トップ :: B 処理操作 運輸 :: B05 霧化または噴霧一般;液体または他の流動性材料の表面への適用一般

【発明の名称】 塗布物の生産方法
【発明者】 【氏名】赤木 清

【要約】 【課題】塗布ヘッドの塗布液を吐出する塗布液吐出部の上流側の近傍に塗布液の付着を防止し、生産効率が高い塗布物の生産方法の提供。

【構成】塗布ヘッドの塗布液吐出部より塗布液を吐出し、連続的に移動する被塗布物に塗布液を塗布して得られる塗布物の生産方法において、前記塗布液吐出部の近傍であって、前記被塗布物の搬送方向の上流側の位置に溶剤供給手段により溶剤を供給した後、前記塗布ヘッドにより前記被塗布物に塗布を開始し、この後、前記溶剤の供給を中止することを特徴とする塗布物の生産方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布ヘッドの塗布液吐出部より塗布液を吐出し、連続的に移動する被塗布物に塗布液を塗布して得られる塗布物の生産方法において、
前記塗布液吐出部の近傍であって、前記被塗布物の搬送方向の上流側の位置に溶剤供給手段により溶剤を供給した後、
前記塗布ヘッドにより前記被塗布物に塗布を開始し、この後、前記溶剤の供給を中止することを特徴とする塗布物の生産方法。
【請求項2】
塗布ヘッドの塗布液吐出部より塗布液を吐出し、連続的に移動する被塗布物に塗布液を塗布して得られる塗布物の生産方法において、
前記塗布ヘッドにより被塗布物に塗布を行っている際に、前記塗布液吐出部の近傍であって、前記被塗布物の搬送方向の上流側の位置に溶剤供給手段により溶剤を供給しながら、前記被塗布物から前記塗布ヘッドを離すことを特徴とする塗布物の生産方法。
【請求項3】
前記溶剤供給手段が塗布ヘッドの位置より被塗布物の搬送方向の上流側に別途配設された溶剤塗布ヘッドであることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布物の生産方法。
【請求項4】
前記溶剤供給手段が塗布ヘッドの吐出部の被塗布物の搬送方向の上流側に設けられた溶剤吐出部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布物の生産方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は連続的に走行している被塗布物表面に塗布液吐出部を有する塗布ヘッドにより塗布液を塗布し、塗布層を有する塗布物を生産する塗布物の生産方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被塗布物上に塗布液を塗布する塗布工程では様々な塗布方式が存在する。その塗布方式は大きく2つに大別される。一つは必要な塗布液膜を形成する量だけ塗布液を吐出させて被塗布物上に塗布液を塗布する前計量型塗布方式、もう一つは予め必要な塗布液膜形成量よりも余剰な塗布液を被塗布物上に吐出させ、その後なんらかの掻き取り手段で余剰分を取り除く後計量型塗布方式である。後計量型塗布方式としては、ブレード型塗布方式、エアーナイフ型塗布方式、ワイヤーバー型塗布方式などが挙げられる。又、前計量型塗布方式としては、スロット型(エクストルージョン型とも言う)塗布方式、カーテン型塗布方式、スライド型塗布方式などが挙げられる。
【0003】
一般的には、前計量方式では装置構成等は複雑であるが高精度な塗布液膜が得られ、後計量方式では装置構成等は簡便で加工速度は高速であるが前者に比較して塗布液膜の精度は落ちる。又、前計量方式と後計量方式とを塗布液の消費量という観点で比較した場合には当然ながら前計量方式の方が少なく、生産効率上有利である。
写真感光材料などの製造工程における塗布では、塗布精度の高さ、高品位性、被塗布物の影響(しわ、ツレなど)の受けにくさから、前計量方式の塗布方法が採用されることが多かった。こうした前計量方式の塗布方式で単層塗布を行う場合には特にエクストルージョン型塗布方式を用いることが多かった。
【0004】
こうした前計量方式の塗布方式における塗布装置とは、被塗布物上に均一に塗布液膜を形成するため塗布液を供給するいわゆる塗布ヘッドを指す。こうした塗布方法は塗布ヘッドのスリットより塗布液を吐出させリップと呼ばれる部分と連続走行する被塗布物表面との間隙にビード(液だまり)を形成させつつ塗布する方法であり、塗布ヘッドは2つ以上のブロックを組み合わせ、塗布液を供給する供給口と、供給された塗布液を幅方向に一旦溜めるためのマニホールドと、マニホールドから塗布液を均一に吐出するためのスリットを有しており、ブロックの組み合わせ数により単層から多層塗布が可能となる塗布方法である。
【0005】
こうした塗布方式により塗布を行う場合に、特に使用される塗布液が有機溶剤系であるような場合にはリップ部で乾燥が起こりリップ部に乾燥した塗布液が付着して塗布ムラ(スジ状故障)が発生することが多くある。こうした塗布ヘッドの塗布液乾燥防止方法・汚れ除去などに関してはこれまで数々の発明がなされている。
【0006】
例えば、塗布ヘッドに2流体洗浄ノズルを配設し、洗浄薬液と不活性ガスを混合した2流体を噴出することで、リップ先端の乾燥固着異物を洗浄する方法が知られている(例えば特許文献1を参照。)。しかしながら、特許文献1に記載の方法では当然ながら洗浄する場合には塗布作業は停止する必要があり、生産上の時間ロスとなってしまい、生産効率が低下する一因となる。
塗布ヘッドの塗布液吐出部のエッジ(本発明のリップに該当する)の上流側に溶剤を吐出するための吐出口を設けたエクストルージョン型塗布ヘッドを用いて、塗布開始直後に吐出口から溶剤を吐出させることで、エッジの下部に付着、凝固していた塗液を即座に洗浄する塗布方法が知られている(例えば特許文献2を参照。)。
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載の方法は次の問題点が挙げられる。
【0008】
1)塗布開始直後にリップ上流側から有機溶剤を吐出しても、溶剤を吐出する口からの溶剤の吐出が均一にならないため、リップ全体に有機溶剤が供給されない恐れがあり、部分的に固着物が残る危険がある。
【0009】
2)固着物が付着した状態で長時間塗布を行った場合、残っていた固着物が核になり、更に固着物が付着し易くなり塗布故障の原因になる危険がある。特に、繋ぎ部がある長尺の被塗布物の場合、繋ぎ部の塗布避けるため、塗布ヘッドを待機位置に戻し、再塗布を行う動作が繰り返して行われるため、更に固着物の肥大化が早くなり連続塗布が出来なくなる危険がある。
【0010】
この様な状況から、塗布ヘッドの塗布液を吐出する塗布液吐出部の上流側の近傍に塗布液の付着を防止し、安定した長時間の塗布が出来、生産効率が高い塗布物の生産方法の開発が要望されている。
【特許文献1】特開2005−324123号公報
【特許文献2】特開平6−114318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記状況に鑑みなされたものであり、その目的は塗布ヘッドの塗布液を吐出する塗布液吐出部の上流側の近傍に塗布液の付着を防止し、安定した長時間の塗布が出来、生産効率が高い塗布物の生産方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成された。
【0013】
1.塗布ヘッドの塗布液吐出部より塗布液を吐出し、連続的に移動する被塗布物に塗布液を塗布して得られる塗布物の生産方法において、前記塗布液吐出部の近傍であって、前記被塗布物の搬送方向の上流側の位置に溶剤供給手段により溶剤を供給した後、前記塗布ヘッドにより前記被塗布物に塗布を開始し、この後、前記溶剤の供給を中止することを特徴とする塗布物の生産方法。
【0014】
2.塗布ヘッドの塗布液吐出部より塗布液を吐出し、連続的に移動する被塗布物に塗布液を塗布して得られる塗布物の生産方法において、前記塗布ヘッドにより被塗布物に塗布を行っている際に、前記塗布液吐出部の近傍であって、前記被塗布物の搬送方向の上流側の位置に溶剤供給手段により溶剤を供給しながら、前記被塗布物から前記塗布ヘッドを離すことを特徴とする塗布物の生産方法。
【0015】
3.前記溶剤供給手段が塗布ヘッドの位置より被塗布物の搬送方向の上流側に別途配設された溶剤塗布ヘッドであることを特徴とする前記1又は2に記載の塗布物の生産方法。
【0016】
4.前記溶剤供給手段が塗布ヘッドの吐出部の被塗布物の搬送方向の上流側に設けられた溶剤吐出部であることを特徴とする前記1又は2に記載の塗布物の生産方法。
【発明の効果】
【0017】
塗布ヘッドの塗布液を吐出する塗布液吐出部の上流側の近傍に塗布液の付着を防止し、安定した長時間の塗布が出来、生産効率が高い塗布物の生産方法を提供することが出来、高品質の塗布物の安定生産が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態を図1〜図7を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0019】
図1は従来の塗布ヘッドを使用した塗布装置で、被塗布物表面へ塗布している状態を示す概略図である。図1(a)は従来のエクストルージョン型塗布ヘッドを使用した塗布装置で、被塗布物表面へ塗布している状態を示す模式図である。図1(b)は図1(a)に示すエクストルージョン型塗布ヘッドの概略斜視図である。図1(c)は図1(b)のA−A′に沿った概略断面図である。
【0020】
1は塗布装置を示す。塗布装置1は、エクストルージョン型塗布ヘッド2と、被塗布物3を保持するバックアップロール4とを有している。被塗布物3は巻き出し装置(不図示)より連続的に走行され、バックアップロール4を通過し乾燥ゾーン(不図示)を通過して巻き取り装置(不図示)により巻き取られる。本図に示される塗布方式ではバックアップロール4を通過する際の被塗布物に対してエクストルージョン型塗布ヘッド2が塗布位置Aにあり塗布液を塗布液吐出部から吐出することで塗布膜5が形成される。Pは塗布液吐出部から吐出された塗布液が被塗布物3に塗布される塗布点を示す。
【0021】
エクストルージョン型塗布ヘッド2は塗布を行わない時は待機位置Bにも移動可能であり、その移動はエクストルージョン型塗布ヘッド2が取り付けられている台座6がエアシリンダー等の駆動力で移動することで行われる。尚、塗布位置Aとは、エクストルージョン型塗布ヘッド2により被塗布物に塗布する位置を言い、待機位置Bとは、塗布位置以外の位置であって、非塗布時にエクストルージョン型塗布ヘッド2を待機させておく位置を言う。
【0022】
エクストルージョン型塗布ヘッド2は2つの金属性のブロック201と202とを有し、ボルト203などで締結することで組み立てられている。204はブロック201とブロック202との間隙で出来たスリットを示し、204aはスリット204の先端部の塗布液の塗布液吐出部を示す。205はマニホールドと呼ばれる塗布液を一旦溜めるための部分であり、ここには塗布液供給管206から塗布液が送り込まれる。マニホールド205で塗布幅方向に溜められた塗布液はスリット204を通り塗布幅方向に均一な厚みとなりスリット204の先端の塗布液吐出部204aから吐出し被塗布物3の表面に塗布液を塗布する様になっている。201aはブロック201の先端部、202aはブロック202の先端部を示し、総称としてリップ部とも言う。201a1はリップ部201aの上端辺を示し、201bはブロック201のリップ部201aに繋がる面を示す。202a1はリップ部202aの上端辺を示し、202bはブロック202のリップ部202aに繋がる面を示す。
【0023】
本発明において、エクストルージョン型塗布ヘッド2を基準として、被塗布物3の搬送方向の未塗布側を上流側と言い、塗布済み側を下流側と言う。エクストルージョン型塗布ヘッド2で被塗布物の搬送方向の上流側とは、リップ部202aと、リップ部202aの上端辺202a1と、リップ部202aに繋がるブロック202の面202bを言う。又、塗布液吐出部の近傍とは、リップ部202aと、リップ部202aの上端辺202a1と、リップ部202aに繋がるブロック202の面202bのリップ部202aの近傍を含める。
【0024】
リップ部201a(202a)はバックアップロール4と対向する部分であり、このリップ部201a(202a)とバックアップロール4の間に塗布液はビードと呼ばれる液だまりを形成して塗布が行われる。尚、エクストルージョン型塗布ヘッド2の塗布幅方向両端部には液モレ防止のためにサイドプレート207を設けることがある。
【0025】
本図に示される従来のエクストルージョン型塗布ヘッド2の様な前計量方式の塗布ヘッドを用いて塗布を行う場合、特に使用される塗布液が有機溶剤系であるような場合、次の様な問題点が挙げられる。
【0026】
1)待機位置Bで塗布液を吐出しながら待機している時、塗布液吐出部から吐出した塗布液はリップ部202a、リップ部202aの上端辺202a1及びリップ部202aに繋がる面202bを流れる間に溶媒が蒸発しリップ部202a及びリップ部202aに繋がる面202bに固着し、塗布位置に移動して塗布を行うと塗布ムラ(スジ状故障)が発生することが多くある。
【0027】
2)通常被塗布物は所定の長さのロール状形態をとっている場合が多く、その場合走行を止めないで連続して塗布を行うために被塗布物はテープ等を使用し繋げてあり、繋ぎ目を通過させるために塗布ヘッドは塗布位置Aから待機位置Bに向かって移動し、繋ぎ目が通過した後に塗布位置Aへ再度移動する。この間は被塗布物走行スピードにもよるが、わずかな時間であるため塗布液の送液は停止しないことが多い。塗布液吐出部から吐出した塗布液はリップ部202a及びリップ部202aに繋がる面202bを流れ付着した塗布液は溶媒が蒸発しリップ部202a及びリップ部202aに繋がる面202bに固着し、塗布位置に移動して塗布を行うと塗布ムラ(スジ状故障)が発生することが多くある。
【0028】
本発明は、非塗布時(待機位置Bでの塗布準備、待機位置Bから塗布位置Aへの移動、塗布位置Aから待機位置Bへの移動)に塗布ヘッドの被塗布物の搬送方向の上流側の位置の塗布液吐出部204aの近傍での塗布液の乾燥に伴う付着・凝固を防止した塗布ヘッドにより塗布物を生産する塗布物の生産方法に関する。
【0029】
図2は図1に示す塗布装置に溶剤供給手段を配設した塗布装置による被塗布物表面へ塗布している状態を示す模式図である。
【0030】
図中、7は塗布装置を示す。塗布装置7は、エクストルージョン型塗布ヘッド2と被塗布物3を保持するバックアップロール4と、溶剤供給手段である溶剤塗布ヘッド7aと、保持ロール7bとを有している。本図では、エクストルージョン型塗布ヘッド2は図1で説明してあるため詳細な説明は省略する。
【0031】
溶剤塗布ヘッド7aはエクストルージョン型塗布ヘッド2の位置より被塗布物3の走行方向の上流側に別途配設されている。溶剤塗布ヘッド7aは2つの金属性のブロック7a1とブロック7a2とを有し、ボルトなどで締結することで組み立てられている。7a3はブロック7a1とブロック7a2との間隙で出来たスリットを示し、7a4はスリット7a3の先端部の溶剤の溶剤吐出部を示す。7a5はマニホールドと呼ばれる溶剤を一旦溜めるための部分であり、ここには溶剤供給管7a6から溶剤が送り込まれる。マニホールド7a5で塗布幅方向に溜められた溶剤はスリット7a3を通り塗布幅方向に均一な厚みとなりスリット7a3の先端の溶剤吐出部7a4から吐出し被塗布物3の表面に溶剤を塗布する様になっている。
【0032】
溶剤塗布ヘッド7aは塗布を行わない時は塗布位置A′から待機位置B′に移動可能であり、その移動は溶剤塗布ヘッド7aが取り付けられている台座7a7がエアシリンダー等の駆動力で移動することで行われる。尚、塗布位置A′とは、溶剤塗布ヘッド7aにより被塗布物に溶剤を塗布する位置を言い、待機位置B′とは、塗布位置以外の位置であって、非塗布時に溶剤塗布ヘッド7aを待機させておく位置を言う。
【0033】
8は溶剤塗布ヘッド7aにより被塗布物3の上に塗布され形成された溶剤層を示す。溶剤層8は被塗布物3の搬送に伴いエクストルージョン型塗布ヘッド2のリップ部202a(図1を参照)と、リップ部202a(図1を参照)の上端辺202a1(図1を参照)とに接触することで溶剤が塗布液吐出部の被塗布物の搬送方向の上流側の近傍に供給されることが可能となっている。塗布開始時は、溶剤層8の上に塗布液が塗布され塗布膜5が形成されるが、その後、溶剤の塗布が中止され塗布膜5が単独となる。
【0034】
溶剤塗布ヘッド7aから供給される溶剤としては有機溶剤が好ましく、エクストルージョン型塗布ヘッド2に供給される塗布液に使用している溶媒と同じ溶媒が好ましい。又、メチルエチルケトン、酢酸ブチル、ヘキサノン、アセトン、トルエン等も塗布液の種類に応じて適宜選択して使用することが可能である。
【0035】
溶剤塗布ヘッド7aの溶剤吐出部から供給される溶剤吐出量は、エクストルージョン型塗布ヘッドの被塗布物の搬送方向の上流側の塗布液吐出部の近傍の洗浄性、コスト等を考慮し、塗布液塗布ヘッドの塗布液吐出部の塗布液吐出量に対して、100〜300%が好ましい。
【0036】
溶剤塗布ヘッド7aの溶剤吐出部7a4からエクストルージョン型塗布ヘッド2の塗布液吐出部204aの被塗布物の搬送方向の上流側の近傍に供給される溶剤の量は、被塗布物の搬送方向の上流側の近傍(リップ部202aと、リップ部202aの上端辺202a1と、リップ部202aに繋がるブロック202の面202bのリップ部202aの近傍)の表面を乾燥させない量であり、予め実験等により最適な供給量が決められる。最適な供給量が維持出来るように溶剤供給管7a6から溶剤塗布ヘッド7aに供給することが可能となっている。
【0037】
図2に示される溶剤供給手段である溶剤塗布ヘッドをエクストルージョン型塗布ヘッドの位置より被塗布物3の走行方向の上流側に別途配設した塗布装置を使用し、塗布物を生産する方法として次の3通りが挙げられる。
【0038】
1.エクストルージョン型塗布ヘッドによる塗布が開始する前に、溶剤塗布ヘッドにより被塗布物の上に溶剤を塗布し溶剤層を形成し、溶剤層が塗布位置を通過するのに合わせ、エクストルージョン型塗布ヘッドを待機位置から塗布位置に移動し塗布を開始する方法。これは、エクストルージョン型塗布ヘッドが待機位置にあって、塗布を開始する前の状態に該当する。この方法では次の効果が得られる。
【0039】
1)エクストルージョン型塗布ヘッドは塗布点で被塗布物の上に形成された溶剤層と接触し、吐出部の近傍に溶剤が供給されることで、塗布液吐出部の被塗布物の搬送方向の上流側の近傍に付着していた塗布液及び固着物は、除去されるため塗布開始時の固着物によるスジ故障の発生を防止することが出来、生産効率の向上が可能となった。
【0040】
2)塗布開始時に塗布液吐出部の被塗布物の搬送方向の上流側の近傍が固着物がない状態となるため、長時間の塗布が可能となり、生産効率の向上が可能となった。
【0041】
2.塗布ヘッドの塗布液吐出部から塗布液を吐出し被塗布物へ塗布している際に、塗布液吐出部の近傍に溶剤を供給しながら塗布ヘッドを被塗布物から離して塗布を行う方法。これは、接着テープで連結した長尺の被塗布物を使用した時、繋ぎ目を回避するため、エクストルージョン型塗布ヘッドを被塗布物から離す時等に該当する。この方法では次の効果が得られる。
【0042】
1)溶剤により塗布液吐出部の近傍が濡れた状態となっているため、塗布液吐出部の近傍での付着・凝固が防止され、凝固物によるスジ故障の発生を防止することが可能となる。特に、接着テープで連結した長尺の被塗布物を使用し、長時間の連続塗布を行う時、繋ぎ目の回避を度々行う時に有効であり、連続塗布しても塗布液の吐出部の近傍での付着・凝固が防止され、安定した塗布物の生産が可能となった。
【0043】
1、2に示した方法は塗布準備〜塗布〜塗布終了の一連の工程の中で個別に行うことも可能であるし、組み合わせて行うことも勿論可能である。1〜3に示した方法を組み合わせて行う時の具体的概念としては、連続的に走行している被塗布物表面に塗布ヘッドにより塗布液を塗布し塗布物を生産する時、溶剤供給手段である溶剤塗布ヘッドを塗布ヘッドの位置より被塗布物の走行方向の上流側に別途配設した塗布装置を使用し、塗布開始時は、溶剤塗布ヘッドにより被塗布物表面に溶剤を塗布し溶剤層を形成した後、溶剤層が塗布点を通過した時点で塗布液吐出部から塗布液を吐出した状態で塗布ヘッドを待機位置から塗布位置へ移動し、被塗布物表面に溶剤と、塗布液とを合わせて塗布した後、溶剤の供給を止め定常状態の塗布が続けられる。又、塗布を行っている時、塗布ヘッドを塗布位置から離す時は、溶剤供給手段より溶剤を吐出部の近傍に供給しながら吐出部から塗布液を吐出した状態とする生産方法となる。より、具体的な塗布物の生産方法の概略を図3に示すフロー図で説明する。
【0044】
図3は図2に示される塗布装置を用いた塗布物の生産方法の概略フロー図である。
【0045】
S1はエクストルージョン型塗布ヘッド2が待機位置B、及び溶剤塗布ヘッド7aが待機位置B′にある状態を示す。塗布を開始するに際して、まず、塗布する塗布液の性質にあわせてエクストルージョン型塗布ヘッド2を取り付けてある台座6をエアシリンダー等の駆動力で移動することでエクストルージョン型塗布ヘッド2の塗布位置Aを決定する。これは各種実験や計算によりエクストルージョン型塗布ヘッド2とバックアップロール4の位置を決めておき、実際にその位置にエクストルージョン型塗布ヘッドが来る様に調整することである。同様にして、溶剤塗布ヘッド7aを取り付けてある台座7a7をエアシリンダー等の駆動力で移動することで溶剤塗布ヘッド7aの塗布位置A′を決定する。
【0046】
S2は溶剤塗布ヘッド7aの溶剤吐出部7a4から溶剤を吐出した状態で、溶剤塗布ヘッド7aを待機位置B′から塗布位置A′へ移動し、被塗布物3への塗布を開始している状態を示す。この時点で、エクストルージョン型塗布ヘッド2は塗布液吐出部204aから使用する塗布液に合わせ必要とする塗布液量を吐出した状態で待機位置Bで待機している。尚、吐出した塗布液はエクストルージョン型塗布ヘッド2の下に設けられた受け容器(不図示)で回収される。
【0047】
S3は塗布液吐出部204aから塗布液を吐出した状態のエクストルージョン型塗布ヘッド2が台座6をエアシリンダー等の駆動力で移動することで待機位置Bから塗布位置Aに移動し、塗布が開始された状態を示す。この時点でエクストルージョン型塗布ヘッド2の塗布液吐出部204aのリップ202a(図1を参照)が溶剤層8と接触することで、塗布液吐出部204aの被塗布物の搬送方向の上流側の近傍へ溶剤が供給され、塗布液吐出部204aの被塗布物の搬送方向の上流側の近傍が溶剤で濡らされた状態となる。塗布開始時は、溶剤層8の上に塗布液が塗布され塗布膜5が形成されている状態となっている。
【0048】
S4は連続的に走行している被塗布物表面に塗布が行われている状態を示す。エクストルージョン型塗布ヘッド2により塗布が開始された後、溶剤塗布ヘッド7aによる溶剤の塗布が中止され、溶剤塗布ヘッド7aは台座7a7をエアシリンダー等の駆動力で移動することで待機位置B′へ移動する。
【0049】
本図に示される様に、S1〜S4のステップを経て塗布が行われる。
【0050】
図4は図3に示される概略フロー図で、塗布が開始された後、繋ぎ部を回避する概略フロー図である。
【0051】
S′1は連続的に走行している被塗布物表面に塗布が行われている状態を示す。溶剤塗布ヘッド7aは台座7a7をエアシリンダー等の駆動力で移動することで待機位置B′へ移動した状態(図3のS4に示す状態)となっている。3aは被塗布物3の繋ぎ部を示す。
【0052】
S′2は繋ぎ部3aの接近に合わせ、溶剤塗布ヘッド7aの溶剤吐出部7a4から溶剤を吐出した状態で、溶剤塗布ヘッド7aの台座7a7をエアシリンダー等の駆動力で移動することで溶剤塗布ヘッド7aを待機位置B′から塗布位置A′へ移動し、被塗布物3への溶剤塗布を開始している状態を示す。被塗布物3の搬送に伴い溶剤層8が塗布点Pに到達することでエクストルージョン型塗布ヘッド2の塗布液吐出部204aのリップ202a(図1を参照)が溶剤層8と接触し、塗布液吐出部204aの被塗布物の搬送方向の上流側の近傍へ溶剤が供給され、近傍が溶剤で濡らされた状態となる。
【0053】
S′3は繋ぎ部3aが溶剤塗布点(不図示)を通過する状態を示す。溶剤塗布ヘッド7aは繋ぎ部3aが溶剤塗布点(不図示)を通過する時に合わせ、溶剤吐出部7a4からの溶剤の吐出を止め、溶剤塗布ヘッド7aの台座7a7をエアシリンダー等の駆動力で移動することで溶剤塗布ヘッド7aを塗布位置A′から待機位置B′へ移動する。
【0054】
S′4は繋ぎ部3aが塗布点Pを通過する状態を示す。エクストルージョン型塗布ヘッド2は塗布液吐出部204aから塗布液を吐出した状態で台座6をエアシリンダー等の駆動力で移動することで塗布位置Aから待機位置Bへ移動することで繋ぎ部3aへの塗布を回避する様になっている。エクストルージョン型塗布ヘッド2は塗布液吐出部204aから塗布液を吐出した状態で待機位置Bへ移動する際、エクストルージョン型塗布ヘッド2の塗布液吐出部204aの被塗布物の搬送方向の上流側の近傍は溶剤で濡れた状態となっているので、塗布液吐出部204aから吐出した塗布液の固着を防止することが可能となっている。
【0055】
繋ぎ部3aが塗布点Pを通過した後は、図3に示すS1〜S4のステップで塗布が行われる。本図に示す様にS′1〜S′4のステップを経て繋ぎ部3aの回避が行われ、続けて図3に示すS1〜S4のステップで塗布が行われ、図4に示すステップS′1〜S′4と、図3に示すS1〜S4のステップを繰り返し行うことで繋ぎ部を有する長尺の被塗布物3の塗布が可能となっている。
【0056】
図5は図3に示される概略フロー図で、塗布が開始された後、塗布が終了するまでの概略フロー図である。
S″1は連続的に走行している被塗布物表面に塗布が行われている状態を示す。溶剤塗布ヘッド7aは台座7a7をエアシリンダー等の駆動力で移動することで待機位置B′へ移動した状態(図3のS4に示す状態)となっている。
【0057】
S″2は塗布の終了に合わせ、溶剤塗布ヘッド7aの溶剤吐出部7a4から溶剤を吐出した状態で、溶剤塗布ヘッド7aの台座7a7をエアシリンダー等の駆動力で移動することで溶剤塗布ヘッド7aを待機位置B′から塗布位置A′へ移動し、被塗布物3への溶剤塗布を開始している状態を示す。被塗布物3の搬送に伴い溶剤層8が塗布点Pに到達することでエクストルージョン型塗布ヘッド2の塗布液吐出部204aのリップ202a(図1を参照)が溶剤層8と接触し、塗布液吐出部204aの被塗布物の搬送方向の上流側の近傍へ溶剤が供給され、塗布液吐出部204aの被塗布物の搬送方向の上流側の近傍が溶剤で濡らされた状態となる。
【0058】
S″3はエクストルージョン型塗布ヘッド2が塗布点Pから離れ、待機位置Bに移動した状態を示す。待機位置Bに移動するに当たり、エクストルージョン型塗布ヘッド2は塗布液吐出部204aから塗布液の吐出を中止する。この後、台座6をエアシリンダー等の駆動力で移動することで塗布位置Aから待機位置Bへ移動する。待機位置Bへ移動する際、エクストルージョン型塗布ヘッド2の塗布液吐出部204aの被塗布物の搬送方向の上流側の近傍は溶剤で濡れた状態となっているので、塗布液吐出部204aから漏れ出した塗布液の固着を防止することが可能となっている。
【0059】
S″4は溶剤塗布ヘッド7aからの溶剤の塗布を中止し、待機位置B′に移動した状態を示す。溶剤塗布ヘッド7aはエクストルージョン型塗布ヘッド2が塗布点Pを離れた後、溶剤塗布ヘッド7aへの溶剤の供給を停止し、溶剤の塗布を中止する。この後、溶剤塗布ヘッド7aの台座7a7をエアシリンダー等の駆動力で移動することで溶剤塗布ヘッド7aを塗布位置A′から待機位置B′へ移動し塗布を終了とする。
【0060】
図6は塗布ヘッドの吐出部の被塗布物の搬送方向の上流側に溶剤吐出部を設けた塗布ヘッドの概略断面図である。
【0061】
(a)に付き説明する。9はエクストルージョン型塗布ヘッド2のブロック202に配設した溶剤供給手段を示し、小型マニホールド901と、スリット902と、溶剤供給管903とを有している。溶剤供給管903から供給された溶剤は溶剤吐出部904よりエクストルージョン型塗布ヘッド2の吐出部204a近傍に供給される。溶剤吐出部904はエクストルージョン型塗布ヘッド2の吐出部204aの全幅に均一に供給するために、吐出部204aと同じか若しくはより広い幅であることが好ましい。
【0062】
(b)に付き説明する。10はエクストルージョン型塗布ヘッド2のリップ部202aに繋がる面(ブロック202の傾斜面)の上に配設された溶剤供給手段を示す。溶剤供給手段10は、面202bとで溶剤吐出部10aを形成する溶剤供給管10bを有する部材10cで構成されている。溶剤吐出部10aはエクストルージョン型塗布ヘッド2の吐出部204aの全幅に均一に供給するために、吐出部204aと同じか若しくはより広い幅であることが好ましい。他の符号は図1と同義である。
【0063】
本図の(a)、(b)に示すエクストルージョン型塗布ヘッドの溶剤供給手段に使用する溶剤は、図2に示す溶剤塗布ヘッド7aに使用する溶剤と同じである。
【0064】
図6に示される溶剤供給手段を配設したエクストルージョン型塗布ヘッドを使用し、塗布物を生産する方法として次の4通りが挙げられる。
【0065】
1.エクストルージョン型塗布ヘッドの塗布液吐出部から塗布液の吐出を開始する前から、塗布液吐出部の被塗布物の搬送方向の上流側の近傍に溶剤を供給し、その後塗布液を塗布液吐出部より吐出する方法。これは、エクストルージョン型塗布ヘッドが待機位置にあって、塗布を開始する前の状態に該当する。この方法では次の効果が得られる。
【0066】
1)塗布液吐出部の被塗布物の搬送方向の上流側の近傍に溶剤が供給されることで、塗布液吐出部の近傍の乾燥が防止されるので、塗布液吐出部の近傍での付着・凝固が防止され、凝固物によるスジ故障の発生を防止することが可能となる。
【0067】
2.塗布ヘッドの塗布液吐出部の被塗布物の搬送方向の上流側の近傍に溶剤を供給しながら塗布液を塗布液吐出部より吐出し、被塗布物に対して塗布を開始する方法。これは、エクストルージョン型塗布ヘッドが待機位置から塗布位置に移動し、塗布を開始する時等の状態に該当する。この方法では次の効果が得られる。
【0068】
1)塗布開始時点で塗布ヘッドの塗布液吐出部の被塗布物の搬送方向の上流側の近傍に溶剤が供給されているため、見かけ上の塗布膜厚が厚くなり、被塗布物への塗布液の塗布が容易になり、従来行っていた被塗布物への塗布液の塗布補助作業(例えば、被塗布物とエクストルージョン型塗布ヘッドの間に部材を挿入し、塗布液の被塗布物への橋渡し、エクストルージョン型塗布ヘッドを被塗布物に近づけ塗布が開始した後、エクストルージョン型塗布ヘッドを正式な位置に戻す等)がなくなり、塗布補助作業に伴う故障の発生がなくなり、作業効率の向上が可能となった。
【0069】
2)塗布開始時点で塗布ヘッドの塗布液吐出部の被塗布物の搬送方向の上流側の近傍に溶剤が供給されているため、塗布液吐出部の被塗布物の搬送方向の上流側の近傍の乾燥が防止され、塗布液の塗布液吐出部の被塗布物の搬送方向の上流側の近傍での付着・凝固が防止され、凝固物によるスジ故障の発生を防止することが可能となる。特に、接着テープで連結した長尺の被塗布物を使用し、長時間の連続塗布を行う時、繋ぎ目の回避を度々行う時に有効であり、連続塗布しても塗布液の吐出部の近傍での付着・凝固が防止され、安定した塗布物の生産が可能となった。
【0070】
3.塗布ヘッドの塗布液吐出部から塗布液を塗布している際に、塗布液吐出部の被塗布物の搬送方向の上流側の近傍に溶剤を供給しながら塗布ヘッドを被塗布物から離して塗布を行う方法。これは、接着テープで連結した長尺の被塗布物を使用した時、繋ぎ目を回避するため、エクストルージョン型塗布ヘッドを被塗布物から離す時等に該当する。この方法では次の効果が得られる。
【0071】
1)常に溶剤により塗布液吐出部の被塗布物の搬送方向の上流側の近傍が濡れた状態となっているため、塗布液吐出部の近傍での付着・凝固が防止され、凝固物によるスジ故障の発生を防止することが可能となる。特に、接着テープで連結した長尺の被塗布物を使用し、長時間の連続塗布を行う時、繋ぎ目の回避を度々行う時に有効であり、連続塗布しても塗布液の吐出部の近傍での付着・凝固が防止され、安定した塗布物の生産が可能となった。
【0072】
4.塗布ヘッドの塗布液吐出部から塗布液の吐出を停止する前から、塗布液吐出部の被塗布物の搬送方向の上流側の近傍に溶剤を供給し、その後塗布液吐出部より塗布液を吐出することを停止し、次いで溶剤の供給を停止する方法。この方法では次の効果が得られる。
【0073】
1)溶剤により塗布液吐出部の被塗布物の搬送方向の上流側の近傍が濡れた状態となっているため、塗布液吐出部の被塗布物の搬送方向の上流側の近傍での付着・凝固が防止され、塗布終了後のエクストルージョン型塗布ヘッドの清掃が容易となり、作業効率の向上が可能となった。
【0074】
1〜4に示した方法は塗布準備〜塗布〜塗布終了の一連の工程の中で個別に行うことも可能であるし、組み合わせて行うことも勿論可能である。1〜4に示した方法を組み合わせて行う時の具体的概念としては、連続的に走行している被塗布物表面に塗布ヘッドにより塗布液を塗布し塗布物を生産する時、塗布液を吐出する塗布液吐出部の被塗布物の搬送方向の上流側の近傍に溶剤を供給する溶剤供給手段を有した塗布ヘッドを使用し、塗布開始時は、溶剤供給手段より溶剤を塗布液吐出部の被塗布物の搬送方向の上流側の近傍に供給した後、塗布液吐出部から塗布液を吐出した状態で塗布ヘッドを待機位置から塗布位置へ移動し、被塗布物表面に溶剤と、塗布液とを合わせて塗布した後、溶剤の供給を止め塗布を行い、塗布ヘッドを塗布位置から離す時は、溶剤供給手段より溶剤を塗布液吐出部の被塗布物の搬送方向の上流側の近傍に供給しながら塗布液吐出部から塗布液を吐出した状態とする生産方法となる。より、具体的な塗布物の生産方法の概略を図7でフロー図で説明する。
【0075】
図7は図6(a)に示される塗布手段付きエクストルージョン型塗布ヘッドを用いた塗布物の生産方法の概略フロー図である。尚、図6(b)に示される塗布手段付きエクストルージョン型塗布ヘッドの場合も同じであるため省略する。
【0076】
S″′1はエクストルージョン型塗布ヘッド2が待機位置Bにある状態を示す。塗布を開始するに際して、まず、塗布する塗布液の性質にあわせて塗布位置Aを決定する。これは各種実験や計算により塗布ヘッド2とバックアップロール4の位置を決めておき、実際にその位置にエクストルージョン型塗布ヘッドが来る様に調整することである。塗布位置Aが決定した後、待機位置Bに台座6をエアシリンダー等の駆動力で移動することでエクストルージョン型塗布ヘッド2を移動させる。この後、溶剤供給手段9の溶剤吐出部904から溶剤11を流出し、エクストルージョン型塗布ヘッド2の塗布液吐出部204aの被塗布物の搬送方向の上流側の近傍に供給する。供給された溶剤はエクストルージョン型塗布ヘッド2の下に設けられた受け容器(不図示)で回収される。
【0077】
S″′2は溶剤供給手段9の溶剤吐出部904からから溶剤を流出した状態でエクストルージョン型塗布ヘッド2が待機位置Bにある状態を示す。次に、溶剤供給手段9の溶剤吐出部904から溶剤を流出した状態でエクストルージョン型塗布ヘッド2の塗布液吐出部204aより塗布液12を吐出させる。吐出された塗布液12は、溶剤11と合わせてエクストルージョン型塗布ヘッド2の下に設けられた受け容器(不図示)で回収される。溶剤供給手段9の溶剤吐出部904から溶剤を流出した状態でエクストルージョン型塗布ヘッド2の塗布液吐出部204aより塗布液12を吐出させることで、塗布液吐出部204aの被塗布物の搬送方向の上流側の近傍(リップ部202a(図6を参照)とリップ部201aの上端辺202a1(図6参照))への塗布液12の付着を防止することが可能となる。
【0078】
S″′3は塗布位置Aにエクストルージョン型塗布ヘッド2を移動し、塗布が行われる状態を示す。この段階では、溶剤11と塗布液12とが合わせて連続的に走行している被塗布物3の表面に塗布される状態となる。エクストルージョン型塗布ヘッド2は待機位置Bから塗布位置Aへ移動する間、及び塗布が開始される間も溶剤供給管903より溶剤が供給され溶剤吐出部904から流出しているため、塗布液吐出部204aの被塗布物の搬送方向の上流側の近傍(リップ部201a(図6参照)とリップ部201aの上端辺201a1(図6を参照))への塗布液12の付着を防止することが可能となる。13は塗布された溶剤により形成された溶剤層を示し、14は塗布液12により形成された塗布液層を示す。
【0079】
S″′4はS″′3に示される状態から溶剤11の供給が止められ、連続的に走行している被塗布物表面に塗布液12の塗布が行われている状態を示す。
【0080】
S″′5はエクストルージョン型塗布ヘッド2を塗布位置Aから待機位置Bに移動する前の状態を示す。この段階では溶剤供給管903より溶剤が供給され、溶剤供給手段9の溶剤吐出部904から溶剤を流出させることで、エクストルージョン型塗布ヘッド2の塗布液吐出部の被塗布物の搬送方向の上流側の近傍に溶剤を供給し、溶剤と塗布液が合わせて塗布される状態となる。
【0081】
S″′6はエクストルージョン型塗布ヘッド2を塗布位置Aから待機位置Bに移動した状態を示す。連続的に走行している被塗布物表面に連続的に塗布を行っている時、待機位置Bにエクストルージョン型塗布ヘッド2を移動させる例の1つとして被塗布物の繋ぎ目への塗布の回避が挙げられる。通常、連続的に塗布を行う場合に使用する被塗布物は、所定の長さの被塗布物をテープ等により接続して長尺としているため、接続部が厚くなっているためエクストルージョン型塗布ヘッド2とバックアップロール4との間に挟まり切断したり、接続部で塗布が乱れ塗布故障が発生する危険が高いため待機位置Bにエクストルージョン型塗布ヘッド2を移動させ回避することが行われている。待機位置Bにエクストルージョン型塗布ヘッド2を移動させる時、吐出部204aから塗布液を吐出しながら、溶剤供給管903より溶剤を供給し、溶剤供給手段9の溶剤吐出部904からから溶剤を流出させることで、エクストルージョン型塗布ヘッド2の塗布液吐出部の被塗布物の搬送方向の上流側の近傍(リップ部201a(図6参照)とリップ部201aの上端辺201a1(図6を参照))に溶剤を供給することで、塗布液12の付着を防止することが可能となる。待機位置Bに移動した状態はSbに示される状態と同じである。繋ぎ目が通過した後、塗布の再開はScから繰り返して行い、被塗布物の繋ぎ目を通過させるにはS″′6〜S″′3〜S″′6を繰り返し行うこととなる。尚、塗布の終了は、S″′6に示す待機位置Bにあるエクストルージョン型塗布ヘッド2の状態で、塗布液の吐出を停止した後、溶剤の供給を止めることで行われる。この様にすることで、塗布終了時、エクストルージョン型塗布ヘッド2の塗布液吐出部の被塗布物の搬送方向の上流側の近傍(リップ部201a(図6参照)とリップ部201aの上端辺201a1(図6を参照))への塗布液12の付着を防止することが可能となり、清掃作業が容易になり、作業効率の向上が可能となる。
【0082】
図2に示される溶剤供給手段を用いた塗布装置で、図3〜図5に示される生産方法及び図6に示す溶剤供給手段付きのエクストルージョン型塗布ヘッドを使用した塗布装置で図7に示される生産方法で塗布物を生産することで次の効果が挙げられる。
【0083】
1)待機位置で塗布液を吐出しながら待機している時(非塗布時)、被塗布物の搬送方向の上流側の近傍へ溶剤を供給することで、乾燥を防止することが出来、被塗布物の搬送方向の上流側の近傍への塗布液の付着・固化の防止が可能となり、塗布ムラ(スジ状故障)の発生を防止した高品位な塗布物の生産が可能となった。
【0084】
2)連続塗布を行っている時、エクストルージョン型塗布ヘッドを待機位置へ移動(例えば、被塗布物の繋ぎ目を回避する時、塗布を中断する時等)し、塗布を再開する時も直ぐに塗布が可能となり、ロスを大幅に減少することが可能となった。
【0085】
3)塗布開始時に被塗布物への塗布液の塗布が容易になり、塗布開始時の煩雑な塗布補助作業がなくなり作業効率の向上と、塗布補助作業に伴う故障が防止出来、高品位な塗布物の生産が可能となった。
【0086】
4)塗布ムラ(スジ状故障)の発生を大幅に減少することが可能となり収率が向上した。
【0087】
5)塗布開始に際して、被塗布物の搬送方向の上流側の近傍の清掃が容易になることで、塗布ヘッド全体の清掃が容易になり、作業効率の向上が可能となった。
【0088】
本発明の塗布物の生産方法により生産される機能材料としては特に限定はなく、例えば一般用及び産業用ハロゲン化銀感光材料、感熱材料、熱現像感光材料、フォトレジスト、LCDや有機EL等に代表される電機光学パネルのデバイス用に使用する光学材料が挙げられる。これらの中でも、特に高性能が要求されるLCDや有機EL等に代表される電機光学パネルのデバイス用に使用する機能層を有する光学材料を製造するのに使用することが好ましい。
【0089】
本発明に係る被塗布物に使用する材料としては特に限定はなく、例えば、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム(アートン(JSR社製)、ゼオネックス、ゼオネア(以上、日本ゼオン社製))、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルム等を挙げられる。これらのフィルムは、溶融押し出し法で製造されたフィルムであっても、溶液流延製膜で製造されたフィルムであってもよい。製造する製品に合わせ適宜選択することが可能である。これらの材料の中で光学材料としては、セルロースエステルが透明性、耐熱性及び液晶とのマッチング性に優れ、固有複屈折率が低く、光弾性係数が小さいので特に好適に用いられる。例えば、市販品としてはコニカミノルタ製TACフィルム、KC8UX、KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UY、KC4UY、KC12UR、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC4UE、KC8UE、KC4FR−1、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、KC8UX−RHA−N、以上コニカミノルタオプト(株)製)等が好ましく用いられる。
【0090】
本発明に係るセルロースエステルは、脂肪酸アシル基、置換若しくは無置換の芳香族アシル基の中から少なくとも何れかの構造を含む、単独又は混合酸エステルである。芳香族アシル基において、芳香族環がベンゼン環である時、ベンゼン環の置換基の例としてハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、アラルキル基、ニトロ、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシルオキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アルキルスルホニルオキシ基及びアリールオキシスルホニル基、−S−R、−NH−CO−OR、−PH−R、−P(−R)2、−PH−O−R、−P(−R)(−O−R)、−P(−O−R)2、−PH(=O)−R−P(=O)(−R)2、−PH(=O)−O−R、−P(=O)(−R)(−O−R)、−P(=O)(−O−R)2、−O−PH(=O)−R、−O−P(=O)(−R)2−O−PH(=O)−O−R、−O−P(=O)(−R)(−O−R)、−O−P(=O)(−O−R)2、−NH−PH(=O)−R、−NH−P(=O)(−R)(−O−R)、−NH−P(=O)(−O−R)2、−SiH2−R、−SiH(−R)2、−Si(−R)3、−O−SiH2−R、−O−SiH(−R)2及び−O−Si(−R)3が含まれる。上記Rは脂肪族基、芳香族基又はヘテロ環基である。置換基の数は、1個〜5個であることが好ましく、1個〜4個であることがより好ましく、1個〜3個であることが更に好ましく、1個又は2個であることが最も好ましい。置換基としては、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基及びウレイド基が好ましく、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基及びカルボンアミド基がより好ましく、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基及びアリールオキシ基が更に好ましく、ハロゲン原子、アルキル基及びアルコキシ基が最も好ましい。
【0091】
上記ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が含まれる。上記アルキル基は、環状構造或いは分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることが更に好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル及び2−エチルヘキシルが含まれる。上記アルコキシ基は、環状構造或いは分岐を有していてもよい。アルコキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることが更に好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルコキシ基は、更に別のアルコキシ基で置換されていてもよい。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メトキシ−2−エトキシエトキシ、ブチルオキシ、ヘキシルオキシ及びオクチルオキシが含まれる。
【0092】
上記アリール基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリール基の例には、フェニル及びナフチルが含まれる。上記アリールオキシ基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリールオキシ基の例には、フェノキシ及びナフトキシが含まれる。上記アシル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アシル基の例には、ホルミル、アセチル及びベンゾイルが含まれる。上記カルボンアミド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。カルボンアミド基の例には、アセトアミド及びベンズアミドが含まれる。上記スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド及びp−トルエンスルホンアミドが含まれる。上記ウレイド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。ウレイド基の例には、(無置換)ウレイドが含まれる。
【0093】
上記アラルキル基の炭素原子数は、7〜20であることが好ましく、7〜12であることが更に好ましい。アラルキル基の例には、ベンジル、フェネチル及びナフチルメチルが含まれる。上記アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、2〜12であることが更に好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニルが含まれる。上記アリールオキシカルボニル基の炭素原子数は、7〜20であることが好ましく、7〜12であることが更に好ましい。アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニルが含まれる。上記アラルキルオキシカルボニル基の炭素原子数は、8〜20であることが好ましく、8〜12であることが更に好ましい。アラルキルオキシカルボニル基の例には、ベンジルオキシカルボニルが含まれる。上記カルバモイル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。カルバモイル基の例には、(無置換)カルバモイル及びN−メチルカルバモイルが含まれる。上記スルファモイル基の炭素原子数は、20以下であることが好ましく、12以下であることが更に好ましい。スルファモイル基の例には、(無置換)スルファモイル及びN−メチルスルファモイルが含まれる。上記アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、2〜12であることが更に好ましい。アシルオキシ基の例には、アセトキシ及びベンゾイルオキシが含まれる。
【0094】
上記アルケニル基の炭素原子数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることが更に好ましい。アルケニル基の例には、ビニル、アリル及びイソプロペニルが含まれる。上記アルキニル基の炭素原子数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることが更に好ましい。アルキニル基の例には、チエニルが含まれる。上記アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。上記アリールスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。上記アルキルオキシスルホニル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。上記アルキルスルホニルオキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。
【0095】
本発明に係るセルロースエステルにおいて、セルロースの水酸基部分の水素原子が脂肪族アシル基との脂肪酸エステルである時、脂肪族アシル基は炭素原子数が2〜20で、具体的にはアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル、ラウロイル、ステアロイル等が挙げられる。
【0096】
本発明において前記脂肪族アシル基とは、更に置換基を有するものも包含する意味であり、置換基としては上述の芳香族アシル基において、芳香族環がベンゼン環である時、ベンゼン環の置換基として例示したものが挙げられる。
【0097】
又、上記セルロースエステルのエステル化された置換基が芳香環である時、芳香族環に置換する置換基Xの数は0又は1〜5個であり、好ましくは1〜3個で、特に好ましいのは1又は2個である。更に芳香族環に置換する置換基の数が2個以上の時、互いに同じでも異なっていてもよいが、又、互いに連結して縮合多環化合物(例えば、ナフタレン、インデン、インダン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、クロメン、クロマン、フタラジン、アクリジン、インドール、インドリンなど)を形成してもよい。
【0098】
上記セルロースエステルにおいて置換若しくは無置換の脂肪族アシル基、置換若しくは無置換の芳香族アシル基の少なくとも何れか1種選択された構造を有する構造を有することが本発明に係るセルロースエステルに用いる構造として用いられ、これらは、セルロースの単独又は混合酸エステルでもよく、2種以上のセルロースエステルを混合して用いてもよい。
【0099】
本発明に係るセルロースエステルとしては、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート及びセルロースフタレートから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0100】
混合脂肪酸エステルの置換度として、更に好ましいセルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートの低級脂肪酸エステルは炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基又はブチリル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルを含むセルロース樹脂である。
【0101】
式(I) 2.6≦X+Y≦3.0
式(II) 0≦X≦2.5
この内特にセルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられ、中でも1.9≦X≦2.5であり、0.1≦Y≦0.9であることが好ましい。上記アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在しているものである。これらは公知の方法で合成することが出来る。
【0102】
更に、本発明で用いられるセルロースエステルは、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn比が1.5〜5.5のものが好ましく用いられ、特に好ましくは2.0〜5.0であり、更に好ましくは2.5〜5.0であり、更に好ましくは3.0〜5.0のセルロースエステルが好ましく用いられる。
【0103】
本発明で用いられるセルロースエステルの原料セルロースは、木材パルプでも綿花リンターでもよく、木材パルプは針葉樹でも広葉樹でもよいが、針葉樹の方がより好ましい。製膜の際の剥離性の点からは綿花リンターが好ましく用いられる。これらから作られたセルロースエステルは適宜混合して、或いは単独で使用することが出来る。
【0104】
例えば、綿花リンター由来セルロースエステル:木材パルプ(針葉樹)由来セルロースエステル:木材パルプ(広葉樹)由来セルロースエステルの比率が100:0:0、90:10:0、85:15:0、50:50:0、20:80:0、10:90:0、0:100:0、0:0:100、80:10:10、85:0:15、40:30:30で用いることが出来る。
【0105】
本発明に使用するセルロースエステルフィルムには、下記のような可塑剤を含有するのが好ましい。可塑剤としては、例えば、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤等を好ましく用いることが出来る。
【0106】
リン酸エステル系可塑剤では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系可塑剤では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジフェニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等、トリメリット酸系可塑剤では、トリブチルトリメリテート、トリフェニルトリメリテート、トリエチルトリメリテート等、ピロメリット酸エステル系可塑剤では、テトラブチルピロメリテート、テトラフェニルピロメリテート、テトラエチルピロメリテート等、グリコレート系可塑剤では、トリアセチン、トリブチリン、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等、クエン酸エステル系可塑剤では、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−(2−エチルヘキシル)シトレート等を好ましく用いることが出来る。その他のカルボン酸エステルの例には、トリメチロールプロパントリベンゾエート、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。
【0107】
ポリエステル系可塑剤として脂肪族二塩基酸、脂環式二塩基酸、芳香族二塩基酸等の二塩基酸とグリコールの共重合ポリマーを用いることが出来る。脂肪族二塩基酸としては特に限定されないが、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸等を用いることが出来る。グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール等を用いることが出来る。これらの二塩基酸及びグリコールはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
【0108】
これらの可塑剤の使用量は、フィルム性能、加工性等の点で、セルロースエステルに対して1〜20質量%が好ましく、特に好ましくは、3〜13質量%である。
【0109】
本発明に係る塗布液はとしては、高分子成分を0.5〜20質量%含んでいることが好ましい。高分子成分としては、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、天然ゴム等が挙げられる。
【0110】
これらの高分子成分を含んだ塗布液としては特に制限はなく、例えば、一般用及び産業用ハロゲン化銀感光材料、感熱材料、熱現像感光材料、フォトレジスト、LCDや有機EL等に代表される電機光学パネルのデバイス用の塗布液が挙げられる。電気光学パネル用のデバイスとしてはCRTや液晶表示装置の視認性を改善するために、表示装置前面に張り付ける反射防止層が形成された光学材料、光学補償フィルム、帯電防止フィルム、輝度向上フィルム等が挙げられる。ところで、テレビのような大画面の表示装置では、直接、物が接触することがあり傷が付き易い。そこで、通常は傷つき防止のためにクリアハードコート層を支持体上に形成した光学材料、又は反射防止層が形成された光学材料が用いられる。以下、クリアハードコート層を支持体上に形成した光学材料、又は反射防止層が形成された光学材料に付き説明する。
【0111】
クリアハードコート層を有した光学材料に付き説明する。クリアハードコート層としては活性線硬化樹脂層が好ましく用いられる。活性線硬化樹脂層とは紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂を主たる成分とする層を言う。活性線硬化樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性線を照射することによって硬化させてハードコート層が形成される。活性線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線照射によって硬化する樹脂が好ましい。
【0112】
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、又は紫外線硬化型エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。
【0113】
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、又はプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることが出来る。例えば、特開昭59−151110号に記載のものを用いることが出来る。例えば、ユニディック17−806(大日本インキ(株)製)100部とコロネートL(日本ポリウレタン(株)製)1部との混合物等が好ましく用いられる。
【0114】
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させると容易に形成されるものを挙げることが出来、特開昭59−151112号に記載のものを用いることが出来る。
【0115】
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させて生成するものを挙げることが出来、特開平1−105738号に記載のものを用いることが出来る。
【0116】
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることが出来る。
【0117】
これら紫外線硬化性樹脂の光反応開始剤としては、具体的には、ベンゾイン及びその誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることが出来る。光増感剤と共に使用してもよい。上記光反応開始剤も光増感剤として使用出来る。又、エポキシアクリレート系の光反応開始剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることが出来る。紫外線硬化樹脂組成物に用いられる光反応開始剤又光増感剤は該組成物100質量部に対して0.1〜15質量部であり、好ましくは1〜10質量部である。
【0118】
樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が1つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、酢酸ビニル、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることが出来る。又不飽和二重結合を2つ以上持つモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、前出のトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることが出来る。
【0119】
本発明において使用し得る紫外線硬化樹脂の市販品としては、アデカオプトマーKR・BYシリーズ:KR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(旭電化(株)製);コーエイハードA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(広栄化学(株)製);セイカビームPHC2210(S)、PHC X−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(大日精化工業(株)製);KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(ダイセル・ユーシービー(株)製);RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(大日本インキ化学工業(株)製);オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料(株)製);サンラッドH−601、RC−750、RC−700、RC−600、RC−500、RC−611、RC−612(三洋化成工業(株)製);SP−1509、SP−1507(昭和高分子(株)製);RCC−15C(グレース・ジャパン(株)製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(東亞合成(株)製)等を適宜選択して利用出来る。
【0120】
又、具体的化合物例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることが出来る。
【0121】
これらの活性線硬化樹脂層はグラビアコータ、ディップコータ、リバースコータ、ワイヤーバーコータ、ダイコータ、インクジェット法等公知の方法で塗設することが出来る。
【0122】
紫外線硬化性樹脂を光硬化反応により硬化させ、硬化皮膜層を形成するための光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用出来る。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は好ましくは、5〜150mJ/cm2であり、特に好ましくは20〜100mJ/cm2である。
【0123】
又、活性線を照射する際には、フィルムの搬送方向に張力を付与しながら行うことが好ましく、更に好ましくは幅方向にも張力を付与しながら行うことである。付与する張力は30〜300N/mが好ましい。
【0124】
紫外線硬化樹脂層組成物塗布液の有機溶媒としては、例えば、炭化水素類(トルエン、キシレン、)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル)、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒の中から適宜選択し、或いはこれらを混合し利用出来る。プロピレングリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)又はプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)等を5質量%以上、より好ましくは5〜80質量%以上含有する上記有機溶媒を用いるのが好ましい。
【0125】
又、紫外線硬化樹脂層組成物塗布液には、特にシリコーン化合物を添加することが好ましい。例えば、ポリエーテル変性シリコーンオイルなどが好ましく添加される。ポリエーテル変性シリコーンオイルの数平均分子量は、例えば、1,000〜100,000、好ましくは、2,000〜50,000が適当であり、数平均分子量が1,000未満では、塗膜の乾燥性が低下し、逆に、数平均分子量が100,000を越えると、塗膜表面にブリードアウトしにくくなる傾向にある。
【0126】
シリコーン化合物の市販品としては、DKQ8−779(ダウコーニング社製商品名)、SF3771、SF8410、SF8411、SF8419、SF8421、SF8428、SH200、SH510、SH1107、SH3749、SH3771、BX16−034、SH3746、SH3749、SH8400、SH3771M、SH3772M、SH3773M、SH3775M、BY−16−837、BY−16−839、BY−16−869、BY−16−870、BY−16−004、BY−16−891、BY−16−872、BY−16−874、BY22−008M、BY22−012M、FS−1265(以上、東レ・ダウコーニングシリコーン社製商品名)、KF−101、KF−100T、KF351、KF352、KF353、KF354、KF355、KF615、KF618、KF945、KF6004、シリコーンX−22−945、X22−160AS(以上、信越化学工業社製商品名)、XF3940、XF3949(以上、東芝シリコーン社製商品名)、ディスパロンLS−009(楠本化成社製)、グラノール410(共栄社油脂化学工業(株)製)、TSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4446、TSF4452、TSF4460(GE東芝シリコーン製)、BYK−306、BYK−330、BYK−307、BYK−341、BYK−344、BYK−361(ビックケミ−ジャパン社製)日本ユニカー(株)製のLシリーズ(例えばL7001、L−7006、L−7604、L−9000)、Yシリーズ、FZシリーズ(FZ−2203、FZ−2206、FZ−2207)等が挙げられ、好ましく用いられる。
【0127】
これらの成分は基材や下層への塗布性を高める。積層体最表面層に添加した場合には、塗膜の撥水、撥油性、防汚性を高めるばかりでなく、表面の耐擦り傷性にも効果を発揮する。これらの成分は、塗布液中の固形分成分に対し、0.01〜3質量%の範囲で添加することが好ましい。
【0128】
紫外線硬化性樹脂組成物塗布液の塗布方法としては、前述のものを用いることが出来る。塗布量はウェット膜厚として0.1〜30μmが適当で、好ましくは、0.5〜15μmである。又、ドライ膜厚としては0.1〜20μm、好ましくは1〜20μmである。特に好ましくは8〜20μmである。
【0129】
又、鉛筆硬度は、2H〜8Hのハードコート層であることが好ましい。特に好ましくは3H〜6Hであることが好ましい。鉛筆硬度は、作製したハードコートフィルム試料を温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、JIS−S−6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS−K−5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い、1kgの加重にて各硬度の鉛筆で引っ掻きを10回繰り返し、傷が全く認められない引っ掻きの本数を表したものである。
【0130】
紫外線硬化性樹脂組成物は塗布乾燥中又は後に、紫外線を照射するのがよく、前記の5〜150mJ/cm2という活性線の照射量を得るための照射時間としては、0.1秒〜5分程度がよく、紫外線硬化性樹脂の硬化効率又は作業効率の観点から0.1〜10秒がより好ましい。又、これら活性線照射部の照度は50〜150mW/m2であることが好ましい。
【0131】
反射防止層を有した光学材料に付き説明する。光学材料に用いられる反射防止層は低屈折率層のみの単層構成でも、又多層の屈折率層でもどちらでも構成することが出来る。通常、反射防止層は被塗布物上のハードコート層(クリアハードコート層或いは防眩層)の表面上に光学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、層の数、層順等を考慮して積層出来る。反射防止層は、被塗布物よりも屈折率の高い高屈折率層と、被塗布物よりも屈折率の低い低屈折率層を組み合わせて構成したり、特に好ましくは、3層以上の屈折率層から構成される反射防止層であり、被塗布物側から屈折率の異なる3層を、中屈折率層(被塗布物又はハードコート層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているものが好ましい。ハードコート層が高屈折率層を兼ねてもよい。
【0132】
反射防止層の好ましい層構成の例を下記に示す。ここで/は積層配置されていることを示している。
【0133】
被塗布物/ハードコート層/低屈折率層
被塗布物/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層
被塗布物/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
被塗布物/帯電防止層/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
被塗布物/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
被塗布物/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
〈バックコート層〉
反射防止フィルムを作製する基材のハードコート層を設けた側と反対側の面にはバックコート層を設けることが好ましい。バックコート層は、ハードコート層やその他の層を設けることで生じるカールを矯正するために設けられる。即ち、バックコート層を設けた面を内側にして丸まろうとする性質を持たせることにより、カールの度合いをバランスさせることが出来る。尚、バックコート層は好ましくはブロッキング防止層を兼ねて塗設され、その場合、バックコート層塗布組成物には、ブロッキング防止機能を持たせるために微粒子が添加されることが好ましい。
【0134】
バックコート層に添加される微粒子としては無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、ITO、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることが出来る。微粒子は珪素を含むものがヘイズが低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
【0135】
これらの微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することが出来る。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することが出来る。ポリマーの例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることが出来る。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することが出来る。
【0136】
これらの中でもでアエロジル200V、アエロジルR972Vがヘイズを低く保ちながら、ブロッキング防止効果が大きいため特に好ましく用いられる。本発明で用いられる反射防止フィルムは、活性エネルギー線硬化樹脂層の裏面側の動摩擦係数が0.9以下、特に0.1〜0.9であることが好ましい。
【0137】
バックコート層に含まれる微粒子は、バインダーに対して0.1〜50質量%好ましくは0.1〜10質量%であることが好ましい。バックコート層を設けた場合のヘイズの増加は1%以下であることが好ましく0.5%以下であることが好ましく、特に0.0〜0.1%であることが好ましい。
【0138】
バックコート層は、具体的にはセルロースエステルフィルムを溶解させる溶媒又は膨潤させる溶媒を含む組成物を塗布することによって行われる。用いる溶媒としては、溶解させる溶媒及び/又は膨潤させる溶媒の混合物の他更に溶解させない溶媒を含む場合もあり、これらを透明樹脂フィルムのカール度合いや樹脂の種類によって適宜の割合で混合した組成物及び塗布量を用いて行う。
【0139】
カール防止機能を強めたい場合は、用いる溶媒組成を溶解させる溶媒及び/又は膨潤させる溶媒の混合比率を大きくし、溶解させない溶媒の比率を小さくするのが効果的である。この混合比率は好ましくは(溶解させる溶媒及び/又は膨潤させる溶媒):(溶解させない溶媒)=10:0〜1:9で用いられる。この様な混合組成物に含まれる、透明樹脂フィルムを溶解又は膨潤させる溶媒としては、例えば、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸メチル、酢酸エチル、トリクロロエチレン、メチレンクロライド、エチレンクロライド、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロホルム等がある。溶解させない溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブタノール、シクロヘキサノール或いは炭化水素類(トルエン、キシレン)等がある。
【0140】
これらの塗布組成物をグラビアコータ、ディップコータ、リバースコータ、ワイヤーバーコータ、ダイコータ、或いはスプレー塗布、インクジェット塗布等を用いて透明樹脂フィルムの表面にウェット膜厚1〜100μmで塗布するのが好ましいが、特に5〜30μmであることが好ましい。バックコート層のバインダーとして用いられる樹脂としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体或いは共重合体、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート(好ましくはアセチル基置換度1.8〜2.3、プロピオニル基置換度0.1〜1.0)、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート樹脂等のセルロース誘導体、マレイン酸及び/又はアクリル酸の共重合体、アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることが出来るが、これらに限定されるものではない。例えば、アクリル樹脂としては、アクリペットMD、VH、MF、V(三菱レーヨン(株)製)、ハイパールM−4003、M−4005、M−4006、M−4202、M−5000、M−5001、M−4501(根上工業株式会社製)、ダイヤナールBR−50、BR−52、BR−53、BR−60、BR−64、BR−73、BR−75、BR−77、BR−79、BR−80、BR−82、BR−83、BR−85、BR−87、BR−88、BR−90、BR−93、BR−95、BR−100、BR−101、BR−102、BR−105、BR−106、BR−107、BR−108、BR−112、BR−113、BR−115、BR−116、BR−117、BR−118等(三菱レーヨン(株)製)のアクリル及びメタクリル系モノマーを原料として製造した各種ホモポリマー並びにコポリマー等が市販されており、この中から好ましいモノを適宜選択することも出来る。
【0141】
特に好ましくはジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートのようなセルロース系樹脂層である。
【0142】
バックコート層を塗設する順番はセルロースエステルフィルムのハードコート層を塗設する前でも後でも構わないが、バックコート層がブロッキング防止層を兼ねる場合は先に塗設することが望ましい。或いは2回以上に分けてバックコート層を塗布することも出来る。
〈低屈折率層〉
低屈折率層では以下の中空シリカ系微粒子が好適に用いられる。
【0143】
(中空シリカ系微粒子)
中空微粒子は、(I)多孔質粒子と該多孔質粒子表面に設けられた被覆層とからなる複合粒子、又は(II)内部に空洞を有し、かつ内容物が溶媒、気体又は多孔質物質で充填された空洞粒子である。尚、低屈折率層には(I)複合粒子又は(II)空洞粒子の何れかが含まれていればよく、又双方が含まれていてもよい。
【0144】
尚、空洞粒子は内部に空洞を有する粒子であり、空洞は粒子壁で囲まれている。空洞内には、調製時に使用した溶媒、気体又は多孔質物質等の内容物で充填されている。この様な中空球状微粒子の平均粒子径が5〜300nm、好ましくは10〜200nmの範囲にあることが望ましい。使用される中空球状微粒子は、形成される透明被膜の厚さに応じて適宜選択され、形成される低屈折率層等の透明被膜の膜厚の2/3〜1/10の範囲にあることが望ましい。これらの中空球状微粒子は、低屈折率層の形成のため、適当な媒体に分散した状態で使用することが好ましい。分散媒としては、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)及びケトン(例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、ケトンアルコール(例えばジアセトンアルコール)が好ましい。
【0145】
複合粒子の被覆層の厚さ又は空洞粒子の粒子壁の厚さは、1〜20nm、好ましくは2〜15nmの範囲にあることが望ましい。複合粒子の場合、被覆層の厚さが1nm未満の場合は、粒子を完全に被覆することが出来ないことがあり、後述する塗布液成分である重合度の低いケイ酸モノマー、オリゴマー等が容易に複合粒子の内部に進入して内部の多孔性が減少し、低屈折率の効果が十分得られないことがある。又、被覆層の厚さが20nmを越えると、前記ケイ酸モノマー、オリゴマーが内部に進入することはないが、複合粒子の多孔性(細孔容積)が低下し低屈折率の効果が十分得られなくなることがある。又空洞粒子の場合、粒子壁の厚さが1nm未満の場合は、粒子形状を維持出来ないことがあり、又厚さが20nmを越えても、低屈折率の効果が十分に現れないことがある。
【0146】
複合粒子の被覆層又は空洞粒子の粒子壁は、シリカを主成分とすることが好ましい。又、シリカ以外の成分が含まれていてもよく、具体的には、Al23、B23、TiO2、ZrO2、SnO2、CeO2、P23、Sb23、MoO3、ZnO2、WO3等が挙げられる。複合粒子を構成する多孔質粒子としては、シリカからなるもの、シリカとシリカ以外の無機化合物とからなるもの、CaF2、NaF、NaAlF6、MgF等からなるものが挙げられる。この内、特にシリカとシリカ以外の無機化合物との複合酸化物からなる多孔質粒子が好適である。シリカ以外の無機化合物としては、Al23、B23、TiO2、ZrO2、SnO2、CeO2、P23、Sb23、MoO3、ZnO2、WO3等との1種又は2種以上を挙げることが出来る。この様な多孔質粒子では、シリカをSiO2で表し、シリカ以外の無機化合物を酸化物換算(MOX)で表した時のモル比MOX/SiO2が、0.0001〜1.0、好ましくは0.001〜0.3の範囲にあることが望ましい。多孔質粒子のモル比MOX/SiO2が0.0001未満のものは得ることが困難であり、得られたとしても細孔容積が小さく、屈折率の低い粒子が得られない。又、多孔質粒子のモル比MOX/SiO2が、1.0を越えると、シリカの比率が少なくなるので、細孔容積が大きくなり、更に屈折率が低いものを得ることが難しいことがある。
【0147】
この様な多孔質粒子の細孔容積は、0.1〜1.5ml/g、好ましくは0.2〜1.5ml/gの範囲であることが望ましい。細孔容積が0.1ml/g未満では、十分に屈折率の低下した粒子が得られず、1.5ml/gを越えると微粒子の強度が低下し、得られる被膜の強度が低下することがある。尚、この様な多孔質粒子の細孔容積は水銀圧入法によって求めることが出来る。又、空洞粒子の内容物としては、粒子調製時に使用した溶媒、気体、多孔質物質等が挙げられる。溶媒中には空洞粒子調製する際に使用される粒子前駆体の未反応物、使用した触媒等が含まれていてもよい。又多孔質物質としては、前記多孔質粒子で例表した化合物からなるものが挙げられる。これらの内容物は、単一の成分からなるものであってもよいが、複数成分の混合物であってもよい。
【0148】
この様な中空球状微粒子の製造方法としては、例えば特開平7−133105号公報の段落番号[0010]〜[0033]に開示された複合酸化物コロイド粒子の調製方法が好適に採用される。
【0149】
この様にして得られた中空微粒子の屈折率は、内部が空洞であるので屈折率が低く、それを用いた低屈折率層の屈折率は、1.30〜1.50であることが好ましく、1.35〜1.44であることが更に好ましい。
【0150】
外殻層を有し、内部が多孔質又は空洞である中空シリカ系微粒子の低屈折率層塗布液中の含量(質量)は、10〜80質量%が好ましく、更に好ましくは20〜60質量%である。
【0151】
(テトラアルコキシシラン化合物又はその加水分解物)
低屈折率層には、ゾルゲル素材としてテトラアルコキシシラン化合物又はその加水分解物が含有されることが好ましい。低屈折率層用の素材として、前記無機珪素酸化物以外に有機基を有する珪素酸化物を用いることも好ましい。これらは一般にゾルゲル素材と呼ばれるが、金属アルコレート、オルガノアルコキシ金属化合物及びその加水分解物を用いることが出来る。特に、アルコキシシラン、オルガノアルコキシシラン及びその加水分解物が好ましい。これらの例としては、テトラアルコキシシラン(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等)、アルキルトリアルコキシシラン(メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等)、アリールトリアルコキシシラン(フェニルトリメトキシシラン等)、ジアルキルジアルコキシシラン、ジアリールジアルコキシシラン等が挙げられる。
【0152】
低屈折率層は前記珪素酸化物と下記シランカップリング剤を含むことが好ましい。具体的なシランカップリング剤の例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン等が挙げられる。又、珪素に対して2置換のアルキル基を持つシランカップリング剤の例として、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0153】
シランカップリング剤の具体例としては、信越化学工業株式会社製KBM−303、KBM−403、KBM−402、KBM−403、KBM−1403、KBM−502、KBM−503、KBE−502、KBE−503、KBM−603、KBE−603、KBM−903、KBE−903、KBE−9103、KBM−802、KBM−803等が挙げられる。
【0154】
これらシランカップリング剤は予め必要量の水で加水分解されていることが好ましい。シランカップリング剤が加水分解されていると、前述の珪素酸化物粒子及び有機基を有する珪素酸化物の表面が反応し易く、より強固な膜が形成される。又、加水分解されたシランカップリング剤を予め塗布液中に加えてもよい。
【0155】
又、低屈折率層は、5〜50質量%の量のポリマーを含むことも出来る。ポリマーは、微粒子を接着し、空隙を含む低屈折率層の構造を維持する機能を有する。ポリマーの使用量は、空隙を充填することなく低屈折率層の強度を維持出来るように調整する。ポリマーの量は、低屈折率層の全量の10〜30質量%であることが好ましい。ポリマーで微粒子を接着するためには、(1)微粒子の表面処理剤にポリマーを結合させるか、(2)微粒子をコアとして、その周囲にポリマーシェルを形成するか、或いは(3)微粒子間のバインダーとして、ポリマーを使用することが好ましい。
【0156】
バインダーポリマーは、飽和炭化水素又はポリエーテルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることが更に好ましい。バインダーポリマーは架橋していることが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。架橋しているバインダーポリマーを得るためには、2以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。2以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの例としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼン及びその誘導体(例えば、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例えば、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例えば、メチレンビスアクリルアミド)及びメタクリルアミドが挙げられる。
【0157】
又、低屈折率層が、熱又は電離放射線により架橋する含フッ素樹脂(以下、「架橋前の含フッ素樹脂」とも言う)の架橋からなる低屈折率層であってもよい。架橋前の含フッ素樹脂としては、含フッ素ビニルモノマーと架橋性基付与のためのモノマーから形成される含フッ素共重合体を好ましく挙げることが出来る。上記含フッ素ビニルモノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えば、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分又は完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えば、ビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられる。架橋性基付与のためのモノマーとしては、グリシジルメタクリレートや、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルグリシジルエーテル等のように分子内に予め架橋性官能基を有するビニルモノマーの他、カルボキシル基やヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸基等を有するビニルモノマー(例えば、(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルアリルエーテル等)が挙げられる。後者は共重合の後、ポリマー中の官能基と反応する基ともう1つ以上の反応性基を持つ化合物を加えることにより、架橋構造を導入出来ることが特開平10−25388号、同10−147739号に記載されている。架橋性基の例には、アクリロイル、メタクリロイル、イソシアナート、エポキシ、アジリジン、オキサゾリン、アルデヒド、カルボニル、ヒドラジン、カルボキシル、メチロール及び活性メチレン基等が挙げられる。含フッ素共重合体が、加熱により反応する架橋基、若しくは、エチレン性不飽和基と熱ラジカル発生剤若しくはエポキシ基と熱酸発生剤等の相み合わせにより、加熱により架橋する場合、熱硬化型であり、エチレン性不飽和基と光ラジカル発生剤若しくは、エポキシ基と光酸発生剤等の組み合わせにより、光(好ましくは紫外線、電子ビーム等)の照射により架橋する場合、電離放射線硬化型である。
【0158】
架橋前の含フッ素共重合体を形成するために用いられる上記各モノマーの使用割合は、含フッ素ビニルモノマーが好ましくは20〜70モル%、より好ましくは40〜70モル%、架橋性基付与のためのモノマーが好ましくは1〜20モル%、より好ましくは5〜20モル%、併用されるその他のモノマーが好ましくは10〜70モル%、より好ましくは10〜50モル%の割合である。
【0159】
低屈折率層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号)により、塗布により形成することが出来る。又、2以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2,761,791号、同2,941,898号、同3,508,947号、同3,526,528号及び原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。低屈折率層の膜厚は50〜200nmであることが好ましく、60〜150nmであることがより好ましい。
【0160】
〈高屈折率層及び中屈折率層〉
反射率の低減のために透明支持体と低屈折率層との間に、高屈折率層を設けることが好ましい。又、該透明支持体と高屈折率層との間に中屈折率層を設けることは、反射率の低減のために更に好ましい。高屈折率層の屈折率は、1.55〜2.30であることが好ましく、1.57〜2.20であることが更に好ましい。中屈折率層の屈折率は、透明支持体の屈折率と高屈折率層の屈折率との中間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55〜1.80であることが好ましい。高屈折率層及び中屈折率層の厚さは、5nm〜1μmであることが好ましく、10nm〜0.2μmであることが更に好ましく、30nm〜0.1μmであることが最も好ましい。高屈折率層及び中屈折率層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることが更に好ましく、1%以下であることが最も好ましい。高屈折率層及び中屈折率層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度でH以上であることが好ましく、2H以上であることが更に好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
【0161】
中、高屈折率層は下記一般式(1)で表される有機チタン化合物のモノマー、オリゴマー又はそれらの加水分解物を含有する塗布液を塗布し乾燥させて形成させた屈折率1.55〜2.5の層であることが好ましい。
【0162】
一般式(1) Ti(OR14
式中、R1としては炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基がよいが、好ましくは炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基である。又、有機チタン化合物のモノマー、オリゴマー又はそれらの加水分解物は、アルコキシド基が加水分解を受けて−Ti−O−Ti−のように反応して架橋構造を作り、硬化した層を形成する。
【0163】
有機チタン化合物のモノマー、オリゴマーとしては、Ti(OCH34、Ti(OC254、Ti(O−n−C374、Ti(O−i−C374、Ti(O−n−C494、Ti(O−n−C374の2〜10量体、Ti(O−i−C374の2〜10量体、Ti(O−n−C494の2〜10量体等が好ましい例として挙げられる。これらは単独で、又は2種以上組み合わせて用いることが出来る。中でもTi(O−n−C374、Ti(O−i−C374、Ti(O−n−C494、Ti(O−n−C374の2〜10量体、Ti(O−n−C494の2〜10量体が特に好ましい。
【0164】
有機チタン化合物のモノマー、オリゴマー又はそれらの加水分解物は、塗布液に含まれる固形分中の50.0質量%〜98.0質量%を占めていることが望ましい。固形分比率は50質量%〜90質量%がより好ましく、55質量%〜90質量%が更に好ましい。この他、塗布組成物には有機チタン化合物のポリマー(予め有機チタン化合物の加水分解を行って架橋したもの)或いは酸化チタン微粒子を添加することも好ましい。高屈折率層及び中屈折率層は、微粒子として金属酸化物粒子を含み、更にバインダーポリマーを含むことが好ましい。
【0165】
上記塗布液調製法で加水分解/重合した有機チタン化合物と金属酸化物粒子を組み合わせると、金属酸化物粒子と加水分解/重合した有機チタン化合物とが強固に接着し、粒子の持つ硬さと均一膜の柔軟性を兼ね備えた強い塗膜を得ることが出来る。
【0166】
高屈折率層及び中屈折率層に用いる金属酸化物粒子は、屈折率が1.80〜2.80であることが好ましく、1.90〜2.80であることが更に好ましい。金属酸化物粒子の1次粒子の質量平均径は、1〜150nmであることが好ましく、1〜100nmであることが更に好ましく、1〜80nmであることが最も好ましい。層中での金属酸化物粒子の質量平均径は、1〜200nmであることが好ましく、5〜150nmであることがより好ましく、10〜100nmであることが更に好ましく、10〜80nmであることが最も好ましい。金属酸化物粒子の平均粒径は、20〜30nm以上であれば光散乱法により、20〜30nm以下であれば電子顕微鏡写真により測定される。金属酸化物粒子の比表面積は、BET法で測定された値として、10〜400m2/gであることが好ましく、20〜200m2/gであることが更に好ましく、30〜150m2/gであることが最も好ましい。
【0167】
金属酸化物粒子の例としては、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P及びSから選択される少なくとも1種の元素を有する金属酸化物であり、具体的には二酸化チタン(例、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造)、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、及び酸化ジルコニウムが挙げられる。中でも、酸化チタン、酸化錫及び酸化インジウムが特に好ましい。金属酸化物粒子は、これらの金属の酸化物を主成分とし、更に他の元素を含むことが出来る。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の例としては、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P及びS等が挙げられる。
【0168】
金属酸化物粒子は表面処理されていることが好ましい。表面処理は、無機化合物又は有機化合物を用いて実施することが出来る。表面処理に用いる無機化合物の例としては、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウム及び酸化鉄が挙げられる。中でもアルミナ及びシリカが好ましい。表面処理に用いる有機化合物の例としては、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤及びチタネートカップリング剤が挙げられる。中でも、シランカップリング剤が最も好ましい。
【0169】
高屈折率層及び中屈折率層中の金属酸化物粒子の割合は、5〜65体積%であることが好ましく、より好ましくは10〜60体積%であり、更に好ましくは20〜55体積%である。
【0170】
上記金属酸化物粒子は、媒体に分散した分散体の状態で、高屈折率層及び中屈折率層を形成するための塗布液に供される。金属酸化物粒子の分散媒体としては、沸点が60〜170℃の溶剤を用いることが好ましい。分散溶媒の具体例としては、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が挙げられる。中でも、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びブタノールが特に好ましい。
【0171】
又金属酸化物粒子は、分散機を用いて媒体中に分散することが出来る。分散機の例としては、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライター及びコロイドミルが挙げられる。サンドグラインダーミル及び高速インペラーミルが特に好ましい。又、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例としては、ボールミル、三本ロールミル、ニーダー及びエクストルーダーが挙げられる。
【0172】
高屈折率層及び中屈折率層は、架橋構造を有するポリマー(以下、架橋ポリマーとも言う)をバインダーポリマーとして用いることが好ましい。架橋ポリマーの例として、ポリオレフィン等の飽和炭化水素鎖を有するポリマー、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミド及びメラミン樹脂等の架橋物が挙げられる。中でも、ポリオレフィン、ポリエーテル及びポリウレタンの架橋物が好ましく、ポリオレフィン及びポリエーテルの架橋物が更に好ましく、ポリオレフィンの架橋物が最も好ましい。
【0173】
モノマーとしては、2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーが最も好ましいが、その例としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼン及びその誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)及びメタクリルアミド等が挙げられる。アニオン性基を有するモノマー、及びアミノ基又は4級アンモニウム基を有するモノマーは市販のモノマーを用いてもよい。好ましく用いられる市販のアニオン性基を有するモノマーとしては、KAYAMARPM−21、PM−2(日本化薬(株)製)、AntoxMS−60、MS−2N、MS−NH4(日本乳化剤(株)製)、アロニックスM−5000、M−6000、M−8000シリーズ(東亞合成化学工業(株)製)、ビスコート#2000シリーズ(大阪有機化学工業(株)製)、ニューフロンティアGX−8289(第一工業製薬(株)製)、NKエステルCB−1、A−SA(新中村化学工業(株)製)、AR−100、MR−100、MR−200(第八化学工業(株)製)等が挙げられる。又、好ましく用いられる市販のアミノ基又は4級アンモニウム基を有するモノマーとしてはDMAA(大阪有機化学工業(株)製)、DMAEA,DMAPAA(興人(株)製)、ブレンマーQA(日本油脂(株)製)、ニューフロンティアC−1615(第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
【0174】
ポリマーの重合反応は、光重合反応又は熱重合反応を用いることが出来る。特に光重合反応が好ましい。重合反応のため、重合開始剤を使用することが好ましい。例えば、ハードコート層のバインダーポリマーを形成するために用いられる熱重合開始剤、及び光重合開始剤が挙げられる。
【0175】
重合開始剤として市販の重合開始剤を使用してもよい。重合開始剤に加えて、重合促進剤を使用してもよい。重合開始剤と重合促進剤の添加量は、モノマーの全量の0.2〜10質量%の範囲であることが好ましい。
【0176】
反射防止層の各層又はその塗布液には、前述した成分(金属酸化物粒子、ポリマー、分散媒体、重合開始剤、重合促進剤)以外に、重合禁止剤、レベリング剤、増粘剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、帯電防止剤や接着付与剤を添加してもよい。
【0177】
中〜高屈折率層及び低屈折率層の塗設後、金属アルコキシドを含む組成物の加水分解又は硬化を促進するため、活性エネルギー線を照射することが好ましい。より好ましくは、各層を塗設するごとに活性エネルギー線を照射することである。使用する活性エネルギー線は、紫外線、電子線、γ線等で、化合物を活性させるエネルギー源であれば制限なく使用出来るが、紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。紫外線反応性化合物を光重合させる紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用出来る。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。又、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプ又はシンクロトロン放射光等も用いることが出来る。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は20mJ/cm2〜10,000mJ/cm2が好ましく、更に好ましくは、100mJ/cm2〜2,000mJ/cm2であり、特に好ましくは、400mJ/cm2〜2,000mJ/cm2である。
【実施例】
【0178】
以下実施例により本発明を詳細に説明するが本発明はこれにより限定されるものではない。
【0179】
実施例1
《セルロースエステルフィルムの作製》
下記に示す各種添加液、各種ドープを調製して、フィルム両端に幅10mm、高さ10μmのナーリング加工を施し、幅1200mm、長さ2500m、膜厚80μmの長尺広幅のセルロースエステルフィルムを作製した。
【0180】
〈酸化珪素分散液Aの調製〉
アエロジルR972V (日本アエロジル(株)製) 1kg
エタノール 9kg
以上をディゾルバで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリン型高圧分散装置を用いて分散を行い、酸化珪素分散液Aを調製した。
【0181】
〈添加液Bの調製〉
セルローストリアセテート(アセチル基の置換度2.88) 6kg
メチレンクロライド 140kg
以上を密閉容器に投入し、加熱、撹拌しながら完全に溶解し、濾過した。これに10kgの上記酸化珪素分散液Aを撹拌しながら加えて、更に30分間撹拌した後、濾過し、添加液Bを調製した。
【0182】
〈ドープCの調製〉
メチレンクロライド 440kg
エタノール 35kg
セルローストリアセテート(アセチル基の置換度2.88) 100kg
トリフェニルホスフェート 10kg
エチルフタリルエチルグリコレート 2kg
チヌビン326(チバスペシャリティケミカルズ社製) 0.3kg
チヌビン109(チバスペシャリティケミカルズ社製) 0.5kg
チヌビン171(チバスペシャリティケミカルズ社製) 0.5kg
上記の溶剤を密閉容器に投入し、攪拌しながら残りの素材を投入し、加熱、撹拌しながら完全に溶解し、混合した。ドープを流延する温度まで下げて一晩静置し、脱泡操作を施した後、溶液を安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した。更に上記溶液に添加液Bを3kg添加し、インラインミキサー(東レ(株)製静止型管内混合機Hi−Mixer、SWJ)で混合し、濾過し、ドープCを調製した。
【0183】
ドープCを濾過した後、ベルト流延装置を用い、35℃のドープを35℃のステンレスバンド支持体上に均一に流延した。その後、支持体上で乾燥させた後、ステンレスバンド支持体上からフィルムを剥離した。この時のフィルムの残留溶媒量は80%であった。ステンレスバンド支持体から剥離した後、80℃に維持された乾燥ゾーンで1分間乾燥させた後、2軸延伸テンターを用いて、残留溶媒量3〜10質量%である時に100℃の雰囲気下で長手方向に0.98倍、幅方向に1.1倍に延伸し、幅把持を解放して、多数のロールで搬送させながら125℃の乾燥ゾーンで乾燥し作製した。
【0184】
《クリアハードコート層形成用塗布組成物の調製》
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 100質量部
(2量体及び3量体以上の成分を含む)
光反応開始剤(イルガキュア184 チバスペシャルティケミカルズ社製) 4質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 75質量部
メチルエチルケトン 75質量部
これらの素材を混合しクリアハードコート層形成用塗布液とした。
【0185】
《クリアハードコート層の形成》
準備したセルロースエステルフィルム(全長2500m)の一方の面に調製したクリアハードコート層形成用塗布液を図2に示す塗布装置を使用し、図3に示すS1〜S4のフローに従って塗布を開始し、塗布の開始に際し、溶剤塗布ヘッドの溶剤吐出部からの溶剤吐出量を表1に示す様に変えて塗布を行い、塗布終了は図5に示すS″1〜S″4のフローに従って塗布を終了し、試料No.101〜105とした。又、比較試料として、図1に示す溶剤供給手段を持たない従来の塗布装置を使用した他は全て同じ条件で塗布を行い、試料No.106とした。
【0186】
塗布条件としては、搬送速度30m/min、塗布幅1000mm、ウェット膜厚10μm、塗布ヘッドの吐出部とセルロースエステルフィルムの最も小さい間隙を80μmで塗布を行い、その後乾燥温度120℃で残留溶媒を除去し乾燥させた後、硬化処理部で150mJ/cm2の照射強度で紫外線照射することにより塗布膜を硬化させ、室温まで冷却した。尚、溶剤としてはアセトンを使用した。塗布の終了時に溶剤供給手段の溶剤吐出部から溶剤吐出量は、エクストルージョン型塗布ヘッドの塗布液吐出部からの塗布液吐出量に対し150%とした。又、塗布開始前の溶剤供給手段の溶剤吐出部からの溶剤吐出量は、エクストルージョン型塗布ヘッドの塗布液吐出部からの塗布液吐出量に対する割合(%)を示す。
【0187】
評価
作製した各試料No.101〜No.106に付き、良品長と塗布終了後のエクストルージョン型塗布ヘッドの塗布液付着状態に付き、以下に示す方法で評価した結果を表1に示す。
【0188】
良品長の評価
試料2500mの全長に付き、目視で確認出来る塗布ムラ(塗布スジ、スポット故障)を除外した残りを良品とし、その長さを良品長とした。
【0189】
塗布液の付着状態の評価
エクストルージョン型塗布ヘッドの塗布液吐出部の被塗布物の搬送方向の上流側の近傍の塗布液の付着状態を目視で観察した。
【0190】
塗布液の付着状態の評価ランク
○:塗布液の付着がほとんど認められなく、続けての使用が可能
△:塗布液の付着がわずかに認められるが、続けて2500mの塗布は可能
×:塗布液の付着が多く、洗浄しないと続けて使用出来ない
【0191】
【表1】


【0192】
本発明の有効性が確認された。
【0193】
実施例2
《セルロースエステルフィルムの作製》
実施例1と同じ長さ2500mセルロースエステルフィルムを作製し、5本を接合テープで繋ぎ全長を12500mとした。
【0194】
〈クリアハードコート層形成用塗布組成物の調製〉
実施例1と同じクリアハードコート層形成用塗布組成物を調製した。
【0195】
《クリアハードコート層の形成》
準備したセルロースエステルフィルム(全長12500m)の一方の面に調製したクリアハードコート層形成用塗布液を図2に示す塗布装置を使用し、図3に示すS1〜S4のフローに従って塗布を開始し、図4に示すS′1〜S′3に示すフローに従って繋ぎ箇所を回避し、繋ぎ箇所を回避する際、溶剤塗布ヘッドの溶剤吐出部からの溶剤吐出量を表2に示す様に変えて塗布を行い、塗布終了は図5に示すS″1〜S″4のフローに従って塗布を終了し、試料No.201〜210とした。又、比較試料として、図1に示す溶剤供給手段を持たない従来の塗布装置を使用した他は全て同じ条件で塗布を行い、試料No.211とした。溶剤としてはアセトンを使用した。塗布を開始する前に溶剤供給手段の溶剤吐出部からの溶剤吐出量は、エクストルージョン型塗布ヘッドの塗布液吐出部からの塗布液吐出量に対し150%とし、塗布の終了時に溶剤供給手段の溶剤吐出部から溶剤吐出量は、エクストルージョン型塗布ヘッドの塗布液吐出部からの塗布液吐出量に対し150%とした。尚、表中の繋ぎ箇所の回避時の溶剤供給手段の溶剤吐出部からの溶剤吐出量は、エクストルージョン型塗布ヘッドの塗布液吐出部からの塗布液吐出量に対する割合(%)を示す。
【0196】
塗布条件としては、搬送速度30m/min、塗布幅1000mm、ウェット膜厚10μm、塗布ヘッドの吐出部とセルロースエステルフィルムの最も小さい間隙を80μmで塗布を行い、その後乾燥温度120℃で残留溶媒を除去し乾燥させた後、硬化処理部で150mJ/cm2の照射強度で紫外線照射することにより塗布膜を硬化させ、室温まで冷却した。尚、溶剤としてはアセトンを使用した。
【0197】
評価
作製した各試料No.201〜No.211に付き以下に示す方法で評価した結果を表1に示す。
【0198】
良品長の評価
試料12500mの全長に付き、目視で確認出来る塗布ムラ(塗布スジ、スポット故障)を除外した残りを良品とし、その長さを良品長とした。
【0199】
【表2】


【0200】
本発明の有効性が確認された。
【0201】
実施例3
《セルロースエステルフィルムの作製》
実施例1と同じ長さ2500mセルロースエステルフィルムを作製した。
【0202】
〈クリアハードコート層形成用塗布組成物の調製〉
実施例1と同じクリアハードコート層形成用塗布組成物を調製した。
【0203】
〈クリアハードコート層の形成〉
準備したセルロースエステルフィルム(全長2500m)の一方の面に調製したクリアハードコート層形成用塗布液を図1に示す塗布装置のエクストルージョン型塗布ヘッドを図6(a)に示すエクストルージョン型塗布ヘッドに換えて使用し、図7に示すSa〜Sfのフローに従って、塗布の開始に際し溶剤吐出部からの溶剤吐出量及び塗布の終了に際し溶剤吐出部からの溶剤吐出量を表3に示す様に変えて塗布を行い試料No.301〜310とした。比較試料として図1に示す塗布装置を使用した他は全て同じ条件で塗布を行い試料No.311とした。溶剤としてはメチルエチルケトンを使用した。尚、エクストルージョン型塗布ヘッドの溶剤吐出部からの溶剤吐出量は、塗布液吐出部からの塗布液吐出量に対する割合(%)を示す。
【0204】
塗布条件としては、搬送速度30m/min、塗布幅1000mm、ウェット膜厚10μm、塗布ヘッドの吐出部とセルロースエステルフィルムの最も小さい間隙を80μmで塗布を行い、その後乾燥温度120℃で残留溶媒を除去し乾燥させた後、硬化処理部で150mJ/cm2の照射強度で紫外線照射することにより塗布膜を硬化させ、室温まで冷却した。尚、溶剤としてはメチルエチルケトンを使用した。
【0205】
評価
作製した各試料No.301〜No.311に付き、良品長と塗布終了後のエクストルージョン型塗布ヘッドの塗布液付着状態に付き、実施例1と同じ方法、同じ評価ランクに従って評価した結果を表3に示す。
【0206】
【表3】


【0207】
本発明の有効性が確認された。
【0208】
実施例4
《セルロースエステルフィルムの作製》
実施例1と同じ長さ2500mセルロースエステルフィルムを作製し、5本を接合テープで繋ぎ全長を12500mとした。
【0209】
〈クリアハードコート層形成用塗布組成物の調製〉
実施例1と同じクリアハードコート層形成用塗布組成物を調製した。
【0210】
〈クリアハードコート層の形成〉
準備したセルロースエステルフィルム(全長12500m)の一方の面に調製したクリアハードコート層形成用塗布液を図1に示す塗布装置のエクストルージョン型塗布ヘッドを図6(a)に示すエクストルージョン型塗布ヘッドに換えて使用し、図7に示すSa〜Sfのフローに従って、塗布の開始〜塗布の終了までに、繋ぎ箇所の回避を図7に示すSf〜Sc〜Sfを繰り返し行う際、表4に示す様に溶剤吐出部からの溶剤吐出量を変えて塗布を行い試料No.401〜410とした。比較試料として図1に示す塗布装置を使用した他は全て同じ条件で塗布を行い試料No.411とした。溶剤としてはメチルエチルケトンを使用した。尚、エクストルージョン型塗布ヘッドの溶剤吐出部からの溶剤吐出量は、塗布液吐出部からの塗布液吐出量に対する割合(%)を示す。
【0211】
塗布条件としては、搬送速度30m/min、塗布幅1000mm、ウェット膜厚10μm、塗布ヘッドの吐出部とセルロースエステルフィルムの最も小さい間隙を80μmで塗布を行い、その後乾燥温度120℃で残留溶媒を除去し乾燥させた後、硬化処理部で150mJ/cm2の照射強度で紫外線照射することにより塗布膜を硬化させ、室温まで冷却した。尚、塗布を開始する前(図7のSbに該当する)に、エクストルージョン型塗布ヘッドの溶剤吐出部からの溶剤吐出量は、塗布液吐出部からの塗布液吐出量に対し180%とした。又、塗布を終了する時、エクストルージョン型塗布ヘッドの溶剤吐出部からの溶剤吐出量は、塗布液吐出部からの塗布液吐出量に対し180%とした。
【0212】
評価
作製した各試料No.401〜No.411に付き、良品長と塗布終了後のエクストルージョン型塗布ヘッドの塗布液付着状態に付き、実施例1と同じ方法、同じ評価ランクに従って評価した結果を表4に示す。
【0213】
【表4】


【0214】
本発明の有効性が確認された。
【0215】
実施例5
中屈折率層形成済みのセルロースエステルフィルムを以下に示す方法で作製した。
【0216】
《クリアハードコート層形成済みのセルロースエステルフィルムの作製》
実施例1で準備したものと同じ全長2500mのセルロースエステルフィルムを準備し、試料No.103と同じ条件でクリアハードコート層を形成したセルロースエステルフィルムを2400m作製した。
【0217】
〈中屈折率層の形成〉
作製したクリアハードコート層形成済みのセルロースエステルフィルム2400mを使用し、クリアハードコート層の上に下記に示す中屈折率層形成用塗布液を図1に示す塗布装置のエクストルージョン型塗布ヘッドを図6(a)に示すエクストルージョン型塗布ヘッドに換えて使用し、図7に示すSa〜Sfのフローに従って、塗布の開始に際し溶剤吐出部からの溶剤吐出量及び塗布の終了に際し溶剤吐出部からの溶剤吐出量を表3に示す様に変えて塗布を行い試料No.501〜510とした。比較試料として図1に示す塗布装置を使用した他は全て同じ条件で塗布を行い試料No.511とした。溶剤としてはメチルエチルケトンを使用した。尚、エクストルージョン型塗布ヘッドの溶剤吐出部からの溶剤吐出量は、塗布液吐出部からの塗布液吐出量に対する割合(%)を示す。
【0218】
塗布条件としては、搬送速度30m/min、塗布幅1000mm、ウェット膜厚10μm、塗布ヘッドの吐出部とセルロースエステルフィルムの最も小さい間隙を70μmで塗布を行い、その後乾燥温度120℃で残留溶媒を除去し乾燥させた後、硬化処理部で300mJ/cm2の照射強度で紫外線照射することにより塗布膜を硬化させ、室温まで冷却した。
〈中屈折率層形成用塗布液〉
チタンテトラブトキシド 9.5g
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 0.9g
カチオン性硬化樹脂(KR−566 旭電化工業社製) 0.9g
2−プロパノール 75ml
ジメチルホルムアミド 8ml
10%塩酸水溶液 2.6ml
評価
作製した各試料No.501〜No.511に付き、良品長と塗布終了後のエクストルージョン型塗布ヘッドの塗布液付着状態に付き、実施例1と同じ方法、同じ評価ランクに従って評価した結果を表5に示す。
【0219】
【表5】


【0220】
本発明の有効性が確認された。
【0221】
実施例6
クリアハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層形成済みのセルロースエステルフィルムを以下に示す方法で作製した。
【0222】
〈クリアハードコート層/中屈折率層形成済みのセルロースエステルフィルムの作製〉
実施例1で準備したものと同じ全長2500mのセルロースエステルフィルムを5本テープで繋げ12500mのセルロースエステルフィルムを使用し、実施例2で作製した試料No.203と同じ条件でクリアハードコート層を形成したセルロースエステルフィルムを12400m作製した。この後、実施例5と同じ中屈折率層形成用塗布液を図2に示す塗布装置を使用し実施例2で作製した試料No.203と同じ方法で繋ぎ箇所を回避し連続してクリアハードコート層の上に中屈折率層を形成しクリアハードコート層/中屈折率層形成済みのセルロースエステルフィルムを12300m作製し、No.6−Aとした。尚、繋ぎ箇所を回避する時及び繋ぎ箇所を回避した後、塗布を開始する時の溶剤供給手段の溶剤吐出部からの溶剤吐出量は、エクストルージョン型塗布ヘッドの塗布液吐出部からの塗布液吐出量に対し200%で行った。又、図1に示す塗布装置を使用し、実施例2で作製した試料No.211と同じ条件でクリアハードコート層を形成したセルロースエステルフィルムを12400m作製した。この後、同じ中屈折率層形成用塗布液を図1に示す塗布装置を使用し同じ条件でクリアハードコート層の上に塗布し、中屈折率層を形成しクリアハードコート層/中屈折率層形成済みのセルロースエステルフィルムを12300m作製し、No.6−Bとした。塗布条件としては、搬送速度30m/min、塗布幅1000mm、ウェット膜厚10μm、塗布ヘッドの吐出部とセルロースエステルフィルムの最も小さい間隙を70μmで塗布を行い、その後乾燥温度120℃で残留溶媒を除去し乾燥させた後、硬化処理部で300mJ/cm2の照射強度で紫外線照射することにより塗布膜を硬化させ、室温まで冷却した。
【0223】
〈クリアハードコート層/中屈折率層/高屈折率層形成済みのセルロースエステルフィルムの作製〉
準備したクリアハードコート層/中屈折率層形成済みのセルロースエステルフィルムNo.6−Aを12300m使用し、以下に示す高屈折率層形成用塗布液を図2に示す塗布装置を使用し、クリアハードコート層/中屈折率層形成済みのセルロースエステルフィルムNo.6−Aと同じ条件で繋ぎ箇所を回避し、連続してクリアハードコート層の上に高屈折率層を形成しクリアハードコート層/中屈折率層/高屈折率層形成済みのセルロースエステルフィルムを12200m作製し、No.6−A1とした。
【0224】
準備したクリアハードコート層/中屈折率層形成済みのセルロースエステルフィルムNo.6−Bを12300m使用し、同じ高屈折率層形成用塗布液を図1に示す塗布装置を使用し、クリアハードコート層/中屈折率層形成済みのセルロースエステルフィルムNo.6−Bと同じ条件で繋ぎ箇所を回避し、連続してクリアハードコート層の上に高屈折率層を形成しクリアハードコート層/中屈折率層/高屈折率層形成済みのセルロースエステルフィルムを12200m作製し、No.6−B1とした。
【0225】
〈高屈折率層形成用塗布液〉
チタンテトラブトキシド 14.5g
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 0.25g
カチオン性硬化樹脂(KR566−39 旭電化工業社製) 0.25g
1−ブタノール 75ml
ジメチルホルムアミド 3ml
10%塩酸水溶液 3ml
〈クリアハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層形成済みのセルロースエステルフィルムの作製〉
準備したクリアハードコート層/中屈折率層/高屈折率層形成済みのセルロースエステルフィルムNo.6−A1を12200m使用し、以下に示す低屈折率層形成用塗布液を図2に示す塗布装置を使用し、クリアハードコート層/中屈折率層/高屈折率層形成済みのセルロースエステルフィルムNo.6−Aと同じ条件で繋ぎ箇所を回避し、連続してクリアハードコート層の上に低屈折率層を形成しクリアハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層形成済みのセルロースエステルフィルムを12100m作製し、試料No.601とした。
【0226】
準備したクリアハードコート層/中屈折率層/高屈折率層形成済みのセルロースエステルフィルムNo.6−B1を12200m使用し、同じ低屈折率層形成用塗布液を図1に示す塗布装置を使用し、クリアハードコート層/中屈折率層/高屈折率層形成済みのセルロースエステルフィルムNo.6−B1と同じ条件で繋ぎ箇所を回避し、連続してクリアハードコート層の上に低屈折率層を形成しクリアハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層形成済みのセルロースエステルフィルムを12100m作製し、比較試料No.602とした。
【0227】
〈低屈折率層形成用塗布液〉
テトラエトキシシラン加水分解物* 27g
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 0.8g
アルミニウムトリスエチルアセトアセテート 0.8g
2%アセトン分散微粒子シリカ(超音波分散) 30ml
(商品名:アエロジル200、日本アエロジル(株)製)
シクロヘキサノン 50ml
フッ素系界面活性剤 0.1g
(メガファックF−172 大日本インキ社製)
*テトラエトキシシラン加水分解物の調製方法
テトラエトキシシラン250gにエタノール380gを加え、この溶液に3gの塩酸(12N)を235gの水に溶解した塩酸水溶液を室温で、ゆっくり滴下した。滴下後、3時間室温で撹拌して調製した。
【0228】
評価
作製した各試料No.601、No.602に付き、良品長に付き、実施例1と同じ方法で評価した結果を表6に示す。
【0229】
【表6】


【0230】
X*:クリアハードコート層/中屈折率層形成済みのセルロースエステルフィルム
Y*:クリアハードコート層/中屈折率層/高屈折率層形成済みのセルロースエステルフィルム
本発明の有効性が確認された。
【図面の簡単な説明】
【0231】
【図1】従来の塗布ヘッドを使用した塗布装置で、被塗布物表面へ塗布している状態を示す概略図である。
【図2】図1に示す塗布装置に溶剤供給手段を配設した塗布装置による被塗布物表面へ塗布している状態を示す模式図である。
【図3】図2に示される塗布装置を用いた塗布物の生産方法の概略フロー図である。
【図4】図3に示される概略フロー図で、塗布が開始された後、繋ぎ部を回避する概略フロー図である。
【図5】図3に示される概略フロー図で、塗布が開始された後、塗布が終了するまでの概略フロー図である。
【図6】塗布ヘッドの吐出部の被塗布物の搬送方向の上流側に溶剤吐出部を設けた塗布ヘッドの概略断面図である。
【図7】図6(a)に示される塗布手段付きエクストルージョン型塗布ヘッドを用いた塗布物の生産方法の概略フロー図である。
【符号の説明】
【0232】
1、7 塗布装置
2 エクストルージョン型塗布ヘッド
201a、202a 先端部(リップ部)
201a1、202a1 上端辺
201b、202b 面
204a 塗布液吐出部
3 被塗布物
4 バックアップロール
5 塗布膜
6 台座
7a 溶剤塗布ヘッド
7a4、904、10a 溶剤吐出部
7b 保持ロール
8 溶剤層
9 溶剤供給手段
11 溶剤
12 塗布液
A、A′ 塗布位置
B、B′ 待機位置
P 塗布点
【出願人】 【識別番号】303000408
【氏名又は名称】コニカミノルタオプト株式会社
【出願日】 平成18年6月28日(2006.6.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−6357(P2008−6357A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−177827(P2006−177827)