トップ :: B 処理操作 運輸 :: B05 霧化または噴霧一般;液体または他の流動性材料の表面への適用一般

【発明の名称】 静電塗装装置
【発明者】 【氏名】山田 幸雄

【要約】 【課題】カバー部材の外表面に高電圧を安定的に帯電させ、塗料粒子が付着するのを防止することができる静電塗装装置を提供する。

【構成】ハウジング部材112の前側には、エアモータ33および回転霧化頭34からなる噴霧器32を取付ける。また、ハウジング部材112の外周側には、支持腕117、電極支持部118および針状電極119からなる外部電極116を取付け、この外部電極116の針状電極119には高電圧発生器45によって高電圧を供給する。そして、外部電極116の電極支持部118は、筒状の絶縁樹脂フィルムからなるカバー部材113′によって覆い、カバー部材113′と電極支持部118との間には円筒状の環状空間115を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアモータと該エアモータの前端側に回転可能に設けられた回転霧化頭とからなり、該回転霧化頭に供給された塗料を被塗物に噴霧する塗料噴霧手段と、
絶縁材料によって形成され前記エアモータを収容すると共に該塗料噴霧手段を保持するハウジング部材と、
該ハウジング部材の外周側に設けられた外部電極と、
該外部電極に高電圧を印加し、前記回転霧化頭から噴霧された塗料粒子に間接的に高電圧を帯電させる高電圧印加手段とからなる静電塗装装置において、
前記外部電極は、前記ハウジング部材から外周側に向けて延びる支持腕と、該支持腕の先端に設けられ該支持腕から前側に向けて延びその先端が前記回転霧化頭の周囲に配置された電極支持部と、該電極支持部の先端に設けられた針状電極とによって構成し、
前記電極支持部には、その外表面を覆って筒状に形成された絶縁材料からなるカバー部材を設け、
前記電極支持部とカバー部材との間には、これらの電極支持部とカバー部材とが互いに対面する部位に画成された横断面が環状の環状空間を設ける構成としたことを特徴とする静電塗装装置。
【請求項2】
前記カバー部材は、フッ素系の樹脂材料からなるフッ素系樹脂フィルム部材またはポリエチレン樹脂からなるポリエチレン樹脂フィルム部材を用いて形成してなる請求項1に記載の静電塗装装置。
【請求項3】
前記カバー部材は、絶縁性を有する2枚の絶縁フィルムの間に半導電性を有する半導電フィルムを挟んだ積層フィルム部材を用いて形成してなる請求項1に記載の静電塗装装置。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記電極支持部の外表面を覆うのに加えて、前記ハウジング部材の外表面を覆って筒状に形成され、
前記ハウジング部材とカバー部材との間には、これらのハウジング部材とカバー部材とが互いに対面する部位に横断面が環状の環状空間を設ける構成としてなる請求項1,2または3に記載の静電塗装装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、高電圧を印加した状態で塗料を噴霧するようにした静電塗装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、静電塗装装置として、例えばエアモータと回転霧化頭とからなる噴霧器と、絶縁材料によって形成され該噴霧器のエアモータを保持するハウジング部材と、該ハウジング部材の外表面を覆って筒状に設けられたカバー部材と、外部電極を用いて噴霧器の回転霧化頭から噴霧された塗料粒子をマイナスの高電圧に帯電させる高電圧発生器とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−113207号公報
【0004】
このような従来技術による静電塗装装置では、マイナスの高電圧が印加された外部電極とアース電位となる回転霧化頭との間、および外部電極と被塗物との間には、それぞれ電気力線による静電界域が形成される。また、外部電極の先端近傍にはマイナスのイオン化圏域が形成される。
【0005】
この状態で、高速回転する回転霧化頭を用いて塗料を噴霧すると、回転霧化頭から噴霧された塗料粒子は、イオン化圏域を通過することによってマイナスの高電圧に帯電され、帯電塗料粒子となる。これにより、帯電塗料粒子は、アースに接続された被塗物に向けて飛行し、該被塗物の表面に塗着する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1による静電塗装装置では、カバー部材の外表面は、放電されているマイナスイオンの負極性に帯電している。このため、互いにマイナスの同極性にある帯電塗料粒子とカバー部材とが反発し、カバー部材の外表面に塗料粒子が付着するのを防止している。また、カバー部材等は、絶縁材料を用いて形成されることによって、その外表面に帯電した高電圧の電荷がアース電位側に漏洩するのを防止している。
【0007】
しかし、実際には、静電塗装を継続するに従って、カバー部材の外表面には徐々に塗料粒子が付着して付着塗料となる。このため、この付着塗料によって、カバー部材の外表面の絶縁度が低下するという問題がある。そして、カバー部材の絶縁度が低下すると、塗料の付着が急激に進行する。このため、従来技術では、付着した塗料を除去するために、塗装作業を頻繁に中断せざるを得なかった。
【0008】
また、特許文献1による静電塗装装置では、カバー部材の外表面に撥水性塗料を塗布することによって、塗料粒子の付着を防止している。しかし、この塗装装置では、塗装作業の終了時に塗装装置の外表面を洗浄するのに伴って、撥水性塗料の膜厚が徐々に薄くなるため、定期的に撥水性塗料を再塗布する必要がある。また、撥水性塗料の塗膜の品質が安定しないため、製品歩留まりが低く、塗膜形成作業そのもののコストも高いという問題もある。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、カバー部材の外表面に高電圧を安定的に帯電させ、塗料粒子が付着するのを防止することができる静電塗装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1).上述した課題を解決するために、本発明は、エアモータと該エアモータの前端側に回転可能に設けられた回転霧化頭とからなり、該回転霧化頭に供給された塗料を被塗物に噴霧する塗料噴霧手段と、絶縁材料によって形成され前記エアモータを収容すると共に該塗料噴霧手段を保持するハウジング部材と、前記塗料噴霧手段から噴霧された塗料粒子を高電圧に帯電させ帯電塗料粒子を被塗物に塗着させる高電圧印加手段とからなり、該高電圧印加手段は、前記ハウジング部材の外周側に位置する外部電極に高電圧を印加し、前記回転霧化頭から噴霧される塗料粒子に間接的に高電圧を帯電される構成としてなる静電塗装装置において、前記外部電極は、前記ハウジング部材から外周側に向けて延びる支持腕と、該支持腕の先端に設けられ該支持腕から前側に向けて延びその先端が前記回転霧化頭の周囲に配置された電極支持部と、該電極支持部の先端に設けられた針状電極とによって構成し、前記電極支持部には、その外表面を覆って筒状に形成された絶縁材料からなるカバー部材を設け、前記電極支持部とカバー部材との間には、これらの電極支持部とカバー部材とが互いに対面する部位に画成された横断面が環状の環状空間を設ける構成としたことを特徴としている。
【0011】
一般に、空気に比べて絶縁材料からなる電極支持部は電気抵抗が低い。そこで、電極支持部とカバー部材との間にはこれらの電極支持部とカバー部材とが互いに対面する部位の全面に亘って空間を設ける構成としたから、空気に比べて電気抵抗の低い電極支持部がカバー部材に接触する部位を減らすことができる。この結果、高電圧に帯電したカバー部材の外表面の電荷が電極支持部を介して漏洩するのを減らすことができるから、カバー部材の帯電状態を保持し、外部電極に対する帯電塗料粒子の付着を防止することができる。
【0012】
(2).本発明では、前記カバー部材は、フッ素系の樹脂材料からなるフッ素系樹脂フィルム部材またはポリエチレン樹脂からなるポリエチレン樹脂フィルム部材を用いて形成している。
【0013】
これにより、例えば四フッ化エチレン等のフッ素系樹脂フィルム部材またはポリエチレン樹脂フィルム部材のように撥水性を有する材料を用いてカバー部材を形成することができ、撥水作用によってカバー部材に対する帯電塗料粒子の付着を防止することができる。また、フッ素系樹脂フィルム部材またはポリエチレン樹脂フィルム部材を帯電させることによって、帯電塗料粒子に反発力を作用させることができる。さらに、フッ素系樹脂フィルム部材およびポリエチレン樹脂フィルム部材は、吸湿性が低く、体積抵抗率が高いから、これらに帯電した電荷が漏洩し難い。このため、カバー部材の帯電状態を安定的に保持することができる。
【0014】
(3).本発明では、前記カバー部材は、絶縁性を有する2枚の絶縁フィルムの間に半導電性を有する半導電フィルムを挟んだ積層フィルム部材を用いて形成している。
【0015】
このとき、半導電フィルムでは電荷が移動できるから、半導電フィルムは全体に亘って略同電位になる。この半導電フィルムの安定電位を受けて、半導電フィルムの表面を覆う絶縁フィルムの表面がより均一に帯電するという効果が得られる。
【0016】
即ち、絶縁フィルムの表面が負極性帯電したときに、絶縁フィルムの裏面は誘電帯電現象によって正極性帯電する。このとき、絶縁フィルムの裏面には半導電フィルムが設けられているから、絶縁フィルムの裏面の正極性の電荷は、半導電フィルムを通じて移動し、カバー部材の全体に亘って広がる。これに伴い、絶縁フィルムの表面に付着した負極性の帯電イオンも、正極性の電荷との間のクーロン力でカバー部材の全体に亘って均一に広がる。
【0017】
この結果、半導電フィルムを設けない場合に比べて、より均一な負極性帯電を絶縁フィルムの表面に得ることができる。これにより、絶縁フィルムと帯電塗料粒子との間に安定した反発力を発生させることができ、付着塗料による偏った汚れを減らすことができる。
【0018】
このため、例えばカバー部材内の電位勾配によって、カバー部材のうち部分的に電荷が帯電し難い部位があるときでも、半導電フィルムを全面に亘って略同電位にすることができ、外表面側の絶縁フィルムに対してカバー部材内の電位勾配の影響をなくすことができる。この結果、マイナスイオンが飛来したときには、外表面側の絶縁フィルムの全面に対して均一に電荷を帯電させることができる。これにより、カバー部材全体を確実に帯電させて帯電塗料粒子の付着を防止できると共に、不均一な電荷分布よる電界の集中を防止することができ、部分的な塗料の付着や堆積も防ぐことができる。
【0019】
(4).本発明では、前記カバー部材は、前記電極支持部の外表面を覆うのに加えて、前記ハウジング部材の外表面を覆って筒状に形成され、前記ハウジング部材とカバー部材との間には、これらのハウジング部材とカバー部材とが互いに対面する部位に横断面が環状の環状空間を設ける構成としている。
【0020】
これにより、空気に比べて電気抵抗の低いハウジング部材がカバー部材に接触する部位を減らすことができる。この結果、高電圧に帯電したカバー部材の外表面の電荷がハウジング部材を介して漏洩するのを減らすことができるから、カバー部材の帯電状態を保持し、帯電塗料粒子の付着を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態による静電塗装装置として回転霧化頭型塗装装置を例に挙げて添付図面に従って詳細に説明する。
【0022】
まず、図1および図2は第1の実施の形態を示している。図において、1はアース電位にある被塗物(図示せず)に向けて塗料を噴霧する塗料噴霧手段としての噴霧器で、該噴霧器1は、後述するエアモータ2、回転霧化頭3等によって構成されている。
【0023】
2は導電性金属材料からなるエアモータで、該エアモータ2は、モータハウジング2Aと、該モータハウジング2A内に静圧エア軸受2Bを介して回転可能に支持された中空の回転軸2Cと、該回転軸2Cの基端側に固定されたエアタービン2Dとによって構成されている。そして、エアモータ2は、エアタービン2Dに駆動エアを供給することにより、回転軸2Cと回転霧化頭3を、例えば3000〜100000rpmで高速回転させるものである。
【0024】
3はエアモータ2の回転軸2C先端側に取付けられた回転霧化頭で、該回転霧化頭3は、例えば金属材料または導電性の樹脂材料によって形成されている。そして、回転霧化頭3は、エアモータ2によって高速回転された状態で後述のフィードチューブ4を通じて塗料を供給することにより、その塗料を遠心力によって先端側の放出端縁3Aから噴霧する。また、回転霧化頭3は、エアモータ2等を介して後述の高電圧発生器7に接続されている。これにより、静電塗装を行う場合に、回転霧化頭3全体に高電圧を印加することができ、これらの表面を流れる塗料を直接的に高電圧に帯電させることができる。
【0025】
4は回転軸2C内に挿通して設けられたフィードチューブで、該フィードチューブ4の先端側は、回転軸2Cの先端から突出して回転霧化頭3内に延在している。また、フィードチューブ4内には塗料通路5が設けられると共に、該塗料通路5は色替弁装置等を介して塗料供給源および洗浄シンナ供給源(いずれも図示せず)に接続されている。また、フィードチューブの中間部位は後述する弁体6Aが離着座する弁座4Aが形成されている。これにより、フィードチューブ4は、塗装時には塗料通路5を通じて回転霧化頭3に向けて塗料供給源からの塗料を供給すると共に、洗浄時、色替時等には洗浄シンナ供給源からの洗浄流体(シンナ、空気等)を供給する。
【0026】
なお、フィードチューブ4は、本実施の形態に限らず、例えば内筒に塗料通路が形成され、外筒に洗浄シンナ通路が配置された二重筒状に形成してもよい。また、塗料通路5は、本実施の形態のようにフィードチューブ4内を通るものに限らず、噴霧器1の種類に応じて種々の通路形態が採用可能である。
【0027】
6は塗料通路5の途中に設けられた例えば常閉型の塗料供給弁である。この塗料供給弁6は、塗料通路5内を延び先端が弁座4Aに離着座する弁体6Aと、該弁体6Aの基端側に位置してシリンダ6B内に設けられたピストン6Cと、シリンダ6B内に設けられ弁体6Aを閉弁方向に付勢する弁ばね6Dと、シリンダ6B内で弁ばね6Dと反対側に設けられた受圧室6Eとから構成されている。そして、塗料供給弁6は、受圧室6Eに供給弁駆動エア(パイロットエア)が供給されることによって、弁ばね6Dに抗して弁体6Aが開弁し、塗料通路5内の塗料の流通を許可する。
【0028】
7はエアモータ2に接続された高電圧印加手段としての高電圧発生器で、該高電圧発生器7は、複数のコンデンサ、ダイオード(いずれも図示せず)からなる多段式整流回路(所謂、コッククロフト回路)によって構成されている。また、高電圧発生器7は、高電圧制御装置8から供給される直流の電源電圧を昇圧して、例えば−30〜−150kVの高電圧を発生する。このとき、高電圧発生器7は、高電圧制御装置8による電源電圧に応じて発生する高電圧が設定されるから、高電圧制御装置8によって出力電圧(高電圧)が制御されている。そして、高電圧発生器7は、高電圧ケーブル7Aを介してエアモータ2および回転霧化頭3に接続され、該回転霧化頭3によって塗料を直接的に高電圧に帯電させている。
【0029】
9はエアモータ2と高電圧発生器7とが取付けられたハウジング部材である。このハウジング部材9は、例えばPOM(ポリオキシメチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PP(ポリプロピレン)、HP−PE(高圧ポリエチレン)、HP−PVC(高圧塩化ピニル)、PEI(ポリエーテルイミド)、PES(ポリエーテルサルホン)、ポリメチルペンテン等の絶縁性樹脂材料によって略円柱状に形成されている。
【0030】
そして、ハウジング部材9は、円筒状の外表面9Aを有すると共に、その後端9Bは大径な鍔状に形成されている。また、ハウジング部材9の前側にはエアモータ2を収容するエアモータ収容穴9Cが形成されると共に、ハウジング部材9の後側には高電圧発生器7を収容する高電圧発生器収容穴9Dが形成されている。
【0031】
10はハウジング部材9の外表面9Aと隙間をもって設けられた筒状のカバー部材である。そして、カバー部材10は、高絶縁性、非吸水性をもつ絶縁性樹脂材料として、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、POM(ポリオキシメチレン)または表面撥水処理を施したPET(ポリエチレンテレフタレート)等を用いて形成されている。また、カバー部材10は、機械的強度を保持するために、例えば0.1〜5mm程度の厚さ寸法をもって筒状に形成されている。さらに、カバー部材10の前端側には、内周側に向けて環状に突出し、ハウジング部材9の前端側を閉塞する前閉塞部材11が設けられている。
【0032】
ここで、カバー部材10は、後端側がハウジング部材9の大径な後端9Bに取付けられ、前端側が前閉塞部材11に取付けられている。しかし、カバー部材10とハウジング部材9とが互いに径方向で対面する部位(カバー部材10の軸方向中間部位)は、略全面に亘ってハウジング部材9と離間している。この結果、カバー部材10とハウジング部材9との間には横断面が環状の環状空間12が形成されている。これにより、環状空間12は、エアモータ2および高電圧発生器7の外周側を略全面に亘って取囲んでいる。そして、環状空間12は、カバー部材10からハウジング部材9に向うリーク電流を防止するために、カバー部材10とハウジング部材9との間に例えば5mm以上の間隔寸法をもって形成されている。
【0033】
13はシェーピングエアを噴出するシェーピングエアリングで、該シェーピングエアリング13は、回転霧化頭3の外周側を覆うようにカバー部材10の先端側(前端側)に前閉塞部材11を介して設けられている。そして、シェーピングエアリング13は、カバー部材10とほぼ同様の材料として、例えばPTFE、POMまたは表面撥水処理を施したPET等を用いて筒状に形成されている。また、シェーピングエアリング13には複数個のエア吐出孔13Aが穿設され、該エア吐出孔13Aはハウジング部材9内に設けられたシェーピングエア通路14に連通している。そして、エア吐出孔13Aにはシェーピングエア通路14を通じてシェーピングエアが供給され、エア吐出孔13Aは、該シェーピングエアを回転霧化頭3から噴霧される塗料に向けて噴出する。これにより、シェーピングエアは、回転霧化頭3から噴霧された塗料粒子の噴霧パターンを整形する。
【0034】
第1の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置は上述のような構成を有するもので、次に、該塗装装置を用いた塗装動作について説明する。
【0035】
噴霧器1は、エアモータ2によって回転霧化頭3を高速回転させ、この状態でフィードチューブ4を通じて回転霧化頭3に塗料を供給する。これにより、噴霧器1は、回転霧化頭3が回転するときの遠心力によって塗料を微粒化し、塗料粒子として噴霧する。また、シェーピングエアリング13からシェーピングエアが供給され、このシェーピングエアによって塗料粒子からなる噴霧パターンが制御される。
【0036】
また、回転霧化頭3にはエアモータ2を介して高電圧発生器7による高電圧が印加されている。これにより、回転霧化頭3に供給された塗料は、回転霧化頭3を通じて直接的に高電圧に帯電すると共に、帯電塗料粒子となって回転霧化頭3と被塗物との間に形成された静電界に沿って飛行し、被塗物に塗着する。
【0037】
然るに、一般に空気の体積抵抗率が無限大と仮定できるのに対し、各種の絶縁性樹脂材料(誘電体材料)によって形成されるハウジング部材9の体積抵抗率は1012〜1016Ωm程度である。このため、ハウジング部材9の電気抵抗は、空気の電気抵抗に比べて低い。
【0038】
これに対し、第1の実施の形態では、ハウジング部材9とカバー部材10との間にはこれらのハウジング部材9とカバー部材10とが互いに対面する部位の全面に亘って環状空間12を設ける構成としている。このため、空気に比べて電気抵抗の低いハウジング部材9がカバー部材10に接触する部位を減らすことができる。これにより、高電圧に帯電したカバー部材10の外表面の電荷がハウジング部材9を介して漏洩するのを減らすことができるから、カバー部材10の帯電状態を保持し、帯電塗料粒子の付着を防止することができる。
【0039】
また、第1の実施の形態では、噴霧器1をエアモータ2と回転霧化頭3とによって構成している。このとき、回転霧化頭3からハウジング部材9の外周側に帯電塗料粒子が放出され、ハウジング部材9の周囲を浮遊する傾向がある。また、自動車の車内のような閉じた空間を塗装するときには、浮遊した帯電塗料粒子がハウジング部材9側に近付き、付着し易い傾向がある。これに対し、本実施の形態では、環状空間12によってカバー部材10の帯電状態を保持できるから、カバー部材10の電荷によって浮遊した帯電塗料粒子に対してクーロン反発力を作用させることができ、噴霧器1を覆うカバー部材10に塗料粒子が付着するのを抑制することができる。
【0040】
さらに、高電圧発生器7はエアモータ2に高電圧を印加する構成としている。このため、エアモータ2によってカバー部材10の外表面に高電圧を安定的に帯電させることができ、塗料粒子が付着するのを防止することができる。
【0041】
なお、前記第1の実施の形態では、カバー部材10とシェーピングエアリング13とは別部材によって形成するものとした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図3に示す第1の変形例のように、カバー部材10′とシェーピングエアリング13′とを一体化して形成してもよい。
【0042】
また、第1の実施の形態では、シェーピングエアリング13は、絶縁樹脂材料を用いて形成するものとした。しかし、本発明はこれに限らず、例えばシェーピングエアリングを導電性金属材料を用いて形成してもよい。この場合、金属材料からなるシェーピングエアリングには、エアモータを介して塗料と同極性の高電圧が印加される。これにより、シェーピングエアリングは反発電極として機能するから、シェーピングエアリングに帯電塗料粒子が付着するのを防止することができる。
【0043】
次に、図4ないし図7は第2の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置を示している。第2の実施の形態の特徴は、ハウジング部材を、前,後方向に延伸して前側に塗料噴霧手段を保持する胴部と、該胴部から分岐したネック部とによって構成し、カバー部材を、ハウジング部材の胴部を覆う胴部側カバーと、前記ハウジング部材のネック部を覆うネック部側カバーとによって構成したことにある。
【0044】
図において、21は自動塗装作業を行うためのロボット装置で、該ロボット装置21は、後述する塗装機31を用いた塗装作業を実行するものである。そして、ロボット装置21は、基台22と、該基台22上に回転可能かつ揺動可能に設けられ複数の関節をもったロボットアーム23(アーム)とによって大略構成されている。そして、ロボット装置21は、塗装機31を被塗物Aに対して移動させると共に、アースに接続されている。
【0045】
31はロボット装置21に取付けられたカートリッジ式の塗装機で、該塗装機31は、後述の噴霧器32、ハウジング部材35、カートリッジ42等によって大略構成されている。
【0046】
32はアース電位にある被塗物Aに向けて塗料を噴霧する塗料噴霧手段としての噴霧器で、該噴霧器32は、後述するエアモータ33、回転霧化頭34等によって構成されている。
【0047】
33は導電性金属材料からなるエアモータで、該エアモータ33は、モータハウジング33Aと、該モータハウジング33A内に静圧エア軸受33Bを介して回転可能に支持された中空の回転軸33Cと、該回転軸33Cの基端側に固定されたエアタービン33Dとによって構成されている。そして、エアモータ33は、後述のエア通路39を通じて駆動エアをエアタービン33Dに供給することにより、回転軸33Cと回転霧化頭34を、例えば3000〜100000rpmで高速回転させるものである。
【0048】
34はエアモータ33の回転軸33C先端側に取付けられた回転霧化頭で、該回転霧化頭34は、例えば金属材料または導電性の樹脂材料によって形成されている。そして、回転霧化頭34は、エアモータ33によって高速回転された状態で後述のフィードチューブ44を通じて塗料を供給することにより、その塗料を遠心力によって先端側の放出端縁34Aから噴霧する。また、回転霧化頭34にはエアモータ33等を介して後述の高電圧発生器45が接続されている。これにより、静電塗装を行う場合に、回転霧化頭34全体に高電圧を印加することができ、これらの表面を流れる塗料を直接的に高電圧に帯電させることができる。
【0049】
35はエアモータ33等を保持するハウジング部材で、該ハウジング部材35は、第1の実施の形態によるハウジング部材9と同様に、例えばPOM(ポリオキシメチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PP(ポリプロピレン)、HP−PE(高圧ポリエチレン)、HP−PVC(高圧塩化ピニル)、PEI(ポリエーテルイミド)、PES(ポリエーテルサルホン)、ポリメチルペンテン等の絶縁性樹脂材料によって形成されている。
【0050】
また、ハウジング部材35は、軸方向(前,後方向)に延伸した円柱状の胴部36と、該胴部36の軸方向の途中位置から外周側に向けて斜めに分岐したネック部37とによって構成されている。
【0051】
そして、胴部36の前側には、エアモータ33を収容するエアモータ収容穴36Aが形成されると共に、胴部36の後側には、後述するカートリッジ42のボンベ43を取付けるためのボンベ取付部36Bが形成されている。また、胴部36内には、エアモータ収容穴36Aとボンベ取付部36Bの中心位置を通るフィードチューブ挿通孔36Cが軸方向に延びて形成されている。
【0052】
一方、ネック部37内には、後述の高電圧発生器45を収容する高電圧発生器収容穴37Aが形成されている。そして、ネック部37の先端は、絶縁性樹脂材料からなる筒状のコネクタ部材38を用いてロボット装置21のロボットアーム23の先端に取付けられている。さらに、ハウジング部材35内には、エアモータ33に駆動エアを供給するエア通路39が形成されると共に、後述するカートリッジ42に塗料吐出量制御用の押出し液体を供給する押出し液体通路40が形成されている。
【0053】
41は回転霧化頭34を囲繞するようにハウジング部材35の胴部36の前端側に設けられたシェーピングエアリングで、該シェーピングエアリング41は、例えば導電性金属材料を用いて形成され、エアモータ33に電気的に接続されている。また、シェーピングエアリング41には複数個のエア吐出孔41Aが穿設され、該エア吐出孔41Aは回転霧化頭34から噴霧される塗料に向けてシェーピングエアを噴出する。
【0054】
42は塗料を回転霧化頭34に向けて供給する塗装用のカートリッジで、該カートリッジ42は、軸方向(前,後方向)に延びる円筒体(シリンダ)として形成されたボンベ43と、該ボンベ43から軸方向に延びるフィードチューブ44と、前記ボンベ43内を塗料収容室と押出し液体収容室とに画成するピストン(いずれも図示せず)等とにより大略構成されている。
【0055】
また、カートリッジ42は、フィードチューブ44をフィードチューブ挿通孔36Cに挿通した状態でハウジング部材35のボンベ取付部36Bに取付けられる。そして、塗装時には、ハウジング部材35の押出し液体通路40を通じて押出し液体収容室に押出し液体を供給することによってピストンを摺動変位させ、ボンベ43内の塗料を、フィードチューブ44を通じて回転霧化頭34に向けて吐出する。また、塗料の充填時には、カートリッジ42をボンベ取付部36Bから取外して塗料充填装置(図示せず)に取付け、フィードチューブ44を通じてボンベ43の塗料収容室内に塗料を充填する。
【0056】
45はハウジング部材35のネック部37に内蔵された高電圧印加手段としての高電圧発生器で、該高電圧発生器45は、入力側がロボット装置21を介して外部の高電圧制御装置46に接続され、出力側がエアモータ33に接続されている。そして、高電圧発生器45は、例えば複数のコンデンサ、ダイオード(いずれも図示せず)からなる多段式整流回路(所謂、コッククロフト回路)によって構成されている。
【0057】
また、高電圧発生器45は、高電圧制御装置46から供給される直流の電源電圧を昇圧して、例えば−30〜−150kVの高電圧を発生する。このとき、高電圧発生器45は、高電圧制御装置46による電源電圧に応じて発生する高電圧が設定されるから、高電圧制御装置46によって出力電圧(高電圧)が制御されている。そして、高電圧発生器45は、高電圧ケーブル45Aを介してエアモータ33および回転霧化頭34を通じて塗料を直接的に高電圧に帯電させている。
【0058】
47はハウジング部材35の外表面を覆って設けられたカバー部材で、該カバー部材47は、高絶縁性、非吸水性をもつフッ素系の絶縁樹脂として、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(エチレンとテトラフルオロエチレンの共重合体)等からなるフッ素系樹脂フィルム部材を用いて形成されている。また、カバー部材47は、胴部36の外表面36Dを取囲む胴部側カバー48と、ネック部37の外表面37Bを取囲むネック部側カバー49とによって構成されている。そして、各カバー48,49は、例えば0.1〜5mm程度の厚さ寸法をもった樹脂フィルム部材を丸めることによってそれぞれ筒状に形成されている。
【0059】
ここで、胴部側カバー48は、胴部36の周囲から後方に向けて延伸している。これにより、胴部側カバー48は、胴部36の外表面36Dを覆うと共に、カートリッジ42のボンベ43の外表面も覆っている。また、胴部側カバー48は、胴部36の前,後方向の両端側に設けられた円環状の鍔部50に取付けられている。一方、ネック部側カバー49は、ネック部37の長さ方向の途中位置に設けられた円環状の鍔部51とネック部37の先端位置に設けられたコネクタ部材38に取付けられている。
【0060】
そして、胴部側カバー48のうち胴部36の外表面36Dと互いに対面する部位は、鍔部50と接触する僅かな部位を除いて略全面に亘って胴部36と離間している。また、カバー部材47のネック部側カバー49のうちネック部37の外表面37Bと互いに対面する部位は、鍔部51、コネクタ部材38と接触する僅かな部位を除いて略全面に亘ってネック部37と離間している。
【0061】
これにより、胴部36と胴部側カバー48との間には、横断面が環状の環状空間52が形成されると共に、ネック部37とネック部側カバー49との間にも、横断面が環状の環状空間52が形成されている。このため、カバー部材47とハウジング部材35との間には、略全面に亘って環状空間52が形成されている。この結果、環状空間52は、エアモータ33および高電圧発生器45の外周側を略全面に亘って取囲んでいる。そして、環状空間52は、カバー部材47からハウジング部材35に向うリーク電流を防止するために、カバー部材47とハウジング部材35との間に例えば5mm以上の間隔寸法をもって形成されている。
【0062】
53は胴部側カバー48の外周側に設けられた高電圧放電電極で、該高電圧放電電極53は、導電性材料を用いて形成され、後述する支持腕部54、リング部55によって構成されている。
【0063】
54はシェーピングエアリング41の周囲に放射状に設けられた支持腕部で、該支持腕部54は、ハウジング部材35側から胴部側カバー48の外周側に向けて径方向に沿って延伸している。そして、支持腕部54は、シェーピングエアリング41の周囲に等間隔に例えば4本設けられ、リング部55を支持している。
【0064】
55は支持腕部54の先端に設けられたリング部で、該リング部55は、例えば金属等の導電性材料を用いて円環状に形成されている。また、リング部55は、エアモータ33の周囲に位置して胴部側カバー48の前側を取り囲んでいる。そして、リング部55は、胴部側カバー48の外径よりも大きな円形に形成され、エアモータ33の回転軸33Cと同軸の略同心円状に配置されている。これにより、リング部55は、その全周に亘って胴部側カバー48との距離が略一定になっている。そして、リング部55は、支持腕部54、シェーピングエアリング41を介してエアモータ33に接続されている。これにより、リング部55には高電圧発生器45による高電圧が印加され、リング部55は、帯電塗料粒子と同極性のイオンを放電する。
【0065】
第2の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置は上述のような構成を有するもので、次に、塗装装置としての作動について説明する。
【0066】
コンベア装置等を用いて被塗物Aがロボット装置21の近傍に配置されると、ロボット装置21は、予め記憶されたティーチング動作に基いてプレイバック動作し、被塗物Aの近くに塗装機31を移動させる。
【0067】
このとき、塗装機31は、エアモータ33によって回転霧化頭34を高速回転させ、この状態でボンベ43内の塗料をフィードチューブ44を通じて回転霧化頭34に向けて供給する。これにより、塗装機31は、回転霧化頭34が回転するときの遠心力によって塗料を微粒化し、塗料粒子として噴霧する。また、シェーピングエアリング41からシェーピングエアが供給され、このシェーピングエアによって塗料粒子からなる噴霧パターンが制御される。
【0068】
また、回転霧化頭34にはエアモータ33を介して高電圧発生器45による高電圧が印加されている。これにより、回転霧化頭34に供給された塗料は、回転霧化頭34を通じて直接的に高電圧に帯電すると共に、帯電塗料粒子となって回転霧化頭34と被塗物Aとの間に形成された静電界に沿って飛行し、アース電位となった被塗物Aに塗着する。
【0069】
また、第2の実施の形態では、胴部側カバー48の外周側には高電圧放電電極53を設ける構成としている。このため、高電圧発生器45からの高電圧は、エアモータ33等を介してリング部55に印加され、リング部55から放電される。
【0070】
これにより、高電圧放電電極53は、帯電塗料粒子と同極性のイオンを放電し、カバー部材47に対して同極性にある電荷を積極的に帯電させることができる。また、高電圧放電電極53は、リング部55の放電によって、帯電量が減衰した塗料粒子に対して再度帯電させることができる。この結果、再帯電した塗料粒子と高電圧放電電極53またはカバー部材47との間で反発力を作用させることができ、カバー部材47に塗料粒子が付着するのを確実に防止することができる。
【0071】
かくして、第2の実施の形態では、ハウジング部材35とカバー部材47との間にはこれらのハウジング部材35とカバー部材47とが互いに対面する部位の略全面に亘って環状空間52を設ける構成としている。
【0072】
一般に空気の体積抵抗率が無限大と仮定できるのに対し、各種の絶縁性樹脂材料(誘電体材料)によって形成されるハウジング部材35の体積抵抗率は1012〜1016Ωm程度である。このため、ハウジング部材35の電気抵抗は、空気の電気抵抗に比べて低い。
【0073】
これに対し、ハウジング部材35とカバー部材47との間には環状空間52を設けたから、該環状空間52によってハウジング部材35がカバー部材47に接触する部位を減らすことができる。このため、高電圧に帯電したカバー部材47の外表面の電荷がハウジング部材35を介して漏洩するのを減らすことができるから、カバー部材47の帯電状態を保持し、帯電塗料粒子の付着を防止することができる。
【0074】
また、本実施の形態では、塗装中に回転霧化頭34から噴霧された一部の帯電塗料粒子はカバー部材47の外周側を浮遊する傾向がある。しかし、環状空間52によってカバー部材47の帯電状態を保持できるから、カバー部材47の電荷によって浮遊した帯電塗料粒子に対してクーロン反発力を作用させることができ、噴霧器32を覆うカバー部材47に塗料粒子が付着するのを抑制することができる。
【0075】
さらに、高電圧発生器45はエアモータ33、回転霧化頭34、シェーピングエアリング41等に高電圧を印加する構成としている。このため、エアモータ33等によってカバー部材47の外表面に高電圧を安定的に帯電させることができ、塗料粒子が付着するのを防止することができる。
【0076】
特に、第2の実施の形態では、カバー部材47は、ハウジング部材35の胴部36を覆う胴部側カバー48と、ハウジング部材35のネック部37を覆うネック部側カバー49とによって構成したから、胴部側カバー48およびネック部側カバー49を用いてハウジング部材35の外表面全体を覆うことができる。これにより、胴部側カバー48およびネック部側カバー49を帯電させて帯電塗料粒子の付着を防止することができる。
【0077】
また、カバー部材47をフッ素系樹脂フィルム部材を用いて形成したから、例えば撥水性を有するPTFE等を用いてカバー部材47を形成することができ、撥水作用によってカバー部材47に対する帯電塗料粒子の付着を防止することができる。また、フッ素系樹脂フィルム部材を帯電させることによって、帯電塗料粒子に反発力を作用させることができる。さらに、フッ素系樹脂フィルム部材は、吸湿性が低く、体積抵抗率が高いから、これらに帯電した電荷が漏洩し難い。このため、カバー部材47の帯電状態を安定的に保持することができる。
【0078】
また、カバー部材47に塗料が付着した場合には、フィルム状のカバー部材47を、ハウジング部材35から容易に剥ぎ取り、交換することができる。これにより、ハウジング部材35を洗浄するのに比べて、塗装機31のメンテナンス時間を短縮することができ、塗装作業の生産性を高めることができる。
【0079】
さらに、第2の実施の形態では、胴部側カバー48の外周側には高電圧放電電極53を設ける構成としたから、高電圧発生器45からの高電圧は、エアモータ33、シェーピングエアリング41等を介してリング部55に印加されて放電される。このため、高電圧放電電極53は、帯電塗料粒子と同極性のイオンを放電し、同極性の電荷でカバー部材47に対して積極的に帯電させることができる。また、高電圧放電電極53は、リング部55の放電によって、帯電量が減衰した塗料粒子に対して再度帯電させることができる。
【0080】
この結果、再帯電した塗料粒子と高電圧放電電極53またはカバー部材47との間で反発力を作用させることができる。このため、この反発力によって帯電塗料粒子がカバー部材47に近付くのを防止できると共に、高電圧に帯電したカバー部材47によって帯電塗料粒子が付着するのを防止することができる。
【0081】
また、高電圧放電電極53を支持腕部54およびリング部55によって構成したから、胴部側カバー48を取囲むリング部55によってカバー部材47の周囲に高電圧の静電界を形成することができ、帯電塗料粒子をカバー部材47から遠ざけることができる。さらに、リング部55は胴部側カバー48を取り囲むから、高電圧放電電極53を省いた場合に比べて、リング部55による高電圧の放電によってカバー部材47を広い範囲で高電圧の電荷で帯電させることができる。これにより、カバー部材47の広い範囲で帯電塗料粒子が付着するのを防止することができる。
【0082】
次に、図8および図9は第3の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置を示し、第3の実施の形態の特徴は、胴部側カバーは、フッ素系の樹脂材料からなるフッ素系樹脂フィルム部材を用いて形成し、ネック部側カバーは、絶縁性を有する2枚の絶縁フィルムの間に半導電性を有する半導電フィルムを挟んだ積層フィルム部材を用いて形成したことにある。なお、第3の実施の形態では第2の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0083】
61はハウジング部材35の外表面を覆って設けられたカバー部材で、該カバー部材61は、胴部36の外表面36Dおよびボンベ43の外表面を取囲む胴部側カバー62と、ネック部37の外表面37Bを取囲むネック部側カバー63とによって構成されている。
【0084】
ここで、胴部側カバー62は、第2の実施の形態による胴部側カバー48と同様に、例えばPTFE等からなるフッ素系樹脂フィルム部材を用いて形成されている。
【0085】
一方、ネック部側カバー63は、絶縁性を有する2枚の絶縁フィルム63A,63Bの間に半導電性を有する半導電フィルム63Cを挟んだ積層フィルム部材によって形成されている。このとき、絶縁フィルム63A,63Bは、例えばPTFE等からなるフッ素系樹脂を用いて形成され、その体積抵抗率は例えば1016Ωm以上に設定されている。一方、半導電フィルム63Cは、絶縁フィルム63A,63Bよりも抵抗が低い材料として、例えば体積抵抗率が1011Ωm以下のポリエチレン等の樹脂を用いて形成されている。そして、これらのフィルム63A,63B,63Cの厚さ寸法は、それぞれ例えば0.1〜1.0mm程度、好ましくは0.1〜0.3mm程度に設定されている。
【0086】
ここで、胴部側カバー62は、胴部36の前,後方向の両端側に設けられた鍔部50に取付けられている。また、ネック部側カバー63は、ネック部37の長さ方向の途中位置に設けられた鍔部51とネック部37の先端位置に設けられたコネクタ部材38に取付けられている。そして、胴部側カバー62のうち胴部36の外表面36Dと互いに対面する部位は、鍔部50と接触する僅かな部位を除いて略全面に亘って胴部36と離間している。
【0087】
また、ネック部側カバー63のうちネック部37の外表面37Bと互いに対面する部位は、鍔部51、コネクタ部材38と接触する僅かな部位を除いて略全面に亘ってネック部37と離間している。これにより、カバー部材61とハウジング部材35との間には、第2の実施の形態による環状空間52と同様に、略全面に亘って環状空間64が形成されている。これにより、環状空間64は、エアモータおよび高電圧発生器の外周側を略全面に亘って取囲んでいる。
【0088】
また、ネック部側カバー63の先端部は、ネック部37の先端に向けて延伸し、ロボットアーム23に接触している。しかし、ネック部側カバー63の先端部では、半導電フィルム63Cを除去することによって、半導電フィルム63Cとロボットアーム23との間に空間が形成されている。即ち、図9に示すように、ネック部側カバー63の絶縁フィルム63A,63Bはロボットアーム23に接触するのに対し、半導電フィルム63Cは例えば10mm以上の間隔寸法Lをもってロボットアーム23から離間している。これにより、ネック部側カバー63は、半導電フィルム63Cに帯電した電荷がアース体となるロボットアーム23に向けて放電するのを防止している。
【0089】
かくして、第3の実施の形態でも第2の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。特に、第3の実施の形態では、胴部側カバー62はフッ素系樹脂フィルム部材を用いて形成し、ネック部側カバー63は積層フィルム部材を用いて形成している。このとき、噴霧器32、シェーピングエアリング41および高電圧放電電極53は、高電圧発生器45によって高電圧が印加されている。このため、噴霧器32等に近い胴部側カバー62は帯電し易く、胴部側カバー62に対する塗料の付着は容易に抑制することができる。
【0090】
これに対し、噴霧器32等から離れたネック部側カバー63は帯電し難い傾向がある。また、電子やマイナスイオン風を均一にカバー部材61に当てたとしても、カバー部材61の表面に電荷が均一に付着するとは限らない。即ち、カバー部材61の表面に付着する電荷の均一性は、カバー部材61内の電位に大きく依存する。このとき、ハウジング部材35のネック部37は、基端側が高電圧発生器45によって高電位となるのに対し、先端側がロボットアーム23によってアース電位となっている。このため、ネック部側カバー63では、ネック部37の電位勾配によって電荷の均一性が阻害されている。従って、ネック部側カバー63のうち噴霧器32等に近い部位は帯電し易く、噴霧器32等から離れた部位は帯電し難い傾向がある。
【0091】
しかし、第3の実施の形態ではネック部側カバー63は2枚の絶縁フィルム63A,63Bの間に半導電フィルム63Cを挟んだ積層フィルム部材を用いて形成している。このとき、半導電フィルム63Cは、絶縁フィルム63A,63Bに比べて体積抵抗率が小さく、電荷が移動し易い。直流の電場では、半導電フィルム63Cは、絶縁フィルム63A,63Bに比べて十分に抵抗が低く、全面に亘ってほぼ同電位にある。この半導電フィルム63Cの安定電位を受けて、絶縁フィルム63Aの表面がより均一に帯電するという効果が得られる。
【0092】
即ち、絶縁フィルム63Aの表面が負極性帯電したときに、絶縁フィルム63Aの裏面は誘電帯電現象によって正極性帯電する。このとき、絶縁フィルム63Aの裏面には半導電フィルム63Cが設けられているから、絶縁フィルム63Aの裏面の正極性の電荷は、半導電フィルム63Cを通じて移動し、ネック部側カバー63の全体に亘って広がる。これに伴い、絶縁フィルム63Aの表面に付着した負極性の帯電イオンも、正極性の電荷との間のクーロン力でネック部側カバー63の全体に亘って均一に広がる。
【0093】
この結果、半導電フィルム63Cを設けない場合に比べて、より均一な負極性帯電を絶縁フィルム63Aの表面に得ることができる。このため、マイナスイオンが飛来したときには、外表面側の絶縁フィルム63Aの全面に対して均一に電荷を帯電させることができる。
【0094】
これにより、ネック部側カバー63全体を確実に帯電させて帯電塗料粒子の付着を防止できると共に、不均一な電荷分布よる電界の集中を防止することができる。このため、絶縁フィルム63Aと帯電塗料粒子との間に安定した反発力を発生させることができ、部分的な塗料の付着や堆積を防ぐことができる。
【0095】
なお、第3の実施の形態では、ネック部側カバー63の先端部は半導電フィルム63Cを除去することによって半導電フィルム63Cとロボットアーム23との間を絶縁する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図10に示す第2の変形例のように、ネック部側カバー63′の先端部は2枚の絶縁フィルム63A′,63B′を溶着させることによって半導電フィルム63C′とロボットアーム23との間を絶縁する構成としてもよい。
【0096】
次に、図11は第4の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置を示している。第4の実施の形態の特徴は、ネック部側カバーは、ハウジング部材のネック部からロボットアームに向けて延伸し該ロボットアームを覆う構成としたことにある。なお、第4の実施の形態では第2の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0097】
71はハウジング部材35の外表面を覆って設けられたカバー部材で、該カバー部材71は、胴部36の外表面36Dおよびボンベ43の外表面を取囲む胴部側カバー72と、ネック部37の外表面37Bを取囲むネック部側カバー73とによって構成されている。そして、胴部側カバー72は、第2の実施の形態による胴部側カバー48と同様に、例えばPTFE等からなるフッ素系樹脂フィルム部材を用いて形成されている。一方、ネック部側カバー73は、第3の実施の形態によるネック部側カバー63とほぼ同様に、絶縁性を有する2枚の絶縁フィルムの間に半導電性を有する半導電フィルムを挟んだ積層フィルム部材によって形成されている。
【0098】
ここで、胴部側カバー72は、胴部36の前,後方向の両端側に設けられた鍔部50に取付けられている。また、ネック部側カバー73は、ネック部37の長さ方向の途中位置に設けられた鍔部51とネック部37の先端位置に設けられたコネクタ部材38に取付けられている。そして、胴部側カバー72のうち胴部36の外表面36Dと互いに対面する部位は、鍔部50と接触する僅かな部位を除いて略全面に亘って胴部36と離間している。
【0099】
また、ネック部側カバー73のうちネック部37の外表面37Bと互いに対面する部位は、鍔部51、コネクタ部材38と接触する僅かな部位を除いて略全面に亘ってネック部37と離間している。これにより、カバー部材71とハウジング部材35との間には、第2の実施の形態による環状空間52と同様に、略全面に亘って環状空間74が形成されている。これにより、環状空間74は、エアモータおよび高電圧発生器の外周側を略全面に亘って取囲んでいる。
【0100】
また、ネック部側カバー73は、ネック部37からロボットアーム23に向けて延伸しロボットアーム23の先端側を覆っている。さらに、ネック部側カバー73は、基端側から先端側に向けて漸次拡開したベル状に形成されている。即ち、ネック部側カバー73は、アース電位となるロボットアーム23に近付くに従って、ロボットアーム23との間隔寸法が離れる構成となっている。これにより、ネック部側カバー73は、ロボットアーム23との絶縁距離を十分に確保し、帯電した電荷がロボットアーム23に向けて放電、リークするのを防止している。
【0101】
かくして、第4の実施の形態でも第2,第3の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。特に、第4の実施の形態では、ネック部側カバー73の端部をハウジング部材35のネック部37からアース体であるロボットアーム23に向けて伸長させ、ネック部側カバー73をロボットアーム23に被せる構成としている。このため、ネック部側カバー73の端部は、アース体であるロボットアーム23に接触せず、離間している。
【0102】
このため、ネック部側カバー73の表面に塗料で多少汚れても、ネック部側カバー73の端部とロボットアーム23との間で帯電電荷が漏洩することがない。また、ネック部側カバー73はハウジング部材35のネック部37を覆うから、ネック部側カバー73の裏面が塗料粒子が浮遊する外界に直接曝されることがない。このため、ネック部側カバー73の裏面が塗料で汚れることなく、ネック部側カバー73の裏面から帯電電荷が漏洩することもない。従って、ネック部側カバー73の帯電状態を確実に保持することができ、塗料汚れの増加を防止することができる。
【0103】
一方、例えば第3の実施の形態のように、ネック部側カバー63の端部がロボットアーム23に接触した場合には、ネック部側カバー63の表面に付着した塗料によって、ネック部側カバー63の表面の抵抗が低下する。これにより、アース体であるロボットアーム23との接触部位を介して、ネック部側カバー63の帯電電荷が漏洩し易くなり、ネック部側カバー63と帯電塗料粒子との間の反発力が低下し、塗料が付着し易くなるものである。
【0104】
また、ネック部側カバー73によってロボットアーム23の外周側を覆うから、ロボットアーム23がアースに接続されている場合でも、アース電位となったロボットアーム23に帯電塗料粒子が付着するのを防止することができる。
【0105】
なお、第4の実施の形態では、ネック部側カバー73はロボットアーム23に近付くに従ってロボットアーム23との間隔寸法が離れるベル状に形成するものとした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図12に示す第3の変形例ように、ネック部側カバー73′はロボットアーム23との間隔寸法が一定な筒状に形成してもよい。
【0106】
次に、図13は第5の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置を示している。第5の実施の形態の特徴は、カバー部材全体を積層フィルムを用いて形成したことにある。なお、第5の実施の形態では第2の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0107】
81はハウジング部材35の外表面を覆って設けられたカバー部材で、該カバー部材81は、第3の実施の形態によるネック部側カバー63とほぼ同様に、絶縁性を有する2枚の絶縁フィルムの間に半導電性を有する半導電フィルムを挟んだ積層フィルム部材によって形成されている。また、カバー部材81は、胴部36の外表面36Dを取囲む胴部側カバー82と、ネック部37の外表面37Bを取囲むネック部側カバー83とによって構成されている。そして、カバー部材81とハウジング部材35との間には、第2の実施の形態による環状空間52と同様に、略全面に亘って環状空間84が形成されている。
【0108】
かくして、第5の実施の形態でも第2,第3の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。特に、第5の実施の形態では、カバー部材81を積層フィルム部材によって形成したから、例えばハウジング部材35等の電位勾配によって、カバー部材81のうち部分的に電荷が帯電し難い部位があるときでも、カバー部材81の半導電フィルムを全面に亘って略同電位にすることができる。従って、半導電フィルムを用いることにより、ハウジング部材35等の電位勾配の影響をなくすことができる。
【0109】
この結果、マイナスイオンが飛来したときには、カバー部材81のうち外表面側の絶縁フィルムの全体を確実かつ均一に帯電させることができる。これにより、カバー部材81全体を確実に帯電させて帯電塗料粒子の付着を防止できると共に、不均一な電荷分布よる電界の集中を防止することができ、部分的な塗料の付着や堆積も防ぐことができる。
【0110】
次に、図14および図15は第6の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置を示し、第6の実施の形態の特徴は、高電圧放電電極のリング部には被塗物とは逆方向に向けて延びる針状の電極部を設ける構成としたことにある。なお、第6の実施の形態では第2の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0111】
91は胴部側カバー48の外周側に設けられた高電圧放電電極で、該高電圧放電電極91は、導電性材料を用いて形成され、後述する支持腕部92、リング部93、電極部94によって構成されている。
【0112】
92はシェーピングエアリング41の周囲に放射状に設けられた支持腕部で、該支持腕部92は、ハウジング部材35側から胴部側カバー48の外周側に向けて径方向に沿って延伸している。そして、支持腕部92は、シェーピングエアリング41の周囲に等間隔に例えば4本設けられ、リング部93を支持している。
【0113】
93は支持腕部92の先端に設けられたリング部で、該リング部93は、例えば金属等の導電性材料を用いて円環状に形成されている。また、リング部93は、エアモータ33の周囲に位置して胴部側カバー48の前側を取り囲んでいる。そして、リング部93は、胴部側カバー48の外径よりも大きな円形に形成され、エアモータ33の回転軸33Cと同軸の略同心円状に配置されている。これにより、リング部93は、その全周に亘って胴部側カバー48との距離が略一定になっている。そして、リング部93は、支持腕部92、シェーピングエアリング41を介してエアモータ33に接続されている。これにより、リング部93には高電圧発生器45による高電圧が印加されている。
【0114】
94はリング部93に設けられた電極部で、該電極部94は、リング部93から被塗物とは逆方向(後側)に向けて延び、金属等の導電性材料からなる針状電極によって形成されている。また、電極部94は、リング部93の全周に亘って等間隔に複数個列設されている。そして、電極部94の向きは、エアモータの軸線(回転軸)と平行または俯角10°、仰角20°の範囲で配設されている。
【0115】
かくして、第6の実施の形態でも第2の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。特に、第6の実施の形態では、リング部93には針状の電極部94を設ける構成としたから、電極部94の先端に電界を集中させて容易かつ安定的に高電圧を放電させることができる。また、電極部94は被塗物から離れる方向に延びるから、電極部94の先端で高電圧を放電させることによって、カバー部材47の後側まで高電圧の電荷で帯電させることができる。これにより、カバー部材47の広い範囲で帯電塗料粒子が付着するのを防止することができる。
【0116】
なお、前記第6の実施の形態では、電極部94を針状電極によって形成し、リング部93に複数個設ける構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図16および図17に示す第4の変形例のような放電リングとして構成してもよい。即ち、放電リングは、リング部93′とこのリング部93′の全周に亘ってブレード状をなして後方に突出した電極部94′とによって構成してもよい。この場合には、1枚のブレードをリング状に折曲げるだけでよい。この場合、ブレード状の電極部94′はリング部93′を挟んで被塗物に接近する側(前側)と離間する側(後側)の両方に設ける構成としてもよく、被塗物から離間する側(後側)にのみ設ける構成としてもよい。
【0117】
次に、図18は第7の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置を示し、本実施の形態の特徴は、分岐部分を持たないハウジング部材をロボットアームに取付ける構成としたことにある。なお、第7の実施の形態では第2の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0118】
101は第7の実施の形態による塗装機で、該塗装機101は、ロボットアーム23の先端に取付けられ、噴霧器32、ハウジング部材102等によって大略構成されている。
【0119】
102は第7の実態の形態によるハウジング部材で、該ハウジング部材102は、第1の実施の形態によるハウジング部材9とほぼ同様に、絶縁性樹脂材料によって略円柱状に形成されると共に、噴霧器32と高電圧発生器45とが取付けられている。また、ハウジング部材102の前側にはエアモータ33を収容するエアモータ収容穴102Aが形成されると共に、ハウジング部材102の後側には高電圧発生器45を収容する高電圧発生器収容穴102Bが形成されている。
【0120】
また、ハウジング部材102の前端側には、導電性金属材料からなるシェーピングエアリング41が取り付けられると共に、ハウジング部材102の後端側はロボットアーム23の先端に取付けられている。さらに、シェーピングエアリング41の外周側には支持腕部54およびリング部55によって構成された高電圧放電電極53が取り付けられている。
【0121】
103はハウジング部材102の外表面102Cを覆って筒状に設けられたカバー部材で、該カバー部材103は、例えば第2の実施の形態によるカバー部材47とほぼ同様に、フッ素系樹脂フィルム部材を用いて筒状に形成されている。そして、カバー部材103は、ハウジング部材102に沿ってロボットアーム23に向けて延伸している。これにより、カバー部材103は、第4の実施の形態によるカバー部材71と同様に、ハウジング部材102の外表面102Cを覆うと共に、ロボットアーム23の外表面も覆っている。
【0122】
また、カバー部材103は、ハウジング部材102の前,後方向の両端側に設けられた円環状の鍔部104に取付けられている。そして、カバー部材103のうちハウジング部材102の外表面102Cと互いに対面する部位は、鍔部104と接触する僅かな部位を除いて略全面に亘ってハウジング部材102と離間している。これにより、カバー部材103とハウジング部材102との間には、略全面に亘って横断面が環状の環状空間105が形成されている。これにより、環状空間105は、エアモータ33および高電圧発生器45の外周側を略全面に亘って取り囲んでいる。
【0123】
かくして、第7の実施の形態でも第2,第4の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0124】
次に、図19は第8の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置を示し、本実施の形態の特徴は、高電圧発生器は、カバー部材の外側に位置する外部電極に高電圧を印加する構成としたことにある。なお、第8の実施の形態では第2の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0125】
111は第8の実施の形態による塗装機で、該塗装機111は、ロボットアーム23の先端に取付けられ、噴霧器32、ハウジング部材112等によって大略構成されている。
【0126】
112は第8の実態の形態によるハウジング部材で、該ハウジング部材112は、絶縁性樹脂材料によって略円柱状に形成されると共に、噴霧器32が取付けられている。また、ハウジング部材112の前側にはエアモータ33を収容するエアモータ収容穴112Aが形成されている。さらに、ハウジング部材112の前端側には、シェーピングエアリング41が取り付けられると共に、ハウジング部材112の後端側はロボットアーム23の先端に取付けられている。
【0127】
113はハウジング部材112の外表面112Bを覆って筒状に設けられたカバー部材で、該カバー部材113は、例えば第2の実施の形態によるカバー部材47とほぼ同様に、フッ素系樹脂フィルム部材を用いて筒状に形成されている。そして、カバー部材113は、ハウジング部材112に沿ってロボットアーム23に向けて延伸している。これにより、カバー部材113は、ハウジング部材112の外表面112Bを覆うと共に、ロボットアーム23の外表面も覆っている。
【0128】
また、カバー部材113は、ハウジング部材112の前,後方向の両端側に設けられた円環状の鍔部114に取付けられている。そして、カバー部材113のうちハウジング部材112の外表面112Bと互いに対面する部位は、鍔部114と接触する僅かな部位を除いて略全面に亘ってハウジング部材112と離間している。これにより、カバー部材113とハウジング部材112との間には、略全面に亘って横断面が環状の環状空間115が形成されている。これにより、環状空間115は、エアモータ33および高電圧発生器45の外周側を略全面に亘って取り囲んでいる。
【0129】
116はハウジング部材112の外周側に設けられた外部電極で、該外部電極116は、後述する支持腕117、電極支持部118、針状電極119とによって構成されている。
【0130】
117はハウジング部材112の後側に設けられた複数本の支持腕で、該支持腕117は、エアモータ33の回転軸33Cに対して放射状に配置され、ハウジング部材112から径方向外側に向けて延びている。
【0131】
118は支持腕117の先端に設けられた電極支持部で、該電極支持部118は、支持腕117から前側に向けて延び、その先端が回転霧化頭34の周囲に配置されている。また、電極支持部118の先端には、針状電極119が突設されている。そして、針状電極119は、電極支持部118、支持腕117、ロボットアーム23を介して外部の高電圧発生器45に接続され、高電圧発生器45による高電圧が印加されている。
【0132】
かくして、第8の実施の形態でも第2の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。特に、第8の実施の形態では、高電圧発生器45は、カバー部材113の外側に位置する外部電極116に高電圧を印加する構成としている。このため、外部電極116によって回転霧化頭34の周囲にイオン化圏域を形成し、回転霧化頭34から噴霧される塗料粒子を間接的に帯電させることができる。また、高電圧が印加された外部電極116によってカバー部材113の外表面に高電圧を安定的に帯電させることができ、塗料粒子が付着するのを防止することができる。
【0133】
なお、第6〜第8の実施の形態では、カバー部材47,103,113はフッ素系樹脂フィルム部材を用いて形成するものとしたが、2枚の絶縁フィルムの間に半導電性を有する半導電フィルムを挟んだ積層フィルム部材によって形成してもよい。
【0134】
また、第2,第6〜第8の実施の形態では、カバー部材47,103,113はフッ素系樹脂フィルム部材を用いて形成するものとしたが、ポリエチレン樹脂からなるポリエチレン樹脂フィルム部材を用いて形成してもよい。同様に、第3,第4の実施の形態では、胴部側カバー62,72はフッ素系樹脂フィルム部材を用いて形成するものとしたが、ポリエチレン樹脂フィルム部材を用いて形成してもよい。
【0135】
また、第5,第6の実施の形態では、カバー部材81,47のネック部側カバー83,49はハウジング部材35のネック部37だけを覆う構成としたが、第4の実施の形態と同様に、ロボットアーム23の先端側も覆う構成としてもよい。
【0136】
また、第3〜第5の実施の形態では、ネック部側カバー63,73、カバー部材81には2枚の絶縁フィルム63A,63Bの間に半導電フィルム63Cを挟んだ積層フィルム部材を用いる構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば半導電フィルムからの放電を防止できるのであれば、2枚の絶縁フィルムのうちハウジング部材側(内側)の絶縁フィルムを省いた積層フィルム部材を用いる構成としてもよい。
【0137】
また、第2〜第8の実施の形態では、導電性のシェーピングエアリング41を用いる構成としたが、第1の実施の形態と同様に、絶縁性のシェーピングエアリングを取付ける構成としてもよい。
【0138】
また、第2〜第7の実施の形態では、シェーピングエアリング41の外周側には高電圧放電電極53,91を設ける構成としたが、高電圧放電電極は省く構成としてもよい。
【0139】
また、第8の実施の形態では、カバー部材113はハウジング部材112の周囲およびロボットアーム23を覆う構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、図20に示す第5の変形例のように、カバー部材113′は、ハウジング部材112の周囲およびロボットアーム23に加えて、外部電極116の支持腕117および電極支持部118も覆う構成としてもよい。これにより、外部電極116に対する塗料粒子の付着を防止することができる。
【0140】
また、前記第2〜第8の実施の形態では、塗装機31,101,111のハウジング部材35,102,112は複数の方向に移動するロボット装置21のロボットアーム23に取付ける構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば単一方向に往復動作するレシプロケータのアームにハウジング部材を取付ける構成としてもよい。さらに、例えば塗装支持スタンドのように、移動しない固定されたアームにハウジング部材を取付ける構成としてもよい。
【0141】
さらに、前記各実施の形態では静電塗装装置として回転霧化頭3,34を用いて塗料を噴霧する回転霧化頭型塗装装置(回転霧化式静電塗装装置)に適用する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば空気霧化式静電塗装装置、液圧霧化式静電塗装装置等の回転霧化以外の霧化方式を用いた静電塗装装置に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】図1は、第1の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置を示す縦断面図である。
【図2】図2は、図1中の噴霧器の周囲を拡大して示す縦断面図である。
【図3】図3は、第1の変形例による回転霧化頭型塗装装置を示す縦断面図である。
【図4】図4は、第2の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置を示す正面図である。
【図5】図5は、図4中の塗装機をカバー部材を破断した状態で拡大して示す正面図である。
【図6】図6は、図4中の塗装機を示す縦断面図である。
【図7】図7は、第2の実施の形態による塗装機を示す図5の左側面図である。
【図8】図8は、第3の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置を示す図5と同様な正面図である。
【図9】図9は、図8中のa部を拡大して示す要部拡大正面図である。
【図10】図10は、第2の変形例によるネック部側カバーを示す図9と同様な要部拡大正面図である。
【図11】図11は、第4の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置を示す図5と同様な正面図である。
【図12】図12は、第3の変形例による回転霧化頭型塗装装置を示す図5と同様な正面図である。
【図13】図13は、第5の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置を示す図5と同様な正面図である。
【図14】図14は、第6の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置を示す縦断面図である。
【図15】図15は、第6の実施の形態による高電圧放電電極を図14中の矢示XV−XV方向からみた右側面図である。
【図16】図16は、第4の変形例による回転霧化頭型塗装装置を示す縦断面図である。
【図17】図17は、第4の変形例による高電圧放電電極を図16中の矢示XVII−XVII方向からみた右側面図である。
【図18】図18は、第7の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置をカバー部材等を破断した状態で示す正面図である。
【図19】図19は、第8の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置をカバー部材等を破断した状態で示す正面図である。
【図20】図20は、第5の変形例による回転霧化頭型塗装装置をカバー部材等を破断した状態で示す図19と同様の正面図である。
【符号の説明】
【0143】
32 噴霧器(塗料噴霧手段)
33 エアモータ
34 回転霧化頭
45 高電圧発生器(高電圧印加手段)
111 塗装機
112 ハウジング部材
113′ カバー部材
115 環状空間
116 外部電極
117 支持腕
118 電極支持部
119 針状電極
【出願人】 【識別番号】399055432
【氏名又は名称】ABB株式会社
【出願日】 平成19年9月21日(2007.9.21)
【代理人】 【識別番号】100079441
【弁理士】
【氏名又は名称】広瀬 和彦


【公開番号】 特開2008−751(P2008−751A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2007−245761(P2007−245761)