トップ :: B 処理操作 運輸 :: B05 霧化または噴霧一般;液体または他の流動性材料の表面への適用一般

【発明の名称】 液滴噴射装置及び塗布体の製造方法
【発明者】 【氏名】小泉 洋

【氏名】添田 勝之

【要約】 【課題】乾燥後の液滴の薄膜形状及び膜厚のばらつきを抑えることができる液滴噴射装置を提供する。

【構成】液滴噴射装置1において、塗布対象物2に対して液滴を噴射する液滴噴射ヘッド7と、液滴噴射ヘッド7により液滴が噴射された塗布対象物2に対して気体をそれぞれ噴出する複数の噴出ノズル及び液滴噴射ヘッド7により液滴が噴射された塗布対象物2の周囲の気体をそれぞれ吸引する複数の吸引ノズルを有し、塗布対象物2上の液滴を乾燥させる乾燥部10とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布対象物に対して液滴を噴射する液滴噴射ヘッドと、
前記液滴噴射ヘッドにより前記液滴が噴射された前記塗布対象物に対して気体をそれぞれ噴出する複数の噴出ノズル及び前記液滴噴射ヘッドにより前記液滴が噴射された前記塗布対象物の周囲の気体をそれぞれ吸引する複数の吸引ノズルを有し、前記塗布対象物上の前記液滴を乾燥させる乾燥部と、
を備えることを特徴とする液滴噴射装置。
【請求項2】
前記複数の噴出ノズルの噴出流速又は噴出流量をそれぞれ調整する複数の噴出調整弁と、
前記複数の吸引ノズルの吸引流速又は吸引流量をそれぞれ調整する複数の吸引調整弁と、
を備え、
前記複数の噴出ノズル及び前記複数の吸引ノズルは、前記塗布対象物に対して接離方向に移動可能に設けられており、噴出ノズル列及び吸引ノズル列を交互に形成するようにそれぞれ並べて設けられていることを特徴とする請求項1記載の液滴噴射装置。
【請求項3】
塗布対象物に対して液滴を噴射するステップと、
前記液滴が噴射された前記塗布対象物に対して気体をそれぞれ噴出する複数の噴出ノズル及び前記液滴噴射ヘッドにより前記液滴が噴射された前記塗布対象物の周囲の気体をそれぞれ吸引する複数の吸引ノズルを有する乾燥部により、前記塗布対象物上の前記液滴を乾燥させるステップと、
を有することを特徴とする塗布体の製造方法。
【請求項4】
前記液滴を乾燥させるステップを行う前に、前記複数の噴出ノズルの噴出流速又は噴出流量をそれぞれ調整するステップと、
前記液滴を乾燥させるステップを行う前に、前記複数の吸引ノズルの吸引流速又は吸引流量をそれぞれ調整するステップと、
を有することを特徴とする請求項3記載の塗布体の製造方法。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布対象物に対して液滴を噴射する液滴噴射装置及び塗布体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液滴噴射装置は、通常、液晶表示装置、有機EL(Electro Luminescence)表示装置、電子放出表示装置、プラズマ表示装置及び電気泳動表示装置等の様々な表示装置を製造するために用いられている。
【0003】
液滴噴射装置は、塗布対象物に向けて複数のノズルからインク等の液体を液滴としてそれぞれ噴射する液滴噴射ヘッド(例えば、インクジェットヘッド)や塗布対象物上に着弾した液滴を乾燥させる乾燥部等を備えている。この液滴噴射装置は、液滴噴射ヘッドにより塗布対象物に液滴を着弾させ、所定のパターンのドット列を形成し、塗布対象物上の液滴を乾燥させて、例えば、液晶ディスプレイ(カラーフィルタ)や有機ELディスプレイ等の塗布体を製造する。なお、塗布液である液体は、溶剤及び溶媒により構成されている。
【0004】
このような液滴噴射装置の中には、塗布対象物の乾燥時、真空乾燥により液滴を高速に乾燥させる液滴噴射装置が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。この液滴噴射装置の乾燥部は、液滴が塗布された塗布対象物を収容する真空チャンバー等の収容室内の気体を排気し、収容室内を真空にして、塗布対象物上の液滴を乾燥させる。
【特許文献1】特開2001−235277号公報
【特許文献2】特開2003−234273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、真空乾燥により高速に液滴を乾燥させると、気流が収容室内の全体に発生し、塗布対象物上の液滴が均一に乾燥しなくなるため、乾燥後の液滴の薄膜形状及び膜厚にばらつきが発生してしまう。これは、表示装置での色度ムラ等の発生要因となっている。
【0006】
また、基板の中央部では、揮発後の溶媒が滞留しやすく、液滴の溶媒濃度が高いため、乾燥速度が遅くなり、基板の周囲部では、液滴の溶媒濃度が低いため、乾燥速度が速くなる。このため、乾燥後の液滴の薄膜形状及び膜厚にばらつきが顕著に発生してしまう。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、乾燥後の液滴の薄膜形状及び膜厚のばらつきを抑えることができる液滴噴射装置及び塗布体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、液滴噴射装置において、塗布対象物に対して液滴を噴射する液滴噴射ヘッドと、液滴噴射ヘッドにより液滴が噴射された塗布対象物に対して気体をそれぞれ噴出する複数の噴出ノズル及び液滴噴射ヘッドにより液滴が噴射された塗布対象物の周囲の気体をそれぞれ吸引する複数の吸引ノズルを有し、塗布対象物上の液滴を乾燥させる乾燥部とを備えることである。
【0009】
本発明の実施の形態に係る第2の特徴は、塗布体の製造方法において、塗布対象物に対して液滴を噴射するステップと、液滴が噴射された塗布対象物に対して気体をそれぞれ噴出する複数の噴出ノズル及び液滴噴射ヘッドにより液滴が噴射された塗布対象物の周囲の気体をそれぞれ吸引する複数の吸引ノズルを有する乾燥部により、塗布対象物上の液滴を乾燥させるステップとを有することである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、乾燥後の液滴の薄膜形状及び膜厚のばらつきを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施の一形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1に示すように、本発明の実施の一形態に係る液滴噴射装置1は、塗布対象物である基板2に対して液体であるインクを液滴として噴射して塗布するインク塗布ボックス3と、そのインク塗布ボックス3にインクを供給するインク供給ボックス4とを備えている。これらのインク塗布ボックス3とインク供給ボックス4とは、互いに隣接して配置され、共に架台5の上面に固定されている。なお、インク塗布ボックス3の内部は、一定の温度及び湿度に保たれている。
【0013】
インク塗布ボックス3の内部には、基板2を保持してX軸方向及びY軸方向に移動させる基板移動部6と、インクを液滴として基板2に向けて噴射する液滴噴射ヘッド7をそれぞれ有する複数のインクジェットヘッドユニット8と、それらのインクジェットヘッドユニット8をX軸方向に移動させるユニット移動部9と、基板2上に着弾した液滴を乾燥させる乾燥部10と、インクを収容するインクバッファタンク11とが設けられている。
【0014】
基板移動部6は、Y軸方向ガイド板12、Y軸方向移動テーブル13、X軸方向移動テーブル14及び基板保持テーブル15により構成されている。これらのY軸方向ガイド板12、Y軸方向移動テーブル13、X軸方向移動テーブル14及び基板保持テーブル15は、平板状に形成されており、積層されて設けられている。
【0015】
Y軸方向ガイド板12は架台5の上面に固定されている。Y軸方向ガイド板12の上面には、複数のガイド溝12aがY軸方向に沿って設けられている。これらのガイド溝12aがY軸方向移動テーブル13をY軸方向に案内する。
【0016】
Y軸方向移動テーブル13は、各ガイド溝12aにそれぞれ係合する複数の突起部(図示せず)を下面に有しており、Y軸方向ガイド板12の上面にY軸方向に移動可能に設けられている。また、Y軸方向移動テーブル13の上面には、複数のガイド溝13aがX軸方向に沿って設けられている。これらのガイド溝13aがX軸方向移動テーブル14をX軸方向に案内する。このようなY軸方向移動テーブル13は、送りネジ及び駆動モータを用いた送り機構(図示せず)により各ガイド溝12aに沿ってY軸方向に移動する。
【0017】
X軸方向移動テーブル14は、各ガイド溝13aに係合する突起部(図示せず)を下面に有しており、Y軸方向移動テーブル13の上面にX軸方向に移動可能に設けられている。このようなX軸方向移動テーブル14は、送りネジ及び駆動モータを用いた送り機構(図示せず)により各ガイド溝13aに沿ってX軸方向に移動する。
【0018】
基板保持テーブル15は、X軸方向移動テーブル14の上面に固定されて設けられている。この基板保持テーブル15は、基板2を吸着する吸着機構(図示せず)を備えており、その吸着機構により上面に基板2を固定して保持する。吸着機構としては、例えばエアー吸着機構等を用いる。なお、基板2の保持手段としては、吸着機構にかえて、基板を把持する把持機構を設けるようにしてもよい。把持機構としては、例えばコの字型の挟み金具等を用いる。
【0019】
ユニット移動部9は、架台5の上面に立設された一対の支柱16と、それらの支柱16の上端部間に連結されてX軸方向に延出するX軸方向ガイド板17と、そのX軸方向ガイド板17にX軸方向に移動可能に設けられ各インクジェットヘッドユニット8を支持するベース板18とによって構成されている。
【0020】
一対の支柱16は、X軸方向においてY軸方向ガイド板12を挟むように設けられている。また、X軸方向ガイド板17の前面には、ガイド溝17aがX軸方向に沿って設けられている。このガイド溝17aがベース板18をX軸方向に案内する。
【0021】
ベース板18は、ガイド溝17aに係合する突起部(図示せず)を背面に有しており、X軸方向ガイド板17にX軸方向に移動可能に設けられている。このベース板18は、送りネジ及び駆動モータを用いた送り機構(図示せず)によりガイド溝17aに沿ってX軸方向に移動する。このようなベース板18の前面には、各インクジェットヘッドユニット8が取付けられている。
【0022】
各インクジェットヘッドユニット8は、ベース板18に垂設されており、それぞれ液滴噴射ヘッド7を具備している。これらの液滴噴射ヘッド7は、各インクジェットヘッドユニット8の先端にそれぞれ着脱可能に設けられている。液滴噴射ヘッド7は、貫通孔である複数のノズル(図示せず)を有し、それらの各ノズルから基板2に向けて液滴を噴射し、基板2の表面に所定のパターンを塗布する。
【0023】
インクジェットヘッドユニット8には、基板2の表面に対して垂直方向、すなわちZ軸方向に液滴噴射ヘッド7を移動させるZ軸方向移動機構19aと、液滴噴射ヘッド7をY軸方向に移動させるY軸方向移動機構19bと、液滴噴射ヘッド7をθ方向に回転させるθ方向回転機構19cとが設けられている。これにより、液滴噴射ヘッド7は、Z軸方向及びY軸方向に移動可能になり、θ軸方向に回転可能になる。
【0024】
乾燥部10は、X軸方向ガイド板17に固定されて設けられた第1支持部材20と、架台5の上面に設けられた第2支持部材21とにより支持されており、X軸方向に移動する基板2に対向する位置、すなわち基板2の移動領域に対向する位置に位置付けられて設けられている。この乾燥部10は、例えば直方体状に形成されており、その長手方向をY軸方向に向けて配置されている。乾燥部10の一端が第1支持部材20により支持されており、その他端が第2支持部材21により支持されている。
【0025】
インクバッファタンク11は、その内部に貯留したインクの液面と液滴噴射ヘッド7のノズル面との水頭差(水頭圧)を利用し、ノズル先端のインクの液面(メニスカス)を調整する。これにより、インクの漏れ出しや噴射不良が防止されている。
【0026】
インク供給ボックス4の内部には、インクを収容するインクタンク22が着脱可能に設けられている。インクタンク22は、供給パイプ23によりインクバッファタンク11を介して液滴噴射ヘッド7に接続されている。これにより、液滴噴射ヘッド7は、インクタンク22からインクバッファタンク11を介してインクの供給を受けることになる。なお、インクは溶剤及び溶媒により構成されている。
【0027】
架台5の内部には、液滴噴射装置1の各部を制御するための制御部24及び各種のプログラムを記憶する記憶部(図示せず)等が設けられている。制御部24は、各種のプログラムに基づいて、Y軸方向移動テーブル13の移動制御、X軸方向移動テーブル14の移動制御、ベース板18の移動制御、Z軸方向移動機構19aの駆動制御、Y軸方向移動機構19bの駆動制御及びθ方向回転機構19cの駆動制御等を行う。これにより、基板保持テーブル15上の基板2と、各インクジェットヘッドユニット8の液滴噴射ヘッド7との相対位置を色々と変化させることができる。さらに、制御部24は、各種のプログラムに基づいて、各液滴噴射ヘッド7の駆動制御及び乾燥部10の駆動制御等も行う。
【0028】
次いで、乾燥部10について詳しく説明する。
【0029】
図2に示すように、乾燥部10は、各液滴噴射ヘッド7により液滴が噴射された基板2に対して気体をそれぞれ噴出する複数の噴出ノズル51と、各液滴噴射ヘッド7により液滴が噴射された基板2の周囲の気体をそれぞれ吸引する複数の吸引ノズル52と、基板2に対して接離方向に各噴出ノズル51及び各吸引ノズル52を移動可能に支持するノズル支持部53と、各噴出ノズル51に複数の噴出径路54を介して接続されそれらの噴出ノズル51に気体を供給する噴出部55と、各吸引ノズル52に複数の吸引径路56を介して接続されそれらの吸引ノズル52に気体を吸引する吸引力を供給する吸引部57と、各噴出径路54中にそれぞれ設けられ各噴出ノズル51の噴出流速又は噴出流量を調整する複数の噴出調整弁58と、各吸引径路56中にそれぞれ設けられ各吸引ノズル52の吸引流速又は吸引流量を調整する複数の吸引調整弁59と、各噴出ノズル51及び各吸引ノズル52等の部材を覆う本体カバー60とを備えている。
【0030】
各噴出ノズル51及び各吸引ノズル52は、基板2の表面に対向する位置に位置付けられ、基板2に対して接離方向に移動可能に設けられている。これらの噴出ノズル51及び吸引ノズル52の開口部は、例えば円形状に形成されている。噴出ノズル51の開口部の直径は、例えば5mm程度であり、吸引ノズル52の開口部の直径は、例えば10mm程度である。
【0031】
さらに、図3に示すように、各噴出ノズル51及び各吸引ノズル52は、噴出ノズル列51a及び吸引ノズル列52aを交互に形成するようにそれぞれ並べて設けられている。各噴出ノズル51は、X軸方向のピッチ間隔X1が例えば30mm程度に設定され、Y軸方向のピッチ間隔Y1が例えば60mm程度に設定されて、格子状にそれぞれ設けられている。同様に、各吸引ノズル52も、X軸方向のピッチ間隔X2が例えば30mm程度に設定され、Y軸方向のピッチ間隔Y2が例えば60mm程度に設定されて、格子状にそれぞれ設けられている。なお、各噴出ノズル51と各吸引ノズル52との間のX軸方向のピッチ間隔X3は、例えば15mm程度であり、各噴出ノズル51と各吸引ノズル52との間のY軸方向のピッチ間隔Y3は、例えば30mm程度である。
【0032】
加えて、図4に示すように、各噴出ノズル51は、基板2の表面からの離間距離Z1が例えば80mm程度になるように設定されてそれぞれ設けられている。また、各吸引ノズル52は、基板2の表面からの離間距離Z2が例えば30mm程度になるように設定されてそれぞれ設けられている。
【0033】
ノズル支持部53は、基板2に対して接離方向に移動可能に設けられ各噴出ノズル51を固定して支持する噴出ノズル支持板53aと、基板2に対して接離方向に移動可能に設けられ各吸引ノズル52を固定して支持する吸引ノズル支持板53bと、それらの噴出ノズル支持板53a及び吸引ノズル支持板53bを接離方向に移動可能に支持する複数の支持棒53cと、噴出ノズル支持板53a及び吸引ノズル支持板53bを支持棒53cに固定して保持する複数の固定部材53dと、第1支持部材20に固定されて設けられ各支持棒53cを支持する棒支持板53eと、第2支持部材21に固定されて設けられ棒支持板53eを支持する板支持部材53fとを備えている。
【0034】
噴出ノズル支持板53aは、移動する基板2に対向する位置、すなわち基板2の移動領域に対向する位置に位置付け、各支持棒53cに各固定部材53dにより取り付けられている。噴出ノズル支持板53aには、各支持棒53cがそれぞれ貫通する複数の貫通孔K1と、各噴出ノズル51がそれぞれ嵌合する複数の貫通孔K2と、各吸引径路56がそれぞれ通過する複数の貫通孔K3とが形成されている。なお、各噴出ノズル51は各貫通孔K2にそれぞれ嵌合して固定されており、噴出ノズル支持板53aの移動に伴って移動する。
【0035】
吸引ノズル支持板53bは、移動する基板2に対向する位置、すなわち基板2の移動領域に対向する位置であって噴出ノズル支持板53aより基板2側に位置付け、各支持棒53cに各固定部材53dにより取り付けられている。この吸引ノズル支持板53bには、各支持棒53cがそれぞれ貫通する複数の貫通孔K4と、各噴出ノズル51がそれぞれ通過する複数の貫通孔K5と、各吸引ノズル52がそれぞれ嵌合する複数の貫通孔K6とが形成されている。なお、各吸引ノズル52は各貫通孔K6にそれぞれ嵌合して固定されており、吸引ノズル支持板53bの移動に伴って移動する。
【0036】
各支持棒53cは、棒支持板53eの下面(基板2側の表面)に固定されて設けられている。これらの支持棒53cは、各貫通孔K1及び各貫通孔K4にそれぞれ挿入されており、各固定部材53dと協力して噴出ノズル支持板53a及び吸引ノズル支持板53bを支持する。各支持棒53cの周囲には、ネジ溝が形成されている。
【0037】
各固定部材53dは、各支持棒53cに設けられており、噴出ノズル支持板53a及び吸引ノズル支持板53bを所定の位置に保持する。これらの固定部材53dとしては、例えばナット等を用いる。なお、各固定部材53dによる噴出ノズル支持板53a及び吸引ノズル支持板53bの保持位置が変更され、基板2と各噴出ノズル51及び各吸引ノズル52との間の離間距離Z1、Z2が調整される。
【0038】
棒支持板53eは、その一端が第1支持部材20に固定され、他端が板支持部材53fに固定されて設けられている。この棒支持板53eには、各噴出径路54及び各吸引径路56がそれぞれ通過する複数の貫通孔K7が形成されている。
【0039】
板支持部材53fは、例えば棒状に形成され、複数本設けられている。これらの板支持部材53fは、その一端が第2支持部材21の上面に固定され、他端が棒支持板53eの下面に固定されて設けられている。
【0040】
各噴出径路54は、各噴出ノズル51と噴出部55とを接続する径路である。これらの噴出径路45は、各噴出ノズル51から噴出部55までの途中で1つの噴出径路54aとしてまとめられている。このような噴出径路54としては、例えばチューブやパイプ等を用いる。
【0041】
噴出部55は、各噴出ノズル51にそれぞれ気体を供給する供給ポンプであり、架台5の内部に設けられている。この噴出部55は、制御部24に電気的に接続されており、その制御部24により駆動制御される。ここで、気体としては、例えばドライエアや不活性ガス等を用いる。ドライエアや不活性ガスは露点管理される。なお、不活性ガスとしては、例えば窒素ガス等を用いる。
【0042】
各吸引径路56は、各吸引ノズル52と吸引部57とを接続する径路である。これらの吸引径路56は、各吸引ノズル52から吸引部57までの途中で1つの吸引径路56aとしてまとめられている。このような吸引径路56としては、例えばチューブやパイプ等を用いる。
【0043】
吸引部57は、各吸引ノズル52にそれぞれ吸引力を供給する吸引ポンプであり、架台5の内部に設けられている。この吸引部57は、制御部24に電気的に接続されており、その制御部24により駆動制御される。
【0044】
各噴出調整弁58及び各吸引調整弁59は、棒支持板53eの上面(基板2の反対側の表面)に設けられている。各噴出調整弁58は、各噴出ノズル51と同数設けられており、各噴出ノズル51の噴出流速又は噴出流量をそれぞれ調整する。また、各吸引調整弁59も、各吸引ノズル52と同数設けられており、各吸引ノズル52の吸引流速又は吸引流量をそれぞれ調整する。このような噴出調整弁58及び吸引調整弁59としては、例えばスピードコントローラ等を用いる。これらの噴出調整弁58及び吸引調整弁59が調整され、各噴出ノズル51の噴出流速又は噴出流量と各吸引ノズル52の吸引流速又は吸引流量とが、使用する溶媒の特性に応じて設定されている。
【0045】
例えば、沸点が82.4℃であるIPA(イソプロピルアルコール)等の溶媒のように、沸点が水の沸点100℃以下である揮発性が高い溶媒に対しては、各噴出ノズル51の噴出流速を低くし、各吸引ノズル52の吸引流速、すなわち吸引力を高めるように各噴出調整弁58及び各吸引調整弁59が調整される。
【0046】
次に、このような液滴噴射装置1を用いた塗布体の製造方法について説明する。なお、液滴噴射装置1の制御部24は、各種のプログラムに基づいて液滴噴射処理及び液滴乾燥処理を実行する。
【0047】
図5に示すように、塗布体の製造工程は、基板2と各噴出ノズル51との間の離間距離Z1及び基板2と各吸引ノズル52との間の離間距離Z2を調整し、各噴出ノズル51の噴出流速又は噴出流量と各吸引ノズル52の吸引流速又は吸引流量とをそれぞれ調整するステップS1と、基板2に対して液滴を噴射するステップS2と、その後、乾燥部10により基板2上の液滴を乾燥させるステップS3とにより構成されている。この製造工程を行うことにより、塗布体が完成する。なお、ステップS3では、基板2と乾燥部10とを相対的に移動させる。
【0048】
ステップS1では、各種の調整が作業者により行われる。作業者は、各固定部材53dを調整し、噴出ノズル支持板53a及び吸引ノズル支持板53bの保持位置を変えて、基板2と各噴出ノズル51及び各吸引ノズル52と間の離間距離Z1、Z2を調整する。加えて、作業者は、各噴出調整弁58及び各吸引調整弁59を調整し、各噴出ノズル51の噴出流速又は噴出流量と各吸引ノズル52の吸引流速又は吸引流量とをそれぞれ調整する。各噴出ノズル51の噴出流速及び各吸引ノズル52の吸引流速は、例えば10m/s程度に設定される。
【0049】
ステップS2では、液滴の噴射は液滴噴射装置1により行われる。制御部24は、液滴噴射処理を実行し、インク塗布ボックス3内の各部を駆動制御し、基板保持テーブル15上の基板2に対して液滴を塗布する液滴塗布動作を行う。詳述すると、制御部24は、Y軸方向移動テーブル13及びX軸方向移動テーブル14を移動制御し、加えて、各インクジェットヘッドユニット8の液滴噴射ヘッド7を駆動制御し、各液滴噴射ヘッド7により基板2に向かって液滴を噴射する液滴噴射動作を行う。これにより、液滴噴射ヘッド7は、インクを液滴として各ノズルからそれぞれ噴射し、移動する基板2にそれらの液滴を着弾させ、所定のパターンのドット列を順次形成する。
【0050】
ステップS3では、液滴の乾燥は液滴噴射装置1の乾燥部10により行われる。制御部24は、液滴乾燥処理を実行し、インク塗布ボックス3内の乾燥部10を駆動制御し、基板保持テーブル15上の液滴噴射済の基板2を乾燥する乾燥動作を行う。詳述すると、制御部24は、Y軸方向移動テーブル13及びX軸方向移動テーブル14を移動制御し、加えて、乾燥部10の噴出部55及び吸引部57を駆動制御し、基板2の表面に向かって気体を噴出し、同時に、基板2の表面周囲の気体を吸引する。このとき、制御部24は、X軸方向移動テーブル14を例えば1mm/s程度の速度で移動させる。この液滴乾燥処理により、気体が各噴出ノズル51から基板2の表面に向かって噴出され、その気体により基板2上の液滴が乾燥する。また、各吸引ノズル52により基板2の表面周囲の気体が吸引され、基板2の周囲に滞留する揮発後の溶媒雰囲気が取り除かれる。
【0051】
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、複数の噴出ノズル51及び複数の吸引ノズル52を備える乾燥部10を設けることによって、各噴出ノズル51から気体が基板2の表面に向かって噴出され、その気体により基板2上の液滴が乾燥し、また、各吸引ノズル52により基板2の周囲の気体が吸引され、基板2の周囲に滞留する揮発後の溶媒雰囲気が取り除かれる。これにより、基板2上の液滴の乾燥速度(溶媒の揮発速度)が一定になるので、乾燥後の液滴の薄膜形状及び膜厚のばらつきを抑えることができる。その結果として、表示装置での色度ムラ等の発生を防止することができる。
【0052】
また、各噴出ノズル51が基板2に対して接離方向に移動可能に設けられていることから、各噴出ノズル51と基板2との離間距離Z1を調整することが可能になるので、使用する溶媒の特性等に合わせて、各噴出ノズル51及び各吸引ノズル52により発生する気流の調整を行うことができる。その結果として、乾燥後の液滴の薄膜形状及び膜厚のばらつきをより確実に抑えることができる。
【0053】
さらに、各吸引ノズル52が基板2に対して接離方向に移動可能に設けられていることから、各吸引ノズル52と基板2との離間距離Z2を調整することが可能になるので、使用する溶媒の特性等に合わせて、各噴出ノズル51及び各吸引ノズル52により発生する気流の調整を行うことができる。その結果として、乾燥後の液滴の薄膜形状及び膜厚のばらつきをより確実に抑えることができる。
【0054】
加えて、各噴出ノズル51及び各吸引ノズル52は、噴出ノズル列51a及び吸引ノズル列52aを交互に形成するようにそれぞれ並べて設けられていることから、気体の噴出及び吸引がスムーズに行われ、各噴出ノズル51及び各吸引ノズル52により発生する気流が乾燥後の液滴の薄膜形状及び膜厚のばらつきを抑えるために適した流れとなるので、乾燥後の液滴の薄膜形状及び膜厚のばらつきをより確実に抑えることができる。
【0055】
また、各噴出ノズル51の噴出流速又は噴出流量をそれぞれ調整する各噴出調整弁58と、各吸引ノズル52の吸引流速又は吸引流量をそれぞれ調整する各吸引調整弁59とを設けることによって、各噴出ノズル51の噴出流速又は噴出流量と各吸引ノズル52の吸引流速又は吸引流量とが調整され、各噴出ノズル51及び各吸引ノズル52により発生する気流の流速又は流量が乾燥後の液滴の薄膜形状及び膜厚のばらつきを抑えるために適した値となるので、乾燥後の液滴の薄膜形状及び膜厚のばらつきをより確実に抑えることができる。
【0056】
さらに、基板2と乾燥部10とを相対的に移動させる基板移動部6を設けることによって、基板2の全面を覆うように乾燥部10を形成する必要がなく、乾燥部10を小型化することができる。その結果として、液滴噴射装置1を小型化することができる。
【0057】
(他の実施の形態)
なお、本発明は、前述の実施の形態に限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【0058】
例えば、前述の実施の形態においては、移動部として基板2を移動させる基板移動部6を設けているが、これに限るものではなく、例えば、移動部として乾燥部10を移動させる乾燥部移動部を設けるようにしてもよい。
【0059】
また、前述の実施の形態においては、基板2と乾燥部10とを相対的に移動させているが、これに限るものではなく、例えば、基板2の全面を覆うように乾燥部10を形成し、基板2と乾燥部10とを相対的に移動しないようにしてもよい。
【0060】
また、前述の実施の形態においては、作業者が各噴出調整弁58及び各吸引調整弁59を調整するようにしているが、これに限るものではなく、例えば、制御部24により各噴出調整弁58及び各吸引調整弁59を駆動制御するようにしてもよい。
【0061】
また、前述の実施の形態においては、作業者が基板2と各噴出ノズル51及び各吸引ノズル52との離間距離Z1、Z2を調整するようにしているが、これに限るものではなく、例えば、噴出ノズル支持板53a及び吸引ノズル支持板53bを基板2に対して接離方向に移動させる移動機構を設け、その移動機構を制御部24により駆動制御するようにしてもよい。
【0062】
最後に、前述の実施の形態においては、各種の数値を挙げているが、それらの数値は例示であり、限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の一形態に係る液滴噴射装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す液滴噴射装置が備える乾燥部の断面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】図2に示す乾燥部が備える噴出ノズル及び吸引ノズルと基板との離間距離を説明するための説明図である。
【図5】塗布体の製造工程を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0064】
1…液滴噴射装置、2…塗布対象物(基板)、10…乾燥部、51…噴出ノズル、51a…噴出ノズル列、52…吸引ノズル、52a…吸引ノズル列、58…噴出調整弁、59…吸引調整弁、S1…ステップ、S2…ステップ、S3…ステップ

【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成18年7月3日(2006.7.3)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和

【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦

【識別番号】100100929
【弁理士】
【氏名又は名称】川又 澄雄

【識別番号】100108707
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 友之

【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和

【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一

【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄


【公開番号】 特開2008−12377(P2008−12377A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−183244(P2006−183244)