Warning: copy(htaccessbak): failed to open stream: No such file or directory in /home/jtokkyo/public_html/header.php on line 10
粉体膜形成装置 - 特開2008−18299 | j-tokkyo
トップ :: B 処理操作 運輸 :: B05 霧化または噴霧一般;液体または他の流動性材料の表面への適用一般

【発明の名称】 粉体膜形成装置
【発明者】 【氏名】阿部 浩也

【氏名】近藤 光

【氏名】佐藤 和好

【氏名】内藤 牧男

【氏名】下田 浩史

【氏名】福井 武久

【要約】 【課題】粉体膜を形成するに際して粉体原料の凝集をより効果的に抑制しながら、極めて微小なサイズの粒子を用いて基板表面に均質な粉体膜を形成できる粉体膜形成装置を提供する。

【構成】粉体原料mを微粒子化すべく、粉体原料mを収容保持する処理容器2と処理容器2の内周面2aに近接配置した押圧部材1とが相対移動することにより、粉体原料mに機械的外力を付与して粉体原料mを微粉化する微粒子生成手段Bを備え、微粒子生成手段Bで生成された微粒子Cを付着させる基板Aを保持する基板保持手段4が、処理容器2の内周面2aの方向に沿って微粒子生成手段Bに隣接した位置に配置してある粉体膜形成装置X。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体原料を微粒子化すべく、前記粉体原料を収容保持する処理容器と当該処理容器の内周面に近接配置した押圧部材とが相対移動することにより、前記粉体原料に機械的外力を付与して前記粉体原料を微粉化する微粒子生成手段を備え、
前記微粒子生成手段で生成された微粒子を付着させる基板を保持する基板保持手段が、前記処理容器の内周面の方向に沿って前記微粒子生成手段に隣接した位置に配置してある粉体膜形成装置。
【請求項2】
前記処理容器が固定され、前記押圧部材が回転可能であり、前記処理容器の内周面の一部に形成した凹部に前記基板保持手段を設けてある請求項1に記載の粉体膜形成装置。
【請求項3】
前記基板保持手段は、保持する前記基板の保持姿勢を変更可能に構成してある請求項1又は2に記載の粉体膜形成装置。
【請求項4】
前記基板に対する前記微粒子の吹付角度および吹付量のうち少なくとも何れか一方を調節可能な整流手段を前記微粒子生成手段と前記基板との間に備えた請求項1から3の何れか一項に記載の粉体膜形成装置。
【請求項5】
生成した微粒子が前記基板に到達するのを遮断する遮蔽部材を備えている請求項1から4の何れか一項に記載の粉体膜形成装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子を付着させて基板の表面に粉体膜を形成する粉体膜形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の表面に微粒子を付着させて粉体膜を形成する際には、例えば、ナノメートルからマイクロメートルの領域の大きさを持った微粒子が利用される。このような微粒子を用いてポーラス構造(多孔質構造)の粉体膜を形成すると、比表面積が非常に大きくなり、例えば活性の高い触媒材料を得ることができる。
従来、基板の表面に粉体膜を形成する装置として、例えば、特許文献1〜2に開示されるものがあった。
【0003】
特許文献1には、例えばセラミックス微粒子である粉体原料を基板等に噴射することにより、衝撃・固化して基板上にセラミックス膜を形成可能なエアロゾルデポジション法を適用した粉体膜形成装置が開示してある。
エアロゾルデポジション法では、通常、数十nmから数百nmの粒径の粉体原料をエアロゾル化し、噴射ノズルにより加圧した後、低圧のチャンバ内に配設した基板等の被成膜物に噴射して微粒子材料が固化すると粉体膜が形成される。
【0004】
特許文献1の装置における噴射ノズルは、第1導入路から導入された微粒子を含むエアロゾルガスの導入方向に対して、第2導入路から導入されたアシストガスの導入方向が例えば90度未満の角度となるように合流させ、エアロゾルガスの噴射圧を高めるように構成してある。
【0005】
その結果、エアロゾルガスの流速が増大する。また、アシストガスが噴射ノズルの内壁に沿って流れ易くなるので、エアロゾルガスの微粒子材料が当該内壁に付着するのを防止できる。その結果、良質な膜を安定して長時間形成することが可能となる。
【0006】
特許文献2には、ケーシングの内部に配置される処理容器、および、処理容器の内部に配置されたプレスヘッドによって微粒子生成手段が構成される粉体膜形成装置が開示してある。この装置では、当該微粒子生成手段により生成された微粒子の、基板に到達するまでの搬送状態が制御される。これにより、微粒子の凝集を阻止しつつ微粒子を基板に付着させ、均質な粉体膜を基板の表面に形成することができる。
【0007】
【特許文献1】特開2005−163058号公報
【特許文献2】特開2006−150160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
基板上に形成された粉体膜の活性度を高めるためには、比表面積を大きくする必要がある。そのため、基板上に付着させる微粒子の粒子サイズをできるだけ小さくするのが好ましい。例えば、粒子サイズが1〜100nm程度の所謂ナノ粒子が好適である。
但し、粒子サイズが小さくなると、微粒子が噴射されてから基板の表面に付着するまでの間に、微粒子同士が衝突して容易に凝集し易くなる。このため、粉体膜を構成する粒子サイズが安定せず、均質な粉体膜が形成できなくなり、その結果、当該粉体膜の比表面積を十分に大きくすることができない。
【0009】
特許文献1の装置において、エアロゾルデポジション法により形成された膜の品質は、吹き付ける際のガス流速に依存し、一般に速い程高品質の膜が形成される。当該装置では、粉体原料を含有するエアロゾルガスにアシストガスを導入してエアロゾルガスの噴射圧を高め、基板への衝突速度を高めている。ただし、この装置では、別途作製した粉体原料を噴射ノズル内の経路を通して基板に衝突させているため、その間に微粒子同士が凝集する虞がある。
【0010】
特許文献2の装置においては、微粒子生成手段により生成された微粒子は、ケーシングの内部を浮遊して処理容器の外部に配置してある基板に付着する。そこで、処理容器内で生成した微粒子が基板に到達するまでの微粒子同士の凝集を防止することができれば、より良好な粉体膜を形成することができる。
【0011】
従って、本発明の目的は、粉体膜を形成するに際して粉体原料の凝集をより効果的に抑制しながら、極めて微小なサイズの粒子を用いて基板表面に均質な粉体膜を形成できる粉体膜形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明に係る粉体膜形成装置の第一特徴構成は、粉体原料を微粒子化すべく、前記粉体原料を収容保持する処理容器と当該処理容器の内周面に近接配置した押圧部材とが相対移動することにより、前記粉体原料に機械的外力を付与して前記粉体原料を微粉化する微粒子生成手段を備え、前記微粒子生成手段で生成された微粒子を付着させる基板を保持する基板保持手段が、前記処理容器の内周面の方向に沿って前記微粒子生成手段に隣接した位置に配置してある点にある。
【0013】
上記第一特徴構成によれば、微粒子生成手段において処理容器の内周面から微粒子が生成するとともに、基板保持手段が処理容器の内周面の方向に沿って微粒子生成手段に隣接した位置に配置してあるため、生成した微粒子同士が凝集する前に基板に到達させることができる。
即ち、処理容器の内周面から生成した後に浮遊する微粒子は、直ちに基板保持手段の付近に到達する。当該微粒子は、基板保持手段が保持する基板の表面に流れ、微粒子は分散した状態で基板の表面に付着する。
このように、本構成では、生成した微粒子が凝集する前により効果的に基板の表面に付着させることができ、基板の表面に均質な粉体膜を形成することができる。
【0014】
本発明に係る粉体膜形成装置の第二特徴構成は、前記処理容器が固定され、前記押圧部材が回転可能であり、前記処理容器の内周面の一部に形成した凹部に前記基板保持手段を設けた点にある。
【0015】
上記第二特徴構成によれば、処理容器および押圧部材における相対移動の態様を、押圧部材が回転する構成に特定したため、本発明の態様を簡便な構成とすることができる。
また、単に内周面の一部に形成した凹部に基板保持手段を収納した構成とするだけで、生成した微粒子を直ちに凹部の基板に付着させることができる。このため、微粒子同士の凝集を防いで均質な粉体膜を形成することができる。
【0016】
微粒子は、処理容器および押圧部材の相対回転により発生した気流に乗って循環浮遊するが、凹部において気流経路の断面積が急激に大きくなるため、気流が淀んで微粒子が停滞し、効率よく基板に付着する。
【0017】
さらに、処理容器の内周面の一部に形成した凹部に基板保持手段を収納すると、押圧部材および処理容器の相対回転に支障のない位置に基板を配置することができる。
【0018】
本発明に係る粉体膜形成装置の第三特徴構成は、前記基板保持手段は、保持する前記基板の保持姿勢を変更可能に構成した点にある。
【0019】
上記第三特徴構成のごとく、基板の保持姿勢が変更可能であれば、微粒子が基板へ付着する角度を適宜設定することができる。これにより、例えば生成した微粒子が基板に衝突する際の基板に対する垂直速度成分を調節することができる。通常、当該垂直速度成分を高めると、形成される粉体膜の密度は大きくなり、比表面積は小さくなる。逆に、当該垂直速度成分を低めると、形成される粉体膜の密度は小さくなり、比表面積は大きくなる。
このように、粉体膜の微粒子密度および比表面積を種々変更して、所望の性質を有する粉体膜を容易に形成できる。
【0020】
本発明に係る粉体膜形成装置の第四特徴構成は、前記基板に対する前記微粒子の吹付角度および吹付量のうち少なくとも何れか一方を調節可能な整流手段を前記微粒子生成手段と前記基板との間に備えた点にある。
【0021】
本構成であれば、基板の位置が問題となる場合であっても、整流手段によって微粒子の吹付角度を調節することで、微粒子を確実に基板に吹付けることができる。また、微粒子の吹付量を規制することで、基板の面積当たりの吹付量を変更することができる。
【0022】
このように、本構成によれば、基板保持手段を動作制御することなく、整流手段により基板への微粒子の付着状態を所望の状態に制御することができる。
【0023】
本発明に係る粉体膜形成装置の第五特徴構成は、生成した微粒子が前記基板に到達するのを遮断する遮蔽部材を備えた点にある。
【0024】
上記第五特徴構成によれば、生成した微粒子を基板に曝すタイミング、即ち、粉体膜の成膜の開始時期・完了時期、および、基板の暴露時間などを適切に制御することができる。従って、所望の粒径の微粒子が十分に生成した状態で基板の暴露を適切に実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
本発明の粉体膜形成装置では、例えば、センサや燃料電池等の電極形成用の基板表面に、ナノサイズの微粒子を付着させてポーラス構造(多孔質構造)の粉体膜を形成することができる。
【0026】
当該微粒子としては、例えば、微粒子の材料となる塊状の固体に、圧縮力・剪断力・衝撃力等の機械的外力を付与して形成した微粒子を用いることができる。
また、微粒子の核となる物質の周りに微粒子材料を付着あるいは結合させ、ある程度のサイズに成長させた微粒子を用いても良い。当該微粒子は、単一材料からなるものでも、複数の材料を合成して生成した微粒子であってもよい。
【0027】
本実施形態では、金属酸化物等の単一材料からなる粉体を原料とし、この粉体原料から生成した微粒子(生成粉体)を粉体膜の形成に用いる場合について説明する。
【0028】
〔粉体膜形成装置〕
図1〜4に示すように、本発明に係る粉体膜形成装置Xは、粉体原料mを微粒子化すべく、粉体原料mを収容保持する処理容器2と当該処理容器2の内周面2aに近接配置した押圧部材1とが相対移動することにより、粉体原料mに機械的外力を付与して粉体原料mを微粉化する微粒子生成手段Bを備える。微粒子生成手段Bで生成された微粒子を付着させる基板Aを保持する基板保持手段4が、前記処理容器2の内周面2aの方向に沿って微粒子生成手段Bに隣接した位置に配置してある。
【0029】
押圧部材1と処理容器2とは、少なくとも何れか一方が回転する態様とする。本実施形態では、処理容器2が固定され、当該処理容器2の内部で押圧部材1が回転する場合を例示する。尚、このような実施形態に限らず、押圧部材1が固定され処理容器2が回転するものや、押圧部材1および処理容器2が反対方向に回転するものであってもよい。何れの場合も押圧部材1および処理容器2の押圧力によって機械的外力を付与された粉体原料mが微粉化される。
【0030】
(押圧部材)
押圧部材1は、処理容器2に保持され、当該処理容器2の軸心Z1を中心に回転自在なプレスヘッド1Aで構成する。ここでのプレスヘッド1Aは略卵型を呈しており、その先端部には、処理容器2の内周面2aに対向して凸状に湾曲した処理面1aが形成してある。尚、本実施形態では、単一の処理面1aを備えたプレスヘッド1Aを例示したが、これに限らず、複数の処理面1aを備えるように構成することが可能である。
また、プレスヘッド1Aの形状は、卵型のものに限らず、棒状等に形成してもよい。さらに、側断面が円形のロータ状となるように形成し、当該ロータの周縁部に適当数の処理面を備えるように構成してもよい。
【0031】
粉体膜形成装置Xには、軸体11を回転駆動するモータ、プーリー、及び、ベルト等からなる回転駆動手段12が設けてある。回転駆動手段12は、軸体11を回転駆動することで、プレスヘッド1Aを処理容器2に対して相対回転させる。そして、処理容器2の内周面2aに対し、プレスヘッド1Aの処理面1aを、内周面2aに沿うように相対移動させる。
このように、プレスヘッド1Aの処理面1aを内周面2aに対して相対移動させることで、内周面2aと処理面1aとの間隙7にある粉体原料mに対して、非常に強力な圧縮力と剪断力との機械的エネルギーが付与される。この結果、粉体が磨砕され、表面が活性化された微粉状の生成粉体Cが得られる。従って、本実施形態では、特に処理面1aおよび内周面2aを微粒子生成手段Bと称する。当該微粒子生成手段Bにおいて、生成粉体Cが生成する部位は、処理面1aおよび内周面2aが対向して最接近している部位である。
【0032】
(処理容器)
処理容器2は、基台5に固定設置され、水平方向の軸芯Z1を有する筒状の部材である。当該軸芯Z1は鉛直方向であってもよい。
当該処理容器2の内部は、プレスヘッド1Aが回転する円筒状の処理室3が形成してある。当該処理室3が微粒子生成空間であり、生成した生成粉体Cは処理室3の内部を循環浮遊する。
プレスヘッド1Aの処理面1aと内周面2aとの間には間隙7が形成され、内周面2aには、原料投入手段90から供給される粉体原料mが堆積する。
【0033】
尚、処理容器2の外周には、ジャケット(図外)を設けることが可能である。このジャケットは、処理容器2内の温度を最適な温度に保つため、加熱或いは冷却自在に設定できる処理水等を流通させる。
【0034】
(基板保持手段)
基板保持手段4は、処理容器2の内周面2aの方向に沿って微粒子生成手段Bに隣接した位置に配置してある。「隣接した位置」とは、微粒子生成手段Bに隣接した位置であれば、処理室3の内部空間の側、或いは、前記内周面2aに設けた凹部の中等、何れの位置であってもよい。
本実施形態では、前記内周面2aの一部に設けた凹部31に基板保持手段4を収納している。この凹部31において基板Aに成膜されるため、以下の説明において当該凹部31を成膜部31と称する。
当該内周面2aは、その全面が微粒子生成部位である。よって、断面視において、成膜部31は、前記プレスヘッド1Aの回転方向に沿った上流および下流で微粒子生成手段Bに隣接する。
本実施形態において成膜部31は、処理容器2の軸芯Z1の上方に位置して垂直方向に凹設してある。
【0035】
基板保持手段4は、生成粉体Cを付着させて表面に粉体膜Fを形成する基板Aを保持する。本実施形態では、基板保持手段4は、棒状の保持部材で構成する。これにより、基板Aを簡単に保持することができる。また、基板Aの背部に生成粉体Cの気流を流通させたい場合に、基板保持手段4の背部空間が縮小されることがなく、スムーズに気流を流すことができる。
さらに、基板保持手段4は、基板Aを処理室3に対して近接離間するように構成してもよい。
この他にも、例えば、基板Aを直接成膜部31の壁面に固定したり、基板Aの端部を成膜部31の一部に固定することができる。これにより、成膜部31の深さを浅くすることができるため、処理容器2の小型化が可能となる。
【0036】
本発明の粉体膜形成装置Xでは、基板Aの材質は特に限定されない。従って、基板Aとしては、例えば電極を構成する銅等の金属基板・ガラス基板・プラスチック基板・樹脂基板・セラミックス基板、及び、弱熱性基板等、種々の材料を用いることができる。
基板Aの表面には、生成粉体Cが、ファンデルワールス力・静電気力および化学結合等によって付着している。そのため、所望の付着状態が得られるように基板材料を選択することが可能である。
【0037】
このような基板Aは、基板保持手段4に保持され、内周面2aの一部に設けた成膜部31に収納してある。このとき、プレスヘッド1Aおよび処理容器2の相対回転時に、プレスヘッド1Aと接触しないように基板Aを所定距離だけ離間させておくことができる。
【0038】
処理室3の内部にて、プレスヘッド1Aおよび処理容器2の相対回転の際に粉体原料mに付与された機械的外力により生成した微粒子(生成粉体C)は、装置本体の内部を浮遊する。
【0039】
本装置では、基板保持手段4が微粒子生成手段Bに隣接した位置に配置してあるため、生成粉体C同士が凝集する前に基板Aに到達させることができる。生成した後に浮遊する生成粉体Cは、直ちに基板保持手段4の付近に到達する。当該生成粉体Cは、基板保持手段4が保持する基板Aの表面に沿って流れ、生成粉体Cは分散した状態で基板に付着し、均質な粉体膜Fが形成される。
【0040】
さらに、本発明の装置では、基板保持手段4を内周面2aの一部に凹設した成膜部31に収納してある。そのため、生成粉体Cを直ちに基板Aに付着させることができる。
【0041】
本実施例では、基板保持手段4に一つの基板Aを取付けた態様を例示してある。しかし、これに限られるものではなく、基板保持手段4に複数の基板Aを配設してもよい。
【0042】
尚、基板保持手段4には、保持する基板Aの保持姿勢を変更可能な角度変更機構42を備えてある。角度変更機構42は、例えば軸芯Z1と平行な軸を備え、当該軸を中心に基板Aの設置角度を変更する。
基板Aの設置角度を変更することにより、生成粉体Cが基板Aに衝突する際の基板Aに対する垂直速度成分を調節することができる。通常、当該垂直速度成分を高めると、形成される粉体膜Fの密度は大きくなり、比表面積は小さくなる。逆に、当該垂直速度成分を低めると、形成される粉体膜Fの密度は小さくなり、比表面積は大きくなる。
【0043】
このように、基板Aに衝突する生成粉体Cの垂直速度成分を制御できるため、基板Aの表面に形成される粉体膜Fの微粒子密度および比表面積を種々変更して、所望の性質を有する粉体膜Fを容易に形成できる。
【0044】
図2〜3に示すように、基板保持手段4には、基板Aに対する生成粉体Cの吹付角度および吹付量のうち少なくとも何れか一方を調節可能な整流手段6を備えてもよい。このような整流手段6により、基板Aの位置が問題となる場合であっても、基板Aに向けて確実に生成粉体Cを吹付けることができ、基板Aへの生成粉体Cの付着状態を制御することができる。
整流手段6を備えることにより、例えば、基板Aの一方の面のみに微粒子を付着させたり、基板Aの両面に生成粉体Cを付着させることができる。例えば、基板Aの両面に生成粉体Cが付着するように制御する場合、図2に示すごとく、生成粉体Cの流れが基板Aの表面方向および裏面方向の2方向に分岐するように、整流手段6として板状部材61を適宜角度調節して基板Aの直前に設ける。
また、整流手段6によれば、基板Aに付着する生成粉体Cの微粒子密度を経時的に制御することができる。この制御により、微粒子密度が異なる多層の粉体膜を形成することができる。
【0045】
また、生成粉体Cの基板Aへの吹付量を調節できるように、図3に示すような整流手段6としてエア供給手段62を設けてもよい。
通常、基板Aの表面に対する微粒子の付着は、既に付着した微粒子の表面に新たに生成した微粒子がさらに付着して行われる。基板Aに微粒子が付着してから第1所定時間が経過するまでの第1微粒子密度と、その後の第2所定時間が経過するまでの第2微粒子密度とを異ならせたい場合がある。
このような場合に、基板Aに向けて種々の強さのエアを供給したり、エア供給角度を変更することで生成粉体Cの基板Aへの吹付量を制御することが可能である。
これにより、微粒子の基板Aへの微粒子密度を経時的に制御し、生成粉体Cの略全てが基板Aに付着するように、或いは、生成粉体Cの一部のみが基板Aに付着するように調節して、基板Aの面積当たりの吹付量を変更することができる。
【0046】
さらに、生成粉体Cの基板Aへの吹付量を制御するべく、整流手段6として生成粉体Cの通過量を調節できる絞り部材(図外)を基板Aの直前に設けてもよい。
【0047】
尚、整流手段6を設けた際、装置本体内の空気量を一定に保ち、スムーズに生成粉体Cが流通するよう、真空ポンプ44によってガス流出部29から吸引するように構成する。図2〜3においては、成膜部31にガス流出部29を設けた場合を例示した。しかし、これに限られるものではなく、例えば処理容器2の図示しない壁面にガス流出部を設けることも可能である。
【0048】
本実施形態では、生成粉体Cが基板Aに到達するのを遮断する遮蔽部材41を備えてある。
例えば、図4に示したように、基板保持手段4を処理容器2の軸芯Z1とは異なる軸芯Z2で回転可能な軸体に構成する。当該基板保持手段4には、基板Aを単数或いは複数設けることが可能である。本実施形態では、2つの基板Aを設けた場合を例示する。このとき、基板保持手段4に凹設した2つの基板収納部32にそれぞれ基板Aを設けている。
遮蔽部材41は、基板保持手段4における基板収納部32以外の周部で構成する。このとき、基板保持手段4を軸芯Z2を中心に回転させることにより、基板収納部32および遮蔽部材41が交互に処理室3に臨むように構成できる。
図4(a)に示したように、基板収納部32が処理室3に臨まず、遮蔽部材41が処理室3に臨むときには、生成粉体Cが基板Aに到達するのを遮断することができる。一方、図4(b)に示したように、基板収納部32が処理室3に臨むときには、生成粉体Cが基板Aに到達してその表面に粉体膜Fを形成することができる。
【0049】
これにより、遮蔽部材41を適切なタイミングで処理室3の側から退避させることにより、生成した微粒子に基板Aを曝すタイミング、即ち、粉体膜Fの成膜の開始時期・完了時期、および、基板Aの暴露時間などを適切に制御することができる。
【0050】
例えば、微粒子生成処理開始時は、遮蔽部材41によって生成粒子Cが基板Aに到達するのを妨げる状態に維持し、微粒子生成処理を一定時間行った後、基板保持手段4を軸芯Z2を中心に回転させて、基板収納部32(基板A)を処理室3の側に臨ませる状態に切り替える。これにより、粉砕途中の粒径の大きな生成粉体Cが基板Aに付着するのを防止できる。また、遮蔽手段41を処理室3の側に臨ませるタイミングを調節することにより膜厚の制御を容易に行えるため、所望の特性を有する粉体膜Fを容易に形成できる。
このとき、成膜部31を下向きに開放するように構成すれば、微粒子生成処理時に粉砕途中の粉体が当該成膜部31に滞留し難くなるため、効率よく生成粉体Cを生成することができる。
また、本実施形態では、基板保持手段4を回転させることで基板Aの取り替えを容易に行うことができる。
【0051】
また、本実施形態において、基板保持手段4を中心として2つの処理容器を対向設置してもよい。この場合、基板保持手段4を回転させることで、基板が臨む処理室を、一方の処理室から他方の処理室に容易に切替えることができる。このため、例えば各処理容器には異なる粉体原料を供給して微粒子生成処理を行えば、性質の異なる複数の層を有する粉体膜を素早く形成することができる。
【0052】
その他、遮蔽部材41としては、図1〜3において成膜部31を覆うように構成して、生成した生成粉体Cが基板Aに到達するまでの領域に、基板Aが生成粉体Cに曝されるタイミングおよび時間を制御できるスライド開閉式のシャッター(図外)を設けてもよい。
この場合、粉砕途中の粉体が成膜部31に侵入するのを防止できるため、効率よく生成粉体Cを生成することができる。シャッターは処理室3の内壁と一体化して構成するのが望ましい。しかし、シャッターおよび当該内壁の間で多少の段差があったとしても、当該段差にて前記粒子が滞留しなければ問題ない。
【0053】
さらに、遮蔽部材41として基板Aの向きを反転させる反転部材(図外)を適用してもよい。
即ち、微粒子生成処理開始時は、基板Aの粉体膜形成面が処理室3の反対側を向くように、反転部材に基板Aを保持させておく。そして、微粒子生成処理を一定時間行った後、反転部材を例えば180度回転させることにより、基板Aの粉体膜形成面が処理室3の側に臨むように配置する。このとき、反転部材は成膜部31の内部で基板Aを保持し、プレスヘッド1Aの回転に干渉しないように配置する。
これにより、反転部材の反転タイミングの調節により膜厚の制御を容易に行えるため、所望の特性を有する粉体膜Fを容易に形成できる。
【0054】
<その他の構成>
(原料投入手段)
上述した原料投入手段90は、粉体原料を処理室3に連続して供給可能に構成できる。
これにより、ある粉体原料mを供給して微粒子生成処理をした後、或いは、微粒子生成処理を継続しつつ同じ粉体原料mを続けて処理容器2内に供給して、当該粉体原料mから生成した生成粉体Cの膜を基板Aの表面に形成できるため、連続運転が可能となる。
【0055】
また、ある粉体原料mを供給して微粒子生成処理を行い、基板Aの表面に膜形成した後に、別の異なる物質あるいは粒径の異なる粉体原料を供給可能に構成することが可能である。これにより、基板Aの表面に複数層の異なる材料からなる粉体膜Fを形成できる。例えば、基板Aに生成粉体Cを付着し易くするためのプライマー膜を形成する粉体原料を、原料投入手段90から投入して微粒子化処理する。そして、基板Aにプライマー膜を形成した後、粉体原料を当該原料投入手段90から投入し、微粒子化処理して生成した生成粉体Cを基板Aに付着させることで、プライマー膜に生成粉体Cが積層した粉体膜Fが形成できる。このように、様々な材料による組み合わせが可能となり、様々な種類の粉体膜Fを形成できる。
尚、原料投入手段90は、例えば、処理容器2の内部に当該粉体原料を供給できるように、出退自在に構成できる。
【0056】
(加熱手段)
粉体膜形成装置Xには、基板Aを加熱する加熱手段43を備えることができる。
この加熱手段43は、例えば基板Aに粉体膜Fを形成した後、基板Aを熱処理できるように構成する。これにより、成膜後に基板Aを高温に保ってアニール(焼きなまし)することで、生成粉体Cを基板Aに衝突させた場合等に生じた基板Aの残留応力を除くことができる。そのため、歪の殆ど無い基板Aを製造できる。
【0057】
(放電手段)
粉体膜形成装置Xには、生成粉体Cに放電する放電手段20を設けてもよい。当該放電手段20は、例えば、内周面2aに対向配置された放電部としての処理面1aから内周面2aに堆積している生成粉体Cに放電可能に構成してある。
詳述すると、放電手段20は、処理容器2に対して絶縁状態とされたプレスヘッド1Aに接続された導線22と、処理容器2に対して接続された導線23との間に、電源部21により電圧を印加する。そして、プレスヘッド1Aの処理面1aと、処理容器2の内周面2aとの間隙7に、グロー放電等により放電プラズマを発生させるように構成してある。よって、内周面2aと処理面1aとの間隙7で機械的エネルギーが付与されている生成粉体Cに対して、放電手段20により放電を行える。
【0058】
これにより、内周面2aと処理面1aとの間隙7で生成粉体Cに対して機械的エネルギーを付与しながら、放電手段20により生成粉体Cに対して放電を行い、粉体粒子の表面を活性化できる。
【0059】
尚、この放電手段20により放電を行う場合には、内周面2a及び処理面1aを、生成粉体Cと同じ材料等でコーティングすることで、内周面2a及び処理面1aのエッチングによる汚染を抑制することができる。
また、放電手段20は、内周面2aに対して放電を行う部分をプレスヘッド1Aの処理面1aとしたが、当該処理面1aとは別の放電部から内周面2aに対して放電を行う構成とすることができる。
【0060】
(超音波発生手段)
粉体膜形成装置Xには、基板Aの表面に粉体膜Fを形成するに際し、基板Aに超音波処理を施す超音波発生手段40を備えてもよい。
つまり、当該超音波発生手段40により、基板Aに直接超音波処理を施して基板Aを振動させることができるため、生成粉体Cが基板Aに付着する際に粉体膜Fの微粒子密度を制御できる。
【0061】
(水蒸気供給手段)
処理容器2の内部に水蒸気Sを供給可能な水蒸気供給手段24を設けることができる。具体的には、バブリング装置等の水蒸気発生装置25と、その水蒸気発生装置25で発生した水蒸気Sを処理容器2の内部に供給する供給管26とを設けることが可能である。さらに、処理容器2の内部の水蒸気分圧を検出すると共に、その検出される水蒸気分圧が所望の目標水蒸気分圧になるように、水蒸気発生装置25の水蒸気発生量を制御する水蒸気分圧制御装置27を設ける。これらの装置により、前記水蒸気分圧を、飽和水蒸気圧以下の範囲内において好適な水蒸気分圧に維持することができる。
【0062】
例えば、複数の材料を合成して生成粉体Cを生成する場合、本構成のように水蒸気存在下で微粒子生成処理を行うことで、良好に固相反応が進行して生成粉体Cが生成される。
【0063】
尚、図1および図3は、それぞれ断面位置が異なり、図1には水蒸気供給手段24を図示し、図3には整流手段6を図示している。
【0064】
(トルクセンサ)
粉体原料mに対して微粒子生成処理を行うことにより、例えば団粒化している粉体原料mが微粒子化する。このとき、プレスヘッド1Aを介して軸体11およびモータにトルク変動が伝達される。このとき、例えば軸体11のトルク変動を検知するトルクセンサ50を備えておくと、処理室3の内部における粉体原料mのおおよその粒子径等の微粒子状態を把握することができる。
【0065】
(微粒子状態判定手段)
粉体膜形成装置Xには、処理容器2の内部で処理されている生成粉体Cの処理状態を判定する微粒子状態判定手段28を設けてもよい。
微粒子状態判定手段28は、処理容器2の内部で機械的作用が加えられる粉体原料mの処理状態が進行するほど、生成粉体Cの比表面積が大きくなり、処理面1aと内周面2aとの相対移動における抵抗が大きくなることを利用する。そして、軸体11の回転数や軸体11にかかるトルクが所定値以上に大きくなった場合に、粉体原料mの処理状態が所望の微粒子状態に達したと判定するように構成してある。
【0066】
尚、微粒子状態判定手段28は、生成粉体Cの処理状態が進行するほど、生成粉体Cの比表面積が大きくなって、摩擦熱の発生量が大きくなることを利用して、生成粉体Cの温度が所定値以上に高くなった場合に、生成粉体Cの処理状態が所望の微粒子状態に達したと判定するように構成することが可能である。
【0067】
(動力制御手段)
粉体膜形成装置Xには、微粒子状態判定手段28の判定結果に基づいて、回転駆動手段12の動力を制御する動力制御手段30を設けてもよい。
動力制御手段30は、微粒子状態判定手段28が生成粉体Cの処理状態が所望の微粒子状態に達したと判定したときに、回転駆動手段12の動力を低減させることで、処理面1aと内周面2aとの相対移動速度を低下させるように構成してある。
【実施例1】
【0068】
上述した粉体膜形成装置Xを用いて、以下の条件で微粒子生成処理を行い、基板Aに粉体膜を形成した。粉体原料として二酸化チタンを使用した。
【0069】
【表1】


【0070】
表1における「処理時間」とは、遮蔽部材41によって生成粉体Cが基板Aに到達するのを遮断されない状態、即ち基板Aが処理室3に臨む状態となり、基板Aに微粒子が付着し得る時間を指す。
【0071】
微粒子生成処理前の二酸化チタンは平均粒子径が10nm(一次粒子径)であった。この二酸化チタンを粉体原料mとし、表1に記載の条件で微粒子生成処理を行ったところ、上記一次粒子径と略同じ粒子径を有する二酸化チタン粒子によって成膜できた(図5)。
【0072】
〔別実施の形態1〕
上述した実施形態では、単一材料からなる粉体の微粒子を粉体膜Fの形成に用いる場合について説明したが、これに限られるものではない。
例えば燃料電池の電極材料を形成するための微粒子、即ち、希土類金属酸化物の粉体と、希土類金属ではない他金属の酸化物又は炭酸塩の粉体とを混合してなる混合粉体を粉体原料とし、この混合粉体を粉砕処理すると共に、互いに合成させて生成粉体(合成粉体)を得る。
【0073】
この場合、生成粉体は、混合粉体に圧縮力・剪断力・衝撃力等の機械的外力を付与することで粉砕・精密混合・粒子複合化・粒子間固相反応等の処理を行うのに必要な機械的エネルギーを与え、複数の粉体を複合化かつ活性化させて合成した粉体(合成粉体)を生成するメカノケミカル法と呼ばれる方法により生成される。
【0074】
生成粉体は、例えば、La(ランタン)等から選択される一種以上の希土類金属酸化物の粉体と他金属材料の粉体とを混合してなる混合粉体を原料として生成される。ここで、他金属材料は、Mn(マンガン)等の他金属の酸化物、または、Sr(ストロンチウム)等の他金属の炭酸塩を例示する。
この混合粉体に対して、上述した微粒子生成手段Bにより圧縮力及び剪断力等の機械的エネルギーを付与することで、その混合粉体において上記希土類金属酸化物と他金属材料との固相反応を生じさせる。
これにより、LaMnO3(ランタンマンガン酸化物)、又は、そのLaMnO3中のLaの一部をSr(ストロンチウム)で置換したLa1-xSrxMnO3(ランタンストロンチウムマンガン酸化物:LSM)等のペロブスカイト型酸化物である合成粉体が生成できる。
【0075】
〔別実施の形態2〕
上述した実施形態では、処理容器2が固定され、当該処理容器2の内部でプレスヘッド1Aが回転する場合を例示した。しかし、これに限らず、プレスヘッド1Aが固定され処理容器2が回転するように構成できる。
この場合、処理室3の内部空間に基板保持手段4を配置することが可能である。具体的には、処理容器2の回転方向を基準としてプレスヘッド1Aの下流に基板保持手段4を設ける。このとき、基板保持手段4は、微粒子生成手段Bであるプレスヘッド1Aの処理面1aに隣接した位置に配置される。
この場合においても、生成粉体Cは、生成した後、直ちに基板Aの表面に沿って流れ、当該微粒子が分散した状態で基板Aに付着させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の粉体膜形成装置は、粉体原料に、機械的外力を付与して生成した微粒子を、電極等の基板に付着させて粉体膜を形成する成膜装置として適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明における粉体膜形成装置の全体構成図
【図2】整流手段近傍の要部概略図
【図3】整流手段近傍の要部概略図
【図4】遮蔽手段近傍の概略図
【図5】形成された粉体膜の拡大写真を示した図
【符号の説明】
【0078】
X 粉体膜形成装置
A 基板
B 微粒子生成手段
C 微粒子(生成粉体)
m 粉体原料
Z1 軸芯
1 押圧部材(プレスヘッド)
2 処理容器
4 基板保持手段
6 整流手段
31 凹部(成膜部)
41 遮蔽部材

【出願人】 【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
【識別番号】502360363
【氏名又は名称】株式会社ホソカワ粉体技術研究所
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
【出願日】 平成18年7月10日(2006.7.10)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎

【識別番号】100114959
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 徹也


【公開番号】 特開2008−18299(P2008−18299A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−189824(P2006−189824)