トップ :: B 処理操作 運輸 :: B05 霧化または噴霧一般;液体または他の流動性材料の表面への適用一般

【発明の名称】 塗工装置及び極板製造方法
【発明者】 【氏名】井上 浩

【氏名】森内 章弘

【氏名】高木 貢

【要約】 【課題】芯材の表裏にペースト状物をストライプ状に塗工することで電極を製造する際の精度を向上させる。

【構成】芯材13の表裏にペースト状物を塗布し、表裏に配置したブレード16、18で余剰なペースト状物を掻き落として表側のペースト状物12aの厚さAと裏側のペースト状物12bの厚さBとが所定の関係を満たすように調整する。ブレード16には金属材料16−1aにライニングしたゴム16−1bが設けられ、ブレード18にはゴム単体18−1bが設けられ、ゴム16−1bとゴム18−1bとで芯材13を挟み込み、不塗布部分を形成する。ゴム16−1bの硬度及び幅、並びに厚さは所定の値に調整される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材の表裏にペースト状物をストライプ状に塗工する塗工装置であって、
前記芯材の表裏に塗布された余剰ペースト状物を掻き落とすことで塗布部分の総厚さを調整する塗布厚さ調整部と、
表裏の各塗布厚さを所定の関係に設定し、かつ、前記表裏に塗布されたペースト状物を除去することで不塗布部分を形成する不塗布部形成部とを含むブレードと、
を有し、前記ブレードは、
前記芯材の表側に配置された表側ブレードと、
前記芯材の裏側に配置された裏側ブレードと、
を有し、前記表側ブレードと前記裏側ブレードの少なくともいずれかの前記不塗布部形成部は金属あるいは樹脂部材の先端に弾性部材を設けて構成されることを特徴とする塗工装置。
【請求項2】
請求項1記載の塗工装置において、
前記表側ブレードと前記裏側ブレードのうち、一方における前記不塗布部形成部の先端は、バネ弾性力により前記芯材に当接していることを特徴とする塗工装置。
【請求項3】
請求項1、2のいずれかに記載の塗工装置において、
前記所定の関係は、前記芯材の表裏のいずれかの塗布厚さが他方よりも薄いものであり、
前記表側ブレードあるいは前記裏側ブレードのうち前記塗布厚さが薄い側に対応するブレードの前記不塗布部形成部は前記金属あるいは樹脂部材の先端に弾性部材を設けて構成され、前記塗布厚さが厚い側に対応するブレードの前記不塗布部形成部は弾性部材から構成されることを特徴とする塗工装置。
【請求項4】
請求項1、2のいずれかに記載の塗工装置において、
前記所定の関係は、前記芯材の表裏のいずれかの塗布厚さが他方よりも薄いものであり、
前記表側ブレードと前記裏側ブレードのいずれも前記不塗布部形成部は金属あるいは樹脂部材の先端に弾性部材を設けて構成されることを特徴とする塗工装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の塗工装置において、
前記弾性部材はウレタンゴムであることを特徴とする塗工装置。
【請求項6】
請求項3、4のいずれかに記載の装置において、
前記塗布厚さが厚い方の不塗布部形成部の前記弾性部材の幅は、前記塗布厚さが薄い方の不塗布部形成部の前記弾性部材の幅よりも大きいことを特徴とする塗工装置。
【請求項7】
芯材の表裏にペースト状物をストライプ状に塗工することで極板を製造する極板製造方法であって、
前記芯材を表側及び裏側から挟むブレードの塗布厚さ調整部により前記芯材の表裏に塗布された余剰ペースト状物を掻き落として塗布部分の総厚さを調整する工程と、ブレードの不塗布部形成部により表裏の各塗布厚さを所定の関係に設定し、かつ、前記表裏に塗布されたペースト状物を除去することで不塗布部分を形成する工程と、
を有し、前記ブレードは、
前記芯材の表側に配置された表側ブレードと、
前記芯材の裏側に配置された裏側ブレードと、
を有し、前記表側ブレードと前記裏側ブレードの少なくともいずれかの前記不塗布形成部は金属あるいは樹脂部材の先端に弾性部材を設けて構成されることを特徴とする極板製造方法。
【請求項8】
請求項7記載の極板製造方法において、
前記表側ブレードと前記裏側ブレードのうち、一方における前記不塗布部形成部の先端は、バネ弾性力により芯材に当接していることを特徴とする極板製造方法。
【請求項9】
請求項7、8のいずれかに記載の極板製造方法において、
前記所定の関係は、前記芯材の表裏のいずれかの塗布厚さが他方よりも薄いものであり、
前記表側ブレードあるいは前記裏側ブレードのうち前記塗布厚さが薄い側に対応するブレードの前記不塗布形成部は前記金属あるいは樹脂部材の先端に弾性部材を設けて構成され、前記塗布厚さが厚い側に対応するブレードの前記不塗布形成部は弾性部材から構成されることを特徴とする極板製造方法。
【請求項10】
請求項7、8のいずれかに記載の極板製造方法において、
前記所定の関係は、前記芯材の表裏のいずれかの塗布厚さが他方よりも薄いものであり、
前記表側ブレードと前記裏側ブレードのいずれも前記不塗布形成部は金属あるいは樹脂部材の先端に弾性部材を設けて構成されることを特徴とする極板製造方法。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれかに記載の極板製造方法において、
前記弾性部材はウレタンゴムであることを特徴とする極板製造方法。
【請求項12】
請求項9、10のいずれかに記載の極板製造方法において、
前記塗布厚さが厚い方のブレードの前記弾性部材の幅は、前記塗布厚さが薄い方のブレードの前記弾性部材の幅よりも大きいことを特徴とする極板製造方法。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は塗工装置及び極板製造方法に関し、特にペースト状物をストライプ状に塗工する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の電極板は、金属芯材あるいは基材の両面に極板構成材料を含有するペースト状物をストライプ状に塗布して形成される。ストライプ状における不塗布部分は、ペースト状物の塗布を制限する、あるいは塗布後にブレード等により掻き落とすことで形成され、該不塗布部分は極板に集電体を接合するためのリード部として機能する。
【0003】
下記に示す特許文献1には、多孔体芯材へ表裏均一にペーストを塗布する装置が記載されている。図18及び図19に、この従来技術に開示された構成を示す。図18において、帯状の(フープ)多孔金属芯体1が反転ローラー2を介してペースト貯蔵槽3を通過すると、多孔金属芯体の両面にはペーストが付着する。この付着ペーストを一定量のペースト量に調整する為、図19の一対のドクターブレード4間に形成されるスリット5で余剰なペーストを掻き取る。この後ペースト塗布層を形成した多孔金属芯体は6の乾燥炉を通過して乾燥済極板とする。
【0004】
また、下記の特許文献2には、少なくとも二つ以上の吐出スリットを有し、各吐出スリットの吐出口面の下流側リップが上流側リップより塗料の吐出方向を基準として後ろ側に切り欠かれているダイと、連続走行する基材を摺動支持する支持部材とを備え、ダイと支持部材は、基材を挟み込むように配置され、ダイと支持部材との間に所定のギャップが設けられており、吐出スリットから塗料を吐出して基材にストライプ塗布することが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平8−37005号公報
【特許文献2】特開2001−327906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ペースト状物を芯材(あるいは基材)の表裏にストライプ状に形成した後は、圧延工程を経て電極板が形成されるが、表裏に塗布されたペースト状物の厚みが高精度に制御されていない場合には、圧延工程において極板の反りや形状が安定せず、その後の加工工程や電池組立工程における機械稼働率が低下してしまう。
【0007】
本発明の目的は、芯材の表裏に塗布されるペースト状物の厚さが一定の関係となるように制御し、生産効率を向上させることにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、ストライプ状に形成されるペースト状物の不塗布部分の形成精度を向上させ、これにより生産効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、芯材の表裏にペースト状物をストライプ状に塗工する塗工装置であって、前記芯材の表裏に塗布された余剰ペースト状物を掻き落とすことで塗布部分の総厚さを調整する塗布厚さ調整部と、表裏の各塗布厚さを所定の関係に設定し、かつ、前記表裏に塗布されたペースト状物を除去することで不塗布部分を形成する不塗布部形成部とを含むブレードとを有し、前記ブレードは、前記芯材の表側に配置された表側ブレードと、前記芯材の裏側に配置された裏側ブレードとを有し、前記表側ブレードと前記裏側ブレードの少なくともいずれかの前記不塗布部形成部は金属あるいは樹脂部材の先端に弾性部材を設けて構成されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、芯材の表裏にペースト状物をストライプ状に塗工することで極板を製造する極板製造方法であって、前記芯材を表側及び裏側から挟むブレードの塗布厚さ調整部により前記芯材の表裏に塗布された余剰ペースト状物を掻き落として塗布部分の総厚さを調整する工程と、ブレードの不塗布部形成部により表裏の各塗布厚さを所定の関係に設定し、かつ、前記表裏に塗布されたペースト状物を除去することで不塗布部分を形成する工程とを有し、前記ブレードは、前記芯材の表側に配置された表側ブレードと、前記芯材の裏側に配置された裏側ブレードとを有し、前記表側ブレードと前記裏側ブレードの少なくともいずれかの前記不塗布部形成部は金属あるいは樹脂部材の先端に弾性部材を設けて構成されることを特徴とする。
本発明の1つの実施形態では、前記表側ブレードと前記裏側ブレードのうち一方における前記不塗布部形成部の先端は、バネ弾性力により芯材に当接される。
【0011】
本発明の他の実施形態では、前記所定の関係は、前記芯材の表裏のいずれかの塗布厚さが他方よりも薄いものであり、前記表側ブレードあるいは前記裏側ブレードのうち前記塗布厚さが薄い側に対応するブレードの前記不塗布形成部は前記金属あるいは樹脂部材の先端に弾性部材を設けて構成され、前記塗布厚さが厚い側に対応するブレードの前記不塗布部形成部は弾性部材から構成される。
【0012】
さらに、本発明の他の実施形態では、前記所定の関係は、前記芯材の表裏のいずれかの塗布厚さが他方よりも薄いものであり、前記表側ブレードと前記裏側ブレードのいずれも前記不塗布部形成部は金属あるいは樹脂部材の先端に弾性部材を設けて構成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、極板を製造する際のペースト状物の表裏の塗布厚さの関係を精度良く調整できる。また、極板を製造する際のペースト状物の不塗布部分の幅、コキ取り性(芯材の金属光沢の確保)を精度良く調整できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0015】
<基本構成>
図1に、本実施形態における極板製造方法の基本構成を示す。極板10の表側及び裏側にそれぞれブレード16(固定)及びブレード18(可動)を配置し、ブレード16及びブレード18の塗布厚さ調整部16−2、18−2で表面及び裏面に塗布された余剰ペースト状物を掻き落として総厚さを調整して塗布部分12を形成する。ブレード16及びブレード18内にそれぞれ埋め込まれた不塗布形成部16−1、18−1により芯材の表裏の各塗布厚さを所定の関係に設定するとともに、ペースト状物を除去して不塗布部分14を形成する構成である。極板10はペースト状物を塗布された状態で図中Z方向に移動し、ブレード16は所定位置に固定し、ブレード18は極板10の面に略垂直な図中X方向に移動してブレード16とブレード18とで極板10を挟みこむ。ブレード16とブレード18のうち、不塗布部分16−1、18−1が埋め込まれていない部位(塗布厚さ調整部16−2、18−2)のギャップにより塗布部分12の厚さが決定され、不塗布形成部16−1、18−1が埋め込まれている部位は極板10の芯材に当接してペースト状物を除去する(コキ取る)。
【0016】
極板構成材料(芯材に付与される活物質部材、添加部材、結着部材等を含む)を含有するペースト状物をストライプ状に形成する場合、以下の2点に留意する必要がある。
(1)塗布部分12の表側の厚さと裏側の厚さを一定の関係に維持する
(2)不塗布部分14の幅、コキ取り性(芯材の金属光沢の確保)を一定に維持する
(2)のコキ取り性は、芯材からのペースト状物の除去程度を表し、芯材に金属光沢があるか否かにより評価することができる。
(1)は、塗工工程後の圧延工程、電極加工工程、あるいは電池組立工程等における生産効率に影響を及ぼす。すなわち、圧延工程において一定方向に反りが生じるようにするためには塗布部分12の表側の厚さと裏側の厚さとの間に一定の関係、より具体的には一方の厚さを他方よりも厚くする必要があり、この関係にばらつきが生じると圧延工程において極板10にうねりが生じてしまう。本願発明者は鋭意検討した結果、ペースト状物の厚さが薄い方を表側、厚い方を裏側と定義した場合(もちろん、これは便宜上の定義であって、厚い方を表側と定義することも可能である)、表側の厚さAと裏側の厚さBとの間に、ほぼ
B=A×1.3
の関係にある場合に圧延工程において極板10を一定方向に微小な反りが生じるような状態に維持できることを見出した。なお、許容範囲を考慮すると、
A×1.0≦B≦A×2.0
であることが望ましい。なお、A=0.238mm、B=0.122mmの場合には圧延後に逆反りが生じ、A=0.109mm、B=0.253mmの場合には加工後に極板の長手方向及び幅方向の両方に反りが生じる。A=0.186mm、B=0.193mmの場合、A=0.172mm、B=0.224mmの場合、及びA=0.142mm、B=0.250mmの場合にはいずれも加工後に一定方向に微小な反りが生じた形状が得られることを確認している。本実施形態のブレード16及びブレード18は、このような関係を満足するように構成される。
【0017】
図2に、図1に示すブレード16及びブレード18のA−A’断面図を示す。不塗布部分14を形成する不塗布部形成部16−1、18−1が埋め込まれた部位における断面である。極板10は芯材13を有し、この芯材13の表裏にペースト状物が塗布される。表側のペースト状物12aの厚さAと裏側のペースト状物12bの厚さBは、上記の関係となるようにブレード16及びブレード18に埋め込まれている不塗布部形成部16−1、18−1を調整して塗布厚さ調整部16−2、18−2の間のギャップ中における芯材13位置を所定の位置に維持する。ブレード16は芯材13の表側に配置され、ブレード18は芯材13の裏側に配置される。ブレード16及びブレード18の塗布厚さ調整部16−2、18−2はブレード16、18の上部に位置する部位であり、このギャップにより塗布部分12の総厚さが決まる。なお、塗布厚さ調整部16−2、18−2は金属材料で構成される。
【0018】
表側、つまりペースト状物の厚さが薄い側に配置された不塗布部形成部16−1は、金属材料16−1aの先端にゴム16−1bをライニングして構成される。金属材料16−1aは外観形状が略直方体であり、先端面にゴム16−1bが接着される。ゴム16−1bの先端面は芯材13に当接し、表側のペースト状物を除去して不塗布部分14を形成する。不塗布部形成部16−1は芯材13方向に対して押し出す、あるいは引き込むことにより塗布厚さ調整部16−2、18−2のギャップ中における芯材位置を変更できる構成とされる。金属材料は例えばステンレスであり、ゴムは例えばウレタンゴムである。
【0019】
裏側、つまりペースト状物の厚さが厚い側に配置された不塗布部形成部18−1は、ゴム単体から構成される。ゴムの先端面は芯材13に当接し、裏側のペースト状物を除去して不塗布部分14を形成する。不塗布部形成部18−1は図示のようにバネ等の弾性力で芯材13方向に付勢されて芯材13に当接し、芯材13を表裏から挟持し押圧することでペースト状物を除去する。ゴムは例えばウレタンゴムである。上記のように、表側に使用される不塗布部形成部16−1の構成を、金属材料16−1aの先端にゴム16−1bをライニングしたものとすることにより、塗布厚さ調整部16−2、18−2のギャップ中における芯材13の位置関係を高精度に維持することができる。またその場合、一方の不塗布部形成部16−1を固定し、他方の不塗布部形成部18−1をバネ等の弾性力により芯材13に付勢した場合、いっそう芯材13の位置関係を高精度に維持できる。さらに、不塗布部形成部16−1のゴム16−1aの厚さ、及び硬度を最適化することにより、芯材13の位置関係がよりいっそう高精度に維持される。この結果、上記(1)及び(2)を達成することが可能となる。
【0020】
これに対し、不塗布部形成部16−1及び不塗布部形成部18−1をともにゴム単体から構成した場合、ゴムの弾性変形により芯材13の位置関係を高精度に維持できず、(1)及び(2)を満足させることができない。
【0021】
本実施形態では、基本的にペースト状物の厚さが薄い側(本実施形態では仮に表側としている)の不塗布部形成部16−1を金属材料とゴムとで構成し、ペースト状物の厚さが厚い側(本実施形態では裏側)の不塗布部形成部18−1をゴム単体で構成しているが、不塗布部形成部18−1も不塗布部形成部16−1と同様に金属材料にゴムをライニングすることで構成してもよい。
【0022】
図3に、この場合の構成例を示す。不塗布部形成部16−1の構成は図2と同様であるが、不塗布部形成部18−1は金属材料18−1aにゴム18−1bをライニングして構成される。金属材料18−1aは例えばステンレス、ゴム18−1bは例えばウレタンゴムである。この場合、ゴム18−1bの厚さ、及び硬度は最適値に設定される。
【0023】
また、本実施形態において、金属材料ではなく硬質樹脂にゴム16−1bあるいはゴム18−1bをライニング形成してもよい。
【0024】
<詳細構成>
図4に、本実施形態の詳細構成を示す。極板製造装置の全体構成である。極板構成材料を含有するペースト状物はペースト状物タンク20からモノポンプ(1軸偏心ネジポンプ)で供給される。芯材13はローラを介してペースト溜まり内に搬送され、表裏にペースト状物が付着した状態でペースト溜まりから引き上げられる。ペースト溜まりから引き上げられた芯材13はスムーザー22によりある程度ペースト状物が掻き落とされた後、ブレード(ドクターナイフ)16及び18間に搬送される。
【0025】
ブレード16は固定ブレードであって、その上部にステンレス製の金属材料16−1aの先端面にライニングされたウレタンゴム製のゴム16−bを有する不塗布部形成部16−1が埋め込まれている。また、ブレード18は可動ブレードであって、図中矢印100方向に移動自在に構成される。ブレード16の塗布厚さ調整部16−2とブレード18の塗布厚さ調整部18−2間のギャップは、ブレード18の矢印100方向の移動により可変調整される。ブレード18の上部にはウレタンゴム16−1bと対向する位置にウレタンゴム製のゴム18−1bからなる不塗布部形成部18−1が埋め込まれ、ウレタンゴム16−1b及びウレタンゴム18−1bとで芯材13を挟む。ウレタンゴム18−1bはバネにより図中矢印200方向に付勢され、この付勢力によりウレタンゴム18−1bを芯材13の表面に押し付け、ペースト状物を芯材13から除去して不塗布部分14を形成する。
【0026】
塗布部分12及び不塗布部分14を有しストライプ状にペースト状物が塗工された芯材13はさらに引き上げられてレーザ変位計24に搬送される。レーザ変位計24は、レーザ光を照射して塗布部分12と不塗布部分の段差を測定することで、ペースト状物12aの厚さAを測定する。ペースト状物12aの厚さの許容値は、例えば0.15mm〜0.2mmである。もちろん、レーザ変位計24を用いてペースト状物12bの厚さBを測定してもよい。
【0027】
レーザ変位計24の上部には、さらにX線源26a及び検出器26bが設けられ、塗布部分12の総厚さ、つまり(芯材13の厚さ)+(ペースト状物12aの厚さ)+(ペースト状物12bの厚さ)が測定される。総厚さが所定の範囲にない場合は、ブレード18を矢印100方向に移動させ調整される。レーザ変位計24でペースト状物12aの厚さが測定され、検出器26bで総厚さが測定されれば、ペースト状物12bの厚さは演算により算出され、ペースト状物12aの厚さAとペースト状物12bの厚さBの比率、言い換えれば固定ブレードであるブレード16側の厚さAと可動ブレードであるブレード18側の厚さBとの比率が算出される。厚さAと厚さBは
A×1.0≦B≦A×2.0
であることが望ましいから、比率B/Aは
1.0≦B/A≦2.0
であることが望ましく、得られたA及びBは図示しないコントローラに供給され、コントローラでは算出された比率B/Aがこの範囲に含まれているか否かを判定する。B/Aがこの範囲内にない場合には、ブレード16に埋め込まれた不塗布部形成部16−1を芯材13方向に対して押し出すかあるいは引き込むことによって、塗布厚さ調整部16−2、18−2間のギャップ中における芯材13位置が変動することにより、B/Aを精度よく変えることができる。
【0028】
厚さが測定された芯材13は乾燥炉に搬送され、乾燥された後に圧延工程、加工工程を経て電池に組み立てられる。
【0029】
次に、ゴム16−1b、18−1bが芯材13と接する面形状について説明する。図5に、ゴム16−1bの構成を示す。ゴム16−1bは平面形状が凹形状をなし、面16cが芯材13の表側に当接する。面16cに当接した状態で芯材13は図中下方から上方に向けて搬送され、表側に塗布されたペースト状物が除去される。ゴム16−1bは金属材料16−1aの先端面に接着形成される。ゴム16−1bはウレタンゴムであり、後述するように硬度、幅W1及び厚さt1は所定の値に調整される。高さh1は例えば5mmに設定される。幅W1は不塗布部分14の幅のサイズに応じて設定される。
【0030】
図6に、ゴム18−1bの構成を示す。ゴム18−1bもゴム16−1bに対応するように凹形状を有し、硬度、幅W2は所定の値に調整される。高さh2は例えばh1と同様の5mmに設定される。幅W2は不塗布部分14の幅のサイズに応じて設定される。なお、ゴム18−1bの面形状をゴム16−1bと同じ面形状としてもよい。上記のように、ゴム先端における幅方向両端の厚みを厚くすることにより、両端の剛性が向上し、コキ取り幅の寸法精度を向上させることができる。また、ゴムの中央部を凹部とすることにより、中央部の剛性が下がり、ゴムにしなりが生じる。この結果、コキ取り性(ペースト除去後の芯材表面の光沢)が向上する。
【0031】
以下、ゴム16−1b及びゴム18−1bの有すべき硬度、幅W1,W2、及び厚さt1について説明する。図7は、表側の不塗布部形成部16−1に、金属材料16−1aにゴム16−1bをライニングしたものを用い、裏側の不塗布部形成部18−1に、厚さが無視し得る程度の厚さのゴム18−1b(すなわちゴム単体に相当)を用いて、ゴム16−1bの厚さt1を1.0mm〜2.0mmと変化させた場合の、ペースト状物12aの厚さAの変化を示す。図においてMIN、MAX、及びAVEはそれぞれ複数回実行した場合の最小値、最大値、平均値を示す。ペースト状物12bの厚さBとの関係では、A×1.0≦B≦A×2.0が望ましい。図7は総厚みを一定に維持した状態におけるAのバラツキを調べたものである。t1が1.5mmの時、Aのバラツキが小さく、比較的安定して塗工できることを示している。一方、図7中の白記号で示した測定点は、表側にも裏側と同様の不塗布部形成部(ゴム単体)を使用した場合である。Aのバラツキが非常に大きくなっている。すなわち、表裏共にゴム単体を使用した場合には、ゴムの弾性変形の影響を強く受け、塗布厚みB/A比の関係を安定して維持することが難しいことを示している。
【0032】
図8に、ブレード16側の不塗布部形成部16−1のゴム16−1bの硬度とコキ取り幅、つまり不塗布部分14の幅との関係を示す。また、ゴム16−1bの硬度を最適化する目的のため、ゴム16−1bの厚さは無視し得る程度の厚さ(すなわちゴム単体と同様)とした。要するに、表側がゴム単体、裏側もゴム単体で、表側のデータを示したものである。不塗布部分14は極板に集電体を接合するためのリード部として機能し、所望の幅を有する必要があり、例えば少なくとも5mmの幅を有し、平均値として5.7mmの幅を有するように設計される。ゴム16−1bの硬度が増加するとコキ取り幅(不塗布部分14の幅)は増加するものの、硬度75°ではコキ取り面が平滑でなくなる。一方、硬度60°ではコキ取り面の汚れはほとんどない。
【0033】
図9に、ブレード18側の不塗布部形成部18−1のゴム18−1bの硬度とコキ取り幅(不塗布部分14の幅)との関係を示す。図8の場合と同様の構成で、裏側のデータを示したものである。硬度60°〜75°において硬度が増大するほど若干コキ取り幅が増加する傾向にあるが、硬度75°ではコキ取り面が平滑でなくなる。一方、硬度60°ではAVEがほぼ設計値通りの値が得られ、かつ、コキ取り面の汚れもほとんどない。
【0034】
図10に、ゴム16−1bの硬度を60°とした場合の、ゴム16−1bの厚さt1とコキ取り幅(不塗布部分14の幅)との関係を示す。表裏ともにゴムライニングとした場合の表側のデータを示したものである。ゴム16−1bのゴム幅を6.5mmとした場合である。図に示すように厚さt1=1.5mmでコキ取り幅が最大となり、設計値にほぼ等しい値が得られる。
【0035】
図11に、ゴムの硬度を60°とした場合の、ゴムの厚さとコキ取り幅(不塗布部分14の幅)との関係を示す。図10の場合と同様に表裏ともにゴムライニングとした場合の裏側のデータを示したものである。厚さ1.5mmで安定したコキ取り幅が得られる。
【0036】
図12〜図15に、以上の結果をまとめて示す。図12は、極板である負極フープの表側に配置されるゴム16−1bの硬度60°〜75°におけるコキ取り部(不塗布部分14)のコキ取り幅とコキ取り性の評価結果であり、図8に対応するものである。図において、無地部は不塗布部分14を意味する。硬度70°、75°では無地部のコキ取り幅がほぼ設計値通りであるもののコキ取り性が良くない。つまり金属光沢が確保されていない。一方、硬度60°では無地部の幅は多少不足しているものの、コキ取り性は良好である。コキ取り幅はゴム16−1bの幅を増大させることで確保できるため、ゴム16−1bの硬度として60°が適していることが分かる。
【0037】
図13は、ゴム18−1bの硬度60°〜75におけるコキ取り部のコキ取り幅とコキ取り性の評価結果である。図9に対応するものである。硬度60°で金属光沢が確保される。しかしながら、コキ取り幅が小さく、このことはゴム18−1bの幅はゴム16−1bの幅よりも増大させる必要があることを示している。ゴム16−1bの幅を上記のように6.5mmとする一方、ゴム18−1bの幅を6.5mmよりも大きく、例えば7.0mmにすればよい。
【0038】
図14は、ゴム16−1bの硬度を60°とし、幅W1を6.5mmとした場合の厚さt1=1.0mm〜2.0mmにおけるコキ取り幅とコキ取り性の評価結果である。図10に対応するものである。厚さt1=1.0mmと2.0mmではコキ取り幅が確保できず、厚さ1.5mmにおいてほぼ設計値通りの値が得られる。また、コキ取り性は硬度60°ではいずれの厚さの場合も良好な金属光沢が得られる。以上より、ゴム16−1bの硬度は60°、幅W1は6.5mm、厚さt1は1.5mmが適当となる。
【0039】
図15は、ゴム18−1bの硬度を60°とし、厚さを1.0mm〜2.0mmにおけるコキ取り幅とコキ取り性の評価結果である。図11に対応するものである。いずれの厚さにおいてもコキ取り性は確保されている。以上より、ゴム18bの硬度は60°、ゴム幅W2は7.0mm、厚さt2は1.0mm〜2.0mmが適当となる。
【0040】
図16に、ゴム16−1bの硬度を60°、幅W1を6.5mm、厚さt1を1.5mmとした場合の、負極フープの生産距離(m)とコキ取り幅(不塗布部分14のゴム16−1b側の幅)との関係を示す。表側をゴムライニング、裏側をゴム単体とした場合の表側のデータである。比較のため、ゴム16−1bを金属材料16−1aにライニング形成するのではなくゴム単体とした場合(金属材料16−1aが存在しない場合)を従来例として示す。本実施形態では、生産距離が12000mに達してもコキ取り幅のAVEはほぼ一定であり、安定して負極フープを製造できる。
【0041】
図17に、ゴム18−1bの硬度を60°、幅W2を7.0mmとした場合の、負極フープの生産距離(m)とコキ取り幅(不塗布部分14のゴム18−1b側の幅)との関係を示す。表側をゴムライニング、裏側をゴム単体とした場合の裏側のデータである。比較のため、ゴム16−1bを金属材料16aにライニング形成するのではなくゴム単体とした場合(金属材料16−1aが存在しない場合)を従来例として示す。本実施形態では、生産距離が10000m〜12000mにおいて若干AVEが低下するものの12000mに達しても5.5mmの幅を維持しており、安定して負極フープを製造できる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく種々の変更が可能である。
【0043】
例えば、本実施形態では、不塗布部分14の幅を最小値5.0mm、平均値5.7mmに設定しているが、他の値を設定してもよく、これに応じてゴム16−1b及びゴム18−1bの幅W1及びW2を設定すればよい。但し、上記のとおりW1<W2であることが望ましい。その理由は、ペースト状物が厚い側ではペーストだれにより不塗布部分14の幅が狭くなる可能性があるからである。
【0044】
また、本実施形態では、弾性部材としてウレタンゴムを例示したが、ニトリルゴム、天然ゴム、CR(クロロブレン)ゴム、テフロン(登録商標)ゴム、シリコンゴム、EPDM(エチレンプロピレン)ゴム等を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施形態の基本構成図である。
【図2】図1におけるブレードの基本構成図である。
【図3】図1におけるブレードの他の基本構成図である。
【図4】実施形態の詳細構成図であり、極板製造装置の全体構成図である。
【図5】実施形態の表側ブレードの構成図である。
【図6】実施形態の裏側ブレードの構成図である。
【図7】表側ブレードのゴム厚さとペースト状物の厚さとの関係を示すグラフ図である。
【図8】表側ブレードのゴム硬度と表側コキ取り幅との関係を示すグラフ図であり、表裏ともにゴム単体の場合の表側のデータを示す図である。
【図9】裏側ブレードのゴム硬度と裏側コキ取り幅との関係を示すグラフ図であり、表裏ともにゴム単体の場合の裏側のデータを示す図である。
【図10】表側ブレードのゴム厚さと表側コキ取り幅との関係を示すグラフ図であり、表裏ともにゴムライニングの場合の表側のデータを示す図である。
【図11】裏側部レートのゴム厚さと裏側コキ取り幅との関係を示すグラフ図であり、表裏ともにゴムライニングの場合の裏側のデータを示す図である。
【図12】表側ブレードの評価結果を示す図であり、図8に対応する表図である。
【図13】裏側ブレードの評価結果を示す図であり、図9に対応する表図である。
【図14】表側ブレードの評価結果を示す図であり、図10に対応する表図である。
【図15】裏側ブレードの評価結果を示す図であり、図11に対応する表図である。
【図16】生産距離と表側コキ取り幅との関係を示すグラフ図である。
【図17】生産距離と裏側コキ取り幅との関係を示すグラフ図である。
【図18】従来技術の構成図である。
【図19】従来技術の構成図である。
【符号の説明】
【0046】
10 極板、12 塗布部分、12a ペースト状物(表側)、12b ペースト状物(裏側)、13 芯材、14 不塗布部分、16 ブレード(表側ブレード)、16−1 不塗布部形成部、16−1a 金属材料、16−1b ゴム、16−2 塗布厚さ調整部、18 ブレード(裏側ブレード)、18−1 不塗布部形成部、18−1a 金属材料、18−1b ゴム、18−2 塗布厚さ調整部、20 ペーストタンク、22 スムーザー、24 レーザ変位計、26a X線源、26b 検出器、28 乾燥炉。
【出願人】 【識別番号】399107063
【氏名又は名称】パナソニック・イーブイ・エナジー株式会社
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】 【識別番号】100075258
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二

【識別番号】100096976
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 純


【公開番号】 特開2008−6396(P2008−6396A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−181006(P2006−181006)