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発泡抑制型液体サイクロン - 特開2008−665 | j-tokkyo
トップ :: B 処理操作 運輸 :: B04 物理的または化学的工程を行なうための遠心装置または機械

【発明の名称】 発泡抑制型液体サイクロン
【発明者】 【氏名】酒井 誠

【氏名】伊藤 晋一郎

【氏名】山田 眞司

【氏名】朝部 貴雄

【要約】 【課題】分離されて回収された液体の発泡を十分に抑制することができる発泡抑制型液体サイクロンを提供する。

【構成】重力方向に向かって内径が次第に小さくなる部分を有し内径の大径部1aに供給された分離対象液状体を旋回させて比重の大きい物質と比重の小さい液体とに分離する旋回流室1を備え、分離された前記比重の大きい物質が排出される排出口1dを下端に有すると共に分離された前記比重の小さい液体が旋回流として上昇する上昇流路1eを上端に有するサイクロン本体と、前記サイクロン本体の上端に設けられ前記上昇流路を通って前記比重の小さい液体が流入する上室2とを具備し、前記排出口の気圧をゲージ圧で−0.1kg/cmGの負圧になるように、流路アダプタ3における前記比重の小さい液体の流出路の横断面積を規制した発泡抑制型液体サイクロン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重力方向に向かって内径が次第に小さくなる部分を有し内径の大径部に供給された分離対象液状体を旋回させて比重の大きい物質と比重の小さい液体とに分離する旋回流室を備え、分離された前記比重の大きい物質が排出される排出口を下端に有すると共に分離された前記比重の小さい液体が旋回流として上昇する上昇流路を上端に有するサイクロン本体と、
前記サイクロン本体の上端に設けられ前記上昇流路を通って前記比重の小さい液体が流入する上室とを具備する液体サイクロンであって、
前記サイクロン本体の下端の排出口の気圧Pをゲージ圧で−0.5kg/cmG≦P<0kg/cmGの負圧の範囲になるように、前記上室から前記比重の小さい液体が流出する流出路の横断面積を規制したことを特徴とする発泡抑制型液体サイクロン。
【請求項2】
前記上室から前記比重の小さい液体を流出させるための流出路を備える流路アダプタを前記上室に着脱自在に設けたことを特徴とする請求項1に記載の発泡抑制型液体サイクロン。
【請求項3】
重力方向に向かって内径が次第に小さくなる部分を有し内径の大径部に供給された分離対象液状体を旋回させて比重の大きい物質と比重の小さい液体とに分離する旋回流室を備え、分離された前記比重の大きい物質が排出される排出口を下端に有すると共に分離された前記比重の小さい液体が旋回流として上昇する上昇流路を上端に有するサイクロン本体と、
前記サイクロン本体の上端に設けられ前記上昇流路を通って前記比重の小さい液体が流入する上室とを具備する液体サイクロンであって、
前記上室には、前記上昇流路から流出した比重の小さい液体の上昇旋回流の外周を螺旋状に包囲する線状部材から成る螺旋体を設け、
前記螺旋体の螺旋の向きは、前記上昇旋回流の旋回の向きとは反対の向きに設定したことを特徴とする発泡抑制型液体サイクロン。
【請求項4】
重力方向に向かって内径が次第に小さくなる部分を有し内径の大径部に供給された分離対象液状体を旋回させて比重の大きい物質と比重の小さい液体とに分離する旋回流室を備え、分離された前記比重の大きい物質が排出される排出口を下端に有すると共に分離された前記比重の小さい液体が旋回流として上昇する上昇流路を上端に有するサイクロン本体と、前記サイクロン本体の上端に設けられ前記上昇流路を通って前記比重の小さい液体が流入する上室とを具備する液体サイクロンにおける、前記旋回流室の内径の大径部に分離対象液状体を供給して比重の大きい物質と比重の小さい液体とに分離する分離方法において、
前記サイクロン本体の下端の排出口の気圧Pをゲージ圧で−0.5kg/cmG≦P<0kg/cmGの負圧の範囲に規制することを特徴とする分離方法。
【請求項5】
前記サイクロン本体の下端の排出口の気圧Pをゲージ圧で−0.5kg/cmG≦P<0kg/cmGの負圧の範囲になるように、前記上室から前記比重の小さい液体が流出する流出路の横断面積を規制することを特徴とする請求項4に記載の分離方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、比重の大きい物質(通常は固体粒子等の固体であるが、液体の場合もある。以下同様。)と前記物質よりも比重の小さい液体との混合物である分離対象の液状体から、遠心力及び重力によって、比重の大きい物質と前記物質よりも比重の小さい液体とを分離する液体サイクロン、及び液体サイクロンを用いる分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体サイクロンによって、分離対象の液状体から比重の大きい物質と前記物質よりも比重の小さい液体を分離することが行われている。このような液体サイクロンとしては、例えば、特許文献1に記載の液体サイクロン、特許文献2に記載のサイクロン形異物分離装置が知られていた。
【0003】
【特許文献1】特開平7−256153号公報
【特許文献2】特開2005−7212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の液体サイクロンを使用して、分離対象の液状体から比重の大きい物質を除去して前記物質よりも比重の小さい液体を回収する際に、回収対象の前記液体の種類によっては回収した液体が発泡していることがあり、分離回収した液体が発泡していることが好ましくないことがある。例えば、使用済みのクーラントから固体粒子を分離除去して、固体粒子を含まない液体のクーラントを回収し、クーラントを繰り返し使用する場合である。
【0005】
クーラントは、研削加工機、切削加工機等の各種加工機で被加工物(金属、ガラス、セラミックス等の材料)を加工する際に、冷却、潤滑、洗浄等のために供給される液体であり、水性、油性、エマルジョン等の各種の型がある。使用済みのクーラントには、加工の際に生じた被加工物あるいは加工機等から生じた固体粒子が含まれるので、固体粒子を除去する必要がある。しかし、分離回収したクーラントが発泡していると、クーラントとしての作用(冷却、潤滑及び洗浄の各作用)が損なわれるので、固体粒子を除去しても分離回収したクーラントを使用することには問題がある(特に、繰り返し連続して使用する場合には問題がある)。
【0006】
一方、特許文献2は、クーラントに混入した固体状の異物を分離除去するサイクロン形異物分離装置に関するものであり、発明の効果として、異物を分離除去したクーラントの泡立ちを抑えて、泡の発生を防止することができる、という旨が記載されている。しかし、特許文献2に記載のサイクロン形異物分離装置は、内部構造が複雑であるので現実に製造する場合はかなり手間がかかる。
【0007】
本発明は、分離されて回収された液体の発泡を十分に抑制することができる発泡抑制型液体サイクロンを提供することを第1の目的とする。また、本発明は、特許文献2のサイクロン形異物分離装置とは異なり、構造が単純で容易に製造することができる発泡抑制型液体サイクロンを提供することを第2の目的とする。また、本発明は、分離されて回収された液体の発泡を十分に抑制することができる、液体サイクロンを用いる分離方法を提供することを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、第1の視点において、重力方向に向かって内径が次第に小さくなる部分を有し内径の大径部に供給された分離対象液状体を旋回させて比重の大きい物質と比重の小さい液体とに分離する旋回流室を備え、分離された前記比重の大きい物質が排出される排出口を下端に有すると共に分離された前記比重の小さい液体が旋回流として上昇する上昇流路を上端に有するサイクロン本体と、前記サイクロン本体の上端に設けられ前記上昇流路を通って前記比重の小さい液体が流入する上室とを具備する液体サイクロンであって、前記サイクロン本体の下端の排出口の気圧Pをゲージ圧で−0.5kg/cmG≦P<0kg/cmGの負圧の範囲になるように、前記上室から前記比重の小さい液体が流出する流出路の横断面積を規制した発泡抑制型液体サイクロンにより、上記第1及び第2の目的を達成することができる。この発泡抑制型液体サイクロンは、前記上室から前記比重の小さい液体を流出させるための流出路を備える流路アダプタを前記上室に着脱自在に設けることができる。
本発明によれば、第2の視点において、重力方向に向かって内径が次第に小さくなる部分を有し内径の大径部に供給された分離対象液状体を旋回させて比重の大きい物質と比重の小さい液体とに分離する旋回流室を備え、分離された前記比重の大きい物質が排出される排出口を下端に有すると共に分離された前記比重の小さい液体が旋回流として上昇する上昇流路を上端に有するサイクロン本体と、前記サイクロン本体の上端に設けられ前記上昇流路を通って前記比重の小さい液体が流入する上室とを具備する液体サイクロンであって、前記上室には、前記上昇流路から流出した比重の小さい液体の上昇旋回流の外周を螺旋状に包囲する線状部材から成る螺旋体を設け、前記螺旋体の螺旋の向きは、前記上昇旋回流の旋回の向きとは反対の向きに設定した発泡抑制型液体サイクロンにより、上記第1及び第2の目的を達成することができる。
【0009】
本発明によれば、第3の視点において、重力方向に向かって内径が次第に小さくなる部分を有し内径の大径部に供給された分離対象液状体を旋回させて比重の大きい物質と比重の小さい液体とに分離する旋回流室を備え、分離された前記比重の大きい物質が排出される排出口を下端に有すると共に分離された前記比重の小さい液体が旋回流として上昇する上昇流路を上端に有するサイクロン本体と、前記サイクロン本体の上端に設けられ前記上昇流路を通って前記比重の小さい液体が流入する上室とを具備する液体サイクロンにおける、前記旋回流室の内径の大径部に分離対象液状体を供給して比重の大きい物質と比重の小さい液体とに分離する分離方法において、前記サイクロン本体の下端の排出口の気圧Pをゲージ圧で−0.5kg/cmG≦P<0kg/cmGの負圧の範囲に規制する分離方法により、上記第3の目的を達成することができる。この分離方法では、前記サイクロン本体の下端の排出口の気圧Pをゲージ圧で−0.5kg/cmG≦P<0kg/cmGの負圧の範囲になるように、前記上室から前記比重の小さい液体が流出する流出路の横断面積を規制することができる。
【0010】
なお、本発明において、上記比重の大きい物質は、固体粒子等の固体だけでなく液体である場合もある。また、本発明において数値範囲の記載は両端値のみならず、その中に含まれる全ての任意の中間値を含むものとする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1〜2の視点における発泡抑制型液体サイクロン及び本発明の第3の視点における分離方法は、それぞれ上記構成を有するものであり、発泡性を有する液体が分離回収対象である場合でも、分離されて回収された液体の発泡を十分に抑制することができるので、分離回収対象の液体が発泡することにより生じる問題点を解決することができる。例えば、分離回収対象の液体がクーラントである場合は、クーラントとしての作用(冷却、潤滑、洗浄の各作用)が損なわれることを防止してクーラントを分離回収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[サイクロン本体]
サイクロン本体は、重力方向に向かって内径が次第に小さくなる部分を有し内径の大径部に供給された分離対象液状体を旋回させて比重の大きい物質と比重の小さい液体とに分離する旋回流室を備える。また、サイクロン本体は、分離された前記比重の大きい物質が排出される排出口を下端に有すると共に分離された前記比重の小さい液体が旋回流として上昇する上昇流路を上端に有する。旋回流室は、内径の大径部が上部に内径の小径部が下部に(重力方向に)位置するように円錐台形状の内部空間を有することができる。前記大径部の上端部は、径の大きさが一定の円柱形状の内部空間を有することができる。即ち、旋回流室は、前記円錐台形状の内部空間の大径部の上側に、前記大径部の径と同じ径の円柱形状の内部空間を有するものにすることができる。旋回流室は、内部空間の内径の大径部に分離対象液状体を供給する供給流路を有することができる。前記供給流路は、分離対象液状体を大径部の接線方向に供給するものにすることができる。前記供給流路は、管状にすることができる。旋回流室及びサイクロン本体部は、例えば、コーン状にすることができる。
【0013】
[上室]
上室は、サイクロン本体の上端に設けられたものであり、前記上昇流路を通って前記比重の小さい液体が流入する内部空間を有する。本発明では、サイクロン本体の下端の排出口の気圧Pをゲージ圧で−0.5kg/cmG≦P<0kg/cmGの負圧の範囲になるように、前記上室から前記比重の小さい液体が流出する流出路の横断面積を規制している。そのため、前記排出口から吸引される空気の量は、前記比重の小さい液体の上昇旋回流を生じさせる最小限の範囲の量になるので、前記上昇旋回流が上昇流路の流出口から流出する際の発泡を抑制することができる。前記排出口の気圧Pが、P<−0.5kg/cmGの場合には、前記排出口から吸引される空気の量が多くなるので、分離された比重の小さい液体の発泡率が高くなる。逆に、P≧0kg/cmGの場合には、比重の小さい液体が上昇しなくなる。なお、ゲージ圧とは、ゲージ圧力(大気圧を基準として測った圧力)のことである。上室から前記比重の小さい液体が流出する流出路の数は、1本でよいが、必要に応じて2本以上設けることができる。
【0014】
サイクロン本体の下端の排出口の気圧Pは、好ましくは−0.4kg/cmG≦P<0kg/cmG(より好ましくは−0.3kg/cmG≦P<0kg/cmG、さらに好ましくは−0.2kg/cmG≦P<0kg/cmG、よりさらに好ましくは−0.1kg/cmG≦P<0kg/cmG、特に好ましくは−0.08kg/cmG≦P<0kg/cmG、最も好ましくは−0.05kg/cmG≦P<0kg/cmG)の負圧の範囲であり、例えば、−0.03kg/cmG≦P<0kg/cmG、あるいは−0.02kg/cmG≦P<0kg/cmGにすることができる。
【0015】
[流路アダプタ]
流路アダプタは、上室から比重の小さい液体を流出させるための流出路を備えるものである。流路アダプタとしては、例えば、円柱等の柱状部材の一方の端面からもう一方の端面に貫通する流出路を備えるものにすることができる。流出路の断面積(流出方向に対して直角方向の断面積)は、流出路の長さ方向に一定にすることができ、また、変化させることもできる。例えば、流出方向に向かって内径が次第に小さくなり内径の断面積(流出方向に対して直角方向の断面積、以下同様。)が最小になるまでの縮小径流路部分と、内径の断面積が最小であって内径が一定の柱状空間部を流路とする均一径流路部分と、均一径流路部分の端部から流出方向に向かって内径が次第に大きくなる拡大径流路部分を有する流路アダプタにすることができる。上室には、流路アダプタを液密に着脱自在に装着できるような開口を設けることができる。
【0016】
流路アダプタの流出路の最小断面積(流出方向に対して直角方向の最小断面積)を変更することにより、サイクロン本体の下端の排出口の気圧を変化させることができる。したがって、流出路の最小断面積が異なる複数の流路アダプタを製造した場合は、サイクロン本体の下端の排出口の気圧を簡単に変化させることができるので、目的に応じた分離を行うことができる。例えば、発泡をより少なくしたい場合は、流出路の最小断面積がより小さい流路アダプタを上室に装着する。なお、分離対象液状体の供給量が一定の場合、このように発泡をより少なくしても、それに応じて固体粒子の除去率が低下することはない。また、分離して得られる液体の量をより多くしたい場合は、流出路の最小断面積がより大きい流路アダプタを上室に装着する。
【0017】
[螺旋体]
螺旋体は、上昇流路から流出した比重の小さい液体の上昇旋回流の外周を螺旋状に包囲する線状部材から成るものであり、螺旋体の螺旋の向きは、前記上昇旋回流の旋回の向きとは反対の向きに設定する。したがって、螺旋体の柱状の内部空間に流入した上昇旋回流は、旋回が抑えられ螺旋体を構成する線状部材と線状部材の間の隙間から減速して螺旋体の外部に流出する。その結果、上昇旋回流は、上昇流路の流出口から流出する際の衝撃が緩和され、発泡が抑制される。螺旋体の材料は、例えば、金属、セラミックス、樹脂等にすることができる。
【実施例】
【0018】
[実施例1]
本発明の発泡抑制型液体サイクロンの実施例を図面の図1〜3に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施例の発泡抑制型液体サイクロンの重力方向の概略断面図である。図2は、図1の上室2及びその近傍をより詳細に示す概略断面図である。図3は、図2の上室2の一部を示す概略断面図である。
【0019】
図1の発泡抑制型液体サイクロンは、サイクロン本体と上室2を具備する。サイクロン本体は、旋回流室1を備える。旋回流室1は、重力方向に向かって内径が次第に小さくなる部分(円錐台形状の内部空間部分)を有する。旋回流室1の内径の大径部1aの接線方向に処理液(加工機で使用され固体粒子を含有するクーラント)を供給できるように、処理液供給管1cの処理液流出側の管端部は、内径の大径部1aに開口する。処理液供給管1cから旋回流室1の内径の大径部1aに供給された処理液は、旋回流室1の内周面に沿って下降し旋回流となる。旋回流となった前記処理液に含まれる固体粒子は、遠心力により旋回流室1の内周面方向に分離され、旋回流室1の内径の小径部1bを経て、クーラントの一部と共にダーティー液排出ノズルの排出口1dからサイクロン本体の外部に排出される。
【0020】
一方、ダーティー液排出ノズルの排出口1dからサイクロン本体の外部に排出されない処理液の旋回流は、固体粒子の大部分が除去されており、ダーティー液排出ノズルの排出口1dの付近で反転し旋回流として上昇する。この上昇する旋回流は、旋回流室1の中心軸(円錐台形状の内部空間部分の中心軸)21の軸回りに旋回して上昇し、旋回流室1の前記中心軸上に存在する上昇流路1eを通過して上室2に流入する。
【0021】
上室2は、円筒状(高さよりも径が大きい円筒状)であり、底面には上昇流路1eの流出口が開口し、上昇旋回流が流出する。この流出した上昇旋回流の外周を螺旋状に包囲する金属線から成る圧縮バネを上室2に設けている。圧縮バネの螺旋の向きは、前記上昇旋回流の旋回の向きとは反対の向きに設定している。したがって、圧縮バネの柱状の内部空間に流入した上昇旋回流は、旋回が抑えられ圧縮バネを構成する金属線と金属線の間の隙間から減速して圧縮バネの外部に流出する。その結果、上昇旋回流は、上昇流路1eの流出口から流出する際の衝撃が緩和され、発泡が抑制される。
【0022】
本実施例では、図3に示すように、圧縮バネ33は、上室2の円板状の上蓋31に接合部材32を介して固定している。上蓋31は、固定部材(図示せず)により、上室2の残りの部分に対して液密に且つ着脱自在に設けている。上室2の底面の上昇流路1eの流出口から上室2の天井(上蓋31)までの長さの50%以上(好ましくは70%以上)の長さで本発明における螺旋体(圧縮バネ等)を設けることができる。本実施例では、螺旋体として圧縮バネ(力を加えた方向に長さが縮むバネ)を用いているので、旋回流室1の中心軸21の方向における接合部材32及び圧縮バネ33の長さ(力を加えない状態での長さ)を、上室2の底面から天井までの長さよりも少し長くすることにより、圧縮バネを上室2の底面に密着して固定することができる。また、旋回流室1の中心軸21の方向における接合部材32の長さを変更することにより、圧縮バネを構成する金属線と金属線の間の隙間の長さ(ギャップ)を調節することができる。なお、圧縮バネの中心軸は、旋回流室1の中心軸上に存在する。圧縮バネの内径は、上昇流路1eの流出口の内径よりも大きい。また、図1〜3では、圧縮バネを構成する金属線と金属線の間に隙間がないように見えるが、実際は隙間が存在する。
【0023】
上室2の円筒状の側壁面には、円筒状の流路アダプタ(この流路アダプタは、流出路を円筒の長さ方向に有する)3を着脱自在且つ液密に設けている。具体的には、円筒状の流路アダプタ3の端部(上室2の内部に配置される側の端部)の外周に雄ねじを形成し、前記流路アダプタ3の端部がちょうどはまるように上室2の円筒壁に円筒状の穴(この穴の内周面には、前記雄ねじがちょうどはまるように雌ねじを形成している)を形成している。流路アダプタは、MCナイロン(モノマーキャストナイロン)製なので、摩耗しにくいという耐摩耗性を有しながら、加工しやすい。なお、図2には、上室2の円筒壁の厚さは、薄いものとして記載されているが、これは図を簡略化して記載しているためであり、実際は液密になる程度の厚さにしている。
【0024】
上室2の内部空間は、固体粒子の大部分が除去されたクーラントで満たされ、過剰のクーラントは流路アダプタ3の流出路を通過して、クリーン液として外部に流出する。ここで、円筒形の流路アダプタ3は、オリフィスを有する。ここにおけるオリフィスとは、クーラントが流入する開口端の内径が次第に小さくなり内径の断面積(クーラントが流れる方向に対して直角方向の断面積、以下同様。)が最小になるまでの縮小径流路部分と、内径の断面積が最小であって内径が一定の柱状空間部を流路とする均一径流路部分と、均一径流路部分の端部から内径が次第に大きくなる拡大径流路部分を有するもののことである。
【0025】
本発明の実施例の発泡抑制型液体サイクロンは、ダーティー液排出ノズルの排出口1dの気圧Pを、ゲージ圧で−0.1kg/cmGの負圧になるように、流路アダプタ3の前記均一径流路部分の断面積を規制している。そのため、ダーティー液排出ノズルの排出口から吸引される空気の量は、クーラントの上昇旋回流を生じさせる最小限の範囲内の量になるので、上昇旋回流が上昇流路1eの流出口から流出する際の発泡を抑制することができる。
【0026】
流路アダプタ3の流出路を経て、クリーン液として外部に流出したクーラントは、クリーンタンクに蓄積され、ポンプPにより加工機M/Cに供給される。
【0027】
[実施例2]
実施例1の発泡抑制型液体サイクロンにおける流路アダプタとして、オリフィスにおける均一径流路部分の径がそれぞれ8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mmである6種類の流路アダプタを用いて、処理液(加工機で使用され固体粒子を含有するクーラント)を分離して、固体粒子を除去したクーラントを得た。なお、処理液の供給量は一定にしている。
【0028】
[参考例1]
実施例1の発泡抑制型液体サイクロンにおける流路アダプタとして、オリフィスにおける均一径流路部分の径がそれぞれ14mm、15mm、16mm、17mmである4種類の流路アダプタを用いて、処理液(加工機で使用され固体粒子を含有するクーラント)を分離して、固体粒子を除去したクーラントを得た。
【0029】
実施例2及び参考例1の場合におけるオリフィス径(オリフィスにおける均一径流路部分の径)と下部ノズル圧力(ダーティー液排出ノズルの排出口におけるゲージ圧力)との関係を図4に示す。また、オリフィス径とクリーン流量(クリーン液として外部に流出するクーラントの流量)との関係を図5に示す。さらに、オリフィス径と除去率(分離前のクーラントが含有する全固体粒子の重量に対して、取り除くことができた固体粒子の重量の割合)との関係を図6に示す。図4及び図6によれば、流路アダプタのオリフィスにおける均一径流路部分の径をより小さくすることにより、ダーティー液排出ノズルの排出口におけるゲージ圧力を0により近い負圧にすることができる(即ち、クーラントの発泡をより抑制できる)にもかかわらず、固体粒子の除去率は低下しない、ということがわかる。また、図5によれば、流路アダプタのオリフィスにおける均一径流路部分の径をより大きくすることにより、クリーン液として外部に流出するクーラントの流量はより増加する傾向がある、ということがわかる。
【0030】
実施例2のオリフィス径が12mmの場合において、固体粒子を分離除去されたクーラントの発泡率は、次のとおりである。以下の表において、発泡率=(原液密度−分離後密度)/原液密度である。なお、原液密度とは、未使用のクーラントの密度であり、分離後密度とは、固体粒子の分離後のクーラントの密度である。また、使用クーラント液は、全て株式会社ノリタケカンパニーリミテド製である。
【0031】
【表1】


【0032】
[参考例2]
実施例2において流路アダプタを用いない場合(上室2の円筒状の側壁面に流路アダプタの外径に相当する径48mmの流出路が存在する場合)、固体粒子を分離除去されたクーラントの発泡率は、次のとおりである。
【0033】
【表2】


【0034】
[実施例3]
実施例1の発泡抑制型液体サイクロンにおいて、流路アダプタとして、オリフィスにおける均一径流路部分の径が12mmである流路アダプタを用い、圧縮バネを取り外して、処理液(加工機で使用され固体粒子を含有するクーラント)を分離した。この場合において、下部ノズル圧力(ダーティー液排出ノズルの排出口におけるゲージ圧力)は、−0.1kg/cmGであり、固体粒子を分離除去されたクーラントの発泡率は、次のとおりである。
【0035】
【表3】


【0036】
[比較例1]
実施例3において流路アダプタを用いない場合(上室2の円筒状の側壁面に流路アダプタの外径に相当する径48mmの流出路が存在する場合)、固体粒子を分離除去されたクーラントの発泡率は、次のとおりである。
【0037】
【表4】


【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、本発明の一実施例の発泡抑制型液体サイクロンの重力方向の概略断面図。
【図2】図2は、図1の上室2及びその近傍をより詳細に示す概略断面図。
【図3】図3は、図2の上室2の一部を示す概略断面図である。
【図4】オリフィス径(オリフィスにおける均一径流路部分の径)と下部ノズル圧力(ダーティー液排出ノズルの排出口におけるゲージ圧力)との関係を示す図。
【図5】オリフィス径とクリーン流量(クリーン液として外部に流出するクーラントの流量)との関係を示す図。
【図6】オリフィス径と除去率(分離前のクーラントが含有する全固体粒子の重量に対して、取り除くことができた固体粒子の重量の割合)との関係を示す図。
【符号の説明】
【0039】
1 旋回流室
1a 内径の大径部
1b 内径の小径部
1c 処理液供給管
1d 排出口
1e 上昇流路
2 上室
3 流路アダプタ
21 中心軸
31 上蓋
32 接合部材
33 圧縮バネ
【出願人】 【識別番号】000004293
【氏名又は名称】株式会社ノリタケカンパニーリミテド
【出願日】 平成18年6月21日(2006.6.21)
【代理人】 【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道


【公開番号】 特開2008−665(P2008−665A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−171437(P2006−171437)