トップ :: B 処理操作 運輸 :: B05 霧化または噴霧一般;液体または他の流動性材料の表面への適用一般

【発明の名称】 撥水性物質を含有するペーストを塗布する装置、方法及び燃料電池の製造方法
【発明者】 【氏名】茂木 一成

【要約】 【課題】高分子材料を有するペーストに対し、ポンプなどによりせん断力を受けると、ペーストが繊維化して粘土状となることで塗布が適正に行えなくなる。

【構成】ガラス転移点以下で使用すると高分子材料が繊維化しにくいという特長を生かし、ポンプ22及び上流側の配管26の一部を、冷却装置128で覆い、この冷却装置128での熱交換により、ポンプ22を通過するペーストPAの温度を撥水性物質のガラス転移点以下の温度となるよう保持しつつ、塗布装置24からペーストPAを塗布する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス転移点を有する撥水性物質を含有するペーストを塗布する装置であって、
前記ペーストを被塗布部材に塗布する塗布手段と、
前記ペーストを前記塗布手段まで圧送するポンプと、
前記ペーストを前記撥水性物質のガラス転移点以下の温度まで冷却する冷却装置と
を備えた塗布装置。
【請求項2】
請求項1記載の塗布装置であって、
前記撥水性物質は、ポリテトラフルオロエチレンであり、
前記冷却装置は、前記ペーストを摂氏21度以下に冷却する
塗布装置。
【請求項3】
前記冷却装置は、少なくとも前記ポンプの吸込口より上流側に設けられる請求項1または請求項2記載の塗布装置。
【請求項4】
前記冷却装置は、前記ポンプの外形部周囲及び前記ポンプの吸込口上流側の配管の一部に設けられる請求項1ないし請求項3のいずれか記載の塗布装置。
【請求項5】
更に、所定の量の前記ペーストを調製及び/または貯留する貯留装置を備え、
前記冷却装置は、前記貯留装置の内部または外形部周囲に設けられて、前記ペーストを冷却する請求項1ないし請求項4のいずれか記載の塗布装置。
【請求項6】
前記被塗布部材は、燃料電池の電極部材である請求項1ないし請求項5のいずれか記載の塗布装置。
【請求項7】
ガラス転移点を有する撥水性物質を含有するペーストを塗布する方法であって、
前記ペーストを、前記撥水性物質のガラス転移点以下の温度に冷却し、該冷却されたペーストをポンプにより圧送し被塗布部材に塗布する方法。
【請求項8】
請求項7記載の塗布方法であって、
前記撥水性物質は、ポリテトラフルオロエチレンであり、
前記冷却は、ポリテトラフルオロエチレンのガラス転移点である摂氏21度以下に冷却する
塗布方法。
【請求項9】
燃料電池の製造方法であって、
ガラス転移点を有する撥水性物質を含有するペーストを、該撥水性物質のガラス転移点以下の温度まで冷却する工程と、
電極部材に前記ペーストを塗布して電極を形成する工程と、
該形成した電極を用いて燃料電池を組み立てる工程と
を備えた燃料電池の製造方法。
【請求項10】
請求項9記載の燃料電池の製造方法であって、
前記撥水性物質は、ポリテトラフルオロエチレンであり、
前記冷却する工程は、ポリテトラフルオロエチレンのガラス転移点である摂氏21度以下に冷却する
製造方法。
【請求項11】
請求項7記載の塗布方法により、前記撥水性物質が塗布された燃料電池用電極部材。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス転移点を有する撥水性物質を含有するペーストを塗布する装置、方法及び燃料電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
材料には、水をはじく撥水性(接触角大)を示すものと、水になじむ親水性(接触角小)を示すものとがあり、用途に応じて使い分けられている。もともと撥水性を有するのではない部材に撥水性を付与するためには、その部材の表面に撥水性を示す材料を被塗することが行われている。例えば、固体電解質タイプの燃料電池の電解質膜に設けられた電極では、生成水が電極表面に付着してフラッディングを生じる不具合を回避するため、電極の表面に撥水性物質を塗布して撥水性を付与することが行われている。こうした撥水性の付与は、一般的に、撥水性物質の粉末やエマルジョンなどからペーストを調製して、被塗布部材、燃料電池であれば電極部材となるカーボン系ペーパーや触媒層などへ塗布または含浸することにより行われる。撥水性物質としては、種々のものが知られているが、その一つとして、ガラス転移点を有する材料がある。特に、ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」という。)は、高い撥水性を示すことから、燃料電池などでもしばしば用いられる。こうしたPTFEを含有する電極の製造方法としては、例えば、下記特許文献1,2に記載のものが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−367617号公報
【特許文献2】特開2001−6699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらのガラス転移点を有する撥水性物質を含有するペーストを、ポンプにより塗布手段、例えば塗布用ガンまで圧送すると、ペーストが繊維化してしまい、塗布が困難になるという課題があった。ガラス転移点を有する撥水性物質が繊維化すると、ペーストが粘土状になり、均一な塗布が行えなくなるばかりか、ポンプなどの駆動が阻害されることもあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する本発明のガラス転移点を有する撥水性物質を含有するペーストの塗布装置は、
ガラス転移点を有する撥水性物質を含有するペーストを塗布する装置であって、
前記ペーストを被塗布部材に塗布する塗布手段と、
前記ペーストを前記塗布手段まで圧送するポンプと、
前記ペーストを前記撥水性物質のガラス転移点以下の温度まで冷却する冷却装置と
を備えた
ことを特徴としている。
【0006】
かかる構成を有する塗布装置は、撥水性物質を含有するペーストを、撥水性物質のガラス転移点以下の温度に保持されるように冷却された状態で、ポンプを通過させて塗布(含浸を含む)を行うため、ポンプのせん断力などを受けても、繊維化による弊害を引き起こさない。したがって、撥水性物質を含有するペーストを均一かつ安定的に塗布できるという優れた効果を奏する。なお、冷却装置は、冷却方式の如何を問わず利用可能である。例えば、水、フロンを始めとする冷却媒体を利用した種々の熱交換装置、あるいはペルチェ効果を利用した半導体式の冷却装置など、作動原理の違いを問わず用いることが可能である。
【0007】
こうした塗布装置において、撥水性物質は、PTFEとすることができる。PTFEは、燃料電池の電極部材などにしばしば使用される撥水性物質であるが、PTFEのガラス転移点は、およそ摂氏21度であり、この温度以上の温度域では、ポンプなどのせん断力を受けることで繊維化による弊害を引き起こしやすい。したがって、およそ摂氏21度以下に冷却された状態でポンプによりペーストを圧送し、塗布を行うことで、繊維化を防止しながら、ペーストを均一かつ安定的に塗布できる。
【0008】
また、塗布装置を構成する冷却装置は、少なくともポンプの吸込口より上流側に設けることができる。撥水性物質を含有するペーストは、ポンプのせん断力などの外力により繊維化を引き起こすため、ポンプを通過する時点におけるペーストの温度が撥水性物質のガラス転移点以下であれば繊維化を抑制するに足り、冷却装置をポンプの吸込口の上流側に設けることで、最低限必要な冷却箇所のみで効率的な冷却が行える。なお、熱ロスを最小限に抑えて効率的な冷却を行うためには、ポンプの発熱にも留意して、冷却装置は、ポンプの外形部周囲及びポンプの吸込口上流側の配管の一部に設けることが望ましい。
【0009】
同様に、冷却装置は、ペースト調製及び/または貯留装置の内部または外形部周囲に設けることができる。この場合、ポンプよりも上流側に位置するペースト調製及び/または貯留装置において十分な冷却を行い、ペーストがペースト調製及び/または貯留装置内のみならず、ポンプを通過する時点でも撥水性物質のガラス転移点以下の温度まで冷却されていることで、繊維化を抑制できる。同時に、ペーストの調製及び/または貯留装置の槽内でのペースト調製や均質化のための撹拌などが必要となる場合においてもペーストの繊維化を抑制することができる。
【0010】
さらに、冷却装置は、ポンプ及びポンプの吸込口上流側の配管の一部と、ペースト調製及び/または貯留装置の内部または外形部周囲とに同時に設けることができる。この場合、まず、ペーストの調製及び/または貯留装置に設けた冷却装置では、槽内での調製や均質化のための撹拌などに伴うペーストの繊維化を抑制するために、ペーストを撥水性物質のガラス転移点以下の温度に保つ。そして、ポンプ及びポンプの吸込口上流側の配管の一部に設けた冷却装置では、ポンプに輸送されるまでの配管での熱ロスやポンプの発熱に伴うペーストの温度上昇に伴う分の冷却を行い、ポンプでのペーストの繊維化を抑制する。このように2段階に分けて冷却することで、全体工程からみて効率的に冷却することができる。
【0011】
こうした塗布装置は、PTFEを始めとするガラス転移点を有する撥水性物質を含有したペーストを燃料電池の電極部材に塗布する場合にも有効である。
【0012】
また、本発明のペーストの塗布方法は、
ガラス転移点を有する撥水性物質を含有するペーストを塗布する方法であって、
前記ペーストを、前記撥水性物質のガラス転移点以下の温度に冷却し、該冷却されたペーストをポンプにより圧送し被塗布部材に塗布する
ことを特徴としている。
【0013】
かかるペーストの塗布方法によれば、ガラス転移点を有する撥水性物質を含有するペーストを、撥水性物質のガラス転移点以下の温度に冷却された状態で、ポンプなどのせん断力により繊維化する恐れが生じる工程を通過させるため、ペーストにせん断力が加えられても撥水性物質の繊維化を抑制でき、均一かつ安定的にペーストの塗布を行えるという優れた効果を奏する。
【0014】
こうした塗布方法において、撥水性物質は、PTFEとすることができる。PTFEのガラス転移点は、およそ摂氏21度であり、この温度以上の温度域では、ポンプなどのせん断力を受けることで繊維化による阻害を引き起こしやすい。したがって、およそ21℃以下に冷却された状態でポンプなどせん断力を受ける装置を通過させて塗布を行うことで、繊維化を防止しながら、ペーストを均一かつ安定的に塗布できる。
【0015】
また、本発明の燃料電池の製造方法は、
燃料電池の製造方法であって、
ガラス転移点を有する撥水性物質を含有するペーストを、該撥水性物質のガラス転移点以下の温度まで冷却する工程と、
電極部材に前記ペーストを塗布して電極を形成する工程と、
該形成した電極を用いて燃料電池を組み立てる工程と
を備えたことを特徴としている。
【0016】
かかる燃料電池の製造方法によれば、上述の塗布方法と同様に、ガラス転移点を有する撥水性物質を含有するペーストを、撥水性物質のガラス転移点以下の温度に冷却された状態で、ポンプなどのせん断力により繊維化する恐れが生じる工程を通過させるため、ペーストにせん断力が加えられても撥水性物質の繊維化を抑制でき、製造工程で安定的に連続形成を行うことができる。
【0017】
こうした燃料電池の製造方法において、撥水性物質は、PTFEとすることができる。PTFEのガラス転移点は、およそ摂氏21度であり、この温度以上の温度域では、ポンプなどのせん断力を受けることで繊維化による阻害を引き起こしやすい。したがって、およそ摂氏21度以下に冷却された状態でポンプなどせん断力を受ける装置を通過させて塗布を行うことで、繊維化を防止することができる。
【0018】
また、本発明のペーストの塗布方法により、撥水性物質が塗布された燃料電池用電極部材は、繊維化を抑制しつつ塗布するため、十分かつ均質な撥水効果を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施例について説明する。
(1)第1実施例:
図1は、燃料電池の電極の部材にガラス転移点を有する撥水性物質を含有するペーストを塗布する塗布装置110の構成を示す図面である。図示するように、この塗布装置110は、ペーストを貯留する貯留槽20と、ペーストを圧送するポンプ22と、圧送されたペーストを薄く吐出して塗布する塗布用ガン24と、ポンプ22などの冷却を行う冷却装置128とから構成されている。なお、貯留槽20とポンプ22とは配管26により、ポンプ22と塗布用ガン24は配管27により、接続されている。ポンプ22及び上流側の配管26の一部は、冷却装置128で覆われている。
【0020】
本実施例では、撥水性物質としてPTFEを用いており、これを予めペーストにして、貯留槽20に貯留しておく。ペーストは、予め、PTFEを溶液に乳化重合し、これに粘度調整剤とカーボンブラックの粉末を配合したものである。図示は省略したが、貯留槽20内には、撹拌装置が設けられており、塗布を行う際には、貯留槽20内のペーストPAを撹拌する。なお、貯留槽20は、PTFEの乳化や粘度調整剤などの添加調製を行う調製装置を兼ねても良い。
【0021】
貯留槽20は、配管26を介してポンプ22と繋がっているので、ポンプ22が運転されると、貯留槽20内に貯留されたペーストPAは、配管26を介してポンプ22へと輸送され、更にポンプ22から塗布用ガン24へと圧送される。実施例では、ポンプ22としてピストンポンプを採用した。ペーストPAに含有されるPTFEの特性を考えると、せん断力の小さなタイプのポンプを用いることが望ましいが、ギアポンプ、スクリューポンプなどをペーストPAの粘性に合わせて選択することができる。塗布用ガン24は、本実施例では、幅広の先端に設けられた隙間からペーストPAを均一に吐出するノズル式を用いた。塗布用ガン24の横幅は、被塗布部材である電極シートSTの幅にほぼ一致しており、ローラ31の回転により電極シートSTが搬送されるのに同期して、先端の隙間から適量のペーストPAの吐出が行われる。この結果、ローラ31の回転により搬送される電極シートSTの表面には、薄い均一な撥水性物質の被膜が形成され、溶媒が揮発した後、電極シートSTの表面には、導電性を発揮するカーボンブラックと撥水性を発揮するPTFEとからなる被膜が形成される。なお、塗布手段は、固定された電極シートSTの上部を塗布用ガン24が移動して塗布を行うものや、ノズル式に代えて、多孔体のローラからペーストPAを吐出するローラ式など、種々のタイプを用いることができる。また、塗布用ガン24の幅やノズルの隙間などは、ペーストPAを塗布する電極部材の形状や表面の撥水層の厚さ、塗布後の態様(被膜形成、含浸など)などに合わせて適宜選択することができる。
【0022】
次に、冷却装置128について説明する。この冷却装置128は、周知のヒートポンプタイプのものであり、図示しないコンプレッサとラジエータとの間で冷媒をやり取りすることにより、その内部に収納されたポンプ22及び配管26の一部を冷却する。冷却装置128の内部には、図示しないサーモスタットが設けられており、冷却装置128の内部を、およそ摂氏21度以下、実施例では、摂氏15度程度に冷却する。この結果、ポンプ22や配管26を介した間接的な熱交換により、ポンプ22を通過するペーストPAの温度は、実施例で用いた撥水性物資であるPTFEのガラス転移点(およそ摂氏21度)以下の温度に保持される。なお、冷却装置128による冷却は、ポンプ22を通過するペーストPAの圧送が開始される前にペーストPAをガラス転移点以下の温度に保てればよい。ペーストPAの冷却は、本実施例のように、冷却装置の内部を冷却することにより間接的に行っても良いが、ヒートパイプなどをポンプの筐体やギア、ピストンなどに結合し、直接ポンプ22や配管26などを冷却しても良い。ペルチェ効果により冷却する素子をポンプ22の上流の配管26内に配置し、ペーストPAを直接冷却するものとしても良い。
【0023】
ポンプ22を通過する際に冷却装置128により冷却されたペーストPAは、配管27を通じて塗布用ガン24から燃料電池の電極部材となるシートSTに塗布される。このような塗布装置110においては、ペーストPAに含有された撥水性物質であるPTFEが、そのガラス転移点以上の温度域で、ポンプ22などによりせん断力を受けることがない。したがって、ペーストPAは、ポンプ22による圧送の過程で繊維化を生じることなく、電極部材に均一かつ安定的に塗布することができる。この結果、この塗布装置110を、燃料電池の製造工程に組み込んで、電極シートSTの連続形成を行うことも可能となる。従来の装置では、ポンプを運転して所定量のペーストPAの塗布を行うと、塗布用ガン24から吐出されるペーストPAに繊維化が生じ、均一なペーストPAの塗布を長時間に亘って行うことができなかったが、本実施例の塗布装置110では、連続運転をしても、電極シートST上にダマ(繊維が固まって塊状となったもの)を生じることもなく、所望の厚みの被膜を有する電極シートSTを好適に形成することができた。
【0024】
また、本実施例によれば、ペーストPAを冷却装置128により、ペーストPAに含有されるPTFEのガラス転移点以下の温度に冷却しており、ポンプからせん断力を受けても繊維化を生じないことから、従来用いられていたせん断力の小さなポンプに代えて、せん断力の発生の比較的大きなポンプを採用することも可能となった。即ち、ポンプ22の選択の幅が広くなり、塗布装置110の設計・運用が容易となるという利点も得られる。
【0025】
次に、第2実施例について説明する。
(2)第2実施例:
図2は、燃料電池の電極の部材にガラス転移点を有する撥水性物質を含有するペーストを塗布する装置210の構成を示す図面である。第1実施例との違いは、冷却装置228を貯留槽20の外形部周囲に設けた点であり、その他は、第1実施例と同様である。この場合、ポンプ22よりも上流側に位置する貯留槽20において十分な冷却を行うことで、ペーストPAがPTFEのガラス転移点以下の温度でポンプを通過し、繊維化を防止できると同時に、貯留槽20においてペーストPA調製や均質化のための撹拌などが必要となる場合においてもペーストPAの繊維化を抑制することができる。なお、本実施例では、冷却装置228を貯留槽20の外周部周囲に設けたが、貯留槽20の内周部や内部など貯留槽に貯留されるペーストPAが冷却できる他の位置に設けることも可能である。
【0026】
なお、第1,第2実施例の構成を兼ね備えた構成も可能である。即ち、冷却装置を貯留槽20の外形部周囲とポンプ22及び上流側の配管26の一部に設けることができる。この場合、まず、貯留槽20でペーストPAをPTFEのガラス転移点以下の温度に保つことで、調製や均質化のための撹拌などに伴うペーストPAの繊維化を抑制でき、さらに、ポンプ22及びポンプの吸込口上流側の配管26の一部で、ポンプ22に圧送されるまでの配管26での熱ロスやポンプ22の発熱に伴うペーストPAの温度上昇分の冷却を行い、ポンプ22でのペーストPAの繊維化を抑制する。このように2段階に分けて冷却することで、全体工程からみて効率的に冷却することができる。
【0027】
(3)燃料電池の製造方法:
次に、ガラス転移点を有する撥水性物質を含有するペーストを電極部材に塗布して燃料電池用電極部材及び燃料電池を製造する方法の実施例について簡単に説明する。図3は、ガラス転移点を有する撥水性物質を含有するペーストを燃料電池の電極部材に塗布して、電極部材を製造し、合わせて燃料電池を製造する工程を示す工程図である。本実施例では、撥水性物質としてPTFEを用いた。図示するように、燃料電池は、次の工程を経て製造される。
ステップS1:PTFEを溶液に乳化重合し、これに粘度調整剤とカーボンブラックの粉末を配合したペーストPAを、PTFEのガラス転移点であるおよそ摂氏21度以下の温度まで(本実施例では摂氏15度まで)冷却する。
ステップS2:燃料電池の電極部材となる電極シートSTに冷却したPTFEペーストPAを塗布し、電極シートSTの表面にペーストの被膜を形成させる。本実施例では、塗布用ガンの吐出圧力を3kPaとして塗布したが、電極部材の形状や必要な膜厚などに合わせて適宜選択すればよい。
ステップ3:ペーストPAを塗布した電極シートSTを乾燥させ、水及び溶媒を揮発させて、導電性を発揮するカーボンブラックと撥水性を発揮するPTFEとからなる被膜を形成させ、電極シートSTを完成させる。
ステップ4:製造した電極シートSTを電極として用い、別に用意した電解質膜、セパレータなどと合わせて、燃料電池を組み立てる。
【0028】
かかる燃料電池の製造方法により、製造工程を連続運転しても、繊維化を生じることなくPTFEを含むペーストPAを電極シートSTに塗布して、十分な撥水性を示す電極シートSTを備えた燃料電池を好適に製造することができる。
【0029】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこうした実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。例えば、ポンプ22の上流側の配管26のみに配管26を介してペーストPAとの熱交換を行う冷却装置を設けるもの、配管26の途中にペーストPAと直接的に熱交換を行う冷却装置を設けるものなど種々の変形例を考えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施例としてのペースト塗布装置の構成を示す説明図である
【図2】本発明の第2実施例としてのペースト塗布装置の構成を示す説明図である。
【図3】本発明の燃料電池の製造方法を示す工程図である。
【符号の説明】
【0031】
110,210...ペースト塗布装置
20...ペースト貯留槽
22...ポンプ
24...塗布装置
26,27...配管
128,228...冷却装置
31...ローラ
ST...電極シート
PA...PTFEペースト
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成18年7月28日(2006.7.28)
【代理人】 【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所


【公開番号】 特開2008−29962(P2008−29962A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−206608(P2006−206608)