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超音波複合振動装置 - 特開2008−212916 | j-tokkyo
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【発明の名称】 超音波複合振動装置
【発明者】 【氏名】辻野 次郎丸

【要約】 【課題】各種の強力超音波応用のための複合振動体として、2次元の振動軌跡の振動面と垂直な振動成分のない低周波から高周波数の超音波複合水平振動装置等を容易に提供すること。

【解決手段】縦振動源で駆動する振動棒1、1’間に音速の異なる材料2を縦振動方向と垂直な面の厚さを斜めに変化させた円形振動体2、または斜め切断した円板2,7を組み合わせた円板対を挿入し、音速の異なる円環により縦振動棒の円環の厚さ変化方向に縦振動波の位相差、振動速度差を生じさせ曲げ振動6を励振させ、さらに縦振動5および曲げ振動6の共振周波数を振動位相差がほぼ90°になるように近接させ、振動棒自由端面4で縦振動5’および曲げ振動6’を複合させることにより楕円から円形の2次元の振動軌跡を有する振動面に垂直な振動成分の少ない超音波複合水平振動装置が構成される。また円板対変換器複数を角度を変えて組み合わせることにより超音波回転装置等の構成も可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦振動系の中間に挿入した、縦振動と垂直方向の厚さを斜めに切断した音速の異なる金属材料等からなる円環等を用いて縦振動波の位相差を縦振動系の軸と垂直方向に生じさせて曲げ振動を励振する縦−曲げ振動変換器を用いた縦振動系で駆動する超音波複合振動装置。
【請求項2】
前記縦振動と垂直方向の厚さを斜めに切断した音速の異なる材料からなる円環2種を組み合わせた円環対からなる超音波複合振動変換器
【請求項3】
前記円環対からなる複合振動変換器を挿入し、縦振動および曲げ振動周波数を近接させ楕円から円形の振動面に垂直な振動成分が極めて小な超音波複合水平振動装置。
【請求項4】
前記円環対からなる切断角度がわずかに異なり曲げ振動共振周波数を近接させた複合振動変換器複数組を設置角度を変えて縦振動系に挿入固定し、縦振動の軸周りにほぼ一様な曲げ振動を励振する、またこれらの曲げ振動と近接した周波数の縦振動と組み合わせ軸方向と平行な面内に楕円から円形の振動軌跡を発生させる超音波複合回転振動装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、金属、プラスチックス、セラミックス、電子部品等を振動加工(接合、切削、研磨、塑性加工等)する超音波加工機、移動装置等に用いられる超音波複合振動装置に関する。特に大面積の一様な溶接が必要な多数のバンプを有する半導体チップのフリップチップ溶接等には振動面と垂直な成分の少ない複合水平振動装置が要望されている。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波複合振動装置として特開平11−87437に記載されたものが知られている。
従来技術は、直交する2個の駆動用縦振動子で複合曲げ振動体を励振するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来技術では、2個の駆動用縦振動子による曲げ振動棒の励振のため、振動系が複雑になり、また曲げ振動棒端面の複合振動は大振動振幅では振動面周辺の垂直振動成分が無視できず、多数のバンプを有する大面積の導体チップのフリップチップ溶接が、複合振動では必要振動振幅、必要静圧力が従来の直線振動と比べて小となるが大面積の一様な溶接が困難で応用範囲に限界があった。また溶接に有効な高周波数の複合振動系の加工・構成が困難であった。
【0004】
このため、大面積の半導体の一様な溶接、大面積の金属板のスポット接合や、シーム溶接、プラスチック接合、金属の塑性加工等の超音波加工用に振動面と垂直な振動成分が小な超音波複合水平振動装置が切望されていた。
【0005】
本発明の課題は、振動体材料が剛性に富み、振動損失の小な振動体を縦振動および曲げ振動を振動変換器を用いて同時に駆動することにより、構成の容易な超音波複合振動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために本発明は、縦振動源によって駆動される円形等の振動体間に音速の異なる縦振動と垂直な面方向の厚さを変化させた円形等の薄板(以下円板という)を挿入して縦振動させることにより円板を通過する縦振動波は振動体と音速の異なる斜め切断した円板の音速の差により円板厚さに応じて空間的位相差・振動速度差を生じ、円板の厚さ方向にのみ曲げ振動が励起されることを見出してなされたものである。
【0007】
請求項1の発明は、縦振動源によって駆動される振動体間に振動体と音速の異なる縦振動と垂直な面方向の厚さを変化させた円板を挿入して縦振動させることにより円板を通過する縦振動波は振動体と音速の異なる斜め切断した円板の音速の差により円板厚さに応じて空間的位相差・振動速度差を生じ、円板の厚さ方向に振動体と垂直な駆動力が生じ厚さ変化方向にのみ曲げ振動が励起される超音波複合振動装置である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、前記厚さを変化させた音速の異なる円板2枚を斜め切断面を対向させて組み合わせ、端面が平行な円板または中央にねじ締結用の貫通穴を設けた短円柱または短円筒(以下円環対という)とした構造としたもので、両者を接合または粉末冶金等で一体構造とすることにより振動体間に容易に挿入し安定に駆動可能としたものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1の発明において更に、前記厚さを変化させた音速の異なる端面が平行な円環対を用い、振動体端面で縦振動と近接した共振周波数の励起した曲げ振動を結合させて楕円から円形の振動軌跡を振動体先端側面に生じさせ、振動面に垂直な振動成分のない超音波複合水平振動を曲げ振動方向と平行な面内に生じさせるものである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1の発明において更に、前記厚さを変化させた音速の異なる端面が平行な円環対2組または数組を曲げ振動を励振する方向を変化させて設置し、振動体端面で縦振動と近接した共振周波数の励起した曲げ振動を結合させて楕円から円形の振動軌跡を振動体先端側面に生じさせ、さらに近接した周波数の複数の曲げ振動を振動体周辺方向に励振して超音波回転装置等を構成するものである。
【発明の効果】
【0011】
圧電セラミック等を用いた縦振動源によって駆動される振動体間に振動体と音速の異なる縦振動と垂直な面方向に斜め切断し厚さを変化させた音速の異なる円板1枚または2枚を挿入して縦振動させることにより円板部を通過する縦振動波は振動体と音速の異なる斜め切断した円板との音速の差により空間的位相差・振動速度差を生じ、円板の厚さ方向に振動体と垂直な駆動力が生じ厚さ変化方向にのみ曲げ振動が励起され、曲げ振動の共振周波数を振動体太さ等を変化させて駆動した縦振動周波数と近接させて、両周波数差を位相差がほぼ90°となるように設定して縦振動と曲げ振動を複合させることにより円形に近い振動軌跡が得られる。円板の厚さ変化方向と垂直方向には曲げ振動は駆動されないので、複合振動面と垂直な振動は励振されない。
【0012】
音速の異なる端面が平行な円環対2組を曲げ振動を励振する方向を90°としてねじ締結等により設置し、振動体端面で縦振動と近接した共振周波数の励起した曲げ振動を結合させて楕円から円形の振動軌跡を振動体先端側面に生じさせ、さらに近接した周波数の複数の曲げ振動を振動体周辺方向に励振して超音波回転振動を励振するものである。
【0013】
従って、この振動丸棒の先端に目的に応じた超音波複合水平振動加工用または回転振動加工用の工具・スライダ等を設置する、または変換器を介して直接工具等を設置することにより、各種の超音波複合振動加工機・移動装置等を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明の超音波複合振動装置の原理を示す概念図、振動棒断面、縦−曲げ振動変換円環対、図2は振動系の構成例を示す外観図、図3は振動丸棒に沿った曲げ振動励振方向および直交した方向の曲げ振動分布を示す実測図である。図4は縦−曲げ振動変換円環対2組を用いた超音波回転装置。図5は縦振動および曲げ振動を複合させた振動軌跡、直交した曲げ振動を複合させた振動軌跡の例、図6は縦振動、2つの曲げ振動を結合させた超音波回転装置全体の電気端子側から測定した振動特性・自由アドミッタンスループ例を示す。
【0015】
一様媒質の振動棒中のz軸方向の縦波の入射波および反射波の縦振動速度uは波動方程式の一般解から
=kA cos(ωt−kz)+kA cos(ωt+kz) k=c/ω
=(d/ω)[A cos(ωt−(c/ω)z)+A cos(ωt+kz)]
ω=2πf 角周波数 f 周波数 t 時間
k=c/ω 波長定数 c 音速 z 位置
ここでkzは空間的な位相である。
【0016】
図1において縦振動源で駆動された振動棒中の縦振動波は斜め切断された音速の異なる部分▲2▼へ入射し、振動棒上部を距離ΔLを伝搬する縦振動波の位相差はk×ΔL、振動棒下部で挿入した音速の異なる斜め切断した変換器中を距離ΔL伝搬する縦振動の位相変化はk×ΔLとなる。振動棒上部および下部を伝搬する縦振動波の最大位相差は上式から
Δθ=(k−k)×ΔL=(c−c)ΔL/ω=Δc×ΔL/ω (c−c)=±Δc
となり、振動棒の中心から上下で±Δc×ΔL/2ωとなる。
振動変位振幅の位相差も同じであるから、同様に変位は位相差により振動棒中心から上下で±Δξ変化する。
【0017】
上記変位に材料のヤング率E、中心からの距離を掛けて断面積全体で積分した値F=ηEΔξが曲げ振動の交番駆動力となる。ηは断面形状により異なる。
ヤング率Eは大で曲げ振動方向でも変化が無いと考えると、曲げ振動のノード部の表面変位はほぼ±Δξと考えられるので、これに対応した変位の曲げ振動が励振される。
【0018】
振動棒全体の縦振動共振周波数fは中心部分の共振周波数と考えられるので、中心部のz方向の往復伝搬時間tは斜め切断した変換器以外の部分、距離L−ΔL/2区間の平均音速C、および変換器部分距離ΔL/2区間の音速c=c±Δc、の和であるから、縦振動が1波長共振しているとして
=1/t=1/[2(L−ΔL/2)/c+(2×ΔL/2)/c
=C/[2L+(c/c−1)ΔL]
となり、縦振動および曲げ振動はこの周波数近傍で駆動する。
【0019】
振動棒端部で楕円から円形の振動軌跡を得るために振動位相差を90°とすると縦振動fおよび曲げ振動fの共振の鋭さQuality factorQ=f/(f〜f)=f/Δfがほぼ等しいとすると周波数差をΔf=f/Q程度に調整すれば良い。通常Qの値は500から2000以上で極めて大きい。
【0020】
縦振動共振周波数は振動棒長さによってほぼ一定で、曲げ振動共振周波数は図1(2)の振動棒断面形状4により変化し、振動棒断面が円形の場合には振動棒1,1’の一部または全体の半径Rを変える、長方形として厚さを変える、または振動棒全体または一部を円筒形とする(端部側中心に適当な深さの穴を加工する)等により調整可能である。
【0021】
図1(3)は振動系に変換器部を容易に設置可能とするため、斜め切断した音速の異なる円環2個2,7を斜め切断面を対向させて組み合わせ、中心に貫通ねじによる固定用穴を設けた振動系と接合する両端面を平行とした短円筒状の振動体間に設置容易な縦振動−曲げ振動変換用円環対を示す。
【0021】
図2は試作した圧電セラミック(PZT)を用いた縦振動駆動源および段付きホーン(速度変成比4)により厚さ6.0mmの円環対変換器(材質:真鍮および鉄、音速3480m/sおよび5120m/s)を介してステンレス鋼製丸棒を駆動する150kHzの複合振動装置の構成図である。
【0022】
図3は試作した150kHzの複合振動装置の複合振動棒の長さに沿ってレーザドップラ振動計で測定したy方向およびx方向振動分布を示す。円環対変換器によりy方向に曲げ振動しx方向には曲げ振動していないことが分かる。
【0023】
図4は試作した直径15mmの圧電セラミック(PZT)を用いた縦振動駆動源および円環対変換器2組(厚さ14.8mm、材質:真鍮および鉄)を介してステンレス鋼製丸棒を駆動する約70kHzの超音波回転装置の構成図である。
【0024】
図5(1)は近接した周波数の縦振動および曲げ振動を結合させた振動棒端面のz軸に平行で自由端面に垂直な楕円形の振動軌跡をレーザドップラ振動計2台を用いた実測図である。
【0025】
図5(2)は近接した2周波数の曲げ振動を結合させた自由端のz軸周りの楕円形の振動軌跡をレーザドップラ振動計2台を用いた実測図である。
【0026】
図6は共振周波数が十分近接した縦振動および2つの曲げ振動を励振して結合させた超音波回転装置全体の振動特性を電気端子側から駆動周波数を変化して測定した自由アドミッタンスループの測定結果で、各周波数が近接しているためロータの有無に関わらず単一のループであり良好に動作することを示している。
【0027】
振動変換用の円環対は縦振動系のどの部分に設置しても良いが、振動ループ位置付近に設置すれば振動応力が小となりより安定に設置される。
【0028】
円環対の音速は振動体より大でも小でも良いが、音速の大で大強度の超硬合金等と接合可能な鉄鋼、ステンレス鋼等と組み合わせることにより強度の大な複合振動変換器が得られる。
【0029】
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更があっても本発明に含まれる。例えば、振動体断面形状を変化させ振動速度を増加させる(段付き振動体、カテノイダルホーン等)ことにより、より大振動振幅を得ることが可能である。
【0030】
任意の音速の異なる斜め切断した金属円環または金属円環対は複数位置に設置すれば変換効果を高めることが出来る。
【0031】
2組の金属円環対を角度を変えて設置使用する場合は共通の材料を隣接させて任意角度で一体加工し接合面を減少できる。もちろん一体加工した円環を振動体に直接設置することも可能である。
【0032】
電気信号を機械振動に変換する圧電セラミックを斜め切断し振動位相差および駆動力を変えることで同様な効果を得ることができる。もちろん圧電セラミックを直径方向に傾斜分極させても同様な効果が得られる。
【0033】
以上のように本発明によれば、振動体の剛性に富んだ構成が容易な超音波複合水平振動装置および回転振動装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】 図1は本発明の厚さ方向に斜め切断した音速の異なる薄板を用いた複合振動系の原理を示す概念図および音速の異なる金属円環を2個重ね合わせた縦−曲げ振動変換を行う複合振動変換器(金属円環対)の図である。
【図2】 図2は、本発明の複合振動変換器を縦振動系で駆動し複合振動棒先端部で複合水平振動を得る装置を試作した外観図である。
【図3】 図3は、本発明の超音波複合振動装置の複合振動棒に沿ったy軸方向の曲げ振動分布およびx軸方向の振動分布の実測図例である。
【図4】 本発明の音速の異なる円環対2組を90°角度を変えて設置した超音波回転装置を試作した構成図。
【図5】 複合振動棒先端部の(1)縦振動および曲げ振動を結合させた場合の楕円振動軌跡、(2)x軸方向およびy軸方向の曲げ振動を結合させた場合のほぼ円形の振動軌跡例。
【図6】 円環対2組を用いて縦振動一曲げ振動、およびx,y方向の曲げ振動を結合させた超音波回転装置の振動特性(自由アドミッタンスループ)の実測図例
【符号の説明】
【0035】
1、1’、7 振動体
2 音速の異なる振動体
3、3’ 振動位相差、振動変位分布
4 振動体断面形状
5、6 縦および曲げ振動分布
5’,6’ 振動体端面の縦振動、曲げ振動
8 ねじ締結用中心貫通穴
9、9’ 斜め切断した円環を組み合わせた短円筒型の変換器の平行面
Δc 縦振動波の音速差
Δξ 縦振動の振動変位差
Δξ 曲げ振動ノード部の表面振動変位
【出願人】 【識別番号】595074299
【氏名又は名称】辻野 次郎丸
【出願日】 平成19年3月5日(2007.3.5)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−212916(P2008−212916A)
【公開日】 平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願番号】 特願2007−96841(P2007−96841)