トップ :: B 処理操作 運輸 :: B04 物理的または化学的工程を行なうための遠心装置または機械

【発明の名称】 粉体分級装置
【発明者】 【氏名】武冨 賢二

【氏名】小澤 和三

【要約】 【課題】粉砕もしくは分散装置とサイクロン方式の分離装置とを利用して、数μm程度以下やサブミクロンの粉体を高精度に分級可能な粉体分級装置を提供すること。

【解決手段】円筒部とその下方に延設される逆円錐台部とからなり、それらの内周壁に沿って旋回流を形成させ、粗粉を旋回落下させるためのサイクロンと、その上部に設けられた、前記サイクロンの円筒部より大径の円盤状旋回流形成部と、該円盤状旋回流形成部の外周部に設けられ、接線方向から前記粉体が気流搬送されて供給される粉体供給部と、前記円盤状旋回流形成部の内部の上下面の少なくとも一方に設けられたリング状のエッジと、前記サイクロンの上方に配置され、微粉を含む空気流を排出する排出部、並びに前記サイクロンの下方に配置される粗粉の回収部とを有することを特徴とする粉体分級装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒度分布を有する粉体が気流搬送されて供給される粉体分級装置であって、
円筒部とその下方に延設される逆円錐台部とからなり、それらの内周壁に沿って旋回流を形成させ、粗粉を旋回落下させるためのサイクロンと、
その上部に設けられた、前記サイクロンの円筒部より大径の円盤状旋回流形成部と、
該円盤状旋回流形成部の外周部に設けられ、接線方向から前記粉体が気流搬送されて供給される粉体供給部と、
前記円盤状旋回流形成部の内部の上下面の少なくとも一方に設けられたリング状のエッジと、
前記サイクロンの上方に配置され、微粉を含む空気流を排出する排出部、並びに前記サイクロンの下方に配置される粗粉の回収部と
を有することを特徴とする粉体分級装置。
【請求項2】
前記空気流の排出部が円筒状部材であって、該円筒状部材が前記サイクロンの円筒部内に挿入されており、この円筒状部材の下端部が、前記円盤状旋回流形成部の上下方向における中心面よりも下方まで延在している請求項1に記載の粉体分級装置。
【請求項3】
粒度分布を有する粉体が気流搬送されて供給される粉体分級装置であって、
円筒部とその下方に延設される逆円錐台部とからなり、それらの内周壁に沿って旋回流を形成させ、粗粉を旋回落下させるためのサイクロンと、
その上部に設けられた、前記サイクロンより大径の円盤状空洞部と、
該円盤状空洞部の外周壁に傾斜して配置され、前記円盤状空洞部の内部に圧縮空気を吹き込む複数のエアノズルを備えた粉砕分散機能部と、
前記円盤状空洞部の内部の上下面の少なくとも一方に設けられたリング状のエッジと、
前記サイクロンから排出される微粉を含む空気流の排出部、並びに前記サイクロンの下方に配置される粗粉の回収部と
を有することを特徴とする粉体分級装置。
【請求項4】
前記複数のエアノズルが傾斜して配置される円盤状空洞部内に、前記サイクロンの円筒部への空気流を制限するリング状の狭隘路を有する請求項3に記載の粉体分級装置。
【請求項5】
前記空気流の排出部を形成する円筒状部材が前記円盤状空洞部内に挿入されており、この円筒状部材の下端部が、前記円盤状空洞部内の上下方向における中心面よりも下方まで延在している請求項3または4に記載の粉体分級装置。
【請求項6】
前記空気流の排出部を形成する円筒状部材が前記円盤状空洞部内に挿入されており、この円筒状部材の下端部と、前記円盤状空洞部内の下面に設けられた前記リング状のエッジの上端部との位置関係を調整する位置調整手段を有する請求項5に記載の粉体分級装置。
【請求項7】
前記空気流の排出部を形成する円筒状部材の下端部と、前記円盤状空洞部内の下面に設けられた前記リング状のエッジの上端部とが、略同一平面上に位置するように配置される請求項6に記載の粉体分級装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、粒度分布を持つ粉体を所望の粒径(分級点)において分級する粉体分級装置に関し、より詳細には、ジェットミル方式等の粉砕もしくは分散装置とサイクロン方式の分級装置とを利用して、好ましくは数μm程度以下の粉体を高精度に分級可能な粉体分級装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述のジェットミルは、例えば特許文献1に示されているように、外周壁に傾斜して配置されたエアノズルから粉砕室の内部に供給される高速の空気流によって、粒径の粗い粉体を粉砕するとともに、旋回する空気流によって分級をも行うものであって、超微粉砕に好適な粉砕装置であることが知られている。そして、このジェットミルは、粉砕室の内部の構造が単純であって、粉砕室の上面と下面とを容易に分解・組み立てを行うことが可能であり、使用前後の清掃が容易であることに特徴がある。
【0003】
一方、サイクロンは、遠心力を利用した分級装置であり、気体または液体からの固体粒子の分離操作の手段として広く用いられている。
周知のように、サイクロンの一般的な構造は、上部の円筒部と下部の逆円錐台部からなっていて、その下端は粗粉回収用に開口している。また、サイクロンの天井部からは、微粉取り出しのための一次流体(一般には、空気や水)取り出し筒が上記円筒部内部の所定高さの位置まで垂下されていて、その下端が開口されるように設けられている。
【0004】
上記一次流体取り出し筒の外部には、この一次流体中に含まれる微粉を捕集するため適宜のフィルターを介して、流量計,開閉バルブ,吸引ポンプ等が接続される。
また、分級操作の対象となる粒子を含む流体は、粒子供給部から連続的に送出される粒子とともに、加圧または吸引されつつ上記円筒部の接線に沿う方向から送り込まれる。なお、この流体送り込み部は、通常、サイクロンの上記円筒部の外周上の接線に沿う方向に1個所設けられる。
【0005】
ところで、前述の、特許文献1に示されているジェットミルは粉砕機能に重点を置いているため、粉砕された粉体の粉砕後における分級操作に関しては、次工程の分級操作工程での処理に委ねられていた。この場合、粉砕後の粉体は、ある程度の粒度分布を有するので、篩やフィルター等の分級手段、もしくはサイクロンを応用した分級手段により、分級操作(通常は、分級点以上の粒子径の大きな粉体が回収される)を施されるのが一般的であった。
【0006】
このような粉砕手段と分級手段、中でも、粉砕手段としてのジェットミルと分級手段としてのサイクロンとは、これらを組み合わせて用いることが比較的容易であることから、これまでにも、これらの手段を組み合わせて用いる粉体の処理装置に関して、種々の提案がなされている。
【0007】
例えば、特許文献2には、ジェットミルにおける、粉砕対象となる粒子の衝突によって発生する装置内の各部の磨耗を軽減するために、窒化珪素質焼結体からなる噴射ノズルを用いるようにしたものが示されている。なお、この装置においては、ジェットミルに組み合わせて配置したサイクロン様のものを用いて粉砕後の粉体を落下させて回収するようにしている。
【0008】
ここで、特許文献2に開示されている装置を敢えてサイクロン様のものと呼んだ理由は、次の通りである。すなわち、この装置は、粉砕が進んで、サイクロン壁と呼ばれる隔壁を乗り越えた粉体が全て下方に落下し、これを全て製品として回収するような構造となっており、これは接線方向から粉体を投入するという従来のサイクロンとは、明らかに構造が異なっているからである。
【0009】
この装置は、基本的には、特許文献1に示したジェットミルと同様に、製品として回収する粉砕物についてはある程度の粒度分布を有する微粒子群として回収し、必要に応じて分級操作を行うことを前提とする装置である。
【0010】
同様の装置は、特許文献3にも開示されている。この装置では、粉砕室の中央に挿通されている排気ダクトに向けて粉砕室の周囲から粉状固体を含んだ気流を吹き付け、この排気ダクトの周りに旋回流を起こさせて、円錐包囲体の有する分離機能により固気分離を行っているが、この装置では、粉砕室上下両面に、円盤状の粉砕室の外周部の内面から排気ダクトに向かう、上下対称の突起部により形成される不連続部(減圧状態を生ずる)を設けている。
【0011】
この不連続部は、粉砕室の中央部より外側、中心軸からほぼ0.5Rないし0.86Rの距離に設けられることが好ましいとされている。しかしながら、本発明者の実験によれば、このような壁の急激な変化をつけると、空気速度の平均の半径方向の成分Vravは小さくなるが、不連続部より内側では、壁近傍の境界層における半径方向の速度はさらに増大し、図8に示すような渦が弱く円盤状の粉砕室Pの中心に向かう流れの強い軸壁付近の流れ(図8中で、黒い矢印で示している)が支配的になることがわかった。
【0012】
そして、この流れは、サイクロン分級部Rに流入してくるため、黒い矢印で示される流れに乗った粒子は、十分な遠心力を与えられない。それゆえ、黒い矢印で示される流れが主流となるこの装置では、分級点が大サイズとなりやすく、数μmやサブミクロンの粒子を分級することは困難である。
なお、この装置では、円盤状の粉砕室Pの上下方向の中央部分には、渦は強いが円盤中心方向へは弱い流れ(図8中で、白抜きの矢印で示している)が存在しているが、この流れは、上述の不連続部によって影響を受けることはあまりない。
【0013】
【特許文献1】特開2005−131633号公報
【特許文献2】特開昭61−222551号公報
【特許文献3】特公昭58−898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、前記従来技術に基づく問題点を解消した、ジェットミル方式等の粉砕もしくは分散装置とサイクロン方式の分離装置とを利用して、数μm程度以下やサブミクロンの粉体を高精度に分級可能な粉体分級装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明に係る粉体分級装置の第1の態様は、粒度分布を有する粉体が気流搬送されて供給される粉体分級装置であって、円筒部とその下方に延設される逆円錐台部とからなり、それらの内周壁に沿って旋回流を形成させ、粗粉を旋回落下させるためのサイクロンと、その上部に設けられた、前記サイクロンの円筒部より大径の円盤状旋回流形成部と、該円盤状旋回流形成部の外周部に設けられ、接線方向から前記粉体が気流搬送されて供給される粉体供給部と、前記円盤状旋回流形成部の内部の上下面の少なくとも一方に設けられたリング状のエッジと、前記サイクロンの上方に配置され、微粉を含む空気流を排出する排出部、並びに前記サイクロンの下方に配置される粗粉の回収部とを有することを特徴とする。
【0016】
ここで、前記空気流の排出部が円筒状部材であって、該円筒状部材が前記サイクロンの円筒部内に挿入されており、この円筒状部材の下端部が、前記円盤状旋回流形成部の上下方向における中心面よりも下方まで延在していることが好ましい。
【0017】
また、本発明に係る粉体分級装置の第2の態様は、粒度分布を有する粉体が気流搬送されて供給される粉体分級装置であって、円筒部とその下方に延設される逆円錐台部とからなり、それらの内周壁に沿って旋回流を形成させ、粗粉を旋回落下させるためのサイクロンと、その上部に設けられた、前記サイクロンより大径の円盤状空洞部と、該円盤状空洞部の外周壁に傾斜して配置され、前記円盤状空洞部の内部に圧縮空気を吹き込む複数のエアノズルを備えた粉砕分散機能部と、前記円盤状空洞部の内部の上下面の少なくとも一方に設けられたリング状のエッジと、前記サイクロンから排出される微粉を含む空気流の排出部、並びに前記サイクロンの下方に配置される粗粉の回収部とを有することを特徴とする。
【0018】
ここで、前記複数のエアノズルが傾斜して配置される円盤状空洞部内に、前記サイクロンの円筒部への空気流を制限するリング状の狭隘路を有することが好ましい。
また、前記空気流の排出部を形成する円筒状部材が前記円盤状空洞部内に挿入されており、この円筒状部材の下端部が、前記円盤状空洞部内の上下方向における中心面よりも下方まで延在していることが好ましい。
【0019】
また、前記空気流の排出部を形成する円筒状部材が前記円盤状空洞部内に挿入されており、この円筒状部材の下端部と、前記円盤状空洞部内の下面に設けられた前記リング状のエッジの上端部との位置関係を調整する位置調整手段を有することが好ましい。
また、前記空気流の排出部を形成する円筒状部材の下端部と、前記円盤状空洞部内の下面に設けられた前記リング状のエッジの上端部とが、略同一平面上に位置するように配置されることが好ましい。
【0020】
ここで、本発明にいうリング状のエッジとは、円盤状旋回流形成部の内部の上下面の少なくとも一方に立設された障壁状の、環状の板からなる構成物、もしくは、上記円盤状旋回流形成部の内部の上下面の少なくとも一方に配設された環状の、明確な段差を形成するブロックからなる構成物を指すものとする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ジェットミル方式等の粉砕もしくは分散装置とサイクロン方式の分級装置とを利用して、数μm程度以下やサブミクロンの粉体を高精度に分級可能な粉体分級装置を実現できるという顕著な効果を奏する。
【0022】
より具体的には、先に説明した、十分な遠心力を与えられない、図8中に黒い矢印で示される流れがサイクロン場に流入しないようにしたことにより、分級場の渦の強さを増すことができ、分級点を小さくすることが可能になり、数μm程度以下やサブミクロンの粉体の製造に有利な粉体分級装置を実現できるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面に基づいて、本発明に係る粉体分級装置を詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の基本原理を説明するための、本発明に係る粉体分級装置の要部であるサイクロンの特徴を説明する模式図であり、図1(a)は同(b)中のA−A矢視上面図、同(b)は上記サイクロンの中心軸を通る面での断面図である。
図1に示すサイクロンの特徴は、以下に説明する通りである。
【0025】
図1に示すように、本発明に係る粉体分級装置の要部であるサイクロンは、分級対象である粉体を含む気流が送り込まれる供給口70を備えた円盤状の旋回流形成部72と、円筒状の中空部74,下部排出口(回収口)78を有する逆円錐台形状の中空部76からなるサイクロン本体と、このサイクロン本体に組み込まれている、上部排出口(排気口)80,下部導入口82を有する中空パイプ84とから構成されている。
【0026】
すなわち、通常のサイクロンが、上述の、供給口70,円筒状の中空部74,逆円錐台形状の中空部76の各部分からなっており、円盤状の旋回流形成部72に相当する部分を有していないのに対して、本発明に係るサイクロンは、円盤状の旋回流形成部72と、その内部の上下面の少なくとも一方に設けられたリング状のエッジ(86aまたは86b)とを備えたことが、構造上の特徴である。
【0027】
そして、この構造により、前述の、図8中に黒い矢印で示される流れがサイクロン場に流入しないようにすることができ、これにより、分級場の渦の強さを増すことができ、分級点を小さくすることが可能になるという効果が得られるものである。
これについて、以下に、図8および図2を用いて詳細に説明する。
【0028】
ここで、図8は、前出の特許文献3に開示されている粉砕装置が有するサイクロンの作用を説明する模式図、また、図2は、図1に示す本発明のサイクロンの作用を説明する模式図である。
まず、図8に示すサイクロンの作用であるが、前述のように、ここでは、渦が弱く円盤状の粉砕室Pの中心に向かう勢いの強い軸壁(上部,下部円盤)付近の流れ(図8中で、黒い矢印で示している)が支配的である。
【0029】
そして、この黒い矢印で示される流れは、サイクロンの中心部に備えられている中空パイプ(一次流体取り出し筒)Qに沿う下降流、並びにサイクロンの円筒状の中空部(分級部)Rから逆円錐台形状の中空部Sに沿う下降流を生じる元になるが、前述のように、この流れにおいては渦が弱いので、サイクロンによる分離の作用が弱いという問題がある。
【0030】
これに対して、図1に示すサイクロンは、図2に示すように、渦が強く円盤(円盤状の旋回流形成部72)中心に向かう勢いの弱い流れ(図8,図2中で、白抜きの矢印で示している)が主流である。前述のように、この白抜きの矢印で示される流れに乗った粒子は、十分な遠心力を与えられ、図2中で、ハッチングが施された矢印で示されるように、サイクロン本体の円筒状の中空部74から逆円錐台形状の中空部76に沿って下降する強い流れが形成されるように作用する。
【0031】
これにより、本発明のサイクロンでは、サイクロン内に供給された粒度分布を有する粒子群が、十分な遠心力の作用により、所望の粒子サイズを分級点として分級される。
上述の作用は、図2に示したサイクロンの円盤状の旋回流形成部72の内部の上下面に設けられたリング状のエッジ86a,86bにより実現されている。このエッジ86a,86bについては、その少なくとも一方が設けられていることが必須であり、その両方が設けられていることがより好ましい。
【0032】
また、例えば、図3に示す他の実施形態のように、上記リング状のエッジ86aを、円盤状の旋回流形成部72の中心側で、その高さのまま、上部排出口(排気口),下部導入口を有する中空パイプ84の側面まで延長した形状としても、前記実施形態に示した構造を有するサイクロンと、略同様の効果が得られる。
また、図2,図3に示した実施形態のサイクロン分級機の前段に、粉砕(分散)機能を有する装置を接続して、粉砕(分散)・分級装置とすることも好ましい。
【0033】
なお、上記リング状のエッジ86a,86bについては、他の構成部分と同様に、耐磨耗性の高い材料により構成することが好ましい。また、上記リング状のエッジ86a,86bの高さ(円盤状の旋回流形成部72の上下面から、中心水平面方向への高さ)については、通常、旋回流形成部72の上下面の間隔Hのそれぞれ15%〜20%程度が好ましいが、詳細は、実験的に決めればよい。
【0034】
次に、本発明の他の実施形態に係る粉体分級装置を説明する。
図4に示す実施形態の粉体分級装置は、ジェットミルにより粉体を分散・粉砕した後、この分散・粉砕された粉体を、サイクロンを用いて分級する装置としたものである。
【0035】
なお、ここでは、上記ジェットミル方式の粉砕分散機の具体例として、本出願人が、先に特願2004-255528号「ジェットミル」(特開2005-131633号公報参照、特許文献1に該当する)により提案したジェットミル方式の装置をベースとして、これにサイクロンを組み合わせて構成したものである。
【0036】
図4に示した本実施形態の粉体分級装置に用いたジェットミルは、円盤状の空洞が形成されるジェットミル本体と、前記ジェットミル本体のリング状の外周壁に前記円盤状の空洞の中心に対して傾斜して配置され、前記円盤状の空洞に高速の空気流を生じさせる複数のエアノズルと、前記ジェットミル本体の前記円盤状の空洞の略中央に配置される出口とを有し、前記円盤状の空洞は、前記外周壁の内側に配置され、前記複数のエアノズルから供給される前記高速の空気流によって粉体を粉砕分散するリング状の粉砕分散ゾーンと、この粉砕分散ゾーンの内側に配置されるとともに前記出口の空間に連通し、前記粉砕分散ゾーンの内側に位置する、前記空気流によって粉体を分級するリング状の分級ゾーンと、前記粉砕分散ゾーンと前記分級ゾーンとの間に配置され、前記粉砕分散ゾーンと前記分級ゾーンとを分割するとともに連通するリング状の狭隘路を有することを特徴とするものである。
【0037】
このジェットミルの特徴は、上述のように、前記粉砕分散ゾーンと前記分級ゾーンとの間にこれらを連通するリング状の狭隘路を設けたもので、これにより、粉砕分散と分級作用を効率的に連続処理の形で実施可能としたものである。なお、ここでは、運転条件を調整することで、上述のジェットミルをそのまま、分散・粉砕機として用いるようにしているが、分散・粉砕機としては他の方式のものも用い得ることはいうまでもない。
【0038】
図4に示したジェットミルは、その要部として、基本的に、粉砕分散室8の粉砕分散ゾーン26および分級ゾーン28、その間に設けられる分級リングチャネル40、出口の空間44、分級ゾーン28と出口の空間44の間に設けられる出口リングチャネル42を形成する円板状の底板46および天井板48と、粉砕分散ゾーン26の外側内周面を形成する粉砕分散リング50と、円板状の天井板48の中央の円状開口に接続され、底板46および天井板48とともに出口の空間44を形成する出口リング52とを備える。
【0039】
また、このジェットミルでは、粉砕分散ゾーン26は、半径方向に沿って一定の空洞幅を持つリング状の空洞となっており、分級ゾーン28は、外側から始めは中心に向かって空洞幅が漸増し、途中から空洞幅が一定である空洞となっている。なお、分級ゾーン28の一定の空洞幅(高さ)は、粉砕分散ゾーン26の空洞幅(高さ)よりも大きい。
また、ここでは、分級リングチャネル40が、底板46および天井板48によって狭隘路として形成される。
【0040】
すなわち、分級リングチャネル40は、底板46上に天井板48に向かってリング状の凸部46aの外側に形成されたリング状の凸部46bと、これに対応してリング状のエッジ48aの外側の天井板48に形成されたリング状の凸部48bとの間の狭隘路として形成され、粉砕分散ゾーン26と分級ゾーン28とを分割する。
【0041】
このジェットミルでは、底板46、天井板48、粉砕分散リング50、出口リング52、エアノズル6の先端および供給ノズル18は、粉体が高速の空気流に乗って接触、あるいは衝突するので、サイアロンなどのような硬質のセラミックスで作製される。
上記以外の部材は、例えばステンレス鋼等の一般材料で作製されても問題はない。
このため、このジェットミルは一体構造をとらず、粉砕分散リング50を外側から支持する外周壁支持リング54と、天井板48、分級リング50、外周壁支持リング54および出口リング52を上側および外側から支持する上支持板56と、底板46、粉砕分散リング50および外周壁支持リング54を下側から支持する底支持板58と、底支持板58をその下側から支持し、ジェットミル本体を載置する本体架台60とからなる。
【0042】
外周壁支持リング54には、エアノズル6が、ジェットミル本体の環状の外周壁に複数個が等間隔でその接線に対して傾斜して設けられており、このエアノズル6から供給される空気流が粉砕分散室8の内部に高速で噴出し、主に、それが持つ剪断作用により粉体が分散・粉砕される。また、その空気流が粉砕分散室8の内部で高速で旋回することによって、粉砕分散室8の内部に供給された粉体も高速で旋回し、この旋回運動によって粉体が相互に、あるいは粉体分散室8の壁面と衝突することによっても適度の分散・粉砕がなされる。
【0043】
供給口14は、粉体を供給するためのロート16と、粉体を粉砕分散室8に供給するための空気を供給する供給ノズル18,ロート16から供給された粉体と供給ノズル18から供給された空気とを混合して粉砕分散室8の内部に供給するディフューザ20とからなっており、図示しない粉体の供給装置から定量的に粉体がロート16に供給される。
【0044】
ロート16に供給された粉体は、供給ノズル18から吹き込まれる高速の空気流によって、ディフューザ20を通って粉砕分散室8の内部に供給される。粉砕分散室8の内部に供給された粉体は、主にエアノズル6から噴出する高速の空気流によって粉砕・分散され、また、ディフューザ20から粉体とともに噴出した空気流とエアノズル6から供給された空気流とによって、粉砕分散室8の内部を高速で旋回し、粉体が相互に、あるいは粉砕分散室8の内部の壁面に衝突して微粒子に粉砕・分散される。
【0045】
一方、本実施形態のもう一つの主要な構成要素であるサイクロンについては、これを、上記ジェットミルの本体下方(裏面側)に設けた開口部に接続した形となっている。
すなわち、サイクロン90の本体は、上記ジェットミルの分級ゾーン28の出口部(最も内側よりの部分)に、その上端部が出口リング52の下端部と面一になるか、あるいは、サイクロン90の上端部と出口リング52の下端部とが、少し重なり合うような位置関係に接続される。
【0046】
ここで重要なことは、上述の出口リング52の下端部52aが、粉砕分散ゾーン26ないしは分級ゾーン28を有する円盤状の空洞の上下方向における中心の水平面(中心面)と略同じか、これより下方に位置することである。出口リング52の下端部52aが、円盤状の空洞内のこのような位置にあることにより、分級ゾーン28からサイクロン90に向かう粉砕・分散された微粒子群の分級点(分級サイズ)を、所望の小径サイズにすることが可能になる。
【0047】
また、サイクロン90の上方には、図2に示したサイクロンの円盤状の旋回流形成部72の内部の上面に設けられたリング状のエッジ86aに相当するリング状のエッジ48aと、同じく図2に示したリング状のエッジ86bに相当するリング状のエッジ46aとが、対向する形で設けられている。前述の通り、リング状のエッジ86a,86bは、少なくともその一方が存在することが必須なものであるので、この実施形態のように、一方が少し変形された状態にあっても、本発明の効果に大きな影響はない。
【0048】
本実施形態では、サイクロン90は、内径Dの円筒状の中空部92と、内径Dの下部排出口94を有する逆円錐台形状の中空部96から構成されている。また、下部排出口94には、適宜の回収用容器98が直接接続されるか、図示されていないロータリーバルブ等を介して回収用輸送管に接続される。
ここで、上記円筒状の中空部92の内径Dと、下部排出口94の内径Dとの間には、0.5D≦Dなる関係が存在するようにするのが好ましい。
【0049】
また同様に、サイクロン90の上方に位置する出口リング52の内径Dに関しては、0.5D≦D≦0.85Dなる関係が存在するようにするのが好ましい。
これは、出口リング52から排出される微粒子のサイズを決定する、すなわち、粉砕分散された微粒子群の分級点を決定する際に、考慮されるべき事項である。
【0050】
上述のように構成される、本実施形態の粉体分級装置においては、エアノズル6や供給ノズル18、さらには、粉砕分散ゾーン26ないしは分級ゾーン28を有する円盤状の空洞を主体とするジェットミルが、図2に示した本発明の基本構成要素であるサイクロンの外側部分に接続されている円盤状の旋回流形成部72に対応する形で接続されているものである。
【0051】
そして、このような構成を有する本実施形態の粉体分級装置の作用は、前述の通り、ジェットミルが、図2に示した基本構成の円盤状の旋回流形成部72内部における、リング状のエッジ86a,86bによる旋回流の制御と同様の制御を、出口リング52の下端部に設けられたリング状のエッジ52aが行うことにより、図2に示した基本構成の装置と略同様の効果を得られるものである。
【0052】
すなわち、本実施形態に係る粉体分級装置によれば、円盤状の空洞を主体とするジェットミルに供給された粒度分布を有する粉体が、ジェットミルにより適度に粉砕分散されるとともに、それに引き続き、サイクロンによる十分な遠心力の作用により、所望の粒子サイズを分級点として分級される。
【0053】
以下に、具体的実施例を示す。なお、以下に示す実施例は、本発明の好適実施形態に係る、図4に示した円盤状空洞部内部にリング状のエッジを備えたジェットミルを組み合わせたサイクロン(図5に示した要部構成参照)と、このようなリング状のエッジを備えていない図6に示す一般的なサイクロンにおける、分級機能の差を示すものである。
【0054】
なお、図5,図6中の符号は、10,10a,10b,10c以外はすべて図1,図4に示したと同じ構成要素を示しており、上記10は、粉体投入部10a,攪拌機10b,スクリューフィーダ10cからなる粉体投入装置を示している。
また、図6中の符号Pは、ロート16を介して供給される粉体分散用空気を送り込むための圧縮空気ポンプ、図5,図6中の符号Fは微粉回収用フィルタ、同Bは吸気用ブロワ、また、図6中の符号100は二次空気取り込み用のパンチング孔を示している。
【0055】
なお、ここでの実験条件の主要なものは、以下の通りである。
〔実施例1〕
(1)使用装置:図5に示した円盤状空洞部内部にリング状のエッジ(46a,48a)を備えたジェットミルを組み合わせたサイクロン
(2)分級原料:SiO平均粒子径0.94μm、最大粒子径3.9μm
(3)エアノズル6から吐出される圧縮空気圧力:0.6MPa
(4)同圧縮空気量:0.7m/min
【0056】
〔比較例1〕
(1)使用装置:図6に示したリング状のエッジを備えていない一般的なサイクロン
(2)分級原料:SiO平均粒子径0.94μm、最大粒子径3.9μm
(3)圧縮空気ポンプPの圧力:0.6MPa
(4)同圧縮空気量:0.6m/min
【0057】
図7は、上述のような比較を行った結果を説明するものであり、同図(a)中の曲線Bは実施例1の結果、曲線Cは比較例1の結果を示している。また、同図(b)では分級点として一般的に用いられる同図(a)の部分分級効率が50%のところの粒子サイズDと、分級機の分級の精度を表わすκ(=部分分級効率が25%の粒子サイズD25/部分分級効率が75%の粒子サイズD75)の値を示している。κ値が0.5以上でよい分級、0.7以上でかなり優れた分級と評価される。ちなみに、理想分級では、κ=1となる。
【0058】
図7(a)中の曲線Bと曲線Cとを比較すれば明らかなように、リング状のエッジを備えている本発明のサイクロン分級機は、特に1μm以下の微粒子領域において、優れた分級能力を示している。この点は、同図(b)中の数値からも実証されている。
【0059】
なお、上記実施形態並びに実施例は、いずれも本発明の一例を示したものであり、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更や改良を行ってもよいことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の基本原理を説明するための、本発明に係る粉体分級装置の要部であるサイクロンの模式図であり、(a)は同(b)中のA−A矢視上面図、同(b)は上記サイクロンの中心軸を通る面での断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る粉体分級装置の模式断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る粉体分級装置の模式断面図である。
【図4】本発明のさらに他の実施形態に係る粉体分級装置の断面図である。
【図5】好適実施例に用いた粉体分級装置の断面図である。
【図6】比較例に用いた粉体分級装置の断面図である。
【図7】実施例の効果を示すグラフ(a)並びに表(b)である。
【図8】従来の粉体粉砕装置の基本動作を説明するための模式断面図である。
【符号の説明】
【0061】
6 エアノズル
8 粉砕分散室
10 粉体投入装置
14 供給口
16 ロート
18 供給ノズル
20 ディフューザ
26 粉砕分散ゾーン
28 分級ゾーン
40 分級リングチャネル(狭隘路)
42 出口リングチャネル
44 出口の空間
46 底板
46a,48a,86a,86b リング状のエッジ
46b,48b リング状の凸部
48 天井板
50 粉砕分散リング
52 出口リング
52a 出口リング下端部
54 外周壁支持リング
56 上支持板
58 底支持板
60 本体架台
70 供給口
72 円盤状の旋回流形成部
74,92 円筒状の中空部
76,96 逆円錐台形状の中空部
78 下部排出口(回収口)
80 上部排出口(排気口)
82 下部導入口
84 中空パイプ
90 サイクロン
94 下部排出口
98 回収用容器
100 パンチング孔
【出願人】 【識別番号】000226998
【氏名又は名称】株式会社日清製粉グループ本社
【出願日】 平成19年4月26日(2007.4.26)
【代理人】 【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔

【識別番号】100090217
【弁理士】
【氏名又は名称】三和 晴子


【公開番号】 特開2008−272627(P2008−272627A)
【公開日】 平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願番号】 特願2007−116911(P2007−116911)