トップ :: B 処理操作 運輸 :: B06 機械的振動の発生または伝達一般

【発明の名称】 振動覚計
【発明者】 【氏名】後藤 由夫

【氏名】福島 光夫

【氏名】石田 敬雄

【氏名】松久 寛

【氏名】堀田 饒

【氏名】清野 裕

【要約】 【課題】振動覚の障害原因や症状等に応じた好ましい検査を正確に行うことを可能にする振動覚計を提供する。

【解決手段】振動覚計1は、静止部分に置かれた被験者の知覚部位に、基部4の固定された棒状の振動体5を接触させることによりその被験者の振動覚を検査するものである。振動体5の先端付近5aの周波数が、64Hzおよび128Hzを含めて連続的に変更可能であり、フィードバック制御によって、当該先端付近5aの周波数を正確に設定値どおりにすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静止部分に置かれた被験者の知覚部位に、基部の固定された振動体を接触させることによりその被験者の振動覚を検査するよう構成され、
振動体の周波数が連続的または段階的に変更可能であることを特徴とする振動覚計。
【請求項2】
振動体の周波数が、64Hzおよび128Hzを含む複数の値に設定可能であることを特徴とする請求項1に記載の振動覚計。
【請求項3】
振動体が棒状のものであり、その先端付近の周波数を設定値どおりにするための制御手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の振動覚計。
【請求項4】
上記の制御手段が、先端付近に取り付けられてその付近の周波数を検出する静電容量型センサーと、当該センサーによる検出信号を用いてフィードバック制御される加振器とを含むことを特徴とする請求項3に記載の振動覚計。
【請求項5】
上記の制御手段が、先端付近に設けられた鏡面部分にレーザー光を照射してその反射光を受光することにより先端付近の周波数を検出する光学的変位センサーと、当該センサーによる検出信号を用いてフィードバック制御される加振器とを含むことを特徴とする請求項3に記載の振動覚計。
【請求項6】
併せて振動体の振幅が連続的または段階的に変更可能であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の振動覚計。
【請求項7】
振動体の先端付近に振幅検出用センサーが取り付けられているとともに、振動体を加振する加振器が、当該センサーによる検出信号を用いてフィードバック制御されることを特徴とする請求項6に記載の振動覚計。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
請求項に係る発明は、被験者の振動覚を検査する振動覚計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
振動覚は、糖尿病や白ろう病等の患者において低下することがある。振動覚の検査は、従来、音叉を用いて行われてきたが、振動の強さ等を一定にした定量的な検査が難しいことから、最近は、機械的に振動を発生させる振動覚計がしばしば使用される。
【0003】
振動覚計については下記の特許文献1に記載がある。当該文献1には、図3の構成をもつ振動覚計(振動覚用バイブレータ)が示されている。図示した振動体5’の上面に手などの知覚部位を載せることにより、その被験者の振動覚を検査することができる。振動体5’の周波数は、従来より広く使用されている128Hz等に設定されている。
また、当該文献1とは別に、長めの棒状の振動体を使用する振動覚計も知られている。
【特許文献1】特許第2646628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の振動覚計(図3参照)による場合、振動体に対する知覚部位の載せ方によって測定差が生じやすく、正確な検査が行えないことがある。
【0005】
また、棒状の振動体を使用する従来の振動覚計では、特定周波数の振動を基部に与えても、先端付近では減衰のために周波数が低くなりがちであるため、最適の周波数による正確な検査を行いがたい。
【0006】
請求項に係る発明は、従来の振動覚計におけるそのような課題を解決するために行ったもので、振動覚の障害原因や症状等に応じた好ましい検査を正確に行うことを可能にする新しい振動覚計を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る振動覚計は、静止部分に置かれた被験者の知覚部位に、基部の固定された振動体を接触させることによりその被験者の振動覚を検査するよう構成され、振動体の周波数が連続的または段階的に変更可能であることを特徴とする。
こうした振動覚計にはつぎのような作用がある。すなわち、
a) 被験者がその知覚部位(手など)を振動体の上に載せるのではなく、静止部分に置いた被験者の知覚部位に、基部の固定された振動体を接触させることによって、検査が行われる。そのため、被験者による知覚部位の載せ方の相違による測定差が生じることがなく、正確な検査を行える。
b) 振動体の振動数を変更できるため、振動覚の障害原因や症状等に応じた検査が可能である。
【0008】
請求項2の振動覚計はさらに、振動体の周波数が、64Hzおよび128Hzを含む複数の値に設定可能であることを特徴とする。
発明者らの調査によると、64Hzの周波数を使用することによってはじめて明らかになる振動覚障害が存在する。したがってこの振動覚計によれば、128Hz等での従来の検査が適していなかったと考えられる原因による振動覚障害についても、正確な検査が可能になる。また、この振動覚計では64Hzだけでなく128Hzをも使用できることから、従来の128Hzでの検査で得たデータを診断に利用することもできる。
【0009】
請求項3の振動覚計はさらに、振動体が棒状のものであり、その先端付近の周波数を設定値どおりにするための制御手段を有することを特徴とする。
棒状の振動体の場合、特定周波数の振動を基部に与えても、先端付近、つまり被験者の知覚部位に接触させる部分では、減衰のために周波数が低くなりがちである。しかしこの請求項の振動覚計は、先端付近の周波数を設定値どおりにするための制御手段を有するため、これを用いて正確な周波数での振動覚検査が可能になる。
【0010】
請求項4の振動覚計はさらに、上記の制御手段が、先端付近に取り付けられてその付近の周波数を検出する静電容量型センサーと、当該センサーによる検出信号を用いてフィードバック制御される加振器とを含むことを特徴とする。
静電容量型センサーは、対向して配置された2枚の電極間の相対変位に応じて静電容量が変化する。そのため、これを用いて振動覚計の先端付近の変形を知り、したがって当該先端付近の周波数など振動状況を知ることができる。このようなセンサーの信号から先端付近の正確な周波数を知り、それに基づいて加振器をフィードバック制御すると、振動体が長い棒状のものであっても、その先端付近を所定の正確な周波数で振動させることが可能である。
なお、静電容量型センサーに代えて、歪みに応じて抵抗値が変化する歪み抵抗素子型センサーや、圧力に応じて電圧が変化する圧電素子型センサー等を採用することも可能である。また、加振器としては、電圧の変化に応じて変形する圧電素子を含むもの等を採用することができる。
【0011】
請求項5の振動覚計は、上記の制御手段が、先端付近に設けられた鏡面部分にレーザー光を照射してその反射光を受光することにより先端付近の周波数を検出する光学的変位センサーと、当該センサーによる検出信号を用いてフィードバック制御される加振器とを含むことを特徴とする。
光学的変位センサーとしてたとえば半導体レーザーとホトダイオードを含むものを使用し、半導体レーザ等から上記先端付近の鏡面部分にレーザ光を照射し、その反射光をホトダイオード等で受光するようにすれば、先端付近の周波数など振動の状況を知ることが可能である。そうして先端付近の正確な周波数を知り、それに基づいて加振器(圧電素子を含むもの等)をフィードバック制御すると、請求項4の振動覚計と同様、振動体が長い棒状のものであってもその先端付近を所定の正確な周波数で振動させることができる。なおこの振動覚計においても、加振器としては圧電素子等を使用することとよい。
【0012】
請求項6の振動覚計は、上記と併せて、振動体の振幅が連続的または段階的に変更可能であることを特徴とする。
この振動覚計では、振動体の振幅が変更可能であるため、被験者の症状(重篤度)に応じた適切な検査を実施できる。
【0013】
請求項7の振動計はとくに、振動体の先端付近に振幅検出用センサーが取り付けられているとともに、振動体を加振する加振器が、当該センサーによる検出信号を用いてフィードバック制御されることを特徴とする。
そのような振動計なら、上記のように変更可能な振動体の振幅を正確なものにコントロールすることができる。なお、振幅検出用センサーには、上述した周波数検出用センサーとしても使用できるものを採用するのもよい。
【発明の効果】
【0014】
請求項に係る振動覚計によれば、振動覚の障害原因や症状等に応じた好ましい検査を正確に行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
発明により構成した振動覚計の一例を図1および図2に示す。図1は振動覚計1の構造を示す図であり、図2は振動覚計1の制御構成を示す図である。
【0016】
図1のように、振動覚計1は、ベースプレート2上に立てたスタンド3に、棒状振動体5を含む基部4を固定したものである。スタンド3には上下にスライドし得るようにソケット3aを取り付け、そのソケット3aに連結したホルダー3cに振動覚計1の基部4を保持させている。ソケット3aの位置(高さ)は止めねじ3bによって任意に定められるようにし、ソケット3aに対するホルダー3cの角度も変更できるよう構成している。振動覚検査の際、静止部分であるベースプレート2の上に被験者の手を置き、上記した高さと角度とを調節することにより、その手の表面に棒状振動体5の先端付近5aを接触させ得るようにしたのである。
【0017】
振動覚計1には、図1のとおりコントロールボックス8を接続している。コントロールボックス8には、電源スイッチ8aのほか、オート・マニュアル選択ボタン8b、振幅の増大・減少選択ボタン8c、振幅設定ボリューム8d、振幅表示部8e、時間選択ボタン8fおよび周波数選択ボタン8g等を設けている。オート・マニュアル選択ボタン8bによって自動検査か手動検査かを選択でき、振幅の増大・減少選択ボタン8cによって、自動検査の際に振幅を増大させるか減少させるかを選択できる。手動検査の際には、振幅設定ボリューム8dを操作して手動により連続的に振幅を変更できる。時間選択ボタン8fを操作すると、自動検査の際に、振幅がゼロの状態から振幅が最大(150μm)になるまで(またはその逆)の時間を選択することができる。また、三つある周波数選択ボタン8gによって、先端付近5aの周波数をそれぞれ64Hz(デフォルト)・100Hz・128Hzの3種類から選ぶことができる。
【0018】
選択された周波数で振動体5の先端付近5aが振動するよう、振動覚計1には図2のような制御系を採用している。すなわち、まず振動体5は、振動覚計1の基部4のケーシング内に取り付けた圧電素子型加振器11に連結して長さ方向(図示左右)に振動し得るようにし、その加振器11は、コントロールボックス8内の制御用コンピュータ10に接続して、それより周波数および振幅に関する操作信号を受けるようにしている。また、振動体5の先端付近5aにおいて、静電容量型の変位センサー12を内部に埋め込んだうえ固定し、同センサーの各電極に通じる信号線12aをやはり振動体5の内部に通したうえ、基部4内に設けた検出回路13に接続している。検出回路13は上記の制御用コンピュータ10に接続する。
こうした構成により、制御用コンピュータ10は、上記のセンサー12等から先端付近5aにおける実際の周波数のフィードバックを受けながら、加振器11に対して適切な操作信号を送り、もって正確な周波数で先端付近5aを振動させる。
【0019】
以上のような振動覚計1を用いる振動覚の検査は、つぎのようにして実施することができる。
1) 図1に示すベースプレート2の上に被験者の手を置き、振動覚計1の高さと角度とを調節することにより、その手の表面に棒状振動体5の先端付近5aを接触させる。
2) コントロールボックス8の電源スイッチ8aをONにし、オート・マニュアル選択ボタン8bや他のボタンスイッチを必要に応じて操作するとともに、周波数選択ボタン8gにて検査用の周波数を選択する。
3) リモートコントローラー(図示省略)のスタートボタンを操作して振動覚計1を起動し、被験者には、振動を知覚した時点(または知覚しなくなった時点)で手元のストップボタン(図示省略)を押させる。ストップした時点の振幅から、被験者の振動覚を知ることができ、それをもとに糖尿病や白ろう病等に関する知見を得ることができる。振動の周波数が正確であること、また、周波数を64Hzとした検査をも行えることから、振動覚の障害原因や症状等を把握するうえでとくに有利である。
【0020】
振動覚計についての他の実施形態を図3・図4に示す。図3の振動覚計21は、ベースプレート上のスタンド(図示省略)に基部24を固定することにより取り付ける点で図1の振動覚計1と同様であり、使用方法にも差がないが、振動覚計21そのものの構造は図1・図2のものとやや相違する。また、図4は振動覚計21の制御系を示すが、その図中に示すコントロールボックス28の構造も、図1・図2のものとやや相違する。
【0021】
図3の振動覚計21は、剛板25を振動体とし、その振動剛板25を、基部24内に固定した支持点24aにより支持させるとともに、やはり基部24内に取り付けた振動剛板用バネ26に連結している。その剛板25を振動させる手段として基部24内に加振用マグネット31を設け、また、同じ基部24内に振動検出センサー24を設けてもいる。剛板25はその厚さ方向(長さと直角な方向)に曲がりながら先端付近を振動させ、振動検出センサー24は、そのような先端付近から離れた端部付近においてその振動状態(周波数および振幅)を検出する。
【0022】
図4に示すコントロールボックス28は、中央演算手段30が同ボックス28内の図示の各機器に指令信号を発し、さらにアンプを介して振動覚計(振動探子)21(の加振用マグネット31)を駆動する。中央演算手段30は、振動覚計21(の振動検出センサー24)からの信号を受けたフィードバック制御をなすため、振動剛板25の振動を適切に制御できる。図中、符号28eは、コントロールボックス28のうち周波数または振幅を表示する表示部であり、28hは、ボタンスイッチや設定ボリューム等が付いた表示パネル、また29は、振動覚計1を起動するためのリモートコントローラである。
【0023】
図3・図4に示す振動覚計21も、振動剛板25の先端付近を正確な周波数・振幅で振動させることができるので、障害原因や症状等に応じた好ましい検査を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】発明の実施形態である振動覚計1の構造を示す概要図である。
【図2】振動覚計1の制御構成を示す図である。
【図3】他の実施形態としての振動覚計21の構造を示す概要図である。
【図4】振動覚計21の制御系を示すブロック図である。
【図5】特許文献1に記載された従来の振動覚計を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
1・21 振動覚計
5 棒状振動体
8・28 コントロールボックス
11 加振器
12・32 センサー
25 振動剛板
31 加振用マグネット
【出願人】 【識別番号】300061835
【氏名又は名称】財団法人先端医療振興財団
【識別番号】507100144
【氏名又は名称】後藤 由夫
【識別番号】507101185
【氏名又は名称】ストレックス株式会社
【識別番号】507100155
【氏名又は名称】堀田 饒
【識別番号】506160145
【氏名又は名称】清野 裕
【出願日】 平成19年3月28日(2007.3.28)
【代理人】 【識別番号】100107825
【弁理士】
【氏名又は名称】細見 吉生


【公開番号】 特開2008−238087(P2008−238087A)
【公開日】 平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願番号】 特願2007−83960(P2007−83960)