トップ :: B 処理操作 運輸 :: B05 霧化または噴霧一般;液体または他の流動性材料の表面への適用一般

【発明の名称】 機能性材料塗布装置、及び機能性材料塗布方法
【発明者】 【氏名】池田 賢治

【氏名】森田 直己

【氏名】木村 潤

【氏名】宮本 剛

【要約】 【課題】機能性材料の塗布液の粘度に依存せず、吐出安定性に優れ、良好な機能膜を形成可能な機能性材料塗布装置、及び機能性材料塗布方法を提供すること。

【構成】吐出する塗布液14が被塗布物10へ着弾する着弾面の法線方向と塗布液14の吐出方向とが角度をなして、塗布液14が被塗布物10へ着弾するように、吐出ヘッド12を配置して、吐出直後の塗布液14の吐出速度(吐出方向に沿った吐出速度)よりも、被塗布物10の着弾面における法線方向に沿った塗布液14の着弾速度を遅くする。また、着弾面の法線方向に沿った着弾速度を遅くすには、その他、電界により減速する方法、水平方向よりも上方に向けて塗布液を吐出する方法などがある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能性材料の塗布液を被塗布物へ吐出する塗布液吐出ヘッドを有し、
前記塗布液が前記塗布液吐出ヘッドから吐出した直後における吐出方向に沿った前記塗布液の吐出速度よりも、前記塗布液が前記被塗布物へ着弾したときにおける当該着弾した面の法線方向に沿った前記塗布液の着弾速度が遅い、
ことを特徴とする機能性材料塗布装置。
【請求項2】
前記塗布液吐出ヘッドは、前記塗布液が前記被塗布物へ着弾する着弾面の法線方向と前記塗布液の吐出方向とが角度をなして、前記塗布液が被塗布物へ着弾するように配置されることを特徴とする請求項1に記載の機能性材料塗布装置。
【請求項3】
前記塗布液吐出ヘッドは、水平方向よりも上方側に向かって前記塗布液が被塗布物へ吐出するように配置されることを特徴とする請求項1に記載の機能性材料塗布装置。
【請求項4】
前記塗布液吐出ヘッドから吐出された前記塗布液の吐出速度を低減する吐出速度低減手段をさらに有することを特徴とする機能性材料塗布装置。
【請求項5】
前記吐出速度低減手段は、吐出された前記塗布液に電界を付与する電界付与手段であることを特徴とする請求項4に記載の機能性材料塗布装置。
【請求項6】
少なくとも前記塗布液吐出ヘッドから前記塗布液を吐出する時、前記塗布液吐出ヘッドから遠ざかるように前記被塗布物における前記塗布液の着弾面を移動する着弾面移動手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の機能性材料塗布装置。
【請求項7】
機能性材料の塗布液を被塗布物へ吐出する機能性材料塗布方法であって、
前記塗布液が前記塗布液吐出ヘッドから吐出した直後における吐出方向に沿った前記塗布液の吐出速度よりも、前記塗布液が前記被塗布物へ着弾したときにおける当該着弾した面の法線方向に沿った前記塗布液の着弾速度を遅くする、
ことを特徴とする機能性材料塗布方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電子材料、光学材料など機能性材料を所望の被塗布物に塗布するための機能性材料塗布液、及び機能性材料塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コピー機、プリンターに搭載される感光性ドラムなど電子写真感光体は、主として浸漬塗布法により製造されてきた。この方法では、材料の性能管理のため、実際に塗布されるよりも相当多くの量を要求されるため、無駄が多かった。また、浸漬速度や乾燥速度の精密な管理が必要とされるため、環境変動などにより、バラツキが発生し、不良品となる割合が高かった。
【0003】
一方、近年、インクジェット技術の工業用途への適用の検討が盛んである。家庭でのカラープリントや写真の印刷にインクジェットは広く、いきわたっているが、印刷対象を用紙ではなく、また塗布液をインクではなく工業用材料とすることの例が発表されている。
【0004】
例えば、特許文献1〜4には、このようなインクジェット技術を用いて、高分子膜や導電性膜などの機能膜を形成し、電子写真部材などの工業製品を製造することが提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−19554号公報
【特許文献2】特開2001−88306公報
【特許文献3】米国特許6245475号明細書
【特許文献4】特開2004−248272公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、インクジェット方式を成膜などの塗布技術として使用すると、液滴の速度の適正値として、マーキングとは異なる課題があることが判った。マーキングでは、液滴の体積のばらつきと液滴の着弾位置のばらつきを少なくするため、外乱の影響を受けにくい吐出安定性の得られる比較的速い液滴吐出速度を採用している。しかし、その液滴吐出速度を成膜などの塗布技術として使用すると、以下のような問題が発生した。
【0007】
1)紙への印字とは異なり、被塗布物が金属やプラスチックあるいはセラミックスのような硬いものであるため、液滴の跳ね返りが大きく塗布膜の厚みがばらつく原因となる。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、被塗布物との着弾面において、吐出安定性を維持しつつ、塗布膜の厚みばらつきを少なくすることが可能な機能性材料塗布装置及び機能性材料塗布方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
本発明の機能性材料塗布装置は、機能性材料の塗布液を被塗布物へ吐出する塗布液吐出ヘッドを有し、
前記塗布液が前記塗布液吐出ヘッドから吐出した直後における吐出方向に沿った前記塗布液の吐出速度よりも、前記塗布液が前記被塗布物へ着弾したときにおける当該着弾した面の法線方向に沿った前記塗布液の着弾速度が遅い、
ことを特徴としている。
【0010】
本発明の機能性材料塗布装置では、吐出直後の塗布液の吐出速度よりも、被塗布物の着弾面における法線方向に沿った塗布液の着弾速度を遅くするようにすることで、吐出安定性を維持しつつ、着弾した塗布液の跳ね返りが低減でき、形成される塗布膜の不均一性防止や例えば着弾面が他の塗布膜で構成された場合でも当該他の塗布膜を乱すことが抑制される。
【0011】
本発明の機能性材料塗布装置において、被塗布物の着弾面における法線方向に沿った塗布液の着弾速度を遅くする形態としては、以下のような形態が挙げられる。
【0012】
・前記塗布液が前記被塗布物へ着弾する着弾面の法線方向と前記塗布液の吐出方向とが角度をなして、前記塗布液が被塗布物へ着弾するように、前記塗布液吐出ヘッドを配置する形態。
【0013】
・水平方向よりも上方側に向かって前記塗布液が被塗布物へ吐出するように、前記塗布液吐出ヘッドを配置する形態。
【0014】
・前記塗布液吐出ヘッドから吐出された前記塗布液の吐出速度を低減する吐出速度低減手段をさらに有する形態。この形態の場合、前記吐出速度低減手段は、吐出された前記塗布液に電界を付与する電界付与手段であることが好適である。
【0015】
・少なくとも前記塗布液吐出ヘッドから前記塗布液を吐出する時、前記塗布液吐出ヘッドから遠ざかるように前記被塗布物における前記塗布液の着弾面を移動する着弾面移動手段をさらに有する形態。
【0016】
一方、本発明の機能性材料塗布方法は、機能性材料の塗布液を被塗布物へ吐出する機能性材料塗布方法であって、
前記塗布液が前記塗布液吐出ヘッドから吐出した直後における吐出方向に沿った前記塗布液の吐出速度よりも、前記塗布液が前記被塗布物へ着弾したときにおける当該着弾した面の法線方向に沿った前記塗布液の着弾速度を遅くする、
ことを特徴としている。
【0017】
本発明の機能性材料塗布方法では、上記本発明の機能性材料装置と同様に、吐出直後の塗布液の吐出速度よりも、被塗布物の着弾面における法線方向に沿った塗布液の着弾速度を遅くするようにすることで、着弾した塗布液の跳ね返りが低減でき、形成される塗布膜の不均一性防止や例えば着弾面が他の塗布膜で構成された場合でも当該他の塗布膜を乱すことが抑制される。
【0018】
本発明の機能性材料塗布方法において、被塗布物の着弾面における法線方向に沿った塗布液の着弾速度を遅くする形態としては、以下のような形態が挙げられる。
【0019】
・前記塗布液が前記被塗布物へ着弾する着弾面の法線方向と前記塗布液の吐出方向とが角度をなして、前記塗布液が被塗布物へ着弾するように、前記塗布液を被塗布物へ吐出する形態。
【0020】
・水平方向よりも上方側に向かって、前記塗布液を被塗布物へ吐出する形態。
【0021】
・前記塗布液吐出ヘッドから吐出された前記塗布液の吐出速度を低減する形態。この形態の場合、前記塗布液吐出ヘッドから吐出された前記塗布液の吐出速度を電界により低減することが好ましい。
【0022】
・少なくとも前記塗布液吐出ヘッドから前記塗布液を吐出する時、前記塗布液吐出ヘッドから遠ざかるように前記被塗布物における前記塗布液の着弾面を移動する形態。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、被塗布物との着弾面において、吐出安定性を維持しつつ、塗布膜の厚みばらつきを少なくすることが可能な機能性材料塗布装置及び機能性材料塗布方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、実質的に同一の機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る機能性材料塗布装置を示す斜視図である。図2は、第1実施形態に係る機能性材料塗布装置を示す概略構成図である。
【0026】
第1実施形態に係る機能性材料塗布装置は、図1〜図2に示すように、機能性材料の塗布液14を被塗布物10へ吐出するための吐出ヘッド12と、当該吐出ヘッド12へ送液する塗布液14を貯留する塗布液タンク16と、を有している。
【0027】
そして、吐出ヘッド12は、吐出する塗布液14が被塗布物10へ着弾する着弾面の法線方向(図中、qで示す)と塗布液の吐出方向(図中、pで示す)とが角度(鋭角:θ)をなして、塗布液14の液滴が被塗布物10へ着弾するように配置している。なお、着弾面の法線とは、被塗布物の着弾面が平面で構成される場合(例えば被塗布物が板状体の場合)は、その面と直交する線を示し、本実施形態のように被塗布物の着弾面が曲面で構成される場合(例えば被塗布物が球体或いは円筒体などの場合)には、その着弾した位置の接線(図中、rで示す)で構成される面と直交する線を示す。
【0028】
吐出ヘッド12には、塗布液吐出面側(ノズル面)側に、吐出した塗布液14を帯電させる帯電電極24と、その帯電した塗布液14に電界を付与し偏向を与え吐出方向を変える偏向電極26と、が配設されている。なお、このような帯電・偏向制御は、塗布量を制限したり、塗布にパターンを持たせる場合に行うことが好適である。このようなことが必要なければ、帯電電極24及び偏向電極26を設けなくてもよい。
【0029】
また、吐出ヘッド12の一端には、塗布液供給管18が連結され、他端には、塗布液排出管20が連結されている。塗布液供給管18及び塗布液排出管20の一端側(吐出ヘッド12と非連結側)は、塗布液タンク16と連結されている。そして、塗布液供給管18には、塗布液タンク側から吐出ヘッド12に向かって、送液用ポンプ181(加圧手段:溶剤用高圧無動脈ポンプ:3連プランジャポンプ)、送液用ポンプ181の脈動を抑制するダンパ182、塗布液のゴミ異物等を除去するフィルタ183、吐出ヘッド12への塗布液14の送液を開始・停止を行うための送液用電磁弁184が配設されている。一方、塗布液排出管20には、塗布液14の排出を開始・停止する排出用電磁弁201が配設されている。
【0030】
なお、排出用電磁弁201は、通常、常に閉状態とし、塗布液14の循環、混入した気泡の除去などを行う際に開放するものである。
【0031】
被塗布物10は、円筒体から構成されており、その両端を回転可能に支持体101により支持されている。また、被塗布物10は、被塗布物駆動装置102により回転可能に、具体的には駆動モータ102Aによりベルト102Bを介して回転駆動可能に連結されている。
【0032】
吐出ヘッド12と被塗布物10との間であって、吐出した塗布液14の液滴を下方へ帯電・偏向制御したときに当該塗布液14を受け止められる位置(塗布液14吐出方向の延長線より下方に上端が配置される位置)に液受け22(吐出塗布液回収手段)が設けられている。液受け22は、塗布液タンク16とフィルタ223を介して排出管222により連結されており、吐出した塗布液14を受け止めた時、当該塗布液タンク16へ排出するようになっている。
【0033】
以下、吐出ヘッド12について説明する。ここで、図3は、第1実施形態に係る塗布液吐出ヘッドを示す斜視図である。図4は、第1実施形態に係る塗布液吐出ヘッドの断面図である。
【0034】
吐出ヘッド12は、図3〜図4に示すように、例えば、ステンレスやニッケル合金などからなる筒状体で構成されている。そして、吐出ヘッド12には、長手方向に配列された複数のノズル121(例えば、ノズル内径25μm)と、各ノズル121に共通して連通する塗布液室122と、塗布液室122を介してノズル121と対向して設けられた圧電素子123(例えばPZTセラミック膜、ポリフッ化ビニリデン膜(PVF膜))と、を有している。
【0035】
なお、吐出ヘッド12は、塗布時、図示しない駆動装置によりヘッド長手方向に配列されたノズル間隔分、当該ヘッド長手方向に往復して移動するようになっている。これにより、ノズル間隔分の隙間が生じることなく被塗布物10に塗布液14を塗布することができる。無論、被塗布物10の方を移動可能なようにしてもよい。
【0036】
ここで、圧電素子123は、塗布液室122に送液されてきた塗布液14に対し、所定の振動を付与し、ノズル121から液柱状に吐出した塗布液14を液滴化するためのものである。圧電素子123は、図示しないが、例えばPZTセラミック膜に電極から高周波電圧を印加して振動(音波)を発生せしめ、この振動をピストンにより塗布液室122の塗布液14へ伝達せしめる。
【0037】
圧電素子123は、ノズル121と対向して設けられ、塗布液14の吐出方向と同一方向から、図示しない外部機器より増幅され例えばピーク間電圧(Vpp)50V程度までの電圧で出力する駆動正弦波が供給されると、定在波(進行波と反射波との混合した波:つまり、照射した進行波とノズル面に反射した反射波との混合波)による振動を付与して、ノズル121から液柱状に吐出した塗布液14を液滴化する。
【0038】
ここで、図5〜図7に、粘度約9mPa・s程度の塗布液14の吐出状態を示す。図5は、振動を付与しない場合における塗布液14の吐出状態を示す模式図である。図6は、90kHzの振動を付与した場合における塗布液14の吐出状態を示す模式図である。図7は、60kHzの振動を付与した場合における塗布液14の吐出状態を示す模式図である。
【0039】
圧電素子123を駆動させず、例えば、送液用ポンプ181により0.9MPaで吐出ヘッド12から塗布液14を吐出した場合、図5に示すように、液柱状の塗布液14が吐出する。そして、圧電素子123により塗布液14に振動を付与すると、図6及び図7に示すように、液柱状に吐出された塗布液14が液滴化される。図6、7に示するように、90kHzの振動を塗布液14に付与した場合は、60kHz振動を塗布液14に付与したに場合に比べ、塗布液の液滴径が小さく、液滴間距離(液滴間隔)が狭くなっている。しかし、ポンプ圧力は一定であるので、単位時間あたりの噴射量は同一である。
【0040】
図5に示すように、液滴化せず、液柱状の状態で塗布液を塗布すると、吐出ヘッド12から離れた位置では、無秩序な噴流となるため、塗布膜の均一性が確保できない。よって、塗布液14の液滴化が必要である。
【0041】
ここで、例えば、塗布液の吐出速度10m/sec、ノズル内径25μmとしたとき、好適周波数は、88.7kHzとなる。また、液滴の体積は、約55pl(pico litre)(55,000μm)である。但し、液滴化の観点のみで、周波数は決定されず、吐出ヘッドと圧電素子の振動特性を考慮する必要がある。即ち、吐出ヘッドの構造と圧電素子の特性に基づく共振点を考慮することで、圧電素子に印加する電圧の調整を行なう必要がある。例えば、本実施形態では、ピーク間電圧(Vpp)30V程度の電圧を圧電素子に印加する。
【0042】
また、粘度約9mPa・s程度の塗布液14を10m/secで吐出するための圧力は例えば約0.9MPaであるが、粘度3mPa・s程度の塗布液を吐出する場合は、例えば0.3MPa程度の圧力を必要とすることが実験によりわかった。したがって、粘度100mPa・s程度の塗布液を吐出するためには、例えば10MPa程度の圧力が必要であると予想される。これは、塗布液に掛かる圧力と流速が流路抵抗を係数とする1次の関係にあることより説明される。ただし、上記の数値は一例である。
【0043】
それは、ノズルの形状により抵抗値が大きく変わるからである。ノズル加工方法には、一般的にポンチ加工方法、エレクトロフォーミング(電鋳)加工方法、放電加工方法、レーザ加工方法などが挙げられる。それぞれの加工方法には得失があり、一概にどの方法が好ましいか決定することはできないが、ノズル内径を一定にして比較した場合、ノズルにおける流路抵抗の観点からは、ノズルの断面形状に大きなテーパを有するエレクトロフォーミング(電鋳)が極力、噴射の圧力を低く保つという観点では好ましい。
【0044】
以下、本実施形態に係る機能性材料塗布装置の塗布動作を説明する。
【0045】
まず、送液用ポンプ181を駆動すると共に、送液用電磁弁184を開放する。また、圧電素子123を駆動する。これにより、ノズル121から液柱状の塗布液14が吐出すると共に、液柱状の塗布液14が液滴化される。この際、帯電電極24に所定の電圧を印加し、吐出した塗布液14を帯電させると共に、偏向電極26にも所定の電圧を印加して、その帯電した塗布液14に電界を付与して、液受け22が位置する下方(図中)に偏向を与え、吐出方向を変えて当該液受け22に塗布液14を受け止めさせる。
【0046】
次に、被塗布物駆動装置102を駆動し、被塗布物10を回転駆動する(例えば、被塗布物10の回転速度を1回転/1秒(1rps)とする)。
【0047】
次に、帯電電極24及び偏向電極26への電圧印加を解除して、吐出方向を戻す。これにより、塗布液14の被塗布物10への塗布が開始される。
【0048】
そして、所定時間経過後、再び、帯電電極24に所定の電圧を印加し、吐出した塗布液14を帯電させると共に、偏向電極にも所定の電圧を印加して、その帯電した塗布液14に電界を付与して、液受け22が位置する下方(図中)に偏向を与え、吐出方向を変えて当該液受け22に塗布液14を受け止めさせる。これにより、塗布を終了させる。
【0049】
その後、送液用ポンプ181の駆動を停止すると共に、送液用電磁弁184を閉じる。また、圧電素子123の駆動を停止する。最後に、被塗布物10の回転を停止する。
【0050】
なお、塗布終了後、被塗布物の回転を所定時間継続することで、塗布膜の平滑化に加え、塗布膜の液だれ防止を図ることができる。塗布液14の被塗布物10表面への着弾は必ずしも全面にわたるものではなく、着弾した液滴間には隙間が存在する。また、ジェットはノズル加工の精度に起因する僅かな曲がりを有する場合がある。このため、塗布液14は被塗布物10表面に着弾後、当初、粘度が高いほど、液滴の形状を反映して半球に近い形状で存在する。このため、均一な塗布膜を形成するためには、塗布終了後、被塗布物を回転させる、即ち平滑化工程における時間管理が重要である。また、被塗布物10を回転させながら塗布膜の平滑化を行うと、その遠心力により、塗布液14が被塗布物10に対して凸状の形状を守る方向に働くため、回転速度を液だれを起こさない程度に低下させることが、好ましい。被塗布物10表面との親和性により塗布液14は広がり、被塗布物10の回転時間と共に隣接着弾滴と引き合いながら、塗布膜は平坦化していくことになる。
【0051】
以上説明した本実施形態に係る機能性材料塗布装置では、吐出する塗布液14が被塗布物10へ着弾する着弾面の法線方向と塗布液14の吐出方向とが角度をなして、塗布液14が被塗布物10へ着弾するように、吐出ヘッド12を配置しているので、吐出直後の塗布液14の吐出速度(吐出方向に沿った吐出速度)よりも、被塗布物10の着弾面における法線方向に沿った塗布液14の着弾速度を遅くなる。つまり、吐出安定性を維持可能な吐出速度を持たせつつ、着弾速度が、着弾面の法線方向と着弾面と平行な方向に分散するため、塗布液の着弾衝撃が緩和されると推測される。
【0052】
ここで、図8及び図9に、塗布液14の液滴の着弾モデルを模式的に示す。図8は、比較のために、着弾面(図中では、被塗布物10としての液体層の面を示す)に対し、当該面の法線方向から塗布液14の液滴が着弾する様子を示す。一方、図9には、着弾面(図中では、被塗布物10としての液体層の面を示す)に対し、当該面の法線方向と角度を持って塗布液14の液滴が着弾する様子を示す。
【0053】
図8に示すように、着弾面の法線方向から着弾面(液面)に速い速度で打ち込むと、跳ね返りが舞い飛ぶ。また、液面が大きく凹み、液体層の中に気泡を巻き込み、そのまま硬化すると気泡が膜内に閉じ込められてしまう。また、多層膜の場合は、下の層と混濁してしまう。一方、図9に示すように、着弾面に対し、当該面の法線方向と角度を持って塗布液14の液滴が着弾すると、着弾面の法線方向に沿った着弾速度が低減するので、跳ね返りが発生しない。
【0054】
このように、吐出する塗布液14が被塗布物10へ着弾する着弾面の法線方向と塗布液14の吐出方向とが角度をなして、塗布液14が被塗布物10へ着弾するように、吐出ヘッド12を配置することで、吐出安定性を維持しつつ、着弾した塗布液14の跳ね返りが低減でき、形成される塗布膜の不均一性防止や例えば着弾面が他の塗布膜で構成された場合でも当該他の塗布膜を乱すことが抑制される。
【0055】
また、本実施形態に係る機能性材料塗布装置では、被塗布物10を回転させつつ、吐出する塗布液14が被塗布物10へ着弾する着弾面の法線方向と塗布液14の吐出方向とが角度をなして、塗布液14が被塗布物10へ着弾しているので、塗布液が着弾した際、着弾面と平行な方向、即ち、着弾面(点)の接線方向に沿った着弾速度における着弾面との相対速度(以下、接線方向相対速度と称する場合がある)が低減し、当該接線方向の塗布液の着弾衝撃が緩和される。このため、より効果的に、着弾した塗布液14の跳ね返りが低減でき、形成される塗布膜の不均一性防止や例えば着弾面が他の塗布膜で構成された場合でも当該他の塗布膜を乱すことが抑制される。
【0056】
ここで、着弾した塗布液14の跳ね返りをより効果的に低減するためには、以下の特性を満たすことが好ましい。
【0057】
塗布液14の粘度が10mPa・s以上30mPa・s以下であって、吐出する塗布液14の吐出速度(ヘッドから吐出した直後の吐出速度)が、8m/s以上12m/s以下であり、かつ、吐出する塗布液14が被塗布物10へ着弾する着弾面の法線方向と塗布液の吐出方向とが角度(鋭角:θ)としては、30度以上45度以下であることが好ましい。なお、ヘッドから吐出した直後の吐出速度とは、ノズルオリフィスを通過する塗布液の平均速度であり、単位時間にノズルオリフィス面を通過する塗布液の体積をオリフィスの断面積で割ったものである。
【0058】
以下、上記第1実施形態に係る機能性材料塗布装置の試験例を示す。
【0059】
−試験例1−1−
試験例1−1は、下記表1に記載した条件に従って行った。なお、吐出ヘッド12から吐出する塗布液14が被塗布物10へ着弾する着弾面の法線方向と塗布液14の吐出方向とがなす角度(鋭角:θ)は、図10に示すように、吐出ヘッド12から吐出する塗布液14の吐出方向を水平に保ちつつ変わるように吐出ヘッド12配置位置を変えて行った。また、被塗布物10(円筒体:外径100mm)は回転駆動させずに試験を行った。なお、評価方法は以下の通りである。
【0060】
ここで、図10は、第1実施形態に係る機能性塗布装置を示す概略側面図である。但し、図中、吐出ヘッド、被塗布物以外の構成は省略して示している。
【0061】
・吐出安定性:ストロボ同期の吐出液観察システムで、吐出された塗布液の液滴を観察し、その液滴写真像の面積や吐出速度の繰り返し安定性を測定した。
この吐出液観察システム30は、図13に示すように、吐出ヘッド12と、吐出ヘッド12のノズル出口から500μm(Δxμm)離れた地点の塗布液14の液滴を観察するカメラ31と、カメラ31と塗布液14の液滴を介して対向配置されたストロボ32と、吐出ヘッド12へ付与される駆動パルス信号(駆動正弦波)に基づき当該パルス信号をΔt秒遅延させてストロボ32の発光させるパルス遅延装置33と、を有している。この距離(Δx)と時間(Δt)を決め、塗布液14の液滴の飛翔速度を算出するものである。また、ストロボ32の発光と同時にカメラ31に写った画像の面積から、吐出された塗布液14の液滴の体積を推定することができる。吐出の安定性は、複数の液滴画像を比較することで求めた。ストロボ32の発光の遅延時間(Δt)を一定にして撮影した画像の位置のばらつきから速度の安定性を求めた。また画像より面積のばらつきも求めた。
評価基準は以下の通りである。
A:液滴像の面積変化の標準偏差が2%未満かつ速度変化の標準偏差が2%未満。
B:液滴像の面積変化10%未満かつ速度変化10%未満。
C:液滴像の面積変化10%以上又は、速度変化10%以上。
【0062】
なお、安定して塗布液14の液滴が吐出されている場合には、図14(A)に示すように、例えば、塗布液14の液滴は同じタイミングで繰り返し撮影すれば同じ位置に再現される。一方、不安定で塗布液14の液滴が吐出されている場合には、図14(B)に示すように、例えば、塗布液14の液滴は同じタイミングで繰り返し撮影すると位置が変動する。
【0063】
・膜厚ばらつき:塗布後、乾燥固化させた塗布層の厚みばらつきを測定した。具体的には、塗布後、乾燥固化させた塗布層をほぼ等間隔になるように10箇所切り抜き、干渉型膜厚測定器(大塚電子株式会社 MCPD−3000)で測定した。10箇所の測定箇所の最大厚みをTmax、最小厚みをTminとして、膜厚みばらつきをΔT=Tmax−Tminとして求めた。評価基準は以下の通りである。
A:膜厚ばらつきΔT 0.3μm未満。
B:膜厚ばらつきΔT 0.3μm以上2.0μm未満。
C:膜厚ばらつきΔT 2.0μm以上。
【0064】
・跳ね返りミスト:図15も示すように被塗布物10の着弾位置の下方に、ミスト捕集用プレート34を置き、被塗布物10に付着した塗布液の重量と、ミスト補修用プレート34に付着した重量を比較した。評価基準は以下の通りである。なお、図15中、14Aはミストを示す。
A:ミスト補修用プレートへの付着量/被塗布物付着量0.1%未満。
B:ミスト補修用プレートへの付着量/被塗布物付着量0.1%以上0.5%未満。
C:ミスト補修用プレートへの付着量/被塗布物付着量0.5%以上。
【0065】
・下層膜界面乱れ:基盤となる被塗布物に良導電性の金属板材を使い、その上に下層として、低誘電率の塗布膜と、上層として高誘電率の塗布膜を塗布し、乾燥固化させた。接触型誘電率計で、塗布膜の施されたパイプの表面をスキャンし、誘電率の均一性を測定した。固化した塗布膜を基盤から剥がし、ほぼ等間隔になるように10箇所から約10mm角で切り抜きその静電容量のばらつきの標準偏差を求めた。静電容量は、LCRメータ(Agilent社製 4284AプレシジョンLCRメータ)にテストフィクスチャー(治具)(Agilent社製 16451B 誘電体測定用電極 電極Bを使用)を接続した測定系にて測定した。膜厚みは、膜厚みは、干渉型膜厚測定器(大塚電子株式会社製 MCPD−3000)で測定した。面積はテストフィクスチャーの電極(φ5mm)の面積で規定されるので、静電容量と膜厚から平均の誘電率を求めた。
。評価基準は以下の通りである。
A:誘電率の領域ばらつきの標準偏差が1%未満。
B:誘電率の領域ばらつきの標準偏差が1%以上5%未満。
C:誘電率の領域ばらつきの標準偏差が5%以上。
【0066】
・気泡巻き込み:塗布終了後、塗布液が乾燥固化した被塗布媒体表面を顕微鏡で観察し、巻き込まれて消えずに残っている気泡の数を数えた。評価基準は以下の通りである。
A:気泡巻き込みが全く発生せず。
B:100(個)/1(cm)未満。
C:100(個)/1(cm)以上。
【0067】
【表1】


【0068】
上記結果のように、水準1〜3(比較例)では、着弾面の法線と平行に被塗布物に塗布液を着弾させる例であって、塗布液の液滴の吐出速度を変えて比較をした。その結果、塗布液を遅く吐出するほど着弾の衝撃が少なく、欠陥の少ない膜が得られるが、吐出安定性が悪いことにより液滴径が揃わず、膜厚みが均一にならない。
【0069】
また、水準4〜8では、入射角度(塗布液着弾方向の着弾面法線に対する角度θ)を変えて比較した。初速(吐出直後の吐出速度)を維持したまま着弾の衝撃を減らしたので、膜厚み均一性を維持したまま、着弾の衝撃による欠陥を減らすことができた。ただし、入射角には最適値が存在し、着弾面の法線に対して入射角を大きくと液滴が跳ね返りやすくなり、跳ね返りミストが多くなった。この例では、入射角30度以上45度以下程度が最適値である。
【0070】
また、水準9〜12では、塗布液粘度を高くして試験行った。本例の入射角の最適値は25〜60度程度が最適値であった、なお、塗布液の粘度が高いほど、跳ね返りミストが防止できる入射角の許容範囲が広くなる。
【0071】
−試験例1−2−
試験例1−2は、下記表2に記載した条件に従って行った。なお、本例は、被塗布物10(円筒体:外径100mm)を回転速度(周速):1.9m/s(水準1)、5.8m/s(水準2)で回転させて試験を行った。評価は、試験例1−1と同様である。
【0072】
【表2】


【0073】
上記結果のように、水準2では、水準1に比べ被塗布物の回転速度(周速)が早いため、着弾速度の接線方向の相対速度が遅く、跳ね返りミストや気泡巻き込みが抑制され、欠陥のない塗布膜を作ることができる。
【0074】
(第2実施形態)
図11は、第2実施形態に係る機能性塗布装置を示す概略側面図である。但し、図中、吐出ヘッド、被塗布物以外の構成は省略して示している。
【0075】
本実施形態に係る機能性材料塗布装置は、偏向電極26の代わりに減速電極28(吐出速度低減手段)を設けた形態である。そして、吐出ヘッド12を、被塗布物10の軸が水平面と同一平面上に位置するように配置し、塗布液14を被塗布物10の着弾面の法線方向(着弾面に対して直交方向)に沿って吐出するようにしている。
【0076】
減速電極28は、吐出方向に沿ってそれぞれ配列した第1減速電極対281(ヘッド側電極281A、被塗布物側電極281B)と、第2減速電極対282(ヘッド側電極282A、被塗布物側電極282B)とを有している。第1減速電極対281及び第2減速電極対282は、その間を塗布液が通過するように配置されている。
【0077】
そして、第1減速電極対281及び第2減速電極対282は、それぞれの電極対間に電圧を印加することで、電界を付与し、当該電界により吐出した塗布液14を減速させる。具体的には、例えば、帯電電極24が+(ブラス)になるように電圧を印加し、吐出した塗布液14を−(マイナス)に帯電させた場合、第1減速電極対281及び第2減速電極対282には、それぞれのヘッド側電極281A、282Aを+(プラス)、被塗布物側電極281B、282Bを−(マイナス)となるように電圧を印加することで、吐出した塗布液14を減速させることができる。
【0078】
一方、例えば、帯電電極24が−(マイナス)になるように電圧を印加し、吐出した塗布液14を+(ブラス)に帯電させた場合、第1減速電極対281及び第2減速電極対282には、それぞれのヘッド側電極281A、281Bを−(マイナス)、被塗布物側電極281B、282Bを+(プラス)となるように電圧を印加することで、吐出した塗布液14を減速させるせることができる。
【0079】
ただし、大気中で絶縁破壊を発生することなく印加できる電界強度は、約3.0kV/mmであるため、減速電極対に印加する電圧はそれ以下である必要がある。よって、吐出された塗布液14を減速させる電界としては、例えば1.5kV/mm以上2.5kV/mm以下が好ましい。
【0080】
これら以外は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0081】
以上説明した本実施形態に係る機能性材料塗布装置では、減速電極28により電界を付与し、吐出された塗布液14に減速している。これにより、塗布液14を被塗布物10の着弾面の法線方向(着弾面に対して直交方向)に沿って吐出するようにした場合でも、吐出ヘッド12から吐出直後の塗布液14の吐出速度(吐出方向に沿った吐出速度)よりも、被塗布物10の着弾面における法線方向に沿った塗布液14の着弾速度を遅くなる。このため、第1実施形態と同様に、吐出安定性を維持しつつ、着弾した塗布液14の跳ね返りが低減でき、形成される塗布膜の不均一性防止や例えば着弾面が他の塗布膜で構成された場合でも当該他の塗布膜を乱すことが抑制される。
【0082】
なお、塗布液14の着弾速度を遅くする方法として、上記に限られず、静電界で減速させる方法であってもよい。
【0083】
以下、上記第2実施形態に係る機能性材料塗布装置の試験例を示す。
【0084】
−試験例2−
試験例2は、下記表3に記載した条件に従って行った。なお、評価方法は試験例1−1と同様である。
【0085】
【表3】


【0086】
上記結果のように、水準2〜3は、水準1(比較例)に比べ、初速(ヘッドから吐出直後の吐出速度)を維持したまま着弾速度を遅くすることができ、上の例では減速電界をかけたものは、吐出安定性と塗布膜質を両立でき均一な膜を生成することができる。
【0087】
(第3実施形態)
図12は、第3実施形態に係る機能性塗布装置を示す概略側面図である。但し、図中、吐出ヘッド、被塗布物以外の構成は省略して示している。
【0088】
本実施形態に係る機能性材料塗布装置は、吐出ヘッド12を被塗布物の例えば真下に配置し、重力方向下方から上方に向けて塗布液14を吐出する形態である。
【0089】
これ以外は、第1実施形態と同様のため、説明を省略する。
【0090】
以上説明した本実施形態に係る機能性材料塗布装置では、水平方向よりも上方側に向かって(本実施形態では、重力方向上側に向かって)塗布液14被塗布物10へ吐出して、吐出された塗布液14を重力により減速している。これにより、塗布液14を被塗布物10の着弾面の法線方向(着弾面に対して直交方向)に沿って吐出するようにした場合でも、吐出ヘッド12から吐出直後の塗布液14の吐出速度(吐出方向に沿った吐出速度)よりも、被塗布物10の着弾面における法線方向に沿った塗布液14の着弾速度を遅くなる。このため、第1実施形態と同様に、吐出安定性を維持しつつ、着弾した塗布液14の跳ね返りが低減でき、形成される塗布膜の不均一性防止や例えば着弾面が他の塗布膜で構成された場合でも当該他の塗布膜を乱すことが抑制される。
【0091】
なお、本実施形態では、吐出ヘッド12を被塗布物の例えば真下に配置しているが、これに限られず、水平方向よりも上方側に向かって塗布液14被塗布物10へ吐出するようにするには、被塗布物10の着弾面(点)よりも、重力方向下方側へ配置すればよい。
【0092】
なお、重力による吐出した塗布液14の減速は、重量加速度が小さいことから着弾速度の低減が効果的に現れるには、吐出距離(ヘッドのノズル面との着弾面との最短距離)が長いほうが好ましい。一方、吐出距離が長くなりすぎると気流の揺らぎに影響を強く受け、着弾位置が不安定なってしまう。よって適切な吐出距離が存在し、80mm以上200mm以下が好ましい。
【0093】
以下、上記第3実施形態に係る機能性材料塗布装置の試験例を示す。
【0094】
−試験例3−
試験例3は、下記表4に記載した条件に従って行った。なお、評価方法は試験例1−1と同様である。
【0095】
【表4】


【0096】
上記結果のように、空気抵抗の影響があり水準1、2共に吐出速度が減速されているが、重力により減速する上向き吐出の水準1では着弾速度が3.3m/sであるのに対し、水準2(比較例)では着弾速度が3.8m/sとである。本試験例では、液滴径が57μm(体積100pl)、粘度3mPa・sの塗布液の液滴は、跳ね返りミストや着弾の衝撃による欠陥が発生しやすいため、わずかな速度差であるが膜質向上に有効である。
【0097】
以上説明した、いずれの実施形態に係る機能性材料塗布装置では、塗布液を連続加圧しつつ吐出を行う所謂連続型の塗布装置について説明したが、これに限られず、所謂、圧電素子により間欠的に塗布液の液滴を吐出するドロップオンデマンド(DOD)型の塗布装置を適用してもよい。
【0098】
また、いずれの実施形態に係る機能性材料塗布装置は、吐出ヘッドとして、塗布領域幅と同等或いはそれ以上の幅を持つ長尺(所謂FWA:Full Width Array)型のヘッドを適用した形態を説明したが、塗布領域幅よりも小さい短尺型のヘッドを適用し、被塗布物と相対的に移動して塗布を行う形態であってもよい。
【0099】
また、いずれの実施形態に係る機能性材料塗布装置は、被塗布物として円筒体(ドラム)の場合を説明したが、無論、板状体をはじめ、その他の形状のものも適用することができる。
【0100】
また、本実施形態に係る機能性材料塗布装置は、電子写真用部材(電子写真用感光体、機能性ベルト(中間転写体)、転写ロール、帯電ロールなど)や、その他工業製品(例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、半導体製品)に適宜利用することができる。
【0101】
なお、第1から第3実施形態に示した数値は、これに限定されるものではなく、同様の効果が得られるものであれば、ここに例示した数値範囲外の値も、本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】第1実施形態に係る機能性材料塗布装置を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る機能性材料塗布装置を示す概略構成図である。
【図3】第1実施形態に係る塗布液吐出ヘッドを示す斜視図である。
【図4】第1実施形態に係る塗布液吐出ヘッドの断面図である。
【図5】振動を付与しない場合における塗布液14の吐出状態を示す模式図である。
【図6】90kHzの振動を付与した場合における塗布液14の吐出状態を示す模式図である。
【図7】60kHzの振動を付与した場合における塗布液14の吐出状態を示す模式図である。
【図8】比較のために、着弾面に対し、当該面の法線方向から塗布液の液滴が着弾する様子を示す模式図である。
【図9】着弾面に対し、当該面の法線方向と角度を持って塗布液の液滴が着弾する様子を示す模式図である。
【図10】第1実施形態に係る機能性塗布装置を示す概略側面図である。
【図11】第2実施形態に係る機能性塗布装置を示す概略側面図である。
【図12】第3実施形態に係る機能性塗布装置を示す概略側面図である。
【図13】吐出安定性を評価するための吐出液観察システムを示す概略構成図である。
【図14】吐出液観察システムにより撮影した塗布液の液滴の一例を示す図である。
【図15】跳ね返りミストの評価方法を説明するための概念図である。
【符号の説明】
【0103】
10 被塗布物
101 支持体
102 被塗布物駆動装置
102A 駆動モータ
102B ベルト
12 吐出ヘッド
121 ノズル
122 塗布液室
123 圧電素子
14 塗布液
16 塗布液タンク
18 塗布液供給管
181 送液用ポンプ
182 ダンパ
183 フィルタ
184 送液用電磁弁
20 塗布液排出管
201 排出用電磁弁
22 液受け
222 排出管
223 フィルタ
24 帯電電極
26 偏向電極
28 減速電極
281 減速電極対
281A、282A ヘッド側電極
281B、282B 被塗布物側電極
【出願人】 【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
【出願日】 平成18年7月26日(2006.7.26)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳

【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳

【識別番号】100085279
【弁理士】
【氏名又は名称】西元 勝一

【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志


【公開番号】 特開2008−29917(P2008−29917A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−203255(P2006−203255)