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【発明の名称】 描画装置、液状体の描画方法、配線基板の製造方法
【発明者】 【氏名】白崎 享

【要約】 【課題】ノズルの目詰まりや液状体の飛行曲がりを低減し、且つ液状体の吐出精度の確認ができる描画装置、液状体の描画方法、配線基板の製造方法を提供すること。

【構成】描画装置100は、液状体を液滴として複数のノズルから吐出する吐出ヘッドが搭載されたメインキャリッジ101と、メインキャリッジ101をX軸方向に移動可能なX軸リニアガイド102と、基材1を吐出ヘッドに対向配置すると共にX軸リニアガイド102に対して直交する方向に搬送するテープ搬送機構110と、各部を制御する制御部130とを備えた。テープ状の基材1には複数の描画領域が設けられており、制御部130は、基材1の複数の描画領域のうち少なくとも1つを吐出ヘッドと対向させ、当該描画領域に吐出ヘッドから液状体を吐出する予備吐出を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の描画領域を有するテープ状の基材に機能性材料を含む液状体を吐出描画する描画装置であって、
前記液状体を複数のノズルから液滴として吐出する吐出ヘッドと、
前記基材を前記吐出ヘッドに対向配置し、少なくとも一方向に搬送するテープ搬送機構と、
前記複数の描画領域のうち少なくとも1つが前記吐出ヘッドと対向するように前記テープ搬送機構を駆動制御すると共に、前記液状体を当該描画領域に向けて予備吐出するように前記吐出ヘッドを駆動制御する制御部とを備えたことを特徴とする描画装置。
【請求項2】
前記複数の描画領域のうち少なくとも1つがダミー吐出領域であって、前記ダミー吐出領域がテープ状の前記基材の搬送方向における少なくとも開始端に設けられ、前記制御部は前記ダミー吐出領域が前記吐出ヘッドに対向するように前記テープ搬送機構を駆動制御し、前記ダミー吐出領域に向けて前記予備吐出を行うことを特徴とする請求項1に記載の描画装置。
【請求項3】
前記複数の描画領域のうち少なくとも1つがダミー吐出領域であって、前記ダミー吐出領域がテープ状の前記基材の搬送方向における少なくとも途中に設けられ、前記制御部は前記ダミー吐出領域が前記吐出ヘッドに対向するように前記テープ搬送機構を駆動制御し、前記ダミー吐出領域に向けて前記予備吐出を行うことを特徴とする請求項1に記載の描画装置。
【請求項4】
前記複数の描画領域のうち少なくとも2つがダミー吐出領域であって、前記ダミー吐出領域がテープ状の前記基材の搬送方向における少なくとも開始端と途中とに設けられ、前記制御部は前記ダミー吐出領域が前記吐出ヘッドに対向するように前記テープ搬送機構を駆動制御し、前記ダミー吐出領域に向けて前記予備吐出を行うことを特徴とする請求項1に記載の描画装置。
【請求項5】
前記複数の描画領域のうち少なくとも2つがダミー吐出領域であって、前記ダミー吐出領域がテープ状の前記基材の搬送方向における少なくとも開始端と終了端とに設けられ、前記制御部は前記ダミー吐出領域が前記吐出ヘッドに対向するように前記テープ搬送機構を駆動制御し、前記開始端に設けられた前記ダミー吐出領域に向けて前記予備吐出を行い、前記終了端に設けられた前記ダミー吐出領域には、前記予備吐出を行わないことを特徴とする請求項1に記載の描画装置。
【請求項6】
前記予備吐出では、前記制御部が前記吐出ヘッドの全ノズルから前記液滴を所定の回数吐出することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の描画装置。
【請求項7】
前記予備吐出では、前記制御部が実描画データに基づいて前記吐出ヘッドの複数のノズルから前記液滴を吐出することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の描画装置。
【請求項8】
前記複数の描画領域のうち少なくとも1つを撮像可能な撮像機構を前記基材の搬送方向の下流側に備え、前記制御部が予備吐出の吐出情報と撮像された液状体の着弾画像情報とを元に吐出状態が正常か否かの判定を行うことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の描画装置。
【請求項9】
複数の描画領域を有するテープ状の基材に機能性材料を含む液状体を吐出描画する液状体の描画方法であって、
前記複数の描画領域のうち少なくとも1つを吐出ヘッドに対向させ、前記吐出ヘッドの複数のノズルから前記液状体を液滴として吐出描画する吐出工程と、
前記吐出工程の前に前記複数の描画領域の少なくとも1つに前記吐出ヘッドから前記液状体を液滴として吐出する予備吐出工程とを備えたことを特徴とする液状体の描画方法。
【請求項10】
前記複数の描画領域のうち少なくとも1つがダミー吐出領域であって、前記ダミー吐出領域がテープ状の前記基材の搬送方向における少なくとも開始端に設けられ、前記予備吐出工程では、前記ダミー吐出領域と前記吐出ヘッドとを対向させ、前記ダミー吐出領域に向けて前記吐出ヘッドから前記液状体を液滴として吐出することを特徴とする請求項9に記載の液状体の描画方法。
【請求項11】
前記複数の描画領域のうち少なくとも1つがダミー吐出領域であって、前記ダミー吐出領域がテープ状の前記基材の搬送方向における少なくとも途中に設けられ、前記予備吐出工程では、前記ダミー吐出領域と前記吐出ヘッドとを対向させ、前記ダミー吐出領域に向けて前記吐出ヘッドから前記液状体を液滴として吐出することを特徴とする請求項9に記載の液状体の描画方法。
【請求項12】
前記複数の描画領域のうち少なくとも2つがダミー吐出領域であって、前記ダミー吐出領域がテープ状の前記基材の搬送方向における少なくとも開始端と途中とに設けられ、前記予備吐出工程では、前記ダミー吐出領域と前記吐出ヘッドとを対向させ、前記ダミー吐出領域に向けて前記吐出ヘッドから前記液状体を液滴として吐出することを特徴とする請求項9に記載の液状体の描画方法。
【請求項13】
前記複数の描画領域のうち少なくとも2つがダミー吐出領域であって、前記ダミー吐出領域がテープ状の前記基材の搬送方向における少なくとも開始端と終了端とに設けられ、前記予備吐出工程では、前記開始端に設けられた前記ダミー吐出領域に向けて前記吐出ヘッドから前記液状体を液滴として吐出し、前記終了端に設けられた前記ダミー吐出領域には、吐出を行わないことを特徴とする請求項9に記載の液状体の描画方法。
【請求項14】
前記予備吐出工程では、前記吐出ヘッドの全ノズルから前記液状体を吐出することを特徴とする請求項9ないし13のいずれか一項に記載の液状体の描画方法。
【請求項15】
前記予備吐出工程では、実描画データに基づいて前記吐出ヘッドの複数のノズルから前記液滴を吐出することを特徴とする請求項9ないし13のいずれか一項に記載の液状体の描画方法。
【請求項16】
複数の描画領域を有するテープ状の基材に機能性材料からなる被膜を備えた配線基板の製造方法であって、
前記複数の描画領域のうち少なくとも1つを吐出ヘッドに対向させ、前記吐出ヘッドの複数のノズルから前記機能性材料を含む液状体を液滴として吐出描画する吐出工程と、
前記吐出工程の前に前記複数の描画領域の少なくとも1つに前記吐出ヘッドから前記液状体を液滴として吐出する予備吐出工程と、
前記吐出工程において吐出描画された前記液状体を固化して前記被膜を形成する固化工程と備えたことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項17】
前記複数の描画領域のうち少なくとも1つがダミー吐出領域であって、前記ダミー吐出領域がテープ状の前記基材の搬送方向における少なくとも開始端に設けられ、前記予備吐出工程では、前記ダミー吐出領域と前記吐出ヘッドとを対向させ、前記ダミー吐出領域に向けて前記吐出ヘッドから前記液状体を液滴として吐出することを特徴とする請求項16に記載の配線基板の製造方法。
【請求項18】
前記複数の描画領域のうち少なくとも1つがダミー吐出領域であって、前記ダミー吐出領域がテープ状の前記基材の搬送方向における少なくとも途中に設けられ、前記予備吐出工程では、前記ダミー吐出領域と前記吐出ヘッドとを対向させ、前記ダミー吐出領域に向けて前記吐出ヘッドから前記液状体を液滴として吐出することを特徴とする請求項16に記載の配線基板の製造方法。
【請求項19】
前記複数の描画領域のうち少なくとも2つがダミー吐出領域であって、前記ダミー吐出領域がテープ状の前記基材の搬送方向における少なくとも開始端と途中とに設けられ、前記予備吐出工程では、前記ダミー吐出領域と前記吐出ヘッドとを対向させ、前記ダミー吐出領域に向けて前記吐出ヘッドから前記液状体を液滴として吐出することを特徴とする請求項16に記載の配線基板の製造方法。
【請求項20】
前記複数の描画領域のうち少なくとも2つがダミー吐出領域であって、前記ダミー吐出領域がテープ状の前記基材の搬送方向における少なくとも開始端と終了端とに設けられ、前記予備吐出工程では、前記開始端に設けられた前記ダミー吐出領域に向けて前記吐出ヘッドから前記液状体を液滴として吐出し、前記終了端に設けられた前記ダミー吐出領域には、吐出を行わないことを特徴とする請求項16に記載の配線基板の製造方法。
【請求項21】
前記予備吐出工程では、前記吐出ヘッドの全ノズルから前記液状体を吐出することを特徴とする請求項16ないし20のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項22】
前記予備吐出工程では、実描画データに基づいて前記吐出ヘッドの複数のノズルから前記液滴を吐出することを特徴とする請求項16ないし20のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項23】
前記吐出工程では、導電性材料を含む第1の液状体を用いて、配線パターンを描画することを特徴とする請求項16ないし22のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項24】
前記吐出工程では、導電性材料を含む第1の液状体を用いて配線パターンを描画して、固化工程の後に、絶縁性材料を含む第2の液状体を用いて、固化した前記配線パターンの上に絶縁パターンを描画することを特徴とする請求項16ないし22のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性材料を含む液状体を吐出描画する描画装置、液状体の描画方法、配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機能性材料を含む液状体を吐出描画する液状体の描画方法としては、パターン形成領域と他の領域との境界の少なくとも一部に、液滴吐出方式を用いて液滴を塗布することで隔壁を設ける。隔壁によって区画されたパターン形成領域に導電性微粒子を含有する分散液(液状体)を吐出して配線層を形成するパターン形成方法が知られている(特許文献1)。
【0003】
また、描画装置としては、上記パターン形成方法において、テープ形状基板に液滴を吐出する液滴吐出装置が開示されている。当該液滴吐出装置は、インクジェットヘッド群(吐出ヘッド)と、テープ形状基板を載置する載置台と、インクジェットヘッド群と載置台とを対向させた状態で相対移動させる移動機構とを備えている。さらに、テープ形状基板を挟んで載置台の両側に2つのフラッシングエリアが配置されている。インクジェットヘッド群は、移動機構により2つのフラッシングエリアのいずれかに臨むことができ、インクジェットヘッド群から分散液(液状体)が捨て打ちされる。
【0004】
【特許文献1】特開2005−268693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記液滴吐出装置において、吐出ヘッドは液状体を吐出する複数のノズルを備えている。複数のノズル内の液状体が乾燥すると目詰まりが生じ、いわゆる吐出抜けが発生しやすい。上記フラッシングエリアに向けて液状体の捨て打ちを行うのは、導電性微粒子を含む液状体を安定的に吐出して配線層を形成しようとするものである。
【0006】
しかしながら、実際には、吐出抜けだけでなく、ノズル面に付着した液状体や異物によって、吐出された液状体の飛行曲がりが起き、被吐出物(テープ形状基板)に対する着弾位置がずれてしまうという課題がある。フラッシングエリアに単純に捨て打ちするだけでは、ノズルの目詰まりや飛行曲がり、着弾精度を確認することができない。
【0007】
また、上記液滴吐出装置では、フラッシングエリアに捨て打ちするには、テープ形状基板の搬送方向に対して直交する方向にインクジェットヘッド群を移動させる必要がある。
したがって、載置台に対してインクジェットヘッド群が吐出描画位置とフラッシング(捨て打ち)位置とを往復する複雑な動きとなる。
【0008】
さらに、フラッシングエリアに吐出された液状体を回収する装置構成も必要となり、装置が煩雑になるという課題を有していた。
【0009】
本発明は、上記課題を考慮してなされたものであり、ノズルの目詰まりや液状体の飛行曲がりを低減し、且つ液状体の吐出精度の確認ができる描画装置、液状体の描画方法、配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の描画装置は、複数の描画領域を有するテープ状の基材に機能性材料を含む液状体を吐出描画する描画装置であって、液状体を複数のノズルから液滴として吐出する吐出ヘッドと、基材を吐出ヘッドに対向配置し、少なくとも一方向に搬送するテープ搬送機構と、複数の描画領域のうち少なくとも1つが吐出ヘッドと対向するようにテープ搬送機構を駆動制御すると共に、液状体を当該描画領域に向けて予備吐出するように吐出ヘッドを駆動制御する制御部とを備えたことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、制御部がテープ搬送機構を駆動制御して複数の描画領域のうち少なくとも1つを吐出ヘッドと対向させ、吐出ヘッドを駆動制御して吐出ヘッドから液状体を当該描画領域に向けて予備吐出させる。したがって、予備吐出によりノズルの目詰まりや飛行曲がりを低減すると共に、吐出描画に際して予備吐出された液状体を専用に受ける液滴受け部を設ける場合に比べて装置構成を簡略化できる。そして、予備吐出された液状体を基材と共に排出することができる。さらには、当該描画領域に吐出された液状体を観察すれば、ノズルの目詰まりを確認できるだけでなく、飛行曲がりによる着弾位置のバラツキなど吐出精度を確認することができる。すなわち、ノズルの目詰まりや液状体の飛行曲がりを低減し、且つ液状体の吐出精度の確認ができる描画装置を提供することができる。
【0012】
上記複数の描画領域のうち少なくとも1つがダミー吐出領域であって、ダミー吐出領域がテープ状の基材の搬送方向における少なくとも開始端に設けられ、制御部はダミー吐出領域が吐出ヘッドに対向するようにテープ搬送機構を駆動制御し、ダミー吐出領域に向けて予備吐出を行うことが好ましい。
【0013】
この構成によれば、制御部はダミー吐出領域に向けて予備吐出を行わせる。したがって、製品化可能な描画領域を予備吐出により無駄に使用してしまうことを避けることができる。また、ダミー吐出領域がテープ状の基材の少なくとも開始端に設けられており、描画領域に液状体を吐出描画する前に予備吐出を行うことが可能であり、安定した吐出状態で吐出描画を開始することができる。なお、ダミー吐出領域を有する基材の部分は、本来の基材と異なる代替テープ等を使用することも可能である。
【0014】
また、上記複数の描画領域のうち少なくとも1つがダミー吐出領域であって、ダミー吐出領域がテープ状の基材の搬送方向における少なくとも途中に設けられ、制御部はダミー吐出領域が吐出ヘッドに対向するようにテープ搬送機構を駆動制御し、ダミー吐出領域に向けて予備吐出を行うとしてもよい。これによれば、長尺の基材であっても途中に設けられたダミー吐出領域に対応して予備吐出を行うことができる。また、テープ状の基材の途中で描画領域に吐出描画する描画パターンを変更する場合、変更前に使用したノズルと変更後に使用されるノズルとが必ずしも一致しないことがある。このような場合には、一致しないノズルにおいて目詰まり等の不具合を招く惧れがあり、描画パターンの変更に対応して基材の途中に設けられたダミー吐出領域に予備吐出を行って、安定した吐出状態で変更後の描画パターンを吐出描画することができる。
【0015】
また、上記複数の描画領域のうち少なくとも2つがダミー吐出領域であって、ダミー吐出領域がテープ状の基材の搬送方向における少なくとも開始端と途中とに設けられ、制御部はダミー吐出領域が吐出ヘッドに対向するようにテープ搬送機構を駆動制御し、ダミー吐出領域に向けて予備吐出を行うとしてもよい。これによれば、制御部は、テープ状の基材の少なくとも開始端と途中とに設けられたダミー吐出領域に予備吐出を行わせる。よって、基材へ吐出描画を開始する前と途中とにおいて予備吐出を行い、より安定した吐出状態で吐出描画することができる。
【0016】
また、上記複数の描画領域のうち少なくとも2つがダミー吐出領域であって、ダミー吐出領域がテープ状の基材の搬送方向における少なくとも開始端と終了端とに設けられ、制御部はダミー吐出領域が吐出ヘッドに対向するようにテープ搬送機構を駆動制御し、開始端に設けられたダミー吐出領域に向けて予備吐出を行い、終了端に設けられたダミー吐出領域には、予備吐出を行わないとしてもよい。吐出描画されたテープ状の基材を巻き取ると、終了端に設けられたダミー吐出領域が次の基材送出時には開始端側となる。これによれば、制御部は基材の終了端に設けられたダミー吐出領域には予備吐出を行わないので、先に予備吐出されたダミー吐出領域に重ねて予備吐出することが避けられる。よって、同一基材に対して液状体を繰り返し吐出描画して積層する際に吐出状態や吐出精度の確認に対して有効な描画装置を提供することができる。
【0017】
これらの発明の描画装置において、予備吐出では、制御部が吐出ヘッドの全ノズルから液滴を所定の回数吐出することを特徴とする。これによれば、全ノズルの目詰まりや飛行曲がりの低減が可能であると共に吐出精度の確認ができる。
【0018】
また、上記予備吐出では、制御部が実描画データに基づいて吐出ヘッドの複数のノズルから液滴を吐出するとしてもよい。実際の吐出描画においては、複数のノズルを選択的に使用する。隣接するノズル間ではクロストークが発生して吐出精度に影響を及ぼすことがある。これによれば、制御部は実描画データに基づいた予備吐出を行う。したがって、飛行曲がりだけでなくクロストークに起因する吐出不良も確認することができる。
【0019】
また、複数の描画領域のうち少なくとも1つを撮像可能な撮像機構を基材の搬送方向の下流側に備え、制御部が予備吐出の吐出情報と撮像された液状体の着弾画像情報とを元に吐出状態が正常か否かの判定を行うことが好ましい。これによれば、撮像機構が基材の搬送方向の下流側に備えられているので、描画装置を停止させずに基材への吐出描画と並行して予備吐出された液状体の吐出状況を確認することができ、より効率的に吐出描画を行うことができる。
【0020】
本発明の液状体の描画方法は、複数の描画領域を有するテープ状の基材に機能性材料を含む液状体を吐出描画する液状体の描画方法であって、複数の描画領域のうち少なくとも1つを吐出ヘッドに対向させ、吐出ヘッドの複数のノズルから液状体を液滴として吐出描画する吐出工程と、吐出工程の前に複数の描画領域の少なくとも1つに吐出ヘッドから液状体を液滴として吐出する予備吐出工程とを備えたことを特徴とする。
【0021】
この方法によれば、予備吐出工程では、複数の描画領域の少なくとも1つに吐出ヘッドから液状体を液滴として吐出する。吐出工程の前に予備吐出工程を行うことにより、ノズルの目詰まり等を解消して安定した吐出状態で液状体を吐出描画することが可能な液状体の描画方法を提供することができる。また、予備吐出工程では、複数の描画領域の少なくとも1つに液状体を液滴として吐出するので、専用の液滴受け部に液状体を受ける場合に比べて、基材と吐出ヘッドとを対向させた状態で予備吐出を行うことができる。したがって、専用の液滴受け部に吐出ヘッドを移動させる動作を省略して効率的に予備吐出工程を行うことができる。
【0022】
上記複数の描画領域のうち少なくとも1つがダミー吐出領域であって、ダミー吐出領域がテープ状の基材の搬送方向における少なくとも開始端に設けられ、予備吐出工程では、ダミー吐出領域と吐出ヘッドとを対向させ、ダミー吐出領域に向けて吐出ヘッドから液状体を液滴として吐出することが好ましい。
【0023】
この方法によれば、予備吐出工程では、ダミー吐出領域に向けて液状体を吐出する。したがって、製品化可能な描画領域を予備吐出により無駄に使用してしまうことを避けることができる。また、ダミー吐出領域がテープ状の基材の少なくとも開始端に設けられており、吐出工程の前に予備吐出工程を行うため、吐出工程では、安定した吐出状態で吐出描画を開始することができる。
【0024】
また、上記複数の描画領域のうち少なくとも1つがダミー吐出領域であって、ダミー吐出領域がテープ状の基材の搬送方向における少なくとも途中に設けられ、予備吐出工程では、ダミー吐出領域と吐出ヘッドとを対向させ、ダミー吐出領域に向けて吐出ヘッドから液状体を液滴として吐出してもよい。これによれば、長尺の基材であっても途中に設けられたダミー吐出領域に対応して予備吐出工程を行い安定した吐出状態を維持することができる。また、テープ状の基材の途中で描画領域に吐出描画する描画パターンを変更する場合、描画パターンの変更に対応して基材の途中に設けられたダミー吐出領域に予備吐出を行って、安定した吐出状態で変更後の描画パターンを吐出描画することができる。
【0025】
また、上記複数の描画領域のうち少なくとも2つがダミー吐出領域であって、ダミー吐出領域がテープ状の基材の搬送方向における少なくとも開始端と途中とに設けられ、予備吐出工程では、ダミー吐出領域と吐出ヘッドとを対向させ、ダミー吐出領域に向けて吐出ヘッドから液状体を液滴として吐出してもよい。これによれば、テープ状の基材に対して予備吐出工程を実施する頻度を増やして、より安定した吐出状態で吐出工程を行うことができる。
【0026】
また、上記複数の描画領域のうち少なくとも2つがダミー吐出領域であって、ダミー吐出領域がテープ状の基材の搬送方向における少なくとも開始端と終了端とに設けられ、予備吐出工程では、開始端に設けられたダミー吐出領域に向けて吐出ヘッドから液状体を液滴として吐出し、終了端に設けられたダミー吐出領域には、吐出を行わないとしてもよい。吐出描画されたテープ状の基材を巻き取ると、終了端に設けられたダミー吐出領域が次の基材送出時には開始端側となる。これによれば、予備吐出工程では、基材の終了端に設けられたダミー吐出領域には予備吐出を行わないので、先に予備吐出されたダミー吐出領域に重ねて予備吐出することが避けられる。よって、同一基材に対して液状体を繰り返し吐出描画して積層する際の吐出状態や吐出精度の確認に対して有効な液状体の描画方法を提供することができる。
【0027】
これらの発明の液状体の描画方法において、予備吐出工程では、吐出ヘッドの全ノズルから液状体を吐出することを特徴とする。これによれば、すべてのノズルの目詰まりや飛行曲がりの低減が可能であると共に吐出精度の確認が可能である。
【0028】
また、上記予備吐出工程では、実描画データに基づいて吐出ヘッドの複数のノズルから液滴を吐出するとしてもよい。吐出工程における実際の吐出描画では、複数のノズルを選択的に使用する。隣接するノズル間ではクロストークが発生して吐出精度に影響を及ぼすことがある。これによれば、予備吐出工程では、実描画データに基づいて液状体を吐出する。したがって、飛行曲がりだけでなくクロストークに起因する吐出不良も確認することができる。
【0029】
本発明の配線基板の製造方法は、複数の描画領域を有するテープ状の基材に機能性材料からなる被膜を備えた配線基板の製造方法であって、複数の描画領域のうち少なくとも1つを吐出ヘッドに対向させ、吐出ヘッドの複数のノズルから機能性材料を含む液状体を液滴として吐出描画する吐出工程と、吐出工程の前に複数の描画領域の少なくとも1つに吐出ヘッドから液状体を液滴として吐出する予備吐出工程と、吐出工程において吐出描画された液状体を固化して被膜を形成する固化工程と備えたことを特徴とする。
【0030】
この方法によれば、予備吐出工程では、吐出工程の前に複数の描画領域の少なくとも1つに吐出ヘッドから液状体を液滴として吐出する。これにより、ノズルの目詰まり等を解消して安定した吐出状態で吐出工程を行うことができる。固化工程では、吐出工程において吐出描画された液状体を固化して被膜を形成するので、吐出状態に起因する不具合の少ない被膜を形成することができる。すなわち、歩留まりよく配線基板を製造することができる。また、予備吐出工程では、複数の描画領域の少なくとも1つに液状体を液滴として吐出するので、専用の液滴受け部に液状体を受ける場合に比べて、基材と吐出ヘッドとを対向させた状態で予備吐出を行うことができる。したがって、専用の液滴受け部に吐出ヘッドを移動させる動作を省略して効率的に予備吐出工程を行うことができる。すなわち、吐出状態に起因する被膜の不具合が少ない安定した品質を有する配線基板を効率よく製造することができる。
【0031】
また、上記複数の描画領域のうち少なくとも1つがダミー吐出領域であって、ダミー吐出領域がテープ状の基材の搬送方向における少なくとも開始端に設けられ、予備吐出工程では、ダミー吐出領域と吐出ヘッドとを対向させ、ダミー吐出領域に向けて吐出ヘッドから液状体を液滴として吐出することが好ましい。
【0032】
この方法によれば、予備吐出工程では、ダミー吐出領域に向けて吐出ヘッドから液状体を液滴として吐出する。したがって、製品化可能な描画領域を予備吐出により無駄に使用してしまうことを避けることができる。また、ダミー吐出領域がテープ状の基材の少なくとも開始端に設けられており、吐出工程の前に予備吐出工程を行うため、吐出工程では、安定した吐出状態で吐出描画を開始することが可能な配線基板の製造方法を提供することができる。
【0033】
また、上記複数の描画領域のうち少なくとも1つがダミー吐出領域であって、ダミー吐出領域がテープ状の基材の搬送方向における少なくとも途中に設けられ、予備吐出工程では、ダミー吐出領域と吐出ヘッドとを対向させ、ダミー吐出領域に向けて吐出ヘッドから液状体を液滴として吐出してもよい。これによれば、長尺の基材であっても途中に設けられたダミー吐出領域に対応して予備吐出工程を行い安定した吐出状態を維持することができる。また、テープ状の基材の途中で描画領域に吐出描画する描画パターンを変更する場合、描画パターンの変更に対応して基材の途中に設けられたダミー吐出領域に予備吐出を行って、安定した吐出状態で変更後の描画パターンを吐出描画することが可能な配線基板の製造方法を提供することができる。
【0034】
また、上記複数の描画領域のうち少なくとも2つがダミー吐出領域であって、ダミー吐出領域がテープ状の基材の搬送方向における少なくとも開始端と途中とに設けられ、予備吐出工程では、ダミー吐出領域と吐出ヘッドとを対向させ、ダミー吐出領域に向けて吐出ヘッドから液状体を液滴として吐出してもよい。これによれば、テープ状の基材に対して予備吐出工程を実施する頻度を増やして、より安定した吐出状態で吐出工程を行うことができる。すなわち、吐出状態に起因する被膜の不具合がより少ない安定した品質を有する配線基板を製造することができる。
【0035】
また、上記複数の描画領域のうち少なくとも2つがダミー吐出領域であって、ダミー吐出領域がテープ状の基材の搬送方向における少なくとも開始端と終了端とに設けられ、予備吐出工程では、開始端に設けられたダミー吐出領域に向けて吐出ヘッドから液状体を液滴として吐出し、終了端に設けられたダミー吐出領域には、吐出を行わないとしてもよい。吐出描画されたテープ状の基材を巻き取ると、終了端に設けられたダミー吐出領域が次の基材送出時には開始端側となる。これによれば、予備吐出工程では、基材の終了端に設けられたダミー吐出領域には予備吐出を行わないので、先に予備吐出されたダミー吐出領域に重ねて予備吐出することが避けられる。よって、同一基材に対して液状体を繰り返し吐出描画して積層する際の吐出状態や吐出精度の確認に対して有効な配線基板の製造方法を提供することができる。
【0036】
また、上記予備吐出工程では、吐出ヘッドの全ノズルから液状体を吐出することが好ましい。これによれば、すべてのノズルの目詰まりや飛行曲がりの低減が可能であると共に吐出精度の確認が可能である。
【0037】
また、上記予備吐出工程では、実描画データに基づいて吐出ヘッドの複数のノズルから液滴を吐出するとしてもよい。吐出工程における実際の吐出描画では、複数のノズルを選択的に使用する。隣接するノズル間ではクロストークが発生して吐出精度に影響を及ぼすことがある。これによれば、予備吐出工程では、実描画データに基づいて液状体を吐出する。したがって、飛行曲がりだけでなくクロストークに起因する吐出不良も確認することが可能な配線基板の製造方法を提供することができる。
【0038】
上記吐出工程では、導電性材料を含む第1の液状体を用いて、配線パターンを描画することを特徴とする。これによれば、吐出状態に起因する不具合が少ない配線パターンを有する配線基板を製造することができる。
【0039】
また、上記吐出工程では、導電性材料を含む第1の液状体を用いて配線パターンを描画して、固化工程の後に、絶縁性材料を含む第2の液状体を用いて、固化した配線パターンの上に絶縁パターンを描画することを特徴とする。これによれば、吐出状態に起因する不具合が少ない配線パターンと絶縁パターンとが積層された配線層を有する配線基板を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本実施形態は、機能性材料を含む液状体をテープ状の基材の表面に塗布して配線基板を製造する描画装置、液状体の描画方法、配線基板の製造方法を例に説明する。
【0041】
<配線基板>
まず、配線基板について図1および図2に基づいて説明する。図1は配線基板を示す概略斜視図、図2(a)および(b)は他の配線基板を示す概略平面図である。
【0042】
図1に示すように、配線基板10は、例えば、絶縁性を有するポリイミド樹脂等からなるフレキシブルなテープ状の基材1により構成されている。その一方の表面には、搬送方向(Y軸方向)に設けられた描画領域A1から始まる複数の描画領域Aと、複数の描画領域Aに並列し幅方向(X軸方向)の両端側に配設されたガイド孔としての複数のパイロットホール2とを備えている。開始端に位置する描画領域A1の先には、描画領域Aとほぼ同サイズ、同形状の複数(2つ)のダミー吐出領域B(B1,B2)が設けられている。
【0043】
各描画領域Aには、アライメントマークとして2つのアライメントホール3,4が搬送方向の角部に穿孔されている。2つのダミー吐出領域B1,B2には、それぞれ1つのアライメントホール4が設けられている。このようにアライメントマークの数を認識することにより、描画領域Aとダミー吐出領域Bとを識別することが可能となっている。アライメントマークはアライメントホール3,4に限らず、例えば、所定の位置に形成された一定の形状を有するエンボスや画像認識可能な薄膜等でもよい。
【0044】
各描画領域Aには、図示省略したが、導電性材料からなる配線パターンと配線パターンの少なくとも一部を覆う絶縁材料からなる絶縁パターンとが形成されている。これらの配線パターンや絶縁パターンは、機能性材料を含む液状体を吐出ヘッドから液滴として塗布する液滴吐出法(インクジェット方式)により形成されている。
【0045】
複数の描画領域Aに配線パターンおよび絶縁パターンが形成された配線基板10は、描画領域Aを含む領域がプレス加工やレーザカッティングにより分割され、1つのフレキシブル回路基板として使用される。活用形態としては、例えば、電気回路同士を繋ぐ中継基板や電子部品等が実装される実装基板である。
【0046】
このような複数の描画領域Aやダミー吐出領域Bを有する配線基板は、配線基板10に限定されない。例えば、図2(a)に示すように、他の配線基板20は、同じくテープ状の基材21により構成され、幅方向(X軸方向)の両端側に複数のパイロットホール22が設けられている。また、幅方向の中央に位置する点27を中心として点対称に配置された異形状(この場合はLの字状)の描画領域C1,C2を有している。描画領域C1の搬送方向(Y軸方向)の角部には2つのアライメントホール23,24が穿孔されている。同様に描画領域C2にも2つのアライメントホール25,26が穿孔されている。配線基板20には、このような描画領域C1,C2を1組として複数組の描画領域Cが搬送方向に配列している。
【0047】
また、図2(b)に示すように、他の配線基板30は、配線基板10に比べて幅広の基材31からなり、幅方向(X軸方向)の両端側に複数のパイロットホール32が設けられている。また、搬送方向(Y軸方向)に所定の間隔で2列に配置された描画領域Dを有している。各描画領域Dの搬送方向(Y軸方向)の角部には、それぞれ2つのアライメントホール33,34が穿孔されている。
【0048】
本実施形態における配線基板10のダミー吐出領域Bの大きさは、後述する少なくとも1つの吐出ヘッド50(図6参照)が主走査により液状体を吐出可能な領域のY軸方向の幅を有していればよい。配線基板20では、描画領域C1,C2と同じ異形状としてもよい。また、配線基板30では、X軸方向に配列する複数(2つ)の描画領域Dを含む大きさとしてもよい。
【0049】
<描画装置>
次に、本実施形態の描画装置について図3〜図8に基づいて説明する。図3は配線基板製造装置を示す模式図、図4は描画装置の構造を示す概略斜視図である。
【0050】
図3に示すように、配線基板製造装置200は、テープ状の基材1が捲回された捲き出しリール160と、基材1を捲き取る捲き取りリール170と、2つのリール160,170の間に配置された描画装置100と、撮像機構140と、乾燥・焼成装置150とを備えている。所謂リールtoリール方式で基材1に加工を施すものである。
【0051】
描画装置100では、供給された基材1の各描画領域Aに機能性材料を含む液状体を塗布する。撮像機構140は、CCD等のカメラを含む撮像装置141と、基材1を支持する支持台142とを備え、塗布された液状体を撮像して吐出状態を確認することができる。乾燥・焼成装置150は、例えば、IR照射装置などの加熱装置を備え、塗布された液状体を加熱乾燥して、固化させる。
【0052】
図4に示すように、描画装置100は、支持脚109aにより支持された基台109と、基台109の側面から立脚する一対の橋脚103a,103bと、一対の橋脚103a,103bにより支持され基台109を跨ぐ一対のX軸リニアガイド102,102と、X軸リニアガイド102に直交するように基台109上に配設されたテープ搬送機構110とを備えている。一対のX軸リニアガイド102,102には、複数の吐出ヘッド50(図5および図6参照)が搭載されたサブキャリッジ101aを懸架するメインキャリッジ101と、一対のカメラユニット105を搭載したキャリッジ104と、UV照射ユニット107を搭載したキャリッジ106とがX軸方向に移動可能な状態で設けられている。テープ搬送機構110は、テープ状の基材1を吐出ヘッド50に対して所定の間隔を置いて対向配置すると共にY軸方向に搬送可能となっている。
【0053】
X軸リニアガイド102は、メインキャリッジ101、キャリッジ104、キャリッジ106をX軸方向にガイドするガイドレールを備えている。ガイドレールには、メインキャリッジ101を移動させるX軸リニアモータ102a(図8参照)と、キャリッジ104を移動させるX軸リニアモータ104a(図8参照)と、キャリッジ106を移動させるX軸リニアモータ106a(図8参照)が備えられ、個々に独立した移動が可能である。
【0054】
基台109上には、上記構成の他に、テープ搬送機構110を挟んで重量測定ユニット108とメンテナンスユニット120とが配設されている。重量測定ユニット108は、吐出ヘッド50から吐出された液状体の吐出量(重量)を計測する。これにより、所定量の液状体が吐出されているかどうか確認することができる。メンテナンスユニット120は、吐出ヘッド50に密着して吸引することが可能なキャッピングユニット121と、吐出ヘッド50(主にノズル面)に付着した液状体や異物を除去可能なワイピングユニット122とを備えている。吐出ヘッド50を臨むY軸方向のメンテナンス位置に各ユニット121,122をY軸方向に移動させるメンテモータ123(図8参照)を備えている。これにより、目詰まりしたノズル52(図5参照)の回復やノズル面のクリーニングを行う。
【0055】
基台109の下には、描画装置100の各部を制御する制御部130が設けられている。なお、描画装置100には、機能性材料を含む液状体を供給するポンプ125(図8参照)を備えた液状体供給機構(図示省略)が付設されている。
【0056】
図5は、吐出ヘッドの構造を示す概略分解斜視図である。図5に示すように、吐出ヘッド50は、液滴60が吐出される複数のノズル52を有するノズルプレート51と、複数のノズル52がそれぞれ連通するキャビティ55を区画する隔壁54を有するキャビティプレート53と、複数のキャビティ55に対応する振動子59を有する振動板58とが、順に積層され接合された構造となっている。
【0057】
キャビティプレート53は、ノズル52に連通するキャビティ55を区画する隔壁54を有すると共に、このキャビティ55に液状体を充填するための流路56,57を有している。流路57は、ノズルプレート51と振動板58とによって挟まれ、出来上がった空間が、液状体が貯留されるリザーバの役目を果たす。
【0058】
液状体は、液状体供給機構から配管を通じて供給され、振動板58に設けられた供給孔58aを通じてリザーバに貯留された後に、流路56を通じて各キャビティ55に充填される。
【0059】
振動子59は例えば圧電素子(ピエゾ素子)であり、外部から駆動電圧パルスが印加されることにより接合された振動板58を変形させる。これにより隔壁54で仕切られたキャビティ55の体積が増加して、液状体がリザーバからキャビティ55に吸引される。そして、駆動電圧パルスの印加が終了すると、振動板58は元に戻り充填された液状体を加圧する。これにより、ノズル52から液状体を液滴60として吐出できる構造となっている。
【0060】
吐出ヘッド50は、圧電素子(ピエゾ素子)を備えたものに限らない。振動板58を静電吸着により変位させる電気機械変換素子を備えたものや、液状体を加熱してノズル52から液滴60として吐出させる電気熱変換素子を備えたものでもよい。
【0061】
図6(a)および(b)は、サブキャリッジに対する吐出ヘッドの配置を示す平面図である。図6(a)に示すように、サブキャリッジ101aには、複数(12個)の吐出ヘッド50が搭載されている。6個の吐出ヘッド50を1群とするヘッド群50Aとヘッド群50Bとに分かれて配置されている。
【0062】
図6(b)に示すように、本実施形態の吐出ヘッド50は、液状体としてのインクを用紙などに吐出して描画する印刷装置のインクジェットヘッドを流用したものである。ノズルプレート51には、2つのノズル列52a,52bを有している。各ノズル列52a,52bは、それぞれ180個のノズル52がおよそ140μmの間隔で配設されている。ノズル列52aとノズル列52bとはおよそ70μmずれて配設されている。したがって、ノズル列52a,52bに直交する方向から見ると360個のノズル52がおよそ70μmの等間隔で配置された状態となっている。ノズル径はおよそ20μmである。
【0063】
図6(a)のヘッド群50Aは、6個の吐出ヘッド50の各ノズル列52a,52bがY軸方向に平行するように配置されている。また、X軸方向から見て各ノズル列52a,52bの一部が互いに重なり合いY軸方向に連続するように配置されている。ヘッド群50Bにおいても同様である。したがって、サブキャリッジ101aをX軸方向に移動させる主走査に同期して各吐出ヘッド50のノズル52から液状体を液滴60として吐出すれば、Y軸方向に等間隔(およそ70μm)で着弾させることができる。このような複数の吐出ヘッド50の配置は、基材1の搬送方向(Y軸方向)に対してノズル列52a,52bの長さを有効利用した描画幅を有する。各ヘッド群50Aとヘッド群50Bとは、X軸方向から見て6個の吐出ヘッド50がY軸方向において同じ位置に配置されているが、これに限らない。例えば、ヘッド群50Aに対してヘッド群50BをY軸方向にノズルピッチPの4分の1(およそ35μm)ずらせば、液状体をY軸方向においてさらに高密度な状態で着弾させることができる。
【0064】
この場合、ヘッド群50Aからは導電性材料を含む液状体が吐出され、ヘッド群50Bからは絶縁材料を含む液状体が吐出されるように構成されている。
【0065】
図7(a)および(b)は、テープ搬送機構を示す概略図である。図7(a)に示すように、テープ搬送機構110は、ヘッド群50A,50Bに対して所定の間隔でテープ状の基材1を吸着して固定可能な吸着板111と、吸着板111が載置されたテーブル112とを備えている。また、Y軸方向においてテーブル112の前後に配置された各一対のスプロケット114,115を備えている。テープ状の基材1をY軸方向にガイドすると共に、基材1が各スプロケット114,115から浮き上がらないように、パイロットホール2が設けられた両端部を押さえることが可能なクランプ機構116,117とを備えている。
【0066】
また、テーブル112をX軸、Y軸、Z軸方向に移動させる各移動機構(図示省略)と、テーブル112を支える軸113を回転させる回転機構(図示省略)とを備えている。回転機構は所謂θテーブルでもよい。これにより、描画領域Aが各ヘッド群50A,50Bに対して所定の位置で対向するように吸着板111に固定された基材1を位置決めする。より具体的には、キャリッジ104に搭載された2つのカメラユニット105により、吸着板111に固定された基材1のアライメントホール3,4を撮像し、各ヘッド群50A,50Bに対する基準位置からのずれ量を制御部130が算出する。制御部130は算出結果に基づいてテーブル112の各移動機構、回転機構を駆動して基材1を移動させ、各ヘッド群50A,50Bに対して描画領域Aを相対的に位置決めする。ダミー吐出領域Bを位置決めする際には、高精度に位置決めする必要はないので、片側のアライメントホール4を認識することで対応が可能である。
【0067】
図7(b)に示すように、Y軸方向から見ると、テーブル112の下流側に位置する一対のスプロケット115は、スプロケット115の歯が基材1のパイロットホール2に嵌合するように軸118aに軸支されている。軸118aは、これを回転させるスプロケットモータ118に連結されている。上流側に位置する一対のスプロケット114は、回転自在に軸支されている。
【0068】
テープ搬送機構110の動きを簡単に説明する。スプロケットモータ118を駆動して軸118aを回転させると、一対のスプロケット115がパイロットホール2と噛合って基材1をY軸方向において上流側と下流側の双方向に搬送することができる。なお、スプロケット114はブレーキ機構(図示省略)を備えており、スプロケット115との間で基材1に適度なテンションを与えつつ、基材1を搬送する構成となっている。
【0069】
基材1を吸着板111に吸着させるときには、テーブル112をわずかに上昇させることにより、吸着板111の上面と基材1とを密着させる。なお、吸着板111の上面は、ヘッド群50A,50Bの描画範囲に対応して基材1を吸着固定可能な大きさを有している。
【0070】
図8は、描画装置の電気的、機械的な構成を示すブロック図である。図8に示すように、制御部130は、指令部130aと駆動部130bとを備え、指令部130aは、CPU132、記憶手段としてのROM133、RAM134および入出力インターフェイス131を有している。CPU132が入出力インターフェイス131を介して入力される描画装置100を駆動するための各種データに基づく信号を、ROM133に書き込むと共に、RAM134に展開して処理し、入出力インターフェイス131を介して駆動部130bへ制御信号を出力する。
【0071】
駆動部130bは、ヘッドドライバ135、モータドライバ136、ポンプドライバ137、およびメンテドライバ138から構成されている。モータドライバ136は、指令部130aの制御信号により、各X軸リニアモータ102a,104a,106aを駆動し、メインキャリッジ101、キャリッジ104、キャリッジ106をそれぞれ所望の位置に移動させる。また、スプロケットモータ118を駆動してスプロケット115を回転させ基材1を所望の方向に搬送させる。さらに、メンテモータ123を駆動してメンテナンスユニット120の各ユニット121,122をメンテナンス位置へ移動させる。ヘッドドライバ135は、複数のノズル52から液状体を吐出させるビットマップデータに基づいて、各ノズル52に対応する振動子59を駆動し、モータドライバ136の制御と同調して、基材1の所定位置に液状体を液滴60として吐出させる。また、ポンプドライバ137は、ポンプ125を駆動し、液状体が吐出ヘッド50へ適切に供給されるように制御する。そして、メンテドライバ138は、メンテナンスユニット120のキャッピングユニット121、ワイピングユニット122および重量測定ユニット108を制御する。
【0072】
指令部130aは、ヘッドドライバ135を介して、複数のノズル52に対応する各振動子59のそれぞれに互いに独立する駆動信号を与えるように構成されている。このため、各ノズル52から吐出される液滴60の吐出量をヘッドドライバ135からの信号に応じてノズル52毎に制御して可変することができる。
【0073】
描画装置100の基本的な動作について説明する。制御部130は、モータドライバ136を介してX軸リニアモータ102aを駆動し、位置決めされた基材1の描画領域Aに対してメインキャリッジ101をX軸方向に往復させる相対移動いわゆる主走査を行う。この主走査に同期して所望の描画データに基づいた制御信号がヘッドドライバ135を介して吐出ヘッド50に送信される。制御信号により選択された複数のノズル52から機能性材料を含む液状体が描画領域Aに向けて吐出され描画が行われる。また、モータドライバ136を介してスプロケットモータ118を駆動し、ダミー吐出領域Bがヘッド群50A,50Bと対向するように基材1を搬送する。そして、ヘッドドライバ135を介して吐出ヘッド50を駆動し、ダミー吐出領域Bに向けて吐出ヘッド50から液滴60を吐出する予備吐出を行う。全ノズル52から液滴60を吐出する予備吐出のビットマップデータと、実描画データに基づいて複数のノズル52を選択する予備吐出のビットマップデータとがROM133に予め入力されている。作業者は、必要に応じてこれらのビットマップデータを選択して予備吐出を行わせる。予備吐出の詳しい方法については、後述する。
【0074】
指令部130aの入出力インターフェイス131には、カメラユニット105が電気的に接続され、撮像された画像情報を入手して、テープ搬送機構110を駆動制御し基材1の位置決めを行う。また、撮像機構140が電気的に接続され、予備吐出の吐出情報と撮像された液状体の着弾画像情報とを元に吐出状態が正常か否か判定を行う。これにより、正常でなければ、指令部130aは、予備吐出を繰り返すように各部を制御する。またはメインキャリッジ101をメンテナンスユニット120側に移動させて吐出ヘッド50のメンテナンスを行うように各部を制御する。
【0075】
このような描画装置100は、異なる幅の各基材1,21,31に対して複数の吐出ヘッド50の配置を変えることなく、複数の吐出ヘッド50の描画幅を有効に利用し、無駄なく液状体を吐出描画することが可能である。また、描画領域Aに液状体を吐出描画する前にダミー吐出領域Bに液状体を吐出して、ノズル52の目詰まりや飛行曲がりを低減することが可能である。ダミー吐出領域Bに向けて予備吐出するので、製品化可能な描画領域Aを予備吐出により無駄にしてしまうことがない。さらには、基材1を搬送することにより予備吐出された液状体の吐出状態を撮像機構140で確認してから排出することが可能である。
【0076】
<液状体の描画方法および配線基板の製造方法>
次に、本実施形態の液状体の描画方法を適用した配線基板の製造方法について、図9および図10に基づいて説明する。図9は配線基板の製造方法を示すフローチャートである。
【0077】
図9に示すように、配線基板10の製造方法は、機能性材料としての導電性材料を含む第1の液状体を吐出ヘッド50の複数のノズル52から液滴として吐出描画する吐出工程としての第1の描画工程(ステップS1)と、吐出された第1の液状体の着弾状態を撮像機構140で撮像して検査する第1の検査工程(ステップS2)と、吐出された第1の液状体を乾燥・焼成装置150を用いて乾燥・焼成し、導電材料からなる配線パターンを形成する固化工程としての乾燥・焼成工程(ステップS3)とを備えている。形成される配線パターンは、例えば、配線基板10を中継基板として使用する場合、接続用の複数の端子部と、端子部の間を繋ぐ配線部とを含むものである。
【0078】
また、機能性材料としての絶縁材料を含む第2の液状体を液滴として吐出ヘッド50の複数のノズル52から描画領域Aに吐出描画する吐出工程としての第2の描画工程(ステップS4)と、吐出された第2の液状体にUV(紫外線)を照射してこれを硬化させ、絶縁材料からなる絶縁パターンを形成する固化工程としてのUV照射工程(ステップS5)と、固化した絶縁パターンを撮像機構140で観察して検査する第2の検査工程(ステップS6)とを備えている。絶縁パターンは、例えば、配線基板10を中継基板として使用する場合、前述の配線部を覆って、配線部と配線部との間の絶縁性を確保するように形成される。
【0079】
ステップS1において、第1の液状体に含まれる導電性材料としては、例えば金、銀、銅、アルミニウム、パラジウム、及びニッケルのうちの少なくともいずれか1つを含有する金属微粒子の他、これらの酸化物、並びに導電性ポリマーや超電導体の微粒子などが用いられる。これらの導電性微粒子は分散性を向上させるために表面に有機物などをコーティングして使うこともできる。導電性微粒子の粒径は1nm以上1.0μm以下であることが好ましい。1.0μmより大きいと吐出ヘッド50のノズル52に目詰まりが生じるおそれがある。また、1nmより小さいと導電性微粒子に対するコーティング剤の体積比が大きくなり、得られる膜中の有機物の割合が過多となる。
【0080】
分散媒としては、上記の導電性微粒子を分散できるもので凝集を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性、また液滴吐出法への適用の容易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。
【0081】
上記導電性微粒子の分散液の表面張力は0.02N/m以上0.07N/m以下の範囲内であることが好ましい。液滴吐出法により第1の液状体を吐出する際、表面張力が0.02N/m未満であると、第1の液状体のノズル面に対する濡れ性が増大するため飛行曲りが生じやすくなり、0.07N/mを超えるとノズル52先端でのメニスカスの形状が安定しないため吐出量や吐出タイミングの制御が困難になる。表面張力を調整するため、上記分散液には、基材1との接触角を大きく低下させない範囲で、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系などの表面張力調節剤を微量添加するとよい。ノニオン系表面張力調節剤は、第1の液状体の基材1への濡れ性を向上させ、膜のレベリング性を改良し、膜の微細な凹凸の発生などの防止に役立つものである。上記表面張力調節剤は、必要に応じて、アルコール、エーテル、エステル、ケトン等の有機化合物を含んでもよい。
【0082】
上記分散液の粘度は1mPa・s以上50mPa・s以下であることが好ましい。液滴吐出法を用いて第1の液状体を液滴として吐出する際、粘度が1mPa・sより小さい場合にはノズル52周辺部が第1の液状体の流出により汚染されやすく、また粘度が50mPa・sより大きい場合は、ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり円滑な液滴の吐出が困難となる。
【0083】
UV照射により硬化(固化)する絶縁材料としては、例えば、絶縁性を有するエポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の感光性高分子材料を用いることが可能である。溶媒としては、例えば、上記材料を溶解可能な炭化水素系溶媒が挙げられる。第2の液状体の物性は、第1の液状体の場合と同様に液滴吐出法に対応して調整される。
【0084】
ステップS1の第1の液状体を吐出描画する工程およびステップS4の第2の液状体を吐出描画する工程では、安定した吐出状態を得るために、吐出描画の直前に、ダミー吐出領域Bと吐出ヘッド50とを対向させ、予めそれぞれの液状体を吐出する予備吐出工程を行う。
【0085】
図10(a)〜(c)は、液状体の描画方法を示す模式図である。図10(a)に示すように、予備吐出工程では、吐出ヘッド50を移動させずに、2つのノズル列52a,52bから液滴60を少なくとも1回吐出してテープ状の基材1の開始端側に位置したダミー吐出領域Bに着弾させる。基材1をテープ搬送機構110によって搬送し、撮像機構140で撮像することによって、ノズル52の目詰まりによる吐出抜けや吐出精度としての着弾位置精度を確認することができる。
【0086】
また、図10(b)に示すように、吐出ヘッド50をX軸方向に移動させながら、2つのノズル列52a,52bを選択して少なくとも1回吐出すれば、ダミー吐出領域Bにおいて、略直線上に液滴60を着弾させることができる。このようにすれば、撮像機構140で撮像することにより、液滴60の飛行曲がりの有無をノズル52ごとに容易に確認することができる。
【0087】
さらには、図10(c)に示すように、例えば、実描画データに基づいて直線的な配線パターンPを形成するように、吐出ヘッド50をX軸方向に移動させながら複数のノズル52を選択して吐出させる。配線パターンPがねらいの幅(X軸方向の)となるように、各ノズル52から複数回に渡って液滴60を吐出させる。これにより、1回の吐出では判別し難いノズル52間のクロストークによる吐出量の変化を配線パターンPの幅の変化として確認することができる。吐出の制御は、配線パターンPに沿って各ノズル52から吐出された液滴60が互いに接触するように吐出してもよいし、間隔を空けて液滴60を着弾させた後に、その間隔を埋めるように液滴60を着弾させてもよい。
【0088】
このような液状体の描画方法における予備吐出工程は、テープ状の基材1に対して行う場合、本実施形態のように基材1に予め設けられたダミー吐出領域Bに対して実施することに限定されず、複数の描画領域Aの少なくとも1つに対して実施してもよい。
【0089】
また、図3に示したように、配線基板製造装置200において、基材1は捲き出しリール160と捲き取りリール170とに掛け渡される。したがって、基材1を無駄にしないように開始端側と終了端側に代替テープ(リーダーテープ)を接続する。予備吐出工程は、このような代替テープをダミー吐出領域Bに見立てて液滴60を吐出するのが好ましい。
【0090】
また、本実施形態のように液滴吐出法を用いて配線パターンや絶縁パターンを形成する場合、テープ状の基材1の途中でこれらのパターンを容易に変更することが可能である。しかし、パターン変更に伴って複数のノズル52の選択が変化することが考えられる。パターン変更前の未使用なノズル52に目詰まりが発生している惧れがあるので、予備吐出工程を基材1の途中で実施する。したがって、パターン変更に対応して予めダミー吐出領域Bを基材1の途中に設けておくことは有効である。緊急的にパターン変更する際は、複数の描画領域Aのうちの少なくとも1つを用いて予備吐出工程を実施すればよい。
【0091】
さらには、本実施形態のようにテープ状の基材1に配線パターンと絶縁パターンとを積層形成する場合、ステップS4の第2の描画工程では、先に配線パターンが形成され捲き取りリール170に捲き取られた基材1を再び捲き出しリール160として用いることが考えられる。したがって、捲き取られた基材1の終了端が次には開始端となる。よって、ダミー吐出領域Bは、基材1の開始端と終了端の両側に設けておき、配線パターンを形成する際には、開始端側のダミー吐出領域Bを用いて予備吐出し、終了端側のダミー吐出領域Bには予備吐出しない。このようにすれば、絶縁パターンを形成する際には、捲き取られた基材1を捲き出して未使用のダミー吐出領域Bに予備吐出を行うことができる。
【0092】
また、配線パターンと絶縁パターンとからなる配線層が複数積層された配線基板10を製造する場合は、基材1においてダミー吐出領域Bを予備吐出のタイミングに合わせた位置に複数設けておき、それぞれの配線層の形成に合わせて未使用のダミー吐出領域Bを選択して予備吐出を行えばよい。
【0093】
このような液状体の描画方法および液状体の描画方法を適用した配線基板10の製造方法によれば、吐出状態の確認が可能であると共に液状体を安定的に吐出することが可能である。また、吐出状態に起因する不具合の少ない安定した品質を有する配線基板10を歩留まりよく製造することが可能である。
【0094】
上記実施形態の効果は、以下の通りである。
(1)上記実施形態の描画装置100において、制御部130は、テープ状の基材1の開始端側に設けられたダミー吐出領域Bと吐出ヘッド50とが対向するようにテープ搬送機構110を駆動制御し、当該ダミー吐出領域Bに向けて液状体を液滴60として吐出する予備吐出を行う。したがって、基材1以外の液滴受け部に予備吐出する場合に比べて、描画領域Aに液状体を吐出描画する直前にノズル52の目詰まりや飛行曲がりを解消して吐出描画することができる。また、ダミー吐出領域Bに着弾した液状体を観察して吐出精度を確認することができる。さらには、予備吐出された液状体を基材1と共に搬送して排出することができる。ゆえに、予備吐出専用の液滴受け部を設ける必要がないので、装置の構成を簡略化できる。
【0095】
(2)上記実施形態の配線基板製造装置200において、描画装置100に対して基材1の搬送方向の下流側に撮像機構140を備え、制御部130が予備吐出の吐出情報と撮像された液状体の着弾画像情報とを元に吐出状態が正常か否かの判定を行う。したがって、描画装置100を停止させずに基材1への吐出描画と並行して予備吐出された液状体の吐出状態を確認することができ、より効率的に吐出描画を行うことができる。
【0096】
(3)上記実施形態の液状体の描画方法および配線基板10の製造方法において、ステップS1の第1の液状体を吐出描画する工程およびステップS4の第2の液状体を吐出描画する工程では、吐出描画の直前に、ダミー吐出領域Bと吐出ヘッド50とを対向させ、予めそれぞれの液状体を吐出する予備吐出工程を行う。したがって、吐出状態の確認が可能であると共に安定した吐出状態で吐出描画を行うことができる。ゆえに、吐出状態に起因する不具合が少ない安定した品質を有する配線基板10を歩留まりよく製造することができる。
【0097】
(4)上記実施形態の液状体の描画方法および配線基板10の製造方法において、予備吐出工程では、制御部130は、吐出ヘッド50の全ノズル52から液状体を吐出するビットマップデータと実描画データに基づいたビットマップデータとを選択して予備吐出を行う。したがって、各ノズル52の目詰まりや吐出された液滴60の飛行曲がりを確認できると共に、ノズル52間のクロストークによる吐出量の変化を確認することができる。
【0098】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。例えば上記実施形態以外の変形例は、以下の通りである。
【0099】
(変形例1)上記実施形態の描画装置100の構成は、これに限定されない。例えば、サブキャリッジ101aに搭載される吐出ヘッド50の数は少なくとも1個以上であればよい。テープ搬送機構110の構成は、吸着板111、テーブル112を設けない構成としてもよい。UV照射ユニット107は必須ではなく、絶縁パターンを形成する第2の液状体の構成によって他の固化装置を選択可能である。
【0100】
(変形例2)上記実施形態の描画装置100において、カメラユニット105を用いて予備吐出された液状体の観察を行ってもよい。これによれば、ヘッド群50A,50Bを構成する12個の吐出ヘッド50の吐出状態をすべて確認することはできないが、その一部は確認可能である。
【0101】
(変形例3)上記配線基板10の製造方法において、第2の液状体に含まれる絶縁材料はこれに限定されない。例えば、絶縁材料として酸化シリコンの微粒子、シリコンのアルコラートなどの有機化合物を用いることができる。また、この場合、乾燥・焼成装置150を用いて、乾燥・焼成することにより酸化シリコンからなる絶縁パターンを形成することができる。
【0102】
(変形例4)上記実施形態の配線基板10において、ダミー吐出領域Bの配置はこれに限定されない。少なくとも2つのダミー吐出領域Bを基材1において複数の描画領域Aの開始端と途中とに設けてもよい。このようにすれば、テープ状の基材1が長尺であっても、吐出描画の開始前と途中とにおいて、予備吐出を行うことができる。すなわち、予備吐出の頻度を上げて安定した吐出状態を維持することができる。さらには、ダミー吐出領域Bを必ずしも設けずに、複数の描画領域Aのうちの少なくとも1つに予備吐出を行ってもよい。
【0103】
(変形例5)上記実施形態の配線基板10の製造方法において、加工の順番はこれに限定されない。例えば、基材1に銅箔からなる第1の配線パターンを予め形成しておき、ステップS4〜ステップS6を先に実施して第1の配線パターンの少なくとも一部を覆うように絶縁パターンを形成する。この後にステップS1〜ステップS3を実施して第1の配線パターンに接続するように第2の配線パターンを形成してもよい。これによれば、第1の配線パターンに重畳するジャンパー配線としての第2の配線パターンを液滴吐出法により形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】配線基板を示す概略斜視図。
【図2】(a)および(b)は他の配線基板を示す概略平面図。
【図3】配線基板製造装置を示す模式図。
【図4】描画装置の構造を示す概略斜視図。
【図5】吐出ヘッドの構造を示す概略分解斜視図。
【図6】(a)および(b)はサブキャリッジに対する吐出ヘッドの配置を示す平面図。
【図7】(a)および(b)はテープ搬送機構を示す概略図。
【図8】描画装置の電気的、機械的な構成を示すブロック図。
【図9】配線基板の製造方法を示すフローチャート。
【図10】(a)〜(c)は液状体の描画方法を示す模式図。
【符号の説明】
【0105】
1,21,31…テープ状の基材、10,20,30…配線基板、50…吐出ヘッド、52…ノズル、60…液滴、100…描画装置、110…テープ搬送機構、130…制御部、140…撮像機構、A,C,D…描画領域、B…ダミー吐出領域。

【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【出願日】 平成18年7月20日(2006.7.20)
【代理人】 【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉

【識別番号】100127661
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 一彦


【公開番号】 特開2008−23442(P2008−23442A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−198043(P2006−198043)