トップ :: B 処理操作 運輸 :: B04 物理的または化学的工程を行なうための遠心装置または機械

【発明の名称】 マルチサイクロン式集塵機
【発明者】 【氏名】田端 三千雄

【氏名】伊藤 賢治

【氏名】岸上 和嗣

【要約】 【課題】サイクロン内筒の交換作業の際に作業者の作業性を改善し、かつ交換用サイクロン内筒の予備品の種類を減らして予備品の管理を容易に、また、サイクロン内筒の交換サイクルを長くすることができるマルチサイクロン式集塵機を提供すること。

【解決手段】マルチサイクロン式集塵機において、上部仕切板をガス導入方向から奥に向かってガス導入室の断面積が小さくなるように階段状仕切板とし、該階段状上部仕切板の水平部に立込みボルト又はスタッドボルトを設け、該階段状上部仕切板を貫通して配置したサイクロン内筒に設けられたフランジを該立込みボルトまたはスタッドボルトに係合したことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部仕切板及び下部仕切板で仕切られたガス導入室と、該ガス導入室下部に設けられた集塵室、及びガス導入室上部に前記上部仕切板と天板とで仕切られた清浄ガス室を備え、かつ前記ガス導入室の下部仕切板を貫通して集塵室内に垂下するサイクロン外筒、及び前記清浄ガス室から前記ガス導入室を貫通してサイクロン外筒の上部内側に突出しているサイクロン内筒が配設されているマルチサイクロン式集塵機において、前記上部仕切板をガス導入方向から奥に向かってガス導入室の断面積が小さくなるように階段状仕切板としたことを特徴とするマルチサイクロン式集塵機。
【請求項2】
前記階段状上部仕切板の下側に該階段状上部仕切板の摩耗を防止する保護板を設置したことを特徴とする請求項1記載のマルチサイクロン式集塵機。
【請求項3】
前記階段状上部仕切板の下側の該階段状仕切板の角部に、角部の摩耗を防止する保護板を被覆したことを特徴とする請求項1記載のマルチサイクロン式集塵機。
【請求項4】
前記階段状上部仕切板の水平部に、水平部長手方向に少なくとも2列の複数のサイクロン内筒を配置したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマルチサイクロン式集塵機。
【請求項5】
前記階段状上部仕切板の水平部に立込みボルト又はスタッドボルトを設け、該上部仕切板を貫通して配置したサイクロン内筒に設けられたフランジを該立込みボルトまたはスタッドボルトに係合したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のマルチサイクロン式集塵機。
【請求項6】
前記階段状上部仕切板にフランジを備えた支持管を立設し、該上部仕切板及び該支持管を貫通して配置したサイクロン内筒に設けたフランジを支持管のフランジに係合したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のマルチサイクロン式集塵機。
【請求項7】
前記階段状上部仕切板に対するサイクロン内筒の係合を解除すると、該サイクロン内筒がその中心軸で回転可能となっていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のマルチサイクロン式集塵機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、粉塵を含有する気体から粉塵を分離除去するマルチサイクロン式集塵機に関し、特に、コークス炉や精錬炉等から発生する粉塵(ダスト)を含有する排ガスから粉塵を分離除去するマルチサイクロン式集塵機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製鉄工場においては、石炭をコークス化するコークス炉や溶鋼を精錬する精錬炉等から多量の排ガスが発生する。排ガス中には多量の粉塵(ダスト)が含有されているので、排ガス中の粉塵を分離除去して排ガスを有効活用することが行われている。
【0003】
従来、このような排ガス中に含まれている粉塵を分離除去するのには、構造が簡単で集塵能力も高いことからサイクロンを複数本設置したマルチサイクロン式集塵機が使用されている。
【0004】
マルチサイクロン式集塵機は、複数のサイクロン外筒を1つのケーシング内に配列し、そのケーシングはガスが入るガス導入室、分離されたダストが堆積する集塵室、ガスが出て行く清浄ガス室の3つに仕切られた構造からなっている。
【0005】
図1は、従来のマルチサイクロン式集塵機の部分断面図である。
【0006】
従来のマルチサイクロン式集塵機は、図1に示すようにダストを含む排ガスは、排ガス入り口ダクトの矢印で示す方向から2枚の上下の上部仕切板1及び下部仕切板2で仕切られたガス導入室Aに送り込まれ、ダストを含む排ガスはガス導入室からケーシング3内に配列したサイクロン外筒4にベーン(案内羽根)5を介して入り込み、ベーンを通過する時に旋回流となってサイクロン外筒内でダストを分離する。分離されたダストはサイクロン外筒4の下部出口から集塵室Bに落下して、集塵室に堆積する。一方、ダストを分離された排ガスはサイクロン外筒4を上昇し、サイクロン外筒4内に突出しているサイクロン内筒6の下端入り口からサイクロン内筒6に入り込んで、上部仕切板1を気密に貫通して、上部仕切板にフランジ7止めされているサイクロン内筒6の上端出口から上部仕切板1と天板8とで仕切られた清浄ガス室Cに入り、排ガス出口ダクトの矢印の方向に排出される。
【0007】
このようなサイクロン式集塵機においては、ガス導入室に導入された排ガスが所定の圧力でサイクロン外筒に入り込むことができるように、ガス導入室の入側から後方に向けて断面積(容積)が小さくなるように断面三角形状のガス導入室となるように二つの上下仕切板でガス導入室が形成されている。
【0008】
ガス導入室中を貫通するように立設して設けられているサイクロン内筒は、ガス導入室に導入される排ガスに晒される。排ガスはダストを含んでいるので、ガス導入室内で排ガスに晒されるサイクロン内筒は、ダストによって摩耗し、特に、排ガス流に面しているサイクロン内筒面は摩耗が激しく、局部的に穴が開いてしまう。
【0009】
サイクロン内筒が摩耗して穴が開くと、サイクロン内筒を交換することが必要となる。サイクロン内筒の一部に穴が開いただけで新しいサイクロン内筒に交換するのは経済的に不利であると共に、取り換え作業に手間がかかるという問題がある。
【0010】
このため、サイクロン内筒の交換サイクルを長くする技術が提案されていて、例えば、サイクロン内筒をその軸心周りに回転可能とし、穴が開く寸前にサイクロン内筒を回転して、摩耗の少ない面を摩耗しやすい面に臨ませるようにしたサイクロン式集塵機の発明が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0011】
しかしながら、サイクロン内筒の交換サイクルを長くしても、サイクロン内筒の交換作業は無くすことはできない。通常、マルチサイクロン式集塵機には約300〜1,000本のサイクロン内筒が設けられているので、サイクロン内筒の交換作業は非常に手間がかかることとなる。
【0012】
サイクロン内筒の交換作業は、傾斜した仕切板に固定され、清浄ガス室内に突出しているサイクロン内筒を清浄ガス室上方に抜き取って、新しい交換用のサイクロン内筒を摩耗した旧サイクロン内筒があった位置に挿入することによって行われる。
【0013】
この交換作業は、作業者が傾斜した上部仕切板に乗って交換作業を行うため、足場が悪く、交換作業の作業性が非常に悪いという問題があった。また、上部仕切板が傾斜していることにより、サイクロン内筒の長さが排ガスの流れ方向で全て異なることから、寸法の異なる予備品(交換用の新しいサイクロン内筒)の種類が多くなり交換に手間を要することとなるという問題もあった。
【0014】
【特許文献1】特開2004−321938号公報
【特許文献2】実開平7−7751号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで、本発明は、マルチサイクロン式集塵機においてサイクロン内筒の交換作業の際に作業者の作業性を改善し、かつサイクロン内筒の交換用予備品の種類を減らすことにより、予備品の管理を容易にすることができ、また、サイクロン内筒の交換サイクルを長くすることができるマルチサイクロン式集塵機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者は、上記課題を解決すべく、上部仕切板を水平にすることで、作業者の作業性が改善できることに着目し、上部仕切板の形状を排ガス入側から奥に向かって排ガス導入室の断面積が小さくなるような階段状にして、足場のよい階段状の水平床部分にサイクロン内筒を取り付けることで、サイクロン内筒の交換作業を行うにあたって、上部仕切板へのサイクロン内筒の取り付け作業が容易となり、作業者の作業性が改善でき、かつ、階段状の水平床部分に複数の同一長さのサイクロン内筒を装着することができるので長さの異なる予備品の種類を少なくすることができ、予備品の管理も容易となり、さらに、サイクロン内筒をその中心軸で回転させても容易にサイクロン内筒を上部仕切板に係合させることができるのでサイクロン内筒の交換サイクルを長くすることができることを見出して、本発明を完成した。
【0017】
本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1)上部仕切板及び下部仕切板で仕切られたガス導入室と、該ガス導入室下部に設けられた集塵室、及びガス導入室上部に前記上部仕切板と天板とで仕切られた清浄ガス室を備え、かつ前記ガス導入室の下部仕切板を貫通して集塵室内に垂下するサイクロン外筒、及び前記清浄ガス室から前記ガス導入室を貫通してサイクロン外筒の上部内側に突出しているサイクロン内筒が配設されているマルチサイクロン式集塵機において、前記上部仕切板をガス導入方向から奥に向かってガス導入室の断面積が小さくなるように階段状仕切板としたことを特徴とするマルチサイクロン式集塵機。
(2)前記階段状上部仕切板の下側に該上部仕切板の摩耗を防止する保護板を設置したことを特徴とする上記(1)記載のマルチサイクロン式集塵機。
(3)前記階段状上部仕切板の下側の該階段状仕切板の角部に、角部の摩耗を防止する保護板を被覆したことを特徴とする上記(1)記載のマルチサイクロン式集塵機。
(4)前記階段状上部仕切板の水平部に、水平部長手方向に少なくとも2列の複数のサイクロン内筒を配置したことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のマルチサイクロン式集塵機。
(5)前記階段状上部仕切板の水平部に立込みボルト又はスタッドボルトを設け、該上部仕切板を貫通して配置したサイクロン内筒に設けられたフランジを該立込みボルトまたはスタッドボルトに係合したことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のマルチサイクロン式集塵機。
(6)前記階段状上部仕切板にフランジを備えた支持管を立設し、該上部仕切板及び該支持管を貫通して配置したサイクロン内筒に設けたフランジを支持管のフランジに係合したことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のマルチサイクロン式集塵機。
(7)前記階段状上部仕切板に対するサイクロン内筒の係合を解除すると、該サイクロン内筒がその中心軸で回転可能となっていることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載のマルチサイクロン式集塵機。
【発明の効果】
【0018】
マルチサイクロン式集塵機においては、サイクロン内筒の交換作業を行う際には、作業者が上部仕切板の上に立って行うが、従来は上部仕切板が傾斜していたため、足元が不安定となり、作業性が悪かったが、本発明によれば、上部仕切板を階段状にし、階段の水平床部分にサイクロン内筒を係合したため、サイクロン内筒の交換作業者が上部仕切板上に真っ直ぐ立てるようになり、長時間の交換作業でも容易に行えるようになった。また、階段状の上部仕切板の各段に複数個の同一長さのサイクロン内筒を配置することにより、各段でサイクロン内筒の長さを同じにすることが可能となり、交換用予備品の種類を減らすことが可能となる。さらに、本発明では、上部仕切板にサイクロン内筒を回転可能に取り付けることが可能となりサイクロン内筒の交換サイクルを長くすることができるという顕著な効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
マルチサイクロン式集塵機は、製鉄工場においてコークス炉や精錬炉から排出される排ガス中の粉塵(ダスト)を分離除去するために使用されている。
【0020】
ところが、マルチサイクロン式集塵機は、その構造上の問題から、粉塵を含む排ガスを導入するガス導入室内に立設して設けられている排ガスのサイクロン内筒が、導入する排ガスに晒されるため、排ガス中に含まれる粉塵によって摩耗してしまい穴が開いてしまう。そして、穴が開いてしまうと、集塵効率が極端に悪くなってしまうこととなる。したがって、マルチサイクロン式集塵機では、定期的にサイクロン内筒の交換作業が必要となる。
【0021】
サイクロン内筒の交換作業は、作業者が上部仕切板の上に立って行うが、従来は仕切板が傾斜しているため、足元が不安定となり作業性が悪かった。しかも、マルチサイクロン式集塵機では、サイクロン内筒(集塵管)は小型の集塵機で約300本、大型の集塵機では約1000本設置されているから、長時間の交換作業が必要となる。
【0022】
そこで、本発明は、マルチサイクロン式集塵機の上部仕切板を水平にし、サイクロン内筒の交換作業者が水平床面に立って作業することを可能にした。しかし、上部仕切板を水平にすると、排ガス導入室では導入された排ガスは、入り口側から個々のサイクロン外筒に入っていくため奥に行くに従い排ガスの容量が減少し、ガス圧が不足し集塵効果を低下させることとなる。このため、ガス導入室は、ガス流量に合わせて奥に向かって通過断面積を減少させねばならない。そこで、本発明は、上部仕切板を水平部分がある階段状にしてガス導入室の奥に向かってガス導入室の断面積を小さくなるようにして、集塵効果の低下を防止するようにした。
【0023】
以下、図に基づいて本発明のマルチサイクロン式集塵機について説明する。
【0024】
図2は、本発明のマルチサイクロン式集塵機の部分断面図である。
【0025】
本発明のマルチサイクロン集塵機は、図2に示すように、階段状上部仕切板9と下部仕切板2とで仕切られたガス導入室Aと、ガス導入室A下部に設けられている分離されたダストが堆積する集塵室Bと、ガス導入室A上部の除塵された清浄ガスが出て行く清浄ガス室Cの3つに仕切られた構造からなっている。
【0026】
ダストを含む排ガスは、右側の矢印で示すガス入口ダクト方向から、上下の階段状上部仕切板9及び下部仕切板2で仕切られたガス導入室Aに送り込まれ、ダストを含む排ガスは、導入室A下部のケーシング3内に配設したサイクロン外筒4に、ガス導入室入側から順次ベーン(案内羽根)5を介して入り込み、ベーン5を通過する際に旋回流となってサイクロン外筒4内で遠心力により比重の大きなダストを分離する。分離したダストはサイクロン外筒4の下部出口から集塵室Cに落下し、集塵室内に堆積する。ガス導入室Aを区画するための上部仕切板9は、ガス導入室の奥側に向かってガス導入室の断面積が小さくなるように階段状に低くなっている。
【0027】
ガス導入室に入ったガスは、ガス導入室A下部に配設した複数のサイクロン外筒4に入り側から順次入り込むため、ガス量はガス導入室の奥に行くに従って減少する。ガス流量の減少に対応して、ガス導入室のガス通過断面積(ガス導入室の容量)を減少させることが必要とされる。ガス流量の減少に対応した形状のガス導入室としなければ、ガスが効率よく全てのサイクロン外筒に入っていかなくなり、各サイクロン内において必要な排ガス旋回流速が得られなくなって集塵効率が悪くなる。このため、上部仕切体は、階段状に形成しているのである。サイクロン外筒4でダストを分離除去された清浄ガスは、サイクロン外筒の上部内側に突出し、ガス導入室および上部仕切板を貫通して立設して設けられているサイクロン内筒6(ガス出口管)に入り、サイクロン内筒6を通じて、天板8と階段状上部仕切板9とで区画される清浄ガス室C内に上昇する。
【0028】
清浄ガス室に入ったガスは、清浄ガス室からガス出側ダクトの左側の矢印に示す方向に排出される。
【0029】
このようなマルチサイクロン式集塵機では、サイクロン内筒6がガス導入室Aを上下に貫通して立設されているため、サイクロン内筒6はガス導入室Aに入るダストを含む排ガス流に晒されガスアタックを受けることとなる。
【0030】
ダストを含む排ガス流が衝突するサイクロン内筒表面は、排ガス中のダストによって摩耗し、穴が開いてしまうこととなる。サイクロン内筒に穴が開くと集塵効率が低下するので、穴が開く前にサイクロン内筒を交換する作業を行う。サイクロン内筒の交換作業は、清浄ガス室Cの天板8を外して、作業者が階段状上部仕切板9上に入り、サイクロン内筒を上部仕切板に固定しているボルトナットを外した後、重機でサイクロン内筒6を取り出す。また、据付時は逆に重機で吊り上げた交換用の新しいサイクロン内筒を階段状上部仕切板9に差込み、同時に下部仕切板に設けたベーンにも差し込んだ後に、サイクロン内筒に設けたフランジをボルトナット等で上部仕切板9に固定することによって行う。
従来のように作業床となる上部仕切板が、図1に示すように、傾斜していると、作業者がその傾斜している上部仕切板の上に乗ってサイクロン内筒の交換作業をするため、足場が悪く肉体的疲労は激しく、作業性が悪い。
【0031】
本発明では、清浄ガス室の床となる上部仕切板の形状を水平面がある階段状の形状にしたため、サイクロン内筒の交換作業者は、階段状上部仕切板9の水平床面に真っ直ぐに立つことが可能となり、長時間の交換作業でも容易に行えるので作業性が向上する。
【0032】
また、階段状仕切板の1つ階段の水平床面内には、長手方向に少なくとも2列に複数のサイクロン内筒が配設されていて、この水平床面に配設するサイクロン内筒の長さを全て同じ長さとすることが可能となる。1階段に配列するサイクロン内筒列としては、階段の高さを考慮すると少なくとも2列、多くしても5列とすることが好ましい。そして、全体の複数サイクロンの配置としては、碁盤目状や千鳥状とすることができる。
【0033】
これに対して従来のように床が傾斜していると、1列でしか同じ長さのサイクロン内筒を配列することができない。
【0034】
そして、マルチサイクロン式集塵機では、サイクロン内筒は、小型の集塵機で約300本、大型の集塵機で約1,000本あるので、交換のために準備する予備のサイクロン内筒の管理は容易でない。本発明によれば、サイクロン内筒の長さを1段階ごとに同じ長さの予備のサイクロン内筒として管理を行うことができ、従来よりも予備品の種類を減らすことができるので、予備品の管理が容易となる。
【0035】
清浄ガス室Cとガス導入室Aとを仕切る上部仕切板を階段状としたことによって、上部仕切板に垂直部および角部が生じ、これらの部分のガス導入室側はダストを含む排ガスに晒され、ガスアタックを受けることとなり、特に、仕切板の階段状の角部及び垂直部は排ガス中のダストによって摩耗を受けることとなる。
【0036】
したがって、特に摩耗が激しい階段状上部仕切板の角部の摩耗を防止するため、図2に示すように、角部だけを耐摩耗性保護板10で被覆することが好ましい。即ち、耐摩耗性保護板の形状を階段の角部と同一形状の断面L字型形状として、この耐摩耗性保護板で階段の角部を覆うようにすればよい。
【0037】
また、階段状仕切体の角部及び垂直部の摩耗を防止するためには、図3に示すように、階段状仕切体9のガス導入室A側の全面を覆うように耐摩耗性保護板11を設置しても良い。
【0038】
耐摩耗性保護板としては、上部仕切板のようにその上に作業者が乗るものではないから、それほどの強度は必要としないが、排ガス中のダストの摩耗に耐える耐摩耗性の鋼板や鋼板表面をアルミナ系のセラミックス等の耐摩耗性材料で被覆した鋼板を用いることができる。
【0039】
次いで、階段状上部仕切板の水平床部へのサイクロン内筒の取り付け構造について説明する。
【0040】
図4は、立込みボルトまたはスタットボルト12を階段状上部仕切板の水平床13に立設して、サイクロン内筒6を上部仕切板に係合させた例を示す図である。
【0041】
図4に示すように、立込みボルトまたはスタッドボルト12を溶接等により階段状上部仕切板の水平床13の上面(清浄ガス室側)に固定して立設する。一方、階段状上部仕切板の水平床13を貫通して突出するサイクロン内筒6上部にはフランジ7が設けられている。このフランジ7と階段状上部仕切板の水平床13の間に密封のためのシールパッキン14を介在させ、フランジ7を立込みボルトまたはスタットボルト12に係合させてナットでネジ止めする。
【0042】
この図4に示す例では、上部仕切板の階段部である水平床面にサイクロン内筒のフランジが平行に係合されるので、係合を解除すれば、サイクロン内筒6をその中心軸で回転させた後、再度、フランジを水平床面に係合させることができる。したがって、サイクロン内筒が排ガス中のダストにより偏摩耗されても、回転によって排ガス流によって摩耗を受けていないサイクロン内筒面を排ガス流により摩耗を受ける面に変えることができるので、サイクロン内筒の使用期間を延長でき、サイクロン内筒の交換サイクルを延長させることができる。サイクロン内筒の中心軸での回転角度としては、例えば、90度、120度、或は180度とすることができる。
【0043】
従来の図1に示すように、傾斜した上部仕切板にサイクロン内筒のフランジを傾斜に合わせてフランジ止めした場合には、サイクロン内筒をその中心軸で回転させると、サイクロン内筒の傾斜したフランジが仕切板の傾斜面と一致しなくなって(逆傾斜面となる)、サイクロン内筒のフランジを傾斜した仕切板上で係合させることはできない。
【0044】
また、階段状上部仕切板の水平床部13へのサイクロン内筒6の取り付け構造の他の例としては、図5に示すように、フランジ15を備えた支持管16を階段状上部仕切板の水平床部13に溶接等により固定して立設する。
【0045】
一方、階段状上部仕切板の水平床部13および支持管16を貫通して、支持管16上に突出するサイクロン内筒6にはフランジ14が設けられている。この両者のフランジ間に密封のためのシールパッキン17を介在させて、両フランジ14、15をボルトナット18でネジ止めする。
【0046】
この図5に示す例では、サイクロン内筒6のフランジ14を水平に設けて、支持管16に設けた水平なフランジ15に係合されているので、係合を解除して、サイクロン内筒6をその中心軸で回転させると、再度サイクロン内筒6を支持管16にフランジ止めすることができる。したがって、この例もサイクロン内筒の交換サイクルを延長させることができる。
【0047】
また、これらの階段状上部仕切板の水平床部へのサイクロン内筒の係合手段以外にも、楔を用いて係合させること等も出来る。
【0048】
以上、マルチサイクロン式集塵機について、コークス炉や精錬炉から排出されるダストを含んだ排ガス中のダストを分離除去する場合について説明したが、これらの排ガス以外にも焼却炉等の粉塵を含む排ガスやセメント工場での粉塵を含むガスから粉塵を分離除去する場合等にも本発明のマルチサイクロン式集塵機は使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】従来のマルチサイクロン式集塵機の部分断面図である。
【図2】本発明のマルチサイクロン式集塵機の部分断面図である。
【図3】本発明のマルチサイクロン式集塵機の部分断面図である。
【図4】階段状上部仕切板の水平床部に立設した立込みボルトまたはスタットボルトを用いて、サイクロン内筒を階段状上部仕切板に係合させた例を示す図である。
【図5】階段状上部仕切板の水平床部に立設した支持管に、サイクロン内筒をフランジ止めした例を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 上部仕切板
2 下部仕切板
3 ケーシング
4 サイクロン外筒
5 ベーン(案内羽根)
6 サイクロン内筒
7 フランジ
8 天板
9 階段状上部仕切板
10 L字型耐磨耗性保護板
11 耐磨耗性保護板
12 立込みボルトまたはスタットボルト
13 階段状上部仕切板の水平床
14 フランジ
15 フランジ
16 支持管
17 シールパッキン
18 ボルトナット
A ガス導入室
B 集塵室
C 清浄ガス室
【出願人】 【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】新日鉄エンジニアリング株式会社
【出願日】 平成18年9月27日(2006.9.27)
【代理人】 【識別番号】100105441
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 久喬

【識別番号】100107892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 俊太


【公開番号】 特開2008−80244(P2008−80244A)
【公開日】 平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願番号】 特願2006−262904(P2006−262904)