トップ :: B 処理操作 運輸 :: B05 霧化または噴霧一般;液体または他の流動性材料の表面への適用一般

【発明の名称】 静電霧化装置
【発明者】 【氏名】世戸 慎二郎

【氏名】高島 清

【氏名】山口 友宏

【氏名】伊東 謙吾

【要約】 【課題】タンク内の貯水の放電電極への安定供給が確保された静電霧化装置を提供する。

【構成】タンク2内の貯水Wが供給される放電電極3に高電圧を印加して放電させることで、放電電極3が保持している水に電圧を印加して静電霧化現象によって霧化させてナノメータサイズの帯電微粒子水(ナノサイズミスト)を生成させる静電霧化装置1である。タンク2内の貯水Wを放電電極3に供給させる水供給手段を、タンク2内の空気Aを加熱して膨張させることで高められたタンク2の内圧によってタンク2内の貯水Wを放電電極3に至らしめるようにして構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク内の貯水が供給される放電電極に高電圧を印加して放電させることで、放電電極が保持している水に電圧を印加して静電霧化現象によって霧化させてナノメータサイズの帯電微粒子水を生成させる静電霧化装置であって、タンク内の貯水を放電電極に供給させる水供給手段を、タンク内の空気を加熱して膨張させることで高められたタンクの内圧によってタンク内の貯水を放電電極に至らしめるようにして成ることを特徴とする静電霧化装置。
【請求項2】
上記タンクに、タンク内に負圧が生じた際に外気をタンク内に通す空気透過膜を設けたことを特徴とする請求項1記載の静電霧化装置。
【請求項3】
上記水供給手段にタンク内の空気の過熱を防止する過熱防止手段を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の静電霧化装置。
【請求項4】
上記タンクにその内圧が所定以上に高まることを防止する圧力逃し弁を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の静電霧化装置。
【請求項5】
上記水供給手段に、タンク内の空気を専用に加熱するタンク用加熱部を備えると共に、このタンク用加熱部により加熱したタンク内の空気の温度を調整する温度調整手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の静電霧化装置。
【請求項6】
上記タンクに水を補給したときにタンク内に一定量の水と空気が溜まるようになる貯留手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の静電霧化装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、静電霧化現象によりナノメータサイズの帯電微粒子水を発生させる静電霧化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、水が供給される放電電極に高電圧を印加して放電させることで、放電電極が保持している水に電圧を印加して静電霧化現象によって霧化させてナノメータサイズの帯電微粒子水(ナノサイズミスト)を生成させる静電霧化装置は、上記生成した帯電微粒子水が強酸性の微小な粒子であり、たとえばこれを髪に当てればツヤやコシを与えることができる。また上記帯電微粒子水は消臭効果等の他の効果も有する。したがって、上記静電霧化装置は、ヘアドライヤーやヘアーセッター等の理容機器や、空気清浄機など、多様な機器に搭載することで様々な効果を得ることができる(たとえば特許文献1,2参照)。
【0003】
ところで、静電霧化装置の放電電極に水を供給する方法として、たとえばタンク内の貯水を毛細管現象を生じさせる細管等の供給管にて放電電極に送る方式があるが、この方式では、タンクよりも上方位置に放電電極が位置すると、重力の影響から放電電極に水が良好に供給されないという問題があった。
【特許文献1】特開2006−87836号公報
【特許文献2】特開2003−159114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて為したものであって、タンク内の貯水の放電電極への安定供給が確保された静電霧化装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明の請求項1に係る静電霧化装置は、タンク2内の貯水Wが供給される放電電極3に高電圧を印加して放電させることで、放電電極3が保持している水に電圧を印加して静電霧化現象によって霧化させてナノメータサイズの帯電微粒子水を生成させる静電霧化装置1であって、タンク2内の貯水Wを放電電極3に供給させる水供給手段を、タンク2内の空気Aを加熱して膨張させることで高められたタンク2の内圧によってタンク2内の貯水Wを放電電極3に至らしめるようにして成ることを特徴とする。これによると、水供給手段によってタンク2内の貯水Wを強制的に放電電極3に供給することができてタンク2内の貯水Wの放電電極3への安定供給を可能にし、静電霧化装置1の良好な作動を確保できる。
【0006】
また、請求項2に係る静電霧化装置は、請求項1において、上記タンク2に、タンク2内に負圧が生じた際に外気をタンク2内に通す空気透過膜26を設けたことを特徴とする。静電霧化装置1の使用後など、空気Aの加熱が止まって空気Aが収縮するとタンク2内が大気圧以下の負圧の状態になるが、この負圧によって空気透過膜26を通って外気がタンク2内に導入されるのであり、それに伴いタンク2内の負圧状態が緩和されるのであり、つまり負圧によるタンク2の損傷防止を図ることができる。
【0007】
また、請求項3に係る静電霧化装置は、請求項1または2において、上記水供給手段にタンク2内の空気Aの過熱を防止する過熱防止手段を備えたことを特徴とする。これによると、過熱防止手段によってタンク2内の空気Aの過熱(空気Aの温度が異常な高温になること)が防止され、異常に昇温したタンク2内の空気Aの過剰な膨張を回避し、タンク2内の貯水Wの放電電極3への安定供給、タンク2の損傷防止を図ることができる。
【0008】
また、請求項4に係る静電霧化装置は、請求項1乃至3記載のいずれか一項において、上記タンク2にその内圧が所定以上に高まることを防止する圧力逃し弁33を設けたことを特徴とする。これによると、圧力逃し弁33によってタンク2の過剰な内圧の高まりを防止できて、タンク2内の貯水Wの放電電極3への安定供給、タンク2の損傷防止を図ることができる。
【0009】
また、請求項5に係る静電霧化装置は、請求項1乃至4記載のいずれか一項において、上記水供給手段に、タンク2内の空気Aを専用に加熱するタンク用加熱部34を備えると共に、このタンク用加熱部34により加熱したタンク2内の空気Aの温度を調整する温度調整手段を備えたことを特徴とする。水供給手段として、静電霧化装置1を搭載する各種の機器に元々備わる発熱部でタンク2内の空気Aを加熱することも考えられるが、これに比べて、上記のように水供給手段にタンク2内の空気Aを専用に加熱するタンク用加熱部34を備えることによると、タンク2内の空気Aを効率よく加熱することができ、しかもタンク用加熱部34により加熱したタンク2内の空気Aの温度を調整する温度調整手段を備えたので、タンク2内の空気Aの温度、ひいてはタンク2内の空気Aの内圧を適宜調整でき、したがって、タンク2内の貯水Wの放電電極3への安定供給を効果的に図ることができる。更に言うと、水供給手段にタンク用加熱部34を備えたものは、タンク2内の空気Aを加熱できる発熱部が存在しない各種の機器にも、タンク2内の貯水Wの放電電極3への安定供給を可能とする静電霧化装置1を搭載することができる利点も有する。
【0010】
また、請求項6に係る静電霧化装置は、請求項1乃至5記載のいずれか一項において、上記タンク2に水を補給したときにタンク2内に一定量の水と空気Aが溜まるようになる貯留手段を備えたことを特徴とする。これによると、貯留手段によってタンク2への水補給時にタンク2内に一定量の空気Aを残すようにでき、水供給手段の正常動作を確保してタンク2内の貯水Wの放電電極3への安定供給を確保できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、水供給手段によってタンク内の貯水を強制的に放電電極に供給することで、タンク内の貯水の放電電極への安定供給を可能にする、といった利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0013】
図1乃至図9に本発明の実施の形態を示す。この例は静電霧化装置1を搭載したヘアーセッター10である。ヘアーセッター10は、図1乃至6に示すように、長手方向の一端部(基端部)に使用者の手が把持する把持部11を有し、長手方向の他端部(先端部)に使用者の毛髪を加熱して整髪する整髪部12を有している。ヘアーセッター10のハウジングは、上記先端部の整髪部12でヘアーセッター10の長手方向と直交する方向から導入された毛髪を挟持できるよう、把持部11で枢支されて整髪部12が接離自在にされた2つのブロック(主体ブロック13、押えブロック14)で構成されている。詳しくは、整髪部12における主体ブロック13及び押えブロック14の対向する各挟持面13a,14aにはヒータを備えた平板状の加熱板15がそれぞれ配置されている。また主体ブロック13には静電霧化装置1が内装されていると共に、上記加熱板15のヒータや静電霧化装置1の作動を操作する操作スイッチ16が設けられている。詳しくは、把持部11を持つ手の邪魔にならないよう静電霧化装置1は主体ブロック13における把持部11と整髪部12との間に配設され、操作スイッチ16は把持部11を持つ手によって良好に操作できるよう把持部11に配設されている。
【0014】
ここで、静電霧化装置1は、図1のように、供給される水に電圧を印加する針状の放電電極3と、放電電極3に対向して位置するリング状の対向電極4と、放電電極3と対向電極4との間に高電圧を印加する高電圧印加部5と、水を貯水Wするタンク2と、タンク2内の貯水Wを放電電極3に供給する供給管6とを具備して構成される。なお、本例では、上記放電電極3、対向電極4、高電圧印加部5は感電防止を期してカバー体7により一体にされて霧化ユニット8を形成しており、平面視で主体ブロック13の長手方向の軸線上に配置された1つのタンク2と、上記軸線を境に左右に等間隔に配置された2つの霧化ユニット8とで静電霧化装置1が形成されている。なお、上記左右方向は、互いに合わせた状態の挟持面13a,14a内でヘアーセッター10の長手方向に直交する方向を言うものとする。
【0015】
この静電霧化装置1によるナノメータサイズの帯電微粒子ミストの発生(静電霧化現象)のメカニズムは、放電電極3と対向電極4の間に印加された電圧により放電電極3の先端部に供給された水が帯電し、帯電した液体にクーロン力が働き、放電電極3の先端に供給された水の液面が局所的に先端が尖った錐状に盛り上がる(テイラーコーン)。このテイラーコーンの先端部に電荷が集中して高密度化され、高密度化された電荷の反発力による液体の分裂・飛散(レイリー分裂)を繰り返して静電霧化を行い、ラジカルを有するナノメータサイズの帯電微粒子ミスト(マイナスイオンミスト)を生成させるようになっている。
【0016】
主体ブロック13に内装した霧化ユニット8における放電電極3の先端方向には主体ブロック13に設けた放出口17が配設されている。この放出口17は整髪部12の側方周辺部でヘアーセッター10の略長手方向に向くように(詳しくは、先端ほどヘアーセッター10の軸線から離れていく方向で且つやや押えブロック14側に傾いた方向に)開口しており、整髪部12で挟持した毛髪に対して放出口17からその開口方向に飛散した帯電微粒子ミストを効率よく当てて付着できるようにされている。
【0017】
タンク2は、図8に示すように、扁平な矩形状のタンクケース20を有し、タンクケース20の内部に一端を挿入した差込管部21の他端の水供給口22をタンクケース20の一端部に突出させて構成される。なお、タンクケース20は一対の半割りケース20a,20bを合わせて接合して成り、また差込管部21は多数の通水孔23が穿設され、差込管部21の内部には吸水可能なフェルト(図示せず)が配設され、差込管部21の一端はタンクケース20に設けた水補給口24からタンクケース20内に挿入されると共にタンクケース20にバヨネット構造により着脱自在にされている。つまり、タンク2に水を補給する際には、タンクケース20から差込管部21を外したことで現れる水補給口24を上方に向けて、この水補給口24に外部から水を流し込むことで行われる(図17(d)参照)。便宜上、タンク2を後述のタンク収納部18に収納した際にタンク収納部18の底面18aに対向するタンク2の面を底面2aと称し、この底面2aと反対側の面を天面2bと称するが、タンク2の底面2aにはタンク2の内外を連通する通気筒部25が天面2b側に引き込むように形成されている。この通気筒部25の突出端(タンク2の天面2b側の端部)には通水不能な空気透過膜26が被着されて通気筒部25を閉塞している。
【0018】
このタンク2は、図4のように主体ブロック13に設けたタンク収納部18に着脱自在に収納される。タンク収納部18は主体ブロック13の挟持面13a,14aと反対側の外面部に凹所状に形成され、このタンク収納部18は蓋19によって開閉可能にされている。なお蓋19は、裏面側に設けた係止部19aをタンク収納部18の内部に設けた被係止部18bに係止させることで、タンク収納部18に被着される。タンク収納部18の底面18aには、タンク収納部18内にタンク2を収納した際に、タンク2の左右の側面に設けた係止突起27が係止される一対の係止フック18cが設けられている。また、タンク収納部18の底面18aには、タンク収納部18内にタンク2を収納した際にタンク2の水供給口22が接続して取り付けられるタンク接続部9が設けられている。このタンク接続部9には各霧化ユニット8の放電電極3に一端が接続された供給管6の他端がそれぞれ接続されている。なお供給管6はたとえば樹脂製のキャピラリ(毛細管現象を生じさせ得る細管)で構成されている。
【0019】
上記ヘアーセッター10は、図7(a)のように整髪部12における挟持面13a,14aが略鉛直面内にあるような(ハウジングの左右方向が略上下方向を向くような)姿勢で使用されることが多く、このときには少なくとも霧化ユニット8の1つがタンク2よりも上方位置に位置することとなり、タンク2内の貯水Wを毛細管現象にて供給管6を介して放電電極3に送るといった従来技術が採用されたものであれば、重力の影響から放電電極3に水が良好に供給されないこととなるのであるが、本例では、タンク2内の貯水Wを強制的に放電電極3に供給してタンク2内の貯水Wの放電電極3への安定供給を可能にする水供給手段が採用されており、以下に詳述する。
【0020】
すなわち、水供給手段は、タンク2内の空気Aを加熱して膨張させることで高められたタンク2の内圧によってタンク2内の貯水Wを供給管6を介して放電電極3に至らしめる手段である。本例では、タンク2内の空気Aを加熱する加熱手段として、ヘアーセッター10に元々設けられた発熱部である加熱板15のヒータを用いており、部材を兼用して構成の簡略化が図られている。なお、この水供給手段の動作はタンク2内の空気Aが必要となるが、タンク2には水を補給したときにタンク2内に一定量の水と空気Aが溜まるようになる貯留手段が備えられていて、タンク2内に空気Aを確保して水供給手段の動作不良を回避している。本例の貯留手段は、タンクケース20をたとえば透明または半透明の材料で形成して内部の貯水Wの水面線を外から目視で確認可能にし、タンクケース20の外面に適量の貯水Wの水面線の位置を示す水補給用の記し(図示せず)を付けることで構成されており、つまり、使用者がタンク2の補給時に目視によって水補給用の記しに合わせるべく水を補給することで、タンク2内に一定量の水と空気Aが溜まるようになっている。
【0021】
このように、タンク2内の空気Aを加熱して膨張させることで高められたタンク2の内圧によってタンク2内の貯水Wを供給管6を介して放電電極3に至らしめる水供給手段を採用したことで、たとえ静電霧化装置1を搭載したヘアーセッター10の使用姿勢によってタンク2よりも上方に霧化ユニット8が位置するようになっても、タンク2内の貯水Wを強制的に放電電極3に供給してタンク2内の貯水Wの放電電極3への安定供給が可能であり、静電霧化装置1、ひいてはこれを搭載したヘアーセッター10の良好な作動が確保できるようにされている。
【0022】
ここで、タンク2内の空気Aが加熱され膨張した後に、静電霧化装置1が操作スイッチ16によりその作動が停止される(つまりヘアーセッター10の使用が終わる)と、図9の点線グラフのように、空気Aの加熱が止まって空気Aが収縮してきてタンク2内が大気圧以下の負圧の状態になる。このタンク2内が負圧の状態で、空気透過膜26がタンク2内の貯水Wに覆われていない場合には、空気透過膜26を通って外気がタンク2内に導入されるのであり、それに伴いタンク2内の負圧状態が図9の実線グラフのように緩和されることとなり、これにより負圧によるタンク2の損傷防止が図られている。通常、使用後のヘアーセッター10は、図7(b)のように主体ブロック13が押えブロック14の上方に重なった状態で押えブロック14を洗面化粧台40上に載置されるといった状態が想定されるのであり、この場合にはタンク2は底面2aが下方に天面2bが上方に位置する姿勢となるから、通気筒部25の突出端に設けた空気透過膜26は空気Aが溜まるタンク2内の上方域に位置するようになり、空気透過膜26はタンク2内の空気Aに接し続けることが想定され、外気がタンク2内に引き込まれ易くされている。
【0023】
なお、タンク2内の空気Aが加熱されて膨張して内圧が外気圧以上に高まると、タンク2内の空気Aの一部が空気透過膜26を通って外方へ逃げることはあるが、空気透過膜26を通過する際には一定の浸透圧が必要であって空気透過膜26は通気孔を通過する際のいわゆる通気抵抗となり、また静電霧化装置1の使用時(つまりヘアーセッター10の使用時)にはヘアーセッター10、ひいてはタンク2の姿勢もめまぐるしく変化し、空気透過膜26がタンク2内の空気Aに接し続けることは無い(タンク2内の貯水Wに覆われる状態も頻繁にある)ので、内圧が高められた状態では空気透過膜26に空気Aが通気することによってもタンク2内の内圧が極端に低下させられることはない。
【0024】
以下、実施の形態の他例を列挙する。これらにおいて、先例と同様の部分については同符号を付して説明を省き、異なる部分について説明をしていく。
【0025】
図10の実施の形態の他例は先例に比べて空気透過膜26の配置を違えたものである。使用後のヘアーセッター10は、通常、図7(b)のようにタンク2の底面2aが下方に天面2bが上方に位置するような姿勢で洗面化粧台40上に載置されることが想定されるが、図7(c)のように主体ブロック13及び押えブロック14の側面を下方にして洗面化粧台40上に載置されることもあり得る。そして後者の場合には、タンク2は天面2bや底面2aが鉛直面に近い傾斜状となるような姿勢(天面2bや底面2aの左右方向が上下方向に近い向きとなる姿勢)となり、先例のタンク2の場合には図10(c)のようにタンク2内の貯水Wがタンク2の天面2bの左右中央部分に配置される空気透過膜26を覆ってしまい、空気透過膜26から外気が導入されなくてタンク2内の負圧状態を緩和させることができない状態もあり得る。図10の例では、この後者のような状態(図7(c))でも、空気透過膜26の少なくとも一部をタンク2内の空気A層に位置させて空気透過膜26からタンク2内に外気を導入してタンク2内の負圧状態を緩和させることを可能にするように、空気透過膜26の配置に工夫がなされているのである。
【0026】
詳しくは、図10(a)の例では、空気透過膜26を備えた通気筒部25をタンク2の左右方向の両端部にそれぞれ形成している。なお、この例では、空気透過膜26を備えた通気筒部25を2つタンク2の左右方向の両端部にそれぞれ位置させるように並設しているが、その個数は2つに限らず複数でもよい。また、図10(b)の例では、左右方向に長い長孔断面を有するように通気筒部25を形成すると共に、この通気筒部25に空気透過膜26を被着して閉塞している。いずれの例でも空気透過膜26はタンク2の左右方向の両端部(少なくとも左右中央部分から左右方向に偏った部分)に配置されているのであり、上記後者のような状態(図7(c))でも、空気透過膜26の少なくとも一部にはタンク2内の貯水Wで覆われない部分(すなわち空気Aが通過可能な部位)を残すようにでき、空気透過膜26からタンク2内に外気を導入してタンク2内の負圧状態を緩和させることが可能にされているのである。
【0027】
図11乃至図13の実施の形態の他例は、水供給手段にタンク2内の空気Aの過熱を防止する過熱防止手段を備えた例である。図11の例の過熱防止手段は主体ブロック13のタンク2を収納したタンク収納部18とタンク2内の空気Aを加熱することとなる発熱部の加熱板15のヒータとの間に断熱材30を配設することで構成されている。図12の例の過熱防止手段はタンク2の底面2aに凹凸形状を施したことで構成されている。詳しくは、本例では左右に長い凸条リブ31を左右方向に直交する方向に等間隔に並設している。これによると、発熱部からの熱を受けるタンク収納部18の底面18aへのタンク2の接触面積を変更することができ、タンク2への伝導する熱量を調整することができる。また、図13の例の過熱防止手段はタンク2のタンクケース20の天面2bに放熱フィン32を設けて構成されている。いずれの過熱防止手段も加熱されるタンク2内の空気Aの温度を極端に高い温度にならないように調整できるものであり、異常に昇温したタンク2内の空気Aの過剰な膨張によりタンク2が破損する恐れを回避できるのである。静電霧化装置1を搭載する機器に元々備わる(静電霧化装置1のタンク2内の空気Aを加熱する目的のために設けられたものでない)発熱部によって、静電霧化装置1のタンク2内の空気Aを加熱するようにしたものは発熱部がタンク2内の空気Aを加熱するに適さないほどの高出力である場合があり、このような場合に特に過熱防止手段は有効である。
【0028】
図14及び図15の実施の形態の他例は、タンク2にその内圧が所定以上に高まることを防止する圧力逃し弁33を設けた例である。本例の圧力逃し弁33は空気A層が形成され易いタンク2の天面2b部分に設けられている。これによると、図15のグラフに示すように、タンク2に圧力逃し弁33が存在しない場合ではタンク2内の空気Aが加熱されるとタンク2内圧が過剰に高まることがあるが(点線グラフ参照)、タンク2に圧力逃し弁33が存在する場合ではタンク2内の空気Aが加熱されてタンク2内圧が所定の圧力下になったときに圧力逃し弁33が開いてタンク2内圧を所定の圧力状態に維持することができるのである(実線グラフ参照)。このように、圧力逃し弁33によってタンク2の過剰な内圧の高まりを防止できるから、タンク2内の貯水Wの放電電極3への安定供給、タンク2の損傷防止を図ることができる。
【0029】
図16の実施の形態の他例は、水供給手段に、タンク2内の空気Aを専用に加熱するタンク用加熱部34を備えると共に、このタンク用加熱部34により加熱したタンク2内の空気Aの温度を調整する温度調整手段を備えた例である。本例では、板状ヒータによりタンク用加熱部34を構成すると共にこのタンク用加熱部34はタンク2の底面2aに付設してあり、つまり、タンク用加熱部34がタンク2に内臓されたものとなっているが、タンク用加熱部34はこれに限らずタンク2と別体に、たとえばタンク収納部18の底面18aに付設してもよい。温度調整手段としては、たとえば、タンク用加熱部34やタンク2内の温度を測る温度センサを備え、この温度センサの検出値によってタンク用加熱部34の出力制御を行わせることができる。水供給手段として、静電霧化装置1を搭載する各種の機器に元々備わる発熱部でタンク2内の空気Aを加熱することも考えられるが、これに比べて、上記のように水供給手段にタンク2内の空気Aを専用に加熱するタンク用加熱部34を備えることによると、タンク2内の空気Aを効率よく加熱することができ、しかもタンク用加熱部34により加熱したタンク2内の空気Aの温度を調整する温度調整手段を備えたので、タンク2内の空気Aの温度、ひいてはタンク2内の空気Aの膨張による内圧を適宜調整できるのであり、つまり、タンク2内の空気Aの温度管理、内圧管理が安定してできるのである。したがって、タンク2内の貯水Wの放電電極3への安定供給を効果的に図ることができるのである。更に言うと、水供給手段にタンク用加熱部34を備えたものは、タンク2内の空気Aを加熱できる発熱部が存在しない各種の機器にも、タンク2内の貯水Wの放電電極3への安定供給を可能とする静電霧化装置1を搭載することができる、という利点も有する。
【0030】
図17の実施の形態の他例は上述した貯留手段の他例である。本例の貯留手段は、水補給口24を設けた側であるタンクケース20の一側端部に、側外方に突出する空所状の空気溜まり部35を形成して構成されている。本例の場合、空気溜まり部35は水補給口24の左右両側に隣接して一対設けられている。図17(d)のように、タンクケース20から差込管部21を外したことで現れる水補給口24を上方に向けてこの水補給口24に外部から水を流し込むことで水の補給を行ったときには、空気溜まり部35はタンクケース20の上面となる側壁から上方に突出する閉空間状になるので、タンクケース20内に補給された水が至らずに空気Aが残留するのであり、つまり、自動的にタンク2への水補給時にタンク2内に一定量の空気Aを残すようにできるのである。先例の貯留手段はタンク2の外面に水補給用の記しを付して構成されていて、この水補給用の記しに目視でタンク2内に補給した水の水面線を合わせるように水の補給を行わねばならない煩雑さがあったが、本例の貯留手段ではタンク2内に水を補給したときには自動的に一定量の空気Aをタンク2内に残すことができるから、タンク2への水の補給を良好な作業性でもって行うことができる、という利点を有するのである。
【0031】
上記実施形態においては、対向電極4を備えた静電霧化装置1について述べているが、対向電極4は必ずしも必要ではなく、接地電位に対して高電圧を放電電極3に印加しさえすれば静電霧化が行われるものであり、対向電極4の存在しない静電霧化装置1を採用することも好ましい。また、上記実施形態においては、静電霧化装置1を搭載した機器としてヘアーセッター10を例示したが、上記機器はこれに限られずヘアードライヤー等の理容機器や空調機器でもよく、特に、ヘアーセッター10と同様にその使用形態においてタンク2より上方位置に霧化電極が位置してしまう状態があり得るヘアードライヤー等の理容機器に、上記実施形態の静電霧化装置1を採用すれば、タンク2内の貯水Wを強制的に放電電極3に供給することで、タンク2内の貯水Wの放電電極3への安定供給を可能にする、という水供給手段が奏する作用効果を有効に発揮できるのである。また、上記実施形態ではタンク2にたとえば過熱防止手段や圧力逃し弁33等を個別に備えたものを他例として列挙したが、説明の便宜上のことであり、たとえば過熱防止手段や圧力逃し弁33等を同時にタンク2に設けたり等、これら他例の技術(構成)を組み合わせて効果を得ることも可能であるのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態の例であり、(a)は静電霧化装置の斜視図((b)のF部分を抜粋した図)であり、(b)は静電霧化装置を搭載したヘアーセッターの一部切欠斜視図であり、(c)は霧化ユニットの断面図である。
【図2】同上のヘアーセッターの斜視図である。
【図3】同上のヘアーセッターの分解斜視図である。
【図4】同上のヘアーセッターの分解斜視図である。
【図5】(a)はヘアーセッターの主体ブロック側からの平面図であり、(b)はヘアーセッターの押えブロック側からの平面図である。
【図6】図5(a)のB−B線断面図である。
【図7】(a)は同上のヘアーセッターの使用形態を示す説明図であり、(b)は同上のヘアーセッターを洗面化粧台に載置形態の例の説明図であり、(c)は同上のヘアーセッターを洗面化粧台に載置形態の他例の説明図である。
【図8】同上の静電霧化装置のタンクであり、(a)は側面図であり、(b)は上面図(天面側から見た平面図)であり、(c)は下面図(底面側から見た平面図)であり、(d)は(b)のC−C線断面図である。
【図9】同上の空気透過膜の作用を説明するグラフである。
【図10】(a)(b)はそれぞれ実施の形態の他例のタンクの下面図である。
【図11】実施の形態の他例のヘアーセッターの側断面図である。
【図12】実施の形態の他例のタンクであり、(a)は底面側から見た斜視図であり、(b)は下面図であり、(c)は(b)のD−D線断面図である。
【図13】実施の形態の他例のタンクであり、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【図14】実施の形態の他例のタンクの側断面図である。
【図15】同上の例の圧力逃し弁の作用を説明するグラフである。
【図16】実施の形態の他例の静電霧化装置であり、(a)は斜視図であり、(b)は側断面図である。
【図17】実施の形態の他例のタンクであり、(a)は側面図であり、(b)は(a)のE−E線断面図であり、(c)は下面図であり、(d)は差込管部をタンクケースから外して行うタンクへの水の補給を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 静電霧化装置
2 タンク
3 放電電極
5 高電圧印加部
6 供給管
7 カバー体
8 霧化ユニット
9 タンク接続部
10 ヘアーセッター
15 加熱板
18 タンク収納部
26 空気透過膜
30 断熱材
31 凸条リブ
32 放熱フィン
33 圧力逃し弁
34 タンク用加熱部
35 空気溜まり部
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成18年7月7日(2006.7.7)
【代理人】 【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清

【識別番号】100085604
【弁理士】
【氏名又は名称】森 厚夫


【公開番号】 特開2008−12484(P2008−12484A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−188505(P2006−188505)