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塗装システムとそれに使用する塗装用作動液 - 特開2008−23456 | j-tokkyo
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【発明の名称】 塗装システムとそれに使用する塗装用作動液
【発明者】 【氏名】上 野 隆 夫

【氏名】森 貴 宣

【要約】 【課題】

【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料霧化機構に至る塗料流路に、塗料室と作動液室を可動隔壁で仕切った塗料タンクが連通して配され、塗料室に充填された塗料を作動液室に供給される塗装用作動液の液圧で圧し出すようになされた塗装システムにおいて、
前記塗装用作動液が、脂肪族炭化水素又はナフテン系炭化水素からなることを特徴とする塗料システム。
【請求項2】
前記脂肪族炭化水素又はナフテン系炭化水素が主に飽和炭化水素から成る請求項1記載の塗料システム。
【請求項3】
前記塗料タンクが樹脂製容器で成る請求項1又は2記載の塗装システム。
【請求項4】
前記塗料タンクの全部又は一部が透明である請求項1又は2記載の塗装システム。
【請求項5】
前記塗料タンクが塗料霧化機構を備えた塗装機に内蔵され、あるいは、着脱可能に装着されてなる請求項1又は2記載の塗装システム。
【請求項6】
前記塗料タンク内に設けられた塗料充填用バッグを可動隔壁として、その内側が塗料室に、その外側が作動液室に形成された請求項1又は2記載の塗装システム。
【請求項7】
塗料充填用バッグが透明である請求項6記載の塗装システム。
【請求項8】
前記塗料タンクが、ピストンを可動隔壁とし、その片面側が塗料室に、その反対面側が作動液室に形成された請求項1及び2記載の塗装システム。
【請求項9】
塗料霧化機構に至る塗料流路に設けられた塗料タンクが、ピストン、バッグ、ダイヤフラムなどの可動隔壁で塗料室と作動液室に仕切られている場合に、前記作動液室に供給することによりその液圧で塗料室に充填された塗料を圧し出す塗装用作動液であって、脂肪族炭化水素又はナフテン系炭化水素からなることを特徴とする塗装用作動液。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料霧化機構に至る塗料流路に、塗料室と作動液室が可動隔壁で仕切られた塗料タンクが設けられ、塗料室に充填された塗料を作動液室に供給される塗装用作動液の液圧で圧し出すようになされた塗装システム及びそれに使用する塗装用作動液に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車ボディの塗装では、有機溶剤を使用した塗料が主流であるが、環境保護及び公害防止の観点から、塗装工程において大量に発生する揮発性有機溶剤を削減することが要請されており、その対策として、水性塗料による塗装が注目を集めている。
【0003】
水性塗料を無駄なく使用するためには、塗着効率の高い静電塗装装置で塗装するのが好ましいが、水性塗料は電気抵抗が低く、塗料供給系を流れる塗料を介して静電塗装機の回転霧化頭とアース側が導通しやすいため、塗料供給系全体に絶縁対策を施して、回転霧化頭に印加される−60〜90kVの高電圧がリークするのを防止しなければならない。
【0004】
このため従来より、塗装機本体に内蔵され、又は、着脱可能に装着される塗料タンクを塗料霧化機構に至る塗料流路に設け、該塗料タンクをピストン、バッグ、ダイヤフラムなどの可動隔壁で塗料室と作動液室に仕切り、塗料室に充填された塗料を作動液室に供給される作動液の液圧で圧し出すように構成した塗装システムが提案されている。
【特許文献1】特開平9−234397号公報
【特許文献2】特開2005−87810号公報
【0005】
これによれば、塗料供給系から塗料タンクに塗料を充填した後、塗料供給系と塗装機を物理的に切り離した状態で塗料タンクから塗料霧化機構に塗料を押し出して塗装することができるので、塗料供給系を介して高電圧がリークするのを確実に防止し得る。
ここで、作動液としては、万一、塗料と混ざっても塗膜に悪影響を与えないように、通常は、塗料と相溶性の高い液体や、塗料の成分として含まれている溶剤(溶剤系塗料における酢酸ブチルなど)、あるいは洗浄シンナー(エステル、石油ナフサ、芳香属炭化水素、アルコール、グリコールエーテルなど)を使用するのが一般的であった。
一方、塗装用機器も、加工が容易であり軽量であることから、一部の金属製部品を除き樹脂製部品が用いられている。
【0006】
しかしながら、上述した作動液はいずれも、化学的に各種樹脂を膨順させたり溶解させたりするという問題がある。
例えば、塗料タンクを一般的な塗装用の樹脂であるPOM(ポリアセタール)で成形し、作動液として酢酸ブチルを用いた場合、塗料タンクを膨潤させてしまい、特にシリンダー、ピストン方式で塗料を圧しだす場合は、ピストンのシール性を損なうという問題がある。
また、POM以外の樹脂、例えばナイロン系やその他の樹脂を使用した場合は、塗料を圧し出す際の応力と化学的なアタックが同時に作用するため、ケミカルクラックを生じさせやすく、圧力容器を破壊してしまうおそれさえあり、アクリルやポリカーボネートの樹脂を使用した場合は、直ぐに溶解して表面が白濁したり、剥離破壊を起こしてしまう。
さらに、各種シール部に使用されているOリングに関しては、フッソゴムをはじめ殆どのOリングを膨順または溶解してしまい、非常に高価なパーフロロゴム系のOリングを使用しなければならないという問題もある。
【0007】
塗料との適性に関しては、水性塗料の作動液として酢酸ブチルを用いた場合、塗料を凝集させてしまい、塗料室内で発生した凝集ブツが噴霧されて塗装不良を起すだけでなく、作動液室内で発生した凝集ブツが各種シール部位に付着してシール不良を起したり、ギアポンプなどではブツを噛み込むことに起因する動作不良などの問題を生ずる。
また、溶剤塗料の作動液として酢酸ブチルを用いた場合、相溶性が非常に高いため、塗料室内に作動液が漏れてもこれを発見しにくく、目視できるまで放置した場合には、それまでに塗装した多数のワークについて塗装不良が発生していることになるが、発生時点を特定することができないため、相当数の塗り直しを行わなければ成らず、作業の無駄を生ずる。逆に、作動液側に溶剤塗料が入った場合は、相溶性が高いことから完全に溶解してしまい、分離困難と成るため、作動液を廃棄して全量交換しなければならない。
【0008】
このため従来は、塗料タンクが破壊されたり、シール不良を生じないように、メンテナンスを頻繁に行わなければならず、メンテナンスコストが高くなるだけでなく、異常部位の見落としなどにより塗料タンクの破壊や、シール不良を生じた場合には、塗装ラインを一時的に停止させなければならず、生産効率が低下するという問題を生ずる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、塗料タンクなどの部品が樹脂で形成されていても、樹脂部品を膨順させて寸法変化を発生させたり、また、透明ナイロンや透明ポリカーボネートなどの化学的に非常におかされやすい樹脂であっても、溶解させたり、表面濁らせたりすることなく塗装できるようにすることを技術的課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題を解決するために、本発明は、塗料霧化機構に至る塗料流路に、塗料室と作動液室を可動隔壁で仕切った塗料タンクが連通して配され、塗料室に充填された塗料を作動液室に供給される塗装用作動液の液圧で圧し出すようになされた塗装システムにおいて、前記塗装用作動液が、脂肪族炭化水素又はナフテン系炭化水素からなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の塗装システムによれば、塗料霧化機構に至る塗料流路に、塗料室と作動液室を可動隔壁で仕切った塗料タンクが設けられているので、作動液室に塗装用作動液を供給することにより塗料室に充填された塗料が作動液の液圧で圧し出される。
ここで、塗装用作動液として脂肪族炭化水素又はナフテン系炭化水素が用いられ、これらは、主成分が主にいずれも水素と炭素が飽和状態で結合され、官能基を有しない極めて安定した液体であるので、塗料タンク、可動隔壁などが樹脂で成形されていても、その樹脂を溶解させたり、ケミカルクラックを生じさせることがない。
また、水性塗料やほとんどの溶剤塗料とも反応することがなく、塗料との相溶性や、塗料凝集性もない。例えば、水性塗料と混ざったとしても、溶剤塗料と混ざったとしても、静置しておけば塗料と作動液が完全に分離するので、容易にこれらを別々に回収することができる。また、混入することにより塗料が凝集しないので、シール不良や可動部の動作不良を起すことがない。
さらに、作動液が塗料室内に混入したまま塗装すると、相溶性がないために作動液が付着した部分だけ全体の色と異なる斑点やシミを生じるので、異常を目視により逸早く発見することができる。
さらに電気抵抗も高いため、静電塗装する場合に、高電圧がリークすることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本例では、塗料霧化機構に至る塗料流路に設けられた塗料タンクが、ピストン、バッグ、ダイヤフラムなどの可動隔壁で塗料室と作動液室に仕切られ、これらの部品が化学的に侵されやすい樹脂で形成されている場合でも、作動液室に供給される塗料圧出用の塗装用作動液によりその部品が膨順して寸法変化を生じたり、溶解したり、部品表面が濁ったりすることなく塗装できるように、その塗装用作動液として脂肪族炭化水素又はナフテン系炭化水素を用いた。
【0013】
図1は本発明に係る塗装システムの要部を示す説明図、図2は本発明に係る塗装システムの一例を示す全体図である。
【実施例1】
【0014】
図1に示す塗装システム1は、塗装ロボット2のロボットアーム3に取り付けられた塗装機本体4に塗料タンクTが着脱可能に装着されてなる塗装機5と、その塗料タンクTに塗料を充填する塗料充填装置6とからなる。
塗料タンクTには、一回の塗装で使用するのに十分な量の塗料を充填する塗料バッグBが内蔵され、塗料バッグBを可動隔壁として、その内側が塗料室7Pに形成され、その外側が作動液室7Dに形成され、塗装機本体4と結合される底面部分に塗料ポート8P及び作動液ポート8Dが形成されている。
これにより、作動液ポート8Dから塗装用作動液(以下単に「作動液」という。)を流入させたときにはその圧力により塗料バッグB内の塗料が塗料ポート8Pから圧し出され、塗料ポート8Pから塗料バッグB内に塗料を流入させたときには作動液が作動液ポート8Dから排出されるようになっている。
また、塗料タンクTは、塗装機器用樹脂として一般的なポリアセタールで成形され、内部を確認できるように少なくともその周面が透明樹脂で形成され、塗料バッグBも充填される塗料の色を外部から視認できるように透明樹脂で形成されている。
【0015】
塗装機本体4には、塗料タンクTとの結合部から回転霧化頭(塗料霧化機構)9にフィードパイプ(塗料流路)10が配されている。
そして、回転霧化頭9は、塗装機本体4に配されたエアモータ11の管状回転軸12に取り付けられて高速回転駆動され、塗料タンクTからフィードパイプ10を介して供給された塗料を霧化すると共に、塗装機5に内蔵された高電圧発生機(図示せず)から供給される高電圧が印加されて、霧化された塗料粒子を被塗物と反対極に帯電させるようになっている。
【0016】
塗装ロボット2には、塗装機本体4を介して塗料タンクTに作動液を供給する作動液供給配管13が設けられており、塗装時には、塗料充填済みの塗料タンクTに作動液を供給することにより、塗料バッグBの外側に液圧を作用させ、塗料バッグB内に充填されている塗料を回転霧化頭9に圧し出して噴霧するようになっている。
また、塗装が終了すると、塗料タンクTが塗装機本体4から外されて、塗料充填装置6にセットされる。
【0017】
作動液としては、主成分としてパラフィン炭化水素などの飽和脂肪族炭化水素や、シクロパラフィン及びそのアルキル置換体などのナフテン系炭化水素からなる透明液体が用いられる。
なお、微量成分としてはオレフィンなどの不飽和炭化水素などを含んでいても良い。
これらは、主に飽和炭化水素のみから形成されて官能基を持たず、電気抵抗も高いので、作動液として使用すれば、塗装時に高電圧リークを起すことがなく、他の有機樹脂を侵さないので、塗料タンクT、塗料バッグB、Oリングなど樹脂製部品を溶解させたり、ケミカルクラックを生じさせることがない。
また、水性塗料やほとんどの溶剤塗料とも反応することがなく、塗料との相溶性や、塗料凝集性もない。
したがって、水性塗料と混ざったとしても、また、溶剤塗料と混ざったとしても、いずれの場合も、静置しておけば塗料と作動液が完全に分離するので、これらを分離回収することも容易である。また、作動液が塗料と混入しても塗料が凝集しないので、凝集塗料に起因するシール不良や可動部の動作不良を起すことがない。
さらに、作動液が塗料室内に混入したまま塗装すると、相溶性がないために作動液が付着した部分だけ全体の色と異なる斑点やシミを生じるので、異常を目視により逸早く発見することができる。
さらにまた、火災のおそれのあるところでは、沸点の高いものを選択することにより、その安全性を向上させることができる。
【0018】
塗料充填装置6は、充填位置に位置決めされた塗料タンクTの塗料ポート8Pに係合されて任意の色の塗料を供給する色替バルブ装置(図示せず)を備えた多色塗料供給系14Pと、作動液ポート8Dに係合されて塗料充填時に塗料タンクTから排出される作動液を回収する作動液回収系14Dとを備えている。
【0019】
以上が本発明の一構成例であって、次にその作用を説明する。
まず、図示しない塗料タンクストレージから取り出された塗料充填済みの塗料タンクTが、塗装ロボット2のアーム3に取り付けられた塗装機本体4に装着される。
このとき、塗料タンクT、塗料バッグB、作動液が透明であるので、塗料バッグB内に充填されている塗料を外部から視認することができ、塗装機5から塗料を吐出させるまでもなく、塗装機本体4に装着する時点で塗装機5による塗色を確認することができる。
【0020】
次いで、ロボットアーム3を動かして所定の塗装位置まで移動させ、塗料タンクTの作動液室7Pに作動液を供給すると、塗料バッグBの外側に液圧が作用し、塗料バッグB内に充填されている塗料が圧し出されて、フィードパイプ10を通り回転霧化頭(霧化機構)9に供給され、被塗物に対して噴霧させる。
このとき、塗料タンクTに供給される作動液は官能基を有さず、化学的に安定しているので、塗料タンクTや塗料バッグBが化学的に浸食されてケミカルクラックを生じることがなく、したがって、ケミカルクラックに作動液の圧力が作用して塗料タンクTが破壊するという事故に繋がるおそれもない。
また、これらの樹脂材料としてポリアセタールではなく、化学的に浸食されやすい透明ナイロン、アクリル、ポリカーボネートの樹脂を使用した場合であっても、直ぐに溶解して表面が白濁したり、剥離破壊を起こしたりすることもない。
さらに、樹脂の膨順による寸法変化なども発生しないため、射出成型に適した樹脂を使用して、機械加工に比べて10分の1程度の初期投資や維持費で塗料容器を製作することができる。
さらにまた、Oリングもパーフロロゴム製のものを使用する必要が無く、安価で、かつ引っ張り強度や弾性率や伸び率の高い機械的特性の良好なOリングの使用が可能になり、メンテナンス頻度も大幅に減少させて、メンテナンスコストひいては塗装コストを低減することができる。
【0021】
ここで、長期の繰返使用により塗料バッグBが破れ、作動室7Dから作動液が塗料室7Pに漏れ出し、フィードパイプ10に流入して回転霧化頭9から噴霧されても、塗料は水性塗料・溶剤塗料を問わず作動液との相溶性がないので、作動液が混入したまま塗装されたときに、作動液が付着した部分だけ全体の色と異なる斑点やシミを生じるので、塗装不良を目視により逸早く発見することができ、その分、歩留りが向上する。
【0022】
そして、塗装が終了すると、ロボットアーム3により塗装機5が塗料充填装置6まで運ばれ、図示しない塗料タンク交換機により使用済の塗料タンクTが塗装機本体4から取り外されて、図示しない塗料タンクストレージから取り出された塗料充填済みの塗料タンクTと交換されて、次のワークの塗装が行われる。
この間に、塗装終了した塗料タンクTが塗料充填装置6の充填位置にセットされ、塗料バッグBに今まで充填されていた塗料と同一の塗料が充填されて、塗料タンクストレージに収容される。
【0023】
なお、塗料タンクTは、塗料室7Pと作動液室7Dが稼働隔壁となる塗料バッグBで仕切る場合に限らず、稼働隔壁となるピストンやダイアフラムで仕切られたシリンダを用いても良い。
また、塗装機5は、塗料タンクTが塗装機本体4に着脱可能に装着されるものに限らず、塗料タンクTが塗装機本体4に一体的に装着されていたり、内蔵されているものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0024】
以上述べたように、本発明は、塗料霧化機構に至る塗料流路に、塗料室と作動液室が可動隔壁で仕切られた塗料タンクが設けられ、塗料室に充填された塗料を作動液室に供給される作動液の液圧で圧し出して塗装する塗装システムの用途に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る塗装システムの要部を示す説明図。
【図2】本発明に係る塗装システムの一例を示す全体図。
【符号の説明】
【0026】
1 塗装システム
4 塗装機本体
T 塗料タンク
5 塗装機
6 塗料充填装置
B 塗料バッグ
7P 塗料室
7D 作動液室
9 回転霧化頭(塗料霧化機構)
10 塗料流路

【出願人】 【識別番号】000110343
【氏名又は名称】トリニティ工業株式会社
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成18年7月21日(2006.7.21)
【代理人】 【識別番号】100084984
【弁理士】
【氏名又は名称】澤野 勝文

【識別番号】100094123
【弁理士】
【氏名又は名称】川尻 明


【公開番号】 特開2008−23456(P2008−23456A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−198889(P2006−198889)