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【発明の名称】 超音波発生装置及びこれを用いた肌ケア装置
【発明者】 【氏名】齋田 至

【氏名】松坂 建志

【要約】 【課題】板状のホーンを用いることで装置全体の小型化、軽量化、及び低コスト化を図ることができ、しかもこのホーンを安定的に取付固定するとともに確実に防水を図ることができる超音波発生装置及びこれを用いた肌ケア装置を提供する。

【解決手段】超音波振動子1と、該超音波振動子1を接続させる接続面16a及び目的箇所に向けて超音波を発信させる超音波発信面16bを有するホーンと、ホーンを取付固定する保持機構15とを具備する超音波発生装置である。上記ホーンは、接続面16aと超音波発信面16bを逆向きの平板面として有する平板状ホーン16とし、平板状ホーン16の外周面17には、保持機構15により平板状ホーン16を取付固定するための支持部45を該平板状ホーン16の厚みよりも薄く形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波振動を発生させる超音波振動子と、該超音波振動子を接続させる接続面及び目的箇所に向けて超音波を発信させる超音波発信面を有するホーンと、ホーンを取付固定する保持機構と、を具備する超音波発生装置であって、ホーンは、接続面と超音波発信面を逆向きの平板面として有する平板状ホーンであり、且つ平板状ホーンの外周面には、保持機構により平板状ホーンを取付固定するための支持部を該平板状ホーンの厚みよりも薄く形成していることを特徴とする超音波発生装置。
【請求項2】
平板状ホーンの支持部は、平板状ホーン内部を伝達される超音波振動の1波長の1/3〜1/6の厚みで、外周面の接続面側の端部にフランジ状に形成したものであることを特徴とする請求項1に記載の超音波発生装置。
【請求項3】
平板状ホーンの接続面側に、回転防止用の切欠部を複数設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波発生装置。
【請求項4】
切欠部は、平板状ホーンの接続面の中心点周りに描かれる円周上において周方向に等間隔を隔てた箇所に配されていることを特徴とする請求項3に記載の超音波発生装置。
【請求項5】
保持機構として、支持部を介して平板状ホーンを取付固定する防水カバーを備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の超音波発生装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の超音波発生装置を備え、平板状ホーンの超音波発信面を肌接触面として成ることを特徴とする肌ケア装置。



【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波振動子をホーンに接続させて成る超音波発生装置やこれを備えた肌ケア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、超音波振動子をホーンに接続させて備え、超音波振動子に電気的振動を供給して機械的振動に変換させることで、ホーンを介して超音波振動を外部に発信させる構成の超音波発生装置が知られている。上記構成の超音波発生装置は例えば肌ケア装置に好適に用いられ、ホーンを肌面に押し当てることで、肌面や生体内部に向けて超音波振動を伝達させて所望の美容効果を得るようになっている(特許文献1参照)。
【0003】
上記従来の超音波発生装置においては、図8に示すように、超音波振動子1を接続させるホーン5として側周壁60を有する有底筒状のものが用いられていた。このような有底筒状のホーン5は、側周壁60を介してホーン5を安定的に取付固定することができるという利点や、超音波伝達媒体として用いるジェル等の液体が装置内に侵入することを側周壁60によって防止するという利点がある。
【0004】
しかし、このような有底筒状のホーン5を備える超音波発生装置においては、以下の問題がある。即ち、超音波伝達用のホーン5は通常アルミニウム等の軽金属や軽合金を用いて形成するので、超音波振動を良好に伝達させるための厳しい寸法制度の基で有底筒状の複雑形状に削る作業が困難であるとともに、切削する金属の体積も多くなるためにコスト高の一因になるという問題や、ホーン5が大型化して装置全体の大型化及び高重量化を招くという問題である。
【0005】
これに対して、上記ホーン5を平板状に形成するといった対策も考えられるが、この場合には、内部で超音波振動の定常波を生じるホーン5を安定的に取付固定することが困難になる。
【特許文献1】特開2006−181292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みて発明したものであって、平板状のホーンを用いることで装置全体の小型化、軽量化、及び低コスト化を図ることができ、しかもこのホーンを安定的に取付固定することができる超音波発生装置及びこれを用いた肌ケア装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明を、超音波振動を発生させる超音波振動子1と、該超音波振動子1を接続させる接続面16a及び目的箇所に向けて超音波を発信させる超音波発信面16bを有するホーン5と、ホーン5を取付固定する保持機構15と、を具備する超音波発生装置であって、ホーン5は、接続面16aと超音波発信面16bを逆向きの平板面として有する平板状ホーン16であり、且つ平板状ホーン16の外周面17には、保持機構15により平板状ホーン16を取付固定するための支持部45を該平板状ホーン16の厚みTよりも薄く形成しているものとする。
【0008】
このような超音波発生装置にあっては、金属材料を用いて平板状ホーン16を形成する際の作業が容易であるとともに切削する金属の体積も少なくて済み、低コストで提供することが可能になる。また、小型且つ軽量の平板状ホーン16を用いることで、装置全体の小型化、軽量化を図ることができる。しかも、この平板状ホーン16には外周面17に支持部45が設けてあるので、支持部45を介して平板状ホーン16を安定的に取付固定することが可能である。この支持部45は、平板状ホーン16より薄く形成してあるので定常波の発生を防止することができる。
【0009】
また、上記構成の超音波発生装置において、平板状ホーン16の支持部45は、平板状ホーン16内部を伝達される超音波振動の1波長の1/3〜1/6の厚みtで、外周面17の接続面16a側の端部にフランジ状に形成したものであることが好ましい。このようにすることで、支持部45で定常波が生じることを確実に防止するとともに、支持部45が平板状ホーン16内で生じる定常波に影響を与えることも防止される。というのも、支持部45は接続面16a側の端部から1波長の1/3〜1/6の厚みtで形成してあるため、支持部45の接続面16a側と反対側の端部は、平板状ホーン16の定常波の節又はその近傍に位置することになる。したがって、このフランジ状の支持部45を介して取付固定される平板状ホーン16内の定常波には、該支持部45による固定の影響が極力及ばないこととなる。
【0010】
また、上記構成の超音波発生装置においては、平板状ホーン16の接続面16a側に、回転防止用の切欠部49を複数設けることが好ましい。このようにすることで、平板状ホーン16内に超音波振動が伝達される際に該平板状ホーン16が回転することを防止して安定的な取付固定を実現することができる。
【0011】
上記切欠部49は、平板状ホーン16の接続面16aの中心点C周りに描かれる円周上において周方向に等間隔を隔てた箇所に配されていることが好ましい。平板状ホーン16の接続面16aにおいて、超音波振動は中心点Cを中心に伝達されていくので、切欠部49をこのように均等に配置することで、切欠部49の存在が超音波振動の伝達に与える影響は抑制されることとなる。
【0012】
また上記構成の超音波発生装置においては、保持機構15として、支持部45を介して平板状ホーン16を取付固定する防水カバー40を備えていることが好ましい。このようにすることで、防水カバー40によりホーン16を安定的に取付固定すると同時に、装置内部への液体の侵入を確実に防止することができる。
【0013】
また本発明を、上記構成の超音波発生装置を備え、平板状ホーン16の超音波発信面16bを肌接触面として成ることを特徴とする肌ケア装置とすることも好ましい。このようにすることで、平板状ホーン16を安定的に取付固定して装置全体の小型化、軽量化、及び低コスト化を実現した肌ケア装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、平板状のホーンを用いることで装置全体の小型化、軽量化、及び低コスト化を図ることができ、しかもこのホーンを安定的に取付固定することができる超音波発生装置及びこれを用いた肌ケア装置を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。図1及び図2には、本発明の実施形態における一例の肌ケア装置の全体を示している。本例の肌ケア装置は超音波発生装置を用いて構成したものであり、超音波発生装置の超音波発信面16bから発信される超音波振動を肌面に伝達させ、美容効果を得るようになっている。
【0016】
本例の肌ケア装置(即ちこれを構成する超音波発生装置)は、超音波振動子1を内蔵するヘッドブロック2と、この超音波振動子1に電気的振動を供給して超音波振動を生じさせる制御回路3を内蔵する把持ブロック4とで、主体を構成している。
【0017】
まず、ヘッドブロック2の基本的な構成について説明する。ヘッドブロック2は、図3〜図5にも示すように、アルミニウム等の金属を用いて円板状に形成したホーン5(以下「平板状ホーン16」とする)と、この平板状ホーン16の一方の平板面に接着固定される超音波振動子1と、ヘッドブロック2の底部を成す基台部6と、防水カバー9とを備えている。上記防水カバー9は、平板状ホーン16の外周面に突設したフランジ状の支持部45に係合するとともに、基台部6の外側面に突設したフック状の係合部8に係合するものである。上記防水カバー9を介して平板状ホーン16を基台部6に取付固定することで、平板状ホーン16が両側に有する一対の平板面のうち超音波振動子1を固定する側の平板面(以下「接続面16a」とする)とは逆側の平板面(以下「超音波発信面16b」とする)を、図中斜め上方に突出した状態で露出させる。平板状ホーン16の支持部45と防水カバー9との間には、Oリング10を介在させてあり、上記防水カバー9やOリング10によって、平板状ホーン16を装置に取付固定する保持機構15を構成している。
【0018】
更にヘッドブロック2内には、超音波振動子1に給電を行うための振動子側接続端子11及びホーン側接続端子12が備えてある。振動子側接続端子11は、超音波振動子1が有する一対の電極13(図3参照)の一方に弾接されることで、該電極13に直接電気的に接続されるものである。またホーン側接続端子12は、平板状ホーン16の接続面16aに弾接されることで、この平板状ホーン16を介して超音波振動子1の他方の電極13に電気的に接続されるものである。両接続端子11,12は基台部6に固定しており、リード線(図示せず)を介して把持ブロック4内の制御回路3に電気的に接続させている。
【0019】
次に、把持ブロック4の基本的な構成について説明する。把持ブロック4は、正面側ハウジング18及び背面側ハウジング19をねじ固定して成る有底筒状の主ハウジング20と、この主ハウジング20の開口部にねじ固定される共に略リング状の支持ベース21及び頂部カバー22で、把持ブロック4全体のハウジング23を構成している。
【0020】
上記ハウジング23内には、制御回路3や、操作スイッチ24や、電源ジャック25が組み込まれている。操作スイッチ24は、背面側ハウジング19に装着されるスイッチカバー26と、スイッチボス27と、スイッチ基板28とで構成している。このスイッチ基板28や電源ジャック25は、それぞれリード線(図示せず)を介して制御回路3に電気的に接続させている。
【0021】
次に、この把持ブロック4に対してヘッドブロック2を移動自在に支持させる支持機構7について説明する。本例にあっては上記支持機構7として、弾性部材であるコイルばね32を、ヘッドブロック2の底部を成す基台部6と把持ブロック4の頂部を成す頂部カバー22との間に圧縮状態で介在させている。基台部6の底部は、柱状を成す中央の挿通部33と、この挿通部33を囲む周縁部34と、挿通部と周縁部34との間にて環状に形成される凹溝部35とで構成されている。そして上記挿通部33を頂部カバー22の中央開口内に挿通させるとともに、頂部カバー22の内側において挿通部33の先端に円板状のストッパ36をねじ固定させている。上記ストッパ36は、後述の防水カバー40を介して頂部カバー22の内面側に当たることでヘッドブロック2の抜け止めを図る部材である。
【0022】
コイルばね32の外周にはこれを囲む円筒状の防水部材37を備えており、防水部材37を介してコイルばね32を頂部カバー22に押し当てている。また、把持ブロック4の頂部カバー22内面にはシート状の防水カバー40を配置しており、上記防水部材37や上記防水カバー40により、肌ケア時に超音波伝達用媒体として使用するジェル等の液体が把持ブロック4内に侵入することを防止し、回路破壊等を確実に防止している。更に、平板状ホーン16と防水カバー9との間に介在させたOリング10によって、上記ジェル等の液体がヘッドブロック2内に侵入することを防止している。
【0023】
上記構成の肌ケア装置によれば、操作スイッチ24を操作して電源をオンにすれば、制御回路3から各接続端子11,12を介して超音波振動子1に電気的振動が供給され、超音波振動子1において電気的振動が機械的振動に変換されることで超音波振動を発生させる。そして、把持ブロック4を片手で把持しつつ平板状ホーン16の超音波発信面16bを肌接触面として用いることで、超音波振動子1から生じる超音波振動を肌面や更に生体内の目的箇所にまで伝達して所望の美容効果を得るものである。
【0024】
次に、本発明の特徴部分について、更に図6,7等に基づいて詳述する。既述したように、本例の肌ケア装置では、接着固定してある超音波振動子1の超音波振動を伝達して目的箇所に向けて発信するホーン5として、接続面16aと超音波発信面16bを互いに逆向きの平板面として有する円板形状の平板状ホーン16を用いている。超音波振動子1は、円板状を成す圧電材料14の両側の平板面を一対の電極13で挟持して構成したものであり、超音波振動子1の上記一対の電極13の一方を、導電性の接着剤(図示せず)を介して平板状ホーン16の接続面16aに接着固定させている。
【0025】
この平板状ホーン16の外周面17における接続面16a側の端部には、フランジ状の支持部45を形成しており、この支持部45の超音波発信面16b側を向く端面48に対して、防水カバー9の一端側開口縁から内方に向けて突設したリブ状の係止部46がOリング10を介して係止する構造である(図5参照)。また、防水カバー9の内周面には溝状の被係合部47を形成しており、この被係合部47に対して、基台部6から延設してあるフック状の係合部8の突起部分が弾性的に係合するようになっている。このとき係合部8の突先と防水カバー9の係止部46との間で、Oリング10を介して支持部45が挟持され、平板状ホーン16の位置決めが為される。
【0026】
ここで、フランジ状を成す上記支持部45の厚みtは、平板状ホーン16の厚みTよりも薄く形成し、定常波を生じないようにしている。具体的には、平板状ホーン16の厚みTは、内部を伝達される超音波振動の波長λと一致するように設けているが、これに対して支持部45の厚みtは、平板状ホーン16の厚みTの1/3〜1/6(即ち、超音波振動の波長λの1/3〜1/6)の範囲内に設けている。したがって、平板状ホーン16内においては、接続面16a側から超音波発信面16b側にかけて図6(b)に示すような定常波が生じ、該定常波の腹が、接続面16aと、超音波発信面16bと、更に接続面16aと超音波発信面16bの中間位置(即ち、接続面16aから超音波発信面16b側に1/2λだけ隔てた位置)に生じるようになっている。
【0027】
これに対して支持部45は、接続面16a側から1/3〜1/6λの範囲内の厚みtでしか形成していないので、支持部45内において定常波が生じることはない。したがって、この支持部45を介して、平板状ホーン16を安定的に取付固定することが可能である。
【0028】
しかも、支持部45の端面48は、平板状ホーン16内に生じる定常波の節又はその近傍となる範囲(図6(b)中の斜線領域)に位置することとなる。この範囲は定常波の振幅が最大振幅の50%以下となる範囲であり、したがって平板状ホーン16の定常波に対して支持部45の存在が影響を及ぼすことが抑制される。これにより、平板状ホーン16においては超音波振動を安定的に発生させることが可能になる。
【0029】
また平板状ホーン16の円形状を成す接続面16aの外周縁部には、回転防止用の切欠部49を複数設けている。上記切欠部49には、基台部6から延設してある回転止め用の突部50(図3参照)が嵌入され、平板状ホーン16の回転止めを確実に行う構造である。
【0030】
本例では、図7(a)に示すように3つの切欠部49を、平板状ホーン16の接続面16aの中心点C周りに描かれる円周上において周方向に等間隔を隔てた箇所に配しているが、図7(b)、(c)に示すように切欠部49を2つ、或いは4つ以上形成してあっても構わない。接続面16aにおいて超音波振動は中心点Cを中心として周囲に伝達されていくが、これら複数の切欠部49は、平板状ホーン16の中心点Cから等距離であり且つ互いに周方向に等間隔を隔てた箇所に設けてあるので、切欠部49の存在が超音波振動の伝達に及ぼす影響は極力抑制される。
【0031】
なお、上記構成の超音波発生装置をケア装置以外に用いてもよい。適用する装置としては美容に限らず、診断、加工、接合、洗浄、剤浸透促進、拡散、分散、乳化、霧化等の各種の超音波処理を行うものが想定されるが、その場合であっても同様の効果が得られることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態における一例の肌ケア装置の全体を示す側断面図である。
【図2】同上の肌ケア装置の全体を示し、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【図3】同上の肌ケア装置の要部分解斜視図である。
【図4】同上の肌ケア装置の要部正面図である。
【図5】同上の肌ケア装置の要部側断面図である。
【図6】(a)、(b)は同上の肌ケア装置の特徴部分を示す説明図である。
【図7】(a)は同上の肌ケア装置のホーンの下面図であり、(b)、(c)はホーンの変形例を示す下面図である。
【図8】従来の肌ケア装置の側断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 超音波振動子
5 ホーン
9 防水カバー
15 保持機構
16 平板状ホーン
16a 接続面
16b 超音波発信面
45 支持部
49 切欠部
C 中心点
T 平板状ホーンの厚み
t 支持部の厚み
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成19年1月15日(2007.1.15)
【代理人】 【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清

【識別番号】100085604
【弁理士】
【氏名又は名称】森 厚夫


【公開番号】 特開2008−168272(P2008−168272A)
【公開日】 平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願番号】 特願2007−6244(P2007−6244)