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【発明の名称】 塗工装置
【発明者】 【氏名】藤田 和彦

【氏名】渡邉 敦

【要約】 【課題】全体としての小型化、保全性、操作性の向上を達成し、しかも、塗液吐出用スリットと平行な方向における全範囲にわたって均一な減圧効果を達成する。

【構成】塗工用マニホールド32と塗液吐出用スリット33が形成された本体ブロック31と、塗液吐出用スリット33よりも基材の流れ方向の上流側に形成された凹所34と、凹所34と連通された吸引孔35と、凹所34に位置調整可能に装着された調整用ブロック36とを有し、調整用ブロック36を装着することによって、凹所34の一部を減圧室37に構成し、凹所34の他の一部を整流室38に構成している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗液吐出用スリット(33)を有するスリットダイ(3)において、塗液吐出用スリット(33)に対して、上流側に近接させて減圧室(37)を設けてあるとともに、減圧室(37)と連通する整流室(38)を設けてあることを特徴とする塗工装置。
【請求項2】
前記スリットダイ(3)に対して所定形状のブロック部材(36)を設けて減圧室(37)を構成する、請求項1に記載の塗工装置。
【請求項3】
前記ブロック部材(36)は、前記スリットダイ(3)に対する相対位置を変更可能である、請求項2に記載の塗工装置。
【請求項4】
前記整流室(38)は、内部に整流部材(39)を収容している、請求項1から請求項3の何れかに記載の塗工装置。



【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、スリットダイによって塗液を基材表面に均一に塗工し、薄膜を形成する塗工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コーティングビードを安定して保持させるために、基材流れ方向上流側に減圧室を設けた塗工装置が提案され、減圧度を上げるために、基材走行方向に延設された減圧室を設けることが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
この場合には、減圧効果を高めるためにノズル先端をできるだけ吐出口に近づける構成を採ることが困難である。
【0004】
また、均一な引圧を発生させるためにある程度大きな減圧室を設ける必要があり、塗工装置が全体として大型化するだけでなく、保全性、操作性を損なうという問題もある。
【0005】
そして、これらの問題を解決できるものとして、ビードを安定保持するために、上流側に減圧用スリットを、下流側に塗液吐出用スリットを形成してなる塗工装置が提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
具体的には、上流側ブロックと下流側ブロックの少なくとも2つのブロックを組み合わせて、塗液を幅方向に均一に吐出させるためのマニホールドおよびスリット状のランド部を構成したスリットダイを有し、該スリットダイ内に配置された少なくとも2枚のシムプレートの間に、少なくとも1枚のプレートリップを挟み込むとともに、その両側から上下流側ブロックで挟み込み、これらを密着係合させることにより、上流側に減圧用スリットを、下流側に塗液吐出用スリットを形成してなる。
【特許文献1】特開平1−213641号公報
【特許文献2】特開2005−270704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載された塗工装置を採用した場合には、全体としての小型化、保全性、操作性の向上を達成することができる。
【0008】
しかし、近年の基材の広幅化に対応させて塗液吐出用スリットを長くした場合には、同様に減圧用スリットも長くしなければならず、この結果、減圧用スリットの全範囲にわたって均一な減圧効果を達成することができなくなってしまうという問題がある。
【0009】
また、塗液の種類などに応じて減圧効果を調整することが必要であっても、減圧効果の調整を簡単には達成することができないという問題もある。
【0010】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、全体としての小型化、保全性、操作性の向上を達成することができ、しかも、塗液吐出用スリットと平行な方向における全範囲にわたって均一な減圧効果を達成することができるとともに、減圧効果の調整を簡単に達成することができる塗工装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の塗工装置は、塗液吐出用スリットを有するスリットダイにおいて、塗液吐出用スリットに対して、上流側に近接させて減圧室を設けるとともに、減圧室と連通する整流室を設けたものである。
【0012】
請求項2の塗工装置は、前記スリットダイに対して所定形状のブロック部材を設けて減圧室を構成するものである。
【0013】
請求項3の塗工装置は、前記スリットダイに対する相対位置を変更可能なブロック部材を採用するものである。
【0014】
請求項4の塗工装置は、前記整流室の内部に整流部材を収容したものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の塗工装置は、全体としての小型化、保全性、操作性の向上を達成することができ、しかも、塗液吐出用スリットと平行な方向における全範囲にわたって均一な減圧効果を達成することができるという特有の効果を奏する。
【0016】
請求項2の塗工装置は、減圧室を簡単に構成することができるという特有の効果を奏する。
【0017】
請求項3の塗工装置は、減圧効果の調整を簡単に達成することができるという特有の効果を奏する。
【0018】
請求項4の塗工装置は、より均一な減圧効果を達成することができるという特有の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の塗工装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
図1は本発明の塗工装置の一実施形態を示す概略縦断側面図、図2は同正面図、図3は図1の二点鎖線で囲まれた部分を示す拡大図である。
【0021】
この塗工装置1は、バックアップロール2に対向配置されたスリットダイ3を有し、スリットダイ3から吐出された塗液が、コーティングビードを形成した状態で、バックアップロール2上を搬送される基材(被塗工シート状基材)の表面に塗工される。
【0022】
前記スリットダイ3は、塗工用マニホールド32と塗液吐出用スリット33が形成された本体ブロック31と、塗液吐出用スリット33よりも基材の流れ方向の上流側に形成された凹所34と、凹所34と連通された吸引孔35と、凹所34に位置調整可能に装着された調整用ブロック36とを有している。
【0023】
したがって、調整用ブロック36を装着することによって、凹所34の一部(バックアップロール2と対向する部分)が減圧室37に構成され、凹所34の他の一部(調整用ブロック36を挟んでバックアップロール2と反対側の部分)が整流室38に構成されている。この整流室38には、発泡体、金属メッシュなどの整流部材39が収容されていることが好ましい。
【0024】
また、前記吸引孔35のサイズ、個数、間隔は適宜設定することができる。
【0025】
前記塗液吐出用スリット33と前記減圧室37との間隔は、例えば、1〜50mmの範囲において、塗液の種類、塗布厚さなどを考慮して最適の値に設定することが好ましい。
【0026】
さらに、前記減圧室37の開口厚さ(基材の流れ方向のサイズ)は、例えば、1〜20mmの範囲において、塗液の種類、塗布厚さなどを考慮して最適の値に設定することが好ましく、前記減圧室37の奥行きは、例えば、1〜100mmの範囲において、塗液の種類、塗布厚さなどを考慮して最適の値に設定することが好ましい。
【0027】
上記の構成の塗工装置を採用すれば、次のようにして、基材の表面に所望の厚さの塗膜を形成することができる。
【0028】
バックアップロール2の回転によって基材が搬送される。また、スリットダイ3の先端面と基材表面との間隙が例えば10μm〜1mmの範囲内の所定の設定値となるように、スリットダイ3がバックアップロール2に接近される。
【0029】
また、塗工用マニホールド32まで送液された塗液は、塗工用マニホールド32から塗液吐出用スリット33への流路が縮小経路であるため、幅方向に均一に広げられる。
【0030】
均一に広げられた塗液は、塗液吐出用スリット33を通して吐出され、コーティングビードを形成しつつ基材に塗布される。
【0031】
塗液送液量が安定した後、減圧室37が減圧される。したがって、空気の流れは、コーティングビードの上流側部分、減圧室37、整流室38、吸引孔35の順となる。そして、減圧度の強さの、幅方向均一性は、整流室38(好ましくは、整流部材39が収容された整流室38)によって達成される。
【0032】
そして、減圧室37が塗液吐出用スリット33の直上流側に配置されているので、減圧度低下防止のためのシール構造を要することなく、コーティングビード近傍に塗工幅方向に均一化された高い減圧を与えることができる。その結果、コーティングビードを所望の形態に安定して維持することができ、極めて薄い膜を均一に塗工することができる。
【0033】
また、本体ブロック31に対する調整用ブロック36の相対位置を変化させることによって、減圧室37のサイズを変化させ、ひいては、減圧効果を変化させることができる。
【0034】
さらに、塗工動作を行わないときには、減圧室37によりゴミを吸引することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の塗工装置の一実施形態を示す概略縦断側面図である。
【図2】同上の正面図である。
【図3】図1の二点鎖線で囲まれた部分を示す拡大図である。
【符号の説明】
【0036】
3 スリットダイ
33 塗液吐出用スリット
36 調整用ブロック
37 減圧室
38 整流室
39 整流部材
【出願人】 【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
【出願日】 平成18年7月18日(2006.7.18)
【代理人】 【識別番号】100087804
【弁理士】
【氏名又は名称】津川 友士


【公開番号】 特開2008−23405(P2008−23405A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−195136(P2006−195136)