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【発明の名称】 静電粉体塗装ブース
【発明者】 【氏名】海住 晴久

【氏名】堀田 研二

【要約】 【課題】静電粉体塗装ブースの床面の回収溝を覆う整流板の数を可能な限り減らすことによって、色替え作業時間を短縮する。

【構成】ブース1の床面5に、オーバースプレー粉の回収溝14をブース入口からブース出口に向かって設け、この回収溝14にオーバースプレー粉を吸引する排気口17、18を設け、この回収溝14の排気口17、18周辺にのみ整流板19を設け、排気口17、18の周辺部以外の回収溝14を開放するようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブースの床面に、オーバースプレー粉の回収溝をブース入口からブース出口に向かって設け、この回収溝にオーバースプレー粉を吸引する排気口を設けた静電粉体塗装ブースにおいて、上記回収溝の排気口周辺に整流板を設け、排気口周辺部以外の回収溝を開放したことを特徴とする静電粉体塗装ブース。
【請求項2】
上記排気口を、ブースの入口側と出口側にそれぞれ設けた請求項1記載の静電粉体塗装ブース。
【請求項3】
上記排気口を、ブースの入口側と出口側の中間に設けた請求項1記載の静電粉体塗装ブース。
【請求項4】
上記回収溝を、ブースの床面に複数列設けた請求項1〜3のいずれかの項に記載の静電粉体塗装ブース。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、床面にオーバースプレー粉の回収溝を設けた、いわゆる底引きタイプと呼ばれる静電粉体塗装ブースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
静電粉体塗装は、静電塗装ガンによって粉体塗料を被塗物に吹き付け、静電気によって粉体塗料を被塗物に付着させる塗装方法である。
この静電粉体塗装において、被塗物への粉体塗料の吹き付けは、粉体塗料の飛散を防止するために、通常、塗装ブース内で行われている。そして、被塗物に付着しなかったオーバースプレー粉は、回収精選され、再利用することができるので、静電粉体塗装は、環境に良い塗装として年々注目されている。
【0003】
従来、このオーバースプレー粉の回収を行い易くする静電粉体塗装ブースとして、ブースの床面に、入口からブース出口に向かってオーバースプレー粉の回収溝を設けたものがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ブースの床面に形成したオーバースプレー粉の回収溝には、オーバースプレー粉を吸引するための排気口が設けられ、この排気口から吸引ダクトを介して集塵機にオーバースプレー粉が吸引されるようになっている。
【0005】
ブースの床面の回収溝に設けた排気口周辺部は、吸引風量が他の部分よりも大きくなるため、ブース内の気流に偏りが生じ易い。ブース内の気流に偏りが生じると、ブース内の吸引風速の速い部分、特に、回収溝に近い部分で、被塗物への粉体塗料の付き回りが悪くなり、被塗物にスケが発生しやすくなる。
このため、従来は、回収溝の上面を整流板で覆い、整流板の両側と床面との間の隙間から回収溝内に気流が流れるようにし、ブース内の気流を安定化させ、ブース内の気流に偏りが生じないようにしている。
【0006】
ところが、ブースの長さが長くなると、回収溝の上面を覆う整流板の枚数も多くなるので、色替作業の際には、この多数枚の整流板を持ち上げて、整流板と回収溝内に付着した粉体塗料をエアーブローによって清掃しなければならないので、清掃に手間がかかり、色替え作業に時間が掛かるという問題がある。
【0007】
そこで、この発明は、可能な限り、整流板の数を減らすことによって、色替え作業時間を短縮しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、この発明は、ブースの床面に、オーバースプレー粉の回収溝をブース入口からブース出口に向かって設け、この回収溝にオーバースプレー粉を吸引する排気口を設けた静電粉体塗装ブースにおいて、上記回収溝の排気口周辺に整流板を設け、排気口周辺部以外の回収溝を開放したのである。
【0009】
即ち、この発明者らは、ブースの床面の回収溝の排気口周辺にのみ整流板を設け、排気口周辺部以外の回収溝を開放するようにしても、ブース内の気流に偏りが生じ難く、ブース内の気流を安定化させることができるということを見出したのである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、ブースの床面の回収溝を覆う整流板を可能な限り減らすことができるので、色替え作業の際に、回収溝から取り除く整流板の数が減り、またエアーブローする整流板の数も少なくなり、取り除いた整流板を元に戻す作業も減るので、色替え作業時間を大幅に短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1及び図2は、この発明に係る静電粉体塗装ブースの第1の実施形態を示している。
ブース1は、対向する側面2、3、天井面4、床面5、被塗物Aの入口が設けられる正面6、被塗物Aの出口が設けられる背面7によって形成されている。
【0012】
天井面4には、ブース1内を被塗物Aが通過するように、コンベア8を設置している。コンベア8は、レール9と、被塗物Aを吊るすハンガー10と、レール9に沿ってハンガー10を移動させるローラ11とからなる。
【0013】
ブース1の側面2、3には、被塗物Aに粉体塗料を吹き付ける静電塗装ガン12が、被塗物Aの両面に対向するように、移動方向の前後にずらせた位置に一対設置され、レシプロケータ13によって上下動するように設置されている。
【0014】
ブース1の床面5は、ホッパー型のダクト形状に形成され、入口側から出口側に向かって回収溝14が形成されている。ホッパー型の床面の傾斜は、一般に60度以上にすることが望ましい。
【0015】
上記回収溝14の入口側と出口側の端部には、それぞれ集塵機の吸引ダクト15、16に接続される排気口17、18が形成され、回収溝14内に流入したオーバースプレー粉が排気口17、18から吸引排出されるようになっている。
【0016】
上記回収溝14の上面は、排気口17、18を設けた回収溝14の入口側と出口側の端部周辺のみを整流板19によって覆い、他の部分は開放している。整流板19は、ホッパー形状の床面5との間に隙間が空くように設置され、この隙間からの吸引作用により、排気口17、18からの急激な吸引を防止することができる。整流板19の両側には、隙間調整ネジ20を設けており、この隙間調整ネジ20によって、床面5と整流板19の間の隙間を調節することにより、ブース1内の風速を調整することができる。
【0017】
整流板19の上面形状は、オーバースプレー粉が堆積しないようにするために、中央が高く、両側に向かって傾斜する三角形状に形成されている。
【0018】
図1及び図2の実施形態のように、ブース1の回収溝14の排気口17、18の周辺にのみ整流板19を設け、排気口17、18周辺部以外の回収溝14を開放するようにしても、ブース1内の気流に偏りが生じ難く、ブース1内の気流を安定化させることができるということを、次の実験によって確認した。
【0019】
実験に使用したブース1は、図1及び図2に示す形状のもので、全長が7000mm、排気口17、18に240m3/minの集塵機を接続した。また、整流板19は、排気口17、18の長さよりも150mm長いものを使用した。
【0020】
そして、ブース1の入口側から出口側に向かって、均等に5分割した位置を測定点にして、ブース1内の風速を計測したところ、5点の測定点での風速は、表1の通りであり、ブース1全体で略均一な風速となり、風速に極端な偏りが生じなかった。
【0021】
この実験で使用したブース1と同じ構造で、図12及び図13に示すように、回収溝14の上面をすべて開放し、整流板19を使用しない場合のブース1内の5点の風速を測定した結果は、表2の通りであり、排気口17、18に近い入口部分と出口部分の風速が速く、中央付近の流速が極端に遅くなり、ブース1全体の風速に極端な偏りが生じることが確認された。
【0022】
また、この実験で使用したブース1と同じ構造で、図14に示すように、回収溝14の上面をすべて整流板19によって覆った場合のブース1内の5点の風速を同様に測定した結果は、表3の通りであり、ブース1全体で略均一な風速となり、風速に極端な偏りが生じなかった。
【0023】
【表1】


【0024】
【表2】


【0025】
【表3】


【0026】
次に、図3及び図4は、この発明に係る静電粉体塗装ブースの第2の実施形態を示している。上記第1の実施形態は、床面5の中央に、1列の回収溝14を設けた例であるが、図3及び図4の実施形態は、回収溝14を2列並列に設けた例であり、各回収溝14の入口側と出口側に排気口17、18を設け、さらに中央にも排気口21を設け、この中央の排気口21に吸引ダクト22を接続した例である。
【0027】
この第2の実施形態についても、ブース1の回収溝14の排気口17、18、21の周辺にのみ整流板19を設け、排気口17、18、21の周辺部以外の回収溝14を開放するようにした場合と、2列の回収溝14の全面を開放した場合のブース1内の気流の偏りについて実験した結果を、表4と表5に示す。
【0028】
この第2の実施形態でも、ブース1の回収溝14の排気口17、18、21の周辺にのみ整流板19を設けると、ブース1内の気流に偏りが生じ難く、ブース1内の気流を安定化させることができるということを実験的に確認することができた。
【0029】
この第2の実施形態の実験に使用したブース1は、図3及び図4に示す形状のもので、全長が5000mm、排気口17、18、21に140m3/minの集塵機を接続した。また、整流板19は、排気口17、18、21の長さよりも200mm長いものを使用した。
【0030】
【表4】


【0031】
【表5】


【0032】
次に、図5は、この発明の第3の実施形態のブース1を示しており、このブース1は、床面5に2列の回収溝14を設け、入口側の排気口17を一方の回収溝14に設け、他方の回収溝14に出口側の排気口18を設け、排気口17と排気口18周辺にのみ整流板19を設けている。
【0033】
図6は、この発明の第4の実施形態のブース1を示しており、このブース1は、床面5に1列の回収溝14を設け、ブースの入口側にのみ排気口17を設けた例である。
【0034】
以上の実施形態における整流板19は、図7に示すように、中央部が高く、両側が傾斜する三角形状に形成し、オーバースプレー粉が堆積しないように傾斜に沿って滑り落ち易くしている。また、図8に示すように、整流板19にスリット23を形成することにより、オーバースプレー粉の堆積をより少なくすることもできる。
【0035】
図9は、整流板19の他の実施形態であり、整流板19の上面を平坦にした例である。
次に、図10及び図11も、整流板19の他の実施形態であり、この第5実施形態は、回収溝14の上面の幅一杯ではなく、回収溝14の約半分の幅で、排気口17のすぐ上の部分を覆う例であり、排気口17もブース1の中央部分だけに設けている。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明に係る静電粉体塗装ブースを背面側から見た第1の実施形態の概略側面図である。
【図2】図1の横断平面図である。
【図3】この発明に係る静電粉体塗装ブースを背面側から見た第2の実施形態の概略側面図である。
【図4】図3の横断平面図である。
【図5】この発明に係る静電粉体塗装ブースを背面側から見た第3の実施形態の概略側面図である。
【図6】この発明に係る静電粉体塗装ブースを背面側から見た第4の実施形態の概略側面図である。
【図7】整流板の一例を示す斜視図である。
【図8】整流板の他の例を示す斜視図である。
【図9】整流板のその他の例を使用したブース底面の側面図である。
【図10】整流板のその他の例を使用したブース底面の側面図である。
【図11】この発明に係る静電粉体塗装ブース第5の実施形態の横断平面図である。
【図12】回収溝を開放した比較例を背面側から見た概略側面図である。
【図13】図12の横断平面図である。
【図14】回収溝の上面の全てを整流板で覆った比較例の横断平面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 ブース
2、3 側面
4 天井面
5 床面
6 正面
7 背面
8 コンベア
9 レール
10 ハンガー
11 ローラ
12 静電塗装ガン
13 レシプロケータ
14 回収溝
17、18 排気口
19 整流板
20 隙間調整ネジ
21 排気口
22 吸引ダクト
【出願人】 【識別番号】000117009
【氏名又は名称】旭サナック株式会社
【出願日】 平成18年7月25日(2006.7.25)
【代理人】 【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二

【識別番号】100087538
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 和久

【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由

【識別番号】100084858
【弁理士】
【氏名又は名称】東尾 正博


【公開番号】 特開2008−23503(P2008−23503A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−202171(P2006−202171)