トップ :: B 処理操作 運輸 :: B05 霧化または噴霧一般;液体または他の流動性材料の表面への適用一般

【発明の名称】 塗装品の製造方法、塗装装置及び電子写真装置用部品の製造方法
【発明者】 【氏名】玉田 栄一

【氏名】村松 進

【氏名】飯山 明宏

【要約】 【課題】塗膜品質を確保すると共に、爆発、火災等の危険性を回避する静電スプレー塗工法による電子写真装置用部品などの塗装品の製造方法、及び塗装装置の提供。

【構成】塗工ブース内で被塗装物をスプレー塗工する塗装品の製造方法において、被塗装物の塗工面を移動させながら静電スプレーガンにより−50kV以上−15kV以下の電圧を印加して帯電をさせた塗装液粒子を、好ましくは塗装液粒子の噴射方向と略平行な方向の気流を形成して、被塗装物の塗工面に噴射することを特徴とする塗装品の製造方法および塗装装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗工ブース内で被塗装物をスプレー塗工する塗装品の製造方法において、被塗装物の塗工面を移動させながら静電スプレーガンにより−50kV以上−15kV以下の電圧を印加して帯電をさせた塗装液粒子を前記塗工面に噴射することを特徴とする塗装品の製造方法。
【請求項2】
前記塗工ブース内に前記塗装液粒子の噴射方向と略平行な方向の気流を形成し、該気流中でスプレー塗工する請求項1に記載の塗装品の製造方法。
【請求項3】
前記塗工面付近の気流の流速を0.2m/秒以上1m/秒以下としてスプレー塗工する請求項2に記載の塗装品の製造方法。
【請求項4】
吸気側圧力が0.01MPa以上0.2MPa以下である気体供給装置により前記塗工ブースに気体を供給して気流を形成する請求項2又は3に記載の塗装品の製造方法。
【請求項5】
前記塗工ブース内の酸素濃度を10容量%以下とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の塗装品の製造方法。
【請求項6】
スプレー塗工時に前記塗工ブース内における気流の上流側から窒素を供給する請求項2乃至5のいずれか一項に記載の塗装品の製造方法。
【請求項7】
前記塗工ブース内における気流の上流側から供給する窒素濃度を95容量%以上とする請求項6に記載の塗装品の製造方法。
【請求項8】
前記静電スプレーガンの噴射口と前記塗工面との間隔を100mm以上200mm以下とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の塗装品の製造方法。
【請求項9】
被塗装物をスプレー塗工するための塗工ブースと、該塗工ブース内に被塗装物を支持し該被塗装物の塗工面を移動させる支持手段と、−50kV以上−15kV以下の電圧を印加して帯電させた塗装液粒子を前記塗工面に噴射する静電スプレーガンとを有する塗装装置。
【請求項10】
前記塗工ブース内に静電スプレーガンの噴射方向と平行な方向の気流を形成するための気体を供給する気体供給装置、及び前記塗工ブース内の気体を排出する排気装置を備えた請求項9に記載の塗装装置。
【請求項11】
前記気体供給装置は、0.01MPa以上0.2MPa以下の圧力の気体を収容した気体供給用タンクと、該気体供給用タンクから気体を吸入して前記塗工ブース内に供給する気体供給装置とを有する請求項10に記載の塗装装置。
【請求項12】
前記塗工ブース内に、前記塗工ブース内の気流の流れ方向を整える整流板を備えた請求項10又は11に記載の塗装装置。
【請求項13】
前記整流板と被塗装物との間隔を、40mm以上100mm以下にできる請求項12に記載の塗装装置。
【請求項14】
前記整流板は、導電性材料からなる請求項12又は13のいずれか一項に記載の塗装装置。
【請求項15】
前記整流板は、前記塗工ブースへの着脱及び取り付け角度の調節が可能である請求項12乃至14のいずれか一項に記載の塗装装置。
【請求項16】
被塗装物は静電スプレーガンより下部に配置された円筒体であり、前記円筒体の中心軸が略水平になるように支持し、且つ前記円筒体の中心軸を中心に回転させる支持手段を有しており、前記静電スプレーガンの噴射方向は下向きの鉛直方向に対して3°以上6°以下の傾きを有し、前記静電スプレーガンの噴射方向を表す噴射の中心線と前記円筒体の外表面との交点は前記円筒体が回転する際に前記円筒体の外表面が下方へ下がっていく位置にある請求項9乃至15のいずれか一項に記載の塗装装置。
【請求項17】
前記静電スプレーガンの噴射方向を表す噴射の中心線と、前記円筒体の外表面との交点は、前記円筒体の中心軸を含む鉛直面から7mm以上13mm以下の距離にある請求項16に記載の塗装装置。
【請求項18】
前記支持手段は、130rpm以上180rpm以下で前記円筒体を回転させることができる請求項16又は17に記載の塗装装置。
【請求項19】
請求項9乃至18のいずれか一項に記載の塗装装置を用いて、電子写真装置用部品の基体表面に塗工液を塗工する電子写真装置用部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装品の製造方法、塗装装置及び電子写真装置用部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置は複写機、プリンター等として広く実用化されているが、近年はその高解像度化、フルカラー化が進展している。高解像度化について述べると、従来は600dpiであった解像度が1200dpi、あるいはそれ以上が要求されるようになっている。また、カラーもフルカラーとして、銀塩に匹敵するフルカラー品質が要求されている。これらの高解像度化、あるいはフルカラー化した電子写真装置では、画像形成に直接かかわる部品も従来品よりも高い品質が求められている。例えば、電子写真感光体は静電潜像を形成したのち、トナーを付着させてトナー像を形成する重要な部品であるが、この欠陥は静電潜像、及び、トナー像に直接悪影響を与えるので、均一で欠陥の無いことが求められている。
【0003】
電子写真感光体はアモルファスシリコン等を使用した無機感光体と、有機光半導体を使用した有機感光体(以下OPCと略す)とがある。有機感光体は感光体基体への感光体材料の塗工によって製造することができ、塗膜の構成と各塗膜の成分、厚さによって特性を制御できるので、広く使用されている。一般に、電子写真感光体の製造は以下のようにして行われる。先ず、所定の長さに切削された円筒状の導電性基体を洗浄する洗浄工程があり、ここで切削時の油分、切粉等の不純物の除去を行う。通常、洗浄工程は水系洗浄液で行われる。洗浄後、導電性基体表面に残る水分を除去するために乾燥工程が設けられている。続いて、洗浄乾燥された導電性基体の外周面に下引き層、感光層、保護層等を形成する工程がある。前記各層の形成には、一般的に溶剤に溶解された感光材料が使用されている。導電性基体の外周面に下引き層、感光層、保護層等を塗布する塗工法としては、浸漬塗工法、リング塗工法、スプレー塗工法等が知られている。
【0004】
電子写真感光体の製造には、装置の簡便性や多品種生産への適応性等の観点からスプレー塗工法が適用されることが多い。例えば、特許文献1によれば、スプレー塗工においてスプレーを固定し、被塗装物を移動させるとともに回転させながらスプレー塗工することにより塗装むらをなくすことができる。また、特許文献2によれば、スプレー塗工における塗工ブース内を排気をするとともに、塗工ブース内に配置された被塗装物の表面を事前にエアースプレーなどにより除塵してから塗工することにより、塗工面の塗装品質の向上を図っている。
【0005】
しかし、スプレー塗工法では噴霧した液滴の一部は塗装物に付着せず、塗液の利用効率が低くなる場合が多い。塗液の利用効率を向上させるスプレー塗工法としては、静電スプレー塗工法が知られている。静電スプレー塗工法は、帯電した塗装液の微粒子を噴霧して、帯電した塗装液の微粒子と被塗装物との間に静電力による吸引力を発生させて、被塗装物に塗装液を塗工する方法である。これにより、塗装液の付着効率を向上させることができる。特許文献3には、回転板により塗料を霧化して、塗装物に吹き付ける静電スプレー塗工法が開示されている。また、特許文献4には、回転する円筒状被塗装物に均一な膜厚の塗工面を形成する静電スプレー塗工法が開示されている。静電スプレー塗工法は、被塗装物への塗料の付着効率は向上させられるが、静電スプレーにより帯電した塗装液の微粒子と被塗布物やスプレー塗工ブースとの間に静電気による火花が発生し易い。通常、静電スプレー塗工法の塗装液には、有機溶剤が使用されており、塗工ブース内が可燃性雰囲気となっており、火花によって引火爆発を起こす危険性が高くなる。一般に、静電スプレーを使用する場合、このような危険性を回避するため被塗装物やスプレー塗工ブース等を接地しているが、接地状態不良や短絡の可能性等安全性の確保には十分配慮せねばならなかった。また、静電スプレー塗工法では、スプレーガンと被塗装物の間の距離を短くすれば、その間に形成される静電界が強くなるため、塗装液の付着効率を向上させることができるが、被塗装物に到達する塗装液の速度が大きくなりすぎ、塗膜むらが発生し塗装の品質が安定しないという問題があり、塗料の利用効率と製品の品質確保とのバランスが難しかった。また、スプレーガンと被塗装物との間の距離が短すぎると、スプレーガンと被塗装物の間の短絡が起るという安全上の問題があった。
【特許文献1】特開2003−122035号公報
【特許文献2】特開2006−65149号公報
【特許文献3】特開昭62−6172号公報
【特許文献4】特許第3166270号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、優れた塗膜品質を確保すると共に、爆発、火災等の危険性を回避する静電スプレー塗工法による電子写真装置用部品などの塗装品の製造方法、及び静電スプレー塗工法による塗装装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における課題を解決するための手段は、以下の通りである。
【0008】
請求項1に記載した本発明は、塗工ブース内で被塗装物をスプレー塗工する塗装品の製造方法において、被塗装物の塗工面を移動させながら静電スプレーガンにより−50kV以上−15kV以下の電圧を印加して帯電をさせた塗装液粒子を前記塗工面に噴射することを特徴とする塗装品の製造方法である。
【0009】
請求項2に記載した本発明は、前記塗工ブース内に前記塗装液粒子の噴射方向と略平行な方向の気流を形成し、該気流中でスプレー塗工する請求項1に記載の塗装品の製造方法である。
【0010】
請求項3に記載した本発明は、前記塗工面付近の気流の流速を0.2m/秒以上1m/秒以下としてスプレー塗工する請求項2に記載の塗装品の製造方法である。
【0011】
請求項4に記載した本発明は、吸気側圧力が0.01MPa以上0.2MPa以下である気体供給装置により前記塗工ブースに気体を供給して気流を形成する請求項2又は3に記載の塗装品の製造方法である。
【0012】
請求項5に記載した本発明は、前記塗工ブース内の酸素濃度を10容量%以下とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の塗装品の製造方法である。
【0013】
請求項6に記載した本発明は、スプレー塗工時に前記塗工ブース内における気流の上流側から窒素を供給する請求項2乃至5のいずれか一項に記載の塗装品の製造方法である。
【0014】
請求項7に記載した本発明は、前記塗工ブース内における気流の上流側から供給する窒素濃度を95容量%以上とする請求項6に記載の塗装品の製造方法である。
【0015】
請求項8に記載した本発明は、前記静電スプレーガンの噴射口と前記塗工面との間隔を100mm以上200mm以下とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の塗装品の製造方法である。
【0016】
請求項9に記載した本発明は、被塗装物をスプレー塗工するための塗工ブースと、該塗工ブース内に被塗装物を支持し該被塗装物の塗工面を移動させる支持手段と、−50kV以上−15kV以下の電圧を印加して帯電させた塗装液粒子を前記塗工面に噴射する静電スプレーガンとを有する塗装装置である。
【0017】
請求項10に記載した本発明は、前記塗工ブース内に静電スプレーガンの噴射方向と平行な方向の気流を形成するための気体を供給する気体供給装置、及び前記塗工ブース内の気体を排出する排気装置を備えた請求項9に記載の塗装装置である。
【0018】
請求項11に記載した本発明は、前記気体供給装置は、0.01MPa以上0.2MPa以下の圧力の気体を収容した気体供給用タンクと、該気体供給用タンクから気体を吸入して前記塗工ブース内に供給する気体供給装置とを有する請求項10に記載の塗装装置である。
【0019】
請求項12に記載した本発明は、前記塗工ブース内に、前記塗工ブース内の気流の流れ方向を整える整流板を備えた請求項10又は11に記載の塗装装置である。
【0020】
請求項13に記載した本発明は、前記整流板と被塗装物との間隔を、40mm以上100mm以下にできる請求項12に記載の塗装装置である。
【0021】
請求項14に記載した本発明は、前記整流板は、導電性材料からなる請求項12又は13のいずれか一項に記載の塗装装置である。
【0022】
請求項15に記載した本発明は、前記整流板は、前記塗工ブースへの着脱及び取り付け角度の調節が可能である請求項12乃至14のいずれか一項に記載の塗装装置である。
【0023】
請求項16に記載した本発明は、被塗装物は静電スプレーガンより下部に配置された円筒体であり、前記円筒体の中心軸が略水平になるように支持し、且つ前記円筒体の中心軸を中心に回転させる支持手段を有しており、前記静電スプレーガンの噴射方向は下向きの鉛直方向に対して3°以上6°以下の傾きを有し、前記静電スプレーガンの噴射方向を表す噴射の中心線と前記円筒体の外表面との交点は前記円筒体が回転する際に前記円筒体の外表面が下方へ下がっていく位置にある請求項9乃至15のいずれか一項に記載の塗装装置である。
【0024】
請求項17に記載した本発明は、前記静電スプレーガンの噴射方向を表す噴射の中心線と、前記円筒体の外表面との交点は、前記円筒体の中心軸を含む鉛直面から7mm以上13mm以下の距離にある請求項16に記載の塗装装置である。
【0025】
請求項18に記載した本発明は、前記支持手段は、130rpm以上180rpm以下で前記円筒体を回転させることができる請求項16又は17に記載の塗装装置である。
【0026】
請求項19に記載した本発明は、請求項9乃至18のいずれか一項に記載の塗装装置を用いて、電子写真装置用部品の基体表面に塗工液を塗工する電子写真装置用部品の製造方法である。
【発明の効果】
【0027】
請求項1乃至8に記載した本発明によれば、塗膜品質を確保すると共に、爆発、火災等の危険性を回避する静電スプレー塗工法による塗装品の製造方法を提供することができる。特に、請求項2、3、4、8に記載した本発明は、塗膜品質に優れた塗装品の製造に適しており、請求項2乃至7に記載した本発明は、爆発、火災等の危険性を回避する静電スプレー塗工法による塗装品の製造に適している。
【0028】
請求項9乃至18に記載した本発明によれば、塗膜品質を確保すると共に、爆発、火災等の危険性を回避する塗装装置を提供することができる。特に、請求項10乃至13及び15乃至18に記載した本発明は、塗膜品質に優れた塗装品の製造に適した塗装装置であり、請求項10、14及び15に記載した本発明は、爆発、火災等の危険性を回避する静電スプレー塗工法による塗装品の製造に適した塗装装置である。また、請求項16乃至18に記載した本発明、塗料の利用効率がよい塗装品の製造に適した塗装装置である。さらに、請求項19の発明によれば、高品質の電子写真装置用部品を安全に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
【0030】
本発明の塗装品の製造方法においては、塗工ブース内で被塗装物をスプレー塗工する塗装品の製造方法において、被塗装物の塗工面を移動させながら静電スプレーガンにより噴霧された塗装液粒子に、−50kV以上−15kV以下、好ましくは−40kV以上−20kV以下の電圧を印加して帯電をさせて塗工面に噴射する塗装品の製造方法である。この塗装品の製造方法を実現するための塗工装置の構成を図1に例示する。図1に示す塗工装置26には、スプレー塗工ブース1内に円筒形の被塗工物2、例えば電子写真装置用感光体の基体を設置し、これを支持しながら回転させる支持装置3と、被塗工物2の軸線と平行に移動させながら塗装液を噴射する静電スプレーガン4を備えている。静電スプレーガン4は、塗装液を供給する塗装液タンク7、送液ポンプ8、及び供給された塗装液を霧化し噴射する噴霧用気体供給装置9を備えている。静電スプレーガン4によってスプレー塗工を行なって被塗工物2の外周面に塗膜を形成することによって塗装品を製造する。
【0031】
ここで、静電スプレーガン4は、静電スプレーガンとなっている。静電スプレーガンは、電圧印加装置5、電圧変換用コントローラ6を備えている。通常、電圧印加装置5は接地電圧に対しマイナスの電圧を印加する。本発明においては、静電スプレーガン4のスプレーノズルの先端22に−50〜−15kV、好ましくは−20〜−40kVの電圧を印加しておき(図7参照)、静電スプレーガン4のスプレーノズルの先端22から被塗工物2に向けて塗装液を噴射すれば、噴霧された塗装液粒子は上述のマイナス電荷を帯びながら噴霧される。一方、被塗装物2を支持装置3等を介して接地しておけば、被塗工物2と塗装液粒子との間に−50〜−15kVの静電場が生じる。この静電場の引力により、塗装液粒子は被塗工物2に吸い寄せられるようにして付着する。このため、静電スプレー塗工は、通常のスプレー塗工に比べ塗装液の利用効率が非常に高くなる。静電スプレー塗工法を適用する事で、高価な塗装液でも塗着効率を高め塗装液コストを1/2以下にできることがある。塗装液粒子を帯電するための印加電圧は、−50kVより低すぎる(接地電圧との電位差が大きすぎる)と付着引力が増大しすぎ、塗膜むらができ易く、塗膜品質が悪くなる。印加電圧が−15kVより高すぎる(接地電圧との電位差が小さすぎる)と静電気力が弱まり、付着効率が悪くなる。また、印加電圧が−50kVより低すぎると静電気火花による引火爆発の危険性が高まる。
【0032】
本発明の好ましい態様として、上述の塗装方法において、塗工ブース内に塗装液粒子の噴射方向と略平行な流れ方向の気流を形成し、この気流中でスプレー塗工する方法がある。図2に示す様に、静電スプレーガンの噴射方向10に対して上流側から下流側に新鮮な気体を流す事で被塗工物2に塗工できなかった塗装液粒子や塗装液中に含まれる溶剤等の可燃物の滞留を防ぐことができる。これにより、爆発、火災の危険性を低下できる。また、塗工ブース内に上述の気流を形成することにより、被塗工物に正常に付着できなかった塗装液粒子が塗工ブース内に滞留して、被塗工物の乾燥工程などにおいて意図しない被塗工物への付着が起こり、塗膜の異常を来すことも防ぐことができる。図2は、本発明の塗工装置における静電スプレーガンの噴射方向を矢印で表しており、気流の形成方向もこの矢印と同一方向である。なお、気流の方向は、厳密なものではなく、被塗工物付近において図2におけるスプレー方向を表す矢印と同じ方向に、塗工ノズル4よりも上流側から被塗工物2の下流側へと向かっておればよい。現実には、塗工ノズルの噴射口付近や被塗工物の近傍の気体は、厳密にスプレー方向を表す矢印の方向には流れ得ない。例えば図6に示すような被塗工物の回転に伴う気体の連れまわりなどが起こっている。ここでいう塗装液粒子の噴射方向と略平行な流れ方向の気流とは、塗工ノズルから噴射された塗装液粒子のうち、正常に被塗工物に付着できなかった塗装液粒子を滞留させないで気流に乗せて除去できる気流であればよい。また、静電スプレーガンの噴射方向とは、噴射される塗装液粒子が形成する円錐形の中心軸線上を塗装液粒子が進んでいく方向である。
【0033】
気流の形成においては、塗工面付近の気流の流速を0.2m/秒以上1m/秒以下、好ましくは0.3m/秒以上0.6m/秒以下とすることが望ましい。気流の流速が0.2m/秒より遅いと上述の塗装液粒子の除去効果が不十分となり、1m/秒より早いと正常に塗工面に付着すべき塗装液粒子まで気流により流されてしまい、塗工面に付着できないため塗装液の利用効率が落ちることがある。気流の流速を上述の範囲とする事により、被塗工物周辺の気流の巻き上がりを防ぎ整流化が可能となり、スプレー塗工時に発生する被塗工物周辺に漂う被塗工物に付着しなかったオーバーミストを効率よく排気口側に流す事が出来、塗膜欠陥が低減できる。
【0034】
通常、気流を形成するために、塗工ブース内の気流の上流側に気体供給装置を設置することが好ましい。気体供給装置は、高圧ボンベのような高圧気体の直接供給装置であってもよく、気体供給用ブロアであっても良い。気体供給用ブロアの場合、吸気側圧力を0.01MPa以上0.2MPa以下とすることが好ましい。気体供給用ブロアの吸気側圧力を0.01MPa以上0.2MPa以下とすることにより、気体が送気される塗工ブース内の気流の脈動を防ぎ、適度な動力で塗工ブース内に0.2m/秒以上1m/秒以下の流速の気流を形成することができる。
【0035】
塗工ブース内での引火爆発の危険性を抑える態様として、塗工ブース内の酸素濃度を10容量%以下、好ましくは5%容量以下とする上記の静電スプレー塗装法がある。酸素濃度が10%容量以下好ましくは5容量%以下であれば、空気中で静電塗装を施す際には発生する静電気火花が着火源となりうる着火エネルギーに達しても爆発、火災が発生しない場合がある。この方法は、着火、爆発の三原則である酸素・着火源・可燃物の一つである酸素量を少なくし、通常の酸素濃度21%程度であれば最小着火エネルギーが0.1mJ〜1.0mJ程度の一般的な塗料用溶剤を塗装液の稀釈溶媒として使用しても着火しないようにしている。例えば、酸素濃度が10%容量以下の環境下では、前記溶媒でも最小着火エネルギーが1mJとなることが多い。本発明における印加電圧で静電スプレー塗工をしていれば、1mJ以上の静電火花のエネルギーが発生することは少なく貧家爆発の危険がなくなる。塗工ブース内の酸素濃度を10容量%以下とする具体的方法として、例えば、スプレー塗工時に塗工ブース内における気流の上流側から窒素、好ましくは窒素濃度を95容量%以上、さらに好ましくは99容量%以上の高濃度窒素を供給する方法がある。塗工ブース内に給気する窒素ガス純度が95容量%以上好ましくは、99容量%以上であれば、塗工ブース1内の酸素濃度を10%以下好ましくは5%以下に維持でき、静電塗装を施す際に発生する静電気による火花エネルギーが溶剤等の着火エネルギー源となり得ず、爆発、火災を防止出来る。
【0036】
図3には、給気ブロアおよび排気ファンを備えた本発明の塗装装置を示した。この塗装置は、塗工ブース1内において、スプレー方向10に対して上流側に給気口11、スプレー方向10に対して下流側に排気口12を有している。給気口11には給気ブロア18が付設されている。排気口12には排気ファン19が付設されている。スプレー方向10に対して上流側に給気口11、スプレー方向10に対して下流側に排気口12を設け、給気ブロア18と排気ファン19を付設する事により、スプレー塗工時に発生する被塗工物に付着しなかったオーバーミストを効率よく排気とともに除去出来、塗工ブース内を清浄に維持できる。このようにすれば、塗工ブース内のクリーン度としては非塗工時にてクラス100以下が達成できる。
【0037】
通常、本発明の塗装品の製造方法においては、塗工ブース内においてスプレー塗工をした後、塗布された塗膜の乾燥を行う。塗膜の乾燥はスプレー塗工よりも長時間を要することが多く、この間に窒素を塗工ブース内に供給し続けることは経済的ではない。そこで、火災爆発の原因となる塗装液の噴射が終わり、塗工工程から乾燥工程に移ったら窒素供給は停止することが好ましい。スプレー塗工中のみ窒素ガスを供給することにより、窒素供給量が50%以上削減され、窒素供給装置自体を小型化でき窒素供給装置の投資額が半分以下となることもある。
【0038】
静電スプレーガンのスプレーノズルの先端にある噴射口と塗工面との間隔は、100mm以上200mm以下、好ましくは110mm以上150mmmm以下とすることが望ましい。図7に示す静電スプレーガンのスプレーノズルの先端22の噴射口から被塗工物2の塗工面までの距離23が、100mmよりも近いと塗膜の膜質が荒れるとともに、膜厚のバラツキが大きくなり、塗膜品質が劣化する。また、スプレーノズルの先端22の電荷電極部分と被塗工物2との間に放電が起きる可能性があり、安全上の問題が発生する。また、スプレーノズルの先端22の噴射口から被塗工物2の塗工面までの距離23が200mmよりも遠いと塗装液粒子の付着効率が低下し、不経済的である。
【0039】
本発明の塗装装置は、被塗装物をスプレー塗工するための塗工ブースと、塗工ブース内に塗装物を支持し該塗装物の塗工面を移動させる移動手段と、−50kV以上−15kV以下の電圧を印加して帯電させた塗装液粒子を前記塗工面に噴射する静電スプレーガンとを有する。好ましい本発明の塗装装置は、塗工ブース内に静電スプレーガンの噴射方向と平行な流れ方向の気流を形成するための気体を供給する気体供給装置、及び塗工ブース内の気体を排出する排気装置を備えている。さらに好ましい本発明の塗装装置は、0.01MPa以上0.2MPa以下の圧力の気体を収容した気体供給用タンクと、前記気体を気体供給用タンクから吸入して前記塗工ブース内に供給する気体供給装置とを有する。
【0040】
図4に窒素気流形成に好ましい態様の本発明の塗装装置を示した。この塗装装置は、塗工ブース1へ供給される供給ガスは、空気でも良いが通常は窒素ガスを用いることが好ましいので窒素発生装置20にて生成され、窒素発生装置20から供給された窒素ガスのレシーバータンク21にて0.01MPa〜0.2MPa好ましくは0.01MPa〜0.05MPaへ減圧して保管され、給気ブロア18にて塗工ブース1へ供給される。このため、給気ブロア18の吸気側は、0.01MPa〜0.2MPa好ましくは0.01MPa〜0.05MPaとすることができる。給気ブロア18の吸気をこのようにすると、給気ブロア18の吐出圧力が安定し、塗工ブース1内に常に脈動のない安定した窒素ガスを送気する事が可能となり、気流の脈動による塗工ブース内のオーバーミストの滞留や被塗工物への再付着による塗膜欠陥を防止できる。
【0041】
図8及び図9には、本発明の好適な塗工装置の構成例を示した。図8の塗工装置は、上から見た図であり、被塗工物2は円筒状の電子写真装置用の感光体を想定している。塗工ブース1の右側、すなわち気流の上流側から窒素を供給するための窒素発生装置20、レシーバータンク21及び給気ブロア18を備えている。気流の塗工ブース1の下流側には、排気ファン19を備えている。静電スプレーガン4は、被塗工物2の右側、すなわち気流の上流側から被塗工物2の塗工面上に塗装液を噴霧するように配置されている。被塗工物2は円筒軸を中心に回転し、静電スプレーガン4は円筒形の被塗工物2の外表面全体、図でいえば上から下までを塗工できるように塗工ブース1内を上下に移動できるようになっている。このように被塗工物2と静電スプレーガン4とが動くことにより、円筒形の被塗工物の外表面全体が塗工できる。
【0042】
本発明の塗装装置においては、塗工ブース内の気流の流れ方向を整えるために塗工ブース内に整流板を備えることが好ましい。図9は、図8における塗工ブース1を図の上部(Aの矢印の方向)、すなわち被塗工物2内を円筒の軸方向から見た図である。図9からわかるように、2枚の整流板13は被塗工物を挟んで配置され、2枚の整流板13の間隔は気流の上流側より下流側の方が狭くなっている。なお、この整流板13は着脱可能であり、また給気ガス下流側における間隔16の距離を変動可能である。整流板13は、気流が流通するための被塗装物2との間隔が40mm以上100mm以下であることが好ましく、導電性材料からなる整流板13であることがさらに好ましい。このような整流板13は、塗工ブース1内への着脱及び取り付け角度の調節が可能であることが好ましい。
【0043】
図5、図6及び図9には、塗工ブース内に備えられた整流板の説明図を示した。これらの図は、例えば図3の塗工ブース1内を上から見た図である。これらの図では、塗工ブース1内に円筒状の被塗工物2を設置し、これを回転させながら被塗工物2の表面に塗膜を形成する際、被塗工物2の円筒の軸線と平行な位置に被塗工物2をはさむ形で2枚の整流板13が設けられている。なお、図5,6では静電スプレーガンは図示していないが、図の右側にあり、右側が気流の上流側になる。整流板13を設ける事で、塗工ブース1内の気流を整流出来、且つ、被塗工物2と整流板13との間の気流の流速を少ない給気風量で整流する事が可能となる。
【0044】
図5に示す気流の上流側における整流板間の間隔15と気流の下流側における整流板間の間隔16との比は1.5対1乃至3対1、好ましくは略2対1とすることが望ましい。この比を1.5対1乃至3対1、好ましくは略2対1とすることで、塗工ブース内全体の気流の流速が比較的遅くても、整流板が被塗工物2周辺の気流を整流化する効果が大きくなり、スプレー塗工時に発生する被塗工物2周辺に漂う被塗工物に付着しなかったオーバーミストを効率よく排気口側に排出する事が出来る。これにより、被塗工物2に意図しないミストの付着が防げ、塗膜欠陥が低減できる。また、溶剤などの滞留による爆発の危険性も予防できる。
【0045】
図6には、塗工ブース内の気流が、被塗工物2の近傍で被塗工物の回転に伴う気流の連れまわりで乱れている様子を表している。この場合、整流板13と被塗工物2との間隔が40mm以上好ましくは60mm以上で、100mm以下好ましくは80mm以下であると、被塗工物2の回転によって発生する被塗工物2近傍の連れまわり気流17による気流の乱れに影響されずに、オーバーミストを効率よく排気口側に排出する事が出来、オーバーミストの被塗工物2への再付着による塗膜欠陥が低減できる。
【0046】
好ましい態様の本発明の塗装装置として、被塗工物は静電スプレーガンより下部に配置された円筒体であり、円筒体の中心軸を略水平になるように支持し、且つ前記円筒体の中心軸を中心に回転させることができる支持体を有しており、静電スプレーガンの噴射方向を表す中心線は下向きの鉛直方向に対して3°以上6°以下の傾きを有し、静電スプレーガンの噴射方向を表す中心線と円筒体の外表面との交点は円筒体が回転する際に円筒体の外表面が下方へ下がっていく位置にある塗装装置がある。
【0047】
図10に、この塗装装置の構成の一例を示す。図10は、静電スプレーガン4を用いて、円筒体の被塗工物2上に塗装液を塗工する際の説明用に記号を追記している。この塗工装置26は、図示したように塗工ブース1の上下関係が決まっている。図の上が塗工ブース1の上部である。被塗工物2は、支持装置3(不図示)によって支持され被塗工物2の円筒体の中心軸Oを中心にして回転可能となっている。被塗工物2は、円筒体の中心軸Oが略水平方向になるように配置されている。静電スプレーガン4は、被塗工物2の上部にあり、被塗工物2の円筒体の中心軸Oに平行に移動可能である。さらに、給気ブロア18から清浄な気体、例えば空気や窒素などが給気され、塗工ブース1の下側から排気される。なお、静電スプレーガン4は、塗装液を霧化し、霧化された塗装液に電圧を印加することにより帯電させることができる。帯電された塗装液粒子は、円筒状の被塗工物2に向かって噴射され被塗工物2の外表面を塗装する。被塗工物2は接地されており、静電スプレーガン4から噴出された塗装液粒子と被塗工物2との間に電界が形成され静電引力が作用するため、塗装液粒子は、噴射力に加えて、静電引力により被塗工物2に引き付けられ、塗装液の付着効率が向上する。なお、霧化された塗装液に印加する電圧は、要求される塗装液の付着効率等に応じて、−15kV〜−50kV、好ましくは−20kV〜−40kVの間で適宜変更することが可能である。
【0048】
図10に示す塗装装置は、気流を整流する整流板13が、円筒状の被塗工物2の左右両側に設置されている。整流板13は、気流の上流側の幅Wより下流側の幅Wの方が狭くなっている。整流板13により、乱流及び気流の滞留部の発生を抑制することができる。そのため、被塗工物2に付着しなかった塗装液の被塗工物2への再付着を抑制することができ、被塗工物2の塗膜品質、歩留まりが向上する。また、整流板13が鉛直下向きに幅が狭くなる構造をしているため、気流の下流側で、気流の流速が上昇して噴射された塗装液粒子の移動速度が上昇する。これにより、塗装液の被塗工物2への付着効率を向上させることができる。
【0049】
整流板13の材料は、特に限定されないが、導電性材料からなることが好ましい。これにより、噴出された塗装液による整流板13の帯電を抑制することができる。その結果、スパーク等の発生を抑制することができ、塗装工程の安全を確保することができる。整流板13は、脱着可能で取り付け位置及び取り付け角度の調節が可能であることが好ましい。例えば、塗工ブース1の側面に複数の整流板13の取り付けガイドを設けることにより、整流板13の脱着可能とし、取り付け位置及び取り付け角度を調節することができる。
【0050】
本発明において、静電スプレーガン4が帯電された塗装液を噴射する方向は、すなわち噴射される塗装液竜の形成する円錐形の中心線方向に相当する噴射方向は、鉛直方向に対して、被塗工物2の回転方向に3°〜6°傾いていることが好ましく、4°〜5°傾いていることがさらに好ましい(図10中ではこの角度をθで表している。)。これにより、被塗工物2上のスプレーパターンが被塗工物2の外径を超えない範囲で広げることができ、このような範囲で塗装液が噴射されるため、塗装液の付着効率を向上させることができる。θが3°未満である場合は、被塗工物2上のスプレーパターンがほとんど広がらないことがある。また、θが6°を超える場合は、被塗工物2上のスプレーパターンが円筒状導電性基体1の外径を超えることがある。
【0051】
この塗装装置においては、静電スプレーガン4の噴射方向を表す中心線と、被塗工物2である円筒体の外表面との交点は、円筒体の中心軸を含む鉛直面からの距離dが7mm以上好ましくは9mm以上、13mm以下好ましくは11mm以下にあることが望ましい。この場合、静電スプレーガン4の噴射方向を表す中心線と、被塗工物2である円筒体の外表面との交点は、円筒体の中心軸を含む鉛直面に対して静電スプレーガン4と同じ側にあることが好ましい。これにより、被塗工物2上のスプレーパターンを被塗工物2の外径を超えない範囲で広げることができる。上記距離dが7mm未満である場合は、被塗工物2上のスプレーパターンがほとんど広がらないことがある。また、dが13mmを超える場合は、被塗工物2上のスプレーパターンが被塗工物2の外径を超えることがある。
【0052】
本発明において、支持装置3が被塗工物2を回転させる回転数は、130〜180rpmであることが好ましく、150〜160rpmであることがさらに好ましい。このようにすることにより、静電スプレーガン4から噴霧された塗装液粒子を含む気流の被塗工物2の回転による巻き上がりの発生を抑制することができ、被塗工物2表面への塗工のむらを防止できる。このため、被塗工物2への塗工における膜厚の安定性に優れ、塗膜品質を向上させることができる。被塗工物2の回転数が130rpm未満である場合は、塗装むらが発生して膜厚の安定性が低下しやすく、被塗工物2の回転数が180rpmを超える場合は、被塗工物2の近傍で気流に影響を及ぼして、気流の巻き上がりが発生し、膜厚の安定性が低下することがある。
【0053】
本発明の塗装装置においては、静電スプレーガン4が帯電された塗装液を噴出するスプレーノズルの先端22と被塗工物2の塗工面との距離lを、100mm〜200mm、好ましくは110mm〜150mm、さらに好ましくは120mm〜130mmの間で可変にすることが望ましい。これにより、被塗工物2に形成された塗装の高い塗膜安定性が得られる。スプレーノズルの先端22と被塗工物2の塗工面との距離lが100mm未満である場合は、噴射される塗装液粒子の勢いが強い状態で被塗工物2に到達して、塗膜品質に問題が生じることがあり、この距離lが200mmを超えると、被塗工物2上の塗装液の利用効率が悪くなる虞がある。
【0054】
なお、図10に示す塗装装置においては、静電スプレーガン4を被塗工物2の円筒の中心軸Oに対して略平行に移動させる代わりに、支持装置又はその他の移動手段をにより、被塗工物2を中心軸Oを中心に回転させるとともに、中心軸Oの方向に沿って移動させてもよい。このようにすれば、静電スプレーガン4を移動させなくても、被塗工物2の外表面全体に塗工ができる。
【0055】
以上説明した塗装装置を用いて、電子写真装置の感光体基体をはじめとする電子写真装置の部品その他の被塗装品を塗装することにより、感光体をはじめとする電子写真装置の部品その他の塗装品を製造することができる。
【実施例】
【0056】
以下に本発明を実施例と比較例によって説明するが、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。
【0057】
(実施例1)
アルキッド樹脂(ベッコゾール1307−60−EL(大日本インキ化学工業社製))15質量部、メラミ樹脂(スーパーベッカミンG−821−60(大日本インキ化学工業社製))10質量部をメチルエチルケトン150質量部に溶解し、これに酸化チタン粉末(タイペールCR−EL(石原産業社製))90質量部を加えボールミルで12時間分散し分散液を作成した。この分散液を容器に取り出し固形分が25質量%となるようにシクロヘキサノンで稀釈し、下引層用塗装液を作製した。この下引層用塗装液をφ80mm、長さ380mm、厚さ2mmの筒状のアルミ製ドラムの外表面に浸漬塗工法によって塗布し、塗布後、130℃で20分間乾燥し、膜厚が8.2μm、有効画像領域の最大膜厚差が0.4μmの下引層を塗工したアルミ製ドラムを得た。
【0058】
次にポリビニルブチラール樹脂(エスレックHL−S(積水化学工業社製))4質量部をシクロヘキサノン150質量部に溶解し、この溶解液に下記の構造式に示すトリスアゾ顔料(1)10質量部を加え、ボールミルで48時間分散後、さらにシクロヘキサノン210質量部を加えて3時間分散し分散液を作成した。
【0059】
【化1】


【0060】
この分散液を容器に取り出し固形分が1.5質量%となるようにシクロヘキサノンで稀釈し電荷発生層用塗装液を作成した。この電荷発生層用塗装液を、前記下引層を塗工したアルミ製ドラム上に浸漬塗工法によって塗布後、130℃
20分間乾燥し、波長690nmにおける透過率が4%で、有効画像領域の最大透過率差が0.2%の電荷発生層を塗工したアルミ製ドラムを得た。
【0061】
次に、テトラヒドロフラン83質量部に、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂10質量部、シリコンオイル(KF−50(信越化学工業社製))0.002質量部を溶解し、これに下記の構造式に示す電荷輸送物質(2)8質量部を加えて溶解させ、固形分が8質
量%となるようにシクロヘキサノンで稀釈し電荷輸送層用塗装液を作製した。
【0062】
【化2】


【0063】
こうして得られた電荷輸送層用塗装液を、電荷発生層を塗工したアルミ製ドラム上に、図8及び9に示す構成の静電スプレー塗工装置を使用してスプレー塗工法によって塗布した。塗工条件を以下に記す。
【0064】
静電スプレーノズル22への印加電圧:−40KV
塗工ブース1内のアルミ製ドラム2付近の上流から下流への気流の速度:0.3m/秒
塗工ブース1内の酸素濃度:5%
塗工ブース1内の窒素濃度:95%
塗工ブース1への窒素ガスの供給:スプレー塗工時のみ有り(塗膜乾燥時は無し)
レシーバータンク内の窒素ガス圧力:0.01MPa
静電スプレーノズル22と被塗工面との距離:110mm
整流板13の有無又は、材質:ステンレス
整流板13の上流側15の間隔と下流側16の間隔との比率:2:1
整流板13とアルミ製ドラム2との距離24:80mm
アルミ製ドラム2の回転速度:80rpm
静電スプレー4移動速度:5mm/秒
静電スプレー4の塗装液吐出量:25ml/分
静電スプレー塗工後、塗工ブース1内で、130℃で20分間乾燥し、膜厚25μm、有効画像領域の最大膜厚差1.2μmの電荷輸送層を形成した、3層被膜で被覆された被覆アルミ製ドラムを作製した。この被覆アルミ製ドラムは、電子写真感光体として使用することができ、電子写真感光体(1)とした。同様にして、実施例1の電子写真感光体用の電子写真感光体(1)を10本作製した。
【0065】
なお、上記の電子写真感光体(1)の下引層及び電荷輸送層の膜厚及びそのばらつきの測定においては、それぞれアルミ製ドラム上に単独の膜を設け、渦電流式膜厚測定器(フィッシャー社製)により任意の測定点80点における膜厚を測定し、その平均値を膜厚、最大値と最小値の差を最大膜厚差とした。電荷発生層の透過率及び最大透過率差は、透明PETフィルム上に同様に単独の膜を設け、分光光度計により690nmにおける透過率を任意の測定点60点について測定し、その平均値及び最大値と最小値の差として算出した。
【0066】
(実施例2)
以下に示す電荷輸送層の塗工条件以外は実施例1と同様にして、被覆アルミ製ドラムである電子写真感光体(2)を10本作製した。
印加電圧:−20KV
塗工ブース1内のアルミ製ドラム2付近の上流から下流への気流の速度:0.5m/秒
塗工ブース1内の酸素濃度:2%
塗工ブース1内の窒素濃度:98%
塗工ブース1への窒素ガスの供給:スプレー塗工時のみ有り(塗膜乾燥時は無し)
レシーバータンク内の窒素ガス圧力:0.05MPa
静電スプレーノズル22と被塗工面との距離:150mm
整流板13とアルミ製ドラム2との距離24:60mm
得られた電子写真感光体(2)の膜厚および最大膜厚差は実施例1の電子写真感光体(1)とほぼ同じであった。
【0067】
(比較例1)
以下に示す電荷輸送層の塗工条件以外は実施例1と同様にして、被覆アルミ製ドラムである電子写真感光体(3)を10本作製した。
【0068】
静電スプレーノズル22への印加電圧:−10KV
塗工ブース1内のアルミ製ドラム2付近の上流から下流への気流の速度:0.1m/秒
塗工ブース1内の酸素濃度:15%
塗工ブース1内の窒素濃度:85%
レシーバータンク内の窒素ガス圧力:0.3MPa
静電スプレーノズル22と被塗工面との距離:200mm
整流板13の上流側15の間隔と下流側16の間隔との比率:1:1
整流板13とアルミ製ドラム2との距離24:150mm
得られた電子写真感光体(3)の膜厚および最大膜厚差は実施例1の電子写真感光体(1)とほぼ同じであった。
【0069】
(比較例2)
以下に示す電荷輸送層の塗工条件以外は実施例1と同様にして、被覆アルミ製ドラムである電子写真感光体(4)を10本作製した。
静電スプレーノズル22への印加電圧:−10KV
塗工ブース1内のアルミ製ドラム2付近の上流から下流への気流の速度:1m/秒
塗工ブース1内の酸素濃度:10%
塗工ブース1内の窒素濃度:90%
塗工ブース1への窒素ガスの供給:スプレー塗工時のみ有り(塗膜乾燥時は無し)
レシーバータンク内の窒素ガス圧力:0.25MPa
静電スプレーノズル22と被塗工面との距離:185mm
整流板13の有無又は、材質:ステンレス
整流板13の上流側15の間隔と下流側16の間隔との比率:1.2:1
整流板13とアルミ製ドラム2との距離24:200mm
得られた電子写真感光体(4)の膜厚および最大膜厚差は実施例1の電子写真感光体(1)とほぼ同じであった。
【0070】
(実施例1、2及び比較例1、2で得られた電子写真感光体(1)乃至(4)の評価)
実施例1、2、比較1、2で得られた電子写真感光体(1)、電子写真感光体(2)、電子写真感光体(3)及び電子写真感光体(4)(被覆アルミ製ドラム)10本づつをそれぞれ感光体として、株式会社リコー製フルカラーレーザープリンターIPSIO Color 5000の改造機(λ=655nm、1200dpi、ビームスポット2.7×10-3mm2に改造したもの)を用いて、画像形成を行ない、画像の品質を目視で判定した。なお、ハーフトーン画像は2×2のドット画像である。画像評価結果を表1に示す。表1から判るように、本発明の実施例1、2により作製した電子写真感光体(1)、電子写真感光体(2)はすべて異常の発生はなく、好適な感光ドラムとして使用できる。しかし、比較例1、2により作製した電子写真感光体(3)及び電子写真感光体(4)の半数以上が異常の発生を示し、感光ドラムとして使用するには不適当であった。
【0071】
【表1】


【0072】
本発明のような静電スプレー塗工における静電火花の発生するエネルギーは0.24mJ程度である。表2に示すように、スプレー塗工時の塗工ブース内の酸素濃度を本発明の要件である5%未満としておけば(実施例1及び2)、通常の溶剤、例えばメチルエチルケトン、シクロヘキサン、テトラヒドロフランなどに対する必要最小着火エネルギーは1.0mJ以上になるとされており、静電気火花による引火爆発の危険性が無く、安全な静電スプレー塗工が可能となる。一方、酸素濃度10%以上の雰囲気下(比較例1及び2)では、例えばメチルエチルケトン、シクロヘキサン、テトラヒドロフランなどのような一般的な溶剤に対する、必要最小着火エネルギーは、0.1mJ〜1.0mJ程度である。それ故、比較例1、2においては静電気火花による引火爆発の危険性が無いとはいえない。
【0073】
【表2】


【0074】
(実施例3)
図1に示す塗工装置26を用いて、外径100mm及び全長360mmの被塗工物2である円筒状導電性基体の外表面にそれぞれ静電スプレー塗工により下引層、電荷発生層及び電荷輸送層を順に形成した。
【0075】
(下引き層の形成)
下引層用塗装液は実施例1と同じものを用いた。塗工は、静電スプレー塗工法によった。静電スプレー塗工時の条件を以下に記す。
【0076】
静電スプレーノズル22への印加電圧:−35KV
塗工ブース1内のアルミ製ドラム2付近の上流から下流への気流の速度:0.4m/秒
静電スプレーノズル22と被塗工面との距離:120mm
整流板13の有無又は、材質:ステンレス
整流板13の上流側の間隔と下流側の間隔との比率:2:1
静電スプレーガンの噴射方向を表す中心線の鉛直方向に対する傾き角θ:4°
静電スプレーガンの噴射方向を表す中心線と被塗装物2の外表面との交点から、被塗装物2の円筒の中心軸を含む鉛直面までの距離d:9mm
被塗装物2の回転速度:150rpm
静電スプレー4移動速度:2.5mm/秒
静電スプレー4の塗装液吐出量:6.0ml/分
静電スプレー4の霧化エアー(圧縮空気)の圧力:25kPa
下引層用塗装液を被塗装物2上にスプレー塗工した後、塗工ブース1内で130℃で20分間乾燥させ、下引層を形成した。なお、静電スプレーガンの噴射方向を表す中心線の鉛直方向に対する傾き角θは、鉛直線から静電スプレーガンの噴射方向を表す中心線へ向かう回転方向が被塗装物2の回転方向と同じ場合を正とし、反対方向への回転角を負とする。又、静電スプレーガンの噴射方向を表す中心線と被塗装物2の外表面との交点から、被塗装物2の円筒の中心軸を含む鉛直面までの距離dは、前記交点が被塗装物2の円筒の頂点から回転して下がっていく場合を正、被塗装物2の円筒の頂点に向かって上がっていく場合を負とする。
【0077】
(電荷発生層の形成)
ポリビニルブチラール樹脂エスレックHL−S(積水化学工業社製)5質量部をメチルエチルケトン150質量部に溶解させた溶液に、実施例1で使用したトリスアゾ顔料(1)10質量部を加え、ボールミルで48時間分散させた後、固形分が1.5質量%となるようにシクロヘキサノンで希釈し、電荷発生層用塗装液を調製した。この電荷発生層用塗布を用いて、上記の下引層を形成した被塗装物2上に電荷発生層を形成した。塗工条件を下引層の塗工条件から以下のように変更した以外は、乾燥条件も含めて下引層の塗工条件と同様にして、電荷発生層を形成した。
【0078】
静電スプレー4の移動速度:12mm/秒
静電スプレー4の塗装液吐出量:5.0ml/分
静電スプレー4の霧化エアー(圧縮空気)の圧力:90kPa
以上で、電荷発生層を形成した被塗装物2を得た。
【0079】
(電荷輸送層の形成)
実施例1で調製した電荷輸送層用塗装液を用いて、電荷発生層を形成した被塗装物2上に電荷発生層を形成した。塗工条件を下引層の塗工条件から以下のように変更した以外は、乾燥条件も含めて下引層の塗工条件と同様にして、電荷発生層を形成した。
静電スプレー4の移動速度:2.0mm/秒
静電スプレー4の塗装液吐出量:11ml/分
静電スプレー4の霧化エアー(圧縮空気)の圧力:45kPa
以上で、下引き層、電荷発生層及び電荷発生層を順に形成した被塗装物を得た。この下引き層、電荷発生層及び電荷発生層を順に形成した被塗装物を電子写真感光体(5)とする。電子写真感光体(5)は感光体として使用することができる。なお、評価のために電子写真感光体(5)を50本作製した。
【0080】
(実施例4)
実施例3から下引層、電荷発生層及び電荷輸送層の塗工条件を、それぞれ以下のように変更した以外は、実施例3と同様にして、電子写真感光体(6)を作製した。
【0081】
静電スプレーノズル22への印加電圧:−40KV
塗工ブース1内のアルミ製ドラム2付近の上流から下流への気流の速度:0.6m/秒
静電スプレーノズル22と被塗工面との距離l:130mm
静電スプレーガンの噴射方向を表す中心線の鉛直方向に対する傾き角θ:5°
静電スプレーガンの噴射方向を表す中心線と被塗装物2の外表面との交点から、被塗装物2の円筒の中心軸を含む鉛直面までの距離d:11mm
被塗装物2の回転速度:160rpm
電子写真感光体(6)を50本作製した。
【0082】
(実施例5)
実施例3から下引層、電荷発生層及び電荷輸送層の塗工条件を、それぞれ以下のように変更した以外は、実施例3と同様にして、電子写真感光体(7)を作製した。
【0083】
静電スプレーノズル22への印加電圧:−40KV
塗工ブース1内のアルミ製ドラム2付近の上流から下流への気流の速度:0.6m/秒
静電スプレーガンの噴射方向を表す中心線と被塗装物2の外表面との交点から、被塗装物2の円筒の中心軸を含む鉛直面までの距離d:11mm
電子写真感光体(7)を50本作製した。
【0084】
(実施例6)
実施例3から下引層、電荷発生層及び電荷輸送層の塗工条件を、それぞれ以下のように変更した以外は、実施例3と同様にして、電子写真感光体(8)を作製した。
【0085】
静電スプレーノズル22への印加電圧:−45KV
静電スプレーノズル22と被塗工面との距離:130mm
静電スプレーガンの噴射方向を表す中心線の鉛直方向に対する傾き角θ:5°
被塗装物2の回転速度:160rpm
電子写真感光体(8)を50本作製した。
【0086】
(比較例3)
実施例3から下引層、電荷発生層及び電荷輸送層の塗工条件を、それぞれ以下のように変更した以外は、実施例3と同様にして、電子写真感光体(9)を作製した。
【0087】
静電スプレーノズル22への印加電圧:−0KV
静電スプレーノズル22と被塗工面との距離:180mm
整流板13の有無又は、材質:ナイロン樹脂製
静電スプレーガンの噴射方向を表す中心線の鉛直方向に対する傾き角θ:10°
静電スプレーガンの噴射方向を表す中心線と被塗装物2の外表面との交点から、被塗装物2の円筒の中心軸を含む鉛直面までの距離d:15mm
被塗装物2の回転速度:80rpm
電子写真感光体(9)を50本作製した。
【0088】
(比較例4)
実施例3から下引層、電荷発生層及び電荷輸送層の塗工条件を、それぞれ以下のように変更した以外は、実施例3と同様にして、電子写真感光体(10)を作製した。
【0089】
静電スプレーノズル22への印加電圧:0KV
塗工ブース1内のアルミ製ドラム2付近の上流から下流への気流の速度:0.6m/秒
静電スプレーノズル22と被塗工面との距離:80mm
整流板13の有無又は、材質:ナイロン樹脂製
静電スプレーガンの噴射方向を表す中心線の鉛直方向に対する傾き角θ:−5°
静電スプレーガンの噴射方向を表す中心線と被塗装物2の外表面との交点から、被塗装物2の円筒の中心軸を含む鉛直面までの距離d:−9mm
被塗装物2の回転速度:200rpm
電子写真感光体(10)を50本作製した。
【0090】
(比較例5)
実施例3から下引層、電荷発生層及び電荷輸送層の塗工条件を、それぞれ以下のように変更した以外は、実施例3と同様にして、電子写真感光体(11)を作製した。
【0091】
静電スプレーノズル22への印加電圧:0KV
塗工ブース1内のアルミ製ドラム2付近の上流から下流への気流の速度:0.2m/秒
整流板13の有無又は、材質:ナイロン樹脂製
静電スプレーガンの噴射方向を表す中心線の鉛直方向に対する傾き角θ:2°
静電スプレーガンの噴射方向を表す中心線と被塗装物2の外表面との交点から、被塗装物2の円筒の中心軸を含む鉛直面までの距離d:−11mm
被塗装物2の回転速度:160rpm
電子写真感光体(11)を50本作製した。
【0092】
(比較例6)
実施例3から下引層、電荷発生層及び電荷輸送層の塗工条件を、それぞれ以下のように変更した以外は、実施例3と同様にして、電子写真感光体(12)を作製した。
【0093】
静電スプレーノズル22への印加電圧:0KV
塗工ブース1内のアルミ製ドラム2付近の上流から下流への気流の速度:1.2m/秒
静電スプレーノズル22と被塗工面との距離:120mm
整流板13の有無又は、材質:無し
電子写真感光体(12)を50本作製した。
【0094】
(実施例3乃至6及び比較例3乃至6で得られた電子写真感光体(5)乃至(12)の評価)
実施例3乃至6及び比較例3乃至6で得られた電子写真感光体(5)乃至(12)を用いて、以下の(A)乃至(D)の評価を行った。
(A)下引層、電荷発生層及び電荷輸送層のスプレー塗工時の塗装液の噴出量と電子写真感光体への付着量とから、塗装液の平均付着効率(%)を算出した。
(B)クリーンエアートレーサーと液体窒素を用いて、窒素ガスの気流を可視化することにより、塗工ブース内の乱流及び気流の滞留部の有無を目視により確認した。
(C)作製した電子写真感光体をレーザープリンター(リコー社製)に取り付けて、印刷画面の画像欠陥の有無を確認した。画像欠陥有りの本数は評価本数50本中の数である。
(D)塗装液をスプレー塗布した直後に、静電気測定器により整流板13の帯電量を測定した。
【0095】
以上の評価結果を表3に示す。
【0096】
【表3】


【0097】
表3から判るように、比較例3乃至4における電子写真感光体(9)乃至(12)の塗料に比べ、実施例3乃至4における電子写真感光体(5)乃至(8)は塗料は、平均付着率が高く、経済的な塗装方法である。また、塗工ブース内の乱流及び気流の滞留部がなく、結果としてレーザープリンターによる印刷画面の画像試験においても画像欠陥は無かった。さらに、整流板の帯電電圧も非常に低く静電火花の発生の可能性が低いことも判った。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、静電スプレー工法による塗装品の製造、特に電子写真感光体の製造に好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の塗工装置の構成の例示図
【図2】本発明の塗工装置におけるスプレー方向の説明図
【図3】本発明の塗工装置の構成の例示図
【図4】本発明の塗工装置の構成の例示図
【図5】本発明の塗工装置における整流板の説明図
【図6】本発明の塗工装置における連れまわり気流の説明図
【図7】スプレーノズルと塗工面との距離を表す説明図
【図8】本発明の塗工装置の構成の例示図
【図9】図3における塗工ブース内をA方向から見た説明図
【図10】本発明の塗工装置の構成の例示図
【符号の説明】
【0100】
1:塗工ブース
2:被塗工物
3:支持装置
4:静電スプレーガン
5:電圧印加装置
6:電圧変換用コントローラ
7:塗装液タンク
8:送液ポンプ
9:噴霧用気体供給装置
10:スプレーノズルの噴射方向を表す矢印
11:給気口
12:排気口
13:整流板
14:給気ガス進行方向
15:気流の上流側における整流板の間隔
16:気流の下流側における整流板の間隔
17:被塗工物周辺の連れまわり気流を表す矢印
18:給気ブロア
19:排気ファン
20:窒素発生装置
21:レシーバータンク
22:スプレーノズルの先端
23:スプレーノズルの先端から塗工面までの距離
24:整流板から被塗工物までの距離
25:被塗工物の回転方向を表す矢印
26:塗工装置(塗装装置ともいう)
【出願人】 【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
【出願日】 平成18年8月4日(2006.8.4)
【代理人】 【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦


【公開番号】 特開2008−12520(P2008−12520A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−213406(P2006−213406)