トップ :: B 処理操作 運輸 :: B05 霧化または噴霧一般;液体または他の流動性材料の表面への適用一般

【発明の名称】 リブ形成装置
【発明者】 【氏名】岩島 正信

【要約】 【課題】ノズル部内に入射する光により内部のリブ形成材料が硬化してノズル部が詰まることを防止することにより、基板上にリブを精度よく形成する。

【構成】リブ形成装置では、ノズル部51および光照射部43を基板9の主面91に沿って基板9に対して相対的に移動しつつ、ノズル部51から基板9上に吐出されるリブ形成材料に光照射部43から紫外線を照射することにより、リブが形成される。ノズル部51は、紫外線を透過するジルコニアにて形成され、ノズル部51の吐出口512近傍の表面には、ノズル部51内のリブ形成材料の流路513へと到達する紫外線を遮蔽する遮蔽層511が形成される。これにより、ノズル部内に入射する光により内部のリブ形成材料が硬化してノズル部51が詰まることを防止することができ、その結果、基板9上にリブを精度よく形成することが実現される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にリブを形成するリブ形成装置であって、
光硬化性を有するリブ形成材料を基板上に吐出する吐出部と、
前記吐出部に近接して設けられ、前記基板上に吐出されたリブ形成材料に光を照射する光照射部と、
前記吐出部および前記光照射部を前記基板に沿う方向に前記基板に対して相対的に移動する移動機構と、
を備え、
前記吐出部が、
前記リブ形成材料を吐出する吐出口を有し、前記リブ形成材料を硬化させる波長帯の光の少なくとも一部を透過する材料にて形成されたノズル部と、
少なくとも前記ノズル部の前記吐出口近傍の表面に形成され、前記ノズル部内の前記リブ形成材料の流路へと到達する前記波長帯の前記光を遮蔽する遮蔽層と、
を備えることを特徴とするリブ形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載のリブ形成装置であって、
前記吐出部が、前記ノズル部の前記光照射部側の主面を覆うとともに、前記波長帯の前記光を遮蔽する遮蔽部材をさらに備えることを特徴とするリブ形成装置。
【請求項3】
基板上にリブを形成するリブ形成装置であって、
光硬化性を有するリブ形成材料を基板上に吐出する吐出口を有し、前記リブ形成材料を硬化させる波長帯の光を遮蔽するセラミックスにて形成されたノズル部と、
前記ノズル部に近接して設けられ、前記基板上に吐出されたリブ形成材料に光を照射する光照射部と、
前記ノズル部および前記光照射部を前記基板に沿う方向に前記基板に対して相対的に移動する移動機構と、
を備えることを特徴とするリブ形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のリブ形成装置であって、
前記基板が載置される載置面を有するステージをさらに備え、
前記基板が前記波長帯の前記光を透過し、前記載置面が前記波長帯の前記光を吸収することを特徴とするリブ形成装置。
【請求項5】
基板上にリブを形成するリブ形成装置であって、
光硬化性を有するリブ形成材料を、前記リブ形成材料を硬化させる波長帯の光を透過する基板上に吐出口から吐出するノズル部と、
前記ノズル部に近接して設けられ、前記基板上に吐出されたリブ形成材料に光を照射する光照射部と、
前記ノズル部および前記光照射部を前記基板に沿う方向に前記基板に対して相対的に移動する移動機構と、
前記基板が載置され、前記波長帯の前記光を吸収する載置面を有するステージと、
を備えることを特徴とするリブ形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のリブ形成装置であって、
前記ノズル部が、前記基板の主面に向かうとともに前記主面に対して傾斜する吐出方向に前記吐出口から前記リブ形成材料を吐出し、前記吐出口の全体または大部分が形成される前記ノズル部の開口面が、その法線が吐出側にて前記基板と交差するように傾斜していることを特徴とするリブ形成装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のリブ形成装置であって、
前記波長帯の前記光を含む光を出射する光源と、
前記光源から前記光照射部を経由して前記基板へと至る光路上に配置され、入射する光のうち少なくとも熱線を遮蔽し、前記波長帯の前記光を透過するフィルタと、
をさらに備えることを特徴とするリブ形成装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のリブ形成装置であって、
前記ノズル部が複数の吐出口を備え、
前記基板上に形成される複数のリブのピッチが1ミリメートル以下であることを特徴とするリブ形成装置。
【請求項9】
請求項8に記載のリブ形成装置であって、
前記複数のリブのそれぞれにおいて、前記基板に沿う方向に垂直な断面の幅が200マイクロメートル以下であり、アスペクト比が5以上であることを特徴とするリブ形成装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載のリブ形成装置であって、
前記ノズル部が、ジルコニアにて形成されることを特徴とするリブ形成装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上にリブを形成するリブ形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プラズマ表示装置等の平面表示装置に用いられるガラスの基板上にリブを形成する様々な手法が知られており、例えば、特許文献1では、ペースト状のリブ形成材料を基板上に吐出するノズル部、および、基板上に吐出されたリブ形成材料に紫外線を照射する光照射部を基板の主面に沿って基板に対して相対的に移動することにより、基板上にリブを形成するリブ形成装置が提案されている。
【0003】
なお、特許文献2では、記録ヘッドからインクの微小液滴を吐出しつつ、記録媒体上に吐出された直後のインクに紫外線を照射して記録媒体上に印刷を行うインクジェットプリンタにおいて、紫外線照射部の照射面に格子状の保護部材を設け、保護部材の鉛直方向に沿う面のうち記録ヘッド側を向く面の紫外線反射率を記録ヘッドとは反対側を向く面の紫外線反射率よりも低くすることにより、記録媒体上へと照射される紫外線の一定の光量を確保しつつ、記録媒体にて反射して記録ヘッドへと入射する紫外線の光量を低減して、記録ヘッドの吐出口が詰まることを防止する手法が開示されている。
【特許文献1】特開2002−184303号公報
【特許文献2】特開2005−279942号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、平面表示装置の種類によっては、幅に対する高さの比であるアスペクト比が高く、かつ、微細なリブが必要となる。高アスペクト比の微細なリブをノズル部からのリブ形成材料の吐出により形成するには、同様に微細な吐出口を有するノズル部が必要となり、このようなノズル部を精度よく製造するために、ジルコニアの被加工部材を用いることが考えられる。しかしながら、多くのジルコニアは紫外線をある程度透過するため、光照射部からの紫外線が直接的に、または、基板を透過してステージにて反射することにより間接的にノズル部へと照射されてノズル部内のリブ形成材料が硬化してしまうことがあり、この場合、ノズル部が詰まって基板上にリブを精度よく形成することが困難となる。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、ノズル部内に入射する光により内部のリブ形成材料が硬化してノズル部が詰まることを防止することにより、基板上にリブを精度よく形成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、基板上にリブを形成するリブ形成装置であって、光硬化性を有するリブ形成材料を基板上に吐出する吐出部と、前記吐出部に近接して設けられ、前記基板上に吐出されたリブ形成材料に光を照射する光照射部と、前記吐出部および前記光照射部を前記基板に沿う方向に前記基板に対して相対的に移動する移動機構とを備え、前記吐出部が、前記リブ形成材料を吐出する吐出口を有し、前記リブ形成材料を硬化させる波長帯の光の少なくとも一部を透過する材料にて形成されたノズル部と、少なくとも前記ノズル部の前記吐出口近傍の表面に形成され、前記ノズル部内の前記リブ形成材料の流路へと到達する前記波長帯の前記光を遮蔽する遮蔽層とを備える。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のリブ形成装置であって、前記吐出部が、前記ノズル部の前記光照射部側の主面を覆うとともに、前記波長帯の前記光を遮蔽する遮蔽部材をさらに備える。
【0008】
請求項3に記載の発明は、基板上にリブを形成するリブ形成装置であって、光硬化性を有するリブ形成材料を基板上に吐出する吐出口を有し、前記リブ形成材料を硬化させる波長帯の光を遮蔽するセラミックスにて形成されたノズル部と、前記ノズル部に近接して設けられ、前記基板上に吐出されたリブ形成材料に光を照射する光照射部と、前記ノズル部および前記光照射部を前記基板に沿う方向に前記基板に対して相対的に移動する移動機構とを備える。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のリブ形成装置であって、前記基板が載置される載置面を有するステージをさらに備え、前記基板が前記波長帯の前記光を透過し、前記載置面が前記波長帯の前記光を吸収する。
【0010】
請求項5に記載の発明は、基板上にリブを形成するリブ形成装置であって、光硬化性を有するリブ形成材料を、前記リブ形成材料を硬化させる波長帯の光を透過する基板上に吐出口から吐出するノズル部と、前記ノズル部に近接して設けられ、前記基板上に吐出されたリブ形成材料に光を照射する光照射部と、前記ノズル部および前記光照射部を前記基板に沿う方向に前記基板に対して相対的に移動する移動機構と、前記基板が載置され、前記波長帯の前記光を吸収する載置面を有するステージとを備える。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載のリブ形成装置であって、前記ノズル部が、前記基板の主面に向かうとともに前記主面に対して傾斜する吐出方向に前記吐出口から前記リブ形成材料を吐出し、前記吐出口の全体または大部分が形成される前記ノズル部の開口面が、その法線が吐出側にて前記基板と交差するように傾斜している。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載のリブ形成装置であって、前記波長帯の前記光を含む光を出射する光源と、前記光源から前記光照射部を経由して前記基板へと至る光路上に配置され、入射する光のうち少なくとも熱線を遮蔽し、前記波長帯の前記光を透過するフィルタとをさらに備える。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載のリブ形成装置であって、前記ノズル部が複数の吐出口を備え、前記基板上に形成される複数のリブのピッチが1ミリメートル以下である。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のリブ形成装置であって、前記複数のリブのそれぞれにおいて、前記基板に沿う方向に垂直な断面の幅が200マイクロメートル以下であり、アスペクト比が5以上である。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項8または9に記載のリブ形成装置であって、前記ノズル部が、ジルコニアにて形成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ノズル部内に入射する光により内部のリブ形成材料が硬化してノズル部が詰まることを防止または抑制することにより、基板上にリブを精度よく形成することができる。
【0017】
また、請求項2の発明では、光照射部側の主面からノズル部内に光が入射してノズル部内にてリブ形成材料が硬化することを防止することができ、請求項4および5の発明では、光照射部からの光がステージにて反射してノズル部に入射することを抑制することができる。
【0018】
また、請求項6の発明では、アスペクト比の高い状態でリブ形成材料を安定して吐出することができ、請求項7の発明では、ノズル部に照射される熱線により熱が発生してノズル部内にてリブ形成材料が硬化することを防止することができ、請求項10の発明では、高精度なノズル部を容易に作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るリブ形成装置1の構成を示す図である。リブ形成装置1は、プラズマ表示装置や電界放出表示装置(Field Emission Display)等の平面表示装置用のガラス基板(以下、「基板」という。)9上にリブ(平面表示装置の種類によっては、スペーサとも呼ばれる。)のパターンを形成する装置であり、リブが形成された基板9は他の工程を介して平面表示装置の組立部品であるパネルとなる。
【0020】
リブ形成装置1では、基台11上にステージ移動機構2が設けられ、ステージ移動機構2によりステージ20が図1中に示すX方向に移動可能とされる。基台11にはステージ20を跨ぐようにしてフレーム12が固定され、フレーム12にはヘッド移動機構3を介してヘッド部4が取り付けられる。
【0021】
ステージ20の(+Z)側の面(以下、「載置面」という。)201は黒色に着色されており、基板9は載置面201上に載置されて保持される。ステージ移動機構2は、モータ21にボールねじ22が接続され、さらに、ステージ20に固定されたナット23がボールねじ22に取り付けられた構造となっている。ボールねじ22の上方にはガイドレール24が固定され、モータ21が回転すると、ナット23とともにステージ20がガイドレール24に沿ってX方向に滑らかに移動する(すなわち、ヘッド部4が基板9に対して相対的に主走査する。)。
【0022】
ヘッド移動機構3はフレーム12に支持されたモータ31、モータ31の回転軸に接続されたボールねじ32、および、ボールねじ32に取り付けられたナット33を有し、モータ31が回転することによりナット33が図1中のY方向に移動する。ナット33にはヘッド部4のベース40が取り付けられ、これにより、ヘッド部4がY方向に移動(副走査)可能とされる。ベース40はフレーム12に固定されたガイドレール34に接続され、ガイドレール34により滑らかに案内される。
【0023】
ヘッド部4は、基板9上にペースト状のリブ形成材料を吐出する吐出部42、および、基板9に向けて紫外線を出射する光照射部43を有し、吐出部42および光照射部43はベース40に固定される昇降機構41の下部に互いに近接して取り付けられる。リブ形成材料は、紫外線により硬化(架橋反応)が開始する光開始剤や、バインダである樹脂、さらには、ガラスの粉体である低軟化点ガラスフリットを含む。また、吐出部42の下面には、Y方向に配列された複数の吐出口を有するノズルユニット5が着脱可能に取り付けられる。吐出部42には逆止弁441を有する供給管442が取り付けられ、供給管442は分岐しており、一方がポンプ443に接続され、他方が制御弁444を介してリブ形成材料を貯溜するタンク445に接続される。
【0024】
光照射部43は光ファイバ431を介して光源ユニット432に接続される。光源ユニット432は波長300〜700ナノメートル(nm)の光を出射する光源433(例えば、キセノンランプ)、および、300〜400nmの波長帯の光(すなわち、紫外線)のみを透過するフィルタ434を備え、光源433からフィルタ434に入射する光のうち当該波長帯の紫外線のみがフィルタ434を透過し(すなわち、可視光〜近赤外線の光がカットされ)、光ファイバ431により光照射部43へと導かれる。そして、吐出部42の(−X)側において光照射部43から基板9に向かって紫外線が出射され、各吐出口に対応する光のスポットが基板9上に形成される。
【0025】
ステージ移動機構2のモータ21、ポンプ443、制御弁444、光源ユニット432、ヘッド移動機構3のモータ31、および、ヘッド部4の昇降機構41は制御部6に接続され、これらの構成が制御部6により制御されることにより、リブ形成装置1による基板9上へのリブの形成が行われる。
【0026】
図2はノズルユニット5の先端近傍を拡大して示す図であり、図3はノズルユニット5の複数の吐出口512近傍を示す図である。図3では、後述するノズル部51の開口面514の法線に沿ってノズルユニット5の先端を見た様子を示している。
【0027】
図3に示すように、ノズルユニット5は多数の吐出口512がY方向に所定のピッチ(例えば、660マイクロメートル(μm)のピッチ)にて配列されたノズル部51を有する。図3の各吐出口512の縦横比(吐出口のアスペクト比と捉えることもできる。)は、例えば電界放出表示装置のパネル製造用では15〜25とされ、プラズマ表示装置のパネル製造用のノズル部における吐出口のアスペクト比よりも大きい(例えば、約14倍になる)。図2に示すように、ノズル部51の光照射部43側の主面および光照射部43とは反対側の主面(後述する蓋部材53のノズル本体52とは反対側の面、および、ノズル本体52の蓋部材53とは反対側の面)は、それぞれ第1保護部材54および第2保護部材55により覆われており、第1および第2保護部材54,55はステンレス鋼にて形成される。光照射部43は、その光の出射位置が基板9の主面91から15ミリメートル(mm)の高さとなり、かつ、光軸が基板9の主面91に垂直となるように、ノズル部51に近接して配置される。
【0028】
ノズル部51において各吐出口512へと連続する流路513(図2では、1つの吐出口512および1つの流路513のみに符号を付している。)は、ZX平面に平行かつZ方向に対して傾斜した方向(例えば、45度だけ傾斜した方向)に伸びている。これにより、基板9の主面91に向かうとともに主面91に対して傾斜する吐出方向に吐出口512からリブ形成材料81が吐出される。また、ノズル部51の開口面514(ノズル部51の先端における複数の吐出口512を含む面)も、同様にその法線がZX平面に平行かつZ方向に対して傾斜している。実際には、ノズル部51の流路513は、ノズル本体52に配列形成された多数の溝を板状の蓋部材53にて閉塞することにより形成され、ノズル本体52および蓋部材53は共に、白色のジルコニアを切削加工することにより形成される。
【0029】
ノズル部51の図2中の(−Z)側の部位には、基板9の主面91に平行な対向面515が形成され、リブ形成装置1では、必要に応じて昇降機構41が吐出部42をZ方向に移動することにより、リブの形成時におけるノズル部51の対向面515と基板9の主面91との間の間隙がほぼ一定の微小な幅にて保たれ、ノズル部51が常時、基板9の主面91に近接した状態とされる。ノズル部51では、開口面514および対向面515上に、厚さ1〜2μmのDLC(Diamond Like Carbon)の層511(図2では太線にて示し、図3では平行斜線を付して示す。)がプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法にて形成されている。後述するように、DLCの層511はノズル部51の吐出口512近傍からノズル部51内へと入射する紫外線を遮蔽する役割を果たすため、以下の説明では、DLCの層511を遮蔽層511と呼ぶ。
【0030】
次に、リブ形成装置1がリブを形成する動作について説明を行う。図4はリブ形成装置1が基板9上にリブを形成する動作の流れを示す図である。図1のリブ形成装置1では、まず、外部の搬送機構により基板9が搬入されてステージ20の載置面201上に載置された後(ステップS11)、ステージ移動機構2およびヘッド移動機構3によりノズルユニット5が基板9に対して所定の初期位置に配置される。続いて、光照射部43から紫外線の出射が開始された後(ステップS12)、吐出部42からのリブ形成材料の吐出が開始される(ステップS13)。
【0031】
吐出部42からのリブ形成材料の吐出は、図1に示す逆止弁441、ポンプ443および制御弁444により行われる。まず、制御部6の制御により制御弁444が開放された状態でポンプ443が吸引動作を行う。このとき、逆止弁441によりリブ形成材料の逆流が阻止されるため、タンク445からポンプ443へとリブ形成材料が引き込まれる。次に、制御弁444が閉じられ、ポンプ443が押出動作を行う。これにより、吐出部42から連続的にリブ形成材料が吐出される。
【0032】
また、リブ形成材料の吐出が開始されるのとほぼ同時に、制御部6がステージ移動機構2のモータ21を駆動制御して、吐出部42の下方にてステージ20を(−X)方向に移動することにより、吐出部42および光照射部43が主面91に沿う(+X)方向に基板9に対して相対移動を開始する(ステップS14)。実際には、図2に示すように、各吐出口512からリブ形成材料81を吐出しつつ、複数の吐出口512がリブ形成材料81の吐出側とは反対の方向(すなわち、(+X)方向)に主面91に沿って基板9に対して相対的に連続して移動することにより、各吐出口512から吐出されたリブ形成材料81が基板9上に順次付着する。
【0033】
また、基板9上に吐出されたリブ形成材料81には、ノズル部51の基板9に対する相対的な進行方向の後方に配置されている光照射部43により、吐出口512よりも上方の位置から紫外線が照射される。既述のように、リブ形成材料は光開始剤が添加されて光硬化性を有しており、光照射部43からの紫外線の照射により基板9上のリブ形成材料を容易に硬化させることが可能となっている。これにより、ノズルユニット5の相対的な進行方向に伸びる高精細なリブが形成される。
【0034】
このとき、光照射部43から基板9の主面91上へと照射された紫外線(正確には、基板9上のリブ形成材料に照射されなかった紫外線)は、基板9を透過してステージ20の載置面201に照射される。既述のように、載置面201は黒色に着色されており、載置面201に照射される紫外線のほとんどが載置面201にて吸収される。また、リブの表面にて反射した紫外線(あるいは、載置面201上にて反射される極僅かな紫外線等)がノズル部51の吐出口512近傍へと照射される場合であっても、図2のノズル部51の開口面514および対向面515には、遮蔽層511が形成されることにより、紫外線が吐出口512の近傍からノズル部51内へと入射することが防止される。実際には、光照射部43の光の出射位置は吐出口512の近傍に配置されるため、光照射部43から出射される紫外線の一部はノズル部51の光照射部43側にも照射されるが、ノズル部51の光照射部43側の主面は光を遮蔽する遮蔽部材である第1保護部材54にて覆われることにより、光照射部43側の主面からノズル部51内に紫外線が入射して、ノズル部51内にてリブ形成材料が硬化することが防止される。
【0035】
また、リブ形成装置1では、図2に示すように、ノズル部51の開口面514が、その法線が吐出側((−X)側)にて基板9の主面91と交差するように傾斜していることにより、リブのYZ平面に平行な各断面では、(−Z)側から(+Z)側に向かってリブ形成材料を積み重ねるようにしてリブの各部位が形成されることとなる。このように、アスペクト比の高い状態で吐出口512からリブ形成材料が安定して吐出されることにより、高アスペクト比のリブが基板9上に形成される。
【0036】
図5は、形成途上のリブ8のYZ平面に平行な断面を示す図である。実際には、リブ8の断面のY方向の幅は100μm、Z方向の高さは2mmとなり、基板9上には吐出部42における吐出口512と同じ個数のリブ8が、Y方向に広範囲に亘って吐出口512と同じピッチ660μmにて並んでいる。
【0037】
リブ形成材料の吐出が続けられ、基板9上のリブ形成の終点がノズルユニット5の真下に達すると、リブ形成材料の吐出が停止される(ステップS15)。その後、終点近傍のリブ形成材料の硬化を行うために基板9がさらに僅かな距離だけ移動した後停止し(ステップS16)、光照射部43からの紫外線の出射も停止される(ステップS17)。また、リブ形成装置1では、ヘッド部4をY方向に所定の距離だけ移動し、基板9も元の位置へと移動した後、上記ステップS12〜S17を繰り返すことにより、Y方向に関して基板9上の全体に亘って多数のリブを形成することも可能である。
【0038】
以上の工程にて形成されたリブは他の工程において焼成され、リブ形成材料中の樹脂分が除去されるとともに、低軟化点ガラスフリットが融着する。そして、適宜、他の必要な工程を経て平面表示装置の組立部品であるパネルが完成する。
【0039】
ここで、ステージ20の載置面201における紫外線の吸収について述べる。表1は、ノズル部51の吐出口512に相当する位置における紫外線の照度の測定結果を示している。本照度測定の際には、ステージの載置面が鏡面(正確には、ステンレス鋼の板部材に設けられる鏡面)、着色前の白色の面、および、着色後の黒色の面のそれぞれとされ、光の出射位置を載置面から10mmまたは20mmの高さに配置して主光線が載置面に垂直となるように光照射部43から紫外線が出射され、ノズル部51の吐出口512に相当する位置近傍に配置される照度計にて、載置面からの反射光の照度(表1では、「吐出口における照度」と記している。)が測定された。なお、本照度測定では、照度計の受光面が直径19mmの円とされ、載置面上に照度計を配置して光照射部43からの紫外線を直接測定した際の照度は、194.5mW/cmであった。
【0040】
【表1】


【0041】
表1より、光照射部43の光の出射位置を載置面201から10mmおよび20mmのいずれの高さに配置する場合であっても、ノズル部51の吐出口512に相当する位置における照度は、ステージの載置面が白色の面の場合に最も高く、黒色の面の場合に最も低くなる。実際には、黒色の面における照度は、白色の面における照度の約6%となり、鏡面における照度の9〜13%となる。なお、載置面が鏡面の場合では、白色の面の場合に比べて光が散乱しないため、吐出口における照度が低くなっている。以上のように、本実施の形態における黒色に着色された載置面201では、光照射部43からの紫外線の大部分が吸収され、吐出口における照度が低くなることが判る。
【0042】
以上に説明したように、図1のリブ形成装置1では、光照射部43から出射されて基板9を透過した紫外線が、基板9が載置されるステージ20の載置面201にて吸収される。これにより、光照射部43からの光がステージ20にて反射してノズル部51に入射することが抑制される。また、リブの表面にて反射した紫外線(あるいは、載置面201上にて反射される極僅かな紫外線等)が、紫外線を透過する材料にて形成されるノズル部51側に向かったとしても、ノズル部51の吐出口512近傍の表面に遮蔽層511が形成されることにより、紫外線がノズル部51内のリブ形成材料の流路513へと到達することが防止される。このように、リブ形成装置1では、載置面201における紫外線の吸収および遮蔽層511における紫外線の遮蔽により、吐出口512の周囲から流路513へと到達する光によりノズル部51内のリブ形成材料が硬化してノズル部51が詰まることを確実に防止することができ、その結果、基板9上にリブを精度よく形成することが実現される。
【0043】
光源ユニット432のフィルタ434では、光源433ら出射される光のうち、紫外線のみを透過し、熱線を含む他の波長帯の光が遮蔽されることにより、ノズル部51に照射される熱線により熱が発生してノズル部51内にてリブ形成材料が硬化することを防止することができ、これにより、基板9上に高精度なリブを安定して形成することが可能となる。
【0044】
ところで、より高アスペクト比のリブを形成する際には、同様に高アスペクト比の吐出口を有するノズル部を用いるとともに、光照射部43からの紫外線の強度をさらに強くする必要があるが、ステージ20の載置面201では、リブ形成材料を硬化させる紫外線が吸収されることにより、ノズル部51へと入射する紫外線の量を抑制してノズル部51が詰まることを防止することができ、基板9上におけるより高アスペクト比のリブの形成が可能となる。
【0045】
なお、ステージ20の載置面201では、黒色の着色以外に、例えば、黒色のフィルム(紙でもよい。)を敷いたり、金属のステージに硬質アルマイト処理を施すことにより紫外線の吸収が実現されてもよく、さらには、ステージ20自体が紫外線を吸収する材料にて形成されてもよい。
【0046】
また、リブ形成装置1では、窒化チタン(TiN)、窒化チタンアルミニウム(TiAlN)、炭化チタン(TiC)、窒化クロム(CrN)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(SiN)、アルミナ(Al)等が遮蔽層としてCVD法やPVD(Physical Vapor Deposition)法により開口面514および対向面515に形成されてもよい。この場合に、紫外線の透過を確実に防止するという観点ではコーティングされる遮蔽層の厚さは0.3μm以上とされることが好ましく、吐出口512から形成されるリブ形成材料に影響を与えないという観点では遮蔽層の厚さは10μm以下とされることが好ましい。なお、CVD法により形成される遮蔽層は、通常、厚さ0.3〜3μmとされる。また、ノズル部51の開口面514および対向面515に黒色の着色剤を塗布する(実際には、着色剤の層が形成される)ことにより、吐出口512近傍へと入射する紫外線の遮蔽が実現されてもよい。
【0047】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係るリブ形成装置のノズルユニット5aを示す図である。図6のノズルユニット5aでは、ノズル部51aが紫外線を遮蔽する黒色のジルコニアにて形成されるとともに、図2および図3のノズル部51における遮蔽層511が省略される。ノズルユニット5aの他の構成は図2および図3のノズルユニット5と同様であり同符号を付している。
【0048】
図6のノズルユニット5aを有するリブ形成装置においても、図1のリブ形成装置と同様の処理が行われる。すなわち、基板9をステージ20の載置面201上に載置した後(図4:ステップS11)、光照射部43からの紫外線の出射および吐出部42からのリブ形成材料の吐出が開始されるとともに(ステップS12,S13)、基板9が移動を開始して基板9の主面91上にリブが形成される(ステップS14)。
【0049】
このとき、リブの表面にて反射した紫外線(あるいは、載置面201上にて反射される極僅かな紫外線等)がノズル部51の吐出口512近傍へと照射される場合であっても、ノズル部51自体が紫外線を遮蔽する材料にて形成されていることにより、紫外線がノズル部51内へと入射することが防止される。リブ形成装置では、リブ形成材料の吐出が続けられ、基板9上のリブ形成の終点がノズルユニット5の真下に達すると、リブ形成材料の吐出が停止され(ステップS15)、続いて、基板9の移動および光照射部43からの紫外線の出射が停止され(ステップS16,S17)、リブ形成装置による基板9上へのリブ形成動作が終了する。
【0050】
以上に説明したように、図6のノズルユニット5aを有するリブ形成装置では、リブ形成材料を硬化させる紫外線を遮蔽する黒色のジルコニアにてノズル部51aが形成される。これにより、ノズル部51内に入射する光により内部のリブ形成材料が硬化してノズル部51が詰まることを防止することができ、基板9上にリブを精度よく形成することができる。なお、ノズル部51aは、紫外線を遮蔽し、かつ、所定の形状精度にてノズル部51aを作製することが可能なものであるならば、他のセラミックスにて形成されてもよい。
【0051】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0052】
上記第1および第2の実施の形態では、リブ形成材料が紫外線の照射により硬化するが、リブ形成材料は他の波長帯の光の照射により硬化するものであってもよい。リブ形成装置では、i)リブ形成材料を硬化させる波長帯の光を透過する材料にてノズル部が形成される場合に当該波長帯の光を遮蔽する遮蔽層が吐出口近傍の表面に形成される、ii)リブ形成材料を硬化させる波長帯の光を遮蔽するとともにノズル部を精度よく製造することが可能なセラミックスにてノズル部自体が形成される、iii)基板がリブ形成材料を硬化させる波長帯の光を透過する場合に基板が載置されるステージに当該波長帯の光を吸収する載置面が設けられる、の少なくともいずれかが満たされることにより、ノズル部内(吐出口の近傍を含む。)のリブ形成材料が硬化してノズル部が詰まることが防止または抑制され、基板上にリブを精度よく形成することが実現される。なお、リブ形成材料は、低軟化点ガラスフリットを含むものが好ましいが、リブが形成される基板の用途によっては、他の材料を用いることも可能である。
【0053】
上記第1の実施の形態では、白色のジルコニアにて形成されるノズル部51が紫外線の一部(すなわち、紫外線の光量の一部)を透過するため、吐出口512の近傍に遮蔽層511が設けられるが、ノズル部51が紫外線の波長帯のうちの一部の波長帯の光を透過する場合に、同様に、遮蔽層511が設けられてもよい。すなわち、リブ形成材料を硬化させる波長帯の光の少なくとも一部を透過する材料にてノズル部51が形成される場合に、ノズル部51に遮蔽層511が設けられることにより、ノズル部51が詰まることを防止することが可能となる。
【0054】
また、遮蔽層511は必ずしもノズル部51の開口面514の全体に設けられる必要はなく、ノズル部51に1つの吐出口512のみが設けられる場合等には、遮蔽層511は吐出口512の近傍のみに設けられてもよい。リブ形成材料の流路513へと到達する紫外線を遮蔽してノズル部51の詰まりを防止するには、少なくともノズル部51の吐出口512近傍の表面に遮蔽層511が形成されることが必要となる。なお、紫外線を透過しない基板上にリブを形成する際に、ノズル部51の対向面515と基板9の主面91との間が微小な距離にて保たれる場合には、対向面515上の遮蔽層511を省略することも可能である。
【0055】
第1保護部材54は、必ずしもステンレス鋼にて形成される板状の部材である必要はなく、遮蔽層511と同様に、紫外線を遮蔽する層(膜状を含む。)として設けられてもよい。
【0056】
また、ノズル部51はジルコニア以外の材料にて形成することも可能であり、吐出口の形状やピッチも、表示装置の設計に合わせて必要とされるリブの断面形状およびピッチ(例えば、幅80μm、かつ、高さ500μmであり、ピッチ330μmにて配列されるリブ)に応じて、適宜変更されてよい。ただし、基板9上に形成される複数のリブのピッチが1mm以下(好ましくは、300μm以上)とされ、各リブの基板9の主面91に沿って伸びる方向に垂直な断面の幅が200μm以下(好ましくは、50μm以上)、かつ、アスペクト比が5以上(好ましくは、25以下)とされる場合には、高アスペクト比の微細な吐出口512を微小なピッチにて有するノズル部51が必要となるため、ジルコニアの被加工部材を用いることにより、高精度なノズル部51が容易に作製されることが好ましい。
【0057】
吐出部42では、吐出口512の全体が形成されるノズル部51,51aの開口面514が、その法線が吐出側にて基板9の主面91と交差するように傾斜していることにより、アスペクト比が高いリブが精度よく形成されるが、リブ形成装置では、ノズル部51,51aにおいて吐出口512の一部を対向面515にまで広げて形成して(図2参照)、アスペクト比が高いリブを形成することも可能である。すなわち、吐出口512の全体または大部分が形成されるノズル部51,51a上の開口面514が、その法線が吐出側にて基板9と交差するように傾斜していればよい。
【0058】
上記第1および第2の実施の形態では、光源ユニット432内に配置されるフィルタ434により光源433からの光のうち紫外線(300〜400nmの波長帯の紫外線に限らず、より短い波長を含む紫外線(例えば200〜400nm)であってもよい。)のみが透過されて光照射部43から出射されるが、ノズル部(または、ノズルユニット)に直接的に、または、リブの表面等を介して間接的に照射される光により熱が発生してノズル部内のリブ形成材料が硬化することを防止するという観点では、リブ形成材料を硬化させる波長帯の光を透過しつつ少なくとも熱線を遮蔽するフィルタ434が、光源433から光照射部43を経由して基板9へと至る光路上に配置されることが重要となる。
【0059】
リブ形成装置1では、ステージ20上の基板9が吐出部42および光照射部43に対してX方向に移動するが、吐出部42および光照射部43を基板9に対してX方向に移動する機構が設けられてもよい。すなわち、リブ形成装置における吐出部42および光照射部43の基板9に対するX方向への相対的な移動は、いかなる機構にて実現されてもよい。
【0060】
リブ形成装置においてリブが形成される基板は、ガラス以外の材料により形成されるものであってもよい。この場合に、基板がリブ形成材料を硬化させる波長帯の光を透過しない材料(例えば、金属)にて形成される場合には、上記第1および第2の実施の形態において、ステージ20の載置面201の着色が省略されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】リブ形成装置の構成を示す図である。
【図2】ノズルユニットの先端近傍を拡大して示す図である。
【図3】ノズルユニットの複数の吐出口近傍を示す図である。
【図4】リブ形成装置が基板上にリブを形成する動作の流れを示す図である。
【図5】リブを示す断面図である。
【図6】第2の実施の形態に係るノズルユニットを示す図である。
【符号の説明】
【0062】
1 リブ形成装置
2 ステージ移動機構
8 リブ
9 基板
20 ステージ
42 吐出部
43 光照射部
51,51a ノズル部
54 保護部材
81 リブ形成材料
91 主面
201 載置面
433 光源
434 フィルタ
511 遮蔽層
512 吐出口
513 流路
514 開口面
【出願人】 【識別番号】000207551
【氏名又は名称】大日本スクリーン製造株式会社
【出願日】 平成18年7月3日(2006.7.3)
【代理人】 【識別番号】100110847
【弁理士】
【氏名又は名称】松阪 正弘


【公開番号】 特開2008−12389(P2008−12389A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−183722(P2006−183722)