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【発明の名称】 扁平型振動モータのロータ
【発明者】 【氏名】早出 隆幸

【要約】 【課題】

【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームに1個で構成されるコイルとを有するロータをマグネットに対して回転可能に対向配設し、上記ロータを停止したとき、上記ロータを起動可能位置で静止させるための磁性体ピンが前記フレームに配設した振動モータであって、
上記フレームを円板形状に形成すると共に、上記フレームを二分する半円状の偏荷重領域に上記コイルと非磁性体からなる平板状の分銅を並設したことを特徴とする扁平型振動モータのロータ。
【請求項2】
上記フレームは、合成樹脂によって形成され、上記コイル及び分銅を埋設した請求項1に記載の扁平型振動モータのロータ。
【請求項3】
上記分銅は、比重7g/立方cm以上の銅、真鍮、鉄、非磁性ステンレス等の金属板によって形成される請求項1に記載の扁平型振動モータのロータ。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の各種携帯通信機器に内蔵し、振動発生源とするための振動 モータのロータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば携帯電話機には、着信を知らせるために振動を発生する振動モータが内蔵されている。この振動モータは小型化が図られており、扁平型と円筒型が使用されている。扁平型の振動モータとしては、鉄心にコイルを巻回したコアード型と、コアを有しないコアレス型とある。また、コアレス型には、コイルが1個乃至3個のタイプがある。このうち、コイルが1個の振動モータは、特許第3039857号(特許文献1)に記載のものがある。この特許文献1に記載の振動モータは、図5に示すように、略1/4円形の樹脂フレーム101の内部に1個のコアレスコイル102を配して電機子100を構成している。
【0003】
樹脂フレーム11の回転中心には整流子104が設けられ、一対のブラシ106が摺接している。その中心には電機子100の回転中心となる軸孔105が設けられている。コアレスコイル102は、樹脂フレーム101の形状に対応させた開き角度を約90度に形状した1巻きコイルとしている。また、遠心力を大きくするために、コアレスコイル102の空心部には錘107が配設されている。
【0004】
上記樹脂フレーム101の一側縁から磁性体によって構成された鉄ピン108を側方に突出している。鉄ピン108は、電機子100が停止したときに、マグネット109のN極とS極との境界線上の位置に強制的に停止させるために設けられている。このように鉄ピン108を所定位置に停止させることにより、起動時にコアレスコイル102に通電したときに電機子100を回転始動させることができる。
【0005】
電機子100のコアレスコイル102は、回転しながらN,Sを交互に繰り返し、マグネット109との間で磁気的に吸引反発を繰り返すことで回転する。このとき、コアレスコイル102と錘107回転中心に対して偏心した位置に設けられているので、回転によって振動が発生する。
【0006】
【特許文献1】特許第3039857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
振動モータは、携帯電話機をマナーモードに設定したときに着信を知らせるために利用されるため、小型化が要求される一方で、着信通知として十分な高振動が要求される。特許文献1に開示された振動モータは、コアレスコイル102の空心部に錘107を配設して偏心量を大きくすることにより振動量を得るようにしている。ところが、空心部に容量が小さいことから、要求に応えうる十分な振動量を得ることが困難であった。そのため、錘107として、高比重のタングステンを使用する、或いは、略1/4円形の樹脂フレーム101の素材となる樹脂にタングステンの粉末を混入して樹脂フレーム101自体の重量を大きくするなどの対策を講じていた。しかし、タングステンは高価な素材であるコストが高騰する問題がある。また、樹脂フレーム101をモールド成形するときにタングステン等の高比重素材の粉末を混入すると、特殊な構造を有するモールド金型が必要になると共に、摩耗が激しく寿命が短くなる。しかも、樹脂フレーム101が略1/4円形に形成されていることから、モールド成形するときに大きな成形荷重を確保するために高荷重のモールド成形用プレス機を使用することから、多額の設備投資が必要になる。このように、結果としてコストが高騰する問題があった。
【0008】
本発明は、起動性能を維持しつつ振動量を増大させ、しかも、コストを低減することができる扁平型振動モータのロータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明による扁平型振動モータのロータは、フレームに1個で構成されるコイルを有するロータをマグネットに対して回転可能に対向配設し、上記ロータを停止したとき、上記ロータを起動可能位置で静止させるための磁性体が前記フレームに配設した振動モータであって、上記フレームを円板形状に形成すると共に、上記フレームを二分する半円状の偏荷重領域に上記コイルと非磁性体からなる平板状の分銅を並設したことを要旨としている。
【0010】
上記フレームは、合成樹脂によって形成され、上記コイル及び分銅を埋設することが望ましい。
【0011】
上記分銅は、比重7g/立方cm以上の銅、真鍮、鉄、非磁性ステンレス等の金属板によって形成することが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に記載の扁平型振動モータのロータによれば、円板形状に形成したフレームを二分する半円状の偏荷重領域に、1個もコイルと非磁性体からなる平板状の分銅を並設しているので、ロータの偏心量を増大させることから、高振動を得ることができる。また、1コイル型振動モータの構造的特徴から、偏荷重領域中に分銅の配設可能な面積を大きくすることができるので、大きな分銅の配設により重量を大きくさせて偏心量を増大させることができる。また、大きな分銅を配設できることから、例えば6ナイロン等の一般市販の成形樹脂を使用できるので、フレームを安価に形成することが可能となる。さらに、フレームを円板形状に形成することによってモールド成形が容易になると共に、成形荷重を小さくすることができるので、低荷重のモールド成形用プレス機が使用可能になる。しかも、フレームが円板形状と単純形状のため、モールド金型を容易に製造することが可能となる。
【0013】
本発明の請求項2の発明によれば、フレームを合成樹脂によって形成し、コイルと分銅を埋設するので、ロータ自体の薄型化が可能となり、その結果、扁平型振動モータを薄型に構成することが可能となる。
【0014】
本発明の請求項3記載の発明によれば、偏荷重領域中の分銅の配設面積が大きくなることから、分銅として、比重が7g/立方cm以上の銅、真鍮、鉄、非磁性ステンレス等の金属板であっても十分な偏心量が得られるため高振動を得ることができる。これらの金属板は安価であり、結果としてコストを低減することが可能となる。また、上記金属板は加工が容易なことから、分銅の製造コストも安価にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施例について説明する。図1乃至図3は、本発明によるロータ1を示している。ロータ1は、例えば6ナイロン等の樹脂からなる円板形状のフレーム2を有し、フレーム2には、空心状のコイル3が一体的に埋設されていると共に、このコイル3に隣接させて分銅8を埋設している。上記ロータ1の回転中心には、軸孔4が形成され、この軸孔4には支軸5が嵌着されている。この支軸5は、図示しない略皿状のケースと蓋に設けられた軸受に回転自在に支持される。また、ロータ1には、上記ケースに配設された図示しないステータとしてのマグネットに所定の空隙をもって対向させている。
【0016】
さらに、フレーム2には、軸孔4の周囲に整流子6が設けられている。整流子6は、絶縁材料からなる整流子板6a上に4つの略扇状の整流子片6bが環状に配置されている。また、整流子片6bは、互いに対向する整流子片6b同士が電気的に接続されている。この整流子片6aのうち、一方の組の整流子片にはコイル3の一端が接続され、他方の組の整流子片6bにはコイル3の他端が接続されている。上記整流子片6bには、図示しない一対のブラシが摺接され、整流子片6bを介してコイル3に電流を通電するように構成している。
【0017】
マグネットに対面するように配置されたコイル3は、略扇状に巻回され、各整流子片6aと同様の約90度の開角度に形成されている。そして、一対のブラシ及び整流子6を通してコイル3に電流が流れると、マグネットと対面するコイル3にトルクが生じる結果、ロータ1が回転する。そして、ロータ1が回転する際に、マグネットの磁極の変化に応じて、整流子6によりコイル3に流れる電流の向きが反転することから、ロータ1は一方向に回転する。
【0018】
なお、この種の1コイル型振動モータは、いわゆるデッドポイントが生じて起動しないことがある。そこで、ロータ1が停止時にデッドポイントで静止しないように、フレーム2には、ロータ1の静止位置を規制するための磁性体ピン7が埋設されている。この磁性体ピン7は、鉄やニッケル等の磁性体によって構成され、フレーム2の表面から露出するように配設されている。
【0019】
ロータ1が停止したとき、磁性体ピン7とマグネットとの磁気吸引力により、ロータ1は、S極とN極との境界上に磁性体ピン7が位置するように停止する。このとき、コイル3の中心線がマグネットのN極とS極の境界上からずれる結果、ロータ1の静止位置は、起動可能位置となっている。このように、フレーム2内に磁性体ピン7を設けることにより、起動エラーを回避することができ、この結果、ロータ1がスムーズに起動し、ロータ1の回転により振動が生じる。
【0020】
そして、フレーム2には、図1乃至図3に示すように、整流子6が設けられた面と反対面に分銅8が埋設されている。分銅8は、フレーム2の周方向に沿って湾曲させた略扇状も板状体であり、円板形状に形成したフレーム2を、中心を通る中心線で二分する半円状の偏荷重領域WEの範囲内にコイル3と並設している。すなわち、図1及び図2に示す実施例では、分銅8の開角度は約90度に設定され、分銅8の一端は偏荷重領域WEを区分する端縁に一致させ、他端はコイル3に隣接させ、偏荷重領域WEのコイル3を除くほぼ全域に埋設している。
【0021】
分銅8は、銅(比重8.95g/立方cm)、真鍮(比重8.4g/立方cm)、鉄(比重7.87g/立方cm)、非磁性ステンレス(比重7.93g/立方cm)等の金属板によって形成されている。これらの金属は、比重が7g/立方cm以上、好ましくは、比重が7〜9g/立方cmであり、一般に市販されている比較的安価な金属材料である。また、分銅8は平板状に形成され、フレーム2の板厚よりも薄い、例えば0.7mmの金属板をプレスによって打ち抜き加工によって形成される。このため、加工コストも安価にできる。
【0022】
フレーム2は、樹脂をモールド成形によって形成される。図3に示すように、このフレーム2には空心状のコイル3を嵌合する透孔部2a、及び、分銅8を嵌合する凹部2bが形成されている。また、フレーム2に板厚はコイル3の厚さに等しく形成され、コイル3の表裏面が露出するようにしている。円板形状のフレーム2の透孔部2aにはコイル3を嵌合し、さらに凹部2bには分銅8を嵌合することによって埋設される。また、フレーム2の非偏荷重領域には、ロータ1の静止位置を規制するための磁性体ピン7が埋設されている。この磁性体ピン7は、鉄やニッケルによって形成され、フレーム2から表面が露出するように設けられている。
【0023】
非通電時においてロータ1が停止したとき、磁性体ピン7には、マグネットによって磁性が誘起されて、磁性体ピン7とマグネットとの間に磁気吸引力が生じる。その結果、ロータ1は、S極とN極との境界上に磁性体ピン7が位置するように停止する。コイル3の中心線がマグネットのN極とS極の境界上からずれるので、ロータ1の静止位置が起動可能な位置になっている。このように、フレーム2内に磁性体ピン7を設けることにより、振動モータの起動エラーを回避することができるので、ロータ1がスムーズに始動し、振動が生じる。
【0024】
このように、上述した振動モータは、円板状のフレーム2に1個のコイル3を設けた1コイルモータであるため、フレーム2内で分銅8を配置するためのスペースが広い。そのため、比重が7g/立方cm以上の銅、真鍮、鉄、非磁性ステンレス等の金属板であってもロータ1の偏心量を十分増大させることができ、小型・薄型の振動モータであっても、携帯電話機の着信通知に対して要求される十分な振動量を得ることができる。さらに、1コイルモータであることから、コイル3を複数設ける場合に比べて、製造コストを低減することができる。
【0025】
図4は、フレーム2に埋設する分銅の変形例を示している。すなわち、図4に示す分銅10は、長四角形に形成している。そして、分銅10は、偏荷重領域WEの範囲内にコイル3と並設している。このように、分銅10を四角形に形成することによって、金属板の材料取りが良好になり、スクラップを最小限に少なくすることができるので、分銅10のコストをさらに低減することが可能となる。
【0026】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことはいうまでもない。例えば、フレームは樹脂製の他に、例えば、真鍮やアルミニウム等の非磁性金属板をプレス加工によって形成しても良い。この場合、コイルを嵌合する透孔部はプレス加工により打ち抜き形成し、さらに分銅を嵌合する凹部は、鍛造加工によって形成される。また、フレームは、偏荷重領域の板厚をコイルの厚さにほぼ等しく形成し、非偏荷重領域の板厚を薄くするように板厚を異ならせても良い。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、扁平型振動モータのロータに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による扁平型振動モータのロータを示す平面図である。
【図2】図1に示したロータの裏面図である。
【図3】図1に示したロータの断面図である。
【図4】本発明による扁平型振動モータのロータの変形例を示す平面図である。
【図5】従来の扁平型振動モータを示す平面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 ロータ
2 フレーム
3 コイル
6 整流子
7 磁性体ピン
8 分銅
WE 偏荷重領域
【出願人】 【識別番号】396007339
【氏名又は名称】株式会社ソーデナガノ
【出願日】 平成18年7月19日(2006.7.19)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−23436(P2008−23436A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−197509(P2006−197509)