トップ :: B 処理操作 運輸 :: B05 霧化または噴霧一般;液体または他の流動性材料の表面への適用一般

【発明の名称】 粘性流体塗布装置、粘性流体塗布方法および貼合せ基板
【発明者】 【氏名】篠原 和美

【氏名】鈴木 真治

【要約】 【課題】粘性流体を過剰に消費することなく、且つ作業効率を低下させることなく、粘性流体を基板に適切に塗布する。

【構成】第1基板W1上の略中央部に塗着された接着剤を展延する粘性流体塗布装置2において、第1基板W1上の接着剤に向けて、エアー吹出し口58からエアーを吹き付けるエアー吹付けユニット22と、第1基板W1上におけるエアーの吹付けエリアが第1基板W1上の略全域をカバーするように、第1基板W1に対してエアー吹出し口58を相対移動させる回転機構42とを備えた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の所定箇所に塗着された粘性流体を展延する粘性流体塗布装置において、
前記基板上の粘性流体に向けて、エアー吹出し口からエアーを吹き付けるエアー吹付け手段と、
前記基板上における前記エアーの吹付けエリアが前記基板上の略全域をカバーするように、前記基板に対して前記エアー吹出し口を相対移動させる吹付けエリア移動手段と、
を備えたことを特徴とする粘性流体塗布装置。
【請求項2】
前記エアー吹出し口は、スリット状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の粘性流体塗布装置。
【請求項3】
前記基板は、円板状に形成されると共に、前記粘性流体が略中央部に塗着されており、
前記エアー吹付け手段は、前記吹付けエリアが前記基板の半径部分を含むように、前記エアーを吹き付け、
前記吹付けエリア移動手段は、前記基板を、当該基板の中心を回転中心にして回転させる回転機構を、有することを特徴とする請求項2に記載の粘性流体塗布装置。
【請求項4】
前記吹付けエリア移動手段は、前記基板上の略全域をカバーするための前記エアー吹出し口の相対移動を、複数回に亘って行い、
前記エアー吹付け手段は、前記基板の表面に対する前記エアーの吹付け角度を変更する吹付け角度変更手段と、前記吹付け角度変更手段を制御する吹付け角度制御手段と、を有し、
前記吹付け角度制御手段は、複数回に亘る前記相対移動の前半には、前記基板の表面に対して、前記エアーを、前記エアー吹出し口の相対移動方向に向いた斜めに吹き付け、複数回に亘る前記相対移動の後半には、前記基板の表面に対して前記エアーを垂直に吹き付けることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の粘性流体塗布装置。
【請求項5】
前記基板を載置する載置テーブルを、さらに備え、
前記載置テーブルには、前記基板を所定の温度に加熱するテーブルヒータが組み込まれていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の粘性流体塗布装置。
【請求項6】
前記エアー吹付け手段は、前記エアーを所定の温度に加熱するエアーヒータを有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の粘性流体塗布装置。
【請求項7】
基板上の所定箇所に塗着された粘性流体を展延する粘性流体塗布方法において、
前記基板上の粘性流体に向けて、エアー吹出し口からエアーを吹き付けながら、前記基板上における前記エアーの吹付けエリアが前記基板上の略全域をカバーするように、前記基板に対して前記エアー吹出し口を相対移動させることを特徴とする粘性流体塗布方法。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれかに記載の粘性流体塗布装置により前記粘性流体として接着剤を展延した第1基板と、
前記接着剤を介して前記第1基板に貼り合わせた第2基板と、
を備えたことを特徴とする貼合せ基板。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤等の粘性流体を基板上に塗布する粘性流体塗布装置、粘性流体塗布方法および貼合せ基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の粘性流体塗布装置として、遠心力により粘性流体を拡げるスピンコート法、並びに接触式のスキージ塗布法および転写塗布法(ロールコータ)をそれぞれ用いた各種装置が知られている(特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平11−276970号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、スピンコート法を用いた場合には、液体を過剰に供給して遠心するため、材料の使用量が多い。また、同法では、高粘度(100mPs・s以上)の材料を均一に拡げる(延ばす)ことが困難であり、塗布ムラが生じてしまう。一方、スキージ塗布法や転写塗布法のように、粘性流体を拡げる手段として接触部材(スキージやロールコータ)を用いた場合には、塗布後に接触部材の洗浄作業が必要となるため、作業効率が低下してしまう。
【0004】
本発明は、粘性流体を過剰に消費することなく、且つ作業効率を低下させることなく、粘性流体を基板に適切に塗布することができる粘性流体塗布装置、粘性流体塗布方法および貼合せ基板を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の粘性流体塗布装置は、基板上の所定箇所に塗着された粘性流体を展延する粘性流体塗布装置において、基板上の粘性流体に向けて、エアー吹出し口からエアーを吹き付けるエアー吹付け手段と、基板上におけるエアーの吹付けエリアが基板上の略全域をカバーするように、基板に対してエアー吹出し口を相対移動させる吹付けエリア移動手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
本発明の粘性流体塗布方法は、基板上の所定箇所に塗着された粘性流体を展延する粘性流体塗布方法において、基板上の粘性流体に向けて、エアー吹出し口からエアーを吹き付けながら、基板上におけるエアーの吹付けエリアが基板上の略全域をカバーするように、基板に対してエアー吹出し口を相対移動させることを特徴とする。
【0007】
これらの構成によれば、エアー吹付けにより、粘性流体が吹付けエリアの周辺に拡がると共に、吹付けエリアが基板上の略全域をカバーするようにすることで、比較的高粘度(400mPa・s)の粘性流体であっても、粘性流体を基板上の略全域に薄く拡げることができる。この場合、塗着された粘性流体が無駄なく基板上に拡がるため、粘性流体を過剰に消費することがない。また、粘性流体を拡げる手段として、接触部材ではなく、エアーを用いているため、洗浄作業は不要である。したがって、粘性流体を過剰に消費することなく、且つ作業効率を低下させることなく、粘性流体を基板に適切に塗布することができる。
【0008】
上記の粘性流体塗布装置において、エアー吹出し口は、スリット状に形成されていること好ましい。
【0009】
この構成によれば、吹付けエリアが、長く且つ幅狭な形状となる。このため、エアー吹出し口をノズル状に形成し、吹付けエリアが細径となる場合に比べ、吹付けエリアの移動を省力化することができる。また、エアー吹出し口を大形に形成し、吹付けエリアが幅広な形状となる場合に比べ、粘性流体を効率良く拡げることができる。したがって、処理時間を短縮することができる。
【0010】
この場合、基板は、円板状に形成されると共に、粘性流体が略中央部に塗着されており、エアー吹付け手段は、吹付けエリアが基板の半径部分を含むように、エアーを吹き付け、吹付けエリア移動手段は、基板を、当該基板の中心を回転中心にして回転させる回転機構を、有することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、基板の半径部分を含む吹付けエリアに対し、吹付けエリア移動手段により基板を回転することで、吹付けエリアが、基板の中心を回転中心として相対的に回転移動する。この結果、吹付けエリアが、基板上の略全域をカバーする。このため、基板に対し、エアーを周方向に連続的且つ均一に吹き付けることができ、粘性流体を周方向に均一に拡げることができる。したがって、簡易な構成により、粘性流体を基板に適切且つ効率良く塗布することができる。
【0012】
この場合、吹付けエリア移動手段は、基板上の略全域をカバーするためのエアー吹出し口の相対移動を、複数回に亘って行い、エアー吹付け手段は、基板の表面に対するエアーの吹付け角度を変更する吹付け角度変更手段と、吹付け角度変更手段を制御する吹付け角度制御手段と、を有し、吹付け角度制御手段は、複数回に亘る相対移動の前半には、基板の表面に対して、エアーを、エアー吹出し口の相対移動方向に向いた斜めに吹き付け、複数回に亘る相対移動の後半には、基板の表面に対してエアーを垂直に吹き付けることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、複数回に亘る相対移動の前半では、基板表面に対して、エアー吹出し口の相対移動方向に向いた斜めにエアーを吹き付けることで、基板に対する吹付けエリアの相対移動方向に粘性流体が拡がる。このため、粘性流体を基板上の略全域に早く拡げることができ、処理時間を短縮することができる。また、複数回に亘る相対移動の後半では、基板表面に対してエアーを垂直に吹き付けることで、拡がった粘性流体の厚さを基板上の略全域で均一化することができる。したがって、粘性流体を基板に早く且つ均一に塗布することができる。
【0014】
この場合、基板を載置する載置テーブルを、さらに備え、載置テーブルには、基板を所定の温度に加熱するテーブルヒータが組み込まれていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、所定に温度に基板を加熱することで、粘性流体を、所望の温度に調整することができる。すなわち、粘性流体を、拡がりやすい粘度となる温度にすることができる。これにより、粘性流体を基板に効率良く塗布することができる。
【0016】
この場合、エアー吹付け手段は、エアーを所定の温度に加熱するエアーヒータを有することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、所定の温度に加熱されたエアーを吹き付けることで、粘性流体を、所望の温度に調整することができる。すなわち、粘性流体を、拡がりやすい粘度となる温度にすることができる。これにより、粘性流体を基板に効率良く塗布することができる。
【0018】
本発明の貼合せ基板は、上記した粘性流体塗布装置により粘性流体として接着剤を展延した第1基板と、接着剤を介して第1基板に貼り合わせた第2基板と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、粘性流体塗布装置により、接着剤が適切に塗布された第1基板を備えているため、貼合せの処理時間を短縮することができる。すなわち、接着剤が略全域に塗布されているため、第1基板および第2基板間に接着剤を充填・密着させる時間が少なくて済む。また、接着剤が薄く塗布されているため、減圧下で脱泡(脱気)処理を行う場合には、その時間が短縮される。したがって、生産効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態に係る粘性流体塗布装置は、接着剤等の粘性流体を基板上に塗布するものである。この粘性流体塗布装置は、例えば、2枚の基板の貼合せを行う貼合せシステムに設けられている。そこで、まず、貼合せシステムについて説明する。
【0021】
貼合せシステムは、例えば、液晶パネルの防塵ガラスの貼合せ工程、液晶パネル向けのマイクロレンズ製造工程、および光ディスクの製造工程のように、2枚の基板(第1基板および第2基板)を接着剤を介して貼り合わせる工程に採用されている。
【0022】
図1に示すように、貼合せシステムSは、第1基板W1に接着剤Bを塗着(供給)する接着剤塗着装置1と、塗着された接着剤Bを第1基板W1上に展延する粘性流体塗布装置2と、接着剤Bが塗布された第1基板W1と塗布されていない第2基板W2とを導入し、両基板を貼り合わせる基板貼合せ装置3と、貼合せ後、高温下で接着剤Bを硬化させる接着剤硬化装置4とを備えている。
【0023】
ここで、第1基板W1および第2基板W2は、それぞれ円板状のガラス基板で構成されており、第2基板W2は、第1基板W1に比べて、僅かに大径に形成されている。また、接着剤Bには、例えば、透明なアクリル系接着剤やエポキシ系接着剤が使用される。本実施形態では、熱硬化性のものを用いているが、紫外線硬化性等、他の性質のものでもよい。接着剤Bは、その粘度が、常温で例えば400mPa・s程度であり、高温になるに従って、粘度が低下する性質を有している。
【0024】
接着剤塗着装置1は、第1基板W1の所定箇所(例えば略中央部)に盛り上げるように、所定量の接着剤Bを塗着する。接着剤塗着装置1は、例えば、接着剤を充填したシリンジ11と、シリンジ11に圧縮空気を供給するエアーディスペンサー12とで構成されている。エアーディスペンサー12から供給する圧縮空気の圧力および供給時間を制御することで、シリンジ11から第1基板W1に吐出される接着剤Bの量をコントロールすることができる。
【0025】
図1および図2に示すように、基板貼合せ装置3は、第1基板W1および第2基板W2を昇降自在に支持する左右一対のガラスホルダ31と、一対のガラスホルダ31から受け取った第1基板W1および第2基板W2を載置する厚板状の下プレート32と、下プレート32に対して昇降自在に設けられた厚板状の上プレート33と、これらを収容する真空チャンバ34とで構成されている。また、基板貼合せ装置3は、図示省略したが、ガラスホルダ31に支持された第1基板W1および第2基板W2を、相互に位置合わせ(同心)するための位置合わせ機構を備えている。
【0026】
基板貼合せ装置3は、まず、導入された第1基板W1と第2基板W2とを、相互に間隙を存して平行になるように、上昇させたガラスホルダ31により支持し、相互の位置合わせを行う。この状態で、真空チャンバ34を稼動してチャンバ内を減圧し、チャンバ内の空気および第1基板W1に塗布された接着剤B内の気泡を除去する。これにより、第1基板W1と第2基板W2との貼合せ面に気泡の混入のない貼合せを行うことができる。
【0027】
続いて、基板貼合せ装置3は、ガラスホルダ31を降下させ、第1基板W1および第2基板W2を下プレート32に載置する。そして、上プレート33を降下させ、上プレート33と下プレート32との間で、両基板を加圧する。このとき、第1基板W1に塗布した接着剤Bが、貼合せ面の全域に拡がるまで加圧する。こうして、第1基板W1と第2基板W2とが密着し、貼り合わされる。
【0028】
接着剤硬化装置4は、接着剤Bを熱硬化可能な温度に加熱する加熱装置で構成されている。なお、接着剤Bとして、紫外線硬化性のものを用いた場合には、これを紫外線照射装置とする。
【0029】
このように構成された貼合せシステムSにより、第1基板W1への接着剤Bの塗着、第1基板W1における接着剤Bの塗布、第1基板W1と第2基板W2との貼合せ、および接着剤Bの硬化が行われ、貼合せ基板WWが完成する。ここで、後述するように、粘性流体塗布装置2により、第1基板W1に接着剤Bが適切に塗布されているため、貼合せの処理時間を短縮することができる。すなわち、接着剤Bが第1基板W1の略全域に塗布されているため、基板貼合せ装置3において、第1基板W1および第2基板W2間に接着剤Bを充填・密着させる時間が少なくて済む。また、接着剤Bが薄く塗布されているため、基板貼合せ装置3において、脱泡処理の時間が短縮される。したがって、貼合せ基板WWの生産効率を向上させることができる。
【0030】
続いて、粘性流体塗布装置2について説明する。粘性流体塗布装置2は、第1基板W1の略中央部に所定量塗着された接着剤Bに向けてエアーAを吹き付けながら、第1基板W1を回転させることで、塗着された接着剤Bを第1基板W1の略全域に展延するものである。
【0031】
図3に示すように、粘性流体塗布装置2は、第1基板W1を搭載する基板ステージ21と、第1基板W1にエアーAを吹き付けるエアー吹付けユニット22と、装置全体を制御するコントローラ23とを備えている。
【0032】
基板ステージ21は、載置した第1基板W1を、その中心を回転中心にして回転させるものである。基板ステージ21は、第1基板W1を直接載置する載置テーブル41と、載置テーブル41を回転させる回転機構42と、回転機構42を介して載置テーブル41を昇降させる昇降機構43とを備えている。
【0033】
載置テーブル41は、円板状に形成され、図示しない基板位置決め機構を有している。そして、第1基板W1を、自身と同軸上に位置決めして水平に載置するようになっている。なお、載置テーブル41は、載置された第1基板W1を吸着可能な吸着テーブルとすることが好ましい。
【0034】
また、載置テーブル41には、コントローラ23により制御されたテーブルヒータ44と、載置された第1基板W1の温度を検出する温度センサ45が組み込まれている(図4参照)。これにより、第1基板W1が所定の温度に加熱される。このため、第1基板W1に塗着された接着剤Bを、所望の温度に調整することができる。すなわち、接着剤Bを、拡がりやすい粘度(例えば100mPa・s)となる温度(例えば50℃)にすることができる。
【0035】
回転機構42は、載置テーブル41を介して、第1基板W1をその中心を回転中心にして回転させるものである。回転機構42は、載置テーブル41を回転自在に支持する回転軸51と、軸継手52を介して回転軸51の下端に連結したテーブル回転モータ53とを備えている。回転機構42により載置テーブル41を回転することで、吹付けエリアR(図5参照)が、第1基板W1の略全域をカバーするようになっている(詳細は後述する)。なお、回転機構42は、昇降機構43により昇降自在に設けられている。
【0036】
昇降機構43は、回転軸51と平行(鉛直方向)に延在する昇降ブロック54と、昇降ブロック54に螺合したリードねじ55と、リードねじ55の下端に連結した昇降モータ56と、一端側で昇降ブロック54に固定され、他端側で回転軸51を回転自在に支持する水平ブロック57とで構成されている。
【0037】
一方、エアー吹付けユニット22は、第1基板W1に塗着された接着剤Bに向けて、エアーAを吹き付けるものである。エアー吹付けユニット22は、上記の載置テーブル41に対峙するエアー吹出し口58と、エアー吹出し口58に連なるエアー供給装置(図示省略)と、エアーAの吹付け角度を変更する吹付け角度変更機構59とを備えている。
【0038】
エアー吹出し口58は、スリット状に形成され、また、第1基板W1の直径と略同一の長さを有している。そして、エアー吹付けユニット22は、第1基板W1上における吹付けエリアRが第1基板W1の直径部分を含むように、エアーAを吹き付ける。このように、エアー吹出し口58をスリット状に形成したことで、吹付けエリアRが、長く且つ幅狭な形状となる。このため、エアー吹出し口58をノズル状に形成し、吹付けエリアRが細径となる場合に比べ、吹付けエリアRの移動を省力化することができる。また、エアー吹出し口58を大形に形成し、吹付けエリアRが幅広な形状となる場合に比べ、接着剤Bを効率良く拡げることができる。したがって、処理時間を短縮することができる。
【0039】
吹付け角度変更機構59は、第1基板W1の表面に対する吹付け角度が所定の範囲(例えば45°〜135°)で変更するように、エアー吹出し口58を回動させるものである。吹付け角度変更機構59は、エアー吹出し口58の長手方向に沿って延在しエアー吹出し口58の上端部を回動可能に支持する支軸61と、カップリング62を介して支軸61の一端に連結された吹出し口回動モータ63とで構成されている。コントローラ23により、吹出し口回動モータ63を制御することで、エアー吹出し口58を、所定範囲内の任意の角度まで回動させることができ、第1基板W1に対して任意の角度でエアーAを吹き付けることができるようになっている。
【0040】
なお、エアー吹出し口58に設けた風向板により、吹付け角度変更機構59を構成してもよい。すなわち、エアー吹出し口58に、吹出し方向を変更可能に指向する風向板を設け、その吹出し方向を変更することで、吹付け角度を変更するようにしてもよい。
【0041】
本実施形態では、上述したように、載置テーブル41に組み込んだテーブルヒータ44により、接着剤Bの温度を調整するが、エアー供給装置にエアーAを所定の温度に加熱可能なエアーヒータを設け、これにより、接着剤Bの温度を調整してもよい。また、上述したように、載置テーブル41の高さ位置により、第1基板W1に対するエアーAの吹付け強さを調整するが、エアー吹出し口58を昇降させてもよく、エアー供給装置に圧力制御機構を設け、これにより、エアーAの吹付け強さを調整してもよい。
【0042】
図4に示すように、コントローラ23は、テーブル回転モータ53、昇降モータ56および吹出し口回動モータ63を制御している。コントローラ23によりテーブル回転モータ53を制御することで、載置テーブル41(これに載置した第1基板W1)の回転数および回転方向が調整される。同様に、コントローラ23により昇降モータ56を制御することで、載置テーブル41の高さ位置、すなわち第1基板W1に対するエアーAの吹付け強さが調整される。したがって、載置テーブル41の回転数、回転方向および高さ位置の各パラメータについて、対象となる第1基板W1の種類(表面性状、サイズ等)および接着剤Bの種類(粘度等)毎に最適値を予め求めておき、その最適値となるように、各モータを制御することが可能である。さらに、温度センサ45の検出結果に基づいて、テーブルヒータ44を制御している。これにより、載置された第1基板W1を所定の温度に調整している。
【0043】
図5(a)に示すように、このように構成された粘性流体塗布装置2は、塗着された接着剤Bに対し、エアー吹出し口58からエアーAを吹き付けながら、吹付けエリアRが第1基板W1上の略全域をカバーするように、第1基板W1に対してエアー吹出し口58を相対移動させる。
【0044】
すなわち、エアーAを吹き付けながら、回転機構42により第1基板W1を回転させる。これによれば、エアー吹付けユニット22のエアー吹付けにより、接着剤Bが吹付けエリアRの周辺に拡がる。一方、第1基板W1の直径部分に相当する吹付けエリアRに対し、回転機構42により、第1基板W1を回転させることで、吹付けエリアRが、第1基板W1の中心を回転中心として相対的に回転移動する。この結果、吹付けエリアRが、第1基板W1上の略全域をカバーする。例えば、エアーAを吹き付けながら、第1基板W1を60回回転させると、エアー吹付けエリアRが第1基板W1上の略全域をカバーするためのエアー吹出し口58の相対移動が、60回に亘って行われることになる。このため、第1基板W1に対し、エアーAを周方向に連続的且つ均一に吹き付けることができる。したがって、このような簡易な構成により、接着剤Bを第1基板W1に適切且つ効率良く塗布することができる。
【0045】
この場合、塗着された接着剤Bが無駄なく第1基板W1上に拡がるため、接着剤Bを過剰に消費することがない。また、接着剤Bを拡げる手段として、接触部材ではなく、エアーAを用いているため、洗浄作業は不要である。したがって、接着剤Bを過剰に消費することなく、且つ作業効率を低下させることなく、接着剤Bを第1基板W1に適切に塗布することができる。
【0046】
また、接着剤Bが第1基板W1の略全域に塗布されるため、上記の基板貼合せ装置3において、接着剤Bが貼合せ面の全域に拡がるまで加圧するための時間を短縮することができる。換言すれば、粘性流体塗布装置2において、接着剤Bを第1基板W1の周縁部まで完全に拡げなくとも、基板貼合せ装置3において、接着剤Bを第1基板W1の周縁部まで短時間で拡げることができる。
【0047】
図6に示すように、上記した吹付け角度変更機構59を制御して、複数回(例えば60回)に亘る吹付けエリアの相対移動の前半(例えば1〜50回目)では、第1基板W1の表面に対して、エアー吹出し口58の相対移動方向に向いた斜めにエアーAを吹き付け、相対移動の後半(例えば51〜60回目)では、第1基板W1の表面に対してエアーAを垂直に吹き付けることが好ましい。この「斜め吹付け」によれば、相対移動の前半では、相対移動方向に向いた斜めにエアーAを吹き付けることで、第1基板W1に対する吹付けエリアRの相対移動方向に接着剤Bが拡がる。このため、接着剤Bを第1基板W1上の略全域に早く拡げることができ、処理時間を短縮することができる。また、相対移動の後半では、エアーAを垂直に吹き付けることで、拡がった接着剤Bの厚さを第1基板W1上の略全域で均一化することができる。したがって、接着剤Bを第1基板W1に早く且つ均一に塗布することができる。
【0048】
もっとも、図6(a)では、、吹付けエリアRのうち、一方の半径部分では、エアー吹出し口58の相対移動方向に向いた斜めにエアーAが吹き付けられているが、他方の半径部分では、エアー吹出し口58の相対移動方向に対向した斜めにエアーAが吹き付けられることになるため、「斜め吹付け」の効果が半減してしまう。そこで、エアー吹付けユニット22を、吹付けエリアRのうち、両半径部分について個別にエアーAの吹付け角度を変更可能に構成し、上記の相対移動の前半では、その両半径部分において、エアー吹出し口58の相対移動方向に向いた斜めにエアーAが吹き付けられるようにすることが、より好ましい(図6(b)参照)。
【0049】
以上のように、本実施形態の粘性流体塗布装置2によれば、接着剤Bを過剰に消費することなく、且つ作業効率を低下させることなく、接着剤Bを第1基板W1に適切に塗布することができる。本実施形態では、基板に塗布する対象として、基板貼合せに用いる接着剤Bについて説明したが、他の粘性流体についても本発明を適用可能であることはいうまでもない。
【0050】
なお、本実施形態では、吹付けエリアRが第1基板W1上の略全域をカバーする構成として、第1基板W1の直径部分に相当する吹付けエリアRに対し、第1基板W1を回転させるようにしたが、他の構成であってもよい。
【0051】
例えば、エアー吹付けユニット22は、吹付けエリアRが第1基板W1の半径部分を含むようにエアーAを吹き付ければよく、例えば、吹付けエリアRが第1基板W1の半径部分に相当するように構成してもよい。この場合、半径部分に相当する吹付けエリアRに対し、上記と同様に第1基板W1を回転させればよい(図5(b)参照)。
【0052】
さらに、第1基板W1が方形の場合には、エアー吹付けユニット22を、吹付けエリアRが第1基板W1の1の辺部に相当するように構成すると共に、第1基板W1をその辺に直交する方向に往復移動させることで、吹付けエリアRが第1基板W1上の略全域をカバーするようにしてもよい(図5(c)参照)。このとき、上記の吹付け角度変更機構59によりエアー吹出し口58を回動(揺動)させてもよい(図5(d)参照)。これら場合には、第1基板W1の略幅いっぱいに接着剤Bを塗着するようにすることが好ましい。なお、図6において、矢印71は、第1基板W1の移動(回転)方向を示し、矢印72は、エアー吹出し口58の回動方向を示す。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】貼合せシステムを説明する図である。
【図2】基板貼合せ装置を説明する図である。
【図3】粘性流体塗布装置の外観斜視図である。
【図4】粘性流体塗布装置のブロック図である。
【図5】粘性流体塗布装置による基板上の吹付けエリアを説明する図である。
【図6】粘性流体塗布装置において、基板に対するエアーの吹付け角度を説明する図である。
【符号の説明】
【0054】
2…粘性流体塗布装置 22…エアー吹付けユニット 23…コントローラ 42…回転機構 44…テーブルヒータ 58…エアー吹出し口 59…吹付け角度変更機構 Aエアー B…接着剤 R…吹付けエリア W1…第1基板 W2…第2基板 WW…貼合せ基板
【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【出願日】 平成18年7月13日(2006.7.13)
【代理人】 【識別番号】100093964
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 稔


【公開番号】 特開2008−18361(P2008−18361A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−193094(P2006−193094)