発生する。
【0078】
この際に、圧電セラミックス12には貫通孔32a、貫通孔32bおよび貫通孔32cが形成されているため、貫通孔32a、貫通孔32bおよび貫通孔32cが延長する方向(矢印X方向(長手方向))と直交する方向(矢印Y方向(幅方向))における不均一な振動を抑制することができる。
【0079】
また、圧電セラミックス12には貫通孔34a、貫通孔34b、貫通孔34cおよび貫通孔34dが形成されているため、貫通孔34a、貫通孔34b、貫通孔34cおよび貫通孔34dが延長する方向(矢印Y方向(幅方向))と直交する方向(矢印X方向(長手方向))、即ち、貫通孔32a、貫通孔32bおよび貫通孔32cが延長する方向(矢印X方向(長手方向))と平行な方向における不均一な振動も抑制することができる。
【0080】

即ち、貫通孔32a、貫通孔32bおよび貫通孔32cは、圧電セラミックス12内に矢印X方向(長手方向)に沿って延長されるとともに矢印Y方向(幅方向)に沿って1/4波長以下の間隔で平行に配置されているため、厚み方向における振動変位分布の不均一さは、貫通孔32a、貫通孔32bおよび貫通孔32cが延長する方向(矢印X方向(長手方向))と直交する方向(矢印Y方向(幅方向))では、貫通孔32a、貫通孔32bおよび貫通孔32cにより遮断されて緩和される。
【0081】
同様に、貫通孔34a、貫通孔34b、貫通孔34cおよび貫通孔34dは、圧電セラミックス12内に矢印Y方向(幅方向)に沿って延長されるとともに矢印X方向(長手方向)に沿って1/4波長以下の間隔で平行に配置されているため、厚み方向における振動変位分布の不均一さは、貫通孔34a、貫通孔34b、貫通孔34cおよび貫通孔34dが延長する方向(矢印Y方向(幅方向))と直交する方向(矢印X方向(長手方向))、即ち、貫通孔32a、貫通孔32bおよび貫通孔32cが延長する方向(矢印X方向(長手方向))と平行な方向では、貫通孔34a、貫通孔34b、貫通孔34cおよび貫通孔34dにより遮断されて緩和される。
【0082】
つまり、圧電セラミックス12には貫通孔32a、貫通孔32b、貫通孔32cおよび貫通孔34a、貫通孔34b、貫通孔34c、貫通孔34dが矢印X方向(長手方向)と矢印Y方向(幅方向)とに直交するように配設されているので、矢印X方向(長手方向)と直交する矢印Y方向(幅方向)における不均一な振動は貫通孔32a、貫通孔32b、貫通孔32cにより遮断されて抑制され、一方、矢印Y方向(幅方向)と直交する矢印X方向(長手方向)における不均一な振動は貫通孔34a、貫通孔34b、貫通孔34c、貫通孔34dにより遮断されて抑制されて、振動子30の厚み振動の均一性が増すことになる。
【0083】

また、振動子30においては、貫通孔32a、貫通孔32b、貫通孔32cならびに貫通孔34a、貫通孔34b、貫通孔34c、貫通孔34dを、振動子30の厚み振動の節となる位置を中心に対象な形状かつ1/4波長以上の長さで形成したので、効率よく厚み振動を発生することができるようになる。
【0084】
さらに、振動子30には、上記したようにベベリング加工が施されているため、径方向の振動、所謂、輪郭振動が軽減されるため、一層効率よく厚み振動を発生することができるようになる(参考文献:日本音響学会誌38巻8号(1982年度)高周波強力音波発生用圧電セラミックス振動子のベベル加工による振動特性改善)。
【0085】

また、振動子30においては、電極14ならびに電極16が設けられた圧電セラミックス12の上面12aならびに下面12bには、電極14あるいは電極16を細かく分断する溝が形成されていないので、上面12aならびに下面12bを電極面として有効に利用することができ、厚み振動をムラ無く発生することが可能になり、かつ、全面での振動が可能となる。
【0086】
さらに、電極16は、圧電セラミックス12の下面12aから長手方向の一方の側面12cを経て上面12aにまで延設されているため、上面12a側で電極16に対する半田付けの作業性が可能となるなるので、半田付け作業の作業性を大幅に改善することができる。
【0087】
さらにまた、振動子30によれば、電気的接続の際に半田付けする箇所を電極14および電極16の2箇所に低減することができ、これにより電気的接続の際に使用する半田の質量が低減されて、共振周波数の変化や厚み振動の減衰を軽減することができる。
【0088】
また、振動子30によれば、電気的接続の際に半田付けする箇所が電極14および電極16の2箇所に低減されるので、半田付け作業が簡易化されるとともに、半田不良になる割合も低減することができる。
【0089】
さらに、振動子30によれば、厚み振動の減衰が抑制されることにより、厚み振動が減衰する際に発する熱を低減することができる。
【0090】

次に、図4(a)(b)(c)を参照しながら、本発明による振動子の第2の実施の形態について説明する。
【0091】
なお、図4(a)には本発明の第2の実施の形態による振動子の斜視構成説明図が示されており、図4(b)には図4(a)に示す振動子のF−F線による断面構成説明図が示されており、図4(c)には図4(a)に示す振動子のG−G線による断面構成説明図が示されている。
【0092】

図4(a)(b)(c)に示す振動子40は、圧電効果により電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換する略直方体状の圧電セラミックス12と、圧電セラミックス12の上面12a側から下面12b側に向けて厚さt方向に切り欠かれかつ矢印X方向(長手方向)に沿って延設されるとともに矢印Y方向(幅方向)に沿って後述する所定の間隔L2を開けて平行に形成された溝42a、溝42b、溝42cと、圧電セラミックス12の下面12b側から上面12a側に向けて厚さt方向に切り欠かれかつ矢印Y方向(幅方向)に沿って延設されるとともに矢印X方向(長手方向)に沿って後述する所定の間隔L2を開けて平行に形成された溝44a、溝44b、溝44c、溝44dと、圧電セラミックス12に電圧を印加するために圧電セラミックス12の上面12aおよび上面12aと隣り合う一方の側面12cにかけて溝42a、溝42b、溝42cを覆うことなく配設された一方の電極14と、圧電セラミックス12に電圧を印加するために圧電セラミックス12の下面12bおよび下面12bと隣り合う一方の側面12dにかけて溝44a、溝44b、溝44c、溝44dを覆うことなく配設された他方の電極16とを有している。
【0093】
なお、圧電セラミックス12の厚さtは、圧電セラミックス12の音速と交流電圧を印加するために使用される交流電流の周波数との除算で表される波長の1/2、即ち、1/2波長に設定されている。
【0094】

ここで、電極14および電極16は、蒸着法により導電性の材質を圧電セラミックス12の表面に蒸着させることにより形成されている。
【0095】
そして、電極14は、溝42a、溝42b、溝42cの一方の端部が位置する圧電セラミックス12の側面12cにおいて、溝42a、溝42b、溝42cの深さ(後述する長さL1である。)より深い位置まで延設されており、上面12aにおいて溝42a、溝42b、溝42cにより分断された領域が電気的に接続されて同電位にされている。
【0096】
同様に、電極16は、溝44a、溝44b、溝44c、溝44dの一方の端部が位置する圧電セラミックス12の側面12dにおいて、溝44a、溝44b、溝44c、溝44dの深さ(後述する長さL1である。)より深い位置まで延設されており、下面12bにおいて溝44a、溝44b、溝44c、溝44dにより分断された領域が電気的に接続されて同電位にされている。
【0097】
なお、電極14と電極16とは、縁面放電しないように所定の間隔を設けて配設されている。
【0098】

次に、溝42a、溝42b、溝42cならびに溝44a、溝44b、溝44c、溝44dの詳細について説明すると、溝42a、溝42b、溝42cと溝44a、溝44b、溝44c、溝44dとは、互いに直交する方向に延長して配置されている。
【0099】
そして、溝42a、溝42b、溝42cならびに溝44a、溝44b、溝44c、溝44dは、圧電セラミックス12の上面12aと下面12bとの間の厚さt方向に沿って長さL1の深さで切り欠かれている。
【0100】
この長さL1は、圧電セラミックス12の音速と交流電圧を印加するために使用される交流電流の周波数との除算で表される波長の1/4、即ち、1/4波長以上に設定されている。
【0101】
また、溝42a、溝42b、溝42cならびに溝44a、溝44b、溝44c、溝44dは、振動子40の厚み振動の節となる位置、即ち、圧電セラミックス12の厚さt方向における中心位置を超えた深さとなるように、長さL1を設定することが好ましい。
【0102】
このようにすることにより、溝42a、溝42b、溝42cおよび溝44a、溝44b、溝44c、溝44dは、厚み振動の節となる位置を中心に対称な形状となり、かつ、長さL1は1/4波長以上となる。
【0103】

一方、溝42a、溝42b、溝42cならびに溝44a、溝44b、溝44c、溝44dをそれぞれ平行に配置する間隔L2は、圧電セラミックス12の音速と交流電圧を印加するために使用される交流電流の周波数との除算で表される圧電セラミックス12の厚み振動の波長の1/4、即ち、1/4波長以下に設定されている。
【0104】

以上の構成において、振動子40の電極14と電極16とに交流電流を印加すると、印加された交流電流の交流電圧による圧電セラミックス12の圧電効果により、振動子40には当該交流電圧に応じた厚さt方向の振動たる厚み振動が発生する。
【0105】
この際に、圧電セラミックス12の上面12aには溝42a、溝42bおよび溝42cが形成されているため、溝42a、溝42bおよび溝42cが延設された方向(矢印X方向(長手方向))と直交する方向(矢印Y方向(幅方向))における不均一な振動を抑制することができる。
【0106】
また、圧電セラミックス12の下面12bには溝44a、溝44b、溝44cおよび溝44dが形成されているため、溝44a、溝44b、溝44cおよび溝44dが延設された方向(矢印Y方向(幅方向))と直交する方向(矢印X方向(長手方向))、即ち、溝42a、溝42bおよび溝42cが延設された方向(矢印X方向(長手方向))と平行な方向における不均一な振動も抑制することができる。
【0107】
即ち、溝42a、溝42bおよび溝42cは、圧電セラミックス12の上面12aに矢印X方向(長手方向)に沿って延設されるとともに矢印Y方向(幅方向)に沿って1/4波長以下の間隔で平行に配設されているため、厚み方向における振動変位分布の不均一さは、溝42a、溝42bおよび溝42cが延長する方向(矢印X方向(長手方向))と直交する方向(矢印Y方向(幅方向))では、溝42a、溝42bおよび溝42cにより遮断されて緩和される。
【0108】
同様に、溝44a、溝44b、溝44cおよび溝44dは、圧電セラミックス12の下面12bに矢印Y方向(幅方向)に沿って延設されるとともに矢印X方向(長手方向)に沿って1/4波長以下の間隔で平行に配設されているため、厚み方向における振動変位分布の不均一さは、溝44a、溝44b、溝44cおよび溝44dが延長する方向(矢印Y方向(幅方向))と直交する方向(矢印X方向(長手方向))、即ち、溝42a、溝42bおよび溝42cが延長する方向(矢印X方向(長手方向))と平行な方向では、溝44a、溝44b、溝44cおよび溝44dにより遮断されて緩和される。
【0109】
つまり、圧電セラミックス12には溝42a、溝42b、溝42cおよび溝44a、溝44b、溝44c、溝44dが矢印X方向(長手方向)と矢印Y方向(幅方向)とに直交するように配設されているので、矢印X方向(長手方向)と直交する矢印Y方向(幅方向)における不均一な振動は溝42a、溝42b、溝42cにより遮断されて抑制され、一方、矢印Y方向(幅方向)と直交する矢印X方向(長手方向)における不均一な振動は溝44a、溝44b、溝44c、溝44dにより遮断されて抑制されて、振動子40の厚み振動の均一性が増すことになる。
【0110】

また、振動子40においては、溝42a、溝42b、溝42cならびに溝44a、溝44b、溝44c、溝44dを、振動子40の厚み振動の節となる位置、即ち、圧電セラミックス12の厚さt方向における中心位置を超えた深さとなるようにするとともに、長さL1を1/4波長以上の長さで形成したので、効率よく厚み振動を発生することができるようになる。
【0111】

また、振動子40においては、電極14が設けられた圧電セラミックス12の上面12aと電極16が設けられた圧電セラミックス12の下面12bとには、電極14あるいは電極16を細かく分断するような直交した溝が形成されていないので、上面12aならびに下面12bを電極面として有効に利用することができ、厚み振動をムラ無く発生することが可能になり、かつ、全面での振動が可能となる。
【0112】
さらに、振動子40によれば、電気的接続の際に半田付けする箇所を電極14および電極16の2箇所に低減することができ、これにより電気的接続の際に使用する半田の質量が低減されて、共振周波数の変化や厚み振動の減衰を軽減することができる。
【0113】
さらにまた、振動子40によれば、電気的接続の際に半田付けする箇所が電極14および電極16の2箇所に低減されるので、半田付け作業が簡易化されるとともに、半田不良になる割合も低減することができる。
【0114】
また、振動子40によれば、厚み振動の減衰が抑制されることにより、厚み振動が減衰する際に発する熱を低減することができる。
【0115】

なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(5)に示すように変形することができるものである。
【0116】
(1)上記した実施の形態においては、圧電セラミックス12の矢印X方向(長手方向)において延長する貫通孔あるいは溝を3箇所形成し、圧電セラミックス12の矢印Y方向(幅方向)において延長する貫通孔あるいは溝を4箇所形成したが、これに限られるものでないことは勿論である。即ち、圧電セラミックスの大きさに応じて、互いに直交する貫通孔あるいは溝の個数は適宜に増減すればよい。例えば、圧電セラミックスに形成する貫通孔あるいは溝の個数は1個でもよいし、5個以上でもより。
【0117】
(2)上記した第1の実施の形態においては、電極14が配設されている圧電セラミックス12の上面12aの一部から隣り合う一方の側面12cを経て下面12bまで電極16が配置されるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、単に、圧電セラミックス12の上面12aには電極14のみを形成し、圧電セラミックス12の下面12bには電極16のみを形成するようにしてもよい。
【0118】
(3)上記した実施の形態においては、電極14ならびに電極16を蒸着法により圧電セラミックス12に蒸着するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、スパッタ法、メッキ法、ペースト法などにより電極14あるいは電極16を形成するようにしてもよい。
【0119】
(4)上記した実施の形態においては、圧電セラミックス12として略直方体状の形成を備えたものを用いたが、これに限られるものではないことは勿論であり、立方体状や円柱状など任意の形状のものを用いることができる。即ち、第1の実施の形態においては、圧電セラミックス12は適宜な厚さを備えておればよく、また、第2の実施の形態においては、圧電セラミックス12は適宜な所望の厚さを備えるとともに対向する2つの面を備えておればよい。要は、圧電セラミックス12は、第1の実施の形態に示すように、適宜の形状の圧電セラミックスの内部に直交するように貫通孔を形成にしたり、第2の実施の形態に示すように、適宜の形状の圧電セラミックスの対向する2つの面の一方に平行に溝を形成するとともに他方の面に当該溝と直交する溝を形成したりすることができるものであればよい。
【0120】
(5)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(4)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は、超音波洗浄装置や超音波計測装置などのような各種の超音波装置の振動子として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】図1(a)は従来の技術による振動子の斜視構成説明図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A線による断面構成説明図である。
【図2】図2(a)は従来の技術による振動子の斜視構成説明図であり、図2(b)は図2(a)のB−B線による断面構成説明図であり、図2(c)は図2(a)のC−C線による断面構成説明図である。
【図3】図3(a)は本発明の第1の実施の形態による斜視構成説明図であり、図3(b)は図3(a)のD−D線による断面構成説明図であり、図3(c)は図3(a)のE−E線による断面構成説明図である。
【図4】図4(a)は本発明の第2の実施の形態による斜視構成説明図であり、図4(b)は図4(a)のF−F線による断面構成説明図であり、図4(c)は図4(a)のG−G線による断面構成説明図である。
【符号の説明】
【0123】
10、20、30 40 振動子
12 圧電セラミックス
14、16 電極
22a、22b、22c、24a、24b、24c、24d、42a、42b、42c、44a、44b、44c、44d 溝
32a、32b、32c、34a、34b、34c、34d 貫通孔
【出願人】 【識別番号】000219004
【氏名又は名称】島田理化工業株式会社
【出願日】 平成19年4月20日(2007.4.20)
【代理人】 【識別番号】100087000
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 淳一


【公開番号】 特開2008−264699(P2008−264699A)
【公開日】 平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願番号】 特願2007−112067(P2007−112067)