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【発明の名称】 サイクロン形異物分離装置
【発明者】 【氏名】松田 展幸

【要約】 【課題】貯留槽内でのダーティ流体の旋回発生を防ぎ、微細な切り粉等がクリーン流体と共に排出されてしまうことのないサイクロン形異物分離装置を提供する。

【解決手段】内部が下部小径の円錐形渦流室15となるサイクロン本体12の下端部に排出口17を介して貯留槽18が連なるサイクロン形異物分離装置であって、前記排出口17が軸方向に長さを有する通路に形成され、この排出口17は、上端開口が上記円錐形渦流室15の内部旋回流aの軸心上の位置で円錐形渦流室15の下端に連通し、軸心が前記円錐形渦流室15の内部旋回流aの軸心に対して鈍角の角度で傾斜し、その下端に設けた貯留槽18の中心が前記円錐形渦流室15の内部旋回流aの軸心に対してずれた位置になっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が下部小径の円錐形渦流室となるサイクロン本体に、前記渦流室内の上部にダーティ流体を供給する導入管と、前記渦流室内の下端部に排出口を介して連なり、渦流室内でダーティ流体から分離された異物を貯留するための貯留槽と、前記サイクロン本体の内部で旋回流の軸中央に配置され、渦流室のクリーン流体をサイクロン本体の外部に排出する導出管とを設けたサイクロン形異物分離装置において、
前記排出口が軸方向に長さを有する通路に形成され、その軸心が前記円錐形渦流室の内部旋回流の軸心に対して鈍角の角度で傾斜していることを特徴とするサイクロン形異物分離装置。
【請求項2】
上記排出口の上端開口は、上記円錐形渦流室の内部旋回流の軸心上の位置で円錐形渦流室の下端に連通し、この排出口の下端に設けた上記貯留槽の中心が前記円錐形渦流室の内部旋回流の軸心に対してずれた位置になっていることを特徴とする請求項1に記載のサイクロン形異物分離装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、各種液体や気体に含まれている異物を、これら液体や気体から遠心分離して確実に除去するためのサイクロン形異物分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
異物が含まれている液体や気体の一例として、NC・MC・研削盤・研磨盤・切断機や圧延ロール等の加工機械において、潤滑、冷却や不溶着を目的として使用されているクーラント液を例示することができる。
【0003】
このクーラント液は、加工機械で使用したあとこれを回収して再度加工機械に供給する循環使用をするが、加工精度や刃物の長寿命化等に対応するため、回収したクーラント液(以下ダーティクーラント液という)に含まれている切り粉等の異物を除去する必要があり、このための除去装置としてサイクロン形異物分離装置が用いられている。
【0004】
従来の一般的なサイクロン形異物分離装置1は、図1(b)に示すように、上部の円筒部2とその下部に連なる下部小径の円錐部3からなり、この円錐3の内部が円錐形渦流室4となるサイクロン本体5に、前記円筒部2内から渦流室4内の上部にダーティクーラント液を接線方向から供給する導入管6と、前記渦流室4内の下端部に排出口7を介して連なり、渦流室4内でダーティクーラント液から分離された切り粉等の異物を貯留するための貯留槽8と、前記サイクロン本体5の円筒部2の内部で旋回流の軸中央に配置され、渦流室4で異物が除去されたクリーンクーラント液をサイクロン本体5の外部に排出する導出管9を設けた構造になっている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このようなサイクロン形異物分離装置1は、導入管6によって円筒部2内から渦流室4内の上部にダーティクーラント液を接線方向から供給すると、ダーティクーラント液は旋回流aを生じながら円錐形渦流室4内を下降し、この旋回流aによって遠心力を受けた異物は円錐形渦流室4の周壁に集まりながら沈降することになり、このようにして異物が分離された旋回流の中央にあるクリーンクーラント液を導出管9で外部に取出すと共に、沈降した異物は排出口7を介して貯留槽8内に貯留するものである。
【0006】
上記した従来のサイクロン形異物分離装置1は、図1(b)で示したように、排出口7が上下軸方向に長さを有する断面円形の通路に形成され、前記円錐形渦流室4の内部旋回流aの軸心上の位置で上端が開口し、その軸心が前記円錐形渦流室4の内部旋回流aの軸心と同軸心となる垂直の配置となり、この排出口7の下端に設けた上記貯留槽8の中心も前記円錐形渦流室4の内部旋回流aの軸心上に位置している。
【特許文献1】特開2006−130489号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、円錐形渦流室4内で発生したダーティクーラント液の旋回流aが円錐形渦流室4内を下降することで、排出口7の上部付近のダーティクーラント液も旋回流aの影響を受けて旋回することになるが、上記排出口7が円錐形渦流室4の内部旋回流aの軸心と同軸心となる垂直の配置になっていると、旋回流aの進入に対する阻止機能が全くなく、このため、図1(b)で示したように、排出口7の上部付近で旋回するダーティクーラント液の旋回流が、排出口7を通って貯留槽8の内部ダーティクーラント液に伝わることになり、貯留槽8内のダーティクーラント液に旋回流bが生じると、この貯留槽8内に沈降した微細な異物を攪拌して再度舞い上がらせ、その結果、微細な異物は上昇流の流れに乗ってクリーンクーラント液に向けて流れ出し、せっかく分離できた微細な異物がクリーンクーラント液と共に排出されてしまうという問題がある。
【0008】
なお、被処理流体として、クーラント液を例示したが、被処理流体が異物を含んだ気体の場合でも、上記と同様の構造を有する乾式サイクロン形異物分離装置が用いられ、気体に含まれた異物を遠心分離して異物を分離する場合でも、貯留槽8内の気体に旋回流が発生し、貯留槽8内に沈降した微細な異物を攪拌して再度舞い上がらせ、せっかく分離できた微細な異物がクリーンクーラント気体と共に排出されてしまうという同様の問題がある。
【0009】
そこで、この発明の課題は、排出口上部付近で旋回する流体の旋回流が貯留槽内の流体に伝わるのを排出口の部分で分断することができ、貯留槽内での流体の旋回発生を防ぎ、微細な異物がクリーンクーラント流体と共に排出されてしまうことのないサイクロン形異物分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のような課題を解決するため、この発明は、内部が下部小径の円錐形渦流室となるサイクロン本体に、前記渦流室内の上部にダーティ流体を供給する導入管と、前記渦流室内の下端部に排出口を介して連なり、渦流室内でダーティ流体から分離された異物を貯留するための貯留槽と、前記サイクロン本体の内部で旋回流の軸中央に配置され、渦流室のクリーン流体をサイクロン本体の外部に排出する導出管とを設けたサイクロン形異物分離装置において、前記排出口が軸方向に長さを有する通路に形成され、その軸心が前記円錐形渦流室の内部旋回流の軸心に対して鈍角の角度で傾斜している構成を採用したものである。
【0011】
また、上記排出口の上端開口は、上記円錐形渦流室の内部旋回流の軸心上の位置で円錐形渦流室の下端に連通し、この排出口の下端に設けた上記貯留槽の中心が前記円錐形渦流室の内部旋回流の軸心に対してずれた位置になっている構造とすることができる。
【0012】
ここで、上記サイクロン本体は、上部の円筒部とその下部に連なる下部小径の円錐部からなり、この円錐部の内部が円錐形渦流室になっていると共に、導入管は前記円筒部内から渦流室内の上部にダーティ流体を接線方向から供給するようになっている。
【0013】
また、排出口は、上下軸方向に長さを有する断面円形のストレートな通路に形成され、前記円錐形渦流室の内部旋回流の軸心上の位置で上端が開口し、その軸心が前記内部旋回流の軸心に対して鈍角の角度で下端下がりに傾斜し、その下端が上記貯留槽内に連なっている。
【0014】
このように、排出口をその軸心が前記内部旋回流の軸心に対して鈍角の角度で下端下がりとなる傾斜状に設けると、排出口上部付近で旋回するダーティ流体の旋回流が排出口に対して進入しにくくなり、結果的に円錐形渦流室と貯留槽の流体の流れを分断することで、貯留槽内での旋回流の発生を防ぐことになる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によると、サイクロン本体における円錐形渦流室の下端部に設けた排出口を、その軸心が前記円錐形渦流室の内部旋回流の軸心に対して鈍角の角度で傾斜しているようにしたので、円錐形渦流室の内部旋回流が下降し、排出口上部付近のダーティ流体がその影響を受けて旋回しても、排出口は傾斜しているので旋回流は進入しにくくなり、結果的傾斜する排出口が円錐形渦流室と貯留槽の流体の流れを分断することで、貯留槽内での旋回流の発生を防ぐことができ、貯留槽には円錐形渦流室で分離された異物が静かに落下沈降し、再度円錐形渦流室に戻ることがないので分離精度と効率が向上する。
【0016】
また、貯留室に沈降した異物が再度円錐形渦流室に戻ることがないので、導出口から清浄なクリーン流体を取出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
図1(a)のように、各種液体や気体に含まれている異物を、これら液体や気体から遠心分離して除去するためのサイクロン形異物分離装置11は、サイクロン本体12が、上部の円筒部13とその下部に連なる下部小径の円錐部14からなり、この円錐部14の内部が円錐形渦流室15になっていると共に、このサイクロン本体12の上部にダーティ流体を供給する導入管16と、前記渦流室15内の下端部に排出口17を介して連なり、渦流室15内でダーティクー流体から分離された異物を貯留するための貯留槽18と、前記サイクロン本体12の内部で旋回流の軸中央に配置され、渦流室15のクリーン流体をサイクロン本体12の外部に排出する導出管19が設けられている。
【0019】
上記導入管16は前記円筒部13内から渦流室15内の上部にダーティ流体を接線方向から供給し、円錐形渦流室15で旋回流aを生じさせるようになっている。
【0020】
また、排出口17は、上下軸方向に長さを有する断面円形のストレートな通路に形成され、前記円錐形渦流室15の内部旋回流aの軸心上の位置で上端が開口し、その軸心が前記内部旋回流aの軸心に対して鈍角の角度αで下端下がりに傾斜し、その下端が上記貯留槽18内に連なっており、この貯留槽18は、その中心が前記円錐形渦流室15の内部旋回流aの軸心に対してずれた位置になっている。
【0021】
なお、上記排出口17は、その内径や軸方向の長さ、内部旋回流aの軸心に対して傾斜する鈍角の角度αは、処理せんとするダーティ流体の切り粉等の異物の条件に合わせて任意に設定すればよい。
【0022】
また、サイクロン形異物分離装置11により処理せんとする被処理流体は、加工機械において、潤滑、冷却や不溶着を目的として使用されているクーラント液のような液体だけでなく、異物を含んだ気体であってもよい。
【0023】
この発明のサイクロン形異物分離装置11は、上記のような構成であり、導入管16によって円筒部13内から渦流室15内の上部にダーティ流体(液体又は気体)を接線方向から供給すると、ダーティ流体は旋回流aを生じながら円錐形渦流室15内を下降し、この旋回流aによって遠心力を受けた異物は円錐形渦流室15の周壁に集まりながら沈降することになり、このようにして異物が分離された旋回流aの中央にあるクリーン流体を導出管19で外部に取出すと共に、沈降した異物は排出口17を介して貯留槽18内に貯留するものである。
【0024】
上記ダーティ流体に対する異物の分離において、サイクロン本体12における円錐形渦流室15の下端部に設けた排出口17が、前記円錐形渦流室15の内部旋回流aの軸心に対して鈍角の角度αで傾斜しているので、円錐形渦流室15の内部旋回流aが下降し、排出口17の上部付近のダーティ流体がその影響を受けて旋回しても、傾斜している排出口17に対して旋回流は進入しにくくなり、結果的に傾斜する排出口17が円錐形渦流室15と貯留槽18の流体の流れを分断することで、貯留槽18内での旋回流の発生を防ぐことができ、貯留槽18には円錐形渦流室15で分離された異物が静かに落下沈降し、再度円錐形渦流室15に戻ることがないので分離精度と効率が向上し、清浄なクリーン流体を取出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】(a)はこの発明に係るサイクロン形異物分離装置を示す縦断正面図、(b)は従来のサイクロン形異物分離装置を示す縦断正面図
【符号の説明】
【0026】
11 サイクロン形異物分離装置
12 サイクロン本体
13 円筒部
14 円錐部
15 円錐形渦流室
16 導入管
17 排出口
18 貯留槽
19 導出管
【出願人】 【識別番号】000145105
【氏名又は名称】株式会社寺田ポンプ製作所
【出願日】 平成18年12月28日(2006.12.28)
【代理人】 【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二

【識別番号】100087538
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 和久

【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由

【識別番号】100084858
【弁理士】
【氏名又は名称】東尾 正博


【公開番号】 特開2008−161808(P2008−161808A)
【公開日】 平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願番号】 特願2006−354472(P2006−354472)