トップ :: B 処理操作 運輸 :: B06 機械的振動の発生または伝達一般

【発明の名称】 振動機の気柱振動抑制構造
【発明者】 【氏名】福間 義人

【氏名】平松 良健

【要約】 【課題】振動機全体を囲うカバーや振動を抑制する複雑な構造の制御装置等を必要とすることなく、比較的簡単な構造でもって振動機からの気柱振動の発生量を抑制すると共に、発生した気柱振動を比較的容易に低減することができるようにする。

【解決手段】上流側から下流側へ向って下り傾斜状に配設した箱形構造の振動機本体1を斜め前後方向へ往復振動させ、当該振動機本体1内に投入した処理物を搬送又は選別するようにした振動機に於いて、前記振動機本体1の上面を、振動機本体1の振動時の空気抵抗が小さくなるように上方へ突出する円弧状のカバー5で構成し、又、振動機本体1の前端面及び後端面を、振動機本体1の振動時の空気抵抗が小さくなるように夫々前方及び後方へ突出する円弧状の前側端板6及び後側端板7で構成し、振動機本体1の振動により生じる空気の脈動を低減して機外の気柱振動を抑制する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側から下流側へ向って下り傾斜状に配設した箱形構造の振動機本体を斜め前後方向へ往復振動させ、当該振動機本体内に投入した処理物を搬送又は選別するようにした振動機に於いて、前記振動機本体の上面を、振動機本体の振動時の空気抵抗が小さくなるように上方へ突出する円弧状のカバーで構成し、又、振動機本体の前端面及び後端面を、振動機本体の振動時の空気抵抗が小さくなるように夫々前方及び後方へ突出する円弧状の前側端板及び後側端板で構成し、振動機本体の振動により生じる空気の脈動を低減して機外の気柱振動を抑制するようにしたことを特徴とする振動機の気柱振動抑制構造。
【請求項2】
振動機本体の底面を構成するトラフの下面側を、振動機本体の振動時の空気抵抗が小さくなるように下方へ突出する円弧状のトラフ下部カバーで覆い、振動機本体の振動により生じる空気の脈動を低減して機外の気柱振動を抑制するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の振動機の気柱振動抑制構造。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば焼却灰や土砂等の処理物の搬送を振動により行う振動コンベヤ、或いは焼却灰や不燃ごみ、土砂等の処理物の粒度選別や選別処理を振動により行う振動スクリーン等の振動機に用いられるものであり、振動機の振動機本体に改良を加えることによって、振動機本体の振動により発生する空気の脈動を低減して振動機の気柱振動を抑制するようにした振動機の気柱振動抑制構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、焼却灰や土砂等の処理物の搬送や粒度選別工程等に於いては、振動コンベヤや振動スクリーン等の振動機構を備えた振動機が用いられている。
【0003】
図4及び図5は従来の振動コンベヤの一例を示し、当該振動コンベヤは、上流側(図4の左側)から下流側(図4の右側)へ向って下り傾斜状に配設した斜め前後方向(図4の矢印方向)へ往復振動自在な振動機本体20と、振動機本体20を振動させるモータ及びクランク機構等から成る振動発生装置(図示省略)等から構成されている。
又、振動機本体20は、断面形状が凹状の長尺状のトラフ21と、トラフ21の上方開口を閉塞する断面形状が横コの字形のカバー22と、トラフ21の前端開口を閉塞する前側端板23と、トラフ21の後端開口を閉塞する後側端板24等から箱形構造に構成されており、振動機本体20の上流側端部上面には、振動機本体20内に焼却灰等の処理物を投入するための投入口25が形成されていると共に、振動機本体20の下流側端部下面には、振動機本体20内を上流側から下流側へ搬送された処理物を落下排出させるための排出口26が形成されている。
【0004】
而して、前記振動コンベヤに於いては、振動機本体20は、振動発生装置(図示省略)により斜め前後方向へ一定の振動数及び振幅で往復振動している。この状態で投入口25から振動機本体20内に焼却灰等の処理物を投入すると、当該処理物は、トラフ21上を上流側から下流側へ搬送され、排出口26から落下排出されて次の工程へ送られる。
【0005】
ところで、振動機本体20の振動方向の振動により生じるベクトルAの水平方向のベクトルBは、前側端板23及び後側端板24により機外に空気の脈動を発生させ、又、振動機本体20の振動方向の振動により生じるベクトルAの垂直方向のベクトルCは、カバー22とトラフ21により機外に空気の脈動を発生させる。
こうして、振動機の近傍に発生した空気の脈動は、前側端板23、後側端板24、カバー22及びトラフ21の往復振動が繰り返されることで気柱振動となり、振動機が設置されている施設内外に伝播して被害を発生させるケースがある。
【0006】
このように、振動コンベヤや振動スクリーン等のように箱形構造の振動機本体20を往復振動させて処理物の搬送又は選別を行う振動機に於いては、振動機本体20の往復振動で発生する気柱振動により振動機の周辺に振動が伝播して振動機が設置されている施設の壁や天井、建具等を振動させたりすると云う問題があった。然も、振動が大きくなると、施設外にも悪影響を及ぼすケースがあり、極めて重大な問題であった。
【0007】
従来、このような振動機の気柱振動を抑制する対策としては、例えば、特許文献1のように振動スクリーン等の振動機全体をカバーで囲って気柱振動が施設の壁や天井等に伝播しないようにしたり、又、特許文献2のように振動スクリーン等の振動機全体をダクト(開口部)を有するカバーで囲い、カバーのダクトから漏れる気柱振動を減衰消去するための制御装置(振動機の振動音を拾うマイクロホン及び振動機の振動と逆位相の振動を発生するスピーカ等から成る制御装置)を設置したり、或いは振動機を設置する建屋自体の剛性アップ等を図ることが行われている。
【0008】
然し乍ら、振動機全体をカバーで囲ったり、気柱振動を減衰消去するための制御装置を設置したりする場合には、極めて大掛かりな設備となって対策に高額の費用が掛かるうえ、設置面積の増加を伴うと云う問題があった。又、振動機自体の大きさや形状等がまちまちであるため、必然的にカバーの大きさや形状も振動機の大きさや形状に合わせて変える必要があり、汎用性に劣ると云う問題があった。
【特許文献1】実開昭51−63278号公報
【特許文献2】特開平8−309285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、振動機全体を囲うカバーや振動を抑制する複雑な構造の制御装置等を必要とすることなく、比較的簡単な構造でもって振動機からの気柱振動の発生量を抑制すると共に、発生した気柱振動を比較的容易に低減することができる振動機の気柱振動抑制構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の振動機の気柱振動抑制構造は、上流側から下流側へ向って下り傾斜状に配設した箱形構造の振動機本体を斜め前後方向へ往復振動させ、当該振動機本体内に投入した処理物を搬送又は選別するようにした振動機に於いて、前記振動機本体の上面を、振動機本体の振動時の空気抵抗が小さくなるように上方へ突出するが円弧状のカバーで構成し、又、振動機本体の前端面及び後端面を、振動機本体の振動時の空気抵抗が小さくなるように夫々前方及び後方へ突出するが円弧状の前側端板及び後側端板で構成し、振動機本体の振動により生じる空気の脈動を低減して機外の気柱振動を抑制するようにしたことに特徴がある。
【0011】
本発明の請求項2の振動機の気柱振動抑制構造は、振動機本体の底面を構成するトラフの下面側を、振動機本体の振動時の空気抵抗が小さくなるように下方へ突出する円弧状のトラフ下部カバーで覆い、振動機本体の振動により生じる空気の脈動を低減して機外の気柱振動を抑制するようにしたことに特徴がある。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1の振動機の気柱振動抑制構造は、斜め前後方向へ往復振動する箱形構造の振動機本体の上面、前端面及び後端面を、振動機本体が往復振動したときにその空気抵抗が小さくなるように断面形状が外方へ突出する円弧状のカバー、前側端板及び後側端板で夫々構成しているため、振動機本体の往復振動により生じる空気の脈動が低減され、空気の脈動の繰り返しにより発生する機外の気柱振動を抑制することができる。
又、本発明の請求項2の振動機の気柱振動抑制構造は、振動機本体の底面を構成するトラフの下面側を、振動機本体が往復振動したときにその空気抵抗が小さくなるように断面形状が下方へ突出する円弧状のトラフ下部カバーで覆う構造としているため、振動機本体の往復振動により生じる空気の脈動が低減され、空気の脈動の繰り返しにより発生する機外の気柱振動をより抑制することができる。
その結果、本発明の気柱振動抑制構造を用いれば、振動機の設置時に明確な気柱振動抑制対策を行える。又、従来のように気柱振動が発生した後に振動機の振動数や振幅を変更して気柱振動の抑制対策を行うと云うこともなく、振動機の搬送能力や選別能力に影響を及ぼすことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2は本発明の実施の形態に係る気柱振動抑制構造を用いた振動機を示し、当該振動機は、上流側(図1の左側)から下流側(図1の右側)へ向って下り傾斜状に配設した斜め前後方向(図1の矢印方向)へ往復振動自在な箱形構造の振動機本体1と、振動機本体1を往復振動させるモータ及びクランク機構等から成る振動発生装置(図示省略)等を備えた振動コンベヤに構成されており、振動機本体1を振動発生装置により斜め前後方向(斜め上向き)へ往復振動させ、振動機本体1の上流側端部に形成した投入口2から振動機本体1内の投入した焼却灰や土砂等の処理物を下流側へ搬送して振動機本体1の下流側端部に形成した排出口3から排出するようにしたものである。
【0014】
具体的には、前記振動機本体1は、断面形状が凹状の長尺状のトラフ4と、トラフ4の上方開口を閉塞するカバー5と、トラフ4の前端開口を閉塞する前側端板6と、トラフ4の後端開口を閉塞する後側端板7と、トラフ4の下面側を覆うトラフ下部カバー8等から構成されており、振動機本体1の上流側端部上面には、振動機本体1内に焼却灰等の処理物を投入するための投入口2が形成されていると共に、振動機本体1の下流側端部下面には、振動機本体1内を上流側から下流側へ搬送された処理物を落下排出させるための排出口3が形成されている。
【0015】
又、振動機本体1のカバー5、前側端板6、後側端板7及びトラフ下部カバー8は、図1及び図2に示す如く、振動機本体1が斜め前後方向へ往復振動したときにその空気抵抗が小さくなるように外方へ突出する凸状に形成されており、振動機本体1の往復振動により生じる空気の脈動を低減し、空気の脈動の繰り返しにより発生する気柱振動を抑制するようになっている。
即ち、振動機本体1の上面を構成するカバー5は、その断面形状が上方へ突出する比較的大きな曲率の円弧状に形成されている(図2参照)。又、振動機本体1の前端面を構成する前側端板6は、その断面形状が前方へ突出する比較的大きな曲率の円弧状に形成されていると共に、振動機本体1の後端面を構成する後側端板7は、その断面形状が後方へ突出する比較的大きな曲率の円弧状に形成されている(図1参照)。更に、振動機本体1の底面を構成するトラフ4を下面側から覆うトラフ下部カバー8は、その断面形状が下方へ突出する比較的大きな曲率の円弧状に形成されている(図2参照)。
【0016】
そして、前記振動機本体1は、下流側(図1の右側)が上流側(図1の左側)よりも若干低くなる傾斜姿勢でもって配置されており、床面上に複数の防振バネ9を介して支持されたフレーム10に複数の支持レバー11により揺動自在に支持されている。各支持レバー11の上端部は、ゴムブッシュを介して振動機本体1に揺動自在に連結され、又、各支持レバー11の中間部は、ゴムブッシュを介してフレーム10に揺動自在に連結されている。
更に、振動機本体1の下方位置には、カウンターウエイト12が配設されている。このカウンターウエイト12は、各支持レバー11の下端部にゴムブッシュを介して揺動自在に支持されている。又、カウンターウエイト12と複数の支持レバー11との間には、共振バネ13が支持レバー11に対して直角になるように介設されている。
【0017】
一方、前記振動発生装置(図示省略)は、カウンターウエイト12と振動機本体1との間に設けられており、カウンターウエイト12上に設けた電動機、回転運動を往復直線運動に変換するクランク機構、電動機とクランク機構を連動連結するベルト伝動機構、クランク機構と振動機本体1とを連結する連結ロッド(何れも図示省略)等から成る。
【0018】
この振動発生装置によれば、電動機を駆動すると、その回転力がベルト伝動機構を介してクランク機構を駆動し、これにより連結ロッドが直線運動し、振動機本体1を共振バネ13の傾斜方向(振動機本体1の斜め前後方向)へ往復振動させる。このとき、振動機本体1とカウンターウエイト12は、180度位相を変えて振動する。そのため、支持レバー11には、位相が180度異なる振動反力が加わり、これがフレーム10に伝達されることになる。その結果、振動反力が相殺され、フレーム10には殆ど反力が伝達されることがなく、僅かに伝達したとしても、防振バネ9により防振されて床面に殆ど伝達されることはない。
【0019】
而して、前記振動コンベヤに於いては、振動機本体1は、振動発生装置により斜め前後方向(図1の矢印方向)へ一定の振動数及び振幅で往復振動する。この状態で投入口2から振動機本体1内に焼却灰や土砂等の処理物を投入すると、当該処理物は、トラフ4上を上流側から下流側へ搬送され、排出口3から落下排出されて次の工程へ送られる。
【0020】
ところで、従来の振動機に於いては、図3(イ)に示す如く、振動機本体1のカバー22の天板が平板状で且つ水平姿勢になっているため、振動機本体1の振動方向の振動により生じる空気の脈動が全て機外に作用する。この空気の脈動は、繰り返されることにより気柱振動となり、振動機が設置される施設以外に伝播して被害を発生させる。
【0021】
これに対して、本発明の気柱振動抑制構造を用いた振動機に於いては、図3(ロ)に示す如く、振動機本体1のカバー5がその断面形状が上方へ突出する円弧状に形成されているため、振動機本体1の振動方向の振動により生じるベクトルAのカバー5の接線方向のベクトルDは、振動機本体1の中心軸線φの反対側のカバー5の接線方向のベクトルDと打ち消し合う作用をし、これにより空気の脈動が低減されることになる。又、カバー5の法線方向のベクトルEは、カバー5の曲率が大きくなる程、小さくなる。更に、カバー5の法線方向のベクトルEは、機外の全方向に拡散されて指向性を持たないため、気柱振動が発生し難い。このように、振動機本体1のカバー5は、空気の脈動を減じることができ、空気の脈動が繰り返されることにより発生する気柱振動を抑制することができる。
又、振動機本体1の前側端板6、後側端板7及びトラフ下部カバー8についても、これらはその断面形状が外方へ突出する円弧状に形成されているため、上述したカバー5と同様に空気の脈動を低減させることでき、空気の脈動が繰り返されることにより発生する気柱振動を抑制することができる。
【0022】
このように、本発明の振動機の気柱振動抑制構造は、振動機本体1の上面、前端面及び後端面を、その断面形状が外方へ突出する円弧状のカバー5、前側端板6及び後側端板7で夫々構成しているため、振動機本体1が往復振動したときにその空気抵抗が小さくなり、振動機本体1の振動により生じる空気の脈動が低減され、空気の脈動の繰り返しにより発生する機外の気柱振動を抑制することができる。
又、この振動機の気柱振動抑制構造は、振動機本体1の底面を構成するトラフ4の下面側を、その断面形状が下方へ突出する円弧状のトラフ下部カバー8で覆う構造としているため、振動機本体1の振動により生じる機外の空気の脈動が低減され、空気の脈動の繰り返しにより発生する機外の気柱振動を抑制することができる。
更に、この振動機の気柱振動抑制構造は、カバー5等の形状を変えて振動機の気柱振動を抑制しているため、振動機の設置時に明確な気柱振動抑制対策が行えると共に、従来のように気柱振動が発生した後に振動機の振動数や振幅を変更して気柱振動の抑制対策を行うと云うこともなく、振動機の搬送能力や選別能力に影響を及ぼすことがない。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明に於いては、気柱振動抑制構造を振動コンベヤに採用するようにしたが、その利用対象は振動コンベヤに限定されるものではなく、本発明の気柱振動抑制構造は、振動スクリーンや振動フィーダー等に於いても利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の気柱振動抑制構造を用いた振動コンベヤの一部省略側面図である。
【図2】同じく振動コンベヤの概略縦断正面図である。
【図3】振動コンベヤのカバーの作用を示し、(イ)は従来の振動コンベヤのカバーの概略縦断正面図、(ロ)は本発明の気柱振動抑制構造を用いた振動コンベヤのカバーの概略縦断正面図である。
【図4】従来の振動コンベヤの一部省略側面図である。
【図5】従来の振動コンベヤの概略縦断正面図である。
【符号の説明】
【0025】
1は振動機本体、4はトラフ、5はカバー、6は前側端板、7は後側端板、8はトラフ下部カバー。
【出願人】 【識別番号】000133032
【氏名又は名称】株式会社タクマ
【出願日】 平成19年2月16日(2007.2.16)
【代理人】 【識別番号】100082474
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 丈夫


【公開番号】 特開2008−200554(P2008−200554A)
【公開日】 平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願番号】 特願2007−35919(P2007−35919)