トップ :: B 処理操作 運輸 :: B05 霧化または噴霧一般;液体または他の流動性材料の表面への適用一般

【発明の名称】 描画装置および電気光学装置の製造方法
【発明者】 【氏名】栗林 満

【氏名】桜田 和昭

【要約】 【課題】本発明は、乾燥処理前における機能液の溶剤の気化量が均一になるように機能液を描画することができる描画装置を提供する。

【構成】ワークWに対し、複数のインクジェットヘッド51を主走査方向および副走査方向に相対的に移動させながら、機能液滴を吐出させて描画を行う描画装置1であって、複数のインクジェットヘッド51は、副走査方向に所定の間隙を存してキャリッジ16に搭載され、各インクジェットヘッド51は、複数の吐出ノズル62を列設して成るノズル列を有し、副走査方向において、隣り合う任意の2つのインクジェットヘッド51,51のノズル列間の離間距離は、ノズル列の長さよりも長く且つノズル列の長さの整数倍である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに対し、キャリッジに搭載した前記複数のインクジェットヘッドを主走査方向および副走査方向に相対的に移動させながら、機能液滴を吐出させて描画を行う描画装置であって、
前記複数のインクジェットヘッドは、副走査方向に所定の間隙を存して前記キャリッジに搭載され、
前記各インクジェットヘッドは、前記機能液滴を吐出する複数の吐出ノズルを列設して成るノズル列を有し、
副走査方向において、隣り合う任意の2つの前記インクジェットヘッドの前記ノズル列間の離間距離は、前記ノズル列の長さよりも長く且つ前記ノズル列の長さの整数倍であることを特徴とする描画装置。
【請求項2】
前記各インクジェットヘッドは、前記ノズル列が副走査方向に平行になるように、前記キャリッジに搭載されていることを特徴とする請求項1に記載の描画装置。
【請求項3】
前記各インクジェットヘッドは、前記ノズル列が副走査方向に対し所定の角度傾くように、前記キャリッジに搭載されていることを特徴とする請求項1に記載の描画装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の描画装置を用い、ワーク上に機能液滴による成膜部を形成することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のインクジェットヘッドを副走査方向に分散してキャリッジに搭載した描画装置および電気光学装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタのインクジェットヘッド(機能液滴吐出ヘッド)は、微小なインク滴をドット状に精度良く吐出できることから、各種製品の製造分野への応用が期待されており、機能液滴吐出ヘッドに特殊なインクや感光性の樹脂液等の機能液を導入し、基板等のワークに対して機能液滴を精度良く吐出させて機能液滴による成膜部を形成することにより、液晶表示装置や有機EL表示装置等の電気光学装置を製造する描画装置が考えられている。
【0003】
従来、このような機能液滴吐出ヘッドを用いた液滴描画装置では、通常、機能液滴吐出ヘッドのノズル列の長さが描画領域よりも短いため、機能液滴吐出ヘッドをワークの副走査方向の一方の外側部位から他方の外側部位に向けて順に副走査方向にずらしながら複数回主走査方向に走査することで、全領域を描画していた。このため、ワークが大きくなればなるほど、走査数が増加し、描画時間が長くなっていた。
このような問題を解決するため、インクジェット記録装置において、複数のインクジェットヘッドの各ノズル列がほぼ直線状に並ぶように、複数のインクジェットヘッドを副走査方向に直線状にサブキャリッジに配置し、各インクジェットヘッドを、隣り合うインクジェットヘッドが描画したラインに達するまで副走査方向に順にずらしながら複数回主走査をすることが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−96734号公報(図6−図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電気光学装置の成膜部は、機能液滴吐出ヘッドにより機能液がワークに対して吐出され、その後、乾燥処理により機能液中の溶剤が気化することにより形成される。機能液が吐出されてから乾燥処理が行われるまでの間、機能液から気化した溶剤はワークの周辺部へ拡散することから、成膜部上面近傍の雰囲気における溶剤の蒸気密度はワークの周辺部で低くワークの中央部で高くなるため、溶剤の気化速度はワークの周辺部で速くワークの中央部で低くなる。
しかしながら、上記したように、機能液滴吐出ヘッドをワークの副走査方向の一方の外側部位から他方の外側部位に向けて順にずらしながら走査しようとすると、その一外側部位は第1回目(最初の1ライン)の主走査により描画されるため、乾燥処理が行われるまでの時間が他の部位よりも長くなり、しかも、当該部位では溶剤の気化速度が速いことから、溶剤の気化量が他の部位に比べて大きくなる。したがって、乾燥処理前における溶剤の気化量が基板上の位置によって異なるものとなっていた。
このような状態で乾燥処理が行われると、成膜部に乾燥ムラが生じるという問題があった。このような乾燥ムラは、電気光学装置における表示ムラの原因となっていた。
【0005】
そこで、本発明は、乾燥処理前における機能液の溶剤の気化量が均一になるように機能液を描画することができる描画装置および電気光学装置の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の描画装置は、ワークに対し、キャリッジに搭載した複数のインクジェットヘッドを主走査方向および副走査方向に相対的に移動させながら、機能液滴を吐出させて描画を行う描画装置であって、複数のインクジェットヘッドは、副走査方向に所定の間隙を存してキャリッジに搭載され、各インクジェットヘッドは、機能液滴を吐出する複数の吐出ノズルを列設して成るノズル列を有し、副走査方向において、隣り合う任意の2つのインクジェットヘッドのノズル列間の離間距離は、ノズル列の長さよりも長く且つノズル列の長さの整数倍であることを特徴とする。
【0007】
この場合、各インクジェットヘッドは、ノズル列が副走査方向に平行になるように、キャリッジに搭載されていることが、好ましい。
或いは、各インクジェットヘッドは、ノズル列が副走査方向に対し所定の角度傾くように、キャリッジに搭載されていることが、好ましい。
【0008】
本発明の電気光学装置の製造方法は、上記した描画装置を用い、ワーク上に機能液滴による成膜部を形成することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態は、いわゆるフラットディスプレイの一種である有機EL装置の製造ラインに本発明の描画装置を組み込んだものであり、複数のインクジェットヘッド(以下、「機能液滴吐出ヘッド」という。)に発光材料等の機能液を導入して、有機EL装置の発光素子を構成する各画素の正孔注入/輸送層およびR・G・Bの各色発光層を形成するものである。
【0010】
ここでは、まず有機EL装置の構造およびその製造方法を簡単に説明し、次に製造ラインに組み込まれた描画装置とその周辺設備とからなる有機EL装置の製造装置について説明する。
【0011】
図1は、有機EL装置の断面図を示した図である。図1に示すように、有機EL装置301は、基板311(ワークW)、回路素子部321、画素電極331、バンク部341、発光素子351、陰極361(対向電極)、および封止用基板371から構成された有機EL素子302に、フレキシブル基板(図示省略)の配線および駆動IC(図示省略)を接続したものである。回路素子部321は基板311上に形成され、複数の画素電極331が回路素子部321上に整列している。そして、各画素電極331間にはバンク部341が格子状に形成されており、バンク部341により生じた凹部開口344に、発光素子351が形成されている。陰極361は、バンク部341および発光素子351の上部全面に形成され、陰極361の上には、封止用基板371が積層されている。
【0012】
有機EL装置301の製造工程では、予め回路素子部321上および画素電極331が形成されている基板311上の所定の位置にバンク部341が形成された後、発光素子351を適切に形成するためのプラズマ処理が行われ、その後に発光素子351および陰極361を形成される。そして、封止用基板371を陰極361上に積層して封止して、有機EL素子302を得た後、この有機EL素子302の陰極361をフレキシブル基板の配線に接続すると共に、駆動ICに回路素子部321の配線を接続することにより、有機EL装置301が製造される。
【0013】
描画装置1は、発光素子351を形成する発光素子形成工程において用いられる。発光素子形成工程は、凹部開口344、すなわち画素電極331上に正孔注入/輸送層352および発光層353を形成することにより発光素子351を形成するもので、正孔注入/輸送層形成工程と発光層形成工程とを具備している。そして、正孔注入/輸送層形成工程は、正孔注入/輸送層352を形成するための第1組成物(機能液)を各画素電極331上に吐出する第1液滴吐出工程と、吐出された第1組成物を乾燥させて正孔注入/輸送層352を形成する第1乾燥工程とを有し、発光層形成工程は、発光層353を形成するための第2組成物(機能液)を正孔注入/輸送層352の上に吐出する第2液滴吐出工程と、吐出された第2組成物を乾燥させて発光層353を形成する第2乾燥工程とを有している。なお、この第1液滴吐出工程以降は、水、酸素の無い窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
【0014】
第1液滴吐出工程では、液滴吐出法により、正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物を電極面332上に吐出する。吐出された第1組成物滴は、親液化処理された電極面332に広がり、さらに凹部開口344内に満たされる。なお、ここで用いる第1組成物としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリチオフェン誘導体とポリスチレンスルホン酸(PSS)等の混合物を極性溶媒に溶解させた溶液が挙げられる。極性溶媒としては、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)、n−ブタノール、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン(NMP)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)およびその誘導体、カルビトールアセテートおよびブチルカルビトールアセテート等のグリコールエーテル類等を用いることができる。
【0015】
第1乾燥工程では、吐出された第1組成物を乾燥処理(熱処理)して、第1組成物に含まれる極性溶媒を蒸発させ、電極面332上に正孔注入/輸送層352を形成する。乾燥処理を行うと、主に無機物バンク層342および有機物バンク層343に近いところで第1組成物滴に含まれる極性溶媒の蒸発が起こり、極性溶媒の蒸発に併せて正孔注入/輸送層形成材料が濃縮されて析出する。そして、電極面332上での極性溶媒の蒸発速度は略均一であるため、電極面332上の極性溶媒が蒸発すると、電極面332上に正孔注入/輸送層の形成材料からなる均一な厚さの正孔注入/輸送層352が形成される。
【0016】
第2液滴吐出工程では、液滴吐出法により、発光層形成材料を含む第2組成物を正孔注入/輸送層352上に吐出する。吐出された第2組成物滴は、正孔注入/輸送層352上に広がって、凹部開口344内に満たされる。この第2液滴吐出工程では、形成した正孔注入/輸送層352の溶解を防止するため、第2組成物の溶媒は正孔注入/輸送層352に対して不溶な非極性溶媒を用いる。具体的には、シクロヘキシルベンゼン、ジハイドロベンゼンフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン等を第2組成物の溶媒として用いることができる。また、発光層形成材料としては、ポリフルオレン系高分子誘導体、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素,あるいは上記高分子に有機EL材料をドープして用いることができる。例えば、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニル、ブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等をドープすることにより用いることができる。
【0017】
第2乾燥工程では、吐出された第2組成物に乾燥処理(熱処理)を施して、第2組成物に含まれる非極性溶媒を蒸発させて、正孔注入/輸送層352上に発光層353を形成する。
【0018】
なお、発光層353を1色ずつ順に形成するために、第2液滴吐出工程および第2乾燥工程は繰り返し行われる。例えば、まず青色(B)の発光層353を形成する第2組成物を用いて第2液滴吐出工程および第2乾燥工程を行い、青色(B)の発光層353を形成する。同様に、赤色(R)、緑色(G)と順に発光層353を形成する。ただし、発光層353を形成する順序は上記のものに限られるものではなく、発光層形成材料に応じて形成する色の順序を決めてもよい。
【0019】
また、正孔注入/輸送層352は、非極性溶媒に対する親和性が低いため、正孔注入/輸送層352上に溶媒として非極性溶媒を用いた第2組成物を吐出しても、正孔注入/輸送層352と発光層353とを密着させることができない虞や、発光層353を均一に塗布できない虞がある。そこで、本実施形態の製造プロセスにおいては、正孔注入/輸送層352上に発光層353を形成する前、すなわち第2液滴吐出工程の前に、正孔注入/輸送層352の表面における非極性溶媒および発光層形成材料に対する親和性を高める表面改質工程を行っている。表面改質工程では、表面改質用溶媒として、第2組成物に用いた非極性溶媒と同一溶媒またはこれに類する溶媒を用い、液滴吐出法、スピンコート法またはディップ法により表面改質用溶媒を正孔注入/輸送層352上に塗布した後、これを乾燥させる。
【0020】
次に、有機EL装置の製造装置について説明する。この有機EL装置の製造装置では、上述した有機EL装置の製造プロセスにおいて液滴吐出法が行われる工程、すなわち、発光素子形成工程(正孔注入/輸送層形成工程および発光層形成工程)と、表面改質工程とに対応して、機能液滴吐出ヘッドに機能材料を含有させた機能液を吐出させながらこれを走査する描画装置が用いられている。
【0021】
正孔注入/輸送層形成工程を行う正孔注入層形成設備A、発光層を形成する発光層形成設備Bおよび表面改質工程を行う表面改質設備Cには、設備毎に機能液を導入する機能液滴吐出ヘッド51を搭載した描画装置1と、乾燥装置201と、基板搬送装置202と、これらを収容するチャンバ装置203がそれぞれ設けられている。なお、発光層形成設備Bにおいては、図2に示すように、色別(R・G・B)に3組の各装置が備えられている。
【0022】
有機EL装置の製造装置で用いられる各設備の乾燥装置201および基板搬送装置202は同一構造を有しており、各設備の描画装置1は、機能液滴吐出ヘッド51に導入する機能液が異なるのみで同一構造を有している。そこで、図2に示す発光層形成設備BのB色の発光層を形成する各装置を例に、各装置構成における一連の流れについて説明する。
【0023】
まず、図外の装置によりバンク部の形成およびプラズマ処理を終えたワークWが、図2の左端に位置する基板移載装置204から基板搬送装置202に搬送される。次に、ワークWは、基板搬送装置202で方向および姿勢転換されて描画装置1に搬送され、描画装置1にセットされる。そして、チャンバ装置202内の不活性ガスの雰囲気中で第2液滴吐出工程が行われ、描画手段3は、その機能液滴吐出ヘッド51により、基板311の多数の画素領域(凹部開口344)にB色の発光材料(液滴)を含む機能液を吐出する。
【0024】
発光材料が塗着したワークWは、描画装置1から基板搬送装置202に受け渡され、乾燥装置201に導入される。乾燥装置201では、基板を所定時間、高温の不活性ガスの雰囲気に曝して、発光材料中の溶剤を気化させる(第2乾燥工程)。そして再度、ワークWを描画装置1に導入して、第2液滴吐出工程を行う。すなわち、第2液滴吐出工程と第2乾燥工程とを複数回繰り返し、発光層353が所望の膜厚になったところで、R色の発光層353を形成すべくワークWは基板搬送装置202により搬送され、R色の発光層353が所望の膜厚まで形成されると、G色の発光層353を形成すべく搬送される。なお、R・G・Bの各色発光層353の形成のための作業順は任意である。また、本実施形態においては、発光層353を形成するために第2液滴吐出工程と第2乾燥工程を繰り返し行っているが、これらの工程を1回で行うようにしてもよい。
【0025】
以上を前提として、本発明の主要部となる描画装置1ついて説明する。図3に示すように、実施形態の描画装置1は、機台2と、機台2上の全域に広く載置された描画手段3と、機台2上の端部に載置されたヘッド機能回復装置4とを有し、描画手段3によりワークW上に機能液による描画を行うと共に、ヘッド機能回復装置4により適宜、描画手段3に備える機能液滴吐出ヘッド51の機能回復処理(メンテナンス)を行うようにしている。
【0026】
描画手段3は、X軸テーブル12およびX軸テーブル12に直交するY軸テーブル13からなる移動機構11と、Y軸テーブル13に移動自在に取り付けたメインキャリッジ14と、メインキャリッジ14に垂設したヘッドユニット15とを備えている。この場合、基板であるワークWは、X軸テーブル12の端部に臨む一対のワーク認識カメラ18,18により、X軸テーブル12に位置決めされた状態で搭載されている。
【0027】
図4および図6に示すように、ヘッドユニット15は、複数(6個)の機能液滴吐出ヘッド51と、複数の機能液滴吐出ヘッド51を搭載するサブキャリッジ16と、各機能液滴吐出ヘッド51をサブキャリッジ16に取り付けるためのヘッド保持部材17と、で構成されている。詳細は後述するが、図6に示すように、複数の機能液滴吐出ヘッド51は、ワークWに対して平行になるように、副走査方向に一定間隔で分散してサブキャリッジ16に配設されている。なお、機能液滴吐出ヘッド51を専用部品で構成しないためにワークWに対して機能液の十分な塗布密度を得られない場合は、機能液の十分な塗布密度を確保するために機能液滴吐出ヘッド51を所定角度傾けてサブキャリッジ16に配設してもよい。さらに、本実施形態では、6個の機能液滴吐出ヘッド51を副走査方向に1列に配設しているが、例えば12個の機能液滴吐出ヘッド51を6個ずつに二分して、二分した各6個の機能液滴吐出ヘッド51を副走査方向に対して相互に同じ位置となるように2列に配設するなど、複数の機能液滴吐出ヘッド51を複数列に配設してもよい。
【0028】
図4に示すように、機能液滴吐出ヘッド51は、いわゆる2連のものであり、2連の接続針53を有する機能液導入部52と、機能液導入部52に連なる2連のヘッド基板54と、機能液導入部52の下方に連なり、内部に機能液で満たされるヘッド内流路が形成されたヘッド本体55と、を備えている。各接続針53は、配管アダプタ56を介して機能液を貯留する給液タンク(図示省略)に接続されており、機能液導入部52は、各接続針53から機能液の供給を受けるようになっている。ヘッド本体55は、2連のポンプ部61と、多数の吐出ノズル62を形成したノズル形成面64を有するノズル形成プレート62と、を有しており、機能液滴吐出ヘッド51では、ポンプ部61の作用により吐出ノズル62から機能液滴を吐出するようになっている。なお、ノズル形成面64には、180個の吐出ノズル62から成る吐出ノズル62列が2列形成されている。
【0029】
ヘッド機能回復装置4は、機台2上に載置した移動テーブル21と、移動テーブル21上に載置した保管ユニット22、吸引ユニット23およびワイピングユニット24とを備えている。保管ユニット22は、装置の稼動停止時に、機能液滴吐出ヘッド51の吐出ノズル62の乾燥を防止すべくこれを封止する。吸引ユニット23は、機能液滴吐出ヘッド51から機能液を強制的に吸引すると共に、機能液滴吐出ヘッド51の全吐出ノズル62からの機能液の吐出を受けるフラッシングボックスの機能を有している。ワイピングユニット24は、主に、機能液吸引を行った後の機能液滴吐出ヘッド51のノズル形成面64をワイピング(拭き取り)する。
【0030】
保管ユニット22には、例えば機能液滴吐出ヘッド51に対応する封止キャップ26が昇降自在に設けられており、装置の稼動停止にヘッドユニット(の機能液滴吐出ヘッド51)15に臨んで上昇し、機能液滴吐出ヘッド51のノズル形成面64に封止キャップ26を密接させて、これを封止する。これにより、機能液滴吐出ヘッド51のノズル形成面64における機能液の気化が抑制され、いわゆるノズル詰まりが防止される。
【0031】
同様に、吸引ユニット23には、例えば機能液滴吐出ヘッド51に対応する吸引キャップ27が、昇降自在に設けられており、ヘッドユニット(の機能液滴吐出ヘッド51)15に機能液の充填を行う場合や、機能液滴吐出ヘッド51内で増粘した機能液を除去する場合に、吸引キャップ27を機能液滴吐出ヘッド51に密着させて、ポンプ吸引を行う。また、機能液の吐出(描画)を休止するときには、吸引キャップ27を機能液滴吐出ヘッド51から僅かに離間させておいて、フラッシング(捨て吐出)を行う。これにより、ノズル詰まりが防止され或いはノズル詰まりの生じた機能液滴吐出ヘッド51の機能回復が図られる。
【0032】
ワイピングユニット24には、例えば、ワイピングシート28が繰出し且つ巻取り自在に設けられており、繰り出したワイピングシート28を送りながら、且つ移動テーブル21によりワイピングユニット24をX軸方向に移動させながら、機能液滴吐出ヘッド51のノズル形成面64を拭き取るようになっている。これにより、機能液滴吐出ヘッド51のノズル形成面64に付着した機能液が取り除かれ、機能液吐出時の飛行曲がり等が防止される。
【0033】
さらに、図示では省略したが、この描画装置1には、各機能液滴吐出ヘッド51に機能液が供給する機能液供給機構や、上記の描画手段3や機能液滴吐出ヘッド51等の構成装置を統括制御する制御手段などが組み込まれている。
【0034】
X軸テーブル12は、X軸方向の駆動系を構成するモータ駆動のX軸スライダ31を有し、これに吸着テーブル33およびθテーブル34等から成るセットテーブル32を移動自在に搭載して、構成されている。同様に、Y軸テーブル13は、Y軸方向の駆動系を構成するモータ駆動のY軸スライダ36を有し、これにθテーブル37を介して上記のメインキャリッジ14を移動自在に搭載して、構成されている。
【0035】
この場合、X軸テーブル12は、機台2上に直接支持される一方、Y軸テーブル13は、機台2上に立設した左右の支柱38,38に支持されている。X軸テーブル12とヘッド機能回復装置4とは、X軸方向に相互に平行に配設されており、Y軸テーブル13は、X軸テーブル12とヘッド機能回復装置4の移動テーブル21とを跨ぐように延在している。
【0036】
そして、Y軸テーブル13は、これに搭載したヘッドユニット(機能液滴吐出ヘッド51)15を、ヘッド機能回復装置4の直上部に位置する機能回復エリア41と、X軸テーブル12の直上部に位置する描画エリア42との相互間で、適宜移動させる。すなわち、Y軸テーブル13は、機能液滴吐出ヘッド51の機能回復を行う場合には、ヘッドユニット15を機能回復エリア41に臨ませ、またX軸テーブル12に導入したワークWに描画を行う場合には、ヘッドユニット15を描画エリア42に臨ませる。
【0037】
一方、X軸テーブル12の一方の端部は、ワークWをX軸テーブル12にセット(載せ代える)するための移載エリア43となっており、移載エリア43には、上記一対のワーク認識カメラ18,18が配設されている。そして、この一対のワーク認識カメラ18,18により、吸着テーブル33上に供給されたワークWの2箇所の基準マークが同時に認識され、この認識結果に基づいて、ワークWのアライメントが為される。
【0038】
詳細は後述するが、実施形態の描画装置1では、X軸方向へのワークWの移動を主走査とし、Y軸方向への機能液滴吐出ヘッド(ヘッドユニット15)51の移動を副走査として、制御手段による制御を受けながら、X軸テーブル12およびY軸テーブル13を駆動して主走査および副走査を交互に繰り返し、ワークWに描画を行っている。
【0039】
すなわち、機能液滴吐出ヘッド(ヘッドユニット15)51を描画エリア42に臨ませておいて、X軸テーブル12による主走査(ワークWの往復移動)に同期して、機能液滴吐出ヘッド51を吐出駆動(機能液滴の選択的吐出)させる。また、Y軸テーブル13により適宜、副走査(ヘッドユニット15の往復移動)が行われる。この一連の動作により、ワークWに所望の機能液滴の選択的吐出、すなわち描画が行われる。なお、本実施形態では、ヘッドユニット15に対して、ワークWを主走査方向(X軸方向)に移動させるようにしているが、ヘッドユニット15を主走査方向に移動させる構成であってもよい。また、ヘッドユニット21を固定とし、ワークWを主走査方向および副走査方向(Y軸方向)に移動させる構成であってもよい。
【0040】
また、機能液滴吐出ヘッド51の機能回復を行う場合には、移動テーブル21により吸引ユニット23を機能回復エリア41に移動させると共に、Y軸テーブル13によりヘッドユニット15を機能回復エリア41に移動させ、機能液滴吐出ヘッド51のフラッシング或いはポンプ吸引を行う。また、ポンプ吸引を行った場合には、続いて移動テーブル21によりワイピングユニット24を機能回復エリア41に移動させ、機能液滴吐出ヘッド51のワイピングを行う。同様に、作業が終了して装置の稼動を停止する時には、保管ユニット22により、機能液滴吐出ヘッド51にキャッピングが行われる。
【0041】
ここで、図5および図6を参照して、本実施形態の描画装置1がワークWに対して描画を行う際の動作について詳細に説明する。上述したように、描画装置1に組み込まれた描画手段3では、複数の機能液滴吐出ヘッド51は副走査方向に分散してサブキャリッジ16に搭載されている。そして、隣り合う2つの機能液滴吐出ヘッド51におけるノズル列間の距離、すなわち、各機能液滴吐出ヘッド51の180番目のノズルと隣に配設された機能液滴吐出ヘッド51の1番目のノズルとの距離、がノズル列の長さd、すなわち、各機能液滴吐出ヘッド51における1番目のノズルから180番目のノズルまでの長さd、の3倍である3dとなるように、複数の機能液滴吐出ヘッド51が配設されている。なお、隣り合う2つの機能液滴吐出ヘッド51におけるノズル列間の距離は、各機能液滴吐出ヘッド51が各描画領域101aないし101f(後述する)の副走査方向の中間部位から両外側部位に向かって描画するため(詳細は後述する)、ノズル列の長さdよりも大となるが、走査回数の増大に伴い機能液が描画されてから乾燥処理が行われるまでの時間差が拡大することによって溶剤の気化量が不均一となるようなことがなければ、ノズル列の長さdの何倍であってもよい。さらに、ノズル列間の距離は、使用されないノズルが生ずることを防ぐため、ノズル列の長さdの整数倍であることが望ましい。
【0042】
また、図6に示すように、各機能液滴吐出ヘッド51に対応して、ワークWを副走査方向に、複数の機能液滴吐出ヘッド51の数に等分、すなわち6等分、した描画領域101aないし101fが仮想されている。すなわち、この描画装置1では、各機能液滴吐出ヘッド51aないし51fは、それぞれ対応する各描画領域101aないし101fを描画走査するように配設されている。各描画領域101aないし101fの幅は、ノズル列の長さdの4倍であるため、各機能液滴吐出ヘッド51aないし51fは、主走査を4回行うことにより、対応する各描画領域101aないし101fを描画する。
【0043】
まず、ヘッドユニット15を移動機構11(Y軸テーブル13)により副走査方向に移動させて、各機能液滴吐出ヘッド51aないし51fを各描画領域101aないし101fの各b列(101abないし101fb)に位置させ、続いて第1回目の主走査が行われる。すなわち、ワークWを移動機構11(X軸テーブル71)により主走査(X軸)方向に往動させると共に、複数の機能液滴吐出ヘッド51aないし51fを駆動させてワークWにおける各描画領域101aないし101fの各b列に対して略同時並行的に機能液滴の選択的な吐出動作が行われる。
【0044】
そして、第1回目の主走査が終わると、ヘッドユニット15を移動機構11(Y軸テーブル13)により副走査(Y軸)方向にノズル列の長さdだけ移動させて、各機能液滴吐出ヘッド51aないし51fをそれぞれ対応する各描画領域101aないし101fの各c列(101acないし101fc)に位置させた後、第2回目の主走査が行われる。すなわち、ワークWを主走査方向に復動させると共に、複数の機能液滴吐出ヘッド51aないし51fを駆動させて各描画領域101aないし101fの各c列に対する機能液滴の選択的な吐出動作が行われる。
【0045】
以下、同様にして、各描画領域101aないし101fの各a列(101aaないし101fa)、各描画領域101aないし101fの各d列(101adないし101fd)、の順に、機能液滴の選択的な吐出動作が行われ、各機能液滴吐出ヘッド51aないし51fが対応する各描画領域101aないし101fのすべてを描画する。なお、各描画領域101aないし101f内における主走査の順序については、各描画領域101aないし101fの各a列および各描画領域101aないし101fの各d列に対して、第3回目の主走査および第4回目の主走査により機能液の描画が行われる構成であれば、各b列と各c列の主走査の順は逆であってもよく、各a列と各d列の主走査の順も逆であってもよい。
【0046】
このように、各機能液滴吐出ヘッド51aないし51fを、それぞれ対応する各描画領域101aないし101fの各b列、各c列、各a列、各d列の順に描画を行わせることにより、ワークWの周辺部、すなわち、描画領域101aaおよび描画領域101fdに対しては、それぞれ最後の1つ前のラインの主走査、最後のラインの主走査により描画を行わせるようになっている。したがって、描画領域101aaおよび描画領域101fdにおいては、機能液の溶媒の気化速度は速いものの、機能液が描画されてから乾燥工程が行われるまでの時間が短いため、他の描画領域と比べて溶媒の気化量が多くなることがない。
【0047】
ところで、上記した描画装置1は、携帯電話やパーソナルコンピュータ等の電子機器に搭載される上記の有機EL装置301の他、各種の電気光学装置(デバイス)の製造に用いることが可能である。すなわち、液晶表示装置、FED装置、PDP装置および電気泳動表示装置等の製造に適用することができ、これらを効率よく製造することが可能である。
【0048】
また、他の電気光学装置としては、液晶塗布、配向膜塗布、基板間の間隔を一定に保持するためのスペーサー(ギャップ材)散布、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等を包含する装置が考えられる。上記した描画装置1を各種の電気光学装置の製造に用いることにより、各種の電気光学装置を効率的に製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の製造方法を用いて製造した有機EL装置の断面図である。
【図2】実施形態に係る有機EL装置の製造方法における発光層形成設備の模式図である。
【図3】本実施形態における描画装置を模式的に表した平面図である。
【図4】(a)は機能液滴吐出ヘッドの外観斜視図、(b)は機能液滴吐出ヘッドを配管アダプタに装着したときの断面図である。
【図5】サブキャリッジに搭載された機能液滴吐出ヘッドの配置例を示した図である。
【図6】本実施形態における第1回目の主走査を表した図である。
【図7】本実施形態における第2回目の主走査を表した図である。
【図8】本実施形態における第3回目の主走査を表した図である。
【図9】本実施形態における第4回目の主走査を表した図である。
【符号の説明】
【0050】
1…描画装置 3…描画手段 11…移動機構 12…X軸テーブル 13…Y軸テーブル 15…ヘッドユニット 16…サブキャリッジ 51…機能液滴吐出ヘッド 101…描画領域 301…有機EL装置 W…ワーク
【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【出願日】 平成19年8月8日(2007.8.8)
【代理人】 【識別番号】100093964
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 稔


【公開番号】 特開2008−23525(P2008−23525A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2007−206173(P2007−206173)