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【発明の名称】 液滴吐出装置、液状体の吐出方法、二次電池の製造方法
【発明者】 【氏名】長谷井 宏宣

【要約】 【課題】予備吐出の頻度を上げても予備吐出による堆積物の影響を受け難い安定した吐出状態が得られる液滴吐出装置、液状体の吐出方法、二次電池の製造方法を提供すること。

【構成】液滴吐出装置は、被吐出物を載置する載置台104のX軸方向(主走査向)の前後に設けられた予備吐出を受ける一対の液滴受け部130と、液滴受け部130に吐出された液状体の堆積物70を掻き取る除去装置165とを備えた。除去装置165は、スキージ60と、液滴吐出ヘッド50が搭載されたヘッドキャリッジ101に取り付けられたスキージセットモータ61とを備えた。堆積物70を掻き取る際には、スキージセットモータ61がスキージ60を液滴受け部130側に回転させる。ヘッドキャリッジ101がY軸方向(副走査方向)に移動することによって、セットされたスキージ60が堆積物70を掻き取る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能性材料を含む液状体を被吐出物に付与する液滴吐出装置であって、
前記液状体を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドと、
前記被吐出物を載置する載置台と、
前記液滴吐出ヘッドと前記載置台とを対向させた状態で相対移動させる移動機構と、
前記相対移動の方向において、前記載置台の前後に配置された一対の液滴受け部と、
前記液滴受け部に吐出された前記液状体の堆積物を除去する除去装置とを備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記液滴受け部に向けて前記液状体を吐出する予備吐出を行うように前記液滴吐出ヘッドを制御すると共に、前記液滴受け部に堆積した前記堆積物の除去を行うように前記除去装置を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部が前記予備吐出による前記液状体の吐出情報を基に、前記液滴受け部に堆積した前記堆積物の量を算出し、当該算出結果により前記除去装置を駆動するように制御することを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記制御部が前記液滴吐出ヘッドと前記被吐出物とが対向した状態で往復する相対移動の間に前記液滴吐出ヘッドから前記液状体を液滴として吐出させ、前記液滴吐出ヘッドに対する前記被吐出物の往動と復動のうち少なくとも一方の直前に前記予備吐出を行うように前記液滴吐出ヘッドと前記移動機構とを制御することを特徴とする請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記除去装置は、スキージを備え、
前記スキージが前記相対移動の方向と直交する方向に前記液滴吐出ヘッドを移動させる前記移動機構に取り付けられ、前記移動機構により前記スキージを移動させて前記液滴受け部に堆積した前記堆積物を掻き取ることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記除去装置は、捲回された帯状体と、前記帯状体を前記液滴受け部に送出する巻き出し部と、送出された前記帯状体を巻き取る巻き取り部とを備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記除去装置は、吸引機構を備え、
前記液滴受け部に吐出された前記液状体または前記液状体の堆積物を前記吸引機構により吸引除去することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
分散された粒子状の機能性材料を含む液状体を被吐出物に吐出する液状体の吐出方法であって、
前記液状体を液滴として前記被吐出物に吐出描画する吐出描画工程と、
前記被吐出物以外の液滴受け部に前記液状体を吐出する予備吐出工程と、
前記予備吐出工程により前記液滴受け部に吐出された前記液状体の堆積物を除去する除去工程とを備えたことを特徴とする液状体の吐出方法。
【請求項8】
前記予備吐出工程が少なくとも前記吐出描画工程の直前に行われることを特徴とする請求項7に記載の液状体の吐出方法。
【請求項9】
前記吐出描画工程では、液滴吐出ヘッドと前記被吐出物とが対向した状態で往復する相対移動の間に前記液滴吐出ヘッドから前記液状体を液滴として吐出し、
前記予備吐出工程が前記液滴吐出ヘッドに対する前記被吐出物の往動と復動のうち少なくとも一方の直前に行われることを特徴とする請求項7または8に記載の液状体の吐出方法。
【請求項10】
前記予備吐出工程で吐出された前記液状体の吐出情報を基に、前記液滴受け部に堆積した堆積物の量を算出する算出工程をさらに備え、
前記除去工程が前記算出工程の算出結果に基づいて行われることを特徴とする請求項7ないし9のいずれか一項に記載の液状体の吐出方法。
【請求項11】
集電体の面に正極の電極膜を有する正極部材と、集電体の面に負極の電極膜を有する負極部材と、前記正極部材の前記電極膜と前記負極部材の前記電極膜との間に配置されるセパレータと、前記正極部材と前記セパレータと前記負極部材とからなる電極部材を包むシート材と、前記シート材で包み込んだ内部に充填された電解液とを備えた二次電池の製造方法であって、
前記電極膜の材料を含む少なくとも1種の液状体を前記正極部材と前記負極部材のうち少なくとも一方の前記集電体の面に塗布する塗布工程と、
前記集電体以外の液滴受け部に前記液状体を吐出する予備吐出工程と、
前記予備吐出工程により前記液滴受け部に吐出された前記液状体の堆積物を除去する除去工程と
塗布された前記液状体を固化して、前記電極膜を形成する電極膜形成工程とを備えることを特徴とする二次電池の製造方法。
【請求項12】
前記予備吐出工程が少なくとも前記塗布工程の直前に行われることを特徴とする請求項11に記載の二次電池の製造方法。
【請求項13】
前記塗布工程では、液滴吐出ヘッドと前記集電体とが対向した状態で往復する相対移動の間に前記液滴吐出ヘッドから前記液状体を液滴として吐出し、
前記予備吐出工程が前記液滴吐出ヘッドに対する前記集電体の往動と復動のうち少なくとも一方の直前に行われることを特徴とする請求項11または12に記載の二次電池の製造方法。
【請求項14】
前記予備吐出工程で吐出された前記液状体の吐出情報を基に、前記液滴受け部に堆積した堆積物の量を算出する算出工程をさらに備え、
前記除去工程が前記算出工程の算出結果に基づいて行われることを特徴とする請求項11ないし13のいずれか一項に記載の二次電池の製造方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性物質が分散された液状体を吐出して導電性物質からなる被膜を形成する液滴吐出装置、液状体の吐出方法、二次電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機やモバイルコンピューターに代表される携帯情報端末の需要は急速に高まりを見せており、今後も更に成長が期待される分野の1つとなっている。さて、これらの携帯情報端末の電源には、繰り返し充電が可能な二次電池が使用されている。二次電池は、電極部材と、当該電極部材を包み込むシート材と、当該シート材で包み込んだ内部に封入された電解液で構成されている。さらに、電極部材は、例えば、特許文献1に示すように、正極の電極膜が形成された集電体と、負極の電極膜が形成された集電体と、の間にセパレータを配置した構造を有している。
【0003】
また、上記二次電池の製造方法として、特許文献1では、二次電池の電極膜は、コータと称される塗布装置で塗布することにより形成される。より安価な二次電池を供給するために、電極膜の構成部材や電解質を無駄なく塗布することが可能な液滴吐出方法を採用することが検討されている。
【0004】
液状体を液滴として吐出可能な液滴吐出装置としては、例えば、特許文献2に示すように、プリンタなどに代表されるインクジェット方式記録装置の液滴吐出ヘッドを用いて、各種の材料を含む機能液を基板に吐出する液滴吐出装置が知られている。この液滴吐出装置では、吐出描画に先立って液滴吐出ヘッドの複数のノズルから機能液(液状体)を所定の回数吐出する予備吐出が行われる。そして、この予備吐出時に吐出された液状体を受ける一対の液滴受け部(フラッシングボックス)が基板を載置する載置台(ワークテーブル)の前後(主走査方向)に設けられている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−50343号公報
【特許文献2】特開2004−299253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記二次電池の正極および負極の電極膜は、それぞれ平均粒径がミクロン単位の活物質を含んでいる。上記液滴吐出装置を用いて、液滴吐出ヘッドのノズルから当該活物質を含む液状体を液滴として吐出描画すると、ノズルの目詰まりや吐出された液滴の飛行曲がりが生じ易い。それゆえに吐出描画に先立って予備吐出することが安定した吐出を実現するために重要である。しかしながら、予備吐出された液状体は、上記液滴受け部において粒径の大きな活物質等が分離して堆積するという課題がある。液滴吐出ヘッドと被吐出物(基板あるいは集電体)とは比較的狭い間隔で対向配置されるので、液滴吐出ヘッドと被吐出物との相対移動時に、液滴受け部の堆積物が液滴吐出ヘッドに付着するという不具合があった。また、付着した堆積物に起因する液滴吐出の不具合や被吐出物への落下により平坦な被膜が得られないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題や問題を考慮してなされたものであり、予備吐出の頻度を上げても予備吐出による堆積物の影響を受け難い安定した吐出状態が得られる液滴吐出装置、液状体の吐出方法、二次電池の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液滴吐出装置は、機能性材料を含む液状体を被吐出物に付与する液滴吐出装置であって、液状体を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドと、被吐出物を載置する載置台と、液滴吐出ヘッドと載置台とを対向させた状態で相対移動させる移動機構と、相対移動の方向において、載置台の前後に配置された一対の液滴受け部と、液滴受け部に吐出された液状体の堆積物を除去する除去装置とを備えたことを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、液滴受け部に吐出された液状体の堆積物を除去する除去装置を備えているので、適宜堆積物を除去し、液滴吐出ヘッドへの付着による吐出不具合や付着した堆積物が被吐出物に落下することを低減することができる。すなわち、被吐出物以外の液滴受け部に液状体を吐出する予備吐出の頻度を上げても、堆積物の影響を受け難い安定した吐出状態が得られる液滴吐出装置を提供することができる。
【0010】
上記液滴受け部に向けて液状体を吐出する予備吐出を行うように液滴吐出ヘッドを制御すると共に、液滴受け部に堆積した堆積物の除去を行うように除去装置を制御する制御部をさらに備え、制御部が予備吐出による液状体の吐出情報を基に、液滴受け部に堆積した堆積物の量を算出し、当該算出結果により除去装置を駆動するように制御することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、制御部は、予備吐出による液状体の吐出情報を基に、液滴受け部に堆積した堆積物の量を算出し、当該算出結果により除去装置を駆動する。したがって、制御部が適正な頻度で除去装置を駆動して堆積物を除去することができる。ゆえに、除去装置の駆動により液滴吐出が停止して生産性が低下することを適正化し、安定した吐出状態が得られる液滴吐出装置を提供することができる。なお、吐出情報とは、予備吐出において、液滴吐出ヘッドから吐出される液滴の吐出回数や1回の吐出により液滴吐出ヘッドから排出される液状体の吐出量を指す。
【0012】
また、上記制御部が液滴吐出ヘッドと被吐出物とが対向した状態で往復する相対移動の間に液滴吐出ヘッドから液状体を液滴として吐出させ、液滴吐出ヘッドに対する被吐出物の往動と復動のうち少なくとも一方の直前に予備吐出を行うように液滴吐出ヘッドと移動機構とを制御することが好ましい。これによれば、液滴吐出ヘッドから被吐出物に液状体を吐出描画するいわゆる主走査に伴って予備吐出が行われ、より安定した吐出状態で液状体を被吐出物に付与することができる。
【0013】
上記除去装置は、スキージを備え、スキージが相対移動の方向と直交する方向に液滴吐出ヘッドを移動させる移動機構に取り付けられ、移動機構によりスキージを移動させて液滴受け部に堆積した堆積物を掻き取ることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、液滴吐出ヘッドをいわゆる副走査の方向に移動させる移動機構にスキージが取り付けられているので、スキージと液滴受け部とを対向するように位置させ、移動機構によりスキージを移動させれば、液滴受け部に堆積した堆積物をスキージにより掻き取ることができる。すなわち、スキージを掻き取り方向に駆動する専用の移動機構を設けなくてもよい。
【0015】
また、上記除去装置は、捲回された帯状体と、帯状体を液滴受け部に送出する巻き出し部と、送出された帯状体を巻き取る巻き取り部とを備えた構成としてもよい。これによれば、巻き出し部により帯状体を液滴受け部に送出して、予備吐出された液状体を当該帯状体に付着させ、巻き取り部によりこれを巻き取ることができる。したがって、予備吐出後に帯状体の巻き取りを行えば、次の予備吐出時には、常に新しい帯状体に向かって予備吐出することが可能となる。すなわち、液状体の堆積物が液滴受け部で増加することを防ぐことができる。
【0016】
また、上記除去装置は、吸引機構を備え、液滴受け部に吐出された液状体または液状体の堆積物を吸引機構により吸引除去する構成としてもよい。これによれば、予備吐出中または予備吐出後に液滴受け部に吐出された液状体または液状体の堆積物を吸引機構により吸引除去することができる。この場合、機能性材料が液状体から分離する前、すなわち予備吐出中に除去装置を駆動するのが好ましい。
【0017】
本発明の液状体の吐出方法は、粒子状の機能性材料を含む液状体を被吐出物に吐出する液状体の吐出方法であって、液状体を液滴として被吐出物に吐出描画する吐出描画工程と、被吐出物以外の液滴受け部に液状体を吐出する予備吐出工程と、予備吐出工程により液滴受け部に吐出された液状体の堆積物を除去する除去工程とを備えたことを特徴とする。
【0018】
粒子状の機能性材料を含む液状体は乾燥すると、機能性材料が分離して析出し易い。この方法によれば、予備吐出工程において、液状体を液滴受け部に吐出することにより、機能性材料の析出による吐出不具合を解消することができる。また、除去工程において、液滴受け部に吐出され乾燥した液状体の堆積物を除去することにより、堆積物が被吐出物に付着する不具合を低減することができる。すなわち、予備吐出の頻度を上げても堆積物の影響を受け難い安定した吐出状態が得られる液状体の吐出方法を提供することができる。
【0019】
上記予備吐出工程が少なくとも吐出描画工程の直前に行われることが好ましい。これによれば、吐出不具合を解消して直ちに液状体の吐出描画を行うことができるので、より安定した吐出状態が得られる。
【0020】
上記吐出描画工程では、液滴吐出ヘッドと被吐出物とが対向した状態で往復する相対移動の間に液滴吐出ヘッドから液状体を液滴として吐出し、予備吐出工程が液滴吐出ヘッドに対する被吐出物の往動と復動のうち少なくとも一方の直前に行われることが好ましい。これによれば、吐出描画工程において、液滴吐出ヘッド内の液状体が乾燥して機能性材料が分離し析出しても、相対移動の往動と復動のうち少なくとも一方の直前に予備吐出が行われるので、予備吐出の頻度を上げて、吐出不具合をより確実に解消することができる。
【0021】
また、上記予備吐出工程で吐出された液状体の吐出情報を基に、液滴受け部に堆積した堆積物の量を算出する算出工程をさらに備え、除去工程が算出工程の算出結果に基づいて行われることが好ましい。これによれば、算出工程では、予備吐出工程で吐出された液状体の吐出情報を基に、液滴受け部に吐出された液状体の堆積物の量を算出する。したがって、適正な頻度で除去工程を実施して堆積物を除去することができる。ゆえに、除去工程により吐出描画工程が小停止して生産性が低下することを適正化し、安定した吐出状態が得られる液状体の吐出方法を提供することができる。
【0022】
本発明の二次電池の製造方法は、集電体の面に正極の電極膜を有する正極部材と、集電体の面に負極の電極膜を有する負極部材と、正極部材の電極膜と負極部材の電極膜との間に配置されるセパレータと、正極部材とセパレータと負極部材とからなる電極部材を包むシート材と、シート材で包み込んだ内部に充填された電解液とを備えた二次電池の製造方法であって、電極膜の材料を含む少なくとも1種の液状体を正極部材と負極部材のうち少なくとも一方の集電体の面に塗布する塗布工程と、集電体以外の液滴受け部に液状体を吐出する予備吐出工程と、予備吐出工程により液滴受け部に吐出された液状体の堆積物を除去する除去工程と、塗布された液状体を固化して、電極膜を形成する電極膜形成工程とを備えることを特徴とする。
【0023】
この方法によれば、予備吐出工程では、液滴受け部に液状体を吐出して吐出状態を安定化させる。除去工程では、予備吐出工程により液滴受け部に吐出された液状体の堆積物を除去して、堆積物に起因する吐出不良や堆積物が集電体に付着する不具合を低減することができる。したがって、予備吐出の頻度を上げても堆積物の影響を受け難く、安定した膜厚を有する電極膜を形成することができる。ゆえに、セパレータを介して正極部材と負極部材とを略均等な間隔で配置することができ、安定した充放電特性を有する二次電池を製造することができる。
【0024】
上記予備吐出工程が少なくとも塗布工程の直前に行われることが好ましい。これによれば、吐出不具合を解消して直ちに液状体の塗布を行うことができるので、より安定した塗布状態が得られる。
【0025】
また、上記塗布工程では、液滴吐出ヘッドと集電体とが対向した状態で往復する相対移動の間に液滴吐出ヘッドから液状体を液滴として吐出し、予備吐出工程が液滴吐出ヘッドに対する集電体の往動と復動のうち少なくとも一方の直前に行われることが好ましい。これによれば、塗布工程では液滴吐出ヘッドを用いて液状体を液滴として吐出することにより無駄なく塗布することができる。また、液状体が乾燥することにより電極膜の材料が分離し易くても、上記相対移動の往動と復動のうち少なくとも一方の直前に予備吐出が行われるので、予備吐出の頻度を上げて、吐出不具合をより確実に解消することができる。
【0026】
また、上記予備吐出工程で吐出された液状体の吐出情報を基に、液滴受け部に堆積した堆積物の量を算出する算出工程をさらに備え、除去工程が算出工程の算出結果に基づいて行われることが好ましい。これによれば、算出工程では、予備吐出工程で吐出された液状体の吐出情報を基に、液滴受け部に吐出された液状体の堆積物の量を算出する。したがって、適正な頻度で除去工程を実施して堆積物を除去することができる。ゆえに、除去工程により塗布工程が小停止して生産性が低下することを適正化した二次電池の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の実施形態は、二次電池の製造工程において用いられる液滴吐出装置、液状体の吐出方法、二次電池の製造方法を例に説明する。
【0028】
(二次電池)
まず、本発明の二次電池の製造方法を適用した二次電池としてのリチウムイオン二次電池について説明する。図1は、リチウムイオン二次電池の構造を示す概略図である。同図(a)は斜視図、同図(b)は同図(a)のA−A線で切った断面図である。
【0029】
図1(a)に示すように、リチウムイオン二次電池1は、充放電可能な発電要素がシート材5によって密閉状態に包まれ、正極端子8と負極端子9とがシート材5から突出した小型二次電池である。
【0030】
図1(b)に示すように、リチウムイオン二次電池1は、集電体2aの面に正極の電極膜2bを有する正極部材2と、集電体3aの面に負極の電極膜3bを有する負極部材3と、正極部材2の電極膜2bと負極部材3の電極膜3bとの間に配置された高分子多孔性フィルムのセパレータ4と、正極部材2とセパレータ4と負極部材3とからなる電極部材10を包むシート材5と、シート材5で包み込んだ内部に充填された電解液6とを備えている。正極部材2には正極端子8が接続され、負極部材3には負極端子9が接続されている。
【0031】
正極部材2は、集電体2aと正極活物質を含む電極膜2bとからなり、集電体2aは、例えばアルミ箔を用いることができる。この場合、アルミ箔の厚みはおよそ15μmである。
【0032】
電極膜2bは、正極活物質と当該正極活物質同士を結着させる結着材で組成されており、正極活物質としては、例えば、リチウムイオンを吸蔵・脱離できるリチウム遷移金属複合酸化物、リチウム遷移金属複合硫化物、リチウム遷移金属複合フッ化物、リチウム遷移金属複合リン酸化物、リチウム遷移金属複合流酸化物等の微粒子を用いることができる。
【0033】
代表的な正極活物質としては、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、コバルト,マンガン,ニッケルを含むリチウム複合酸化物(3元系)、オリビン型オリビン鉄、チタン酸リチウム、または、これらをベースとした化合物が挙げられる。また、正極活物質には、導電助剤としてカーボンブラックが含まれている。
【0034】
これら正極活物質の粒子径は、0.001μm以上1μm以下であって、当該正極活物質中のイオン伝導度が10-8mS/cm以上であるものが好ましい。
【0035】
結着材としては、有機溶剤可溶性ポリマーが挙げられ、具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレンオキサイド―プロピレンオキサイド共重合体(PEO―PPO)等を用いることができる。
【0036】
この場合、電極膜2bは、0.005μm以上20μm以下の厚みで形成されるが、この場合、リチウムイオン二次電池1の出力効果を考慮して、およそ15μmの厚みでほぼ均一に成膜されている。
【0037】
負極部材3は、集電体3aと負極活物質を含む電極膜3bとからなり、集電体3aは、例えば、銅箔を用いることができる。この場合、銅箔の厚みはおよそ15μmである。
【0038】
電極膜3bを構成する負極活物質は、例えば、リチウムイオンを吸蔵・脱離できる炭素、リチウム合金、リチウム遷移金属複合酸化物、リチウム遷移金属複合硫化物、リチウム遷移金属複合フッ化物、リチウム遷移金属複合リン酸化物、リチウム遷移金属複合流酸化物等の微粒子を用いることができる。代表的な負極活物質としては、黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、チタン酸リチウム等が挙げられる。
【0039】
電極膜3bは、正極の場合と同様に0.005μm以上20μm以下の膜厚で形成されるが、リチウムイオン二次電池1の出力効果を考慮して、およそ15μmの膜厚でほぼ均一に成膜されている。したがって、集電体3aと電極膜3bとがほぼ同一の厚みを有している。
【0040】
本実施形態では、このような各電極膜2b,3bの形成方法として、後述する液滴吐出装置100(図2参照)と液状体の吐出方法とを用いた液滴吐出法(インクジェット方式)を採用している。これによれば、正極と負極の各活物質を含む液状体をそれぞれ対応する集電体2a,3aに液滴として無駄なく塗布して均一な各電極膜2b,3bを成膜可能である。
【0041】
電解液6は、例えば、イオン伝導度が10-7mS/cm以上であって、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン及びγ―ブチロラクトン、4−メチル―1,3ジオキソ、ブチレンカーボネート、MF(メチルフォメート)、MA(メチルアセテート)、MP(メチルプロピオネート)を単独または2種類以上を混合した有機溶媒に、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiN(SO2252、LiBOBを単独または2種類以上を含んだ電解質を加えたものが挙げられる。
【0042】
シート材5は、シート材5を介して内部と外部との間で水蒸気や酸素等の気体の交換が起きないように、アルミニウム箔等の金属膜と、当該金属膜を物理的に保護するポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルムと、アイオノマー等の熱融着性樹脂フィルムとを重ね合わせて多層化したものが用いられている。
【0043】
また、電極部材10には、各電極膜2b,3bの周縁部と当該周縁部の近傍にあたるそれぞれの集電体2a,3aの面とを覆う保護膜7が形成されている。
【0044】
保護膜7は、有機溶剤に対して実質的に不溶性である少なくとも一種のバインダーを含むものが用いられる。バインダーとしては、種々のポリマーが好適であり、例えば、親水性(水溶性)ポリマーであるカルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)等、種々のセルロース誘電体が挙げられる。また、水分散性ポリマーであるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン―パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン―ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン―テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂、酢酸ビニル共重合体、スチレンブタジエンブロック共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)、アラビアゴム等のゴム類が挙げられる。これらのポリマーを例えば水に溶解または分散して成る組成物を用いることができる。
【0045】
リチウムイオン二次電池1の動作は、リチウムイオンが正極部材2の電極膜2bと負極部材3の電極膜3bとにおいて電気化学的に吸蔵・脱離し、2つの電極膜2b,3bの間でセパレータ4に含浸された電解液6を介して往来することにより、充放電が行われる。
【0046】
(液滴吐出装置)
次に、本実施形態の液滴吐出装置について説明する。図2は液滴吐出装置の構造を示す概略斜視図である。
【0047】
図2に示すように、本実施形態の液滴吐出装置100は、液状体を液滴として吐出する液滴吐出ヘッド50と、被吐出物としてのワークWを載置する載置台104とを備えている。また液滴吐出ヘッド50と載置台104とを対向させた状態で相対移動させる移動機構140と、相対移動のX軸方向において、載置台104の前後に配置された一対の液滴受け部130と、液滴受け部130に吐出された液状体の堆積物を除去する除去装置165(図4参照)とを備えている。また、液滴吐出ヘッド50に液状体を供給する供給機構110と、液滴吐出ヘッド50の保守を行うメンテナンス機構120とを備えている。これらの構成は、4つの支持脚107によって支持された定盤108の上部にそれぞれ配置されている。定盤108の下部には、液滴吐出ヘッド50と各機構とを統括的に制御する制御部109と、液状体を貯留するタンク111が取り付けられている。
【0048】
図3は、液滴吐出ヘッドの構造を示す概略分解斜視図である。図3に示すように液滴吐出ヘッド50は、液滴が吐出される複数のノズル52を有するノズルプレート51と、複数のノズル52がそれぞれ連通するキャビティ55を区画する隔壁54を有するキャビティプレート53と、複数のキャビティ55に対応する振動子59を有する振動板58とが、順に積層され接合された構造となっている。
【0049】
キャビティプレート53は、ノズル52に連通するキャビティ55を区画する隔壁54を有すると共に、このキャビティ55に液状体を充填するための流路56,57を有している。流路57は、ノズルプレート51と振動板58とによって挟まれ、出来上がった空間が、液状体が貯留されるリザーバの役目を果たす。
【0050】
液状体は、供給機構110から配管を通じて供給され、振動板58に設けられた供給孔58aを通じてリザーバに貯留された後に、流路56を通じて各キャビティ55に充填される。
【0051】
振動子59は例えば圧電素子(ピエゾ素子)であり、外部から駆動電圧パルスが印加されることにより接合された振動板58を変形させる。これにより隔壁54で仕切られたキャビティ55の体積が増加してキャビティ55に液状体をリザーバから吸引し、駆動電圧パルスの印加が終了すると、振動板58はもとに戻り充填された液状体を加圧する。これにより、ノズル52から液状体を液滴Dとして吐出できる構造となっている。本実施形態の液滴吐出ヘッド50は、液状体としてのインクを用紙などに吐出して描画する印刷装置のインクジェットヘッドを流用したものである。ノズルプレート51には、360個のノズル52がおよそ70μmの間隔で配置されている。ノズル径はおよそ20μmである。
【0052】
液滴吐出ヘッド50は、圧電素子(ピエゾ素子)を備えたものに限らない。振動板58を静電吸着により変位させる電気機械変換素子を備えたものや、液状体を加熱してノズル52から液滴Dとして吐出させる電気熱変換素子を備えたものでもよい。
【0053】
このような液滴吐出ヘッド50は、図2に示すように、ヘッドキャリッジ101に搭載されている。ヘッドキャリッジ101は、一方の移動機構140であるY軸リニアモータ103を備えたY軸ガイド102に係合している。Y軸リニアモータ103を駆動することより、ヘッドキャリッジ101に搭載された液滴吐出ヘッド50をY軸方向に移動させることができる。本実施形態では、ヘッドキャリッジ101および液滴吐出ヘッド50のY軸方向への移動を副走査と言う。なお、ヘッドキャリッジ101に搭載される液滴吐出ヘッド50は、1つに限らず複数でもよい。
【0054】
載置台104は、他方の移動機構140であるX軸リニアモータ106を備えたX軸ガイド105に係合している。X軸リニアモータ106を駆動することにより、載置台104をX軸方向に移動させることができる。本実施形態では、載置台104のX軸方向への移動を主走査と言う。なお、載置台104には、載置されたワークWを加温するヒータ(図示省略)が内蔵されている。
【0055】
したがって、移動機構140のX軸ガイド105とY軸ガイド102とにより、液滴吐出ヘッド50と載置台104に載置されたワークWとを対向させた状態で、X軸方向(主走査方向)とY軸方向(副走査方向)とに相対移動させることができるようになっている。
【0056】
供給機構110は、液状体を貯留するタンク111と、ポンプ112と、タンク111からポンプ112を経て液滴吐出ヘッド50に繋がるチューブ113とを備えている。タンク111およびポンプ112はそれぞれ1つに限定されず、複数備えてもよい。複数のタンク111に、異なる機能性材料を含む液状体を別々に充填すれば、液滴吐出ヘッド50に、複数種の液状体を供給することができる。
【0057】
メンテナンス機構120は、キャッピングユニット126、ワイピングユニット127、およびフラッシングユニット128の各メンテナンスユニットが載置されたキャリッジ121と、キャリッジ121のX軸方向への移動をガイドするキャリッジガイド122と、キャリッジ121と一体の螺合部125と、螺合部125が螺合するボールねじ124と、ボールねじ124を回転させるメンテモータ123とを備えている。これにより、メンテモータ123を駆動させると、ボールねじ124が回転し、螺合部125を介してキャリッジ121が、X軸方向に移動可能となっている。液滴吐出ヘッド50を保守する際には、Y軸ガイド102により液滴吐出ヘッド50をメンテナンス機構120側に移動させ、各メンテナンスユニットが液滴吐出ヘッド50を臨む位置に来るように、キャリッジ121をX軸方向に移動させる。
【0058】
キャッピングユニット126は、液滴吐出装置100が休止している時に、液滴吐出ヘッド50のノズルプレート51に密着してキャッピングし、複数のノズル52から内部の液状体を吸引することができる。これによりノズル52内で乾燥した液状体を取り除いてノズル52の目詰まりを解消する。ワイピングユニット127は、液状体の吐出後やキャッピング時にノズルプレート51に付着した液状体や異物などを、洗浄液を含むワイピング布で拭い清浄な状態を維持する。これによりノズル52付近の付着物に起因する液滴の飛行曲がりなどの吐出不良の発生を予防する。フラッシングユニット128は、液滴吐出装置100の稼動開始前やキャッピングとワイピングのメンテナンス動作後に、すべてのノズル52から吐出される液状体を受け、ノズル52内の液状体のメニスカスを整えて良好な吐出状態とする。
【0059】
これらのメンテナンスユニットにより、液滴吐出装置100の非稼動時やワークWの交換などの小停止時に、液滴吐出ヘッド50をクリーニング・回復させて良好な吐出状態を保つことができる。
【0060】
粒子径が大きな機能性材料を分散させた液状体を用いる場合、これらの各メンテナンスユニットを使用して液滴吐出ヘッド50を保守しても、ワークWに液状体を吐出描画して被膜を形成する際に、ノズル52の目詰まりや飛行曲がりが生じやすい。本実施形態では、載置台104のX軸方向(主走査方向)の前後に一対の液滴受け部130を配設した。制御部109は、液滴受け部130が液滴吐出ヘッド50を臨む位置に載置台104を移動させ、複数のノズル52から液状体を吐出する予備吐出を行うように、移動機構140および液滴吐出ヘッド50の駆動を制御する。
【0061】
また、上記予備吐出により吐出された液状体は、液滴受け部130において粒子径の大きな機能性材料が分離して堆積し易い。予備吐出を繰り返し行うと、液状体の堆積物が相対移動する液滴吐出ヘッド50に付着し、付着した堆積物により吐出不良が発生する惧れがある。そこで、液滴受け部130の堆積物を除去する除去装置を併設した。
【0062】
図4は、液滴受け部と除去装置の構造を示す概略図である。同図(a)は液滴受け部の斜視図、同図(b)および(c)は同図(a)のB方向から見た除去装置とその動作を示す概略図である。
【0063】
図4(a)に示すように、一対の液滴受け部130は、直方体の受け皿状となっており、吐出された液状体を受ける吸着材131と堆積物が排出される排出部132とを有している。また、載置台104のX軸方向の前後に一体的に配設されている。吸着材131は多孔質部材からなり、吸着材131の表面が載置台104の表面とほぼ同一の高さとなるように液滴受け部130に敷設され、定期的に交換可能となっている。
【0064】
図4(b)に示すように、除去装置165は、堆積物70を掻き取るスキージ60と、スキージ60の一方の端が取り付けられたスキージセットモータ61とを備えている。スキージセットモータ61は、液滴吐出ヘッド50が搭載されたヘッドキャリッジ101に取り付けられており、通常はスキージ60を水平な状態に支持している。液滴受け部130の堆積物70を除去するときには、制御部109はヘッドキャリッジ101が液滴受け部130の一方の端部に対向するように、移動機構140によりヘッドキャリッジ101と載置台104とを相対移動させる。次にスキージセットモータ61を駆動してスキージ60をほぼ90度回転させ、スキージ60の先端が吸着材131の表面に接するようにセットする。そして、図4(c)に示すように、Y軸リニアモータ103(図2参照)を駆動してヘッドキャリッジ101をY軸方向に移動させ、スキージ60により吸着材131の表面に堆積した堆積物70を掻き取って、排出部132に排出する。掻き取り動作は、1回に限らず複数回行ってもよい。当然ながら他方の液滴受け部130の堆積物70も同様に除去する。この場合、スキージ60は、剣先タイプを採用しているが、掻き取り方向に対応した片刃とし、スキージ60が傾斜するようにセットしてもよい。材料は硬度60程度の硬質プラスチックを使用した。除去装置165は、スキージ60を掻き取り方向に移動させる専用の移動手段を設けず、Y軸ガイド102に係合するヘッドキャリッジ101を活用しているので、装置構成を簡略化することができた。なお、スキージ60を掻き取り位置にセットする構成は、スキージセットモータ61に限定されず、例えば、圧空や油圧を駆動源とするシリンダ等を用いてもよい。
【0065】
図5は、液滴吐出装置の電気的、機械的な構成を示すブロック図である。図5に示すように、制御部109は、指令部150と駆動部160とを備え、指令部150は、CPU152、記憶手段としてのROM153、RAM154および入出力インターフェース151を有している。CPU152が入出力インターフェース151を介して入力される液滴吐出装置100を駆動するための各種データに基づく信号を、ROM153に書き込むと共に、RAM154に展開して処理し、入出力インターフェース151を介して駆動部160へ制御信号を出力する。
【0066】
駆動部160は、ヘッドドライバ161、モータドライバ162、ポンプドライバ163、およびメンテドライバ164から構成されている。モータドライバ162は、指令部150の制御信号により、X軸リニアモータ106、Y軸リニアモータ103を駆動し、載置台104及びヘッドキャリッジ101を所望の位置に移動させる。さらに、メンテモータ123を駆動してメンテナンス機構120の各メンテナンスユニットをメンテナンス位置へ移動させる。ヘッドドライバ161は、複数のノズル52から液状体を吐出させるビットマップデータに基づいて、各ノズル52に対応する振動子59を駆動し、モータドライバ162の制御と同調して、ワークW上の所定位置に液状体を液滴Dとして吐出させる。また、ポンプドライバ163は、ポンプ112を駆動し、液状体が液滴吐出ヘッド50へ適切に供給されるように制御する。そして、メンテドライバ164は、メンテナンス機構120のキャッピングユニット126、ワイピングユニット127およびフラッシングユニット128を制御する。また、液滴受け部130の堆積物の除去動作に対応して除去装置165のスキージセットモータ61を駆動する。
【0067】
指令部150は、ヘッドドライバ161を介して、複数のノズル52に対応する各振動子59のそれぞれに互いに独立する駆動信号を与えるように構成されている。このため、各ノズル52から吐出される液滴Dの吐出量をヘッドドライバ161からの信号に応じてノズル52毎に制御して可変することができる。吐出する液状体の種類に応じて予め駆動信号に対応する吐出量をノズル52ごと、または全ノズル52において求めてデータとして入力しておけば、予備吐出による液状体の吐出量を算出することが可能である。ゆえに、算出された吐出量に基づいて液滴受け部130に堆積した堆積物70の量についても予備吐出の回数を考慮して算出することができる。
【0068】
制御部109の指令部150は、CPU152により上記堆積物70の量を算出して所定の量に到達した場合、駆動部160に制御信号を送って除去装置165を駆動し堆積物70を除去させる。
【0069】
このような液滴吐出装置100によれば、ノズル52が目詰まりし易い液状体を用いても、予備吐出を行って安定的に吐出描画することが可能である。また、予備吐出の頻度を上げても液滴受け部130の堆積物70を適正な時期に除去して、堆積物70が液滴吐出ヘッド50に付着して吐出不良が発生することを低減可能である。
【0070】
(液状体の吐出方法および二次電池の製造方法)
次に本発明の液状体の吐出方法を適用した二次電池の製造方法について図6から図8に基づいて説明する。図6はリチウムイオン二次電池の製造方法を示すフローチャート、図7は液状体の吐出方法を示すフローチャート、図8はリチウムイオン二次電池の製造方法を示す概略断面図である。
【0071】
図6に示すように、本実施形態のリチウムイオン二次電池1の製造方法は、正極部材2の集電体2aの面に電極膜2bの材料を含む液状体を塗布し、塗布された液状体を固化して、電極膜2bを形成する正極電極膜形成工程(ステップS1)と、負極部材3の集電体3aの面に電極膜3bの材料を含む液状体を塗布し、塗布された液状体を固化して、電極膜3bを形成する負極電極膜形成工程(ステップS2)とを備えている。また、正極部材2と負極部材3との間にセパレータ4を挟んで電極部材10を組み立てる第1組立工程(ステップS3)と、電極部材10をシート材5で包み込む第2組立工程(ステップS4)とを備えている。さらに、シート材5で包まれた内部に電解液6を注入して封止する電解液注入工程(ステップS5)を備えている。
【0072】
図6のステップS1は、正極の電極膜2bを形成する工程であり、液状体の塗布工程と、塗布された液状体の固化工程とを含む。ステップS1では、図8(a)に示すように、載置台104に載置されたワークとしての集電体2aの表面に、液状体20を液滴吐出ヘッド50のノズル52から液滴Dとして吐出する。載置された集電体2aの表面とノズルプレート51との間隔はおよそ0.3〜0.5mmに設定されている。吐出される液状体20は前述した正極活物質の微粒子を含み、粘度が50cps以下であって、含まれる結着材の含有量が1wt%以下、分子量が150万以下である。集電体2aに着弾した複数の液状体20は、載置台104に内蔵されたヒータにより加温され、安定した状態を保ちながら被膜となる。また、液滴Dの吐出量は、電極膜2bの膜厚を顧慮して、任意に設定することができる。
【0073】
液状体20の吐出方法は、図7に示すように、液滴受け部130に複数のノズル52から液状体20を吐出する予備吐出工程(ステップS11)と、液状体20を液滴Dとして被吐出物である集電体2aに吐出描画する吐出描画工程(ステップS12)と、予備吐出により液滴受け部130に吐出された液状体20の堆積物を除去する除去工程(ステップS15)とを備えている。また、予備吐出後に堆積物の量を算出する工程(ステップS13)と、当該算出結果により堆積物を除去するか否か判定する工程(ステップS14)とを備えている。
【0074】
吐出描画工程では、電極膜2bが形成領域において所定の厚み(およそ15μm)となるように、液滴吐出ヘッド50と載置台104とを相対移動させるX軸方向への主走査とY軸方向への副走査とを繰り返して液状体20の吐出を行う。したがって、液状体20の吐出方法は、一連の吐出描画(塗布工程)が終了したか否か判定する工程(ステップS16)を備えている。
【0075】
また、正極活物質を含む液状体20はノズル52の目詰まりが発生し易いので、液滴吐出ヘッド50と載置台104とが往復する相対移動(主走査)の往動と復動のうち少なくとも一方の直前に予備吐出工程(ステップS11)を行う。より安定した吐出状態を維持するには、往動と復動の双方の直前に予備吐出工程を行うことが好ましい。
【0076】
ステップS13では、指令部150は、予備吐出工程において吐出された液状体20の吐出量と予備吐出工程が行われた回数に基づいて、液滴受け部130の堆積物の量を算出する。この場合、一度の予備吐出において、各ノズル52から500発程度の液滴Dの吐出を行っている。
【0077】
ステップS14では、指令部150は、予め入力された堆積物の限界量と算出された堆積物の量とを比較して、限界量未満ならステップS11〜ステップS13を繰り返す制御信号を駆動部160に送る。限界量に到達しているなら次のステップS15に進む制御信号を送る。
【0078】
ステップS15では、指令部150は、除去装置165を駆動する制御信号を駆動部160に送る。駆動部160は、モータドライバ162、メンテドライバ164を介してX軸リニアモータ106、Y軸リニアモータ103、スキージセットモータ61を駆動して堆積物をスキージ60により掻き取り除去する。
【0079】
ステップS16では、指令部150は、予め入力された液状体20の吐出データに基づいて一連の吐出描画が終了したか否かを判定し、終了していなければ、ステップS11に戻るように制御信号を送る。終了していれば、液滴吐出ヘッド50および載置台104を原点位置に戻すように制御信号を駆動部160に送る。
【0080】
吐出描画(塗布工程)が終了すると、図8(b)に示すように、集電体2aに塗布された液状体20を乾燥・焼成して固化し、電極膜2bを形成する。塗布工程で予備吐出が頻繁に行われ、ノズル52の目詰まりや飛行曲がりの発生がほぼ防止される。よって、安定した吐出状態で被膜が形成されて、乾燥・焼成後ほぼ均一な膜厚(およそ15μm)を有する電極膜2bが形成される。
【0081】
続いて図8(c)に示すように、電極膜2bの周縁部と当該周縁部の近傍にあたる集電体2aの面とを覆う保護膜7を正極部材2に形成する。形成方法としては、インクジェット法、浸漬法、印刷法等を用いて形成することができる。そして、図6のステップS2へ進む。
【0082】
図6のステップS2は、負極の電極膜3bを形成する工程である。ステップS2では、ステップS1と同様にして、図8(a)に示すように、載置台104に載置されたワークとしての集電体3aの表面に、前述した負極活物質の微粒子を含む液状体30を液滴吐出ヘッド50のノズル52から液滴Dとして吐出する。液状体30の吐出方法も上記の液状体20の吐出方法と同様である。そして、図8(b)に示すように、塗布された液状体30を乾燥・焼成して固化し、電極膜3bを形成する。さらに、同様にして図8(c)に示すように、保護膜7を負極部材3に形成する。そして、ステップS3へ進む。
【0083】
図6のステップS3は、第1組立工程である。ステップS3では、図8(d)に示すように、正極部材2と負極部材3との間にセパレータ4を配置して、電極部材10を形成する。そして、ステップS4へ進む。
【0084】
図6のステップS4は、第2組立工程である。ステップS4では、図8(e)に示すように、正極端子8、負極端子9をそれぞれ同じ極性の集電体2a,3aに接続した後、電極部材10を筒状のシート材5で包み込む。また、電解液6を注入する注入口(図示省略)以外の部分を加熱圧着することにより、正極端子8、負極端子9を突出させた状態で筒状のシート材5を封着する。そして、ステップS5へ進む。
【0085】
図6のステップS5は、電解液6の注入工程である。ステップS5では、図8(f)に示すように、シート材5で包み込んだ内部に電解液6を注入する。注入方法としては、内部に気泡や水分を含ませず、セパレータ4に電解液6が十分に含浸するように、減圧下で行うことが好ましい。そして、注入口を加熱圧着やレーザ照射により封着する。
【0086】
このようなリチウムイオン二次電池1の製造方法によれば、ほぼ均一な膜厚の各電極膜2b,3bを有する電極部材10を製造することができるので、正極部材2と負極部材3とがセパレータ4を介して略均等な間隔で配置され、安定した充放電特性を示す。
【0087】
上記実施形態の効果は、以下の通りである。
(1)上記実施形態の液滴吐出装置100は、一対の液滴受け部130と液滴受け部130に吐出された液状体の堆積物70を除去する除去装置165とを備えているので、適宜堆積物70を除去し、液滴吐出ヘッド50への付着による吐出不具合の発生や付着した堆積物70が被吐出物としてのワークWに落下することを低減することができる。すなわち、予備吐出の頻度を上げても堆積物70の影響を受け難い安定した吐出状態が得られる液滴吐出装置100を提供することができる。
【0088】
(2)上記実施形態の液滴吐出装置100において、制御部109は、予備吐出による液状体の吐出情報を基に、液滴受け部130に堆積した堆積物70の量を算出し、当該算出結果により除去装置165を駆動する。したがって、制御部109が適正な時期に除去装置165を駆動して堆積物70を除去することができる。ゆえに、除去装置165の駆動により液滴吐出が停止するタイミングを適正化し、安定した吐出状態が得られる液滴吐出装置100を提供することができる。
【0089】
(3)上記実施形態の液滴吐出装置100において、除去装置165は、ヘッドキャリッジ101に取り付けられたスキージセットモータ61とスキージ60とを備え、スキージ60と液滴受け部130とを対向するように配置して、ヘッドキャリッジ101によりスキージ60を副走査方向に移動させれば、液滴受け部130に堆積した堆積物70をスキージ60により掻き取ることができる。すなわち、スキージ60を掻き取り方向に駆動する専用の移動機構を設けずに、除去装置165を簡略化することができる。
【0090】
(4)上記実施形態のリチウムイオン二次電池1の製造方法および液状体の吐出方法において、予備吐出工程(ステップS11)では、複数のノズル52から液状体を液滴受け部130に吐出することにより、正極(負極)活物質の析出によるノズル52の目詰まりを解消することができる。また、除去工程(ステップS15)では、液滴受け部130に吐出され乾燥した液状体の堆積物70を除去することにより、液滴吐出ヘッド50への付着による吐出不具合の発生や付着した堆積物70が集電体2a(3a)に落下する不具合を低減することができる。すなわち、吐出描画工程(ステップS12)において、堆積物70の影響を受け難い安定した吐出状態が得られる液状体の吐出方法およびリチウムイオン二次電池1の製造方法を提供することができる。
【0091】
(5)上記実施形態のリチウムイオン二次電池1の製造方法および液状体の吐出方法において、液滴吐出ヘッド50と載置台104との相対移動(主走査)における往動と復動のうち少なくとも一方の直前に予備吐出工程(ステップS11)を行う。したがって、予備吐出の頻度を上げてノズル52の目詰まりを解消し、より安定した吐出状態で液状体20(30)の吐出を行うことができる。ゆえに、ほぼ膜厚が均一な電極膜2b(3b)を形成することができ、正極部材2と負極部材3との間隔を一定にして、安定した充放電特性を有するリチウムイオン二次電池1を製造することができる。
【0092】
(6)上記実施形態のリチウムイオン二次電池1の製造方法および液状体の吐出方法において、算出工程(ステップS13)では、予備吐出工程(ステップS11)で吐出された液状体の吐出情報を基に、液滴受け部130に堆積した堆積物70の量を算出する。したがって、適正な時期に除去工程(ステップS15)を実施して堆積物70を除去することができる。ゆえに、除去工程により液滴吐出が停止して生産性が低下することを適正化することができる。すなわち、堆積物70に起因する吐出不良を防ぐと共に効率よくリチウムイオン二次電池1を製造することができる。
【0093】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。例えば上記実施形態以外の変形例は、以下の通りである。
【0094】
(変形例1)上記実施形態の液滴吐出装置100において、除去装置165の構成は、これに限定されない。図9(a)〜(c)は変形例の除去装置の構成を示す概略図である。例えば、図9(a)に示すように、除去装置170は、ループ状の帯状体171と、帯状体171を支持する支持台172と、一対の搬送ローラ173と、スキージ174と、排出部175とを備えた。帯状体171上に吐出された液状体の堆積物70は、搬送ローラ173により搬送される。また、一方の搬送ローラ173の下方に設けられたスキージ174により掻き取られ、排出部175に排出される。これによれば、スキージ174を固定して、ループ状の帯状体171を搬送することにより堆積物70を除去できる。また、図9(b)に示すように、除去装置180は、捲回された帯状体181と、帯状体181を支持する支持台182と、捲回された帯状体181を液滴受け部としての支持台182上に送出する巻き出し部183と、送出された帯状体181を巻き取る巻き取り部184とを備えた。これによれば、スキージによる掻き取りに比べ、堆積物70を残らず支持台182上から除去することができる。さらに、図9(c)に示すように、除去装置190は、メッシュ状の液滴受け部192と、一面が液滴受け部192により構成された筐体191と、筐体191の側面に開口した吸引口193と、吸引機構(図示省略)とを備えた。これによれば、真空ポンプ等の吸引機構を用いて吸引口193から予備吐出された液状体あるいはメッシュ状の液滴受け部192上に堆積した堆積物70を吸引除去することができる。したがって、スキージや帯状体を駆動する駆動系を設ける必要がなく、装置構成がより簡略化される。
【0095】
(変形例2)上記実施形態のリチウムイオン二次電池1の製造方法において、筒状のシート材5に封入される電極部材10は、1つに限定されない。複数組みの電極部材10を封入して、それぞれの正極端子8を一つにまとめて正極リード端子とし、同じくそれぞれの負極端子9を一つにまとめて負極リード端子とすれば、より電気容量が大きなリチウムイオン二次電池1を提供できる。また、筒状のシート材5から正極端子8と負極端子9とが同一方向に突出するように、それぞれ正極部材2、負極部材3に接続させてもよい。
【0096】
(変形例3)上記実施形態の液状体の吐出方法が適用されるのは、リチウムイオン二次電池1の製造方法に限定されない。例えば、機能性材料としての導電性微粒子を含む液状体を液滴吐出ヘッド50から液滴として基板上に吐出し、乾燥・焼成することにより、基板上に金属配線を形成する配線基板の製造方法にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】(a)および(b)はリチウムイオン二次電池の構造を示す概略図。
【図2】液滴吐出装置の構造を示す概略斜視図。
【図3】液滴吐出ヘッドの構造を示す概略分解斜視図。
【図4】(a)から(c)は液滴受け部と除去装置の構造を示す概略図。
【図5】液滴吐出装置の電気的、機械的な構成を示すブロック図。
【図6】リチウムイオン二次電池の製造方法を示すフローチャート。
【図7】液状体の吐出方法を示すフローチャート。
【図8】リチウムイオン二次電池の製造方法を示す概略断面図。
【図9】(a)〜(c)は変形例の除去装置の構成を示す概略図。
【符号の説明】
【0098】
1…二次電池としてのリチウムイオン二次電池、2…正極部材、2a…被吐出物としての集電体、2b…正極の電極膜、3…負極部材、3a…被吐出物としての集電体、3b…負極の電極膜、4…セパレータ、5…シート材、6…電解液、10…電極部材、20,30…液状体、50…液滴吐出ヘッド、52…ノズル、60…スキージ、70…堆積物、100…液滴吐出装置、130…液滴受け部、140…移動機構、165,170,180,190…除去装置、171,181…帯状体、192…液滴受け部。

【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【出願日】 平成18年6月20日(2006.6.20)
【代理人】 【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉

【識別番号】100127661
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 一彦


【公開番号】 特開2008−643(P2008−643A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−169744(P2006−169744)