トップ :: B 処理操作 運輸 :: B05 霧化または噴霧一般;液体または他の流動性材料の表面への適用一般

【発明の名称】 スピンコート装置および反射防止層用組成物のコーティング方法
【発明者】 【氏名】高田 敬介

【氏名】唐沢 勲

【要約】 【課題】レンズ表面への付着物の付着を防止して外観が良好となるレンズのスピンコート装置及び反射防止層用組成物のコーティング方法を提供すること。

【構成】ユニット60は、保持具20を覆うような外壁部603を備え、外壁部603は、レンズ50の上部にあたる位置に開口部601が形成されている。外壁部603の下端部は、ユニット60の底部604まで達しておらず、その下端部と底部604との間には、連通口605が形成されている。外壁部603の外周側には、全周にわたって外周部606が環状に設けられ、外周部606と、保持具20と外壁部603との間に形成された内周部607は、連通口605を介して互いに連通している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ基材の表面に水を主成分とする洗浄液を供給する洗浄液吐出装置と、レンズ基材の表面に反射防止層を形成するために反射防止層用組成物を供給する反射防止層用組成物吐出装置と、前記レンズ基材を回転可能に保持する保持部と、前記洗浄液吐出装置と前記反射防止層用組成物吐出装置とから、それぞれ前記レンズ基材に供給されて流下した液体を蓄える貯液部と、前記レンズ基材が収納される装置本体と、この装置本体に清浄空気を供給する給気装置と、前記装置本体内で汚染された空気を外部に排出する排気手段とを備えることを特徴とするスピンコート装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスピンコート装置において、前記装置本体内に前記レンズ基材を覆う外壁部を備え、この外壁部は上部に、前記給気装置から前記レンズ基材に送られる清浄空気の流れを許容する開口部が形成され、前記外壁部の外周を取り囲んで形成された外周部に排気用開口部が形成されることを特徴とするスピンコート装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のスピンコート装置において、前記貯液部には、廃液を装置外に流出させるパイプが前記貯液部底面より立ち上がり形成されていることを特徴とするスピンコート装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のスピンコート装置において、前記給気装置は、前記レンズ基材の上方に設けられ、前記レンズ基材に向けて前記清浄空気を供給し、前記排気手段は前記レンズ基材より下方から前記汚染された空気を吸引することを特徴とするスピンコート装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のスピンコート装置を用いて、スピンコート法で前記レンズ基材に反射防止層を形成する方法であって、前記洗浄液吐出装置から供給された液体で前記レンズ基材を洗浄する工程と、保持具で保持された前記レンズ基材を回転させるとともに、前記反射防止層用組成物吐出装置で組成物を前記レンズ基材に供給する成膜工程とを備え、この成膜工程では、前記貯液部に廃液を貯めた状態で実行することを特徴とする反射防止層用組成物のコーティング方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、スピンコート装置および反射防止層用組成物のコーティング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、眼鏡用などのプラスチックレンズでは、レンズ基材の表面にハードコート層単独又はプライマー層を介したハードコート層が形成され、このハードコート層の表面に、ゴースト及びちらつきを防止するための反射防止層が形成されている。
この反射防止層は、従来、主に真空蒸着法による多層膜として形成されていたが、最近では、反射防止機能を有する硬化性液体からなる反射防止層用組成物が考案されている。反射防止層用組成物の塗膜方法としては、ハードコート層単独又はプライマー層を介してハードコート層が形成されたレンズ基材に対し、反射防止層用組成物を塗布し、その後硬化させるのが一般的である。
【0003】
反射防止層用組成物の塗布方式としては、主に浸漬方式やスピンコーティング方式が用いられる。中でも、予めハードコート層単独又はプライマー層を介したハードコート層が形成されたプラスチックレンズの表面に反射防止層用組成物を吐出し、回転して反射防止層を形成するスピンコーティング方式は、均一、かつ、高品質な反射防止層が得られる上に、加工スピードが速く、装置がコンパクトである。
スピンコーティング方式の従来例として、レンズ基材を把持・回転部材で把持した後、反射防止層用組成物をプラスチックレンズに吐出する直前に、回転しているレンズ基材表面にイソプロピルアルコール(IPA)等の低沸点溶剤を吐出し、所定の回転速度で回転させて振り切ることにより、プラスチックレンズを清浄化・乾燥する方法がある(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−290704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、装置本体内では、反射防止層用組成物を吐出して所定の回転速度で回転させたときに、ミストやパーティクルが発生する。そのため、特許文献1のようにIPAを用いてレンズ基材表面を洗浄したとしても、反射防止層用組成物を吐出して所定の回転速度で回転させて振り切る工程において、発生したミストやパーティクルがレンズ表面に付着してしまい、外観不良が発生する。
本発明の目的は、レンズ表面への付着物の付着を防止して外観が良好となるレンズのスピンコート装置及び反射防止層用組成物のコーティング方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスピンコート装置は、レンズ基材の表面に水を主成分とする洗浄液を供給する洗浄液吐出装置と、レンズ基材の表面に反射防止層を形成するために反射防止層用組成物を供給する反射防止層用組成物吐出装置と、前記レンズ基材を回転可能に保持する保持部と、前記洗浄液吐出装置と前記反射防止層用組成物吐出装置とから、それぞれ前記レンズ基材に供給されて流下した液体を蓄える貯液部と、前記レンズ基材が収納される装置本体と、この装置本体に清浄空気を供給する給気装置と、前記装置本体内で汚染された空気を外部に排出する排気手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、給気装置と排気手段とにより、装置本体内に気流を作ることができる。したがって、装置本体内中に浮遊しているミストやパーティクルを気流にのせて移動させることができ、この気流が、洗浄液と反射防止層用組成物とを貯めた貯液部付近を流れることによって、貯液部に蓄えられた液体にミストやパーティクルを吸着させることができる。
したがって、装置本体内のミストやパーティクルを除去することができるので、ミストやパーティクルがレンズ基材へ付着することを防止することができる。その結果、外観品質に優れたレンズを提供することができる。
【0008】
本発明のスピンコート装置は、前記装置本体内に前記レンズ基材を覆う外壁部を備え、この外壁部は上部に、前記給気装置から前記レンズ基材に送られる清浄空気の流れを許容する開口部が形成され、前記外壁部の外周を取り囲んで形成された外周部に排気用開口部が形成される構成が好ましい。
この発明では、外壁部が形成されているので、給気装置よりレンズ基材に向かって給気された空気が外壁と保持具の間を通って下方に移動し、廃棄用開口部より排出される。したがって、装置本体内に気流を作ることができ、装置本体内で浮遊しているミストやパーティクルを貯液部付近まで移動させることができるので、効率よくミストやパーティクルを貯液部の溶液に吸着させることができる。
【0009】
本発明のスピンコート装置は、前記貯液部には、廃液を流通させるパイプが前記貯液部底面より立ち上がり形成されている構成が好ましい。
この発明では、パイプの端部が貯液部の底面よりも上方に突出しているため、貯液部の液面がパイプの最上端部を越えると、その超えた分の溶液が、パイプを通って外部に排出される。したがって、常に一定量の溶液が貯液部に貯まっている状態となるので、ミストやパーティクルを吸着できる状態を維持することができ、また、貯液部の溶液の補充や排出といった手間を省くことができる。
【0010】
本発明のスピンコート装置は、前記給気装置は、前記レンズ基材の上方に設けられ、前記レンズ基材に向けて清浄空気を供給し、前記排気手段は前記レンズ基材より下方から汚染された空気を吸引する構成が好ましい。
この発明では、給気装置がレンズ基材の上部からレンズ基材に向けて空気を供給するので、空気はレンズよりも下方に移動する。そして、移動した空気を、レンズ基材よりも下方に設けられた排気用開口部より吸引することで、気流を作ることができる。この際、排気用開口部に向かう気流に隣接して貯液部が設けられているので、空気中のミストやパーティクルが貯液部の液体に吸着される。
【0011】
本発明の反射防止層組成物のコーティング方法は、前記スピンコート装置を用いて、スピンコート法で前記レンズ基材に反射防止層を形成する方法であって、前記洗浄液吐出装置から供給された液体で前記レンズ基材を洗浄する工程と、保持具で保持された前記レンズ基材を回転させるとともに、前記反射防止層用組成物吐出装置で組成物を前記レンズ基材に供給する成膜工程とを備え、この成膜工程では、前記貯液部に廃液を貯めた状態で実行することを特徴とする。
この発明では、前述のスピンコート装置を用いて反射防止層を形成しているので、前述と同じ作用効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係るスピンコート装置1の概略図である。
スピンコート装置1は装置本体10を備え、この装置本体10は、その内部の略中央に、レンズ50を保持する保持具20が配設され、保持具20の周囲にユニット60が設けられている。
ユニット60は、保持具20を覆うような外壁部603を備え、外壁部603は、レンズ50の上部にあたる位置に開口部601が形成されている。開口部601は、レンズ50の大きさよりもやや大きい円形状を形成している。外壁部603の下端部は、ユニット60の底部604まで達しておらず、その下端部と底部604との間には、連通口605が形成されている。外壁部603の外周側には、全周にわたって外周部606が環状に設けられ、外周部606と、保持具20と外壁部603との間に形成された内周部607は、連通口605を介して互いに連通している。
外周部606は、排気用開口部608と連通している。排気用開口部608はいくつ設けてもよいが、本実施形態では3つの排気用開口部608が外壁部603に対して放射状に形成されている。排気用開口部608は、その先端が図示しない吸引ポンプとつながっており、吸引ポンプで吸引して排気用開口部608から装置内部の空気を装置外に排出させる。
【0013】
ユニット60の底部604には、液体を蓄える貯液部609が形成され、この貯液部609は、その中心からユニット60の外周側に向かうに従って、下方に傾斜する形状である。底部604には、貯液部609に貯まった余分な液体を排出する廃液パイプ610が設けられ、廃液パイプ610の廃液口611は、底部604よりも突出している。廃液パイプ610は、高さ位置調整万能である。また、底部604には貯液部609に貯まった液体を全て排出するためのドレン612が備えられている。
底部604の中心側には底部開口部613が形成され、その開口端部が立ち上がって形成された立上部614を有している。
【0014】
保持具20の上方には、図示しない加圧タンクとチューブでそれぞれ連通された洗浄液吐出装置11と反射防止層用組成物吐出装置12とが配置されている。これらの装置には、それぞれ下端部にノズル111、121が具備されているとともに、待機位置と保持具20の上方との間を略水平に移動する構造になっている。
また、装置本体10の上部には、装置本体10内部に空気を送り込む給気装置及びHEPAフィルタを備えたクリーンユニット13が設けられ、クリーンユニット13からレンズ50に向かって空気が送り込まれ、装置本体10の内部は局所クリーン構造になっている。
【0015】
図2は、ユニット60および保持具20を拡大して示す図である。
保持具20は、モータ30と、このモータ30を動力源として回転する筒状の回転軸21と、回転軸21を回動自在に支持する軸受223と、この軸受223を収納するハウジング22と、回転軸21の一端側に設けられたホルダー23と、このホルダー23に取り付けられた吸着パッド24とを備え、この吸着パッド24にレンズ50が保持されるものである。
【0016】
回転軸21には、ホルダー23側とは反対側の端部に歯付きプーリー211が設けられ、このプーリー211と、モータ30に設けられた歯付きプーリー301とに掛け回されたタイミングベルト302により、モータ30の回転が回転軸21に伝達されている。
回転軸21のプーリー211側の端部には旋回継ぎ手28が設けられ、この旋回継ぎ手28には、真空ポンプ40からの配管29が接続され、この真空ポンプ40の吸引により、回転軸21の内部を通じて、吸着パッド24に配置されたレンズ50が吸着される。
【0017】
軸受223は、回転軸21との間で回転自在な複数のボール221をボール保持部222で保持する構成であり、ボール221の回転により、回転軸21の回転を円滑に受けている。
なお、回転軸21の端部は軸受223から突出しており、突出部にホルダー23を差し込んだ後にネジ止めする構造になっている。
【0018】
ホルダー23は、テフロン(登録商標)製の円板状部材であり、中央に形成された孔231に対し、回転軸21の端部を差し込んで固定する構造になっている。また、孔231の周縁から立ち上がる突出部232が形成されており、この突出部232の外周に吸着パッド24の内周部が嵌合される。
【0019】
吸着パッド24は、ニトリルゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム等により形成された平面視環状の部材であって、断面形状は略コの字状であり、このコ字形状における対向部分の一方がホルダー23に支持され、他方の部分がレンズ50の保持部241とされている。
なお、吸着パッド24の材質には、このようなゴム素材のほか、レンズ50の形状に追従、密着可能な各種の弾性部材を使用できる。
【0020】
保持具20は、ユニット60の底部開口部613に挿入され、立上部614とホルダー23とが嵌合し、ユニット60の底部604全体が支持プレート615によって支持され、固定される。支持プレート615は、支柱616によって支持されている。
図1において、洗浄液吐出装置11は、レンズ50を洗浄する際に用いられる洗浄水を、ノズル111を通じてレンズ50に供給するものである。
反射防止層用組成物吐出装置12はレンズ50に反射防止層を形成する際に用いられる反射防止層組成物を、ノズル121を通じてレンズ50に供給するものである。この反射防止層組成物は、有機系の材料からなる。
【0021】
図3(A)及び(B)は、レンズ50の断面図であって、レンズ基材500に積層された複数の層を示している。
図3(A)では、レンズ50の凹面側、凸面側の両方に、レンズ基材500の表面から順に、プライマー層501、ハードコート層502、反射防止層503、防汚層504がそれぞれ形成されている。
レンズ基材500はプラスチック製であればよく、特に限定されないが、屈折率が1.6以上の透明な素材を使用することが好ましい。例えば、イソシアネート基またはイソチオシアネート基を持つ化合物と、メルカプト基を持つ化合物を反応させることによって製造されるポリチオウレタン系プラスチック、エピスルフィド基を持つ化合物を含む原料モノマーを、重合硬化して製造される、エピスルフィド系プラスチックを基材の素材として使用することができる。
【0022】
ポリチオウレタン系プラスチックの主成分となるイソシアネート基またはイソチオシアネート基を持つ化合物としては、公知の化合物が何ら制限なく使用できる。
イソシアネート基を持つ化合物の具体例としては、エチレンジイソシアナート、トリメチレンジイソシアナート、2,4,4−トリメチルヘキサンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、m−キシリレンジイソシアナート等が挙げられる。
【0023】
プライマー層501は、ウレタン樹脂などで形成され、レンズ基材500とハードコート層502との密着性を高める必要がある場合や、耐衝撃性を向上させる必要がある場合に形成されるもので、図3(B)のように、プライマー層501を形成せずにレンズ基材500に直接ハードコート層502を形成する場合もある。
ハードコート層502は、シリコーン系、アクリル系材料により、レンズ50の傷付きを防止するために、例えば、2μm程度の厚さで形成されている。このハードコート層502をレンズ基材500に直に形成する場合は、レンズ基材500の表面に予めアルカリ処理、酸処理、微粒子による研磨処理、プラズマ処理等を行うことが好ましく、これにより、レンズ基材500とハードコート層502との密着性が向上する。
【0024】
反射防止層503は、レンズ50の表面反射を防止するために、これより下層のハードコート層502、プライマー層501及びレンズ基材500よりも低屈折の層として形成される。
【0025】
反射防止層503は、反射防止層用組成物吐出装置12によりレンズ50のハードコート層502に塗布され、単層膜としてだけでなく、多層膜として形成することも可能である。
反射防止層用組成物吐出装置12で塗布されるコーティング液としては、フッ素系化合物や、シラン化合物等を使用できる。本実施形態では、シラン化合物を有機溶剤で希釈し、必要に応じて水または薄い塩酸、酢酸等を添加して加水分解を行い、さらに、シリカ系微粒子が有機溶剤中にコロイド状に分散したゾルを添加した後、必要に応じて界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを添加し、十分に撹拌したものをコーティング液として使用する。
このような反射防止層503の膜厚は、所望の光学特性を実現するため、例えば、単層膜の場合で、所定の膜厚100nmに対して、±10nmの範囲で制御されている。
防汚層504は、防汚成分としてフッ素含有化合物が添加されたもので、レンズ50の最表層として形成されている。
【0026】
以下、本実施形態のレンズ50の製造方法について説明する。
[ハードコート層の形成工程]
ハードコート液をレンズ基材500の上に塗布する。塗布する方法は、任意であるが、例えば、ディッピング法、スピンコート法、スプレーコート法、ロールコート法、フローコート法等があげられる。
レンズ基材500とハードコート層502との密着性を高めるために、ハードコート液を塗布するまえに、レンズ基材500にアルカリ処理、酸処理、界面活性剤処理、プラズマ処理等を行っても良い。
基材上にハードコート液を塗布したら、所定温度、例えば、40〜200℃で数時間、乾燥する。これにより、ハードコート層502が形成されることとなる。
[プラズマ処理工程]
ハードコート層502の表面にプラズマによって表面改質処理を施す。
【0027】
[レンズの保持具での保持工程]
ハードコート層502がレンズ基材500に形成されたレンズ50を保持具20で保持する。
そのため、真空ポンプ40でレンズ50を吸引チャックする。この際、レンズ50の形状に従って吸着パッド24の保持部241が弾性変形し、レンズ50が動かずに確実に保持される。
【0028】
[洗浄工程]
洗浄液吐出装置11をレンズ50の真上に移動させ、ハードコート層502に洗浄水を所定時間供給し続け、その後、洗浄水の供給を停止した後もレンズ50を回転させ続けてハードコート層502の表面に残った洗浄液を振り切る。これにより、ハードコート層502が洗浄されるとともに乾燥する。
また、回転により振り切られた洗浄液は、貯液部609に貯まる。貯液部609に貯まった液体は、底部604から突出した廃液口611の高さを超えると、その超えた分が、廃液パイプ610を通って外部に排出される。
【0029】
[反射防止層用組成物の吐出工程]
洗浄工程が終了したら、洗浄液吐出装置11を待機位置に移動させ、図1に示される通り、反射防止層用組成物吐出装置12をレンズ50の真上に移動させ、反射防止層用組成物をハードコート層502の表面に吐出する。この際、保持具20によるレンズ50の回転を低速にしておく。
反射防止層用組成物をハードコート層502に吐出したら、レンズ50を高速回転させ、余分な反射防止層用組成物をハードコート層502の表面から飛ばし、塗布される組成物の厚さを均一にし、乾燥させる。
クリーンユニット13および排気用開口部608とつながっている吸引ポンプは常に稼動しており、装置本体10内部に気流を作りながら行う。この気流は、クリーンユニット13からレンズ50に向かって送り込まれた清浄空気が、開口部601を通り、内周部607を下方に向かって流れ、貯液部609付近を通って連通口605から外周部606に抜け、排気用開口部608から装置外部へ排出される。
一方、反射防止層用組成物吐出装置12からレンズ50に反射防止層用組成物が吐出され、レンズ50を高速回転させたときにはミストやパーティクルが発生し、このミストやパーティクルがレンズ50付近に浮遊している。
したがって、前述の気流の流れによって、ミストやパーティクルは貯液部609付近まで運ばれ、貯液部609に貯まっている液体に吸着される。
また、高速回転により振り切られた反射防止層用組成物も洗浄液と同様に、貯液部609に貯まる。
【0030】
[レンズの焼成工程]
その後、反射防止層用組成物が設けられたレンズ50を焼成する。これにより、ハードコート層502の上に反射防止層503が形成されることになる。
反射防止層503が複数層から形成される場合は前述の工程を繰り返す。
なお、前述の工程がレンズ基材500の片面にて終了したなら、レンズ基材500を反転させて保持具20にセットし、同様の手順で他の片面に反射防止層503を形成する。
[防汚層の形成工程]
反射防止層503が形成されたレンズ50を装置から取り出し、さらに、ディップコート方式又は真空蒸着方式で反射防止層503の上に、レンズ50の最表層として防汚層504を形成する。その後、必要な処理を施すことによりレンズ50が完成する。
【0031】
以上説明した本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)装置本体10が、クリーンユニット13および廃出手段を備えているので、装置本体10内部に、ユニット60の開口部601から内周部607を下方に向かって流れ、貯液部609付近を通り、排気用開口部608に流れる気流を作ることができる。この気流によって、レンズ50付近に浮遊している、反射防止層用組成物を吐出し、レンズ50を高速回転させた際に発生したミストやパーティクルが運ばれ、貯液部609付近を通過する際には、貯液部609に貯まっている液体に吸着される。
したがって、レンズ50付近に浮遊するミストやパーティクルを除去することができるので、レンズ50に付着することなく、外観の優れたレンズを提供することができる。
【0032】
(2)装置本体10内部に、外壁部603を備えたユニット60を設けているので、貯液部609付近を通過する気流を確実に作り出すことができ、ミストやパーティクルを効率よく貯液部609の溶液に吸着させることができる。
【0033】
(3)排気用開口部608から吸引ポンプで吸引するので、給気装置70より送り込まれた空気が確実に排気用開口部608から排出される。したがって、ミストやパーティクルが舞い上がってレンズ50の表面に付着することがない。
【0034】
(4)ユニット60の底部604に設けられた廃液パイプ610の廃液口611が、底部604よりも上方に突出しているので、貯液部609の溶液の量を廃液口611の高さで一定に保つことができる。したがって、貯液部609の溶液の補充や排出といった手間を省くことができる。
【0035】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、スピンコート装置1は、外壁部603を形成するユニット60を備えているが、図4に示すようにユニット60を備えない構成でも良い。
この場合、クリーンユニット13からレンズ50に向かって送り込まれた清浄空気は、保持具20に沿って下方に向かって流れ、貯液部609にぶつかると、外周に向かって広がり、排気用開口部608から排出される。排気用開口部608には図示しない吸引ポンプが接続されているので、装置内で汚染された空気は、確実に排気用開口部608から排出される。したがって、この場合も前記実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、前期実施形態では、排気用開口部608を3つ設けたが、この数に限らず、必要な数を設けるようにしてよい。
【0036】
すなわち、本発明は、主に特定の実施の形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、以上述べた実施の形態に対し、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、眼鏡レンズ、その他のレンズ一般に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態におけるスピンコート装置の概略図。
【図2】前記実施形態における保持具の拡大図。
【図3】前記実施形態において保持されるレンズの断面図。
【図4】前記実施形態の変形例のスピンコート装置の概略図。
【符号の説明】
【0039】
10…装置本体
11…洗浄液吐出装置
12…反射防止層用組成物吐出装置
13…クリーンユニット(給気装置)
20…保持具
50…レンズ
60…ユニット
【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】 【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉

【識別番号】100127661
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 一彦


【公開番号】 特開2008−676(P2008−676A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−172250(P2006−172250)