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【発明の名称】 起振装置
【発明者】 【氏名】中村 佳也

【氏名】中山 昌尚

【氏名】倉林 浩

【氏名】田中 清

【要約】 【課題】広い周波数範囲にわたって大きな加振力を発生させる上で有利な起振装置を提供する。

【解決手段】起振装置10は、ベースフレーム12と、軸受け部14と、レバー16と、アクチュエータ18と、錘20と、取り付け機構22と、ばね24と、駆動制御部26と、振動計28などを含んで構成されている。レバー16は長さ方向の一端16Aが軸受け部14によって揺動可能に支持され、レバー16は軸受け部14を中心に揺動可能に配設されている。アクチュエータ18は、アクチュエータ18により揺動される範囲の中央の位置である中立位置を中心としてレバー16を揺動させる。錘20はレバー16に設けられている。取り付け機構22は、錘20をレバー16の長手方向に移動調節可能に取り付けるものである。ばね24は、レバー16を前記中立位置に付勢するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフレームと、
前記ベースフレームに設けられた軸受け部と、
長さを有し前記長さ方向の一端が前記軸受け部によって揺動可能に支持され、前記軸受け部を中心として揺動可能なレバーと、
前記レバーを揺動させるアクチュエータと、
前記レバーに設けられた錘と、
前記錘を前記レバーの長手方向に移動調節可能に取り付ける取り付け機構と、
前記レバーを前記アクチュエータにより揺動される範囲の中央の位置である中立位置に付勢するばねと、
前記アクチュエータの動作を制御する駆動制御部と、
を備えることを特徴とする起振装置。
【請求項2】
ベースフレームと、
前記ベースフレームに設けられた軸受け部と、
長さを有し前記長さ方向の一端が前記軸受け部によって揺動可能に支持され、鉛直面上で前記軸受け部を中心として揺動可能なレバーと、
前記レバーが水平方向に延在する中立位置を中心として前記レバーを揺動させるアクチュエータと、
前記レバーに設けられた錘と、
前記錘を前記レバーの長手方向に移動調節可能に取り付ける取り付け機構と、
前記レバーを前記中立位置に付勢するばねと、
前記アクチュエータの動作を制御する駆動制御部と、
を備えることを特徴とする起振装置。
【請求項3】
ベースフレームと、
前記ベースフレームに設けられた軸受け部と、
長さを有し前記長さ方向の一端が前記軸受け部によって揺動可能に支持され、水平面上で前記軸受け部を中心として揺動可能なレバーと、
前記レバーを揺動させるアクチュエータと、
前記レバーに設けられた錘と、
前記錘を前記レバーの長手方向に移動調節可能に取り付ける取り付け機構と、
前記レバーを前記アクチュエータにより揺動される範囲の中央の位置である中立位置に付勢するばねと、
前記アクチュエータの動作を制御する駆動制御部と、
を備えることを特徴とする起振装置。
【請求項4】
前記アクチュエータは、前記レバーの長さ方向の他端と前記ベースフレームとの間に設けられる、
ことを特徴とする請求項1乃至3に何れか1項記載の起振装置。
【請求項5】
前記ばねは、前記レバーまたは前記錘と、前記ベースフレームとの間に設けられる、
ことを特徴とする請求項1乃至3に何れか1項記載の起振装置。
【請求項6】
前記レバーの長さ方向の他端は、水平面上で前記レバーの延在方向と交差する方向に延在する軸受け面上で摺動可能に支持されている、
ことを特徴とする請求項3記載の起振装置。
【請求項7】
前記ベースフレームまたは前記ベースフレームが設置された構造物の振動を検出する振動計が設けられ、
前記駆動制御部は、前記アクチュエータに駆動信号を供給することで前記アクチュエータの駆動制御を行うとともに、前記駆動信号と前記振動計から供給される検出信号とに基づいて前記構造物の振動を解析する、
ことを特徴とする請求項1記載の起振装置。
【請求項8】
前記ベースフレームまたは前記ベースフレームが設置された構造物の振動を検出する振動計が設けられ、
前記駆動制御部は、前記アクチュエータに駆動信号を供給することで前記アクチュエータの駆動制御を行うとともに、前記振動計から供給される検出信号に基づいて前記構造物の振動が最小となるように前記駆動信号を制御する、
ことを特徴とする請求項1記載の起振装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は起振装置に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物の振動特性を調べる方法として、構造物内に振動計を設置し、構造物の振動を測定する方法がある。すなわち、地震がなく風が強くない通常の状態でも構造物は何らかの小さな振動をしている。その振動を測定し解析することで構造物の振動特性を把握することができる。
しかしながら、振動が小さいので振動特性を把握するのが難しい。
そこで、構造物を強制的に振動させ、やや大きくなった振動を測定する試験を行うことが必要となり、このような試験を強制振動試験という。
強制振動試験のために構造物を加振する方法としては、図1(a)に示すように構造物の上に人が載って移動することで加振を行う人力による方法と、図1(b)に示すように構造物を強制的に加振する起振装置(起振機)1を用いる方法がある。
起振装置は一定の正弦波の力を発生する装置で、振動数を少しずつ段階的に変化させる機能が必要になる。
起振装置の代表的なものには以下に示すものがある。
1)不平衡質量方式(図2(A))
最も代表的な起振装置であり、この起振装置2は、鉄輪2Aの一部に錘2Bを取り付けることによって鉄輪2Aを不平衡質量とし、この鉄輪2Aをモータ2Cによって回転させることによって生じる遠心力の反力を起振力として使用する(特許文献1参照)。
一般に回転する鉄輪2Aを2〜3個組み合わせて一部を逆回転させ、任意の1方向にのみ遠心力が引き出され、他方向については相殺させて力が抽出できないような構造で使用する。
2)スライドマス方式(図2(B))
この起振装置4は、錘4Aをリニアモータからなるアクチュエータ4Bによって鉛直方向に沿って直線往復運動させ、その反力を起振力に用いる。
3)振り子方式(図2(C))
この起振装置6は、錘6Aを天井(大梁)6Bあるいは、床上で組立てた架構6Bから吊り下げて振り子を構成し、モータなどのアクチュエータ6Cによって振り子の錘6Aを振動させることで、その反力を起振力に使用する(特許文献2参照)。
起振装置自体が固有振動数を持つことが特徴である。
4)振動系方式(図2(D))
この起振装置8は、錘8Aをベースプレート8B上にばね8Cを介して上下方向に移動可能に支持しておき、アクチュエータ8Dによって錘8Aを振動させることで、その反力を起振力に使用する(特許文献3参照)。
この振動系方式の起振装置8も前記振り子方式の起振装置6と同じで、起振装置自体が固有振動数を持つ方式である。
上述した何れの起振装置も錘の駆動方法は、モータによる定常加振が一般的で、周波数を任意に変えられるようになっている。
構造物の強制加振試験は、任意の加振周波数の定常加振力を構造物に与えて、定常状態になったところで構造物の応答を計測する作業を周波数を変えて行っていくのが一般的である。
【特許文献1】特開昭59−12788
【特許文献2】特開平9−61286
【特許文献3】特開2002−30642
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した起振装置2、4、6、8には次のような欠点がある。
1)不平衡質量方式
回転型のモータを用いることができるので、制御がし易くまた伝達機構が不要でロスが小さい。錘の重量、錘の位置を変更することで加振力の大きさを容易に調整することができる利点がある。
その反面、回転が安定し加振力が発揮できるまでに時間がかかる、加振周波数が小さい長周期振動の加振では大きな加振力を得られにくいなどの欠点がある。
2)スライドマス方式
錘の直線運動が直接加振力になるので、錘の重量、加振振幅を調整することで加振力を容易に調節し易い。また装置がコンパクトになるなどの利点がある。
その反面、直線駆動方式のモータは発生力が大きいモータがあまり無く、起振力の小さい起振装置の構造となってしまう。発生力が大きい回転型モータを使用すると、回転運動を直線運動に変換する伝達機構が必要となり、ロスを生じてしまい大きな加振力が得られない。
3)振り子方式
加振力の調節は上述した不平衡質量方式やスライドマス方式と同様、錘の重量と振り子の振動振幅の大きさで可能である。ただ振り子はそれ自体に固有振動数を持っているので、その固有振動数では錘を振動させ易く、大きな加振力を発揮することができる。
ただし、振り子の固有振動数以外の周波数範囲は加振力の増大はできない。広い周波数範囲で大きな加振力を得る場合には、振り子の固有振動数を調節しなければならない。振り子の固有振動数は、錘の吊長さのみで決まるので調節は可能であるが、吊長さを変更するのは簡単ではない。
4)振動系方式
上述した振り子方式と同様、起振装置の固有振動数では錘を振動させ易く、大きな加振力を発揮することができる。
しかしながら、固有振動数を変化させるためには錘の重量、バネの剛性を変更させる必要があり、容易ではない。
このように従来の技術ではそれぞれ欠点がある。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、広い周波数範囲にわたって大きな加振力を発生させる上で有利な起振装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の目的を達成するため、本発明の起振装置は、ベースフレームと、前記ベースフレームに設けられた軸受け部と、長さを有し前記長さ方向の一端が前記軸受け部によって揺動可能に支持され、前記軸受け部を中心として揺動可能なレバーと、前記レバーを揺動させるアクチュエータと、前記レバーに設けられた錘と、前記錘を前記レバーの長手方向に移動調節可能に取り付ける取り付け機構と、前記レバーを前記アクチュエータにより揺動される範囲の中央の位置である中立位置に付勢するばねと、前記アクチュエータの動作を制御する駆動制御部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、錘のレバーの長さ方向における位置を調節することによって、起振装置の固有振動数を極めて簡単に設定することができ、広い周波数範囲にわたって大きな加振力を発生させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(第1の実施の形態)
次に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図3は第1の実施の形態の起振装置10の構成を示す正面図、図4はレバー16およびアクチュエータ18の説明図、図5は起振装置10によって構造物Aの振動特性を解析する動作を説明するための構成図、図6は、起振装置10によって構造物Aの振動を抑制する動作を説明するための構成図である。
【0007】
第1の実施の形態において、起振装置10は、構造物Aなどに取り付けられた状態で動作することにより鉛直方向の振動を構造物Aに加えるものである。なお、本発明において構造物Aとは、建物の床や、梁、建物の屋上、橋などを広く含む。
起振装置10は、ベースフレーム12と、軸受け部14と、レバー16と、アクチュエータ18と、錘20と、取り付け機構22と、ばね24と、駆動制御部26と、振動計28などを含んで構成されている。
【0008】
ベースフレーム12は平板状に形成され、構造物Aなどに設置されるものである。
軸受け部14はベースフレーム12の上方の箇所に設けられている。
【0009】
レバー16は、長さを有し長さ方向の一端16Aが軸受け部14によって揺動可能に支持され、レバー16は軸受け部14を中心に揺動可能に配設されている。より詳細には、レバー16は、その長さ方向の他端16Bが軸受け部14を中心とした円周方向に沿って揺動可能である。
本実施の形態では、レバー16の一端16Aにレバー16の長さ方向と直交する支軸1602が設けられており、支軸1602は、軸受け部14によってその軸心を水平面と平行させて(ベースフレーム12と平行させて)支持されている。
言い換えると、レバー16は、鉛直面上で軸受け部14を中心とする円周方向に沿って揺動可能に設けられている。
また、レバー16は一端16Aおよび他端16Bを除く中間部分の断面が長さ方向に沿って均一な形状を呈している。
【0010】
アクチュエータ18は、レバー16を揺動させるものである。
本実施の形態では、アクチュエータ18は、レバー16の他端16Bとベースフレーム12との間に設けられている。
アクチュエータ18は、アクチュエータ18により揺動される範囲の中央の位置である中立位置を中心としてレバー16を揺動させるものであり、本実施の形態では、中立位置は、レバー16が水平方向に延在する位置である。
図4に示すように、本実施の形態では、アクチュエータ18は、直動式のアクチュエータ(電磁アクチュエータ)であるリニアモータで構成されている。
アクチュエータ18は、直線状に延在するガイド18Aと、ガイド18Aの長さ方向に沿って設けられた固定子18Bと、ガイド18Aに沿って直線往復移動可能に設けられたスライダ18Cと、スライダ18Cに設けられた可動子18Dなどを含んで構成されている。
そして、駆動制御部26から可動子18Dに供給される駆動信号によって可動子18Dから発生する磁界と、固定子18Bの磁界との磁気相互作用によってスライダ18Cがガイド18Aに沿って直線往復移動するように構成されている。
本実施の形態では、ガイド18Aの一端に設けられた支軸1802が、レバー16の軸受け部1602に枢支されている。
また、スライダ18Cにはガイド18Aの長さ方向に沿って延在するロッド18Eの一端が連結され、ロッド18Eの他端はスライダ18Cの他端から突出している。
そして、ロッド18Eの他端に設けられた支軸1804がベースフレーム12の軸受け部1202に枢支されている。
したがって、駆動制御部26によってアクチュエータ18が駆動され、スライダ18Cが直線往復移動すると、レバー16はスライダ18Cの移動に追従して前記円周方向に揺動される。
この際、アクチュエータ18の支軸1802、1804が軸受け部1602、1202にそれぞれ枢支されているため、アクチュエータ18はレバー16の揺動に追従して軸受け部1202を中心に揺動される。
なお、レバー16を揺動させるアクチュエータ18はリニアモータに限定されるものではなく、例えば、回転モータの駆動力をカム機構やリンク機構などの伝動機構を介してレバー16に伝達することでレバー16を揺動させるようにしてもよく、レバー16を揺動させるアクチュエータの構成には、あるいは、伝動機構を含むアクチュエータの構成には、従来公知のさまざまな構造が採用可能である。
【0011】
錘20はレバー16に設けられている。
本実施の形態では、錘20は直方体状を呈し、互いに対向する2つの側面の中央を貫通する孔にレバー16が挿通されることで、レバー16に該レバー16の長手方向に移動可能に支持されている。
取り付け機構22は、錘20をレバー16の長手方向に移動調節可能に取り付けるものである。
本実施の形態では、取り付け機構22は、2つのリング状のストッパ22A、22Bと、不図示の固定ねじとで構成されている。
すなわち、ストッパ22A、22Bが錘20の両側を挟むようにレバー16にその長さ方向に移動可能に挿通されている。
各ストッパ22A、22Bにはそれらの外周から内周にねじ孔が貫通形成され、ねじ孔には前記固定ねじが螺合されている。
錘20の取り付けは、錘20の両側にストッパ22A、22Bを当接させた状態で、前記各固定ねじを締め付けて固定ねじの先端をレバー16の外周に当接させることでストッパ22A、22Bをレバー16の長さ方向に移動不能に固定することによってなされる。
なお、取り付け機構22を、レバー16の一端16Aと他端16Bとの間の外周部分に形成された雄ねじと、錘20の両側を挟むように前記雄ねじに螺合された2つのナットとで構成し、錘20の取り付けを、2つのナットにより錘20の両側を挟んだ状態で各ナットを締結することによって行うなど、取り付け機構22としては従来公知のさまざまな構造が採用可能である。
【0012】
ばね24は、レバー16を前記中立位置に付勢するものである。
ばね24は、レバー16とベースフレーム12との間に設けられている。
本実施の形態では、ばね24は圧縮コイルばねで構成され、ばね24の一端24Aがレバー16または錘20に取り付けられ、ばね24の他端24Bがベースフレーム12に取り付けられている。
また、本実施の形態では、レバー16の長さ方向に沿ったばね24のレバー16に対する取り付け位置およびベースフレーム12に対する取り付け位置の双方が移動調節可能となっている。
すなわち、レバー16の外周がベースフレーム12に臨む箇所、あるいは、錘20がベースフレーム12に臨む箇所にばね24の一端24Aが係合する不図示の第1の係合凹部がレバー16の長さ方向に間隔をおいて複数箇所設けられている。
また、前記第1の係合凹部に対応する前記ベースフレーム12の箇所に、ばね24の他端24Bが係合する不図示の第2の係合凹部がそれぞれ設けられている。
そして、ばね24の一端24Aと他端24Bをそれぞれ所望の前記第1の係合凹部と前記第2の係合凹部に係合させることで、レバー16の長さ方向におけるばね24の取り付け位置を調節できるようにしている。
なお、取り付けるばね24の種類や個数は任意である。
本実施の形態では、錘20が、レバー16と、軸受け部14と、ばね24とで支持されており、したがって、起振装置10は梃子型振動系を構成している。
したがって、錘20のレバー16の長さ方向における位置を調節することによって、起振装置10(前記梃子型振動系)の固有振動数を簡単に設定することができる。
また、錘20の重量と、ばね24の弾性と、ばね24の個数と、ばね24のレバー16の長さ方向における位置取り付け位置との少なくとも1つを設定することによっても、起振装置10(前記梃子型振動系)の固有振動数を設定することができる。
【0013】
駆動制御部26は、アクチュエータ18の動作を制御するものである。
駆動制御部26は、アクチュエータ18に駆動信号を供給することでアクチュエータ18を動作させるものであり、前記駆動信号の波形形状、周波数、振幅、加振時間などの設定値を任意に調節して設定できるように構成されている。
例えば、駆動信号は定常正弦波である。
【0014】
本実施の形態では、図5に示すように、駆動制御部26は、信号発生装置26Aと、モータアンプ26Bと、メモリ26Cと、センサアンプ26Dと、CPU26Eと、解析装置26Fなどを含んで構成されている。
信号発生装置26Aは、前記駆動信号の波形形状、周波数、振幅、加振時間などの設定値を任意に調節して前記駆動信号を生成するものである。
モータアンプ26Bは、信号発生装置26Aから供給された前記駆動信号を増幅してアクチュエータ18に供給するものである。
センサアンプ26Dは、振動計28から供給される検出信号を増幅するものである。
メモリ26Cは、信号発生装置26Aから供給される前記駆動信号を記録し、また、センサアンプ26Dによって増幅された前記検出信号を記録するものである。
解析装置26Fは、後述するように、起振装置10によって構造物Aの振動特性を解析する際に主に機能するものであり、図5に示すように、メモリ26Cに記録されている駆動信号および検出信号に基づいて従来公知のさまざまな振動特性の解析を行い、その解析結果を図示しない記録媒体に記録し、あるいは、前記解析結果をディスプレイやプリンタを介して出力するものである。
CPU26Eは、後述するように、起振装置10によって構造物Aの振動を抑制する際に主に機能するものである。
なお、制御装置26の設置箇所はベースフレーム12上に限定されるものではなく、任意である。
また、制御装置26を構成する、信号発生装置26Aと、モータアンプ26Bと、メモリ26Cと、センサアンプ26Dと、CPU26Eと、解析装置26Fとをどのように構成するかは任意である。例えば、各部が1つの筐体の内部に収容されて構成されていてもよいし、CPU26Eと解析装置26Fが1台のパソコンによって構成され、残りが1つの筐体に収容されていてもよい。
【0015】
振動計28は、起振装置10が設置された構造物の振動を計測するものである。
振動計28は、ベースフレーム12上、あるいは、構造物A上に設置することで、起振装置10によって加振された構造物Aの振動の大きさを検出し、その検出信号を駆動制御部26のセンサアンプ26Cに供給するものである。
なお、図3において符号30は、ベースフレーム12、軸受け部14、レバー16、アクチュエータ18、錘20、取り付け機構22、ばね24、駆動制御部26、振動計28などを覆うカバーであり、ベースフレーム12に着脱可能に取着されている。
【0016】
次に起振装置10の使用方法について説明する。
まず、起振装置10によって構造物Aの振動特性を解析する動作について説明する。
この場合、図3、図5に示すように、起振装置10のベースフレーム12を解析対象となる構造物Aに設置する。
そして、振動計28をベースフレーム12あるいは構造物Aの適宜箇所に取り付ける。
そして、制御装置26からアクチュエータ18に所定時間駆動信号を供給することでレバー16および錘20を鉛直面上で揺動させる。
これにより、ベースフレーム12を介して構造物Aが上下方向に(鉛直方向に)加振される。
制御装置26では、信号発生装置26Aから生成された駆動信号と、振動計28で検出された検出信号とがメモリ26Cに記録される。
アクチュエータ18への駆動信号の供給が停止したならば、解析装置26Fによって構造物Aの振動特性の解析がなされ、その解析結果が出力される。
【0017】
なお、起振装置10の加振振動数、すなわち、レバー16および錘20の振動数はアクチュエータ16に供給する駆動信号の周波数によって決定される。
そして、起振装置10によって構造物Aを加振する際、起振装置10の加振振動数と、起振装置10の固有振動数とをほぼ同じ値とすると、起振装置10によって構造物Aをより大きな力で加振する上で有利となる。
したがって、広い範囲の振動数にわたって大きな力で構造物Aを加振させることが必要な場合には、起振装置10の加振振動数を変える毎に、起振装置10の固有振動数の調節も行えばよい。すなわち、錘20の重量と、錘20のレバー16の長さ方向における位置と、ばね24の弾性と、ばね24の個数と、ばね24のレバー16の長さ方向における位置取り付け位置との1つ以上を調節することによって、起振装置10の固有振動数を調節すればよい。
また、大きな力で構造物Aを加振させる必要がない場合には、起振装置10の固有振動数の設定は任意である。ただし、起振装置10の固有振動数は加振振動数範囲よりも高く設定するのが一般的である。
また、起振装置10の固有振動数が構造物Aの固有振動数付近に設定されている場合には、その固有振動数において大きな力で構造物Aを加振させることができる。
【0018】
次に、起振装置10によって構造物Aの振動を抑制する動作について説明する。
この場合、図6に示すように、起振装置10のベースフレーム12を解析対象となる構造物Aに設置する。
そして、振動計28をベースフレーム12あるいは構造物Aの適宜箇所に取り付ける。
制御装置26では、CPU26Eがセンサアンプ26Cから供給される前記検出信号に基づいて構造物Aの振動を抑制するために必要な加振、すなわち、構造物Aの振動を打ち消すような加振を起振装置10によって行わせるに足る駆動信号を生成するためのデータを演算して求めそのデータを信号発生装置26Aに供給することで駆動信号を生成させる。
具体的には、CPU26Eは、振動計28からセンサアンプ26Dを介して供給された検出信号の大きさが最小となるような制御を行うものであり、例えば、最適制御理論に基づいて前記データの算出を行う。言い換えると、駆動制御部26は、振動計28から供給される検出信号に基づいて構造物Aの振動が最小となるように前記駆動信号を制御する。
信号発生装置26Aから生成された駆動信号がモータアンプ26Bを介してアクチュエータ18に供給され、これによりアクチュエータ18が駆動され、ベースフレーム12を介して構造物Aが上下方向に(鉛直方向に)加振され、これにより構造物Aの振動が抑制される。
なお、起振装置10の加振力は、起振装置10の固有振動数付近で最大となる。すなわち、起振装置10は、構造物Aの振動を抑制する制御能力が起振装置10の固有振動数付近で最大となる。
したがって、起振装置10の固有振動数を、振動制御しようとする周波数にほぼ合致するように設定することが好ましい。一般には、起振装置10の固有振動数を、起振装置10を設置する構造物Aの固有振動数と同じ値に設定することが好ましい。
【0019】
以上説明したように、本実施の形態の起振装置10によれば、錘20のレバー16の長さ方向における位置を調節することによって、起振装置10の固有振動数を極めて簡単に設定することができる。
そして、固有振動数を調整することで、広い周波数範囲にわたって大きな加振力を発生させることができるので、構造物Aの振動解析を行う際に必要な加振力を得る上で有利となり、また、構造物Aの振動を効果的に抑制する上で有利となる。
また本実施の形態では、錘20の重量と、ばね24の弾性と、ばね24の個数と、ばね24のレバー16の長さ方向における位置取り付け位置との少なくとも1つを設定することによっても、起振装置10(前記梃子型振動系)の固有振動数を設定することができるので、固有振動数の調節範囲を広く確保するとともに調節方法の自由度を確保する上でも有利となる。
【0020】
また、本実施の形態によれば次の効果が奏される。
レバー16の一端16Aを中心として他端16Bをアクチュエータ18で動かすことで錘20を振動させるので、比較的小さな駆動力で大きな加振力が得られ、したがって、アクチュエータ18の小型化および省電力化を図る上で有利となる。
また、起振装置10自体が固有振動数をもっており、その固有振動数で加振する場合には、加振力を大きくすることができる。言い換えると、起振装置10の固有振動数で加振する時には他の周波数(振動数)で加振する時よりもアクチュエータ18の駆動力が小さいもので済み、したがって、アクチュエータ18の小型化および省電力化を図る上で有利となる。
また、アクチュエータ18としてリニアモータなどの直動式のアクチュエータ(電磁アクチュエータ)を用いて錘20を振動させるので、回転力を伝動機構を介してレバー16に伝達する構成に比較して駆動ロスの発生が少なくアクチュエータの小型化および省電力化を図る上で有利となる。
従来の振動系方式の起振装置では、大きな加振力を得るためには、大きな制御力を発生するモータが必要となるが、本発明では、アクチュエータ18で動かすレバー16の箇所を一端16Aから離間した他端16Bとすることで、重量の大きな錘20を揺動させることができ、したがって、大きな加振力を得ることができるので、構成の簡素化および部品コストの低減化を図る上で有利となる。
従来の振り子形式の起振装置に比べて、占有スペースが少なくて済み、コンパクト化を図る上で有利となる。
起振装置10によって構造物Aを加振すると同時に、振動計28により構造物Aの振動を検出するので、アクチュエータ18を駆動する駆動信号で示される入力と、振動計28の検出信号で示される出力との関係から設置場所の振動特性を直ちに解析することができ、構造物Aの振動特性を短時間に得ることができ有利である。
振動計28を用いることで設置場所の振動を計測するので、計測された振動を監視することにより、加振状態で設置場所の振動を過大に大きくすることを防止する上で有利となる。
【0021】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態は、起振装置10が水平方向の振動を構造物Aに加える点が第1の実施の形態と異なっている。
図7は第2の実施の形態の起振装置10の構成を示す平面図、図8は図7のAA線断面図である。なお、以下の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の部分には同一の符号を付してその説明を省略し、第1の実施の形態と異なる部分について説明する。
【0022】
第2の実施の形態の起振装置10は、図7、図8に示すように、第1の実施の形態と同様に構成されたベースフレーム12と、軸受け部14と、レバー16と、アクチュエータ18と、錘20と、取り付け機構22と、駆動制御部26と、振動計28とを備え、さらに、受け面40と2つのばね42、44とを備えている。
図7に示すように、ベースフレーム12の対向する2辺から起立壁1210、1212が立設されている。
軸受け部14は、ベースフレーム12の上方の箇所で一方の起立壁1210に設けられている。
レバー16は、長さを有し長さ方向の一端16Aが軸受け部14によって揺動可能に支持され、レバー16は軸受け部14を中心に揺動可能に配設されている。より詳細には、レバー16は、その長さ方向の他端16Bが軸受け部14を中心とした円周方向に沿って揺動可能である。
第2の実施の形態では、レバー16の一端16Aにレバー16の長さ方向と直交する支軸1602が設けられており、支軸1602は、軸受け部14によってその軸心を水平面と直交させて(ベースフレーム12と直交させて)支持されている。
言い換えると、レバー16は、水平面上で軸受け部14を中心とする円周方向に沿って揺動可能に設けられている。
【0023】
軸受け面40は、レバー16の長さ方向の他端16Bを支持するものである。
軸受け面40はベースフレーム12上に設けられ、水平面上でレバー16の延在方向と交差する方向に延在し、レバー16の他端16Bは、軸受け面40上で摺動可能に支持されている。
本実施の形態では、軸受け面40と、レバー16の他端16Bが軸受け面40に臨む箇所との一方または双方に、他端16Bと軸受け面40との摩擦を軽減するための低摩擦材が設けられており、他端16Bの摺動性の向上が図られている。
なお、他端16Bと軸受け面40との摺動性を確保する構成としては、他端16Bを案内する円弧状のガイドレールを軸受け面40に設けるなど従来公知の構造が採用可能である。
【0024】
アクチュエータ18は、レバー16を揺動させるものである。
第2の実施の形態では、アクチュエータ18は、レバー16の他端16Bと他方の起立壁1212との間に設けられている。
アクチュエータ18は、アクチュエータ18により揺動される範囲の中央の位置である中立位置を中心としてレバー16を揺動させるものである。
アクチュエータ18は、第1の実施の形態と同様のリニアモータで構成されており、アクチュエータ18とレバー16の他端16Bとの連結部分およびアクチュエータ18と他方の起立壁1212との連結部分の構成は第1の実施の形態と同様に支軸と軸受け部を介して行われている。
したがって、駆動制御部26によってアクチュエータ18が駆動されると、レバー16はスライダ18Cの移動に追従して前記円周方向に揺動される。
【0025】
ばね42、44は、レバー16をアクチュエータ18により揺動される範囲の中央の位置である中立位置に付勢するものである。
一方のばね42は、レバー16と一方の起立壁1210との間に設けられ、他方のばね42は、レバー16と他方の起立壁1212との間に設けられている。
本実施の形態では、ばね42、44はコイルばねで構成されている。
一方のばね42の一端42Aがレバー16または錘20に取り付けられ、ばね42の他端42Bが一方の起立壁1210に取り付けられている。
他方のばね44の一端44Aがレバー16または錘20に取り付けられ、ばね44の他端44Bが他方の起立壁1212に取り付けられている。
第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、レバー16の長さ方向に沿ったばね42、44のレバー16に対する取り付け位置およびベースフレーム12に対する取り付け位置の双方が移動調節可能となっている。
第2の実施の形態においても、錘20が、レバー16と、軸受け部14と、ばね42、44とで支持されており、したがって、起振装置10は梃子型振動系を構成している。
したがって、錘20のレバー16の長さ方向における位置を調節することによって、起振装置10(前記梃子型振動系)の固有振動数を簡単に設定することができる。
また、錘20の重量と、ばね42、44の弾性と、ばね42、44の個数と、ばね42、44のレバー16の長さ方向における位置取り付け位置との少なくとも1つを設定することによっても、起振装置10(前記梃子型振動系)の固有振動数を設定することができる。
【0026】
第2の実施の形態では、制御装置26からアクチュエータ18に駆動信号を供給することでレバー16および錘20を水平面上で揺動させ、これによりベースフレーム12を介して構造物Aが水平方向に加振される点が第1の実施の形態と異なり他の動作は第1の実施の形態と同様である。
したがって、第2の実施の形態による起振装置10によって構造物Aの振動特性を解析する動作、起振装置10によって構造物Aの振動を抑制する動作についても加振方向が水平方向となる点のみが第1の実施の形態と異なるため、他の説明を省略する。
【0027】
このような第2の実施の形態によって第1の実施の形態と同様の効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】(A)、(B)は強制振動試験の一例を示す説明図である。
【図2】(A)は不平衡質量方式の起振装置2の説明図、(B)はスライドマス方式の起振装置4の説明図、(C)は振り子方式の起振装置6の説明図、(D)は振動系方式の起振装置8の説明図である。
【図3】第1の実施の形態の起振装置10の構成を示す正面図である。
【図4】レバー16およびアクチュエータ18の説明図である。
【図5】起振装置10によって構造物Aの振動特性を解析する動作を説明するための構成図である。
【図6】起振装置10によって構造物Aの振動を抑制する動作を説明するための構成図である。
【図7】第2の実施の形態の起振装置10の構成を示す平面図である。
【図8】図7のAA線断面図である。
【符号の説明】
【0029】
10……起振装置、12……ベースフレーム、14……軸受け部、16……レバー、18……アクチュエータ、20……錘、22……取り付け機構、24……ばね、26……駆動制御部。
【出願人】 【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
【識別番号】501253280
【氏名又は名称】倉林 浩
【識別番号】399088418
【氏名又は名称】株式会社高環境エンジニアリング
【出願日】 平成19年3月30日(2007.3.30)
【代理人】 【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂


【公開番号】 特開2008−246413(P2008−246413A)
【公開日】 平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願番号】 特願2007−92763(P2007−92763)