トップ :: B 処理操作 運輸 :: B05 霧化または噴霧一般;液体または他の流動性材料の表面への適用一般

【発明の名称】 静電霧化装置
【発明者】 【氏名】須田 洋

【氏名】中田 隆行

【氏名】宮田 ▲隆▼弘

【氏名】町 昌治

【要約】 【課題】簡単な構成で、現在における除菌効果が期待できると共に、現在から時間が経過した後における除菌効果も期待でき、更に、より高いレベルでの除菌効果が期待できる。

【構成】霧化電極4aと、霧化電極4aと対向する対向電極14と、霧化電極4aと対向電極14との間に高電圧を印加する電圧印加部5と、霧化電極4aに液体Wを供給する液体供給手段とを備えた静電霧化装置Aにおいて、霧化電極4aの前記液体Wが供給される部分をAg又はAg合金で形成して、霧化電極4aと対向電極14との間に高電圧を印加して霧化電極3に供給された液体Wを静電霧化すると共にAgイオンを放出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
霧化電極と、霧化電極と対向する対向電極と、霧化電極と対向電極との間に高電圧を印加する電圧印加部と、霧化電極に液体を供給する液体供給手段とを備えた静電霧化装置において、霧化電極の前記液体が供給される部分をAg又はAg合金で形成して、霧化電極と対向電極との間に高電圧を印加して霧化電極に供給された液体を静電霧化すると共にAgイオンを放出して成ることを特徴とする静電霧化装置。
【請求項2】
霧化電極のAg又はAg合金で形成した部分を取り替え可能にして成ることを特徴とする請求項1記載の静電霧化装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、除菌力のある帯電微粒子ミストを発生させるための静電霧化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から静電霧化装置として、例えば特許文献1が知られている。この特許文献1に示された従来例にあっては、液体溜め部の液体を毛細管現象により放電電極の先端に搬送し、このように毛細管現象により放電電極の先端部に供給された液体を放電電極の先端部に表面張力により保持し、この放電電極の先端部に表面張力により保持された液体に高電圧を印加することで静電霧化して活性種(ラジカル)を含むナノメータサイズの帯電微粒子ミストを発生するようになっている。
【0003】
この静電霧化装置によるナノメータサイズの帯電微粒子ミストの発生のメカニズムは、放電電極と対向電極との間にかけられた電圧により放電電極の先端部に供給された水Wのような液体が帯電し、帯電した液体にクーロン力が働き、放電電極の先端に供給された液体の液面が局所的に先端が尖った錐状に盛り上がる(テイラーコーン)。このテイラーコーンの先端部に電荷が集中して高密度化され、高密度された電荷の反発力による液体の分裂・飛散(レイリー分裂)を繰り返して静電霧化を行い、ラジカルを有するナノメータサイズの帯電微粒子ミスト(マイナスイオンミスト)を生成させるようになっている。
【0004】
このナノメータサイズの帯電微粒子ミストは活性種(ラジカル)を含んでいるため、このナノメータサイズという極めて粒径の小さい帯電微粒子ミストを放出すると、放出空間内の隅々まで飛散して放出空間の除菌、脱臭を行なうと共に、放出空間内に存在する物に付着浸透して効果的に除菌、脱臭を行なうことができる。
【0005】
上記のように帯電微粒子ミストは活性種を含んでいるため除菌、脱臭効果が期待できるが、帯電微粒子ミストに含まれた活性種(ラジカル)による除菌は帯電微粒子ミストの飛翔中又は帯電微粒子ミストが付着した時点で帯電微粒子水Wの中に包みこんでラジカルで除菌するもので、帯電微粒子ミストの飛翔中又は付着した時点で存在する菌に対してのみ除菌効果があり、つまり現時点において存在する菌に対してのみ除菌効果があり、帯電微粒子ミストが飛翔して付着した箇所であっても、現在より後、つまり、帯電微粒子ミストが付着して時間が経過した後に該当箇所に新たに発生又は付着した菌に対しては除菌効果が期待できないという問題があり、更に、使用箇所においては、帯電微粒子ミストに含まれる活性種による除菌効果だけでは十分でない場合があり、より高いレベルでの除菌効果が求められているのが現状である。
【特許文献1】特許第3260150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、簡単な構成で、現在における除菌効果が期待できると共に、現在から時間が経過した後における除菌効果も期待でき、更に、より高いレベルでの除菌効果が期待できる静電霧化装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係る静電霧化装置は、霧化電極4aと、霧化電極4aと対向する対向電極14と、霧化電極4aと対向電極14との間に高電圧を印加する電圧印加部5と、霧化電極4aに液体Wを供給する液体供給手段とを備えた静電霧化装置Aにおいて、霧化電極4aの前記液体Wが供給される部分をAg又はAg合金で形成して、霧化電極4aと対向電極14との間に高電圧を印加して霧化電極3に供給された液体Wを静電霧化すると共にAgイオンを放出して成ることを特徴とするものである。
【0008】
このような構成とすることで、液体Wに高電圧を印加して静電霧化することで活性種を有する帯電微粒子ミストを生成するのであるが、この際、帯電微粒子ミストに除菌力のあるAg(銀)イオンが含まれることとなり、帯電微粒子ミストに含まれた活性種及び除菌力のあるAgイオンによりによる除菌効果がより一層向上する。しかも、帯電微粒子ミストの飛翔中あるいは付着した時点における除菌が活性種及び除菌力のあるAgイオンの双方により効果的に行われるだけでなく、帯電微粒子が付着して時間が経過した後であっても、付着箇所にはAgイオンが付着して残っているので、その後、該当箇所に新たに発生又は新たに付着した菌もAgイオンにより除菌ができる。また、除菌力が高く溶出し難いため、長い間安定して高い除菌力を保つことができる。
【0009】
また、請求項2に係る静電霧化装置は、請求項1に係る静電霧化装置において、霧化電極4aのAg又はAg合金で形成した部分を取り替え可能にして成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、霧化電極4aのAg又はAg合金で形成した部分のみを取り替えるだけで永続的に使用することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、除菌力のあるAgイオンが含まれた帯電微粒子ミスを生成できるので、帯電微粒子ミストに含まれた活性種及び除菌力のあるAgイオンによって、帯電微粒子ミストの飛翔中及び帯電微粒子ミストが付着した箇所にいる菌を効果的に除菌でき、また、帯電微粒子が付着して時間が経過した後であっても、付着箇所には残ったAgイオンにより該当箇所に新たに発生又は新たに付着した菌をAgイオンにより除菌できて長時間の除菌効果が発揮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0012】
図1、図2には本発明の静電霧化装置Aの一実施形態が示してある。 静電霧化装置Aは、先端部がAgからなる霧化電極4aとなった筒状をした霧化ノズル4と、筒状の霧化ノズル4の後端部に連通する液体溜め部1と、液体溜め部1内に液体Wを補給する液体補給部7と、霧化電極4aの先端と対向する対向電極14と、霧化電極4aと対向電極14との間に高電圧を印加する電圧印加部5とを備え、霧化電極4aと対向電極14との間に高電圧を印加することで霧化ノズル4の先端部の霧化電極4aに供給された液体Wを静電霧化するようになっている。
【0013】
なお、以下の説明では液体Wが水の例で説明する。したがって、以下、液体W又は水Wとして説明する。
【0014】
添付図面に示す各実施形態おいては、先端部が霧化電極4aとなった筒状の霧化ノズル4が横向きに配置してあり、この筒状の霧化ノズル4の内部の孔13部分の内径が先端部を除いて毛細管現象が発生しない大きさの孔部13aとなっている。孔13の先端部は先端が細径となるように孔径が次第に細くなっていて後述の水Wに圧力が作用しても孔13の最先端においては水Wが表面張力により液玉W1状態を保持し、孔13の最先端から水が垂れ流しされないような孔径としてあり、また、孔13の最先端の最も小径となった部分は毛細管現象が発生するような孔径にしてある。
【0015】
霧化ノズル4の後端部には液体溜め部1が連通してあり、該液体溜め部1は上部が横向きにした霧化ノズル4の先端部のレベルよりも上方に向けて突出している。本実施形態では筒状の霧化ノズル4が液体溜め部1から先端部の霧化電極4a部分に液体Wを搬送するための液体搬送部2を構成している。
【0016】
また、本実施形態における静電霧化装置Aは、活性種を含んだナノメータサイズの帯電微粒子ミストを発生させる第1運転モードと、活性種を含んだナノメータサイズの帯電微粒子ミストとミクロンサイズの帯電微粒子ミストとを発生させる第2運転モードとを備ており、更に、上記第1運転モードと第2運転モードとを選択して運転させるための切換え手段9を備えている。
【0017】
図中7は液体補給部を構成するタンクであり、前述の第1運転モード時及び第2運転モード時にそれぞれ、マイクロポンプのようなポンプ15により液体補給部7内に溜まっている水Wを液体溜め部1に補給して液体溜め部1の水位(液位)を第1運転モード時における設定水位又は第2運転モード時における設定水位にそれぞれ保つようになっている。
【0018】
液体溜め部1には液位検出手段16が設けてある。液位検出手段16としては、第1運転モード時における設定水位(液位)を検出するための第1液位検出手段16aと、第2運転モード時における設定水位(液位)を検出するための第2液位検出手段16bとがある。
【0019】
第1液位検出手段16aで検出する第1運転モード時における液体溜め部1内における設定水位(液位)は霧化ノズル4の先端部のレベルと同じ水位に設定してある。したがって、静電霧化装置Aを、切換え手段9により第1運転モードに設定して第1運転モードで運転している時は、第1液位検出手段16aにより液体溜め部1の水位を検知し、液体溜め部1の水位が上記設定水位よりも下がるとポンプ15により液体補給部7内に溜まっている水Wを液体溜め部1に補給し、図1、に示すように液体溜め部1の水位(液位)を第1運転モード時における上記設定水位(つまり液体溜め部1の先端部と同じ水位)に保つようになっている。
【0020】
このように第1液位検出手段16aで水位を検知し、この第1液位検出手段16aを制御部17に入力し、液体溜め部1の水位が液体溜め部1の先端部と同じ水位に保持されるように制御部17によりポンプ15を制御することで、第1運転モード時における上記設定水位を保持し、霧化ノズル4の先端部には水頭圧が作用せず、孔13の最先端の最も小径となった毛細管現象を発生させる部分における毛細管現象により液体溜め部1に連通した孔13内の水Wが供給されるようになっている。
【0021】
ここで、本実施形態においては、上記第1液位検出手段16a、ポンプ15、制御部17により、第1運転モードの設定時に液体溜め部1の液位が霧化ノズル4の先端部のレベルとほぼ同じ位置を保つように液体補給部7から液体Wを供給する手段(液体供給手段)を構成してある。
【0022】
また、第2液位検出手段16bで検出する第2運転モード時における液体溜め部1内における設定水位(液位)は霧化ノズル4の先端部のレベルよりも所定高さ高い水位に設定してある。したがって、静電霧化装置Aを、切換え手段9により第2運転モードに設定して第2運転モードで運転している時は、第2液位検出手段16bにより液体溜め部1の水位を検知し、液体溜め部1の水位が上記設定水位よりも下がるとポンプ15により液体補給部7内に溜まっている水Wを液体溜め部1に補給し、図2、に示すように液体溜め部1の水位(液位)を第2運転モード時における上記設定水位に保つようになっている。
【0023】
このように第2液位検出手段16bで水位を検知し、この第2液位検出手段16bを制御部17に入力し、液体溜め部1の水位が上記液体溜め部1の先端部よりも所定高さ高い水位に保持されるように制御部17によりポンプ15を制御することで、第2運転モード時における上記設定水位を保持し、霧化ノズル4の先端部の霧化電極4aの先端部に表面張力により形成される液玉W1に常に決められた一定の水頭圧が作用するようになっている。この水頭圧(つまり、水頭圧を発生させるための上記第2運転モード時における設定水位)は霧化ノズル4の先端部に設けた霧化電極4aの最先端に表面張力により液玉W1が形成されるのを阻害しない程度の水頭圧が作用するように設定してある。
【0024】
ここで、本実施形態においては、上記第2液位検出手段16b、ポンプ15、制御部17により、第2運転モードの設定時に液体溜め部1の液位が霧化ノズル4の先端部のレベルよりも所定高さ高い位置を保つように液体補給部7から液体溜め部1に液体Wを供給する手段(液体供給手段)を構成してある。
【0025】
第1液位検出手段16a、第2液位検出手段16bとしては、例えば磁石付の発泡材料のようなフロートを液体溜め部1内に浮かべて、上下2箇所の液位の検出部にかかる磁界の変化を検出することで第1運転モード、第2運転モードにおけるそれぞれの設定液置を検出するようなもの、あるいは、第1液位検出手段16a、第2液位検出手段16bとして、発泡材料のようなフロートを液体溜め部1内に浮かべて、上下2箇所の検出部における光の反射率を検出することで第1運転モード、第2運転モードにおけるそれぞれの設定液置を検出するようなものが考えられるが、必ずしもこれにのみ限定されず、従来から公知の種々の水位センサ等が採用できる。
【0026】
そして、各検出部における検出信号を制御部17に入力して液体Wの供給制御及び高電圧の印加状態の制御を行う。
【0027】
なお、上限液位センサ31を第2液位検出手段16bの検出部よりも上方位置に設けてもよい。この場合、何らかの理由で液体補給部7から液体溜め部1に液体Wが過剰に供給された場合、上限液位センサ31により検出して制御部17によりポンプ15を停止するように制御する。これにより霧化ノズル4の先端部に形成された液玉W1に必要以上の水頭圧が作用しないようにでき、霧化ノズル4の先端部から水Wが下方に垂れ落ちないようにし、高電圧を印加した場合における安全性を確保することができるようになっている。
【0028】
上記した静電霧化装置Aは、切換え手段9により第1運転モード又は第2運転モードのいずれかを選択して運転するものである。
【0029】
第1運転モードで運転する場合は、液体溜め部1の液位が霧化ノズル4の先端部のレベルとほぼ同じ位置を保つように制御され、霧化ノズル4の先端部には水頭圧がかからず、霧化ノズル4の孔13の先端における毛細管現象によって霧化ノズル4の先端部の霧化電極4aに水Wが供給され表面張力により液玉W1状態となり、この状態で霧化ノズル4の先端部の霧化電極4aと対向電極14との間に高電圧(8kV程度)を印加することで霧化電極4a先端に表面張力により液玉W1状に保持された水Wが帯電し、帯電した水Wにクーロン力が働き、液玉W1が局所的に円錐形状(テイラーコーン)に盛り上がり、円錐形状となった水Wの最先端に電荷が集中して電荷の密度が高密度となり、高密度の電荷の反発力ではじけるようにして最先端の水Wが分裂・飛散(レーリー分裂)を繰り返して静電霧化を行い、ナノメータサイズの帯電微粒子ミストを大量に発生させる。本発明では、霧化電極4aの水Wが供給される部分をAg又はAg合金で形成してあるため、霧化電極4aと対向電極14との間に高電圧を印加して霧化電極に供給された液体を静電霧化する際、Agがイオン化されて水Wに溶出し、ナノメータサイズの帯電微粒子ミストには活性種(ラジカル)が含まれると共に、Agイオンが含まれた状態となり、静電霧化装置AよりAgイオンが放出される。
【0030】
そして、上記のようにしてテイラーコーンの最先端のAgイオンを含んだ水Wが静電霧化されて水Wが消費されると、消費された分と同じ量のAgイオンを含んだ水Wが毛細管現象により霧化ノズル4の先端に供給され、安定してAgイオンを含んだナノメータサイズの帯電微粒子ミストを発生させる運転が継続される。
【0031】
このようにして第1運転モードでの運転の際に生成されたナノメータサイズの帯電微粒子ミストは霧化電極4aと対向して位置する対向電極14に向けて移動して放出空間に放出される。放出空間に放出されたナノメータサイズの帯電微粒子ミストは放出空間の隅々まで飛散してナノメータサイズの帯電微粒子ミストに含まれる活性種(ラジカル)により放出空間内の除菌、脱臭、有害物質の分解等、あるいは、ナノメータサイズの帯電微粒子ミストが放出空間内にある物の内部に付着浸透して除菌、脱臭、有害物質の分解等を行なうのであるが、ナノメータサイズの帯電微粒子ミスト中には更にAgイオンが含まれているので、飛散中や付着浸透した際に放出空間や付着した物に存在する菌を除菌することとなって、より除菌効果が高まるものであり、しかも、放出空間内の物に付着したAgイオンは、付着して残っているので、その後、該当箇所に新たに発生又は新たに付着した菌もこのAgイオンにより除菌ができることになる。
【0032】
Agの除菌力は、Cuの除菌力よりも強く、例えばチフス菌の除菌性能を比較した場合、Ag2ppmの除菌力とCu15ppmの除菌力とが同等であり、同量での除菌力はAgはCuの約10倍といえる。
【0033】
一方、第2運転モードで運転する場合は、液体溜め部1の液位が霧化ノズル4の先端部よりも所定高さ高いレベルを保つように制御される。このため、霧化ノズル4の先端部の霧化電極4aの先端部に表面張力により形成されるAgイオンを含んだ液玉W1に常に決められた一定の水頭圧が作用している。この状態で電圧印加部5により高電圧を印加することで、霧化電極4aの先端に表面張力により液玉W1状に保持された水Wが帯電し、帯電した水Wにクーロン力が働き、液玉W1が局所的に円錐形状(テイラーコーン)に盛り上がり、円錐形状となった水Wの最先端に電荷が集中して電荷の密度が高密度となり、高密度の電荷の反発力ではじけるようにして最先端の水Wが裂・飛散(レーリー分裂)を繰り返して静電霧化を行い、主としてナノメータサイズの帯電微粒子ミストを大量に発生させ、更に、テイラーコーンとなった液玉W1には所定の水頭圧が作用するので、液玉W1の表面においては表面張力により保たれる液玉W1状態が僅かな力でも破れ得る不安定な状態となっており、このため、最先端のように電荷が集中する箇所でない液玉W1の最先端以外の表面部分においても、高電圧の印加により液玉W1から表面の一部が千切れて分裂・飛散するものであり、この部分においては、電荷が最先端ほど集中していないので水Wを分裂させるエネルギーも小さいので、主としてミクロンサイズの帯電微粒子ミストが生成されると考えられる。上記のようにしてAgイオンを含んだナノメータサイズの帯電微粒子ミスト、Agイオンを含んだミクロンサイズの帯電微粒子ミストが生成され、このようにしてAgイオンを含んだ水Wが消費されると、霧化電極4aの先端には絶えず表面張力で液玉W1が形成されるように水頭圧により水Wが供給されるので、継続してナノメータサイズの帯電微粒子ミスト、ミクロンサイズの帯電微粒子ミストが生成され続けることになる。上記のようにして生成されるナノメータサイズの帯電微粒子ミストと、ミクロンサイズの帯電微粒子ミストには活性種(ラジカル)が含まれる。
【0034】
このようにして第2運転モードでの運転の際に同時に生成されたナノメータサイズの帯電微粒子ミストと、ミクロンサイズの帯電微粒子ミストは霧化電極4aと対向して位置する対向電極14に向けて移動して放出空間に放出される。放出空間に放出されたナノメータサイズの帯電微粒子ミストは放出空間の隅々まで飛散してナノメータサイズの帯電微粒子ミストに含まれる活性種(ラジカル)により放出空間内の除菌、脱臭、有害物質の分解等、あるいは、ナノメータサイズの帯電微粒子ミストが放出空間内にある物の内部に付着浸透して除菌、脱臭、有害物質の分解等を行なうのであるが、ナノメータサイズの帯電微粒子ミスト及びミクロンサイズの帯電微粒子ミスト中には更にAgイオンが含まれているので、飛散中や付着浸透した際に放出空間や付着した物に存在する菌を除菌することとなって、より除菌効果が高まるものであり、しかも、放出空間内の物に付着したAgイオンは、付着して残っているので、その後、該当箇所に新たに発生又は新たに付着した菌もこのAgイオンにより除菌ができることになる。特に、ミクロンサイズの帯電微粒子ミスト中には多量のAgイオンが含まれることになるので、上記Agイオンによる殺菌効果が向上する。
【0035】
ここで、上記ナノメータサイズの帯電微粒子ミストだけでは粒径が極めて小さいので、放出空間の加湿、あるいは放出空間内の物の加湿に当たっては十分ではないが、第2運転モード時にミクロンサイズの帯電微粒子ミストを放出するので、放出空間の加湿、あるいは放出空間内の物への加湿を十分に行なえ、しかも、ナノメータサイズの帯電微粒子ミストだけで加湿する場合に比べて少ないエネルギーコストで大量の液体を帯電微粒子ミストとして生成できる。
【0036】
なお、霧化ノズル4の先端部に水Wを加圧して供給するに当たり、加圧力を調整する加圧調整手段を設けてもよい。上記実施形態においては、第2液位検出手段16bによる測定する水位を可変可能とすることで、霧化ノズル4の先端部の霧化電極4aの先端部に形成される液玉W1に作用させる水頭圧を変えることができ、これにより霧化ノズル4の先端部の霧化電極4aの先端部に形成される液玉W1に作用させる加圧力を調整したりすることができる。これによりAgイオンを含んだナノメータサイズの帯電微粒子ミスト、ミクロンサイズの帯電微粒子ミストの粒径分布の調整や、Agイオンを含んだナノメータサイズの帯電微粒子ミストの発生量とミクロンサイズの帯電微粒子ミストの発生量の割合を調整でき、除菌、脱臭、農薬の分解等をより重要視する場合と、加湿をより重要視する場合等、目的に応じて使い分けることが可能となる。
【0037】
上記実施形態では静電霧化装置Aとして、除菌力を有するAgイオンを含んだナノメータサイズの帯電微粒子ミストのみを生成する第1運転モードとAgイオンを含んだナノメータサイズの帯電微粒子ミストとミクロンサイズの帯電微粒子ミストとを生成する第2運転モードとを切り替えて選択できるようにした例で示したが、本発明の静電霧化装置Aとしては、除菌力を有するAgイオンを含んだミクロンサイズの帯電微粒子ミストのみを生成する静電霧化装置Aであってもよく、あるいは、除菌力を有するAgイオンを含んだミクロンサイズの帯電微粒子ミストのみを生成する静電霧化装置Aであってもよい。
【0038】
本発明においては、上述したように、霧化電極4aの前記液体Wが供給される部分をAg又はAg合金で形成して、霧化電極4aと対向電極14との間に高電圧を印加して霧化電極3に供給された液体Wを静電霧化して、活性種と共にAgイオンを放出するようにしたことで、帯電微粒子ミストの飛翔中あるいは付着した時点における除菌が活性種及び除菌力のあるAgイオンの双方により効果的に行われるだけでなく、帯電微粒子が付着して時間が経過した後であっても、付着箇所にはAgイオンが付着して残っているので、その後、該当箇所に新たに発生又は新たに付着した菌もAgイオンにより除菌ができ、除菌効果をより一層向上させることができる。
【0039】
また、一般的にAgやCu等の金属イオンは除菌力があるが、本発明ではAgを選定したことで、Cuのイオン化電位が0.34Vであるのに対しAgのイオン化電位は0.8Vであり、Agは2倍以上溶出し難い。しかしながら、除菌力は上述したように約10倍あるため、AgとCuを同条件で使用した場合の除菌力はAgの方が概ね5倍優れていることとなり、Cuよりも長い間安定して高い除菌力を保つことができる。
【0040】
また、霧化電極4aの水Wが供給される部分(本願では霧化電極4a全体とする)を取り替え可能とすることで、霧化電極4aのAg又はAg合金で形成した部分のみを取り替えるだけで永続的に使用することができる。
【0041】
次に、図3に基づいて他の実施形態について説明する。本実施形態では、液体供給手段が上実施形態と異なるものである。
【0042】
静電霧化装置Aは、霧化電極4aと、対向電極14と、電圧印加部5に加えて、液体供給手段としてペルチエユニット6を設けてある。
【0043】
ペルチエユニット6は、本実施形態では冷却部61と放熱部62とで主体が構成される。冷却部61は霧化電極4aと熱的に接続してある。そして、霧化電極4aの先端部にAg又はAg合金からなるカバー4bを被覆している。
【0044】
ペルチエユニット6について説明する。ペルチエユニット6の冷却部5側に上述したように霧化電極4aを熱的に接続して霧化電極4a自体を冷却自在としている。図3に示す実施形態では、ペルチエユニット6に連結させてある支持枠63の先端に対向電極14を支持させることで、霧化電極4aと対向電極14とを所定の間隔を隔てて互いに対向する位置に固定させている。上記ペルチエユニット6は、熱伝導性の高いアルミナや窒化アルミニウムからなる絶縁板64の片面側に回路65を形成してある一対のペルチエ回路板66を、互いの回路65が向き合うように対向させ、多数列設してあるBiTe系の熱電素子67を両ペルチエ回路板66間で挟持すると共に隣接する熱電素子67同士を両側の回路65で電気的に接続させ、ペルチエ入力リード線68を介してなされる熱電素子67への通電により一方のペルチエ回路板66側から他方のペルチエ回路板66に向けて熱が移動するように設けたものである。更に、上記一方の側(以下、冷却側という)のペルチエ回路板66の外側にはアルミナや窒化アルミニウム等からなる高熱伝導性及び高耐電性の高い冷却用絶縁板69を接続してあり、また、上記他方の側(以下、放熱側という)のペルチエ回路板66の外側にはアルミナや窒化アルミニウム等からなる高熱伝導性の放熱板60を接続してある。なお、上記ペルチエ回路板66としてはエポキシ樹脂やポリイミド樹脂からなる絶縁板に回路65を形成したものであってもよいし、これらの樹脂に熱伝導性の高いフィラーを含有させたものであってもよい。
【0045】
本実施形態においては、冷却側のペルチエ回路板66の絶縁板64と冷却用絶縁板69とで冷却部61を形成し、放熱側のペルチエ回路板66の絶縁板64と放熱板60とで放熱部6を形成するものであり、熱電素子67を介して冷却部61側から放熱部62側へと熱が移動するようになっている。なお、放熱板60の代りに放熱フィンを備えて放熱部62を形成してもかまわない。上記支持枠63は、PBT樹脂やポリカーボネート樹脂やPPS樹脂等の絶縁材料を用いて両端の貫通した略円筒状の筒部63aにて主体が構成され、開口部にはインサート成形等により一体成形したリング状の対向電極14を位置させており、対向電極14の中央の開口がミスト吐出口14aとなっている。
【0046】
本実施形態においても、上述したように、霧化電極4aの前記液体Wが供給される部分をAg又はAg合金で形成したことで、帯電微粒子ミストの飛翔中あるいは付着した時点における除菌が活性種及び除菌力のあるAgイオンの双方により効果的に行われるだけでなく、帯電微粒子が付着して時間が経過した後であっても、付着箇所にはAgイオンが付着して残っているので、その後、該当箇所に新たに発生又は新たに付着した菌もAgイオンにより除菌ができ、除菌効果をより一層向上させることができ、また、Cuよりも長い間安定して高い除菌力を保つことができる。
【0047】
また本実施形態においても、霧化電極4aの水Wが供給される部分に設けたカバー4bを取り替え可能とすることで、カバー4bのみを取り替えるだけで永続的に使用することができる。
【0048】
また、本実施形態の静電霧化装置Aにあっては、液体供給手段として上実施形態のような液体溜め部1、液体補給部7、液体搬送部2のような構成を備える必要がないものである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の静電霧化装置の一実施形態を示し、第1モードの概略構成図である。
【図2】同上の一実施形態を示し、第2モードの概略構成図である。
【図3】本発明の他の実施形態の断面図である。
【符号の説明】
【0050】
4a 霧化電極
14 対向電極
A 静電霧化装置
W 液体
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】 【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清

【識別番号】100085604
【弁理士】
【氏名又は名称】森 厚夫


【公開番号】 特開2008−6422(P2008−6422A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−182463(P2006−182463)