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【発明の名称】 弾性ローラの形成方法
【発明者】 【氏名】服部 憲治

【氏名】赤間 秀洋

【氏名】安西 弘行

【要約】 【課題】芯金1の一端部1aをマスキングし、この一端部1aを下にして芯金を樹脂表面層用のディップ液に浸漬させて樹脂表面層を形成するに際し、端部まで均一な厚さの樹脂表面層を形成することのできる弾性ローラの形成方法を提供する。

【構成】芯金1を、その軸端部1aを下にして、芯金1に対する接着力が前記樹脂表面層よりも低い紫外線硬化型樹脂を含有する塗料22の中に、その軸端部の長さ分lだけ浸漬したあと引き上げ、その後、この軸端部1aに付着した塗料を紫外線で硬化させてマスキングとするとともに、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯金の、両軸端部を除く部分の周囲に直接樹脂表面層を配置して弾性ローラを形成するに際し、芯金の一方の軸端部にマスキングを施し、この軸端部を下にして前記芯金を樹脂表面層用のディップ液の中に浸漬したあと引き上げてこれを硬化させ、前記樹脂表面層を形成する弾性ローラの形成方法において、
前記芯金を、前記一方の軸端部を下にして、芯金に対する接着力が前記樹脂表面層よりも低い紫外線硬化型樹脂を含有する塗料の中に、その軸端部の長さ分だけ浸漬したあと引き上げ、その後、この軸端部に付着した塗料を紫外線で硬化させて前記マスキングとするとともに、
前記樹脂表面層用ディップ液を硬化させたあと、前記軸端部の境界位置で樹脂表面層を裁断し、マスキングを芯金から引き抜いて前記芯金の軸端部を露出させる弾性ローラの形成方法。
【請求項2】
前記樹脂表面層の厚さを10〜300μmとする請求項1に記載の弾性ローラの形成方法。
【請求項3】
マスキングの最大厚さを5〜300μmとする請求項1もしくは2に記載の弾性ローラの形成方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、芯金の周囲に直接樹脂表面層を形成してなる弾性ローラを形成するに際し、芯金の一端部をマスキングし、この一端部を下側にして芯金を樹脂表面層用のディップ液に浸漬したあと引き上げてこれを硬化させ、前記樹脂表面層を形成する弾性ローラの形成方法に関し、特に、薄膜の樹脂表面層に対しても端部まで均一な厚さを得ることのできるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置においては、感光ドラム等の潜像担持体の表面に電荷を付与したり、現像剤を供給したりする等の目的で種々の弾性ローラが用いられている。これらの弾性ローラとして、図1に断面図で示すように、芯金91の周囲に弾性層92を配置しその外側に薄膜の樹脂表面層93を形成した構造ものが広く用いられており、このような構造の弾性ローラ90の樹脂表面層93を形成する方法して、芯金91の外側に弾性層92を形成したあと、図2に示すように、芯金91の、弾性層92の端から長さ方向外側に突出した一端部91aに樹脂等で形成されたキャップ95を被せてこの部分にマスキングを施し、次いで、図3に示すように、この一端部を下にして、弾性層92全体を樹脂表面層用のディップ液96に浸漬したあと引き上げて弾性層92の表面に樹脂表面層ディップ液を塗布し、その後この液を乾燥硬化させ、最後にキャップ95を取り外す方法が知られており(例えば、特許文献1参照。)、この方法によると、キャップ95の厚さを弾性層のそれに合わせることにより、端部まで均一な厚さを有する樹脂表面層93を形成することができる。
【0003】
一方、昨今の傾向として、装置の小型化、軽量化を目的に、弾性ローラの径を小さくすることが求められており、そのための弾性ローラとして、芯金91の外側に直接薄膜の樹脂表面層93を形成する構造の弾性ローラが提案されている。このような弾性ローラを形成する方法として、従来技術の延長として、一端部にキャップ95を被せてマスキングした芯金91を樹脂表面層用のディップ液96に浸漬して引き上げることにより形成する方法が考えられる。
【特許文献1】特開2000−343622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記の従来方法によって樹脂表面層を形成した場合、キャップ95を薄肉に形成するのが難しく、キャップ95の厚さが厚くなってしまい、図4(a)に概念図で示すように、芯金91に塗布された樹脂表面層用のディップ液96がキャップ95の上部にたまって径が大きくなり、キャップ95を外したあとに、図4(b)に示すように、樹脂表面層93の端部に膜厚の厚い部分93aが形成されてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、芯金の一端部をマスキングし、この一端部を下側にして芯金を樹脂表面層用のディップ液に浸漬させて樹脂表面層を形成するに際し、端部まで均一な厚さの樹脂表面層を形成することのできる弾性ローラの形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>は、芯金の、両軸端部を除く部分の周囲に直接樹脂表面層を配置して弾性ローラを形成するに際し、芯金の一方の軸端部にマスキングを施し、この軸端部を下にして前記芯金を樹脂表面層用のディップ液の中に浸漬したあと引き上げてこれを硬化させ、前記樹脂表面層を形成する弾性ローラの形成方法において、
前記芯金を、前記一方の軸端部を下にして、芯金に対する接着力が前記樹脂表面層よりも低い紫外線硬化型樹脂を含有する塗料の中に、その軸端部の長さ分だけ浸漬したあと引き上げ、その後、この軸端部に付着した塗料を紫外線で硬化させて前記マスキングとするとともに、
前記樹脂表面層用ディップ液を硬化させたあと、前記軸端部の境界位置で樹脂表面層を裁断し、マスキングを芯金から引き抜いて前記芯金の軸端部を露出させる弾性ローラの形成方法である。
【0007】
<2>は、<1>において、前記樹脂表面層の厚さを10〜300μmとする弾性ローラの形成方法である。
【0008】
<3>は、<1>もしくは<2>において、マスキングの最大厚さを5〜300μmとする弾性ローラの形成方法である。
【発明の効果】
【0009】
<1>によれば、芯金を、前記一方の軸端部を下にして、芯金に対する接着力が前記樹脂表面層よりも低い紫外線硬化型樹脂を含有する塗料の中に、その軸端部の長さ分だけ浸漬したあと引き上げ、その後、この軸端部に付着した塗料を紫外線で硬化させて前記マスキングを行うので、マスキングの厚さを極めて薄いものにすることができ、このことによって、樹脂表面層の、マスキングの境界位置付近における液だまりを抑制して、その厚さを端部まで均一にすることができ、しかも、マスキングを紫外線で行うことにより、硬化を短時間なものとして、生産性をあげるとともに硬化までの塗料に流動を抑えマスキング境界位置のばらつきを抑え、樹脂表面層の端部位置の均一化に寄与させることができる。
【0010】
また、<1>によれば、前記樹脂表面層用ディップ液を硬化させたあと、前記軸端部の境界位置で樹脂表面層を裁断し、マスキングを芯金から引き抜いて前記芯金の軸端部を露出させるので、マスキング除去工程における生産性を高めることができる。
【0011】
<2>によれば、前記樹脂表面層の厚さを300μm以下としたので、<1>による効果を一層際立たせることができる。なお、この厚さを10μm未満とした場合には、厚さが不均一になりやすく、弾性ローラの性能にばらつきが生じてしまうので好ましくない。
【0012】
<3>によれば、上記のような厚さの樹脂表面層を形成する場合、マスキングの厚さを300μmを越えるものとした場合には、樹脂表面層を形成する際の、マスキング境界付近での塗料の盛り上がりを抑制することがむつかしくなる可能性があり、また、マスキングの厚さを5μm未満とした場合には、マスキングの厚さにばらつきが生じやすく、マスキングされない部分が生じてしまうので好ましくない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施形態について、図に基づいて説明する。図5は、本発明に係る実施形態の弾性ローラの形成方法によって形成される弾性ローラを示す断面図であり、弾性ローラ10は、芯金1と、その外周面上に直接形成された樹脂表面層3とよりなり、芯金1の、樹脂表面層3の長さ方向両外側に突出して露出する部分は、弾性ローラ10の装置への取り付けに与る軸端部1a、1bを構成する。
【0014】
図6〜図11は、このように構成された弾性ローラ10を形成する方法を示す概念図であり、まず、芯金1を準備し、その芯金の一方の軸端部1aをマスキングするが、これは次のようにして行う。すなわち、図6に示すように、タンク22に収容された紫外線硬化型樹脂を含有する塗料21の中に、芯金1を、軸端部1aを下にして軸端部1aの長さlだけ浸漬し、芯金1を、この塗料21から引き上げたあと、図7に示すように、軸端部1aに付着した塗料21に、紫外線照射装置24を用いて紫外線を照射してマスキング23を形成する。塗料21は紫外線硬化型樹脂を含有するので、この照射によって極めて短時間で硬化を行うができる。
【0015】
なお、マスキング23として用いる紫外線硬化型樹脂は、その選定要件として、芯金1に対する接着力が、樹脂表面層3を構成する塗料よりも低いことが必須であり、このことにより、マスキング23を芯金1から引き抜いた際、樹脂表面層3を残してマスキング23だけを除去することが可能になる。
【0016】
次いで、マスキング23が施された芯金1を、図8に示すように、軸端部1aを下にして、ディップ槽32に収容された樹脂表面層用のディップ液31の中に所定長さだけ浸漬し、芯金1をディップ液31から引き上げたあと、図9に例示するように、これをヒーター34等で乾燥させて硬化させ樹脂表面層3を芯金1の外側に直接形成する。
【0017】
最後に、マスキング23を除去して、芯金1の軸端部1aを露出させるが、それは、図10に示すように、軸端部1aの境界位置Fで、カッター等により樹脂表面層3を裁断し、その後、マスキング23を芯金1から引き抜くことにより実現することができる。すなわち、マスキング23を構成する紫外線硬化型樹脂の、芯金1に対する接着力は、樹脂表面層3のそれよりも低いので、図11に示すように、マスキング23を芯金1から引き抜くことにより、樹脂表面層3を残してマスキング23だけを除去することができ、このとき、樹脂表面層3のマスキング23上に形成された部分は、先の裁断により芯金1に直接塗布された部分から分離されているのでマスキング23とともに除去することができる。
【0018】
このように、マスキング23として紫外線硬化型樹脂を含有する塗料を硬化させて形成するので、マスキング23の膜厚の極めて薄くすることができ、このことによって、樹脂表面層3の、マスキング23の境界部分における液だまりを抑制し、端部まで均一な厚さの樹脂表面層3を形成することができる。さらに、マスキング23を紫外線硬化型樹脂塗料で構成するので、塗料が流動しないうちに短時間で硬化させることができ、このことによって、硬化における生産性を向上させるとともに、マスキング23の境界位置のばらつきを極めて小さなものにすることにより、樹脂表面層3を端部位置のばらつきも抑制することができる。
【0019】
本発明に係る方法は、樹脂表面層3の厚さが、10〜300μmの場合に効果的に適用することができ、さらに好ましくは、10〜180μmとするのがよく、その場合、マスキング23の厚さは5〜300μmとするのが好ましく、さらに好ましくは5〜180μmとするのがよい。
【0020】
樹脂表面層用のディップ液31に溶かす塗料の調整方法について以下に例示する。
(A)ポリウレタン(ソリッド系)の例
水分散ウレタン樹脂(アイゼラックスS−4040N:保土ヶ谷化学工業(株)製):100質量部、カーボンブラック(MA100:三菱化学(株)製):10質量部、および、増粘剤(SNシックナーA−815:サンノプコ(株)製):1質量部、を攪拌羽根により混合し塗料を調整する。
【0021】
(B)ポリウレタン(フォーム系)の例
水分散ウレタン樹脂(アイゼラックスS−4040N:保土ヶ谷化学工業(株)製):100質量部、カーボンブラック(MA100:三菱化学(株)製):10質量部、および、整泡剤(FR14:花王(株)製):3質量部、を高速泡立て攪拌機により混合、フォーム密度0.4g/cmのフォーム塗料を調整する。
【0022】
(C)ゴム(ソリッド系)の例
ゴムラテックス(JSR0561:JSR(株)製):100質量部、カーボンブラック(MA100:三菱化学(株)製):10質量部、コロイド硫黄(コロイド硫黄:細井化学工業(株)製):2質量部、および、増粘剤(SNシックナーA−815:サンノプコ(株)製):1質量部、を攪拌羽根により混合する。
【0023】
(D)ゴム(フォーム系)の例
ゴムラテックス(JSR0561:JSR(株)製):100質量部、カーボンブラック(MA100:三菱化学(株)製):10質量部、コロイド硫黄(コロイド硫黄:細井化学工業(株)製):2質量部、および、起泡剤(FR25:花王(株)製):0.5質量部、を高速泡立て攪拌機により混合し、フォーム密度0.4g/cmのフォーム塗料を調整する。
【0024】
また、マスキング23に用いる塗料としては、下記の調合例を示すことができる。すなわち、オリゴマー(商品名:UF8001(共栄社化学(株)製)、構造:ウレタンアクリレートオリゴマー):60質量部、モノマー(商品名:NKエステル A-TMPT-3EO(新那加村化学工業(株)製)、構造:エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート):40質量部、光開始剤(商品名:IRGACURE184D(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)、構造:1-ヒドロキシ-シクロヘキシルーフェニルケトン):1質量部で配合した材料を温度60℃で30分間攪拌して塗料を調合する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】従来の弾性ローラを示す断面図である。
【図2】従来の弾性ローラを形成する方法を示す概念図である。
【図3】図2に続く工程を示す概念図である。
【図4】従来の他の形態の弾性ローラを示す断面図である。
【図5】本発明に係る実施形態の弾性ローラの形成方法によって形成される弾性ローラを示す断面図である。
【図6】本発明に係る実施形態の弾性ローラの形成する工程を説明する概念図である。
【図7】図6に続く工程を示す概念図である。
【図8】図7に続く工程を示す概念図である。
【図9】図8に続く工程を示す概念図である。
【図10】図9に続く工程を示す概念図である。
【図11】図10に続く工程を示す概念図である。
【符号の説明】
【0026】
1 芯金
1a、1b 芯金の軸端部
3 樹脂表面層
10 弾性ローラ
21 紫外線硬化型樹脂を含有する塗料
22 タンク
23 マスキング
24 紫外線照射装置
31 樹脂表面層用のディップ液
32 ディップ槽
34 ヒーター
F 軸端部の境界位置
【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【出願日】 平成18年7月4日(2006.7.4)
【代理人】 【識別番号】100072051
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 興作

【識別番号】100107227
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 史朗

【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志


【公開番号】 特開2008−12396(P2008−12396A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−184107(P2006−184107)