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【発明の名称】 ペースト塗布機及びペースト塗布方法
【発明者】 【氏名】徳安 良紀

【氏名】三本 勝

【氏名】斉藤 正行

【氏名】石田 茂

【氏名】川隅 幸宏

【要約】 【課題】リブなどで凸凹をなす基板に対しても、基板のうねりを精度良く計測し、ペーストパターンを高精度に形成することができて、生産性を高める。

【構成】基板Kには、図3に示すような、ストライプ状のRaや井桁状のリブRbが設けられ、凸凹状をなしている。かかる基板KのリブRa間にペーストを塗布するノズルには、距離センサ(例えば、非接触式三角測式センサ)19が設けられている。ペーストパターン形成のためのペースト塗布に先立ち、この距離センサ19によって基板Kのうねりを計測するのであるが、これらリブRaに対して微小角傾き、かつペースト塗布経路(この場合、リブRa間)近傍の経路に沿って距離センサ19,基板K間の距離を測定していく。そして、その測定結果の距離データを処理してリブRaの頂点を結ぶ面を求め、これによって基板Kのうねりを検出し、基板の表示領域一面を網羅する大きさのノズル18にて塗布を実施する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の吐出口を有するノズルを備えたシリンジと、前記吐出口に対向するように基板を載置する基板保持テーブルと、前記シリンジに充填したペーストを前記吐出口から基板上に吐出させながら、前記基板と前記ノズルとの相対位置関係を変化させることにより、前記基板上に所望形状のペーストパターンを塗布描画するペースト塗布機において、
前記シリンジ内のペースト量を検出する検出器と、前記検出器の検出結果に基づいてシリンジ内にペーストを供給する機構を備え、前記シリンジの取り付け位置を調整するノズルシリンジ校正機構を設けたことを特徴とするペースト塗布機。
【請求項2】
請求項1に記載のペースト塗布機において、
前記シリンジに設けたノズルは縦又は横一列に配列若しくは縦横複数列に二次元配列され、前記ノズル列を挟むように前記ノズルの先端部を保護するためのノズル先端部保護リブを設けたことを特徴とするペースト塗布機。
【請求項3】
請求項2に記載のペースト塗布機において、
前記基板を載置する基板保持テーブルの一端部に前記ノズルの上下方向の高さ位置を校正するための高さ位置校正機構が設けてあり、前記高さ位置校正機構は前記ノズル列方向の両端部側に感圧センサを備えた構成としたことを特徴とするペースト塗布機。
【請求項4】
請求項1記載のペースト塗布機において、ノズル材料に低熱膨張材を用いることを特徴とするペースト塗布機。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のペースト塗布機において、ノズル表面部に撥水薄膜コーティング処理あるいはめっき薄膜処理を施したことを特徴とするペースト塗布機。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項に記載のペースト塗布機において、ノズル吐出孔先端部の清掃機構を有し、ノズル詰まりを検知する機構を有することを特徴とするペースト塗布機。
【請求項7】
複数の吐出口を有するノズルを備えたシリンジと、前記吐出口に対向するように基板を載置するテーブルと、前記シリンジに充填したペーストを前記吐出口から基板上に吐出させながら、前記基板と前記ノズルとの相対位置関係を変化させることにより、前記基板上に所望形状のペーストパターンを塗布描画するペースト塗布方法において、
塗布開始前、又はシリンジ交換時に、基板保持テーブルに隣接して設けたノズル高さ位置校正機構で測定した測定値を用いて、シリンジ保持ベースに設けたノズルシリンジ校正機構を動作させてシリンジ位置を校正し、
予め該基板のうねりを計測後、そのデータに基づきノズル先端の吐出孔面を所望の基板塗布高さ位置に倣い制御しながら塗布を実施し、かつ基板上に所望形状のペーストパターンを塗布描画中に、前記基板上に形成された凹凸パターンの位置ずれ変化量から塗布位置を補正しながら、塗布を行うことを特徴とするペースト塗布方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はペースト塗布機に係り、特に、基板保持テーブル上に載置した基板に対して複数のペースト吐出口を有するノズルを対向させ、ペースト収納容器に充填されたペーストを各吐出口から基板上に連続又は間欠吐出させながら基板とノズルとの相対位置を変化させて、基板上に所望形状の複数のペーストパターンを同時に形成するペースト塗布機とその塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイ(以下PDPと略称する)の製造工程で、赤色(R),緑色(G),青色(B)に発光する夫々の蛍光体(以下、これら蛍光体を、夫々、R蛍光体,G蛍光体,B蛍光体という)などの形成に用いられるペースト塗布機として、特許文献1などに記載された装置がある。この塗布装置では、同じ形態の複数のペーストパターンを同じ基板上に同時に塗布描画することができるようにするために、ノズルに複数のペースト吐出口が設けられている。
【0003】
このペースト塗布機は、テーブル上に載置した基板にノズルの先端のペースト吐出口を対向させて、ペースト吐出口と基板との間でこの基板の主面に垂直な方向に任意の距離を持たせ(以下、この距離をギャップという)、ペースト吐出口から基板上にR,G,B蛍光体のペーストを吐出させながら、ギャップとこの基板の主面に平行な方向の相対位置関係(以下、ノズル先端,基板間の相対位置関係という)を変化させ、この基板上に所望形状の蛍光体のペーストパターンを塗布するものである。
【0004】
特に、PDPの基板上には、紫外線に対しては不透明なガラスからなる多数本の隔壁
(以下リブ)が設けられ、R,G,B蛍光体のペーストはこれらリブの間の基板上に塗布される。
【0005】
かかるペースト塗布機では、予め計測したノズル先端,基板間の距離やノズル先端,リブ間の距離に倣ってノズルを上下させながら、ノズル,基板間の相対位置関係を変化させることにより、基板上に蛍光体のペーストパターンを塗布するようにしている。これらノズル先端と基板間の距離や、ノズル先端とリブ間の距離の計測は、基板の表面やリブ上に設定した3点で行っている。そして、夫々毎に検出したこれら3点を通る仮想曲面を設定し、基板の表面上やリブ上でそれに対応する仮想曲面に平行にノズルを移動させることが特許文献2に記載されている。
【0006】
また、特許文献3には、基板上から任意の高さ位置にノズル先端を設定して、このノズル先端から基板上にガイドを垂らし、このガイドに蛍光体のペーストを滴らせて各リブ間の基板上に塗布することが記載されている。すなわち、ノズル先端,基板間の距離は格段調整していない。
【0007】
リブ間の距離は150μm程度であるため、これら従来技術では、リブ間に正確に蛍光体のペーストを塗布することに専念している。
【0008】
また、特許文献4には、従来リブ形式はストライプ構造が主流であったが、近年ではディスプレイのハイビジョン化に伴い、高輝度かつ高品位となる画素毎に隔壁で井桁状等に仕切りを設けた隔壁構造のディスプレイが増えつつあることが開示されている。
【0009】
上記ペースト塗布機のさらに他の例として、特許文献5では、ノズルに対して先行した位置関係にある先行センサと後行した位置関係にある後行センサとが設けられ、先行センサではリブ間の基板の表面からノズル先端までの距離を測定し、後行センサでリブ間のノズル先端の位置を計測しながら、ノズルからペーストを吐出してリブ間にペーストを塗布するようにしている。
【0010】
特許文献6には、横一列配置のマルチノズル構造の塗布装置が開示されている。
【0011】
さらに、特許文献7には多数配列された吐出口の両端に位置する吐出口間の吐出量差が大きなノズルを用いることが開示されている。
【0012】
【特許文献1】特開平11−314061号公報
【特許文献2】特開平10−27543号公報
【特許文献3】特開平10−223138号公報
【特許文献4】特開2002−50280号公報
【特許文献5】特開2001−87693号公報
【特許文献6】特開平11−314061号公報
【特許文献7】特開2000−33289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、プラズマディスプレイパネルは大画面であって、その基板は液晶ディスプレイ用の基板よりも厚くなっており、表面が平坦なテーブルに載置した場合、基板の表面は平坦にならず、波打っていることが多く、さらに一枚の大型基板から多面取りにてパネルが形成される場合はなおさらである。
【0014】
このため、特許文献2に記載のペースト塗布機の場合のように、3点で予め距離を計測する程度では、基板の表面のうねりに追従させてノズル先端の高さ位置を変化させ、ノズル先端,基板間の距離を一定に保つということはできない。そこで、計測点数を増加させることが考えられるが、このようにすると、基板の表面にはリブによって凹凸が形成されているので、この凹凸がノズル先端,基板間の距離を計測する上で障害となり、かかる計測が非常に困難となる。
【0015】
特許文献4に記載の発明は、上記の後行センサの計測結果により、ノズルをリブ間に沿って移動させてペーストを塗布しながら、先行センサでリブ間でのノズル先端,基板間距離を計測することにより、上記の問題を解決するものであるが、井桁状のリブを有する基板の場合には、ペーストの塗布方向にこれを横切るようにリブが設けられているため、このリブが先行センサによるノズル先端,基板間距離の計測の障害となり、そのままでは特許文献4に記載の発明を適用することができない。
【0016】
なお、上記特許文献3に記載のペースト塗布機の場合では、基板の表面状態に係わらず、ノズル先端,基板間のギャップを大きめに設定している。このため、塗布の始端や終端では、ペーストの滴りを推し量る必要があって、ペーストの吐出開始や終了の制御が難しく、所望形状にペーストを塗布出来ない恐れがあった。
【0017】
また、特許文献5に記載のように、井桁状等の隔壁構造のセル内にR,G,B蛍光体ペーストをディスペンス法により間欠的に塗布するには、特許文献6などに記載された横一列配置のマルチノズル構造では、塗布応答周期に対応する塗布タクト等の問題があった。
【0018】
さらに、特許文献7に記載されているように、多数配列された吐出口の両端に位置する吐出口間の吐出量差が大きなノズルで、基板に繰り返し塗布を行うと、塗布後の基板には輝度むらが発生する。
【0019】
この輝度むらを解消する手段として、部分的にノズル吐出口径や吐出方向のノズル流路長を変更することにより、ペーストの吐出量ばらつきを極小に抑えることは可能であるが、局所的に加工を実施することは難しくかつ非常に手間のかかる方法である。
【0020】
また、基板に繰り返し塗布を行う際、基板の主面に形成されたリブの寸法誤差により、若干ではあるが、ごく微量の塗布位置ずれが発生し、輝度むらが発生する場合もある。
【0021】
また、一般的に蛍光体の粘度特性は高く、吐出タクトを早くする為には高速吐出応答の調整が容易なニードルバルブ方式のディスペンサ(例えば、ノードソンアシムテック社製)が挙げられる。
【0022】
但し、この場合ニードルバルブを繰り返し遮断時に、吐出ペーストに含まれるミクロン(μm)レベルの平均粒径成分が破壊され、バルブ自身の機構部よりごみが発生する等の問題があった。
【0023】
さらに、ニードルバルブ方式のディスペンサでは、バルブ遮断時にバルブより吐出口までの残留ペーストの管理は、ペースト自身の表面張力に頼らざるを得ず、ペースト吐出時に吐出したペースト液の張力が高い場合は、ペーストの糸引き及びノズル先端部へのペースト溜まりを発生させ、次の吐出時に悪影響を及ぼす場合があった。
【0024】
本発明の目的は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その目的はかかる問題を解消し、かつ井桁状のリブなどを備えた基板に対しても、所望の位置にペーストパターンを高精細に形成することができ、またノズルのペースト吐出口の数を増やして一度に描画できるペーストパターンを増やし、生産時間を短縮かつ安定した塗布により、生産性を高めることができるようにしたペースト塗布機及び塗布方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記目的を達成するために、本発明は、複数の吐出口を有するノズルを備えたシリンジと、吐出口に対向するように基板を載置する基板保持テーブルと、シリンジに充填したペーストを前記吐出口から基板上に吐出させながら、基板とノズルとの相対位置関係を変化させることにより、基板上に所望形状のペーストパターンを塗布描画するために、シリンジ内のペースト量を検出する検出器と、検出器の検出結果に基づいてシリンジ内にペーストを供給する機構とを備え、シリンジの取り付け位置を微調整できるようにノズルシリンジ校正機構を設けたことを特徴とする。
【0026】
なお、基板を載置する基板保持テーブルの一端部にノズルの上下方向の高さ位置を校正するための高さ位置校正機構が設けてあり、この高さ位置校正機構はノズル列方向の両端部側に感圧センサを備え、感圧センサの検出値を用いてノズルシリンジ校正機構を動作させてシリンジの位置を調整する構成としてある。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ストライプ状や井桁状のリブなどの凹凸部を備えた基板に対しても、そのうねりを精度良く検出することができ、基板上の所望の位置にペーストパターンを短時間に高精度で形成することができ、生産性が大幅に向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施例を、図面を用いて説明する。
【0029】
図1は本発明によるペースト塗布機の一実施例の外観を示す斜視図である。また、図2に塗布ヘッド7の概観を示す。架台1上には基板搬送コンベア2a,2bが設けられている。この基板搬送コンベア2a,2bの間には、搬送されてきた基板Kを受け取り、その基板Kを保持する保持機構を備えた基板保持テーブルである基板保持機構3と、基板保持機構3をθ回転するθ軸移動テーブル4が設けてある。さらに、架台1のX軸方向の両端部側には、X軸移動テーブル6をY軸方向に移動するための門型形状のY軸移動テーブル5a,5bが設けてある。また、X軸移動テーブル6には、塗布ヘッド7がX軸方向に移動できるようにZ軸移動テーブル支持ベース2に取り付けてある。また、Z軸移動テーブル支持ベース2には塗布ヘッド7をZ軸方向に移動させるためのZ軸駆動モータ20が設けてある。
【0030】
更に、架台1の下部及び側面側には主制御部8,空圧ユニット9,モニタ10,キーボード(操作パネル)11等が設けてある。さらに、架台1上部の基板保持機構3に隣接して、ペースト収納容器であるシリンジ17に設けられたノズル18のZ軸方向の高さ位置を校正するための高さ位置校正機構80,ノズル18から吐出されるペーストを回収するためのペースト回収機構81、及びノズル清掃機構82、さらにノズル詰まり検知機構
83が設けてある。
【0031】
同図において、基板搬送コンベア2a,2bには図示していない昇降手段を備えている。プラズマディスプレイ製造用の基板KをX軸方向に基板保持機構3上まで搬送してきて、基板搬送コンベア2a,2bを降下することにより、基板Kを基板保持機構3上に載置する。また、基板搬送コンベア2a,2bを上昇させることによって、ペースト塗布後の基板Kを基板保持機構3から受け取り、X軸方向に搬送することにより、外部に排出する。なお、図1では図示を省略したが、基板K上には、図5(a)のようなY軸方向に平行な複数のリブRaや図5(b)のような格子状のリブRbが形成されている。
【0032】
θ軸移動テーブル4は、基板保持機構3をθ軸中心で回転させ、搬入された基板のθ方向の位置合わせを行う。Y軸移動テーブル5a,5bはX軸移動テーブル6をY軸方向に移動させ、Y軸方向の塗布位置を決めるものであり、リニアモータで駆動する構成としているが、リニアモータと支持剛性を確保するための案内機構を備えている。同様に、X軸移動テーブル6は、Z軸移動テーブル支持ベース2及び塗布ヘッド7をX軸方向に駆動させることで基板上のX軸方向の塗布位置を決めるものでリニアモータにより駆動する構成としているが、リニアモータと支持剛性を確保するための案内機構を備えている。このX軸移動テーブル6及び、Z軸移動テーブル支持ベース2を駆動して、ノズル18の基板上の塗布位置を変化させることができる。
【0033】
また、モニタ10は運転状態の表示や図示しない画像認識カメラで捉えた画像入力状態を映し出し、キーボード11は主制御部8で用いる各種運転データの入力や装置の操作を行うものである。また、キーボード11からの入力データなどは、図示していない副制御部の記憶装置であるハードディスクやフロッピディスクなどの記憶媒体に記憶保管される。また、シリンジ等の加圧制御に用いられる空圧ユニット9が、架台1の下部に配置されている。
【0034】
架台1上には、図1には図示してない位置決め用の画像認識カメラ40a,40bが2台設置されており、基板Kにパターンニングされた位置決めマーク位置を読み取り、θ軸移動テーブル4によって基板Kの辺縁をX,Y各軸に平行になるようにすると共に、基板Kの基板保持機構3上における位置を確認する。また、これら画像認識カメラが塗布ヘッド7の移動域と干渉する場合には、基板保持機構3の下部に画像認識カメラを設置し、基板保持機構3を透過して画像認識位置決めをするようにしてもよい。あるいは、シリンジ保持ベース14(図2)に画像認識カメラを搭載し、基板保持機構3によって保持されている基板Kの位置合わせマークやペースト塗布パターンの形状を認識しても良い。又は後述するノズル詰まり検知機構83にてノズル詰まりを認識しても良い。なお、画像認識カメラを位置合わせマークの数だけ設置しても良い。
【0035】
図2を用いて塗布ヘッド7の構成を説明する。Z軸移動テーブル支持ベース2に搭載されたZ軸移動テーブル21にシリンジ保持ベース14が取り付けてある。このシリンジ保持ベース14に複数のノズル18が取り付けられたシリンジ17が設置されている。Z軸移動テーブル21に設けられたZ軸駆動モータ20の正逆回転により、シリンジ保持ベース14及びシリンジ17とノズル18が上下移動する。尚、このシリンジ17のシリンジフタ12には、シリンジ17内に充填されたペーストをノズル18にて塗布するための空圧供給配管13と、シリンジ内にペーストを供給するペースト供給配管15、及びシリンジ内充填ペーストの量を検出ための液面検知センサ16が設置されている。Z軸移動テーブル21には、Z軸駆動モータ20の正逆転運動をZ軸方向に変換するためのボールネジ等の機械要素と案内機構を内蔵している。また、シリンジ保持ベース14内には、ノズル18の位置(XYZ方向)を調整するためのノズルシリンジ校正機構のアクチュエータ
14a〜14hと距離センサ19が内蔵してある。ノズルシリンジ校正機構は、シリンジ保持ベース14に対するシリンジ17の位置を、XYZ方向に微調整するために、シリンジの前後,左右,上下に略対称にアクチュエータを配置した構成としてある。
【0036】
図3にノズルシリンジ校正機構を示す。図3に示すように、シリンジ保持ベース14には、塗布ヘッド7内のシリンジ17及びノズル18を、自由度(X,Y,Z,θX,θY,θZ )の6方向に微小移動が可能なノズルシリンジ校正機構のアクチュエータ14a〜
14h(図3(a),(b)参照)を設けてある。後述するノズル18のZ軸方向高さ位置校正時にアクチュエータ14a〜14hを駆動する。すなわち、架台1側に設けたノズルの高さ位置校正機構80と連動してノズル位置を校正するようになっている。ノズルシリンジ校正機構は、駆動源としてシリンジ保持ベース14側に圧電素子を取り付け、その圧電素子にボールベアリングを設け、シリンジに接触する部分が点接触できるように構成したものである。図3(a)に示すように、アクチュエータ14a,14bを駆動すると、最大tの量だけシリンジ17をY方向に移動でき、アクチュエータ14c,14dを駆動するとX方向に最大wだけシリンジ17を移動することができる。また、図3(b)に示すようにZ軸方向はアクチュエータ14e〜14hを駆動して調整できるようにしてある。図に示すように、各方向調整用のアクチュエータは略対象位置に同じ構成のものを配置することで回転方向の調整が可能としてある。なお、本実施例では駆動源に圧電素子を設ける構成としたが、シリンジ保持ベース14に取り付けられ、微小移動を可能とするものであれば、これに限定されるものではない。
【0037】
図4にシリンジフタに設けた空圧供給配管13やペースト供給配管15の本数や径を変えた場合の例を示す。シリンジフタ12に設けた空圧供給配管13は、ペーストの高粘度特性に起因する吐出応答遅れを解消するために、極力流路断面を大きく、かつ図示しないペースト吐出のための印圧を制御するレギュレータ及び空圧バルブは、高速で大流量を流せるものが望ましい。図2の実施例では、3つの空圧供給配管13を設けた事例を示しているが、空圧応答性やシリンジ内の圧力バランス等を考慮すれば、配管本数や配置を変更してもよい。図4(a)には空圧供給配管を9本設けた例を示す。図4(b)には、空圧供給配管13を13本設けた例を示す。このように空圧供給配管を多くすることで、シリンジ内に供給する圧を場所によって不均一とならない様にすることが可能である。図4
(c)には、空圧供給配管13を1本にし、ペースト供給配管15を径の大きな配管として、ペーストの供給量を多くできるようにしたものである。
【0038】
また、シリンジフタ12に設置された液面検知センサ16は、シリンジ17内のペーストの残量を検知する。液面検知センサによってペーストの残量が基準量よりも減少しているとわかった場合には、図6に示すように、ペーストタンク28からバルブ29及びペースト供給配管15を介して、ペーストがシリンジ17内に圧送される。また、ペーストの供給を行わない場合には、バルブ29により上記のペースト供給経路が遮断されている。
【0039】
ノズル18はペースト吐出口18A(以下単に吐出口と称する場合もある)を有し、ペースト吐出口の形状は、基板Kに繰り返し塗布を実施する場合に、ペーストの塗布開始から塗布終了時まで塗布量を安定にするため、ノズル18の母材から突出させた方が望ましい。そのため、ペースト吐出口18Aの形状を円錐型や、図8(a)〜(c)のように、矩形型や円柱型、さらにペースト吐出口部に切欠きを入れた形状のものなど各ペースト吐出口が独立分離される形状とすると良い。
【0040】
また、塗布するペーストは、一般的に高粘度のものが多いため、ノズル18のペースト吐出口18Aの表面にペーストの離形性をよくするための均一膜厚の撥水処理(コーティング;図示せず)を施すことで、繰返し連続塗布時のペースト塗布形状を安定させることが可能となる。
【0041】
図9にノズル高さ位置校正機構の断面図を示す。高さ位置校正機構80の一例として、図9(a)に、ノズル18のペースト吐出口18Aを全て内包できる凹部を備え、ノズル18の端部が高さ位置校正機構80と接触する部分(高さ位置校正機構80の両端部側)に感圧センサを設けた構成を示す。又図9(b)には他の例として、凹部を設けずに、ノズル18に設けてある複数のペースト吐出口18Aのうち、両端部の吐出口が高さ位置校正機構80に接触する部分に感圧センサ80Aを設けたものである。
【0042】
高さ位置校正機構80を用いてノズルの高さ位置の調整は、ペースト吐出口18Aの先端部が潰れないようにノズル18の平坦な面、あるいはノズル先端部保護リブ18Bを高さ位置校正機構80の面に突き当てて、基板保持機構3ないし基板Kと対向させた際に平行となるようにノズルシリンジ校正機構のアクチュエータ14a〜14hを動作させて調整する。その際後述する距離センサ19とのZ軸方向の高さ位置も合わせて校正する。尚、ノズル先端部(ペースト吐出口18A)とノズル先端部保護リブ18Bの高さは略均一とするが、強いて述べるならば、[ペースト吐出口18Aの高さ]≦[ノズル先端部保護リブ18Bの高さ]が望ましい。または、図9(a)のように凹部を備えた形態であれば、ノズル18にノズル先端部保護リブ18Bを形成しなくても構わない。
【0043】
次に、ノズル18のZ軸方向の高さ位置校正動作の終了タイミングは、高さ位置校正機構80のノズル平面部と接触する箇所に設けた感圧センサ80A(感圧センサ80Aは、高さ位置校正機構の端部側にX及びY方向に対称に設置してある)にノズル平面部が接触し、かつ、塗布ヘッド側に設けた距離センサ19が高さ位置校正機構面を認識出来た際に、校正動作を終了するものとする。なお、シリンジ17及びノズル18は、シリンジ清掃やノズル交換のために取り外すと、次に取り付けた際にノズル18の吐出口が図示していないノズル固定用ネジの締め付け具合の違いや、シリンジ保持ベース14とシリンジ17、及びシリンジ17とノズル18との接合部の摩耗等により、必ずしも元の理想的な位置にはならない。シリンジ保持ベース14に設けたノズルシリンジ校正機構のアクチュエータ14a〜14hは、それぞれ対角に対向する機構同士がX,Y,Z方向に微小伸縮移動することにより、シリンジ17及びノズル18の傾きを調整し、ペースト吐出口がペーストを塗布する基板Kの主面方向に平行かつ垂直となるように駆動される。尚、感圧センサ80Aは非接触式の変位センサでも構わない。また、塗布ヘッド7に設けた距離センサ
19が、校正機構面を認識出来れば、感圧センサ80Aを設置しなくても構わない。
【0044】
また、吐出口18Aは、基板K上面の塗布パターンに合わせて配置しており、隣接する吐出口18A中心間の間隔Pは大体0.1(0.6)〜1.2mm 程度である。本実施例では、図7(a)に約256個のペースト吐出口を有するノズル18を、図7(b)に2つのノズルをつなぎ合わせた例を示している。尚、ノズル18はX軸方向に形成されたノズル列を挟んで、ノズル先端部保護リブ18Bが設けてある。このとき、ノズル18の接合部18Cは、吐出口18Aが連続配置された任意の中間位置にて接合することが望ましい。なお、接合により形成されるノズル18の部品本数、すなわち[接合部18Cの数+1]は、幾つでも構わない。図7(c)にはノズル先端部保護リブ18B間に3列の吐出口を設けた例を、図7(d)には図7(c)のノズルを接合部18Cでつなぎ合わせた場合の構成を示してある。
【0045】
その他の例として、複数列の吐出口18Aを有し、隣接する吐出口間隔を狭めて配置する構成や、同じく複数列の吐出口を、列毎にX軸方向に吐出口位置をずらして配置する、すなわち千鳥状にペースト吐出口を配置する構成等が実現できる。なお、ノズル間の接合には、溶接や接着剤を用いる方法等も考えられるが、摩擦拡散接合方法を用いることで高精度の接合が行える。尚、基板Kの表示領域を網羅するノズル18の母材としては、熱伸び等の影響が少ない低熱膨張材を使用することが望ましい。
【0046】
尚、この実施例は、プラズマディスプレイパネルでの蛍光体ペースト1色分やブラックストライプ,電極,バリアリブなどの塗布に関するものであるが、例えば、蛍光体を同時に3色分形成する工程などにこの実施例を使用する場合には、シリンジ17をシリンジ保持ベース14内に3つ搭載して、各色の塗布ペーストのパターン順にノズル18の配列方向を基板K上のリブRaの長手方向に直交するように配置して塗布する方法も可能である。なお、ノズル18のペースト吐出口18A間隔を狭たり、ペースト吐出口を千鳥配置したものは、主に打点(間欠)塗布に適しており、基板Kに連続してペーストを塗布する図7(a)〜(d)の場合と同様、一回の塗布で所望の吐出量を満たさない場合は、同一ペーストで粘度やチクソ値などの物性値を調整したペーストを順次積層していく塗布方法も可能である。
【0047】
また、塗布するペースト内には、一般的に高硬度の微粒子(粒径約数μm)が含有されており、繰返しペーストを連続吐出した際、ノズル18の吐出口18Aの内部表面と微粒子が接触することにより、吐出口18Aが微粒子による摩耗のために、ノズル18の吐出口径が拡大することが、本発明者らの試験でわかっている。そのため、ペースト吐出時にペーストの離形性がよく、かつペースト含有の微粒子に対して、強度の強い(耐摩耗性のある)均一な膜厚のめっき薄膜処理(コーティング;図示せず)を施すことで、ペーストの塗布形状を安定させ、かつノズル18の使用寿命を永くすることが可能となる。
【0048】
尚、実際に塗布を行う際に、図7 (b),(d) では接合部18Cからのペーストの漏れが危惧されるが、前述のように一般的にパネル形成塗液の粘度特性は高く、接合部18Cに隙間がない、またごく微小な隙間(数十μm以下)であれば、ペースト漏れが発生しないことを、本発明者らは確認している。
【0049】
距離センサ19は、ノズル先端部(吐出口18A)から基板K(図1)の表面(上面)までの距離を計測するものである。すなわち、基板Kの表面からの反射光の受光量を検出して、受光量の違いから距離を算出するものである。即ち、距離センサ19は内部に発光素子と受光素子とを備えており、この発光素子から放射されたレーザ光が基板K上の計測点で反射されて、その反射光を受光素子で受光し、発光素子の発光量と受光素子の受光量との比率から距離を算出する。距離が短い場合には、この比率が高く、距離が長ければ、この比率は下がる。また、基板K上でのレーザ光の計測点(反射点)と各ノズル18の吐出口18Aの直下位置とは、基板K上で水平方向に多少(10〜100μm程度)距離が離れている。しかし、この僅かな距離のずれでは、基板Kの表面の凹凸に大幅な誤差はないので、距離センサ19の計測結果をノズル18の先端部から基板Kの表面(凸部上面)までの距離としても問題はない。
【0050】
また、図示していないペースト回収機構81は、後述するノズル詰まり検知機構83において、ノズル18の詰まりを検知した際には、シリンジ17をペースト回収機構81上に移動し、シリンジ17内に高圧を加圧して、ペースト吐出口よりペーストを吐出させ、詰まりを解消させる為のものである。尚、ペースト内には粒径数μm程度の凝集し易い微粒子が無数に分散しており、またシリンジ17とノズル18の間には、図示しないノズル詰まり防止用のメッシュが取り付けてあり、ペースト内のゲル状の固形分や塵埃等は拿捕される。さらに、ペースト回収機構81において吐出されたペーストは、シリンジ17へペーストを供給するペーストタンク28(図6)に戻して、再利用しても構わない。
【0051】
さらに、ノズル清掃機構82は、基板Kへの塗布前後や、上記の詰まり解消の吐出後に、ノズル先端部18Aに付着したペーストを綺麗に拭い去る機構である。本実施例では、本機構部に持続吸収性の良いスポンジを設置し、塗布ヘッド7をZ軸方向に約1mm程度繰り返し上下動作をさせながら、かつY軸もしくはX軸方向に微小ピッチずれながらスポンジにノズル先端部18Aを押し当て、先端部に付着したペーストを吸収させるものである。尚、ノズル清掃機構82としては、粘着テープに繰り返し接触後に、使用済みテープを自動で巻き取らせる方式や、掃除機のように吸込み方式の機構などを用いても構わない。
【0052】
ノズル詰まり検知機構83は、基板Kへの塗布前や、基板保持機構3から搬出されたペーストが塗布された基板Kを画像認識カメラで撮像し、画像処理して検査するものである。この外観検査結果により、ノズル18からのペースト吐出量が所望量得られているか否かを確認するものである。本実施例では、ノズル18からペーストを塗布させるステージと、図示しない塗布されたペーストの形状を確認する画像認識カメラ、及び形状確認後のペーストを清掃する図示しないペースト清掃機構を有している。尚、画像認識カメラは、基板Kの位置決め用カメラを用いても構わないし、又は、専用の画像認識カメラをシリンジ保持ベース14に搭載しても良い。
【0053】
図6は、図1に示した実施例の制御系統及び配管系統の一具体例を示す構成図である。主制御部8の内部にはマイクロコンピュータ8aが設けてありデータバス8eを介して、画像入力部8b,外部インタフェース部8c,駆動制御部8dが接続されている。駆動制御部8dにはサーボモータ31〜34、及びエンコーダ35〜39,シリンジ校正機構のアクチュエータ14a〜14h等が接続されている。又画像入力部8bには位置決め用の画像認識カメラ40a,40bや塗布されたペーストの形状を確認するための画像認識カメラ24が接続されている。また、外部インタフェース部8cには、モニタ10やキーボード11の他に、距離センサ19や外部パソコン47が接続されている。さらに外部インタフェース部8cには、正圧調整器43,負圧調整器44が接続されている。
【0054】
シリンジ17には、ペーストタンク28から配管15によりバルブ29を介してペーストが供給される。また、シリンジ17には空圧供給配管13が接続され、正圧源41又は負圧源42から正圧調整器43、又は負圧調整器44を経由しバルブユニット45を介して正圧又は負圧が供給される。
【0055】
同図において、リニアモータ33,34は夫々Y軸移動テーブル5a,5b(図1)を駆動するものであり、リニアモータ32はX軸移動テーブル6(図1)を駆動するもの、サーボモータ31はθ軸移動テーブル4(図1)を駆動するものである。また、エンコーダ35〜39は夫々上記各モータの位置を検出するものである。さらに、アクチュエータ14a〜14hは図3に記載のシリンジ保持ベース14に搭載されたノズルシリンジ校正機構の駆動源である。尚、外部パソコン46やプリンタ47は適宜に接続されるものである。
【0056】
なお、図6では、図1における主制御部8やシリンジ17の空気圧の制御系、塗布ヘッド7の制御系の一具体的構成例を示すものであるが、同図において主制御部8は、基板搬送コンベア2a,2bの駆動制御系も含むが、ここでは図示していない。さらに、マイクロコンピュータ8aは、図示しないが、主演算部や運転処理プログラムを格納したROM、主演算部での処理結果の他、主制御部8に接続された各機器からの入力データや装置の運転条件データを格納するRAM,データをやりとりする入出力部などを備えている。
【0057】
また、適宜に接続される外部パソコン47やキーボード11、あるいは図示しないネットワークなどから塗布形状データと塗布条件データなどの運転条件データと、装置から転送される基板Kの生産枚数などの生産管理データなどが入力される。入力された各種データは、マイクロコンピュータ8a内のRAMから外部パソコン47内のハードディスクなどの図示しない内部記憶媒体とフロッピディスクなどの外部記憶媒体に記憶保管され、操作者の指示により、そのうちの任意の情報をプリンタ46から印刷することが出来る。
【0058】
キーボード11や外部パソコン47や図示しないネットワークなどから入力されるデータに基づいて、Y軸移動テーブル5a,5b上に配置されたX軸移動テーブル6がリニアモータ33,34によって駆動され、X軸移動テーブル6上に配置したZ軸移動テーブル支持ベース2がサーボモータ32によって駆動され、Z軸移動テーブル21上のZ軸駆動モータ20を駆動することにより、負圧源42から分配した負圧によって基板保持機構3に真空吸着、もしくは治具で固定された基板Kに対し、ノズル18がシリンジ保持ベース14(図2,図3)を介してX,Y,Z軸方向に任意の距離を移動する。そして、その移動中、マイクロコンピュータ8aがバルブユニット45を制御することにより、正圧源
41から正圧調整器43とバルブユニット45とを介して、シリンジ17に僅かな空気圧が印加され、吐出口18Aからペーストが吐出されて、基板Kに所望のパターンで塗布される。
【0059】
また、入力されたデータに基づいて、各モータ20,32,33,34が駆動され、基板Kに対して、ノズル18がX,Y,Z軸方向に任意の距離を移動する。なお、基板Kは負圧源42から分圧した負圧によって、基板保持機構3に吸引吸着、若しくは治具で固定される。そして、その移動中マイクロコンピュータ8aがバルブユニット45を制御して、正圧源41から正圧レギュレータ43とバルブユニット45とを介して、シリンジ17に僅かな空気圧を印加する。この空気圧により、ノズル18のノズル先端部18Aから蛍光体ペーストPが吐出され、基板Kに所望のパターンを塗布する。
【0060】
図10は、図1に示した、ペースト塗布機のペースト塗布動作の一具体例を示すフローチャートで、基板Kはパネル組立時の表示部が多数ある多面取り仕様のものとする。
【0061】
同図において、まず電源が投入され(ステップ100)、次いで装置の初期設定工程が実行される(ステップ200)。
【0062】
この初期設定では、Y軸移動テーブル5a,5b及びX軸移動テーブル6(図1)により、塗布ヘッド7上のZ軸を設けたZ軸移動テーブル支持ベース2をX軸方向に移動させる。これにより、ノズル18のペースト吐出口が蛍光体ペーストの吐出開始位置(ペースト塗布開始点)に移動される。ノズル18がペーストパターン描画の対象とする基板K上の予め決められた基準位置に位置決め(原点位置に設定)されると、この基板Kに塗布する1以上のペーストパターン毎のデータ(ペーストパターンデータ)や基板Kの位置データ、基板Kに実際にペーストを塗布するときの基板Kとノズル18との間の相対速度(かかる相対速度を塗布速度というが、特にこの場合の塗布速度を初期設定塗布速度という)、基板Kの表面からのノズル18吐出口までの高さ(これは、上記のノズル18と基板K間の距離に等しく、基板Kの表面に描画されるペーストパターンの高さを決めるものであるから、以下塗布高さというが、特にこの場合の塗布高さを初期設定塗布高さという)、ノズル18からのペースト吐出量を決めるシリンジ17に印加される圧力(この圧力を塗布圧力というが、特にこの場合の塗布圧力を初期設定塗布圧力という)などのデータ、さらにはペースト吐出終了位置を示す位置データや塗布したペーストパターンの計測位置データなどの設定が行われる。なお、本実施例では基板Kには図5に示すリブRa又はリブRbが設けてあり、ペーストはこのリブ間に塗布するもので、塗布高さは基板面からの高さを言う。これらのデータは、キーボード11(図1,図6)から入力され、入力されたこれらのデータは、マイクロコンピュータ8a(図6)に内蔵されたRAMに格納される。
【0063】
初期設定動作(ステップ200)が終了すると、次に基板Kを基板保持機構3(図1)に搭載して吸着保持させる(ステップ300)。
【0064】
この基板搭載動作では、図1において、基板搬送コンベア2a,2bによって基板Kが外部からX軸方向に基板保持機構3の上方まで搬入され、図示しない昇降手段によってこれら基板搬送コンベア2a,2bを下降させることにより、基板Kが基板保持機構3上に載置される。この間、ノズル18は、ノズル清掃機構82において、(I)ペースト吐出口18Aを清掃したり、(II)ノズル詰まり検知機構83にて、ペースト吐出口18Aから塗布されたペーストの状態を画像で確認し、ペースト吐出口の詰まりを検知する。また、詰まりが確認された場合には、ノズル18は、ペースト回収機構81にて詰まり解消のためのペースト吐出と、ノズル詰まり検知機構83では図示しないノズル詰まり検知機構83専用の清掃機構で、ノズル部のペーストが除去される。上記(I),(II)の動作を繰返し、マイクロコンピュータ8aに設定された装置運転条件リミットまで動作を実施する。
【0065】
次に、基板Kの予備位置決めが行われる(ステップ400)。
【0066】
この処理では、図1において図示しない位置決めチャックにより、基板KのX,Y軸方向の粗い位置合わせが行われる。そして、基板保持機構3に載置された基板Kの位置決め用マークを画像認識カメラ40a,40b(図6)で撮影し、それを画像処理して基板Kのθ方向での傾きを検出し、この検出結果に応じてサーボモータ31(図6)でθ軸移動テーブル4を駆動することにより、このθ方向の傾きも補正してX,Y軸方向に対する正確な位置合わせが行われる。
【0067】
次に、ステップ400で位置決めされた基板Kのθ方向の向きを、サーボモータ31
(図6)でθ軸移動テーブル4を駆動することにより、ずらし設定角度Δθだけ僅かにずらす処理を行う(ステップ500)。
【0068】
この処理では、基板Kのθ方向の向きを僅かにずらすことにより、距離センサ19の計測ポイント位置を、数十μmといった細かいリブRaの頂上位置に厳密に合わせなくとも、必ずリブRaの頂上を検出出来るようにするのが目的である。これは、リブRaの頂上の高さ変化を検出し、これによって基板Kのうねりを検出するものである。
【0069】
発明者らの試験では、図5(a)、または図14において、リブRaの長さが500mmであるとき、基板Kのθ方向を1°傾けた状態として、Y軸方向に500mmたどる走査を行うと、約30回リブRaの頂上を検知出来ることが分かっている。勿論、リブRaの間隔やうねり検出の要求精度に応じて、このずらし設定角度Δθを調整すると良い。
【0070】
次に、基板Kのうねり計測処理を行う(ステップ600)。これを図11により説明する。
【0071】
まず、ノズル18によるペースト塗布位置と距離センサ19の計測点とが離れているために、距離センサ19の計測点がノズル18による塗布位置(塗布時のノズル位置)になるように、Y軸移動テーブル5a,5b及びX軸移動テーブル6により、距離センサ19の水平方向の位置決めをして、この位置ずれ補正のためのオフセットを与える(601)。
【0072】
次に、Z軸移動テーブル21(シリンジ保持ベース14)を下降させて、距離センサ
19をその計測可能範囲内まで下降させることにより、距離センサ19の高さ方向の位置決めを行う(ステップ602)。
【0073】
次に、ステップ200で読み込み設定されているペーストパターンデータによる移動経路に沿って、距離センサ19の計測点が移動、即ち走査するように、Y軸移動テーブル
5a,5b及びX軸移動テーブル6を駆動し、この距離センサ19による基板のうねり計測動作を開始する(ステップ603)。
【0074】
計測動作中に得られる距離センサ19の計測結果は、マイクロコンピュータ8aに内蔵されたRAMに格納される(ステップ604,605)。尚、上記のように、基板Kを正規の向きに対して上記のずらし設定角度Δθだけ傾けたことにより、基板K上での距離センサ19による計測点のθは僅かな値であるため、距離センサ19による計測点の経路で検出されるうねり量は、実際に形成されるペーストパターンの経路でのうねり量とほぼ一致する。
【0075】
以上の処理を、ペーストパターンデータによる終点に距離センサ19による計測点が到達するまで(ステップ606)ステップ604,605の動作を繰り返し、計測を継続する。そして、この終点に到達すると(ステップ606)登録されている次のペーストパターンデータに基づいて、上記のステップ601からの次の計測動作を行い、登録されている全ペーストパターンの高さ検出が終了するまで、このうねり計測動作を繰り返す(ステップ607)。
【0076】
次に、図10において、ステップ600での以上の計測によって得られた全ペーストパターンデータに対するうねりデータは、変換処理される(ステップ700)。以下、この変換処理について説明する。
【0077】
図12(a)は、図11に示す上記のうねり計測で得られたうねりデータを模式的に示すものであって、夫々の頂点が基板KのリブRaを計測することによって得られたものである。
【0078】
基板KはリブRaによって凹凸しており、ステップ500でθ方向に基板を回転させてリブRaをY軸方向から傾け、距離センサ19の計測経路がこのリブRaを横切るようにしたため、得られたうねりデータは、乱れたものとなっている。このため、高さの制御データとしては不適当であるが、凸部(リブRa)の頂点をピークとして捉えることが出来ている。尚、基板K上の凸部や凹部のエッジ部などでは、レーザ光L1(図14)が遮られるため、うねりデータにノイズ状のデータが含まれる場合もある。
【0079】
かかるうねりデータは、フィルタ処理を施すことにより、高さの制御データとして利用できるように変換する。
【0080】
変換の手順は、まずこのうねりデータに移動平均処理を行い、図12(b)のようなデータに変換する。次に、しきい値を設け、それより低い値のデータを削除する。図12
(b)に示すデータに対し、リブRaの高さを0.1mm、しきい値を0.05mmとしたときの処理結果を図12(c)に示す。
【0081】
次に、このように処理されたデータを、Y軸方向,X軸方向にリブRaを横切る周期を1ブロックとして、ブロック毎に頂点のデータを抽出し、それらを補間処理することにより、図12(d)に示すような基板KでのリブRaのうねりデータが生成される。
【0082】
このうねりデータはペーストを塗布する際に、ノズル18の高さを制御するための制御データとして用いることができる。即ち、この高さの制御データからペーストパターンデータによるペーストの塗布経路上でのうねりによるノズル18の高さ変更点の座標位置が設定され、ノズル18がこの座標位置に到達すると、このうねりデータを元にノズル18、基板K間の距離(ギャップ)を変更するものである。この場合、かかるノズル18の高さの変更は、この高さ変更点の座標位置直前に対する高さの制御データとこの高さ変更点の座標位置に対する高さの制御データとの差に応じたものである。
【0083】
図10において、以上のステップ700のデータ変換処理が終了すると、ステップ500でずらし設定角度Δθだけθ方向に回転させた分、基板Kを元のθ方向に戻す。即ち、ステップ400で実行された位置決めの状態に基板Kを戻し、基板K上のリブRaの長手方向とこの基板Kでのペースト塗布方向とが所定の関係となるようにする(ステップ800)。
【0084】
そして、次に予め設定された塗布順序が1番目のペーストパターンデータから順番に、ペーストのパターン塗布が行われる(ステップ900)。このパターン塗布処理を図13により説明する。
【0085】
同図において、まず塗布条件の設定が行われる(ステップ901)。即ち、マイクロコンピュータ8a(図6)に内蔵のRAMには、塗布条件の設定のための記憶テーブルがあるので、塗布描画すべき第1番目のペーストパターンの塗布条件として、塗布速度や塗布圧力,塗布高さのように設定される。このような設定を最終番目のペーストパターンのものまで行う。他に、塗布パターン移動データや開始点座標,終点座標,サックバック圧力(ノズル先端に溜まったり、垂れているペーストをノズル内に吸引させる負圧力)、塗布終了後のノズル上昇量などが設定される。これらの設定は、図10のステップ200で予め初期設定された諸データから塗布に必要なものを選択し、それらを塗布条件としてRAMの記憶テーブルに写し替えるものである。
【0086】
次に、設定された塗布開始位置にノズル18のペースト吐出口を位置付けるために、Y軸移動テーブル5a,5bやX軸移動テーブル6を駆動し(ステップ902)、Z軸移動テーブル支持ベース2(図2)を移動させて、描画(塗布)開始点上にノズル18を移動させる。
【0087】
次に、Z軸駆動モータ20(図2)により、ノズル18の高さの設定を行う(ステップ903)。この設定される高さは、既にRAMに記憶された塗布高さであり、ノズル18,基板K間のギャップがこの塗布高さに等しくなるようにするものである。
【0088】
以上の処理が終了すると、次にマイクロコンピュータ8a内のRAMに格納されているペーストパターンデータに基づいてY軸移動テーブル5a,5bやX軸移動テーブル6が駆動され、これによりノズル18のペースト吐出口が、基板Kに対向した状態で、このペーストパターンデータに応じて、X,Y軸方向に移動する(ステップ904)。
【0089】
また、図6において、正圧源41からシリンジ17に正圧調整器43によって塗布圧力に調整された空気圧がバルブユニット45を介して印加され、ノズル18のペースト吐出口からペーストが吐出し始める(ステップ905)。
【0090】
このとき、ペーストが吐出する直前に負圧源42からシリンジ17に負圧調整器44によってサックバック圧力に調整された負圧を、バルブユニット45を介して僅かな時間印加し、ノズル18のペースト吐出口に溜まったペーストを吸い込む。これにより、ペーストパターンの始端部でペーストの溜まりが生じることなく、ペーストの塗布ができる。
【0091】
この塗布描画動作の開始と共に、マイクロコンピュータ8aは、Y軸移動テーブル5a,5b及びX軸移動テーブル6の座標位置からノズル18の位置を監視する。そして、ステップ700で得られたうねりの制御データによって設定される高さ変更点であるかどうかの座標判定を行っている(ステップ906)。
【0092】
この高さ変更点の座標位置になると、マイクロコンピュータ8aは、RAMからこの座標位置直前の高さの制御データと、この座標位置での高さの制御データとを読み取る(ステップ907)。読み取った制御データに基づいて、Z軸駆動モータ20を駆動することにより、上記のようにこれら高さの制御データの差に応じた分、ノズル18の高さを制御する。これにより、基板Kの表面からのノズル18の設定高さが一定、即ち設定した塗布高さになるようにして、ペーストパターンの塗布描画を行う(ステップ908)。尚、基板Kのリブ底部からノズル18のペースト吐出口先端表面部までのギャップの設定量としては、リブ高さの1.2〜5倍程度が好ましい。
【0093】
このようにして、ペーストパターンの塗布描画が進むが、ペーストパターンの塗布描画動作を継続するか、終了するかの判定は、塗布点がペーストパターンデータによって決まる塗布すべきペーストパターンの終端であるか否かの判断によって決定され(ステップ
909)、終端でなければ、ステップ906,909の動作(高さ変更点でない場合)、或いはステップ906〜909の処理動作を実行し、ペースト塗布が継続する。
【0094】
その後、ペーストパターンの塗布終端に達すると(ステップ909)、次に図6において、正圧源41からシリンジ17に正圧調整器43によって塗布圧力に調整された空気圧のバルブユニット45を介した印加を停止し、ノズル18のペースト吐出口からのペースト吐出を停止する(ステップ910)。
【0095】
そして、Z軸駆動モータ20を駆動して、予め設定された上昇量分だけ、ノズル18を上昇させる(ステップ911)。
【0096】
以上のステップ901からステップ913までのペーストパターン塗布動作は、設定されたペーストパターンデータの全てが使い切るまで、即ち塗布すべき全てのペーストパターンが塗布し終わるまで行われ(ステップ913)、最後のペーストパターンの終端に達すると、パターン塗布(ステップ900)を終了させる(ステップ913)。
【0097】
以上のようにして、1つの基板Kでのペーストパターンの塗布描画が終了すると、図
10において、基板排出処理(ステップ1000)に進む。即ち、図1において、基板Kの基板保持機構3での吸着が解除され、基板搬送コンベア2a,2bをY方向に移動させることにより、基板Kを装置外に排出する。尚、この時に塗布ヘッド7に搭載された液面検知センサ16において、シリンジ17内のペースト残量が減少したことを検知した場合に、ペーストタンク28からバルブ29及びペースト供給配管15を介して、シリンジ
17内にマイクロコンピュータ8aに設定された供給量分だけペーストが圧送される。
【0098】
そして、以上の全工程が終了したか否かを判定し(ステップ1100)、複数枚の基板Kに同じペーストパターンデータを用いてペーストパターンを塗布描画する場合には、別の基板Kに対して基板搭載処理(ステップ300)に戻り、以上説明した動作(処理)が繰り返される。
【0099】
そして、全ての基板Kについてかかる一連の処理が終了すると、作業が全て終了となる(ステップ1200)。
【0100】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。例えば、基板Kはパネル組立時の表示部が一面のものでも良い。
【0101】
また、例えば、上記実施例では、ペーストパターンの描画時では、ノズル18が可動で基板Kを固定としたが、本発明はこれに限るものではなく、ノズル18を固定として、基板Kを可動としても良い。
【0102】
また、基板Kの搬送方法としては、基板搬送コンベア2a,2bによってX軸方向に基板保持機構3の上方まで搬送されるものとしたが、基板搬送コンベア2a,2bをY軸方向に平行に配置し、基板KをY軸方向に搬送するようにしても良い。また、ノズル18の清掃やノズルの詰まり検知についても、基板搬出時に実施しても良い。
【0103】
また、上記実施例では、うねり計測時には、基板Kをθ方向にずらしてうねり計測を行ったが、距離センサ19を走査方向に対して直交するX軸方向に微小距離ずつ移動させる移動機構を設け、距離センサ19によって図10のステップ600の動作を行う場合には、かかる移動機構により距離センサ19をその走査方向に対して直交する方向に微小距離ずつ移動させることにより、ペーストパターンを形成するためのペースト塗布経路の近傍で、かつこのペースト塗布経路に斜めの経路を辿って走査を行うようにしても良い。また、図2において、距離センサ19は1台しか記述してないが、2台以上搭載し、各々の計測データを平均化したものにて、塗布を実施しても良い。
【0104】
また、上記実施例では、図5(a)に示すようなストライプ状のリブRaの基板Kに線引き塗布を行う場合を例に説明したが、図5(b)に示すような井桁状のリブRbの基板を線引き動作でうねりを計測し、得られたうねりデータに基づいてノズル18と基板Kとのギャップが設定高さになるように、ノズル18の塗布高さ出しを行い、リブRbで囲まれた領域毎に打点塗布動作を行うようにしても良いし、さらに処理時間を短縮するために、かかるストライプ状リブRaの基板Kに線引き塗布を行うようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明によるペースト塗布機の一実施例の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1における塗布ヘッド部の部分を拡大して示す斜視図である。
【図3】図2に示す実施例でのノズルシリンジ校正機構の一具体例を示す図である。
【図4】図2に示す実施例での空圧供給配管の一具体例を示す図である。
【図5】図1に示す実施例での基板の具体例を示す斜視図である。
【図6】図1に示した実施例の制御系の一具体例を示すブロック図である。
【図7】本発明におけるペースト塗布機のノズルの一具体例を示す図である。
【図8】図7におけるノズル先端部(ペースト吐出口)の一具体例を示す図である。
【図9】図1におけるノズル高さ位置構成機構と図7におけるノズルのZ軸方向高さ位置校正の一実施例を示す図である。
【図10】図1に示した実施例で、ペースト塗布動作の一具体例を示すフローチャートである。
【図11】図10におけるステップ600の一具体例を示すフローチャートである。
【図12】図10におけるステップ700の一具体例の説明図である。
【図13】図10におけるステップ900の一具体例を示すフローチャートである。
【図14】図2に示す距離センサとしての非接触三角測式センサによるノズル,基板間の距離(ギャップ)の計測動作の説明図である。
【符号の説明】
【0106】
1…架台、2…Z軸移動テーブル支持ベース、2a,2b…基板搬送コンベア、3…基板保持機構、4…θ軸移動テーブル、5a,5b…Y軸移動テーブル、6…X軸移動テーブル、7…塗布ヘッド、8…主制御部、8a…マイクロコンピュータ、8b…画像入力部、8c…外部インタフェース部、8d…駆動制御部、8e…データバス、9…空圧ユニット、10…モニタ、11…キーボード、12…シリンジフタ、13…空圧供給配管、14…シリンジ保持ベース、14a〜14h…アクチュエータ、15…ペースト供給配管、
16…液面検知センサ、17…シリンジ(ペースト収納筒)、18…ノズル、19…距離センサ、20…Z軸駆動モータ、21…Z軸移動テーブル、28…タンク、29…バルブ、80…ノズル高さ位置校正機構、81…ペースト回収機構、82…ノズル清掃機構、
83…ノズル詰まり検知機構、K…基板。
【出願人】 【識別番号】000005452
【氏名又は名称】株式会社日立プラントテクノロジー
【出願日】 平成18年7月24日(2006.7.24)
【代理人】 【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所


【公開番号】 特開2008−23471(P2008−23471A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−200174(P2006−200174)