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【発明の名称】 塗工状態検査装置
【発明者】 【氏名】藤田 和彦

【氏名】渡邉 敦

【要約】 【課題】通常の乾燥設備を使用せず、急速停止により必要最小限の評価サンプルを湿潤または乾燥状態で評価することができ、しかも、全体としての小型化を達成する。

【構成】長尺の被塗工基材を巻き出す巻き出し装置2と、被塗工基材に塗工液を塗布する塗工ヘッド1と、被塗工基材を巻き取る巻き取り装置3とを有する装置において、被塗工基材の巻き取り前に、被塗工基材に塗布された塗工液を掻き取る掻き取り手段4を含んでいる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の被塗工基材を巻き出し、被塗工基材に塗工ヘッドを用いて塗工液を塗布し、その後、被塗工基材を巻き取るように構成した装置において、
被塗工基材の巻き取り前に、被塗工基材に塗布された塗工液を掻き取る掻き取り手段(4)を含むことを特徴とする塗工状態検査装置。
【請求項2】
前記装置は、連続乾燥炉による連続乾燥を行うことなく、塗工液が塗布された被塗工基材を案内するものであり、前記掻き取り手段(4)は、湿潤状態のままの塗工液を掻き取るものである請求項1に記載の塗工状態検査装置。
【請求項3】
所望の塗布条件で塗工液が塗布された被塗工基材の部分が掻き取り手段(4)に到達する前に被塗工基材を停止させる停止手段をさらに含む請求項1または請求項2に記載の塗工状態検査装置。
【請求項4】
被塗工基材の搬送速度が30m/min〜500m/minであり、巻き出しから巻き取りまでの被塗工基材搬送距離が2m〜20mである請求項1から請求項3の何れかに記載の塗工状態検査装置。
【請求項5】
被塗工基材の搬送が停止された後に、塗工液が塗布された被塗工基材を取り出すことなく塗工厚み、塗工幅、塗工欠点を検査する検査手段(6)をさらに含む請求項1から請求項4の何れかに記載の塗工状態検査装置。
【請求項6】
被塗工基材の搬送が停止された後に、取り出しを所望する箇所の塗工液を乾燥する乾燥手段(5)をさらに含む請求項1から請求項5の何れかに記載の塗工状態検査装置。
【請求項7】
前記装置は、複数個の搬送ローラー(7)を含み、全ての搬送ローラー(7)は駆動力が伝達されるものである請求項1から請求項6の何れかに記載の塗工状態検査装置。
【請求項8】
前記停止手段は、機械的制動装置を含む請求項3から請求項7の何れかに記載の塗工状態検査装置。








【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、塗工ヘッドを用いて被塗工基材に塗工液を塗布した状態の検査を行うための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被塗工基材に塗工液を塗布する装置は広い分野で実用化されている。
【0003】
そして、塗工装置は、用途、適用分野に応じて、塗工方法、および塗工条件が適宜選定される。
【0004】
ここで、選定した塗工方法、および塗工条件が適正であることを検出するために、実際に塗工液を塗布し、塗工状態の検査を行うことが必要であり、このような検査を行うための装置も実用化されている。
【0005】
このような塗工状態検査装置は、巻き出し工程、塗工工程、乾燥工程、および巻き取り工程を含み、数百m〜数千mの長さにわたって連続的に塗工液を塗布する装置と、スライドテーブルに長さが数mの被塗工基材を固定し、塗工液を塗布する装置(特許文献1参照)とに大別される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
巻き出し工程、塗工工程、乾燥工程、および巻き取り工程を含む塗工状態検査装置は、実際の塗工装置における被塗工基材搬送速度(例えば、数百m/min)と等しい被塗工基材搬送速度を実現しようとすれば、被塗工基材搬送速度に見合う長さの乾燥装置が必要になり、全体として著しく大型化するとともに、検査に用いる被塗工基材の量、および塗工液の量が多くなり、著しいコストアップを招いてしまう。また、乾燥装置を短くすれば、乾燥能力が低下するため、塗工状態検査装置の被塗工基材搬送速度を実際の塗工装置における被塗工基材搬送速度よりも低く設定しなければならず、所望の塗工方法、および塗工条件が適正であることを検出することができない。
【0007】
特許文献1に記載された塗工状態検査装置は、枚葉塗工装置であり、被塗工基材に対する塗工液の塗布は、十分な平面度を維持したテーブル搬送による被塗工基材の搬送を行いながら達成される。ここで、テーブルの平面度、強度を維持するために、テーブルの重量は重くなり、この結果、達成できる搬送速度は最大で30m/min〜40m/minとなるのであるから、所望の塗工方法、および塗工条件が適正であることを検出することはできない。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、塗工状態検査装置の被塗工基材搬送速度を実際の塗工装置における被塗工基材搬送速度と等しく設定した状態での塗工状態の検査を達成することができ、しかも、全体としての小型化を達成することができる塗工状態検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の塗工状態検査装置は、長尺の被塗工基材を巻き出し、被塗工基材に塗工ヘッドを用いて塗工液を塗布し、その後、被塗工基材を巻き取るように構成した装置において、被塗工基材の巻き取り前に、被塗工基材に塗布された塗工液を掻き取る掻き取り手段を含むものである。
【0010】
請求項2の塗工状態検査装置は、前記装置として、連続乾燥炉による連続乾燥を行うことなく、塗工液が塗布された被塗工基材を案内するものを採用し、前記掻き取り手段として、湿潤状態のままの塗工液を掻き取るものを採用するものである。
【0011】
請求項3の塗工状態検査装置は、所望の塗布条件で塗布手段により塗工液が塗布された被塗工基材の部分が掻き取り手段に到達する前に被塗工基材を停止させる停止手段をさらに含むものである。
【0012】
請求項4の塗工状態検査装置は、被塗工基材の搬送速度を30m/min〜500m/minに設定し、巻き出しから巻き取りまでの被塗工基材搬送距離を2m〜20mに設定したものである。
【0013】
請求項5の塗工状態検査装置は、被塗工基材の搬送が停止された後に、塗工液が塗布された被塗工基材を取り出すことなく塗工厚み、塗工幅、塗工欠点を検査する検査手段をさらに含むものである。
【0014】
請求項6の塗工状態検査装置は、被塗工基材の搬送が停止された後に、取り出しを所望する箇所の塗工液を乾燥する乾燥手段をさらに含むものである。
【0015】
請求項7の塗工状態検査装置は、前記装置として、複数個の搬送ローラーを含み、全ての搬送ローラーは駆動力が伝達されるものを採用するものである。
【0016】
請求項8の塗工状態検査装置は、前記停止手段として、機械的制動装置を含むものを採用するものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の塗工状態検査装置は、塗工状態検査装置の被塗工基材搬送速度を実際の塗工装置における被塗工基材搬送速度(例えば、数百m/min)と等しく設定した状態での塗工状態の検査を達成することができ、しかも、全体としての小型化を達成することができ、さらに、塗工液を掻き取り手段により掻き取るので、塗工液を一箇所で収集することができ、塗工液の飛散を防止することができ、さらにまた、被塗工基材巻き取り手段での塗工液巻き込みがなく、被塗工基材搬送の蛇行を防止することができるという特有の効果を奏する。
【0018】
請求項2の塗工状態検査装置は、塗工液の飛散を一層確実に防止することができ、しかも、塗工液を再利用して塗工液の消費量を少なくし、コストダウンを達成することができるという特有の効果を奏する。
【0019】
請求項3の塗工状態検査装置は、停止状態における測定などを達成することができるという特有の効果を奏する。
【0020】
請求項4の塗工状態検査装置は、塗工状態検査装置の被塗工基材搬送速度を実際の塗工装置における被塗工基材搬送速度(30m/min〜500m/min)と等しく設定した状態での塗工状態の検査を達成することができ、しかも、全体としての小型化を達成することができるという特有の効果を奏する。
【0021】
請求項5の塗工状態検査装置は、塗工厚み、塗工幅、塗工欠点を検査することができる。
【0022】
請求項6の塗工状態検査装置は、塗工液を乾燥させることにより、塗工液が流れ落ちることなく所望箇所を取り出すことができ、ひいては実際の塗工製品の検査を達成することができるという特有の効果を奏する。
【0023】
請求項7の塗工状態検査装置は、何れの搬送ローラーも所望の塗工条件下において追従し、加速、制動の精度を高めることができるという特有の効果を奏する。
【0024】
請求項8の塗工状態検査装置は、簡単、迅速、かつ確実に被塗工基材を停止させることができるという特有の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明の塗工状態検査装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0026】
図1は本発明の塗工状態検査装置の一実施形態を示す概略図である。
【0027】
この塗工状態検査装置は、長尺の被塗工基材を巻き出す巻き出し装置2と、被塗工基材に塗工液を塗布する塗工ヘッド1と、巻き出された被塗工基材を案内する案内装置と、被塗工基材を巻き取る巻き取り装置3と、巻き取り装置3による被塗工基材の巻き取り前に、被塗工基材に塗布された塗工液を掻き取る掻き取り装置4と、被塗工基材の搬送が停止された後に、取り出しを所望する箇所の塗工液を乾燥する乾燥装置5と、被塗工基材への塗工液の塗布状態を検査する検査装置6と、被塗工基材を所定の搬送速度にまで加速する加速装置(図示せず)と、所定の搬送速度に達した被塗工基材に塗工液が塗布された部分が巻き取り装置3により巻き取られる前(より具体的には、塗布された塗工液が搬送ローラーに接触する前、または、掻き取り装置4により塗工液が掻き取られる前)に被塗工基材の搬送を停止させる停止装置(図示せず)と、塗工ヘッド1に対する塗工液の供給を行うポンプ、被塗工基材に対する塗工ヘッド1の相対位置を設定する相対位置設定機構、前記加速装置、および前記停止装置などを制御するコントローラ(図示せず)とを含んでいる。
【0028】
前記案内装置は複数個の搬送ローラー7を含んでおり、全ての搬送ローラー7は駆動力が伝達されるものである。ただし、他の構成の案内装置を採用することが可能である。ここで、案内装置による被塗工基材の走行長さ(巻き出し装置2から巻き取り装置3までの被塗工基材の走行長さ)は、2m〜20mに設定される。そして、塗工状態検査装置の全長は、例えば、1m〜10mに設定される。
【0029】
前記掻き取り装置4は、例えば、金属製、樹脂製などのブレードを被塗工基材に押し付けることによって、被塗工基材に塗布された塗工液を掻き取るものであるから、塗工液を一箇所で回収することができ、塗工液が散乱してしまうという不都合の発生を未然に防止することができる。
【0030】
前記乾燥装置5は、熱風吹き付け、赤外線照射などを行って塗工液を乾燥させるものである。ただし、他の構成の乾燥装置を採用することが可能である。そして、何れの場合であっても、被塗工基材の搬送を停止させた状態で塗工液を乾燥させるのであるから、被塗工基材を搬送させながら塗工液を乾燥させる乾燥装置と比較して乾燥装置5を大幅に小型化することができる。
【0031】
前記検査装置6は、光学的に塗工厚み、塗工幅、塗工欠点を検査するものである。ただし、他の構成の検査装置を採用することが可能である。
【0032】
前記加速装置としては、インバータにより駆動されるモータが例示できるが、他の構成の加速装置を採用することが可能である。
【0033】
前記停止装置としては、機械的制動装置が例示できるが、他の構成の制動装置を採用することが可能である。
【0034】
上記の構成の塗工状態検査装置の作用を、図2のフローチャート、および図3のタイムチャートを参照して説明する。
【0035】
ステップSP1において、被塗工基材の搬送運転を行い、ステップSP2において、塗工ヘッド1に塗工液を供給するためのポンプの運転を開始し、ステップSP3において、塗工ヘッド1を被塗工基材に接近させて塗工液の塗布を開始し、ステップSP4において、塗工面が良好であるか否かを判定する(具体的には、例えば、塗工面の平滑性、および塗布欠落の有無を目視検査して、これらが良好か否かを判定する)。
【0036】
なお、ステップSP1における処理は、被塗工基材の搬送速度が所定の速度になるまで加速処理を行うこと(具体的には、例えば、30秒以内に所定の速度になるように加速処理を行うこと)、およびその後は所定の速度を維持することを含んでいる。また、所定の速度としては、例えば、30m/min〜500m/minが例示できる。
【0037】
ステップSP4において塗工面が良好でないと判定された場合には、ステップSP5において、塗工ヘッド1を退避させ、ステップSP6において、塗工ヘッド1に塗工液を供給するためのポンプの運転を停止し、ステップSP7において、被塗工基材の搬送を停止し、再びステップSP1の処理を行う。なお、ステップSP7の処理が行われた後、ステップSP1の処理が行われるまでの間に塗工条件の変更処理が行われる。
【0038】
ステップSP4において塗工面が良好であると判定された場合には、ステップSP8において、塗工ヘッド1を退避させ、ステップSP9において、塗工ヘッド1に塗工液を供給するためのポンプの運転を停止し、ステップSP10において、被塗工基材の搬送を停止し、ステップSP11において、乾燥装置5によって、被塗工基材に塗布された塗工液を局所的に乾燥させ、ステップSP12において、所望の塗工厚み精度が実現されているか否かを判定する。
【0039】
なお、ステップSP10における被塗工基材の搬送の停止は、塗工ヘッド1の退避前に塗布された塗工液の部分が検査装置6の位置で停止するように、機械式制動装置などの停止装置により急制動を行うことにより達成される。
【0040】
ステップSP12において所望の塗工厚み精度が実現されていないと判定された場合には、再びステップSP1の処理を行う。なお、ステップSP12の判定が行われた後、ステップSP1の処理が行われるまでの間に塗工条件の変更処理が行われる。
【0041】
ステップSP12において所望の塗工厚み精度が実現されていると判定された場合には、そのまま一連の処理を終了する。
【0042】
図3は被塗工基材の搬送速度、ポンプ速度、および塗工ヘッド位置の経時変化を示すタイムチャートである。
【0043】
低速開始タイミングにおいて加速処理を行うことによって、低速の所定速度まで被塗工基材の搬送速度を加速し、その後、高速開始タイミングまで低速の所定速度を維持する。そして、高速開始タイミングにおいて加速処理を行うことによって、高速の所定速度まで被塗工基材の搬送速度を加速し、その後、急停止タイミングまで高速の所定速度を維持する。また、急停止タイミングにおいて機械式制動装置などの停止装置により急制動処理を行うことによって、被塗工基材を迅速に停止させる。ここで、案内装置の全ての搬送ローラー7に駆動力が伝達されることが好ましく、制動時に搬送ローラー7が惰性で回転することを未然に阻止することができ、この結果、被塗工基材の制動を高精度に達成することができる。
【0044】
そして、高速開始タイミングより少し前のタイミングにおいてポンプの動作を開始させ、ポンプ速度(塗工ヘッド1に塗工液を供給する量)を所定速度まで加速し、その後、急停止タイミングまでそのポンプ速度を維持する。また、急停止タイミングにおいてポンプ速度が減速され、ポンプが停止される。
【0045】
また、被塗工基材の搬送速度が高速の所定速度に維持されている任意のタイミングにおいて、塗工ヘッド1は前進され(被塗工基材に向かって移動され)、その後、急停止タイミングまでその前進状態を維持する。また、急停止タイミングにおいて塗工ヘッド1は後退され、被塗工基材に対する塗工液の塗布が停止される。
【0046】
したがって、被塗工基材の搬送速度を高速の所定速度まで加速した状態において塗工ヘッド1を前進させて塗工液の塗布を開始し、次いで、急制動処理を行うことによって、被塗工基材を迅速に停止させることができる。
【0047】
ここで、高速の所定速度を実際の塗工装置における被塗工基材の搬送速度と等しく設定することによって、実際の塗工条件と等しい条件での塗工液の塗布を達成することができる。
【0048】
そして、塗工液が塗布された部分が検査装置6に正対する所定位置で停止するように急制動を行うことによって、塗工状態検査装置を全体として小型化することができる。
【0049】
図3のタイムチャートでは、被塗工基材の搬送速度として、低速の所定速度および高速の所定速度が示されている。そして、何れかの所定速度を選択可能としている。ただし、高速の所定速度のみが選択可能であってもよい。
【0050】
また、急停止のみが示されているが、通常の停止と急停止とを選択することが可能である。
【0051】
さらに、ポンプは、塗工状態検査装置の運転中において、任意のタイミングで運転開始/停止の切り替えを行うことが可能であり、急停止時にのみ強制的に停止されることが好ましい。
【0052】
さらに、塗工ヘッド1は、塗工状態検査装置の運転中において、任意のタイミングで前進/後退の操作を行うことが可能であり、急停止時にのみ強制的に後退されることが好ましい。
【0053】
また、図2のフローチャート、図3のタイムチャートには示されていないが、塗工液が塗布された被塗工基材を塗工状態検査装置から取り出す場合には、被塗工基材の搬送を停止させた状態において、乾燥装置5により塗工液を乾燥させればよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の塗工状態検査装置の一実施形態を示す概略図である。
【図2】図1の塗工状態検査装置の動作を説明するフローチャートである。
【図3】被塗工基材の搬送速度、ポンプ速度、および塗工ヘッド位置の経時変化を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1 塗工ヘッド
2 巻き出し装置
3 巻き取り装置
4 掻き取り装置
5 乾燥装置
6 検査装置
7 搬送ローラー



【出願人】 【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
【出願日】 平成18年6月27日(2006.6.27)
【代理人】 【識別番号】100087804
【弁理士】
【氏名又は名称】津川 友士


【公開番号】 特開2008−6322(P2008−6322A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−176245(P2006−176245)