トップ :: B 処理操作 運輸 :: B05 霧化または噴霧一般;液体または他の流動性材料の表面への適用一般

【発明の名称】 滑り性に優れた板の製造方法
【発明者】 【氏名】藤井 聡

【氏名】東野 孝昭

【氏名】長尾 徹夫

【氏名】山本 義明

【要約】 【課題】本発明は、物体の材質、形状、重量に関係なく上に載せた物体を容易に移動又は移送することが出来る、滑り性に優れた板を簡単にしかも安価に製造する方法を提供する。

【構成】本発明は、平板表面に、凹凸模様塗膜を形成し、次いで該凹凸模様塗膜表面に、動摩擦係数が0.3以下の潤滑性塗膜を形成することを特徴とする、滑り性に優れた板の製造方法である。また、本発明は、前記潤滑性塗膜が、フッ素樹脂粉末、側鎖にフッ素またはシリコン元素を含むグラフト樹脂および反応性シリコン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有し、かつ乾燥膜厚が5μm〜200μmである上記滑り性に優れた板の製造方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板表面に、凹凸模様塗膜を形成し、次いで該凹凸模様塗膜表面に、動摩擦係数が0.3以下の潤滑性塗膜を形成することを特徴とする、滑り性に優れた板の製造方法。
【請求項2】
前記潤滑性塗膜が、フッ素樹脂粉末、側鎖にフッ素またはシリコン元素を含むグラフト樹脂および反応性シリコン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有し、かつ乾燥膜厚が5μm〜200μmである請求項1に記載の滑り性に優れた板の製造方法。
【請求項3】
前記凹凸模様塗膜が、塗膜形成時の加熱温度で少なくとも一部溶融するセルロースエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフッ化エチレン樹脂およびアクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂を含有する熱硬化性粉体塗料により形成された請求項1または請求項2に記載の滑り性に優れた板の製造方法。
【請求項4】
前記凹凸模様塗膜が、塗膜形成時の加熱温度で溶融しないシリコン樹脂またはマイクロビーズを含有する熱硬化性粉体塗料により形成された請求項1または請求項2に記載の滑り性に優れた板の製造方法。
【請求項5】
上記凹凸模様塗膜が、以下の形状を有する請求項1〜請求項4のいずれかに記載の滑り性に優れた板の製造方法。
(1)実質的に均一な深さと高さを有する凹凸模様であること。
(2)凸部間の少なくとも一部が部分的に連結した網目構造の凹凸模様であること。
(3)凸部と凹部の高さの差が10〜500μmであること。
(4)凸部の平均幅が100〜2000μmであること。
(5)凸部の面積が全凹凸模様塗膜面積の3〜60%を占めること。
【請求項6】
前記平板が、平滑な表面を有する金属板、窯業板またはプラスチック板である請求項1〜請求項5のいずれかに記載の滑り性に優れた板の製造方法。
【請求項7】
前記滑り性に優れた板が、商品を並べる棚板、物体を落下または移動させるための板または接触する二つの物体の一方または双方が相互に回転または往復運動する板に使用される請求項1〜請求項6のいずれかに記載の滑り性に優れた板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は滑り性に優れた板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、棚板等に載せた物体を滑らせて移動または移送する場合に、物体の滞留による工程の遅延は、作業に著しい混乱を招くことが多い。このためその物体の重力による落下か、外部の動力や人力による移動または移送を行なうのが通例である。たとえそのような手段によって物体を動かすにしても、棚板等の表面がより摩擦抵抗が低く、円滑に物体が動くことが望ましい。このため棚板等の表面の摩擦抵抗を低くするための幾つかの手段が提供されている。
【0003】
たとえば、フッ素樹脂粉末をポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂等のベース樹脂に分散した混合物を主成分とする塗膜を有する滑り板用塗装金属板が開示されている(特許文献1)。しかしこの塗膜は凹凸のない平滑な塗膜であり、移動させる物体と滑り板の間の接触面積が大きいため、表面上に発生したわずかの傷や付着したごみやぶつによって急激に潤滑性が低下するため、滑り性の持続性が劣る問題点があった。
【0004】
また、鋼板表面に、ロール圧延処理若しくはプレス処理によるエンボス加工又は微細な固体を添加した塗料を塗装することにより、表面の凹凸高さが0.04〜0.5mm、凸部の投影面積率が70%以下で、かつ凸部の平坦部の面積率が投影面積の30%以下の非連続的な凸部を有する非粘着性に優れた鋼板が開示されている(特許文献2)。該発明の要旨とするところは、表面に微細な凹凸を設け、凸部の形状をコントロールすることによって表面に張られた張り紙類の非粘着性や防眩性、景観性を付与するものであり、本発明の滑り性を改善するものとはその目的を異にするものである。
【0005】
また、セルロースエステルを含む熱硬化性粉体塗料からなる意匠性に優れた凹凸模様を有する塗料および塗膜に関する開示がされている(特許文献3)。しかし該発明は均一かつ緻密で優れた意匠性を有する凹凸模様を形成するための粉体塗料に関するものであり、本発明の滑り性を改善するものとはその目的を異にするものである。
【0006】
凹凸模様を有する塗膜のみを利用して物体を移動する試みもあるが、本来塗膜の摩擦係数が大きいため、凸部の形状の損耗が大きく凸部の形状変化(平滑化)と磨耗粉による滑り阻害が発生し、滑り性が持続せず耐久性に劣る。このため、凹凸模様を形成する塗料中にフッ素樹脂粉末などの潤滑剤を用いて模様凸部の滑り性を向上させる試みもあるが、模様を形成させる材料との相互作用があり凸部への潤滑剤の表面配向は進まず、かつ凹凸模様の発現も阻害される。
【0007】
また、エンボス加工により表面に複数の凸部が形成された金属板表面に、フッ素樹脂粉末を含有する潤滑性塗膜を有することを特徴とする、滑り性に優れた金属板の開示がある(特許文献4)。しかし金属板のエンボス加工は、ロールによる圧延処理や、プレス処理により行なう必要があり、細かな、丸みを帯びた滑らかな凸部形状を形成することが困難なため、底面が複雑な形状やシャープなエッジを有する形状の物体を移送する場合、引っかかりを生じ、初動滑り性に支障を来たすことがある。またエンボス形状の金型の作製や成形処理に多大の工数と費用がかかる。また成形加工する大きさや形状にも制約があり応用範囲が限られる。
【特許文献1】特許第3075117号公報
【特許文献2】特開2002−66657号公報
【特許文献3】特開平5−78605号公報
【特許文献4】特開2005−096442号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記の課題を解決するために、物体の材質、形状、重量に関係なく上に載せた物体を容易に移動又は移送することが出来る、滑り性に優れた板を簡単にしかも安価に製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究を行なった結果、以下の滑り性に優れた板の製造方法により上記課題を達成できることを見出し、本発明に到達したものである。
【0010】
即ち、本発明は、平板表面に、凹凸模様塗膜を形成し、次いで該凹凸模様塗膜表面に、動摩擦係数が0.3以下の潤滑性塗膜を形成したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の製造方法により、滑り性に優れた板を簡単にしかも安価に製造可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】
本発明で使用する平板としては、平滑な表面を有する板、たとえば冷延や熱延鋼板、亜鉛めっきなどのめっき処理を施した鋼板、ステンレス板、アルミニウム板などの各種金属平板、スレート建材、ガラス板などの窯業板、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などのプラスチック平板などが使用できる。
【0014】
これらの平板は、必要に応じて、各素材に適した塗装の前処理を施したもの、後述する凹凸模様塗膜の密着性やその他耐食性や耐久性などの使用する条件に相応した前処理やプライマー、シーラーなどの下地処理を施したものでもよい。
【0015】
本発明で使用する凹凸模様塗膜を形成する方法としては、塗料自体に模様形成能を持たせたものや、塗料と塗装を併用して凹凸模様を発現する方法がある。
【0016】
前者の例としては、塗膜形成時の加熱温度で少なくとも一部溶融するセルロースエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフッ化エチレン樹脂およびアクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂を含有する熱硬化性樹脂塗料であり、塗膜硬化過程における熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との溶融粘度の差などによって生じる部分的な収縮によって凹凸模様を形成するもの、また別の例としてはシリコン樹脂やシリコン添加剤などを熱硬化性樹脂に含有させ、部分的な表面張力の差を利用して凹凸模様を発生させるものなどが好適に利用できる。またガラスビーズやプラスチックビーズのようなマイクロビーズを含有する熱硬化性樹脂塗料も本発明の凹凸模様塗膜として利用できる。
【0017】
塗料自体に凹凸模様形成能を持つものの好適な例として、粉体塗料がある。
【0018】
粉体塗料は、結合材としての熱硬化性樹脂(場合により硬化剤と併用)と、塗膜形成時の加熱温度で少なくとも一部溶融するセルロースエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフッ化エチレン樹脂およびアクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂を含有するか、あるいは加熱温度では溶融しないシリコン樹脂またはマイクロビーズを含有し、必要に応じて顔料、その他の添加剤等を含む。
【0019】
上記結合材としての熱硬化性樹脂は、粉体塗料にて通常使用されている樹脂を用いることができ、具体的にはポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂等が好適に用いられ、これらの樹脂を単独又は2種以上組み合わせて使用することが可能である。
【0020】
必要に応じて、ノボラック樹脂や、フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂、ケトン樹脂及びロジン等の改質樹脂を適宜使用することもできる。
【0021】
硬化剤としては、熱硬化性樹脂に通常使用される硬化剤を特に制限なく各種使用することができる。このような硬化剤としては、例えば、アミド化合物、酸無水物、二塩基酸、グリシジル化合物、アミノプラスト樹脂、ブロックイソシアネート樹脂、ヒドロキシアルキルアミドなどがあり、代表的なものにジシアンジアミド、酸ヒドラジッド、トリグリシジルイソシアヌレート、イソホロンジイソシアネートブロック体、1,10−デカンジカルボン酸等があげられる。
【0022】
また、上記樹脂や硬化剤と併用して、粉体塗料で使用されているリン系、スズ系、イミダゾール系等の各種硬化触媒も任意に使用することができる。
【0023】
本粉体塗料に必要に応じて使用できる顔料としては、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、ベンガラ、酸化鉄、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドン系顔料、アゾ系顔料、黄鉛、群青等の着色顔料、シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラスフレーク等の体質顔料が代表的なものとしてあげられる。
【0024】
さらに任意に添加できる添加剤としては、レベリング剤、脱泡剤、タレ止め剤、紫外線吸収剤、光安定剤、抗菌剤等をあげることができる。
【0025】
上記の模様を形成するために配合する熱可塑性樹脂は、粉体塗料の塗膜形成時に焼付温度において少なくとも一部溶融し、塗膜表面に凹凸を形成するような性能を有するものを使用する。
【0026】
例えばセルロースエステル樹脂としては、セルロース・アセテート、セルロース・アセテート・ブチレート、セルロース・アセテート・プロピオネートなどがあり、市販品として、商品名「CA−394−60S」「CA−398−6」「CAB−551−0.01」「CAB−551−0.2」「CAB−531−1」「CAB−500−1」「CAB−553−04」「CAB−381−01」「CAP−482−0.5」「CAP−504−0.2」(いずれもイーストマンケミカルプロダクト社)などをあげることができるが、これらに限定されるものではない。これらの配合量は、本粉体塗料中に2〜8質量%が適当である。
【0027】
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンもしくはそれらの変性物があり、市販品として、商品名「TEXTURE ULTRAFINE」「TEXTURE 5378W」「TEXTURE 5382D」「S379H」「S363」(いずれもShamrock社)などをあげることができるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
ポリフッ化エチレン樹脂としては、市販品として、商品名「F400」「F−C369」「F−A80」(いずれもShamrock社)などをあげることができるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
また、あらかじめポリエチレン又はポリプロピレンと、ポリフッ化エチレンとが混合されているオレフィン系樹脂を用いることも可能であり、市販品として、商品名「Fluoroslip225」「Fluoroslip421」「Fluoroslip511」(いずれもShamrock社)「セラフラワー968」「セラフラワー969」(いずれもBYK社)などをあげることができるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
これらポリオレフィン樹脂、ポリフッ化エチレン樹脂、あるいはこれらの混合物の配合量としては、本粉体塗料中に0.1〜5質量%が適当である。
【0031】
シリコン樹脂としては、市販品として、商品名「KMP−590」「KMP−598」(いずれも信越化学工業社)などをあげることができるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
これらのシリコン樹脂の配合量としては本粉体塗料中に3〜15質量%が適当である。
【0033】
マイクロビーズとしては、有機系マイクロビーズと無機系マイクロビーズがあるがいずれも凹凸模様塗料には使用できる。有機系のマイクロビーズの代表的なものとしてはアクリル、ナイロン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタン、フェノール、メラミン、ベンゾグアナミン、セルロース等の樹脂系がある。無機系としてはシリコン、珪酸アルミニウム、酸化アルミニウム、ゼオライトなどがある。これらは架橋、非架橋タイプまたは真球、多孔質、中空ビーズにかかわりなく使用が可能である。マイクロビーズの大きさは平均粒径が1〜80mμの範囲が使用でき、配合量としては本粉体塗料中に1〜20質量%が適当である。
【0034】
粉体塗料の作製は通常の製法で製造でき、例えば前記成分の混合物をヘンシェルミキサー等にて予備混合、ついでエクストルーダー、熱ロール、ニーダー等にて溶融練合し、冷却後、ピンミル、ハンマーミル等にて微粉砕し、振動フルイ、気流分級機によって篩い分けることによって製造される。
【0035】
塗料と塗装を併用して凹凸模様を発現する方法としては、たとえばアクリル樹脂溶液やエポキシ樹脂溶液にタルク、炭酸カルシウム、硅砂などの体質顔料を多く含む粘稠な塗料をモルタルガンと呼ばれる口径の大きい吹きつけ塗装ガンで平板上に塗装し、塗料が半乾燥した段階でローラーやコテなどを用いて表面の凸部を押さえて均一な高さの凹凸模様を形成する方法やスポンジローラーなどの多孔質ローラーを用いて前述の粘稠な塗料を塗装する方法あるいは凹凸模様を施したゴムローラーで平板表面に凹凸模様をロールコートする方法もある。また上記粘稠な塗料を口径の大きい吹きつけ塗装ガンで平板上に部分的に吹きつけ塗装し、平板上に凹凸模様を形成する方法もある。
【0036】
また別の方法としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などの結合材を主成分とする塗料をスクリーン印刷などによって平板上に任意の凹凸模様を印刷したのち、加熱硬化あるいは紫外線照射によって硬化させて形成させる方法もある。
【0037】
これらの凹凸模様を形成するために使用する塗料としては、溶剤型塗料、粉体塗料、水系塗料、無溶剤型塗料など塗料の形態はその塗装条件にもっとも相応しい塗料を選択すればよい。
【0038】
本発明で使用する潤滑性塗膜を形成する塗料としては、例えば、焼付硬化型や、自然乾燥型、あるいは、紫外線等の活性エネルギー線硬化型など各種塗料が利用でき、また、その塗料形態も、水系塗料や、有機溶剤系塗料、無溶剤系塗料、粉体塗料など特に制限なく利用できる。
【0039】
代表的な塗料の構成は、結合材(重合により樹脂を形成するオリゴマーを含む。)と潤滑剤としてのフッ素樹脂粉末、側鎖にフッ素又はシリコン元素を含むグラフト樹脂および反応性シリコン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む塗料であり、必要に応じて、更に、結合材を溶解、もしくは、安定に分散するための溶媒、顔料、その他各種添加剤などの成分を配合したものから構成される。
【0040】
前記結合材としては、例えば、フッ素樹脂や、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、あるいは、これらのシリコン変性樹脂等の通常塗料用として使用されている各種有機系結合材が好適に挙げられる。これら結合材は、2種以上の混合物であってもよく、必要に応じて、これら結合材は、ポリイソシアネートや、メラミン樹脂等の架橋剤や硬化促進剤と併用して使用してもよい。また、結合材として、オルガノポリシロキサン等の無機系結合材も使用可能である。
【0041】
前記潤滑剤として使用されるフッ素樹脂粉末は、形成される塗膜に滑り性を付与するために、配合するものであり、そのため、塗膜中に粉末として分布する必要があり、塗膜を硬化させる際の焼付温度で溶融せず、後述する溶媒に溶解しないものである。
【0042】
フッ素樹脂粉末としては、例えば、テトラフルオロエチレン樹脂粉末や、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合樹脂粉末、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合樹脂粉末、ポリフッ化ビニル樹脂粉末、ポリフッ化ビニリデン樹脂粉末、トリフッ化塩化エチレン樹脂粉末等が代表的なものとして挙げられる。特に、本発明においては、滑り性に優れ、かつ、無色透明で、変色しにくいテトラフルオロエチレン樹脂粉末が好ましい。
【0043】
これらフッ素樹脂粉末の平均粒径は、例えば、0.1〜30μm、好ましくは、1〜20μmが適当である。なお、平均粒径が、前記範囲より小さいと塗膜に滑り性を付与する効果がさほど得られず、逆に大き過ぎると塗装安定性が低下し、また、塗膜表面からフッ素樹脂粉末が脱落し易くなる傾向にある。なお塗膜中のフッ素樹脂粉末は、1〜60質量%、好ましくは、5〜50質量%が適当である。フッ素樹脂粉末が、前記範囲より少ないと、滑り性が低下する傾向にあり、逆に多量に含有しても滑り性の向上効果が飽和してしまい、経済的でなくなる。
【0044】
側鎖にフッ素又はシリコン元素を含むグラフト樹脂としては、例えばフッ素樹脂/シロキサンやアクリル樹脂/フッ素樹脂やアクリル樹脂/シロキサンで構成され、末端をパーフルオロアルキル基やポリシロキサンとする樹枝状や櫛型のグラフト型ポリマーやクロロトリフルオロエチレンなどの含フッ素ビニル単量体やジメチルシロキサンなどの含シリコンビニル単量体とその他の水酸基やエポキシ基などの官能基を有するビニル単量体からなる含フッ素または含シリコンポリマーが代表的なものとして挙げられる。特に、本発明においては、滑り性に優れ、耐久性にも優れるアクリル樹脂/フッ素樹脂で櫛型の末端にパーフルオロアルキル基からなるグラフト重合ポリマーが好ましい。
【0045】
これらグラフト樹脂の側鎖の末端はシロキサンよりもパーフルオロアルキル基が好ましく、またその構造は鎖状の長い高分子量体のものほど滑り性に大きく寄与する。なお、側鎖の分子量が大きくなると溶剤への溶解性が低下し、溶液状態に保つことが困難となる。
【0046】
側鎖にフッ素又はシリコン元素を含むグラフト樹脂としては、塗膜固形分中に5〜95質量%、好ましくは10〜90質量%が適当である。グラフト樹脂化合物がこの範囲より少ないとすべり耐久性が低下し、多いと塗膜の硬化性に支障を来たす。また、必要に応じてポリイソシアネートや、メラミン樹脂等の架橋剤や硬化促進剤と併用して使用してもよい。
【0047】
反応性シリコンとしては、例えば反応性の有機基を導入したシリコンオイルで側鎖や片末端に反応性の有機基を導入された変性シリコンオイルが代表的なものとして挙げられる。その有機基の変性はアミノ変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、メタクリル変性、メルカプト変性又はフェノール変性等が挙げられる。特に、本発明においては、側鎖型よりも片末端型の変性が好ましく、滑り性に優れる鎖状の長い高分子量体の変性シリコンオイルが好ましい。塗膜中の反応性シリコンは、0.5質量%から30質量%、好ましくは1質量%から20質量%が適当である。
【0048】
潤滑性塗膜を形成するための塗料に使用される溶媒は、塗料の貯蔵安定性や塗装作業性を向上させるために、必要に応じて配合される。このような溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素類、ブタノール、プロパノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類、ブチルアセテート、メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類などの通常塗料用として使用されている有機溶剤や水が、代表的なものとして挙げられ、これら溶媒は、2種以上の混合物であってもよい。
【0049】
本発明の潤滑性塗膜を形成するための塗料に使用される顔料は、潤滑性塗膜を着色して、美観を付与したり、膜厚を付与したり、塗装作業性を良くするために、必要に応じて配合するものである。
【0050】
このような顔料としては、例えば、酸化チタンや、カーボンブラック、酸化鉄、フタロシアニンブルー等の着色顔料や、炭酸カルシウムや、タルク、硫酸バリウム、カオリン、クレー等の体質顔料などが代表的なものとして挙げられる。なお、平板素地の美観や、前述の凹凸模様塗膜を着色することによる美観を持たせたい場合には、潤滑性塗膜は、透明とする都合上、着色顔料や、体質顔料を配合しないか、配合しても透明性を阻害しない程度の少量の配合とする必要がある。
【0051】
潤滑性塗膜を形成するための塗料に任意に使用される各種添加剤としては、例えば、顔料分散剤や、沈降防止剤、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、抗菌剤など、通常塗料用として使用されている各種添加剤が好適に挙げられる。
【0052】
潤滑性塗膜を形成する塗料は、上記で説明した各種の成分から構成されるが、これら各成分の配合割合は、固形分(即ち、溶媒等の揮発成分が揮発した残りの塗膜形成成分)換算で、例えば、結合材が、5〜99質量%、好ましくは、10〜90質量%が適当であり、顔料は、0〜60質量%、好ましくは、0〜40質量%が適当であり、添加剤は、0〜10質量%が適当である。潤滑剤の配合量については、前述の通りである。
【0053】
なお、結合材が、前記範囲より少ないと、形成される潤滑性塗膜の耐摩耗性等の物理的強度が低下する傾向にある。
【0054】
また、溶媒は、結合材が、常温で液状である場合や、粉体塗料の場合には、配合する必要はないが、水系塗料や、有機溶剤系塗料の場合には、塗装作業性を良くするため、通常、塗料固形分が、20〜60質量%になるような量が適当であるが、塗装手段に応じて任意にその配合量を決定すればよい。
【0055】
本発明で使用する潤滑性塗膜を形成する塗料は、以上説明した構成からなるものであるが、得られる潤滑性塗膜の動的摩擦係数は、凹凸模様塗膜を形成する前の平滑な板に適用した場合において、0.30以下になるもの、好ましくは、0.10以下が適当である。なお、動的摩擦係数は、ASTM D1894−93(Standard Test Method for Static and Kinetic Coefficients of Friction of Plastic Film and Sheeting)に規定される方法に準拠し、測定された値である。
【0056】
このような動的摩擦係数の潤滑性塗膜とするためには、前述の塗料の配合成分、配合量を調整することにより、予め試験して確認すればよい。
【0057】
次に、本発明の滑り性に優れた板の製造方法について説明する。
【0058】
本発明の滑り性に優れた板は、平板表面に凹凸模様塗膜を形成し、かつ、得られた凹凸表面を有する板表面に前述の塗料を塗装して、潤滑性塗膜を形成し、それらの相乗効果により、優れた滑り性を発現するのである。
【0059】
凹凸模様塗膜によって板表面に凸部を形成することにより、凸部上において、支持される物体と部分的な接触が生じ、板と物体との二面間に作用する摩擦力が減少し、その結果、摩擦抵抗が下がり、滑り性効果が向上するとともに、摩擦によって生じる摩耗粉が凹部空間に逃げること、更に滑り面上に堆積する微小チリが凹部空間に落下することにより、長期間にわたり一定の摩擦抵抗を保つことが可能となり滑り性を維持できる。
【0060】
上記凹凸模様塗膜が、以下の形状を有することにより特に優れた滑り機能が得られる。
【0061】
凹凸模様が実質的に均一な深さと高さを有する凹凸模様であり、それにより優れた滑り性が得られる。また凸部間の少なくとも一部が部分的に連結した網目構造の凹凸模様であることによって、滑る物体を安定的に滑り方向に誘導する効果が得られる。また凸部と凹部の高さの差が10〜500μm、好ましくは30〜300μmであることが適当である。凹凸の高さの差が、前記範囲より少ないと、潤滑性塗膜の摩耗が進んだ場合における微小チリ堆積に関する前記効果が低下し、逆に大き過ぎると、滑らす物体の形状によっては、引っ掛かりが生じ易くなり、物体が滑るのに支障をきたす頻度が多くなる傾向にある。また、凸部の平均幅が100〜2000μm、好ましくは200〜1000μmであることが適当である。凸部の平均幅が前期範囲より小さい場合、滑り耐久性に劣り、逆に大きすぎると、滑り抵抗性が大きくなり好ましくない。また凸部の面積が全凹凸模様塗膜面積の3〜60%、好ましくは5〜50%が適当である。この範囲より少ないと、凸部に掛かる荷重が増え、滑り耐久性が劣るようになる。一方、大きすぎても滑る物体の底面と板表面の間の接触面積が増え、滑り抵抗性が増す傾向にある。なお、このような条件の凹凸模様塗膜を形成するためには、前述の塗料の配合成分、配合量、さらには、塗装条件を調整することにより、予め試験して確認すればよい。
【0062】
必要に応じて前処理とプライマー塗装を施した平板表面に凹凸模様塗膜を形成した後、その表面に、カーテンフローコーターや、ロールコーター、エアスプレー塗装機、静電塗装機、浸漬塗装機等の塗装機にて、前述の潤滑性塗膜を形成する塗料を塗装する。塗装後、使用した塗料が、焼付硬化型塗料の場合には、熱風炉や、誘導加熱炉、赤外線炉等にて塗膜を焼付硬化させ、自然乾燥型塗料の場合には、常温放置により自然乾燥、もしくは、100℃以下の温度にて強制乾燥させる。また、活性エネルギー線硬化型塗料の場合には、活性エネルギー線照射炉にて硬化させる。
【0063】
このようにして形成させた潤滑性塗膜の膜厚は、5〜200μm、好ましくは、20〜100μmが適当である。なお、膜厚が前記範囲より薄いと、塗膜の摩耗等により滑り性効果の持続性が劣り、逆に厚すぎると、板表面に形成した凹凸模様塗膜の凹部が塞がったりしやすく、潤滑性塗膜表面に凹凸が形成し難くなり、また、滑り性の向上効果が飽和してしまい、経済的でなくなる。
【0064】
本発明の滑り性に優れた板は、前述の通り、棚として好適に利用可能であるが、その他、移送用パネル、シューター、建築内装材や、屋根材等にも利用可能である。
【0065】
棚として利用する場合には、棚に載せた商品などの物体を持ち上げて移動させることなく、手で滑らせて移動させる場合には、棚となる本発明の板を水平に取り付けるのが適当である。また、最前列にある物体の一部が取り除かれると、その位置にある後列の物体が、重力により滑り落ち、前記取り除かれ物体の後を補充させたい場合には、本発明の板を、例えば、3〜10度程度に傾斜を持たせて取り付けるのが適当である。
【実施例】
【0066】
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。なお、実施例中、「部」、「%」は、特に断らない限り、質量基準で示す。
【0067】
(参考例:プライマーa)
以下の成分からなる組成物を、分散混合し、グレー色のプライマーaを調製した。
【0068】
エポキシ樹脂溶液 注1) 40.0部
酸化チタン 24.0部
カーボンブラック 0.5部
カオリンクレー 4.0部
メラミン樹脂溶液 注2) 7.0部
分散剤 1.5部
紫外線吸収剤 1.0部
有機溶剤 注3) 22.0部
【0069】
注1)三井化学社製「エポキー813」、固形分45%
注2)三井化学社製「ユーバン2028」、固形分75%
注3)キシレン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルの混合溶剤
【0070】
(参考例:凹凸模様塗膜)
<凹凸模様粉体塗料及び塗膜の作成>
表1及び表2に示した組成の混合物をヘンシェルミキサーで予備混合した後、エクストルーダーを用いて溶融混練し、得られた混合物を冷却、固化した後、ピンミルで粉砕し、180メッシュの金網で分級し平均粒径約36μmの粉体塗料を作成した。
【0071】
これらの作成した各粉体塗料を、溶剤で脱脂した100×300mmのダル鋼板に、静電塗装機にて平均塗膜厚80〜120μmになるように塗装を行ない、180℃の温度で20分間焼付けした。
【0072】
得られた塗膜をAlicon imaging社製 全焦点3D表面測定装置 IF−0201にて三次元の表面形状の観察を行ない、凸部間の一部連結の有無、凸部と凹部の高さの差、凸部の平均幅、凹凸模様塗膜中に占める凸部面積の割合を測定し、その結果を表1及び表2の下段に示す。
【0073】
【表1】


【0074】
注4)商品名:GV230(日本ユピカ社)水酸基価34mgKOH/g 軟化点115℃
注5)商品名:M8230(大日本インキ化学工業社)水酸基価35mgKOH/g 軟化点113℃
注6)商品名:AER6003(旭チバ社)エポキシ当量760g/eq 軟化点97℃
注7)商品名:B1530(デグサジャパン社)NCO含有量15% 融点88℃
注8)商品名:C17Z(四国化成社)
注9)商品名:スタンOMF(三共有機合成社)
注10)商品名:ポリフロー85(共栄社化学工業社)表面調整剤
注11)商品名:CAB−551−0.2(イーストマンケミカルプロダクツ社)融点130〜140℃
注12)商品名:セラフラワー969(BYK社)融点125℃
注13)商品名:セラフラワー967(BYK社)融点80℃
注14)商品名:KMP−598(信越化学工業社)粒径分布2〜30μm
注15)商品名:R5N(堺化学社)
【0075】
【表2】


【0076】
<UV硬化塗料及びスクリーン印刷による凹凸模様塗膜の作成>
あらかじめプライマーaを塗布したダル鋼板上に、所定の凹凸模様塗膜が形成できるよう作製されたスクリーン版をセットし、表3に示すUV硬化塗料をスキージーにて塗布した。60℃で3分間乾燥した後、80W/cmの高圧水銀ランプで20cmの照射間距離にて,5m/minのラインスピードで2PASSした(450mj/cm)。印刷された所定の凹凸模様塗膜を前述した方法で表面の観察およびプロファイルを測定し、その結果を表3の下段に示した。
【0077】
【表3】


【0078】
注16)UV7000B(日本合成化学社)
注17)イルガキュアー184(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社)
【0079】
(参考例:潤滑性塗膜)
<上塗り塗料1>
以下の成分からなる組成物を分散混合し、潤滑性塗膜形成用の上塗り塗料1を調製した。
【0080】
アクリル樹脂溶液 注18) 35.0部
エポキシ樹脂溶液 注19) 4.2部
メラミン樹脂溶液 注20) 8.3部
テトラフルオロエチレン樹脂粉末 注21) 25.0部
分散剤 注22) 0.2部
有機溶剤 注23) 27.3部
【0081】
注18)商品名:アルマテックス785−5(三井化学社)固形分50%
注19)商品名:エポミックR301(三井化学社)固形分60%
注20)商品名:ユーバン20SE60(三井化学社)固形分60%
注21)潤滑剤、平均粒径1.5μm
注22)商品名:メガファックF−470(大日本インキ社)
注23)キシレン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ノルマルブタノールの混合溶剤
【0082】
上塗り塗料1を、平滑な冷延鋼板表面にエアスプレー塗装し、150℃で25分間焼き付け、膜厚30μmの潤滑性塗膜を形成した。この硬化塗膜の動摩擦係数は、0.048である。なお、動摩擦係数の測定は以下の方法により測定した。
【0083】
前述のASTM D 1894−93に規定される方法に準拠し、HEIDON社製の表面性試験機「トライボギヤ」を用いて、10mmΦのボール圧子に300gの垂直荷重を載せ、移動速度200mm/minの条件で測定した。
【0084】
<上塗り塗料2>
以下の成分からなる組成物を分散混合し、潤滑性塗膜形成用の上塗り塗料2を調製した。
【0085】
アクリル樹脂溶液 注18) 42.2部
エポキシ樹脂溶液 注19) 5.1部
メラミン樹脂溶液 注20) 10.0部
櫛型シリコングラフト樹脂溶液 注24) 10.0部
有機溶剤 注23) 32.7部
【0086】
注24)商品名:サイマテックUS−380(東亞合成社)固形分30%
【0087】
上塗り塗料2の硬化塗膜の動摩擦係数は、0.029である。なお、動摩擦係数は参考例:上塗り塗料1と同様にして測定した。
【0088】
<上塗り塗料3>
以下の成分からなる組成物を分散混合し、潤滑性塗膜形成用の上塗り塗料3を調製した。
【0089】
アクリル樹脂溶液 注18) 35.0部
エポキシ樹脂溶液 注19) 4.2部
メラミン樹脂溶液 注20) 8.3部
反応性シリコンオイル 注25) 25.0部
分散剤 注22) 0.2部
有機溶剤 注23) 27.3部
【0090】
注25)商品名:X−22−2426(信越シリコーン社)片末端メタクリル変性シリコンオイル
【0091】
上塗り塗料3の硬化塗膜の動摩擦係数は0.017である。なお、動摩擦係数は、参考例:上塗り塗料1と同様にして測定した。
【0092】
<上塗り塗料4>
以下の成分からなる組成物を分散混合し、潤滑剤を含有しない上塗り塗料4を調製した。
【0093】
アクリル樹脂溶液 注18) 35.0部
エポキシ樹脂溶液 注19) 4.2部
メラミン樹脂溶液 注20) 8.3部
有機溶剤 注23) 27.3部
【0094】
上塗り塗料4の硬化塗膜の動摩擦係数は0.428である。なお、動摩擦係数は、参考例:上塗り塗料1と同様にして測定した。
【0095】
表1及び表2で得られた塗板に表4、表5及び表6に示す上塗り塗料をエアスプレー塗装し、150℃で25分間焼付け、膜厚約30μmの硬化塗膜を形成した。得られた塗板につき、表4、表5及び表6の下段に示す塗膜評価をした。
【0096】
【表4】


【0097】
注26)滑り開始角度
手動式ダイヤルにより傾斜角度を調整できる傾斜角度設定機の台を水平にして、塗板を1枚づつセットし、その塗板上に、250ml紙パック容器(茶飲料パック:「伊右衛門」サントリー)を載せ、傾斜角度設定機に衝撃を与えないように手でダイヤルを回し、前記板の傾斜角度を徐々に増加させ、紙パック容器が塗板上を滑り出した時の角度を、新潟精機製デジタル傾斜測定計(DP−50)にて測定した。測定は同じ塗板と容器の組合せで3回行ない、3回の平均値を滑り角度とした。
【0098】
注27)滑り所要時間
手動式ダイヤルにより傾斜角度を調整できる傾斜角度設定機の台を6度に設定し、10×30cmの塗板を1枚づつセットし、その塗板上に、500mlPETボトル、500mlアルミ缶、720mlガラス瓶を順次載せて、これらの容器が板上を滑る所要時間を測定した。
【0099】
注28)500mlPETボトル飲料 「生茶」キリンビバレッジ社製
注29)500mlアルミ缶飲料 「アクエリアス」コカ・コーラ社製
注30)720mlガラス瓶ボトル 「和香牡丹」三和酒類社製
【0100】
注31)動摩擦係数 μK
500mlアルミ飲料缶(商品名「ペプシツイスト」サントリー社製)の缶底を切り取り、HEIDON社製の表面性試験機「トライボギヤ」の圧子部に取り付け、1kgの垂直荷重を載せ、移動速度200mm/minの条件で測定し、初期の動摩擦係数と35,000回の繰り返し摺動耐久試験後の動摩擦係数を測定した。
【0101】
【表5】


【0102】
【表6】


【0103】
表3で得られた塗板に表7に示す上塗り塗料をエアスプレー塗装し、150℃で25分間焼付け、膜厚約30μmの硬化塗膜を形成した。得られた塗板につき、表7の下段に示す塗膜評価をした。
【0104】
【表7】


【0105】
表4〜表7からも明らかな通り、本発明の実施例においては、優れた滑り性を有し、かつ滑りの持続性も優れていた。一方、凹凸模様塗膜上に潤滑性塗膜を施さない比較例1は、滑り開始角度試験において紙パック容器が転倒し、また、滑りの持続性も劣っていた。また、平滑な塗膜上に潤滑性塗膜を施した比較例2は、滑り開始角度試験において紙パック容器が転倒し、実用的でなかった。また、凹凸模様塗膜上に潤滑性のない塗膜を施した比較例3は、滑り性が非常に悪いものであった。
【出願人】 【識別番号】592147066
【氏名又は名称】大東ペイント株式会社
【識別番号】000003322
【氏名又は名称】大日本塗料株式会社
【出願日】 平成18年6月23日(2006.6.23)
【代理人】 【識別番号】100065385
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 穣平


【公開番号】 特開2008−703(P2008−703A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−173815(P2006−173815)