トップ :: B 処理操作 運輸 :: B05 霧化または噴霧一般;液体または他の流動性材料の表面への適用一般

【発明の名称】 溶液塗布装置
【発明者】 【氏名】鶴岡 保次

【氏名】生田 亮

【要約】 【課題】異なるタイミングで塗布された溶液の境目部分で膜厚が厚くなる不具合を防止することのできる溶液塗布装置を提供すること。

【構成】吐出孔30が形成された複数の塗布ヘッド16を有し、各塗布ヘッド16の吐出孔30から溶液を吐出させて基板S上に塗布膜を形成する溶液塗布装置10において、塗布ヘッド16と塗布ヘッド16との間に、基板Sに塗布された溶液の溶媒雰囲気の拡散を防止する拡散防止部材54を設けたもの。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出孔が形成された複数の塗布ヘッドを有し、各塗布ヘッドの吐出孔から溶液を吐出させて基板上に塗布膜を形成する溶液塗布装置において、
前記塗布ヘッドと塗布ヘッドとの間に、前記基板に塗布された溶液の溶媒雰囲気の拡散を防止する拡散防止部材を設けたことを特徴とする溶液塗布装置。
【請求項2】
複数の塗布ヘッドと基板とを、基板の表面に沿う所定の方向に相対移動させ、各塗布ヘッドにおける相対移動方向と直交する方向に沿って配設された複数の吐出孔から溶液を吐出させて基板上に塗布膜を形成する溶液塗布装置において、
前記複数の塗布ヘッドは、前記相対移動方向に複数列に配置されてなり、
前記塗布ヘッドと塗布ヘッドとの間に、前記相対移動方向において先行する塗布ヘッドによって前記基板に塗布された溶液の溶媒雰囲気の拡散を防止する拡散防止部材を設けたことを特徴とする溶液塗布装置。
【請求項3】
前記板状の拡散防止部材が、前記複数の塗布ヘッドを囲む長さと幅を有する大きさの四角板状のカバーからなる請求項2に記載の溶液塗布装置。
【請求項4】
前記カバーは、各塗布ヘッドを挿通する開口部を有し、
該カバーの開口部に該塗布ヘッドを挿通して該カバーを該塗布ヘッドに支持した請求項3に記載の溶液塗布装置。
【請求項5】
前記カバーと前記塗布ヘッドとの間にシール部材を介装した請求項4に記載の溶液塗布装置。
【請求項6】
前記塗布ヘッドにおける吐出孔の形成面を清掃するワイピング部材と、
前記拡散防止部材を該吐出孔の形成面と交差する方向に移動させる昇降装置と、を備え、
該昇降装置は、該ワイピング部材にて該吐出孔の形成面を清掃するときに、該拡散防止部材を該吐出孔の形成面よりも上方の高さ位置に退避可能とする請求項1〜5のいずれかに記載の溶液塗布装置。
【請求項7】
前記基板に溶液を塗布するときに、前記拡散防止部材を前記塗布ヘッドの吐出孔の形成面と略同じ高さ位置に位置付ける請求項6に記載の溶液塗布装置。
【請求項8】
前記溶液に含まれる溶媒を前記拡散防止部材の表面に塗布する溶媒塗布部材を備える請求項1〜5のいずれかに記載の溶液塗布装置。
【請求項9】
前記拡散防止部材は、熱伝導性を有する部材で形成されてなり、前記塗布ヘッドと熱伝導可能に接続されてなる請求項1〜8のいずれかに記載の溶液塗布装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布ヘッドの吐出孔から溶液を吐出させて基板上に塗布する溶液塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶表示装置や半導体装置の製造工程においては、ガラス基板や半導体ウエハ等の基板に、例えば、配向膜やレジスト等の機能性塗布膜が形成される。
【0003】
公知技術文献1には、基板の搬送方向と直交する方向に沿って千鳥状に配置された複数の塗布ヘッドから溶液を噴射させて、基板上に溶液を矩形状のパターンで塗布して機能性塗布膜を形成する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004-24972
【0004】
このように千鳥状に配置された塗布ヘッドは、図12(A)に示す如く、塗布ヘッド116が基板Sの搬送方向(矢印Xで示す)に前後2列の配置となっている。そのため、同じパターンR内であっても、前列の塗布ヘッド116Fで塗布された中央部分R1と後列の塗布ヘッド116Rで塗布された両側部分R2とで、塗布されるタイミングに時間差が生じる。その結果、前列の塗布ヘッド116Fで塗布された部分R1が後列の塗布ヘッド116Rで塗布された部分R2より早く乾燥し始めるため、先に塗布された中央部分R1の溶液の濃度が、後から塗布された両側部分R2の溶液よりも高くなる。このような溶液は、異なる濃度同士が接すると、濃度の低い方が濃度の高い方に引き寄せられるという性質を有する。そこで、先に塗布されて乾燥により濃度が高くなった中央部分R1の溶液に、後から塗布された両側部分R2の溶液が引き寄せられて、図12(B)に示す如く、境目部分Eで厚くなり、すじムラが生じる。
【0005】
尚、前列の塗布ヘッド116Fと後列の塗布ヘッド116Rが離れている程、基板の搬送速度が遅い程、蒸発の速い塗布液ほど、また、塗布膜が薄い程、前列の塗布ヘッド116Fで塗布された部分R1と後列の塗布ヘッド116Rで塗布された部分R2とにおいて、溶液の乾燥の差が大きくなる。その結果、異なるタイミングで塗布された溶液の境目部分Eで不均一な膜厚となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、異なるタイミングで塗布された溶液の境目部分で膜厚が厚くなる不具合を防止することのできる溶液塗布装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、吐出孔が形成された複数の塗布ヘッドを有し、各塗布ヘッドの吐出孔から溶液を吐出させて基板上に塗布膜を形成する溶液塗布装置において、塗布ヘッドと塗布ヘッドとの間に、基板に塗布された溶液の溶媒雰囲気の拡散を防止する拡散防止部材を設けたものである。
【0008】
請求項2の発明は、複数の塗布ヘッドと基板とを基板の表面に沿う所定の方向に相対移動させ、各塗布ヘッドにおける相対移動方向と直交する方向に沿って配設された複数の吐出孔から溶液を吐出させて基板上に塗布膜を形成する溶液塗布装置において、複数の塗布ヘッドは、相対移動方向に複数列に配置されてなり、塗布ヘッドと塗布ヘッドとの間に、相対移動方向において先行する塗布ヘッドによって基板に塗布された溶液の溶媒雰囲気の拡散を防止する拡散防止部材を設けたものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2の発明において更に、板状の拡散防止部材が、複数の塗布ヘッドを囲む長さと幅を有する大きさの四角板状のカバーからなるものである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3の発明において更に、カバーは、各塗布ヘッドを挿通する開口部をそれぞれ有し、カバーの開口部に塗布ヘッドを挿通してカバーを塗布ヘッドに支持したものである。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4の発明において更に、カバーと塗布ヘッドとの間にシール部材を介装したものである。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかの発明において更に、塗布ヘッドにおける吐出孔の形成面を清掃するワイピング部材と、拡散防止部材を吐出孔の形成面と交差する方向に移動させる昇降装置とを備え、昇降装置は、ワイピング部材にて吐出孔の形成面を清掃するときに、拡散防止部材を吐出孔の形成面よりも上方の高さ位置に退避可能とするものである。
【0013】
請求項7の発明は、請求項6の発明において更に、基板に溶液を塗布するときに、拡散防止部材を塗布ヘッドの吐出孔の形成面と略同じ高さ位置に位置付けるものである。
【0014】
請求項8の発明は、請求項1〜5のいずれかの発明において更に、溶液に含まれる溶媒を拡散防止部材の表面に塗布する溶媒塗布部材を備えるものである。
【0015】
請求項9の発明は、請求項1〜8のいずれかの発明において更に、拡散防止部材は、熱伝導性を有する部材で形成されてなり、塗布ヘッドと熱伝導可能に接続されてなるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、塗布ヘッドと塗布ヘッドの間に拡散防止部材を設けることによって、基板に塗布された溶液の溶媒雰囲気が拡散することが防止されるので、複数の塗布ヘッドを用いて異なるタイミングで塗布された溶液間の乾燥の差を抑制することができる。その結果、基板上に均一な膜厚の塗布膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は溶液塗布装置を要部の断面とともに示す側面図、図2は図1における拡散防止部材の取付け状態を示し、(A)は上面図、(B)は底面図、図3は図2(A)のA―A断面図、図4は図2(A)のB−B断面図、図5は溶液の塗布状態を説明するための模式図で、(A)は塗布開始時におけるパターンの塗布開始位置の平面図、(B)は塗布後におけるパターンの塗布開始位置の平面図、図6は溶液塗布時における拡散防止部材の高さ位置を示す模式図、図7は吐出孔の清掃時における昇降装置の動作を説明するための模式図、図8は他の実施例の要部を示す模式図、図9は図8の拡散防止部材の表面における溶媒塗布部分を示す模式図、図10は塗布ヘッドの配置の変形例を説明するための模式図、図11は図8の実施例における拡散防止部材の変形例を示す要部模式図である。
【実施例】
【0018】
(実施例1)
以下、図面を参照しながらこの発明の一実施例を説明する。
【0019】
図1に示すこの発明に係る溶液塗布装置10はベース11を有し、ベース11の上面に、所定の間隔で離間した一対のレール12が、図中X軸方向(左右方向)に沿って敷設される。レール12上に搬送テーブル13が移動可能に設けられ、不図示の駆動手段によって駆動される。搬送テーブル13の上面に多数の支持ピン14が設けられ、これら支持ピン14上に、例えば液晶表示装置に用いられるガラス製の基板Sが載置され、搬送テーブル13のX軸方向への移動により基板Sが搬送される。
【0020】
一対のレール12を跨いで、ベース11上に門型の支持体17が固定される。支持体17の梁部17Aの前面に、図2に示す如く、X軸方向に直交するY軸方向(前後方向)に長い矩形の取付枠15が固定される。取付枠15の内側に矩形柱体状の3つの塗布ヘッド16が、長辺部をY軸方向にして、X軸方向に前後2列でY軸方向に沿って千鳥状に配置される。前列には、1つの塗布ヘッド16Fが取付枠15の前側部分15Aの内側の中央部にブラケット20を介して取付けられ、後列には、2つの塗布ヘッド16Rが取付枠15の後側部分15Bの内側の両側部にそれぞれブラケット20を介して取付けられる。従って、搬送テーブル13のX軸方向への移動により、塗布ヘッド16と搬送テーブル13に載置された基板Sとは、基板Sの表面に沿う所定方向としてのX軸方向に沿って相対的に移動する。
【0021】
塗布ヘッド16の下部には、図3、図4に示す如く、つば部16Aが一体に形成され、つば部16Aの下端面に、図2(B)に示す如く、Y軸方向に沿って複数の吐出孔30が等ピッチPに形成される。塗布ヘッド16は吐出孔30が形成された形成面16Bを下側にして、吐出孔30の形成面16Bが基板Sに対して平行となる状態で配設される。
【0022】
各吐出孔30に対応して不図示の液室がそれぞれ設けられ、各液室には不図示の複数の圧電素子が設けられる。液室内には、例えば、ポリイミドを溶媒中に溶解した溶液が供給され、塗布ヘッド16内に設けられた不図示の駆動部から圧電素子に駆動電圧が供給されると、圧電素子が伸縮して液室内の溶液が吐出孔30から基板Sの上面に噴射吐出される。
【0023】
また、塗布ヘッド16は、前列の塗布ヘッド16Fと後列の塗布ヘッド16Rが、図2(B)に示す如く、3つの塗布ヘッド16の吐出孔30がY軸方向に等ピッチPとなるように、Y軸方向に沿って配設される。即ち、後列の2つの塗布ヘッド16Rは、前列の1つの塗布ヘッド16Fの両側に、隣り合う端部同士がそれぞれ一部重なって前後2列に配設される。その結果、前列の塗布ヘッド16Fの吐出孔30と後列の塗布ヘッド16Rの吐出孔30とは、X軸方向(基板Sの搬送方向)に距離を置いて位置する。
【0024】
次に、図1に示す如く、溶液塗布装置10は、搬送テーブル13の前進移動方向(図1中、右方向)の前面部に、塗布ヘッド16の吐出孔30の形成面16Bに付着した溶液を清掃するためのワイピング部材としての弾性ブレード35と、弾性ブレード35を吐出孔30の形成面16Bに沿って移動させる移動機構36とからなる清掃装置40と、弾性ブレード35に付着した溶液を洗浄するための洗浄装置41を備える。
【0025】
清掃装置40の弾性ブレード35はゴム等の弾性材からなり、図3、図4に示す如く、回転軸42上に固定された取付ブロック43に取付けられる。回転軸42は、概略搬送テーブル13のY軸方向の長さ相当の幅を有する箱形の洗浄槽44に軸受け47を介してY軸方向に沿って取付けられ、回転軸42には、3つの塗布ヘッド16に対応して3つの取付ブロック43が取付けられる。
【0026】
一方、搬送テーブル13の前面に取付けられたL字状のブラケット45の水平部45A上に、洗浄槽44及び洗浄槽44に回転軸42を介して支持された弾性ブレード35を吐出孔30の形成面16Bに沿って移動させる移動機構36が設けられる。移動機構36は、洗浄槽44を昇降させる昇降シリンダ46と、昇降シリンダ46をX軸方向に移動させるスライド装置50からなる。昇降シリンダ46はシリンダ46Aとシリンダ46A内を昇降動するピストンロッド46Bからなり、ピストンロッド46Bの先端部に洗浄槽44が固定される。また、洗浄槽44の底部には、図3に示す如く、昇降ガイド48が設けられる。
【0027】
スライド装置50は、L字状のブラケット45の水平部45A上にX軸方向に沿って敷設されたガイドレール51と、ガイドレール51に沿って移動するスライドテーブル52からなり、スライドテーブル52はモータ53によって駆動される。
【0028】
弾性ブレード35の洗浄装置41は、洗浄槽44と、洗浄槽44内に貯溜された洗浄液としての溶媒Cと、取付ブロック43に取付けられた弾性ブレード35を上方の塗布ヘッド16側の上限位置と下方の洗浄槽44側の下限位置にそれぞれ回転停止させる不図示の間欠回転機構からなる。洗浄装置41は、間欠回転機構による回転軸42の間欠回転により、弾性ブレード35を上限位置から時計方向に180度反対側の下限位置に回転停止させて、弾性ブレード35を洗浄槽44内の溶剤Cに浸漬させ、弾性ブレード35に付着した溶液を洗浄できるようになっている。
【0029】
溶液塗布装置10は搬送テーブル13の駆動手段、塗布ヘッド16の圧電素子の駆動部、清掃装置40の移動機構36、洗浄装置41の間欠回転機構等を制御する不図示の制御装置を備える。
【0030】
次に、溶液塗布装置10は、図2に示す如く、基板S上に塗布された溶液に含まれる溶媒が蒸発することによって生じる溶媒雰囲気が拡散することを防止する拡散防止部材としてのカバー54を塗布ヘッド16と塗布ヘッド16との間に備える。
【0031】
カバー54は、図2(A)の上面図と(B)の底面図、及び、図3、図4の各断面図に示す如く、取付枠15の内周に挿入され、3つの塗布ヘッド16全体を囲むX軸方向に長さL、Y軸方向に幅Wを有する大きさの矩形に形成される。カバー54は金属製の板材からなり、3つの塗布ヘッド16を挿通するための3つの矩形の開口部54Aを有する。図3に示す如く、矩形の開口部54Aの周辺は上方に垂直に折り曲げられて、起立部54Bが形成され、更に、起立部54Bの内周は水平に折り曲げられて、係止部54Cが形成される。係止部54Cを塗布ヘッド16の下端部外周のつば部16Aの上面に係止させることにより、カバー54は3つの塗布ヘッド16に支持される。また、塗布ヘッド16のつば部16Aと係止部54Cとの間にはゴム等の弾性材からなるシール部材55が介装される。
【0032】
カバー54は、図6に示す如く、基板Sの上面と対向する表面が塗布ヘッド16の吐出孔30の形成面16Bと略同じ高さ位置になるように塗布ヘッド16に支持され、溶液の塗布時に、基板S上面との間に小さな隙間δを形成し、塗布された溶液から蒸発する溶媒の濃厚な雰囲気を隙間δ内に保持する。カバー54と基板Sとの間に形成される隙間δはカバー54の外周部で外気中に開口する。
【0033】
基板S上への溶液の塗布時に、図5(A)、(B)に示す如く、カバー54は、X軸方向に2列に配置された塗布ヘッド16のうちの前列の塗布ヘッド16Fによって、後列の塗布ヘッド16Rより先に(以下、「早いタイミングで」という場合がある)塗布されたパターンRの中央部分R1の溶液の上面を覆い、基板Sと基板Sと対向するカバー54表面との間に、塗布された溶液の溶媒雰囲気空間を形成して、溶液の乾燥を抑制する。
【0034】
次に、弾性ブレード35にて吐出孔30の形成面16Bを清掃するとき、溶液塗布装置10は、図4に示す如く、カバー54を吐出孔30の形成面16Bと交差する上下方向に移動させて、カバー54を吐出孔30の形成面16Bよりも上方の高さ位置に退避可能とする昇降装置60を備える。
【0035】
昇降装置60は、図3、図4に示す如く、洗浄槽44内のY軸方向の両側の中央部に、洗浄槽44の底部に固定して設けられた2つの昇降部材61と、昇降部材61の上昇時に昇降部材61の先端部に当接するカバー54のストッパ部54Dと、カバー54を取付枠15に沿って昇降動させるためのリニアガイド62と、カバー54のガイド部54Eからなる。
【0036】
昇降部材61はロッド61Aと、ロッド61Aの上端部に回転自在に取付けられたローラ61Bからなる。
【0037】
尚、昇降部材61としては、エアシリンダ、ソレノイド等のアクチュエータを取付枠15に取付けて、洗浄槽44の昇降に連動させて、カバー54を昇降するようにしても良い。
【0038】
一方、図4に示す如く、カバー54の長辺部の両側は上方に垂直に折り曲げられて、ガイド部54Eが形成される。また、図2、図3に示す如く、カバー54の短辺部の両側は上方に垂直に折り曲げられ、更に、先端部が内側に折り返されて、底辺部と対向して矩形のストッパ部54Dが一体に形成される。また、ストッパ部54Dに対向する底辺部と垂直に折り曲げられた部分は矩形状に切り欠かれて、切欠部54Gが形成される。
【0039】
また、図4に示す如く、取付枠15の前側部分15Aと後側部分15Bの各内側の両側部に、それぞれ2つのリニアガイド62が上下のストッパ63A、63Bにて固定される。リニアガイド62には、カバー54のガイド部54Eに摺接してカバー54を案内するためのベアリングを備えたスライド部材64が装着される。
【0040】
以上の構成からなる溶液塗布装置10の動作を、図1、図5、図6を参照して、説明する。
【0041】
搬送テーブル13の駆動手段を駆動させて、搬送テーブル13を図1の位置からX軸方向へ前進移動(図1中、右方向)させる。
【0042】
次いで、図5に示す如く、基板S上に塗布描画するパターンRの塗布開始位置R0が前列の塗布ヘッド16Fの吐出孔30の下に到達するタイミングで、前列の塗布ヘッド16Fの駆動部33を駆動して圧電素子を伸縮させ、塗布ヘッド16の複数の吐出孔30からの溶液の噴射吐出を開始させ、搬送テーブル13を移動させながら基板S上に溶液を液滴状に塗布し、薄膜を形成する。
【0043】
このとき、前列の塗布ヘッド16Fによって塗布されたパターンRの中央部分R1の溶液の上部は、図6に示す如く、塗布ヘッド16と塗布ヘッド16との間に設けられたカバー54によって覆われているので、溶液上に生じた溶媒雰囲気が拡散することが防止され、基板Sとカバー54との間の小さな隙間δに、溶液に含まれる溶媒の濃厚な溶媒雰囲気空間が形成される。塗布ヘッド16のつば部16Aとカバー54との間に介装されたシール部材55は、溶媒雰囲気空間を密封して上方への拡散を阻止する。溶媒雰囲気は、前列の塗布ヘッド16Fによって後列の塗布ヘッド16Rより先に基板S上に塗布された溶液の乾燥を抑制する。
【0044】
また、カバー54は、図2(B)に示す如く、3つの塗布ヘッド16を囲むX軸方向に長さL、Y軸方向に幅Wを有する大きさの矩形に形成されるので、カバー54と基板Sとの間に大きな面積の溶媒雰囲気空間が形成され、先に塗布された溶液の乾燥が抑制される。また、基板Sとカバー54との間の隙間δは、カバー54の外周の開口までの距離(流路長)が長くなり、先に塗布された溶液の溶媒雰囲気が外気中に拡散するのを抑える。
【0045】
また、図6に示す如く、カバー54を吐出孔30の形成面16Bと略同じ高さ位置に設け、基板Sとカバー54の間の間隔を可能な限りの最小の隙間δとすることにより、溶媒雰囲気の濃度をより濃く保つことができる。
【0046】
次いで、図5(A)に示す如く、基板S上に塗布描画するパターンRの塗布開始位置R0が後列の2つの塗布ヘッド16Rの吐出孔30の下に到達するタイミングで、後列の2つの塗布ヘッド16の駆動部33を駆動して圧電素子を伸縮させて塗布ヘッド16の複数の吐出孔30からの溶液の噴射吐出を開始させて、搬送テーブル13を移動させながら基板S面上に溶液を液滴状に塗布する。
【0047】
先に塗布されたパターンRの中央部分R1の溶液は溶媒雰囲気下で乾燥が抑制されているので、図5(B)に示す如く、後列の塗布ヘッド16Rによって塗布されたパターンRの両側部分R2の溶液と先に塗布された中央部分R1の溶液とは、その濃度がほぼ同じとなり境目部分Eで両側部分R2の溶液が中央部分R1の溶液の側に引き寄せられることが防止されて、基板S上に均一な厚みの薄膜が形成される。尚、各塗布ヘッド16F、16Rによる溶液の噴射吐出は、各塗布ヘッド16F、16Rの吐出孔30の下にパターンRにおける搬送方向後端の塗布終了位置(不図示)が到達するタイミングまで継続される。
【0048】
次に、塗布ヘッド16の吐出孔30の形成面16Bの清掃について、図1、図4、図7を参照して、説明する。
【0049】
搬送テーブル13を移動させて、弾性ブレード35を、図1に示すX軸方向において塗布ヘッド16の手前の原位置に位置付ける。
【0050】
次いで、弾性ブレード35の移動機構36の昇降シリンダ46を伸張させて、洗浄槽44及び弾性ブレード35を、原位置から上昇させて、図7に示す如く、弾性ブレード35が吐出孔30の形成面16Bに接触することのできる高さ位置に位置付ける。このとき、洗浄槽44内の底部に固定された2つの昇降部材61も洗浄槽44と一体に上昇して、図7に示す如く、昇降部材61の先端のローラ61Bがカバー54の底部の切欠部54G内を通り、ストッパ部54Dに当接する。昇降部材61は、カバー54を、吐出孔30の形成面16Bと略同じ高さ位置(図6に示す)から取付枠15内周のリニアガイド62に沿って吐出孔30の形成面16Bよりも上方の高さ位置(図7に示す)まで上昇させる。
【0051】
次いで、弾性ブレード35の移動機構36のスライドテーブル52を駆動して、洗浄槽44及び弾性ブレード35をX軸方向へ前進移動(図1中、右方向)させる。弾性ブレード35は、吐出孔30の形成面16Bに付着した溶液を拭き取って、吐出孔30の形成面16Bを清掃する。このとき、昇降部材61はカバー54を持ち上げたままガイドローラ61Bを介してストッパ部54Dに沿って前進する。
【0052】
以上の如く、昇降装置60は、弾性ブレード35にて吐出孔30の形成面16Bを清掃するとき、カバー54を吐出孔30の形成面16Bと交差する上方向に移動させて吐出孔30の形成面16Bよりも上方の高さ位置に退避可能とする。その結果、吐出孔30の形成面16Bとカバー54との間に形成される矩形の隙間αに弾性ブレード35で拭き取った溶液が溜まったり、カバー54の表面に拭き取った溶液が付着したりすることが防止される。
【0053】
次いで、昇降シリンダ46を収縮させて洗浄槽44及び弾性ブレード35を下降させ、更に、スライド装置50のスライドテーブル52を駆動して、洗浄槽44及び弾性ブレード35をX軸方向へ後退移動(図1中、左方向)させて、原位置に復帰させる。
【0054】
次いで、洗浄装置41の不図示の間欠回転機構を駆動して回転軸42を回転させ、弾性ブレード35を上方の塗布ヘッド16側の上限位置から時計方向に180度回転させて、下方の洗浄槽44側の下限位置に停止させ、弾性ブレード35を溶剤Cに浸漬させる。洗浄槽44内の溶剤Cが弾性ブレード35に付着した溶液を溶解して洗浄する。
【0055】
次いで、下限位置から回転軸42を時計方向に180度回転させて、弾性ブレード35を上限位置に復帰させる。
【0056】
本実施例によれば、以下の作用、効果を奏する。
(a)塗布ヘッド16と塗布ヘッド16との間に設けたカバー54によって、基板S上に塗布された溶液の溶媒雰囲気が拡散することが防止されるので、複数の塗布ヘッド16を用いて異なるタイミングで塗布された溶液間の乾燥の差が抑制される。その結果、異なるタイミングで塗布された溶液間の境目部分Eで、後に塗布された溶液が先に塗布された溶液に引き寄せられることが防止され、膜厚が均一な薄膜を形成することができる。従って、異なるタイミングで塗布された溶液の境目部分Eで膜厚が厚くなることが防止され、基板S上に均一な膜厚の機能性薄膜を形成することができる。
【0057】
(b)塗布ヘッド16と塗布ヘッド16との間に、基板Sとの間に小さな隙間δを介して設けられたカバー54が、X軸方向(基板Sの搬送方向)に沿って2列に配置された塗布ヘッド16のうち前列の塗布ヘッド16Fによって後列の塗布ヘッド16Rより先に基板S上に塗布された溶液の上面を覆うので、基板S上に塗布された溶液の溶媒雰囲気が拡散することが防止される。その結果、異なるタイミングで塗布された溶液間の境目部分Eで、後に塗布された溶液が先に塗布された溶液に引き寄せられることが防止され、均一な薄膜を形成することができる。従って、異なるタイミングで塗布された溶液の境目部分Eで膜厚が厚くなることが防止され、基板S上に形成される機能性薄膜の品質を向上させることができる。
【0058】
(c)板状の拡散防止部材が、複数の塗布ヘッド16全体を囲む長さLと幅Wを有する大きさの四角板状のカバー54からなるので、基板Sとカバー54との間に、大きな面積の溶媒雰囲気空間が形成され、先に塗布された溶液の乾燥が抑制される。基板Sとカバー54との間の隙間δはカバー54の外周部の開口までの距離(流路長)が長いので、先に塗布された溶液の溶媒雰囲気が外気中に拡散し難くなる。これにより、先に塗布された溶液の周囲に溶媒雰囲気をより確実に形成することができ、溶液の乾燥を抑制する効果をより高めることができる。よって、形成される機能性薄膜の膜厚の均一性をより高めることができる。
【0059】
(d)カバー54は、各塗布ヘッド16を挿通する開口部54Aをそれぞれ有し、カバー54の開口部54Aに塗布ヘッド16を挿通して、カバー54を塗布ヘッド16の外周のつば部16Aに支持するので、カバー54を簡単な構造で支持することができる。
【0060】
(e)カバー54と塗布ヘッド16との間に介装したシール部材55が、溶媒雰囲気空間の上部を密封して上方への溶媒の拡散を阻止する。このため、基板Sとカバー54との間に溶媒雰囲気をより確実に形成することができ、基板S上に塗布された溶液の乾燥を抑制する効果をより向上させることができる。
【0061】
(f)塗布ヘッド16の吐出孔30の形成面16Bを弾性ブレード35によって清掃するとき、昇降装置60はカバー54を吐出孔30の形成面16Bと交差する上方向に移動させて吐出孔30の形成面16Bよりも上方の高さ位置に退避可能とするので、吐出孔30の形成面16Bの清掃動作時に、塗布ヘッド16の外周とカバー54の内周との間に形成される矩形状の隙間αに、弾性ブレード35に付着した溶液が入ったり、カバー54の表面に付着したりすることが防止される。隙間αに溶液が溜まると、この溶液が、次の基板Sに対する溶液の塗布中に自重で落下し、塗布不良を招くことが考えられるが、上述のように隙間αに溶液が入ることが防止されることで、このような塗布不良を未然に防ぐことができ、信頼性を向上させることができる。
【0062】
また、吐出孔30の形成面16Bの清掃が十分にできないために吐出孔30の周りに溶液が付着したままになっていると、溶液の吐出方向がずれたり、吐出量が少なくなったりして、塗布不良を招くおそれがある。本実施例では、塗布ヘッド16の吐出孔30の形成面16Bの清掃時に、昇降装置60がカバー54を吐出孔30の形成面16Bよりも上方の高さ位置に退避させるので、カバー54を設けることによって、吐出孔30の形成面16Bの清掃が妨げられることがない。
【0063】
また、溶液の塗布時には、カバー54の高さ位置を吐出孔30の形成面16Bと略同じ高さ位置まで下げて、基板Sとカバー54との間隔を極力小さくし、基板Sとカバー54との間に濃厚な溶媒雰囲気空間を形成するようにした。その結果、先に塗布された溶液の乾燥を抑制することができる。
【0064】
また、カバー54の高さ位置を吐出孔30の形成面16Bと略同じ高さ位置とした。そのため、吐出孔30の形成面16Bとカバー54との間に段差が生じないので、カバー54と基板Sとの間の溶媒雰囲気が、塗布ヘッド16及びカバー54と基板Sとの相対移動中に、この段差によって掻き乱されることが防止できる。その結果、溶媒雰囲気に濃度ムラが生じることが防止できる。従って、溶媒雰囲気の濃度ムラに起因して塗布された溶液の乾燥にムラが生じることが防止でき、より均一な膜厚の機能性薄膜を形成することが可能となる。
【0065】
(g)カバー54の昇降装置60を設けて吐出孔30の形成面16Bの清掃時にカバー54を上方向に退避させるようにしたので、溶液の塗布時におけるカバー54の高さ位置を、塗布ヘッド16の吐出孔30の形成面16Bと略同じ高さの位置まで下げることができる。その結果、基板Sとカバー54との間隔を可能な限り小さくして、基板Sとカバー54との間に濃厚な溶媒雰囲気空間を形成することができる。また、板状のカバー54の高さ位置は、吐出孔30の形成面16Bより低くないので、弾性ブレード35による吐出孔30の形成面16Bの清掃を妨げることはない。
【0066】
尚、本実施例では、3つの塗布ヘッド16の吐出孔30がY軸方向に等ピッチPとなるように、前列の塗布ヘッド16Fと隣り合う後列の塗布ヘッド16Rの端部同士を重ねて、基板の搬送方向に2列に配置したが、図10に示す如く、前列の塗布ヘッド16Fと隣り合う後列の塗布ヘッド16Rを、後列の塗布ヘッド16Rの吐出孔30のピッチPを前列の塗布ヘッド16Fに対して半ピッチ分だけY軸方向にずらして、基板の搬送方向に2列に配置するものでも良い。この場合には、前列の塗布ヘッド16Fによって先に塗布された液滴と、後列の塗布ヘッド16Rによって後から塗布された液滴とが隣り合い、互いに一体化して1つの膜となる。
【0067】
(実施例2)
実施例2は、溶液に含まれる溶媒として洗浄液Cを、図8、図9に示す如く、基板Sの上面と対向するカバー54の表面に塗布する塗布ローラ72を有する溶媒塗布部材70を設けたものである。実施例1と相違する部分のみについて、説明する。
【0068】
実施例1では、取付枠15の内周にリニアガイド62を介してカバー54を昇降動可能に設けたが、実施例2では、図8に示す如く、取付枠15の内周にカバー54が固定される。このときのカバー54の高さ位置は、塗布ヘッド16の吐出孔30の形成面16Bと略同じ位置である。
【0069】
前列の塗布ヘッド16Fと対向する側の取付ブロック43に、弾性ブレード35の取付位置から時計方向に90度回転した取付け位置に、L字形状のアーム71が、先端側の一辺71Bが弾性ブレード35と同じ側に位置する状態で、取付けられ、先端側の一辺の先端部に塗布ローラ72が回転自在に取付けられる。塗布ローラ72は、弾性ブレード35が吐出孔30の形成面16Bに当接する高さ位置にあるときに、カバー54の表面に当接する高さ位置に配置される。塗布ローラ72は浸透性のある材料からなり、洗浄液Cを染み込ませて溜めることができる。L字状のアーム71の基端側の一辺71Aの長さは、弾性ブレード35が吐出孔30の形成面16Bの清掃開始位置に位置するとき、塗布ローラ72がカバー54の表面への洗浄液塗布開始位置に位置するように設定される。
【0070】
塗布ローラ72は、弾性ブレード35による吐出孔30の形成面16Bの清掃動作と同時に、図9に示す如く、カバー54表面のうち前列の塗布ヘッド16F後部部分54Hに、塗布ローラ72によって洗浄液Cを塗布する。
【0071】
このように、カバー54表面のうち前列の塗布ヘッド16Fの後部部分54Hに、洗浄液Cを塗布した状態で、図1に示す如く、搬送テーブル13を前進させて、塗布ヘッド16から溶液を噴射吐出させて、基板S上に溶液を塗布する。
【0072】
本実施例によれば、実施例1の(a)〜(e)の作用効果に加えて、以下の作用、効果を奏する。
【0073】
(h)カバー54の表面に洗浄液Cを塗布することで、この洗浄液Cから生じた溶媒雰囲気によって、基板Sとカバー54との間の溶媒雰囲気の濃度をより高くすることができる。このため、基板Sに塗布された溶液の乾燥をより効果的に抑制することができるので、結果として、機能性薄膜の品質を向上させることができる。
【0074】
尚、図11に示す如く、カバー54表面のうち前列の塗布ヘッド16Fの後部部分54Hに凹凸54Jを形成して、洗浄液Cが溜まり易いようにして、溶媒雰囲気空間の濃度を更に高くすることもできる。この凹凸は、溝や凹部によって形成することができる。溝による場合、図9に破線で示される後部部分54Hの範囲に亘って複数本の溝を並行に設ける。この場合、溝は、X軸方向、Y軸方向のいずれかに沿うものでも、どちらにも沿わないものでも良い。また、凹部による場合は、図9に破線で示される後部部分54Hの範囲に亘って行列状に所定の間隔で凹部を設ける。尚、後部部分54Hは、その幅方向(Y軸方向)の寸法が塗布ヘッド16Fによって溶液が塗布される中央部分R1の幅方向の寸法よりも大きい方が好ましい。
【0075】
また、吐出孔30の形成面16Bの清掃と溶媒Cの塗布とを別個の工程にし、不図示のエアシリンダ等のアクチュエータを取付枠15に取付けて、吐出孔30の形成面16Bの清掃時のみエアシリンダを収縮させて、カバー54を上昇させ、また、カバー54の表面に溶媒Cを塗布するときには、エアシリンダを伸張状態にロックしてカバー54を固定するようにしても良い。
【0076】
また、実施例1のように、吐出孔30の形成面16Bを清掃するときに、カバー54を上方に退避させる場合、塗布ローラ72の高さ位置を、弾性ブレード35の高さ位置よりも、カバー54を退避させる高さ分だけ高く設定すると良い。
【0077】
また、洗浄液(溶媒)Cの塗布を、塗布ローラ72で行なう代わりに、スプレーノズル等による吹き付けによって行なうようにしても良い。
【0078】
(実施例3)
実施例3は、図面は省略するが、カバー54を、熱伝導性を有する金属等の材料から形成し、カバー54を塗布ヘッド16と熱伝導可能に接続したものである。上記いずれの実施例においても適用することができる。但し、シール部材55は銅パッキン等の熱伝導性を有する材料からなるものを使用することが好ましい。
【0079】
例えば、インクジェット方式の塗布ヘッド16の場合、塗布ヘッド16内に設けられた駆動部33から発熱するが、このように塗布ヘッド16に温度上昇が生じた場合、塗布ヘッド16に熱伝導可能に接続されたカバー54が放熱板として作用して塗布ヘッド16の熱を放散させる。
【0080】
本実施例によれば、実施例1の(a)〜(g)の作用効果と、実施例2の(h)の作用効果に加えて、更に、以下の作用効果を奏する。
【0081】
(i)塗布ヘッド16内で溶液が体積膨張したり、また、塗布ヘッド16自体が熱変形を生じて、吐出孔30の孔径が変動したりすることが防止できる。その結果、安定した吐出精度が得られ、機能性薄膜の品質を向上させることができる。
【0082】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、本実施例では、基板S上に溶液を塗布して薄膜を形成したが、一定の厚みを有する塗布膜であっても良い。
【0083】
また、ワイピング部材として弾性ブレード35を使用する例を示したが、ワイピング部材は、例えば、溶液を吸収するワイピングクロスであっても良い。
【0084】
また、矩形のカバー54は四角のカバーであっても良い。
【0085】
また、カバー54を、そのカバー54における基板Sの上面と対向する表面が吐出孔30の形成面16Bと略同じ高さとなる位置に設けたが、要は、基板Sに塗布された溶液から生じた溶媒雰囲気の拡散を防止できれば良いので、形成面16Bよりも低い位置に設けても、高い位置に設けても構わない。しかしながら、溶媒雰囲気の拡散防止の点では、基板Sとの間の隙間が小さい方が好ましい。
【0086】
また、塗布ヘッド16に対して基板Sが移動する例で説明したが、塗布ヘッド16と基板Sとは相対的に移動できれば良いので、塗布ヘッド16を移動させても良いし、塗布ヘッド16と基板Sの双方を移動させても良い。
【0087】
また、カバー54を3つの塗布ヘッド16全体を囲う大きさとしたが、要は、先に塗布された溶液に含まれる溶媒が蒸発して生じた溶媒雰囲気の拡散を防止して、先に塗布された溶液の乾燥を抑制できれば良いので、前列の塗布ヘッド16F毎に分割して設けても良い。尚、カバー54を塗布ヘッド16F毎に設ける場合、カバー54の幅方向長さを、塗布ヘッド16Fによって塗布される溶液の幅方向長さ(図5(B)における中央部分R1の幅方向長さに相当)よりも長く設定することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は溶液塗布装置を要部の断面とともに示す側面図である。
【図2】図2は図1における拡散防止部材の取付け状態を示し、(A)は上面図、(B)は底面図である。
【図3】図3は図2(A)のA―A断面図である。
【図4】図4は図2(A)のB−B断面図である。
【図5】図5は溶液の塗布状態を説明するための模式図で、(A)は塗布開始時におけるパターンの塗布開始位置の平面図、(B)は塗布後におけるパターンの塗布開始位置の平面図である。
【図6】図6は溶液塗布時における拡散防止部材の高さ位置を示す模式図である。
【図7】図7は吐出孔の清掃時における昇降装置の動作を説明するための模式図である。
【図8】図8は他の実施例の要部を示す模式図である。
【図9】図9は図8の拡散防止部材の表面における溶媒塗布部分を示す模式図である。
【図10】図10は塗布ヘッドの配置の変形例を説明するための模式図である。
【図11】図11は図8の実施例における拡散防止部材の変形例を示す要部模式図である。
【図12】図12は背景技術における塗布膜を説明するための模式図で、(A)は平面図、(B)は(A)のC−C断面図である。
【符号の説明】
【0089】
10 溶液塗布装置
16 塗布ヘッド
30 吐出孔
35 弾性ブレード(ワイピング部材)
54 カバー(拡散防止部材)
54A 開口部
55 シール部材
60 昇降装置
70 溶媒塗布部材
【出願人】 【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
【出願日】 平成18年7月7日(2006.7.7)
【代理人】 【識別番号】100081385
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 修治


【公開番号】 特開2008−12481(P2008−12481A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−188397(P2006−188397)