トップ :: B 処理操作 運輸 :: B05 霧化または噴霧一般;液体または他の流動性材料の表面への適用一般

【発明の名称】 浸漬塗布装置
【発明者】 【氏名】瀬古 真路

【氏名】中林 渉

【要約】 【課題】溶媒蒸気の大気中への排出抑制と膜厚ムラの低減を両立できる浸漬塗布装置を提供する。

【構成】塗布液槽19に収容した塗布液14に基体23を浸漬し、フード25を有する開口部30より引き上げて塗膜を形成する浸漬塗布装置において、フード25の温度は、少なくとも塗布液14の温度より低く、基体23の外面と、フード25の内面27との距離dは10mm以下である。フード25の内面27に凹凸を設け、溶媒の凝縮を促進させることも好適である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布液槽に収容した塗布液に基体を浸漬し、フードを有する開口部より引き上げて塗膜を形成する浸漬塗布装置において、
前記フードの温度は、少なくとも前記塗布液の温度より低く、
前記基体の外面と、前記フードの内面との距離が10mm以下であることを特徴とする浸漬塗布装置。
【請求項2】
前記フードの内面に凹凸を設けることを特徴とする請求項1に記載の浸漬塗布装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は浸漬塗布法により基体の外表面に塗膜を形成する基体被膜物の製造装置に関するものであり、特に電子写真感光体の製造において、円筒状基体の外周面に有機感光層を形成するのに適した浸漬塗布装置および塗布方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真用有機感光体の製造方法としては、浸漬塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、押出し塗布法等の各種塗布方法が知られているが、特に円筒状基体の外周面に均一な感光層を形成する方法としては、1回の塗布にて複数の円筒状基体を同時に塗布できる浸漬塗布法が広く用いられている。電子写真用有機感光体の浸漬塗布法は、通常、塗布液を入れた塗布槽に、基体の長手方向を垂直にして複数の基体を所定の深さまで浸漬したのち、基体を引き上げ、次いで引き上げた基体を乾燥する。基体の塗布上下方向の塗膜の均一性を得るために、塗布液の溶媒としては、通常、速乾性の溶媒が多く用いられる。
【0003】
ところが、速乾性の溶媒を用いた場合、塗布液の固化を短時間で行うことができるが、次の様な理由により、形成される塗膜の表面性が悪くなるという欠点がある。すなわち、通常、外風による塗布ムラを防ぐために遮風器(フード)を用いるが、特に速乾性の溶媒を用いると、遮風器(フード)内は、塗布開始直後の上方塗布時における溶剤蒸気濃度よりも塗布終了直前の下方塗布時における溶剤蒸気濃度の方が、塗布物自体から発散される溶剤蒸気により高濃度になり、塗布液の固化までに要する時間が増し、塗布膜に塗布むらが生じ易くなる。
【0004】
例えば、特許文献1〜9には塗布時のフード内にエアーを供給する事により溶剤蒸気濃度を低くする技術が記載されている。また、特許文献2、10〜11にはフード内のエアーを排除することにより、溶剤蒸気濃度を低くする技術が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開昭59−225771号公報
【特許文献2】特開昭59−174844号公報
【特許文献3】特開平2−21963号公報
【特許文献4】特開昭59−174843号公報
【特許文献5】特開昭59−127049号公報
【特許文献6】特開昭60−110373号公報
【特許文献7】特開昭60−227261号公報
【特許文献8】特開平1−107874号公報
【特許文献9】特開昭62−4471号公報
【特許文献10】特開平2−4470号公報
【特許文献11】特開昭62−4470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
いずれの方式の場合も、1回の塗布における基材本数が多くなればなるほど、1回に塗布できる本数内でムラが良好のものと悪いものとのバラツキが大きくなるという課題があった。
【0007】
本発明は、1回に塗布できる基材本数が多くなっても、個々の基材のムラ程度が良く、1回に塗布する本数内全ての基材のムラバラツキが小さくなる浸漬塗布装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明の他の目的は、溶剤蒸気の大気中への排出抑制と膜厚ムラの低減を両立できる浸漬塗布装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の構成は以下のとおりである。
【0010】
(1)塗布液槽に収容した塗布液に基体を浸漬し、フードを有する開口部より引き上げて塗膜を形成する浸漬塗布装置において、前記フードの温度は、少なくとも前記塗布液の温度より低く、前記基体の外面と、前記フードの内面との間隔が10mm以下である、浸漬塗布装置。
【0011】
(2)前記フードの内面に凹凸を設ける、上記(1)に記載の浸漬塗布装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、1回に塗布する基材本数が多くなっても、個々の基材のムラ程度が良く、1回に塗布する基材内全ての塗布ムラのバラツキを小さくすることができる。
【0013】
また、本発明によれば、溶媒蒸気の大気への排出抑制と塗布膜厚ムラの低減とを両立させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の多本同時浸漬塗布装置の一例を示す概略図であり、基体23を塗布液槽から引上げ途中の状態を示すものである。塗布液14はリザーバタンク15から供給配管16を通してポンプ17によって圧送され、フィルタ18を介して塗布液槽19内に供給される。塗布液槽19には槽内における塗布液の流速均一性を得るために、必要に応じて下部に少なくとも一枚以上のメッシュ20が挿入してある。塗布液槽19は、基体毎に浸漬可能な各々独立の塗布室100を有しており、独立した塗布室100に分流された塗布液14は、塗布室100の不連続部102においてその一部がオーバーフローするように構成されている。不連続部102よりオーバーフローした塗布液14は、塗布液槽19の上端周辺に設けられた液受け槽21で補集されオーバーフロー管22に流出した後に塗布液受けタンク15に回収される。
【0016】
この浸漬塗布装置を用いて浸漬塗布を行う場合、基体23が塗布室100に挿入され、塗布液槽19に浸漬され、その後、引き上げられた時、塗布液槽液面24を常に一定に保持する目的で、好ましくは図1に示したような構成により塗布室100の不連続部102からオーバーフローするように塗布液循環手段によって塗布液14を循環させている。なお、循環中に塗布液中の溶媒が蒸発する可能性があるため、リザーバタンク15では、塗液粘度が常時測定され、適正な粘度になるように適宜溶媒などが補充されている。また、塗布工程により減少した塗布液の補給もリザーバタンク15で行なってよい。なお、塗布液の補給については、リザーバタンク15に限らず、例えば1回または所定回数の浸漬塗布処理ごとに直接塗布液槽19内にて補給する構成としてもよい。
【0017】
塗布液槽19の上部には、外部のエアー流れの影響を低減させるためのフード25を具備している。
【0018】
ここで、基体23に形成される塗布膜から蒸発する溶剤蒸気、及び塗布液槽液面24より蒸発する溶剤蒸気は、外部のエアー流れに影響を受けないようフード25を具備していることも影響し、基体23の周辺に滞留する。厚膜塗布では更に塗布膜からの蒸発溶剤蒸気量が増加する。このため、前述したような従来から知られている技術では溶剤蒸気の排出不足が発生し、基体23に形成される塗布膜がダレてしまい指触乾燥速度ムラを発生させる。
【0019】
そこで本発明においては、冷却されたフード25と外面に塗液を塗布した基体23との距離を狭めることによって、基体23の塗膜表面と冷却したフード25での溶媒凝縮の差が物質移動の原動力となり、基体23の塗膜乾燥速度を早くすることができるものと考えられる。
【0020】
さらには、冷却されたフード25を導入することにより、溶剤蒸気が凝縮・液化され回収される。溶剤の回収率を高めるために、フード25の内面27に溝、好ましくは縦溝を設けて毛細管現象を利用する場合もある。また、フード25の内面27に凹凸を設けることによっても溶媒の凝縮・液化を促進させることが可能となる。
【0021】
ここで、フード25の温度を制御する方法については特に制限はないが、例えば図2に示したように温度調整された水をフード25の外壁または内部に設けた冷却水流路26に循環または流通させる方法によれば、温度安定性が良好なため好ましい。フード25の温度、特に内面27の温度は、塗布液14の温度よりも低い方が好ましく、更には内面27と塗布液14との温度差を10℃以上とすることが好ましい。
【0022】
また、基体23塗布時の基体23の外面とフード25の内面27との距離d(図1)は、10mm以下であることが好ましく、更には2mm以上8mm以下であることが好ましい。基体23塗布時の基体23の外面とフード25の内面27との距離dが10mmを越えてしまうと溶媒蒸気を凝集・液化(再生)させることはできるものの、十分に溶媒を凝集・液化できずに膜厚ムラが大きくなることがあるので好ましくない。一方2mm以下にすると量産時、円筒状基体23がフード25に接触する場合があるので好ましくない。なお、距離dの測定方向は、図1に示したように基体23の浸漬方向に対して垂直となる方向であって、フード25に基体23が挿入されまたは引き出される際の、フード25の内面27と基体23の外面との間隔が最長となる値をいう。また、フード25の形状が基体23の浸漬方向に対して平行でなく、傾斜しているような場合には、フード25全体にわたるフード25の内面27と基体23の外面との間隔の平均をdとみなすことができる。
【0023】
なお、図1に示した距離dは、前述したように基体23塗布時の基体23の外面、つまり塗膜表面とフード25の内面27との距離を示すが、基体23の表面に成膜される膜厚が100μm以下の塗膜であれば、膜厚の距離dに対する影響はほとんどない。このため、浸漬塗布前の基体23の外面とフード25の内面27との距離と同視し、以下の実施例についてもこのことに基づいて距離dを規定した。
【0024】
本発明の実施の形態において、基体23の形状は、筒状、柱状、棒状、板状など、いかなる形状のものでもよい。また基体23の断面形状は、円形、楕円形、三角形や四角形などの多角形、その他、いかなる形状のものにおいても適用することが可能である。特に円筒状基体を使用し、その外周面に感光体材料を含む塗布液を浸漬塗布し、成膜することにより、電子写真感光体を製造する浸漬塗布装置として好適に使用することが可能である。また、浸漬塗布に用いる基体23の形状に合わせてフード25および開口部30の形状を適宜設定することが好ましい。
【0025】
また、本発明の他の実施の形態として、塗布液14は、水溶液、懸濁液等、所望の粘性を有する流動性の液体であればいかなるものを用いてもよいが、好ましくはテトラヒドロフラン、トルエンなど、少なくとも常温において揮発性を有する有機溶剤がよい。
【実施例】
【0026】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、下記記載で、「部」とは「質量部」を意味する。
【0027】
(基材)
外周径30mm、厚さ1mm、全長404mmのアルミニウムパイプ(円筒状基材)にダイヤモンドバイトを用いた鏡面旋盤により鏡面切削加工を行い、表面粗さ(Ra(JIS B0601に規定されている中心線平均粗さ):0.02m、Rmax:0.2m)の平滑面に仕上げた。
【0028】
(洗浄処理)
次に、循環型処理装置にて、電気分解アルカリ性水を用いて基材を洗浄(電気分解アルカリ性水処理)した。処理槽に供給・循環される電気分解アルカリ性水としては、ルミックEKO−13AL(商品名、日本電子アクティブ社製)の原液を、イオン交換水にて3倍に希釈したもの(pH11)を用いた。また、電気分解アルカリ性水の原液を希釈するためのイオン交換水としては、比抵抗5(M・cm)のものを用いた。また、電気分解アルカリ性水の温度は35℃に設定され、上下揺動回数15回/minで、30sec間、基材を洗浄した。なお、処理槽で照射した超音波の周波数は133kHzであった。また、使用済み電気分解アルカリ性水に含まれる油分は、油水分離装置として超極細繊維フィルタ(商品名:ユーテックTH、旭化成社製)を用いて分離した。
【0029】
次に、濯ぎ処理を行った。濯ぎ処理に用いた循環型濯ぎ装置における濯ぎ槽では、比抵抗5(M・cm)のイオン交換水を使用した。また、イオン交換水の温度は35℃に設定された。また、濯ぎ処理の際には、上下揺動回数15回/minで、30sec間、基材を濯いだ。なお、濯ぎ槽で照射した超音波の周波数は133kHzであった。最後に、水切り処理を行った。水切り処理に用いた循環型水切り装置における水切り槽では、比抵抗5(M・cm)のイオン交換水を、液温50℃に設定して使用した。基材を水切り槽25b内に30sec浸漬した後、300mm/minで引き上げた。その後、露点が5℃以下の60℃の熱風で乾燥した。
【0030】
(塗布液Aの作成)
次に、下記式(1)で表される化合物2重量部、下記式(2)で表される高分子化合物(平均分子量:39,000)3重量部をテトラヒドロフラン15部/トルエン5部の混合溶剤に溶解させて電荷輸送層形成用塗布液(塗布液A)を調製した。塗布液Aの、30℃における粘度は420mPa・sであった。調製した塗布液Aを図1に示す浸漬塗布循環機(以下、単に塗布装置とも記す)内で循環した。なお、粘度の測定は、オフラインで東機産業株式会社製:RE−550型粘度計(円錐平板型ローターで1゜34´×R24のコーンを使用)を用い、液温30℃にて行なった。
【0031】
【化1】


【0032】
【化2】


【0033】
[塗布装置(1)の作製]
図1に示す浸漬塗布循環機において、塗布液14(塗布液A)の温度を30℃に設定し、フード25の内面27の温度を10℃、距離dを4mmにし、フード内面の基材長さ方向に、幅1mm、深さ0.3mmの溝を溝ピッチ2mmとなるように、いわゆる縦溝をつけた塗布装置(1)を作製した。なお、図1に示す浸漬塗布循環機において、フィルタ18として、金属性のフィルター(目開き20μm、日本ポール株式会社製)を使用し、メッシュ20として目開き2.5mm、ピッチ30mmのものを1枚使用した。その他、図1に示した基本的な構成部分についてはステンレス鋼製のものを使用し、図示または詳説しない他の部分についても塗布液14に対して特異な作用をもたらさない部材を用いた。
【0034】
[塗布装置(2)の作製]
距離dを6mmにした以外は塗布装置(1)と同様にして塗布装置(2)を作製した。
【0035】
[塗布装置(3)の作製]
距離dを8mmにした以外は塗布装置(1)と同様にして塗布装置(3)を作製した。
【0036】
[塗布装置(4)の作製]
距離dを10mmにした以外は塗布装置(1)と同様にして塗布装置(4)を作製した。
【0037】
[塗布装置(5)の作製]
距離dを12mmにした以外は塗布装置(1)と同様にして塗布装置(5)を作製した。
【0038】
[塗布装置(6)の作製]
フード内面27の温度を5℃にした以外は塗布装置(1)と同様にして塗布装置(6)を作製した。
【0039】
[塗布装置(7)の作製]
フード内面27の温度を15℃にした以外は塗布装置(1)と同様にして塗布装置(7)を作製した。
【0040】
[塗布装置(8)の作製]
フード内面27の温度を20℃にした以外は塗布装置(1)と同様にして塗布装置(8)を作製した。
【0041】
[塗布装置(9)の作製]
フード内面27の温度を25℃にした以外は塗布装置(1)と同様にして塗布装置(6)を作製した。
【0042】
[塗布装置(10)の作製]
フード内面27の温度を30℃にした以外は塗布装置(1)と同様にして塗布装置(10)を作製した。
【0043】
[塗布装置(11)の作製]
塗布液14(塗布液A)の温度を25℃に設定した以外は塗布装置(1)と同様にして塗布装置(11)を作製した。
【0044】
[塗布装置(12)の作製]
フード内面27の温度を15℃にした以外は塗布装置(11)と同様にして塗布装置(12)を作製した。
【0045】
[塗布装置(13)の作製]
フード内面に溝を設けなかった以外は塗布装置(1)と同様にして塗布装置(13)を作製した。
【0046】
[塗布装置(14)の作製]
距離dを8mmにした以外は塗布装置(13)と同様にして塗布装置(14)を作製した。
【0047】
[塗布装置(15)の作製]
距離dを10mmにした以外は塗布装置(13)と同様にして塗布装置(15)を作製した。
【0048】
[塗布装置(16)の作製]
フード内面に溝ピッチ3mm、幅1mm、深さ0.3mmの縦溝をつけた以外は塗布装置(1)と同様にして塗布装置(16)を作製した。
【0049】
[塗布装置(17)の作製]
フード内面に溝ピッチ2mm、幅1mm、深さ0.5mmの縦溝をつけた以外は塗布装置(1)と同様にして塗布装置(17)を作製した。
【0050】
[塗布装置(18)の作製]
フード内面に図3に示すような、溝のピッチ(X)2mm、幅(l)1mm、深さ(d)0.3mmの格子(90°)状の溝を設けた以外は塗布装置(1)と同様にして塗布装置(18)を作製した。
【0051】
[塗布装置(19)の作製]
溝のピッチ(X)を3mmとした以外は塗布装置(18)と同様にして塗布装置(19)を作製した。
【0052】
[塗布装置(20)の作製]
フード内面の周方向に、溝ピッチ2mm、深さ0.3mmの溝をつけた(以下、螺旋形状とする)以外は塗布装置(1)と同様にして塗布装置(20)を作製した。
【0053】
上記のように作製した塗布装置(1)〜(20)について、表1にまとめた。
【0054】
【表1】


【0055】
[実施例1]
(塗布液Aの塗布)
塗布装置(1)の浸漬塗布槽に円筒状基材60本を一度に浸漬後、毎分130mmの引き上げ速度にて塗布した。塗布液の循環流量は30L/minに設定した。なお本実施例において、円筒状基材はその内周面側を図示しない昇降装置に設けられたパイプチャック装置により気密状態で把持されており、その内周面側に塗布液が殆ど浸漬しないように保持されている。塗布した円筒状基体は風乾した後、乾燥機に入れ、135℃において、40分間加熱乾燥し、円筒状基体の外周に膜厚32μmの塗膜を形成した。
【0056】
(評価)
塗布した60本の円筒状基体を採取し、渦電流膜厚計(フィッシャー・インストルメンツ社製フィッシャースコープ MMS)にて膜厚を測定した。膜厚測定位置及び全面むらの定義は以下の通りである。
【0057】
(1)膜厚測定位置
塗布開始端部(下端部)から20mm基材中央側位置、基材中央部、塗布終了端部(上端部)から20mm基材中央側位置において、それぞれ周方向12点(30°間隔)で測定した。
【0058】
(2)全面ムラ
塗布開始端部(下端部)から20mm基材中央側位置、基材中央部、塗布終了端部(上端部)から20mm基材中央側位置において、それぞれ周方向12点(30°間隔)測定した膜厚の最大値と最小値との差を全面ムラとした。得られた全面ムラの、塗布した60本の円筒状基体における平均値および標準偏差σを表2に示す。
【0059】
さらに、図1における配管16の途中に振動式粘度計(山一電機製 FVM-80A-EX1)を取り付け、300本塗布時における塗布液Aの粘度(30℃)を測定した。結果を表2に示す。
【0060】
なお、塗布液Aは有機溶剤を含む揮発性の液体であり、塗布処理後における塗布液Aの粘度上昇は、揮発性溶剤の大気中への揮散によるところが大きいと考えられる。このため、塗布処理後における塗布液Aの粘度上昇が少ないものについては、大気中への溶剤の排出が抑制されているものと推察することができる。
【0061】
[実施例2]
塗布装置(1)に替えて塗布装置(2)を使用すること以外は実施例1と同様に円筒状基体に塗布液Aを塗布し、円筒状基体の外周に膜厚32μmの塗膜を形成した。また、実施例1と同様に評価試験を行なった。結果を表2に示す。
【0062】
[実施例3]
塗布装置(1)に替えて塗布装置(3)を使用すること以外は実施例1と同様に円筒状基体に塗布液Aを塗布し、円筒状基体の外周に膜厚32μmの塗膜を形成した。また、実施例1と同様に評価試験を行なった。結果を表2に示す。
【0063】
[実施例4]
塗布装置(1)に替えて塗布装置(4)を使用すること以外は実施例1と同様に円筒状基体に塗布液Aを塗布し、円筒状基体の外周に膜厚32μmの塗膜を形成した。また、実施例1と同様に評価試験を行なった。結果を表2に示す。
【0064】
[実施例5]
塗布装置(1)に替えて塗布装置(6)を使用すること以外は実施例1と同様に円筒状基体に塗布液Aを塗布し、円筒状基体の外周に膜厚32μmの塗膜を形成した。また、実施例1と同様に評価試験を行なった。結果を表2に示す。
【0065】
[実施例6]
塗布装置(1)に替えて塗布装置(7)を使用すること以外は実施例1と同様に円筒状基体に塗布液Aを塗布し、円筒状基体の外周に膜厚32μmの塗膜を形成した。また、実施例1と同様に評価試験を行なった。結果を表2に示す。
【0066】
[実施例7]
塗布装置(1)に替えて塗布装置(8)を使用すること以外は実施例1と同様に円筒状基体に塗布液Aを塗布し、円筒状基体の外周に膜厚32μmの塗膜を形成した。また、実施例1と同様に評価試験を行なった。結果を表2に示す。
【0067】
[実施例8]
塗布装置(1)に替えて塗布装置(9)を使用すること以外は実施例1と同様に円筒状基体に塗布液Aを塗布し、円筒状基体の外周に膜厚32μmの塗膜を形成した。また、実施例1と同様に評価試験を行なった。結果を表2に示す。
【0068】
[実施例9]
塗布装置(1)に替えて塗布装置(11)を使用すること以外は実施例1と同様に円筒状基体に塗布液Aを塗布し、円筒状基体の外周に膜厚32μmの塗膜を形成した。また、実施例1と同様に評価試験を行なった。結果を表2に示す。
【0069】
[実施例10]
塗布装置(1)に替えて塗布装置(12)を使用すること以外は実施例1と同様に円筒状基体に塗布液Aを塗布し、円筒状基体の外周に膜厚32μmの塗膜を形成した。また、実施例1と同様に評価試験を行なった。結果を表2に示す。
【0070】
[実施例11]
塗布装置(1)に替えて塗布装置(13)を使用すること以外は実施例1と同様に円筒状基体に塗布液Aを塗布し、円筒状基体の外周に膜厚32μmの塗膜を形成した。また、実施例1と同様に評価試験を行なった。結果を表2に示す。
【0071】
[実施例12]
塗布装置(1)に替えて塗布装置(14)を使用すること以外は実施例1と同様に円筒状基体に塗布液Aを塗布し、円筒状基体の外周に膜厚32μmの塗膜を形成した。また、実施例1と同様に評価試験を行なった。結果を表2に示す。
【0072】
[実施例13]
塗布装置(1)に替えて塗布装置(15)を使用すること以外は実施例1と同様に円筒状基体に塗布液Aを塗布し、円筒状基体の外周に膜厚32μmの塗膜を形成した。また、実施例1と同様に評価試験を行なった。結果を表2に示す。
【0073】
[実施例14]
塗布装置(1)に替えて塗布装置(16)を使用すること以外は実施例1と同様に円筒状基体に塗布液Aを塗布し、円筒状基体の外周に膜厚32μmの塗膜を形成した。また、実施例1と同様に評価試験を行なった。結果を表2に示す。
【0074】
[実施例15]
塗布装置(1)に替えて塗布装置(17)を使用すること以外は実施例1と同様に円筒状基体に塗布液Aを塗布し、円筒状基体の外周に膜厚32μmの塗膜を形成した。また、実施例1と同様に評価試験を行なった。結果を表2に示す。
【0075】
[実施例16]
塗布装置(1)に替えて塗布装置(18)を使用すること以外は実施例1と同様に円筒状基体に塗布液Aを塗布し、円筒状基体の外周に膜厚32μmの塗膜を形成した。また、実施例1と同様に評価試験を行なった。結果を表2に示す。
【0076】
[実施例17]
塗布装置(1)に替えて塗布装置(19)を使用すること以外は実施例1と同様に円筒状基体に塗布液Aを塗布し、円筒状基体の外周に膜厚32μmの塗膜を形成した。また、実施例1と同様に評価試験を行なった。結果を表2に示す。
【0077】
[実施例18]
塗布装置(1)に替えて塗布装置(20)を使用すること以外は実施例1と同様に円筒状基体に塗布液Aを塗布し、円筒状基体の外周に膜厚32μmの塗膜を形成した。また、実施例1と同様に評価試験を行なった。結果を表2に示す。
【0078】
[比較例1]
塗布装置(1)に替えて塗布装置(5)を使用すること以外は実施例1と同様に円筒状基体に塗布液Aを塗布し、円筒状基体の外周に膜厚32μmの塗膜を形成した。また、実施例1と同様に評価試験を行なった。結果を表2に示す。
【0079】
[比較例2]
塗布装置(1)に替えて塗布装置(10)を使用すること以外は実施例1と同様に円筒状基体に塗布液Aを塗布し、円筒状基体の外周に膜厚32μmの塗膜を形成した。また、実施例1と同様に評価試験を行なった。結果を表2に示す。
【0080】
【表2】


【0081】
なお、表2における評価は、塗布ムラについては、◎:優れている、○:◎より若干劣るが実使用において問題なし、×:実使用において重大な問題があり不適、をそれぞれ示し、3段階の評価を行なった。また、溶剤の回収性については、◎:優れている、○:◎より若干劣るが実使用に適している、×:溶剤排出量が多く不適、をそれぞれ示し、3段階の評価を行なった。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の浸漬塗布装置は、どのような形態の基体に対する浸漬塗布においてもそれぞれの基体12の塗膜乾燥速度を制御することができるため、特に複数の基体に同時に塗布するいわゆる複数本取りに適している。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施の形態における浸漬塗布装置の一例を示す概略図である。
【図2】図1に示す浸漬塗布装置において、フードの温度を制御する構成の概略を例示する模式図である。
【図3】フード内面の周方向に形成した格子状の溝の例である。
【符号の説明】
【0084】
14 塗布液、15 リザーバタンク、16 供給配管、17 ポンプ、18 フィルタ、19 塗布液槽、20 メッシュ、21 液受け槽、22 オーバーフロー管、23 基体、24 塗布液槽液面、25 フード、26 冷却水流路、27 内面、30 開口部、100 塗布室、102 不連続部。
【出願人】 【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
【出願日】 平成18年7月4日(2006.7.4)
【代理人】 【識別番号】100075258
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二

【識別番号】100096976
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 純


【公開番号】 特開2008−12395(P2008−12395A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−184077(P2006−184077)