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【発明の名称】 車両乾燥装置
【発明者】 【氏名】佐藤 勝美

【氏名】木村 定夫

【要約】 【課題】水性塗料で塗装した車両を乾燥させるのに適した車両乾燥装置を容易に得る。

【構成】塗装される車両4が内部に配置される作業室2に、塗装後に熱風を天井フィルタ8から供給する車両乾燥装置において、作業室2の天井と床との間の側壁2c、2dの中途に設けた熱風ダクト24のノズル28が、車両4に向けて配置されている。作業室2の外部に配置された熱風発生装置30が、熱風ダクト24に伸縮自在の配管32を介して接続されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に塗装される車両が配置される作業室に、少なくとも塗装後に熱風を供給する車両乾燥装置において、
前記作業室の天井と床との間の壁の中途に、前記車両に向けて配置される熱風吹き出し手段と、
前記作業室の外部に配置される熱風源と、
前記熱風吹き出し手段に前記熱風源から熱風を供給する伸縮自在の配管とを、
具備する車両乾燥装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両乾燥装置において、
前記熱風吹き出し手段は、熱風の吹き出し方向を任意に変更可能に設けられたノズルを有する車両乾燥装置。
【請求項3】
請求項1記載の車両乾燥装置において、
前記熱風吹き出し手段は、筐体にノズルを設けたものであり、前記筐体の上面は、前記車両側に向かって斜め下方に傾斜している車両乾燥装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車のような車両を塗装した後に、乾燥させる車両乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両乾燥装置としては、例えば特許文献1に開示されているものがある。この車両乾燥装置は、乾燥室の天井に設けた天井エアダムから熱風を乾燥室内に吹き出すと共に、天井の角に熱風ダクトを設け、この熱風ダクトに天井エアダムに供給された熱風の一部を熱風供給ファンによって送り込み、この熱風ダクトからも熱風を乾燥室内に吹き出すように構成してある。このように天井エアダムと熱風ダクトとの双方から熱風を吹き出すので、水性塗料で車両を塗装した場合でも、短時間で乾燥させることができる。
【0003】
【特許文献1】特開2001−321712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された車両乾燥装置では、熱風ダクトには、天井エアダムから熱風を供給しなければならない。そのため、今まで有機溶剤を使用した塗料で塗装するために、天井エアダムからのみ熱風を供給していた車両乾燥装置において、水性塗料で塗装した車両を乾燥させるために、熱風ダクトを増設しようとした場合、大がかりな改良工事が必要になる。
【0005】
本発明は、水性塗料で塗装された車両を乾燥させるのに適した簡単な構成の車両乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による車両乾燥装置は、内部に塗装される車両が配置される作業室に、少なくとも塗装後に熱風を供給する。なお、塗装中に、送風のみ行うことも可能であるし、熱風よりも低温の熱風を供給することも可能である。この熱風の供給及び送風は、熱源と送風手段とを設け、熱風供給時には熱源と送風手段とを作動させ、送風のみのときには、送風手段のみを作動させる。また、熱風の供給または送風が行われているとき、作業室から排気を行うこともできる。この排気は、排気手段を設けることによって行われる。送風手段や排気手段は、塵埃等を除去するフィルタを備える事が望ましい。熱風の供給または送風は、作業室の天井側から行う事が望ましく、排気は、作業室の床側から行うのが望ましい。以上の構成は、従来使用されてきた有機溶剤系の塗料で車両を塗装した場合の乾燥に適している。しかし、水性塗料で塗装を行う場合には、水性塗料は、有機溶剤系塗料よりも乾燥しにくく、なんらかの処理が必要である。
【0007】
そこで、作業室の天井と床との間の壁の中途に、熱風吹き出し手段が前記車両に向けて配置される。熱風吹き出し手段は、車両の長手方向に沿う両側壁に設けることもできるし、車両の前後に対向する端壁のいずれか一方または双方に設けることもできるし、側壁及びいずれか一方若しくは双方の端壁に設けることもできる。作業室の外部に熱風源が配置される。この熱風源は、内部に上記熱源とは別の熱源を有するものとすることもできるし、作業室内に上記熱源から送風手段によって供給された熱風を吸引して放出するものとすることもできる。熱風吹き出し手段に前記熱風源から熱風を伸縮自在の配管が供給する。なお、上述した排気手段とは別個に排気手段を設けることもできる。
【0008】
この構成では、従前から使用されていた天井からの熱風に加えて、熱風吹き出し手段からの熱風によっても車両を乾燥させることができる。従って、有機溶剤系塗料よりも乾燥しにくい水性塗料で塗装された車両に適した乾燥装置とすることができる。しかも、上述したような既設の有機溶剤系塗装用の車両乾燥装置内に、熱風吹き出し手段を取り付け、作業室の外部に熱風源を配置し、両者を伸縮自在な配管で接続することによって、水性塗料によって塗装された車両に適した車両乾燥室に容易に改良することができる。特に、熱風吹き出し手段が、壁の中途に設けられているので、車両の近くから天井からの熱風に交錯するように熱風を吹き出すことができる。このように、天井からの熱風とは異なる方向から熱風を吹き出すことによって乾燥を促進することができる。また、伸縮自在の配管を利用しているので、異なる大きさの複数の作業室に対しても、同じ熱風吹き出し手段や熱風源を使用して、水性塗料用の乾燥装置にすることができる。
【0009】
熱風吹き出し手段は、熱風の吹き出し方向を任意に変更可能に設けられたノズルを有するものとすることができる。このように構成すると、車両の大きさや高さに応じて、ノズルの向きを変更することができ、適切な乾燥を行うことができる。
【0010】
熱風吹き出し手段は、筐体にノズルを設けたものとすることができる。この場合、筐体の上面は、車両側に向かって斜め下方に傾斜している。このように構成すると、埃等が筐体に付着した場合でも、容易に清掃することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、水性塗料で塗装された車両を乾燥させるのに適した車両乾燥装置を容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の1実施形態の車両乾燥装置は、図1及び図2に示すように、作業室2を有している。作業室2は、概略直方体に形成され、天井2a、床2b、両側壁2c、2d、端壁2e、2fからなる。この作業室2の大きさは、内部に車両、例えば乗用車4を収容可能なものである。図2に示すように、端壁2fには、扉6が取り付けられ、これを開閉することによって、乗用車4を作業室2内から出し入れすることができる。
【0013】
天井2aから床2b側に所定距離だけよった位置に、フィルタ8が取り付けられ、フィルタ8と天井2aとの間に、天井ダクト10が形成されている。図2に概略的に示すように、作業室2の外部に送風手段、例えば送風機12と、この送風機12によって送り込まれた空気を加熱する加熱手段、例えば熱交換機12とが設けられている。熱交換機12によって加熱された空気が、天井ダクト10内に供給され、フィルタ8を介して作業室2内に吹き込まれる。なお、熱交換機14を停止させておいて、送風機12からの空気のみを天井ダクト10、フィルタ8を介して作業室2内に吹き込むこともできる。
【0014】
床2bにはピット16が掘られている。このピット16の床2bでの開口には、格子蓋18が取り付けられている。ピット16には、排気手段、例えば排風機20が取り付けられている。排風機20を作動させると、フィルタ8を介して作業室2内に導入された熱風や空気が、格子蓋18を介してピット16内に導入され、送風機20に設けられた排気筒22から排気される。なお、排気等22にはフィルタが設けられている。
【0015】
上述した構成は、有機溶剤系塗料で塗装した乗用車を乾燥させるために従来から使用されている塗装乾燥装置に相当するものである。
【0016】
作業室10の両側壁2c、2dに熱風吹き出し手段、例えば熱風ダクト24が取り付けられている。これら熱風ダクト24は、図1に示すように側壁2c、2dの天井2aと床2bとの中間位置に、図2に示すように端壁2e、2f方向に沿って設けられている。これら熱風ダクト24は、筐体26を有している。筐体26は、その側面形状が横倒しにした等脚台形状に形成されており、その上面26aが、作業室2の中央側に向かって斜め下方に傾斜している。また、下面26bは、作業室2の中央側に向かって斜め上方に傾斜している。この下面26bに、熱風吹き出し用ノズル28が、側壁2c、2dの長さ方向に間隔をあけて、複数取り付けられている。これらノズル28は、熱風の吹き出し方向が全方向に任意に変更可能に形成されている。この実施形態では、筐体26は、複数、例えば3つのブロックに分割形成され、ブロックごとに複数、例えば2つのノズル28が形成されている。各ブロックは互いに連通している。
【0017】
作業室2の外部に、熱風源、例えば熱風発生装置30が設置されている。この熱風発生装置30は、上述した送風機12及び熱交換機14と同様なものを備え、更に小型化したもので、熱風の供給及び送風を選択的に行うことができる。この熱風発生装置30は、伸縮自在な配管32を介して熱風ダクト24に接続されている。
【0018】
また、熱風発生装置30には、排風装置も取り付けられており、その吸入口34が、作業室2内に開口し、特に、この実施形態では、配管32の下方に位置している。
【0019】
このように構成された車両乾燥装置では、扉6を開いて、作業室2内に乗用車4を入れる。扉6を閉じて、熱交換機14を作動させずに、送風機12を作動させる。この状態で、作業室2内の作業員が乗用車4に水性塗料によって塗装を行う。送風機12からの空気は、熱交換機14を介して天井ダクト10に入り、フィルタ8から作業室2内に噴出され、垂直に下降して、ピット16に入り、排風機20によって排気筒22から外界に放出される。このように絶えず流通し、かつフィルタ8によって清浄化された気流中で塗装が乗用車4への塗装が行われるので、塗膜に塵埃が付着することがない。また、作業室2内の作業環境を良好に維持できる。さらに、排気筒22から排出された空気は、図示していないフィルタによって塗料ミストが除かれているので、周囲の環境に影響を与えることがない。
【0020】
このように塗装作業が終了すると、作業員が扉から外に出て、熱交換機14を作動させる。これによって、フィルタ8から熱風が作業室12内に供給され、垂直に下降して、ピット16に入る流れができる。同時に熱風発生装置30も作動され、熱風ダクト24の各ノズル28から乗用車4に向けて熱風が供給され、天井からの熱風の流れに斜め方向に交錯するため、自動車表面に天井からの熱風の流れによって形成された膜を破壊することができる。また、熱風発生装置30から噴射する熱風の分量だけ、乗用車4の表面を通過する風量が増加する。これらによって、水性塗料の乾燥が促進され、乾燥に要する時間を短縮することができる。
【0021】
熱風ダクト24のノズル28の向きは自由に変更可能であるので、例えば様々な高さの乗用車4を乾燥させる場合でも、その高さに応じた適切な向きにノズル28の向きを変更することができる。
【0022】
また、熱風発生装置30を、送風機12及び熱交換機14とは別個に作業室2の外部に設けているので、熱風ダクト24への熱風等の供給が容易に行える。例えば、天井ダクト10に供給された熱風を熱風ダクト24に供給しようとすると、天井ダクト10から熱風ダクトへ配管を行わねばならないし、その配管中にも送風機を設ける必要があり、大がかりな改良工事を行わなければ、従前の有機溶剤系塗料用の乾燥装置を水性塗料用の乾燥装置に改造できない。これに対し、熱風発生装置30を外部に設けると、この熱風発生装置30と熱風ダクト28との間を配管によって接続するだけの工事を行うだけでよい。しかも、この配管には、伸縮自在な配管32を用いているので、作業室2の長さ寸法が異なる乾燥装置であっても容易に対処できる。
【0023】
熱風ダクト24の筐体26の上面26aが、作業室2の中央側に向かって斜め下方に傾斜しているので、塵埃や塗料が付着しても、容易に除去することができる。
【0024】
上記の実施形態では、塗装時には送風のみを行ったが、乾燥時よりも低い温度の熱風を熱交換器14によって塗装時に発生させ、送風機12によって送風することもできる。また、上記の実施の形態では、熱風発生装置30は、熱交換機と送風機とを備えたものとしたが、作業室2内にフィルタ8から導入された熱風を吸入口34から熱風発生装置30に導入し、熱風ダクト24から吹き出すように送風機のみを備えたものに構成することもできる。この場合、送風機を風量を変更可能に構成し、塗装時には風量を少なくし、乾燥時には風量を多くすることもできる。無論、上述したように、塗装時には低い温度の熱風をフィルタ8から放出し、乾燥時には高い温度の熱風をフィルタ8から放出するようにすることもできる。
【0025】
上記の実施形態では、熱風ダクト24は、側壁2c、2dに設けたが、これに加えて或いはこれに代えて、端壁2eや扉6に設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の1実施形態の乾燥装置の縦断正面図である。
【図2】図1の乾燥装置の縦断側面図である。
【符号の説明】
【0027】
2 作業室
4 乗用車(車両)
24 熱風ダクト(熱風吹き出し手段)
28 ノズル
30 熱風発生装置(熱風発生源)
【出願人】 【識別番号】594014904
【氏名又は名称】エヌ・ケー・ナダセイカ株式会社
【識別番号】506229866
【氏名又は名称】株式会社ラインズシマザキ
【出願日】 平成18年7月4日(2006.7.4)
【代理人】 【識別番号】100090310
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 正俊


【公開番号】 特開2008−12402(P2008−12402A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−184342(P2006−184342)