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【発明の名称】 高粘度塗料の厚膜塗装に適した塗装装置及び塗装方法
【発明者】 【氏名】安部 繁行

【氏名】増田 平隆

【氏名】亀井 正則

【氏名】安達 良光

【氏名】岩村 達也

【氏名】福山 裕文

【氏名】西森 修次

【要約】 【課題】5〜50Pa・sの高粘度塗料を一度の刷毛塗りによって、ウェット時に450μm以上であって乾燥時に350μm以上という膜厚の塗膜に塗布することができる、高粘度塗料の厚膜塗装に適した塗装装置及び塗装方法を提供する。

【構成】塗料タンク2内に摺動自在に収容されて該容器本体内を底側塗料室と天部側圧縮ガス室とに仕切るピストン体に、容器本体11内から取り出すための取手部を設けるとともに、塗料タンクと管接続された塗布具6の毛束部62に、厚み方向両側部の毛材が毛束部の内側から外側に向かうに従い毛丈が短尺となるように、斜めに刈り込みを形成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高粘度塗料の厚膜塗装に適した塗装装置であって、
圧縮ガス注入ポートが上部に設けられた背負い式塗料タンクと、該圧縮ガスの供給圧力を調節する圧力調節具と、前記背負い式塗料タンクと塗料供給用可撓性管によって連結された塗布具を有し、
前記塗料タンクは、底面に塗料吐出ポートが設けられた背負い式筒状容器本体と、該容器本体の天部開口部に気密的に装着される蓋体と、該容器本体内に摺動自在に収容されて該容器本体内を底側塗料室と天部側圧縮ガス室とに仕切るピストン体と、を備えていることを特徴とする塗装装置。
【請求項2】
前記ピストン体は、前記容器本体の天部開口部から取り出し自在に収容されていることを特徴とする請求項1記載の塗装装置。
【請求項3】
前記容器本体内から取り出すための取手部を備えていることを特徴とする請求項2記載の塗装装置。
【請求項4】
前記ピストン体は、弾性材料によって形成され、可撓性を有していることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の塗装装置。
【請求項5】
前記ピストン体が、吸盤状となっていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の塗装装置。
【請求項6】
前記天部側圧縮ガス室内に、圧縮スプリングが収容され、該圧縮スプリングの端部が前記ピストン体の上部を押さえていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の塗装装置。
【請求項7】
前記圧縮スプリングは、0.5〜30Nの力で前記ピストン体を押さえるように構成されていることを特徴とする請求項6記載の塗装装置。
【請求項8】
前記塗布具は、ハンドルと、毛材の根本が矩形状に束ねられて前記ハンドルに結束固定されるとともに前記可撓性管が接続されて塗料の供給を受ける毛束部と、を有し、前記毛束部の厚み方向両側部の毛材が、該毛束部の内側から外側に向かうに従い毛丈が短尺となるように斜めに刈り込まれていることを特徴とする請求項1記載の塗装装置。
【請求項9】
前記毛束部の毛巾方向端部の毛材が、該毛束部の内側から外側に向かうに従い毛丈が短尺となるように斜めに刈り込まれていることを特徴とする請求項8記載の塗装装置。
【請求項10】
前記塗布具は、スティック状のハンドルと、毛材の根本が矩形状に束ねられて前記ハンドルに結束固定されるとともに前記可撓性管が接続されて塗料の供給を受ける毛束部と、前記ハンドルに取り付けられて前記毛束部への塗料供給を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、制御弁と該制御弁を制御するレバーとを有し、前記レバーは、毛束部近傍であってハンドルの側部位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の塗装装置。
【請求項11】
前記塗布具は、スティック状のハンドルと、毛材の根本が矩形状に束ねられて前記ハンドルに結束固定されるとともに前記可撓性管が接続されて塗料の供給を受ける毛束部と、前記ハンドルに取り付けられて前記毛束部への塗料供給を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、制御弁と該制御弁を制御するレバーとを有し、前記レバーは、毛束部近傍であって前記ハンドルの腹側位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の塗装装置。
【請求項12】
前記塗布具は、スティック状のハンドルと、毛材の根本が矩形状に束ねられて前記ハンドルに結束固定されるとともに前記可撓性管が接続されて塗料の供給を受ける毛束部と、前記ハンドルに取り付けられて前記毛束部への塗料供給を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、制御弁と該制御弁を制御するレバーとを有し、前記レバーは、毛束部の上部位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の塗装装置。
【請求項13】
請求項1〜12の何れかに記載の塗装装置を使用する塗装方法であって、
前記筒状容器本体の底側塗料室内に5〜50Pa・sの粘度を有する塗料を収容し、
前記背負い式塗料タンクから前記塗布具への塗料の吐出流量が500〜2000g/分となるように、前記圧力調節具によって背負い式塗料タンクに供給される圧縮ガスの圧力を調節し、
前記塗布具によって被塗布面に塗料を塗布することを特徴とすることを特徴とする塗装方法。
【請求項14】
前記圧縮ガスとして炭酸ガスを使用し、該天部側圧縮ガス室に水溶性アルコールもしくは水溶性アルコールと水との混合液をピストン体の上部に添加することを特徴とする請求項13記載の塗装方法。
【請求項15】
前記塗料が、1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂(D)、リン片状顔料(E)、及びアミン系硬化剤(F)を含有し、且つ該リン片状顔料(E)の含有量が該樹脂(D)の固形分100重量部に対して5〜100重量部の塗料であることを特徴とする請求項13又は14に記載の塗装方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、高粘度塗料の厚膜塗装に適した塗装装置及び該装置を用いた塗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高構造物等の塗装に使用する塗装機として、作業者が携帯ガスボンベを携帯するとともに背負い式塗料タンクを背負、ガスボンベのガス圧で塗料タンク内の塗料を刷毛等の塗布具に圧送する形式の塗装機が多数開発されている(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
この種の塗装機では、背負い式塗料タンクに収容することができる塗料の容量に限界があり、塗料の補充を頻繁に行う必要が生じる。従って、塗料タンクには塗料の投入口が天部に設けられている。
【0004】
また、圧縮ガスの注入ポートが必要となるが、塗料タンクの底方から塗料を押し上げるのは容易でないから、塗料タンクの上部にガス注入ポートを設け、塗料タンクの上部から管を通じて圧送する構成を採用している。
【0005】
このように塗料タンク内の管を通じて塗料を持ち上げる圧送方式を採用しているのは、単に塗料タンクの底にホースを接続してそのホースの先に塗布具を装着し、塗料タンクの上部から圧縮ガスを注入しようとした場合は、塗料タンク底のホース接続口の部位にある塗料のみが先行して吐出されることによって空隙が生じ、この空隙によって圧縮ガスがホース内を通って塗布具からリークすることがあり、塗料を十分に供給できなくなるからである。このような現象(チャネリング現象と呼ばれる。)は、吐出すべき塗料の粘度が高くなるにつれて顕著となる。
【特許文献1】特開平10−34063号公報
【特許文献2】特開2002−263556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
防食性を向上させるためには、膜厚が125μm程度以上の厚膜塗装を行うことが望まれるが、従来の塗装方法では、重力とタンク本体内の管との圧力損失の影響により、5Pa・s程度以上の高粘度塗料では十分な量の塗料を供給することができず、一回塗りで所望の厚膜を得るのが容易でなかった。
【0007】
また、5Pa・s程度以上の高粘度の塗料は、一般に刷毛塗りする際に、刷毛に塗料が溜まりやすい。即ち、図11に示すように、塗料を配っている側の刷毛に、塗料Xが溜まる。この塗料の溜まりXが、刷毛を切り返した際にX−2の位置にきて刷毛より落下して塗料ロスが増えると共に落下した塗料が周囲に飛散して周辺環境に悪影響を及ぼす又、刷毛側面に塗料が溜まった状態で塗装を行うと塗膜面の平滑性を阻害する要因ともなる。
【0008】
そこで、本発明は、高粘度塗料であっても、効率良く、且つ、仕上がり良く厚膜塗装できる、高粘度塗料の厚膜塗装に適した塗装装置及び塗装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る塗装装置は、高粘度塗料を厚膜塗装するための塗装装置であって、圧縮ガス注入ポートが上部に設けられた背負い式塗料タンクと、該圧縮ガスの供給圧力を調節する圧力調節具と、前記背負い式塗料タンクと塗料供給用可撓性管によって連結された塗布具と、該可撓性管内の塗料供給流量を制御する制御部と、を有し、前記塗料タンクは、底面に塗料吐出ポートが設けられた背負い式筒状容器本体と、該容器本体の天部開口部に気密的に装着される蓋体と、該容器本体内に摺動自在に収容されて該容器本体内を底側塗料室と天部側圧縮ガス室とに仕切るピストン体と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
前記ピストン体は、前記容器本体の天部開口部から取り出し自在に収容されていることが好ましく、さらに、前記容器本体内から取り出すための取手部を備えていることが好ましい。
【0011】
前記ピストン体は、弾性材料によって形成され、可撓性を有していることが好ましい。
【0012】
また、前記ピストン体は、吸盤状となっていることが好ましい。
【0013】
さらに、前記天部側圧縮ガス室内に、圧縮スプリングが収容され、該圧縮スプリングの端部が前記ピストン体の上部を押さえていることが好ましい。そして、前記圧縮スプリングは、0.5〜30Nの力で前記ピストン体を押さえるように構成されていることが好ましい。
【0014】
前記塗布具は、ハンドルと、毛材の根本が矩形状に束ねられて結束固定されるとともに前記可撓性管が接続されて塗料の供給を受ける毛束部と、を有し、前記毛束部の厚み方向両側部の毛材が、該毛束部の内側から外側に向かうに従い毛丈が短尺となるように斜めに刈り込まれていることが好ましい。
【0015】
前記毛束部の毛巾方向端部の毛材は、該毛束部の内側から外側に向かうに従い毛丈が短尺となるように斜めに刈り込まれていることが好ましい。
【0016】
また、上記目的を達成するため、本発明に係る塗装方法は、前記塗装装置を使用して塗装する方法であって、前記筒状容器本体の底側塗料室内に5〜50Pa・sの粘度を有する塗料を収容し、前記背負い式塗料タンクから前記塗布具への塗料の吐出流量が500〜2000g/分となるように、前記圧力調節具によって背負い式塗料タンクに供給される圧縮ガスの圧力を調節し、前記塗布具によって被塗布面に塗料を塗布することを特徴とする。
【0017】
上記塗装方法において、炭酸ガスを使用する場合前記天部側圧縮ガス室に、アルコールもしくはアルコールと水との混合液を収容することが好ましい。
【0018】
また、上記塗装方法において、前記塗料が、1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂(D)、リン片状顔料(E)、及びアミン系硬化剤(F)を含有し、且つ該リン片状顔料(E)の含有量が該樹脂(D)の固形分100重量部に対して5〜100重量部の塗料であることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、塗料タンクに収容されているピストン体は、塗料供給用可撓性管を通じて圧縮ガスがリークするのを防止する一方、取手部が設けられているので、塗料タンクの天部開口部から容易に取り出すことができ、塗料を補充することができる。そして、容器本体内の塗料は、圧縮ガスによる押圧力に加えて、塗料の自重とピストンの荷重が加算されるので、高粘度塗料であっても、効率よく圧送される。
【0020】
また、毛束部に形成した刈り込みの傾斜部に沿って塗料が流れることで、塗料の飛散が低減され、塗料が毛材上に溜まるのも低減され、その結果、高粘度塗料であっても、刷毛からの塗料落下による塗料ロス・飛散を防止するだけではなく、塗装効率の良い良好な塗面仕上がりが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に係る塗装装置の好適な実施形態について、以下に図1〜10を参照して説明する。なお、全図及び全実施形態と通じ、同様の構成部分には同符号を付した。
【0022】
塗装装置1は、塗料タンク2と、塗料タンク2に圧縮ガスを供給するガスボンベ3と、圧縮ガス供給管3aに取り付けられて圧縮ガスの供給圧力を調節するレギュレータ等の圧力調節具4と、塗料タンク2と塗料供給用可撓性管5によって連結された塗布具6と、を有している。さらに、圧縮ガス供給管3aには、開閉弁(2方弁)7と、手動操作可能なリリーフ弁8と、が備えられている。
【0023】
ガス供給ホース3aは、材質は特に制限されず、ウレタン、ナイロンなどの各材質が使用できるが、破壊圧力が2.4MPa以上であって使用圧力が0.6MPa以上のものが好ましい。なお、本実施形態では、内径が4mm、外形が6mm、破壊圧力が2.4MPa、常用圧力が0.6MPaのウレタンチューブを使用している。
【0024】
また、塗料供給用可撓性管5は、耐溶剤性があり、破壊圧力2.1MPa以上であって使用圧力が0.5MPa以上の耐圧性を有するものであれば、材質は限定されない。ここで、耐溶剤性とは、トルエン或いはキシレンと接触して膨潤及び変質がないことを意味する。そのような材料として、ウレタン、ナイロンを例示できる。
【0025】
また、塗料供給用可撓性管5は、内径が細いと圧力損失が大きいため、極力大きな内径の物を使用する。塗料供給用可撓性管5の内径の範囲としては、5〜15mmが好ましい。内径が5mmより細いと圧力損失が大きく十分な吐出量を得る為には、ガス圧を高くする必要がある一方、内径が15mmより太いと塗料供給用可撓性管5の操作性(取り回し)が悪く塗装作業に支障をきたすからである。なお、本実施形態において使用している塗料供給用可撓性管5は、、内側がナイロンで外側がウレタンの2層構造であり、破壊圧力2.1MPa、使用圧力0.5MPa、内径9.5mm、外形13mmのものを使用している。
【0026】
塗料タンク2は、底面に塗料吐出ポート10が設けられた筒状容器本体11と、容器本体11の天部に気密的に装着され且つ圧縮ガス注入ポート12が設けられた蓋体13と、筒状容器本体11内に摺動自在に収容されて容器本体11内を底側塗料室11aと天部側圧縮ガス室11bとに仕切るピストン体15と、を備えている。
【0027】
なお、圧縮ガス注入ポート12は、容器本体11の上部周面に取り付けてもよい。また、加圧ガスボンベ3は、腰ベルト等に吊り下げるほか、容器本体11又は蓋体13に取り付けることもできる。さらに、加圧ガスボンベに代えて、圧縮ガス供給源として、図示しないコンプレッサーを設置して、コンプレッサーの吐出口と圧縮ガス注入ポート12とをホース(不図示)によって接続し、圧縮ガスを供給するようにしても良い。
【0028】
ピストン体15は、周縁部に取手部21を備えることができ、容器本体11の蓋体13を外せば、取手部21を持ってピストン体15を容器本体11から容易に引き出して取り出せるようになっている。取手部21は、手で摘んだり、道具で引っ掛けたりすることで、容器本体11から引き出すことができれば良く、特に形態は限定されない。
【0029】
塗料タンク2は、図示しないが、肩バンド、腰バンド等を備えることにより、背負い式、腰ベルト吊り下げ式等の携帯型である。
【0030】
塗布具6は、ハンドル61と、毛材の根本が矩形状に束ねられて結束固定された毛束部62と、を備えている。毛束部62は、可撓性管5が接続され、塗料の供給を受ける。
【0031】
毛束部62は、厚み方向(図3の左右方向)両側部の毛材が、内側から外側に向かうに従い毛丈が短尺となるように、斜めに刈り込まれている。
【0032】
毛束部62は、短尺とされていない毛材が集合する厚み方向中央部の先端部厚み寸法(D)を10〜20mmとし、該中央部の毛材先端位置から毛束部62の厚み方向最外側にある最短毛丈の毛材先端位置迄の距離(H)を20〜40mmとし、刈り込み角度θを2〜70°の範囲、好ましくは10〜30°とする。
【0033】
毛束部62の毛材をこのように刈り込むことにより、横塗り(図3の左右方向移動による塗布)を行った場合に、刈り込みの傾斜部に沿って塗料が流れることで、塗料の飛散が低減され、塗料が毛材上に溜まるのも低減され、その結果、良好な塗面仕上がりが得られる。
【0034】
また、塗料を配る際(塗り広げる際)には、刈り込まれていない部分(毛束部の根本部分)を主として使用し、仕上げ塗りの際に、刈り込まれている部分を使用することもできる。刈り込まれていない部分は、刈り込まれている部分に対し、比較的、腰が強く(反発力が大きい)、腰の強い部分は配り塗りに適し、腰の弱い部分は仕上げ塗りに適しているからである。
【0035】
毛束部62を構成している毛材は、豚毛(直径0.1〜0.2mm)を20〜40%、カネゴート(60〜30デニール)を80〜60%の割合で混毛したもの好ましい。高粘度塗料を塗布する場合には、毛材が柔らかすぎると塗料を被塗装物に対して均一に塗り広げにくく固すぎると塗布した塗料を掻き取り目標膜厚を確保できないと言う問題があるため適度の腰の強さが必要とされ、前記のような混毛とすることで、塗布しやすく、仕上がりも良好なものとなる。
【0036】
可撓性管5内の塗料供給流量を制御する制御部63が、塗布具6に取り付けられている。制御部63は、ニードル弁64を内蔵する制御弁である。制御弁63は、インレットポート65を備え、インレットポート65に可撓性配管5が接続される。弁64は、コイルバネ66a、66b、66cによって閉側に付勢されている。コイルバネ66a〜66cのバネ力に抗して、揺動自在に軸着されたレバー67を押操作すれば、弁64が弁座から離れて流路70が開通し、毛束部62内に差し込まれているノズル68、69から塗料が吐出される。
【0037】
図2,3に示す例では、レバー67が毛束部62近傍のハンドル61左側部であって、ハンドル61を右手で持ったときに親指で操作しやすい位置に配置されている。
【0038】
レバー67の位置は、適宜の位置に配置することができ、図4,5はレバー67aが毛束部62の上部に配置されている例、図6はレバー67bが毛束部62の近傍であってハンドル61の腹側部に配置されている例を、それぞれ示している。何れの例も、図2,3の例と同様、レバー67a、67bによって、弁64が開閉する構成となっている。
【0039】
なお、制御部63は、ニードル式制御弁に限らず、電磁弁、可撓性チューブ等に取り付けられるローラクランプ、その他の公知の制御手段を採用することができる。
【0040】
上記構成を有する塗装装置を用いて塗装する方法について、以下に説明する。
【0041】
先ず、蓋体13を開き、ピストン体15を取り出して、筒状容器本体11の底側塗料室11a内に、5〜50Pa・s、好ましくは15〜20Pa・sの粘度(リオン式回転粘度計により測定した粘度)を有する塗料を充填する。
【0042】
本発明方法に使用する塗料として、1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂(D)、リン片状顔料(E)、及びアミン系硬化剤(F)を含有する塗料が好適である。
【0043】
上記エポキシ樹脂(D)は、1分子中にエポキシ基を2個以上、好ましくは2〜5個有するエポキシ樹脂である。また、エポキシ樹脂(D)は、数平均分子量が約350〜3,000であるのが好ましく、約400〜1,500であるのがより好ましい。更に、エポキシ当量が約80〜1,000であるのが好ましく、約150〜700であるのがより好ましい。
【0044】
上記エポキシ樹脂(D)の例としては、多価アルコール、多価フェノールなどと過剰のエピクロルヒドリン又はアルキレンオキシドとを反応させて得られるエポキシ樹脂を挙げることができる。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、ソルビトール等が挙げられる。また、多価フェノールとしては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、ハロゲン化ビスフェノールA、4,4−ジヒドロキシフェニルメタン[ビスフェノールF]、トリス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、レゾルシン、テトラヒドロキシフェニルエタン、ノボラック型多価フェノール、クレゾール型多価フェノールなどが挙げられる。
【0045】
これら以外のエポキシ樹脂としては、例えば、1,2,3−トリス(2,3−エポキシプロポキシ)プロパン、フタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチルカルボキシレート、トリグリシジルイソシアヌレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルカルボキシレート、ポリプロピレングリコールグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0046】
上記リン片状顔料(E)は、平均厚さ0.1〜15μm程度、平均長径0.01〜2mm程度のフレーク状の顔料であって、粒度分布のピークが0.01〜2mmの間にあるものが防食性能を向上させる上で好ましい。該リン片状顔料(E)としては、例えばマイカ(雲母)、アルミニウムフレーク、ステンレスフレーク、ガラスフレークなどが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上混合して使用できる。これらのうち、特に絶縁抵抗性の点からガラスフレークが好適に使用できる。
【0047】
上記リン片状顔料(E)の含有量は、前記樹脂(D)の固形分100重量部に対して5〜100重量部程度、好ましくは10〜70重量部程度の範囲内である。該含有量が5重量部程度未満では、水分などの腐食性因子の透過阻止効果が低下し、100重量部程度を超えると塗料粘性が高くなる上に硬化塗膜が脆くなるので好ましくない。
【0048】
上記アミン系硬化剤(F)は、上記エポキシ樹脂(D)の硬化剤であり、従来公知のものが特に制限なく使用できる。該アミン系硬化剤としては、前述のアミン系硬化剤(F)の説明で列記した中から適宜選択して使用することができる。
【0049】
上記アミン系硬化剤(F)の配合割合は、前記エポキシ樹脂(D)中のエポキシ基1当量に対して、アミン系硬化剤(F)中の活性水素が0.5〜3.0当量程度、好ましくは0.8〜1.5当量程度になるような割合で用いることが塗膜の硬化性、防食性の観点から望ましい。
【0050】
斯かる塗料には、さらに必要に応じて、上記リン片状顔料(E)以外の各種顔料;石油樹脂、クマロン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、ケトン樹脂、フェノール樹脂等の上記エポキシ樹脂(D)以外の各種樹脂;増粘剤、可塑剤、充填剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、沈降防止剤、タレ止め剤、反応性希釈剤等の各種添加剤を配合することができる。
【0051】
斯かる塗料は、通常、有機溶剤型塗料であり、その固形分含量は50〜97重量%程度好ましくは70〜95重量%である。有機溶剤としては、樹脂成分製造時のものでもよく、又固形分調整等の目的で適宜追加してもよい。有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット等の芳香族炭化水素系溶剤;n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、n−ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤;エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール系溶剤;これらグリコール系溶剤のメチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、ブチルエーテル等のグリコールエーテルアセテートやプロピオネートなどのグリコールエーテル系溶剤等の従来公知の溶剤が使用できる。
【0052】
斯かる塗料は、通常、アミン系硬化剤(F)以外の成分を含有する塗料ベースと、アミン系硬化剤(F)を含有する硬化剤との二液型塗料であり、塗装時に、塗料ベースと硬化剤とを混合して、使用される。混合後の可使時間は、20℃において、通常、0.5〜6時間程度である。また、斯かる塗料は、常温硬化型の塗料である。
【0053】
圧縮ガスとして炭酸ガスを使用する場合、塗料を充填した後、天部側圧縮ガス室11bに、水溶性アルコールもしくは水溶性アルコールと水との混合液を追加投入することが好ましい。水溶性アルコールとしては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等を例示することができる。炭酸ガスを使用する場合、塗料硬化剤中に含まれるポリアミド樹脂と炭酸ガスとが接触すると、瞬時にガルバミン酸化合物による塗料塊が形成される。この塗料塊(ガルバミン酸化合物)が塗料中に分散し、塗膜不良を生じるおそれがある。また、前記塗料塊は、塗布部6のノズル68、69を詰まらせる原因となって、塗布具6からの塗料の吐出不良を生じさせたり、塗布具6のニードル弁64とニードル弁64の弁座との間に挟まって、ニードル弁64を閉鎖不能にして、塗料の吐出を停止させることができなくなるという不具合を生じるおそれがある。そこで、上記したように、容器本体11内に塗料を充填し、ピストン体15を容器本体11内に挿入して塗料表面に載置した後、ピストン体15の上に、アルコールもしくはアルコールと水との混合液を張れば、結晶化したガルバミン酸化合物を溶解させることができる。本実施形態では、イソプロピルアルコール:水=80:20にブレンドしたもの適量を、容器本体11内に添加している。
【0054】
蓋体13を閉じた後、背負い式塗料タンク2から塗布具6への塗料の吐出流量が500〜2000g/分、好ましくは、900〜1500g/分となるように、圧力調節具4の設定圧力を調節する。図示例では、圧力調節具の設定圧力を、0.1〜0.5MPaの範囲内で調節し、加圧ガスボンベ3内の天部側圧縮ガス室11b内に圧縮ガスを供給している。
【0055】
制御部63のレバー67を操作し、ニードル弁64を開いて、ノズル68、69から塗料を吐出させつつ、被塗装面を塗装する。上記の高粘度塗料を上記の流量で吐出すれば、作業者が通常刷毛を運ぶ速度で塗布作業を行えば、塗装直後の塗膜厚として、450μm以上の膜厚を確保できる。
【0056】
容器本体11内の塗料が無くなれば、開閉弁7を操作して閉じて、容器本体11への圧縮ガス供給を停止させ、リリーフ弁8を開操作して容器本体11内の圧縮ガスを抜いた後、蓋体13を開いて、ピストン体15の取手部21を把持して容器本体11から引き出し、塗料を補充する。そして、ピストン体15を再び収容し、蓋体13を閉じて、開閉弁2を操作して開けば、圧力調節具4及びリリーフ弁8の働きによって容器本体11に送られるガス圧が所定圧力に達し、再び、塗装作業を行うことができる。
【0057】
上記構成を備える塗装装置によれば、塗料タンク2に収容されているピストン体15は、塗料供給用可撓性管5を通じて圧縮ガスがリークするのを防止する一方、取手部21が設けられているので、容器本体11の天部開口部から容易に取り出すことができ、塗料を補充することができる。そして、容器本体11内の塗料は、圧縮ガスによる押圧力に加えて、塗料の自重とピストンの荷重が加算されるので、高粘度塗料であっても、効率よく圧送される。その結果、上記のような高粘度の塗料であっても、一度塗りで450μm以上の膜厚(ウェット状態)を確保でき、乾燥後の塗膜厚も340μm以上を確保することができた。
【0058】
塗布具6は側面が斜めに刈り込まれているため、塗料を被塗装面に広げる際、刷毛中央部より吐出した塗料を比較的腰の強い根元に近い部分で均一に塗り広げ、その後刈り込まれた部分を使用して仕上げていく。その時刷毛を被塗装物に対して垂直に立てた状態で仕上げると、刷毛で塗料をかきとり、膜厚は薄くなり、刈り込みにあわせて刷毛を寝かせた状態で仕上ると塗料はその傾斜面に沿って流れ、目標膜厚を確保でき、又毛束部に塗料が溜まらずに仕上げることができ、滑らかな塗膜面が形成される。
【0059】
図7は、塗布具の他の形態を示している。毛束部62の毛巾方向(図7の左右方向)端部の毛材が、毛束部62の内側から外側に向かうに従い毛丈が短尺となるように刈り込まれている。
【0060】
毛束部62は、刈り込み角度θを30〜85°、好ましくは60〜80°とし、毛巾方向中央部の毛材先端位置から毛巾方向最外側にある最短毛丈の毛材先端位置迄の距離(H)を20〜40mmとすることが好ましい。
【0061】
上記のように毛巾方向端部に刈り込みを形成することで、縦塗り(図7の左右方向移動による塗布)を行った場合に、刈り込まれた傾斜部に沿って、塗料が流れ、良好な仕上がりを得ることができる。また、細い部材に対して効果的に塗装できる。
【0062】
次に、本発明に係る塗装装置の第2実施形態について、図8、9を参照して説明する。図8は、塗装装置の概念図を示している。図9は、塗料タンクの内部状態を示し、図9(a)は、充填した塗料の上にピストン体を載せた状態、図9(b)は、ピストン体の上に圧縮スプリングを載せて蓋体で閉じた直後の状態、図9(c)は塗料の吐出後における塗料タンクの内部状態を示している。図9中、符号Pは塗料を示す。
【0063】
第2実施形態に係る塗装装置では、天部側圧縮ガス室11b内に、圧縮スプリング9が収容され、圧縮スプリング9の端部がピストン体15の上部を押さえている。
【0064】
圧縮スプリング9は、ピストン体15を介して塗料表面に押しつける。その結果、容器本体11が傾いた際にピストン体15が傾くのを防止することができる。
【0065】
このような圧縮スプリング9は、圧縮スプリング9が容器本体11内で最も圧縮した状態である図9(b)の状態において、0.5〜30N、好ましくは、1.0〜20Nの力でピストン体15を押し、圧縮スプリング9が容器本体11内で最も延びた状態である図9(c)の状態において、0.5N以上、好ましくは2.5N以上の力でピストン体15を押すものが好ましい。図9(b)の状態において圧縮スプリング9の押圧力が30Nを超えると、塗料タンク内にスプリング9の挿入が難しくなるからである。また、図9(b)の状態から図9(c)の状態になるまでの圧縮スプリング9の押圧力が0.5N以上好ましくは、2.5N以上を保つ必要がある。図9(b)から(c)にいたるまでの間に0.5N以下になると、塗料タンクが傾いた際、容器内のピストン体も傾き圧縮ガスがリークするからである。
【0066】
ピストン体15は、弾性材料によって形成され、可撓性を有している。ピストン体15は、このような可撓性を有する結果、図8,9に示すように、容器本体11の上部が、円錐形、円錐台形、或いは半球形等の先窄まり状となっていて天部開口部11cが胴体部分より縮径していても、ピストン体15を撓めることによって、容器本体11内に挿入することができる。ピストン体15を形成するための弾性材料は、柔軟なゴム材質であれば特に制限されず、例えば、バインドゴムやシリコーン樹脂等を採用できる。
【0067】
また、ピストン体15は、図8,9に示すように、吸盤状とすることができる。吸盤状のピストン体15は、容器本体11内において、圧縮空気からの圧力、及び、圧縮スプリング9からの押圧力を受けることにより、扁平状に弾性変形させられ、その結果、外径が広がる。従って、ピストン体15の吸盤状時における外径D15(図9(a))を、容器本体11の円筒部内径D11(図9(a))より若干小さくなるよう寸法設定しておくことで、容器本体11の内壁面とのシール性を高めることが可能となる。さらに、ピストン体15は、吸盤状としておくことで、容器本体11内の塗料を使い切った後、容器本体11の底面に吸着し、塗料吐出ポート10を塞ぎ、容器本体11内の塗料の残らず使い切ることができる。
【0068】
また、吸盤状のピストン体15の外径D15を容器本体11の円筒部内径D11より若干小さくしておけば、次のような効果も奏する。ピストン体15の本来の外径が、扁平状であれ吸盤状であれ、容器本体11の内径に密接する大きさに設定されていると、ピストン体15を容器本体11内に挿入する際に、ピストン体15の周縁が容器本体11の内壁面に弱い摩擦接触によって引っかかり、容器本体11の塗料表面に対して水平に挿入しにくい場合があるが、ピストン体15の外径を容器本体11の円筒部内径より若干小さい外径の吸盤状にしておけば、ピストン体15を容器本体11の内壁から摩擦抵抗を受けることなく容器本体11内へ容易に挿入できる。
【0069】
容器本体11の底面に吸着した吸盤状のピストン体15を剥離させることが困難な場合には、ピストン体15の取手部21を、図8(図1も)に示すように、ピストン体15の周縁近傍に設けておくことで、容器本体11の底部に張り付いた吸盤状のピストン体15を容器本体11から剥離させやすくなる。
【0070】
また、ピストン体15に弾性材料によって形成することで、可撓性を持たせ、或いは、吸盤状とすることにより、容器本体11の底部が図8,9に示すように先窄まり状になっている場合にも、容器本体11の底面形状に沿わせることができ、塗料を残らず使いきることができる。
【0071】
容器本体11の上部が先窄まり状であって天部開口部11cが容器本体11の胴体部分より径が小さい場合、圧縮スプリングは、両端部の巻径が他の部分より小径となっており、当該小径両端部の外径は天部開口部11cの内径より小さく設計される。このように圧縮スプリング9の形状を設計することで、圧縮スプリング9を容器本体11から容易に出し入れでき、従って、塗料交換のために、ピストン体15も容器本体11から出し入れできる。
【0072】
なお、天部開口部11cの内径は、大人の腕が入るのに十分な大きさを有していることが望ましい。また、圧縮スプリング9の下端部は、ピストン体15の取手部21に連結しておいても良い。
【0073】
図10は、上記第2実施形態の変更態様を示す第3実施形態であり、容器本体11及び圧縮スプリング9の形状が異なり、第3実施形態の容器本体11は、上下が平坦な円筒形をしているため、圧縮スプリング9も全長に亘って同一の巻径を有する円筒状輪郭を有しているが、その他の構成は第2実施形態と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係る塗装装置の第1実施形態を示す概念図である。
【図2】図1の塗装装置の塗布具を拡大して示す側面図である。
【図3】図2の塗布具の正面図である。
【図4】塗布具の他の実施形態を示す側面図である。
【図5】図4の塗布具の正面図である。
【図6】塗布具の更に他の実施形態を示す側面図である。
【図7】塗布具の他の実施形態を示す側面図である。
【図8】本発明に係る塗装装置の第2実施形態を示す概念図である。
【図9】第2実施形態の要部を拡大して示す断面図である。
【図10】本発明に係る塗装装置の第3実施形態を示す概念図である。
【図11】従来の刷毛の使用状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0075】
1 塗装装置
2 塗料タンク
3 ガスボンベ
4 圧力調節具
5 可撓性管
6 塗布具
9 圧縮スプリング
11 筒状容器本体
62 毛束部
【出願人】 【識別番号】503293732
【氏名又は名称】関西ペイント販売株式会社
【識別番号】000001409
【氏名又は名称】関西ペイント株式会社
【識別番号】000144991
【氏名又は名称】株式会社四国総合研究所
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】 【識別番号】100065215
【弁理士】
【氏名又は名称】三枝 英二

【識別番号】100076510
【弁理士】
【氏名又は名称】掛樋 悠路

【識別番号】100129540
【弁理士】
【氏名又は名称】谷田 龍一


【公開番号】 特開2008−671(P2008−671A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−172084(P2006−172084)