トップ :: B 処理操作 運輸 :: B04 物理的または化学的工程を行なうための遠心装置または機械

【発明の名称】 遠心分離機
【発明者】 【氏名】早坂 浩

【要約】 【課題】モータによって駆動されるロック機構によって蓋を2箇所で確実にロックして高い安全性を確保することができるとともに、ロック機構の設置スペースを縮小して小型・コンパクト化を図ることができる遠心分離機を提供すること。

【解決手段】ロータ2と、駆動装置4と、ロータ回転室3と、該ロータ回転室3を開閉する蓋5と、該蓋5を閉じ状態でロックするロック機構10を備え、前記ロック機構10を、モータ12と、該モータ12によって回転駆動される駆動側フック11aと、該駆動側フック11aにステー(連結部材)21によって連結されて前記駆動側フック11aと一体に回転する従動側フック11bで構成し、駆動側フック11aと従動側フック11bによって蓋5を2箇所でロックするようにした遠心分離機において、前記ロック機構10のステー21を両フック11a,11bの回転中心に対してオフセットした位置に配置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を収容して回転するロータと、該ロータを回転駆動する駆動装置と、前記ロータを収容するロータ回転室と、該ロータ回転室を開閉する蓋と、該蓋を閉じ状態でロックするロック機構を備え、
前記ロック機構を、モータと、該モータによって回転駆動される駆動側フックと、該駆動側フックに連結部材によって連結されて前記駆動側フックと一体に回転する従動側フックで構成し、駆動側フックと従動側フックを蓋側の係止部材に係合させることによって蓋を2箇所でロックするようにした遠心分離機において、
前記ロック機構の駆動側フックと従動側フックを連結する前記連結部材を両フックの回転中心に対してオフセットした位置に配置したことを特徴とする遠心分離機。
【請求項2】
前記連結部材を前記ロータ回転室とは反対側にオフセットした位置に配置したことを特徴とする請求項1記載の遠心分離機。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋のロック機構を備えた遠心分離機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遠心分離機は、試料を収容したロータをロータ回転室内で回転駆動して試料を遠心分離するものであるが、ロータ回転室の開口部は蓋によって開閉され、ロータが回転している遠心分離中はロータ回転室の開口部は蓋によって閉じられ、遠心分離前後には試料の出し入れ等のために蓋が開けられる。
【0003】
ところで、一般に実験室等において使用される遠心分離機は、回転中のロータに触れないように、ロータ回転室の開口部を閉じた蓋を自動でロックしている。この蓋のロックの方法としては、単にラッチ等で引っ掛けるタイプと、蓋を閉めた状態を検出して自動でロック機構を動作させて手動では蓋が開かないようにしているタイプとがある。
【0004】
又、ロック機構の駆動方式に関しても、電磁ソレノイドを使った往復動作でラッチするタイプと、モータを使用して蓋を引き込むようにしたタイプがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
最近では、回転中にロータが破壊した場合でもその破片が機外に飛散しないよう、より安全性への配慮が高まっている。この点では、より密閉力の大きなモータ駆動式のロック機構が有利である。ロック機構は、遠心分離機の安全性に関わる部分として重要な役割を果たしており、その信頼性は重要な要素である。
【特許文献1】特開2001−300350号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、モータを使用したロック機構は幾つか実用化されているが、ロータのエネルギーの大きさや破壊モードの複雑さから蓋の複数箇所をロックする場合も多い。ロック位置の関係から各々のロック機構に独立したモータを配置する構成ではコスト的に負担も大きい。
【0007】
又、単一のモータで2箇所を連動させて蓋を2箇所でロックする構成もあるが、連動機構が複雑化する傾向がある。ロータが回転するロータ回転室は通常円筒形状を有しており、2箇所以上を連結する直線的な連結では、ロック機構の配置によっては遠心分離機本体内に大きなスペースを必要とし、遠心分離機が大型化する傾向にある。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、モータによって駆動されるロック機構によって蓋を2箇所で確実にロックして高い安全性を確保することができるとともに、ロック機構の設置スペースを縮小して小型・コンパクト化を図ることができる遠心分離機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、試料を収容して回転するロータと、該ロータを回転駆動する駆動装置と、前記ロータを収容するロータ回転室と、該ロータ回転室を開閉する蓋と、該蓋を閉じ状態でロックするロック機構を備え、
前記ロック機構を、モータと、該モータによって回転駆動される駆動側フックと、該駆動側フックに連結部材によって連結されて前記駆動側フックと一体に回転する従動側フックで構成し、駆動側フックと従動側フックを蓋側の係止部材に係合させることによって蓋を2箇所でロックするようにした遠心分離機において、
前記ロック機構の駆動側フックと従動側フックを連結する前記連結部材を両フックの回転中心に対してオフセットした位置に配置したことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記連結部材を前記ロータ回転室とは反対側にオフセットした位置に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ロック機構の駆動側フックと従動側フックとを連結する連結部材をロータ回転室外周との干渉を避けて両フックの回転中心に対してロータ回転室とは反対側にオフセットした位置に配置すれば、駆動側フックと従動側フックをロータ回転室側に寄せて配置することができ、ロック機構の設置スペースを縮小して遠心分離機を小型・コンパクトに構成することができる。
【0012】
又、ロック機構の駆動源として単一のモータを使用し、該モータによって駆動側フックを駆動して回転させ、その回転を連結部材を経て従動側フックに伝達して該従動側フックを同時に回動させて蓋の開閉をロックするようにしたため、簡単な構成で蓋を確実にロックして遠心分離機の安全性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は本発明に係る遠心分離機の破断側面図、図2は同遠心分離機のロック機構部を示す破断平面図、図3はロック機構の斜視図である。
【0015】
図1に示すように、本発明に係る遠心分離機100の本体1にはロータ2を収容するロータ回転室3が設けられており、その下方にはロータ2を回転駆動するための駆動装置4が配置されている。又、ロータ回転室3の上方には、分離する試料を出し入れする際にロータ回転室3にアクセスするための開閉可能な蓋5が設けられており、この蓋5の一端は蝶番6によって回動可能に支持され、喋番6を中心として蓋5を上下に回動させることによってロータ回転室3の上面開口部を開閉することができる。
【0016】
そして、蓋5の開閉する側(喋番6とは反対側)の下部の両側(図1の紙面垂直方向における両側)には、該蓋5をロックするための受け部となる一対のフックキャッチ7が垂直に取り付けられており、本体1に設けられたロック機構10の一対のフック11a,11bによってフックキャッチ7を引っ掛けることによって蓋5の開閉がロックされる。
【0017】
又、図1に示すように、遠心分離機本体1には制御装置8と操作パネル9が設けられており、両者は電気的に接続されている。
【0018】
ここで、ロック機構10の構成について説明する。
【0019】
図2に示すように、一対の前記フック11a,11bは、ロータ回転室3の外周側の前記一対のフックキャッチ7に対応する位置に離間して配置されており、一方の駆動側フック11aが図3に示す単一のモータ12によって駆動される。ここで、一対のフック11a,11bは、図2に示すように、本体1側に取り付けられたフレーム13a,13bに軸14a,14bによって回動可能に支持されている。
【0020】
図3に示すように、モータ12は駆動側の一端に水平に設置されており、その出力軸(モータ軸)15にはリンクシャフト16と円板状のディスク板17が結着されている。そして、リンクシャフト16のモータ軸15の軸心に対して偏心した端部にはリンク18の一端がピン19によって連結されており、リンク18の他端は駆動側フック11aの軸14aに対して偏心した位置にピン20によって連結されている。そして、駆動側フック11aと従動側フック11bとはステー21によって互いに連結されており、ステー21は、両フック11a,11bの軸14a,14bに対してロータ回転室3とは反対側(図3の手前側)にオフセットした位置に2本のビス22によってその両端が駆動側フック11aと従動側フック11bにそれぞれ取り付けられている。
【0021】
又、図1に示すように、前記ディスク板17の外周には2つの切欠き17aが形成されており、このディスク板17の周囲には、該ディスク板17、つまり、モータ出力軸15の回転位置を光学的に検出するためのフォトセンサ23,24が配置されている。尚、フォトセンサ23,24は、図1に示すように、前記制御装置8に電気的に接続されている。
【0022】
ところで、図2に示すように、駆動側フック11aと従動側フック11bの各軸14a,14bはロータ回転室3の外周とほぼ接する直線上に同軸的に配置されており、駆動側フック11aと従動側フック11bとを連結するステー21は、ロータ回転室3の外周との干渉を避けてフック11a,11bの軸(回転中心)14a,14bに対してロータ回転室3とは反対側(図2の下方)にオフセットした位置に取り付けられている。このため、ステー21とロータ回転室3の外周面との間には少なくとも図示のクリアランスδが確保されており、駆動側フック11aと共にステー21が回動する角度範囲において該ステー21がロータ回転室3の外周に干渉することはない。
【0023】
又、図1及び図2に示すように、蓋5に取り付けられた一対の前記フックキャッチ7に対応する本体1側の2箇所には、フックキャッチ7を検出することによって蓋5の開閉状態を検知するためのリッドセンサ25a,25bが設けられており、これらのリッドセンサ25a,25bは前記制御装置8に電気的に接続されている(図1参照)。
【0024】
次に、駆動側フック11aと従動側フック11bの形状と動作を図4〜図6に基づいて説明する。
【0025】
図4は駆動側フックの形状を示す側面図、図5は駆動側フックの作用を説明する側面図、図6は従動側フックの動作を説明する側面図である。
【0026】
図4に示すように、駆動側フック11aには係合爪11a−1が形成されており、この係合爪11a−1の内径部(フックキャッチ7の係合孔7aとの接触部)には直線状の係止部11a−11とそれより先端側の円弧状のガイド部11a−12が形成されている。ここで、これらの係止部11a−11とガイド部11a−12とは滑らかに接続されており、係止部11a−11とガイド部11a−12の軸14a(駆動側フック11aの回転中心)からの距離はそれぞれ図示のL1 ,Lに設定されている。ガイド部11a−12の軸14aからの距離Lの最大値L2 はL1 よりも大きく設定されており(L2 >L1 )、この距離Lは最大値L2 から最小値L1 まで連続的に変化している。尚、L1 はロック時の距離を示し、L2 はフックキャッチ7の引き込み開始時の距離を示す。
【0027】
他方、図6に示すように、従動側フック11bにも係合爪11b−1が形成されているが、この係合爪11b−1の内径部(フックキャッチ7の係合孔7aとの接触部)には直線状の係止部11b−11のみが形成され、駆動側フック11aの係合爪11a−1に形成されたガイド部11a−12に対応するガイド部は設けられていない。従って、従動側フック部11bの係合爪11b−1の長さは駆動側フック11aの係合爪11a−1よりも短くなっている。
【0028】
而して、開いていた蓋5を閉めるために該蓋5を喋番6を中心として下方へ回動させ、ロータ回転室3の上面開口部が蓋5によって閉められると、該蓋5に取り付けられた一対のフックキャッチ7がリッドセンサ25a,25bによって検知され、その信号が制御装置8に送信される。すると、制御装置8は、モータ12を駆動制御してロック機構10による蓋5のロックを開始する。
【0029】
即ち、ロック機構10において、モータ12が駆動されてモータ軸15が回転駆動されると、該モータ軸15に結着されにリンクシャフト16とディスク板17が一体に回転し、モータ軸15の回転はリンクシャフト16とリンク18を経て駆動側フック11aに伝達され、該駆動側フック11aが同方向(図5の矢印a方向)に回動する。そして、この駆動側フック11aの回転はステー21を介して従動側フック11bに伝達されるため、従動側フック11bも同方向(図6の矢印a方向)に回動する。
【0030】
すると、駆動側フック11aの係合爪11a−1がフックキャッチ7の係合孔7aに係合するが、図5に実線にて示すように、先ず、係合爪11a−1のガイド部11a−12がフックキャッチ7の係合孔7aに係合し始める。このとき、従動側フック11bの係合爪11b−1は図6に実線にて示すようにフックキャッチ7の係合孔7aに未だ係合していない。
【0031】
上記状態から駆動側フック11aが更に回動すると、前述のように係合爪11a−1のガイド部11a−11の軸14aからの距離Lは最大値L2 から最小値L1 まで連続的に減少しているため、係合孔7aにガイド部11a−11が係合するフックキャッチ7は係合爪11a−1によって下方(図5の矢印b方向)へと引き込まれ、係合爪11a−1のフックキャッチ7の係合孔7aへの係合がガイド部11a−11から係止部11a−12に達した時点でフックキャッチ7の下方への引き込みが終了し、そのときフックキャッチ7の引込量は(L2 −L1 )となる。
【0032】
上記キャッチフック7の下方への引き込みによって蓋5がロータ回転室3の上面開口部周縁に密着されるが、蓋5には従動側のもう1つのフックキャッチ7も取り付けられているため、この従動側のフックキャッチ7も同様に下方(図6の矢印b方向)へと引き込まれる。
【0033】
そして、駆動側フック11aと従動側フック11bが更に回動して図5及び図6に破線にて示すように両フック11a,11bの係合爪11a−1,11b−1がフックキャッチの係合孔7aに完全に挿入され、該係合爪11a−1,11b−1の係止部11a−11,11b−11がフックキャッチの係合孔7aに係止されると、蓋5のロックが完了するとともに、蓋5はロータ回転室3の上面開口部周縁のドアパッキン26に密着する。
【0034】
尚、モータ軸15の回転位置は、フォトセンサ23,24によるディスク板17の位置を光学的に検知することによって検出され、その検出信号は制御装置8に入力される。すると、制御装置8は、モータ軸15の回転位置に基づいて駆動側フック11aの位置を推定してモータ12を駆動制御する。又、ロック機構10による蓋5のロックの解除は操作パネル7上での操作によってなされる。
【0035】
以上において、本発明に係る遠心分離装置100においては、ロック機構10の駆動側フック11aと従動側フック11bとを連結するステー21をロータ回転室3の外周との干渉を避けてフック11a,11bの軸(回転中心)14a,14bに対してロータ回転室3とは反対側(図2の下方)にオフセットした位置に取り付けたため、駆動側フック11aと従動側フック11bの各軸14a,14bをロータ回転室3の外周とほぼ接する直線上に配置しても、ステー21とロータ回転室3の外周面との間には少なくとも図2に示すクリアランスδが確保され、ステー21が回動する角度範囲において該ステー21がロータ回転室3の外周に干渉することはない。従って、駆動側フック11aと従動側フック11bをロータ回転室3側に寄せて配置することができ、ロック機構10の設置スペースを縮小して遠心分離機の小型・コンパクト化を図ることができる。
【0036】
又、ロック機構10の駆動源として単一のモータ12を使用し、該モータ12によって駆動側フック11aを駆動して軸14aを中心として回動させ、その回転をステー21を経て従動側フック11bに伝達して該従動側フック11bを同時に回動させて蓋5の開閉をロックするようにしたため、簡単な構成で蓋5を確実にロックして遠心分離機100の安全性を高めることができる。
【0037】
そして、本実施の形態では、モータ12によって直接駆動される駆動側フック11aの係合爪11a−1のガイド部11a−12をフックキャッチ7の係合孔7aに係合させ、フックキャッチ7を下方へ引き込んで蓋5をロータ回転室3の上面開口部周縁のドアパッキン26に密着させるようにし、フックキャッチ7の引き込みを一方の駆動側フック11aのみで行い、他方の従動側フック11bでは行わないようにしたため、フックキャッチ7を引き込むための大きな駆動力をステー21を介して従動側フック11bに伝達する必要がなく、ステー21に作用する捩りトルクを小さく抑えることができ、該ステー21に大きな強度及び剛性が不要となり、その軽量化を図ることができる。尚、フックキャッチ7を駆動側フック11aで引き込んだ後は、駆動側フック11aと従動側フック11bによって蓋5が2箇所で確実にロックされる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る遠心分離機の破断側面図である。
【図2】本発明に係る遠心分離機のロック機構部を示す破断平面図である。
【図3】本発明に係る遠心分離機のロック機構の斜視図である。
【図4】本発明に係る遠心分離機に設けられたロック機構の駆動側フックの形状を示す側面図である。
【図5】本発明に係る遠心分離機に設けられたロック機構の駆動側フックの作用を説明する側面図である。
【図6】本発明に係る遠心分離機に設けられたロック機構の従動側フックの作用を説明する側面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 遠心分離機本体
2 ロータ
3 ロータ回転室
4 駆動装置
5 蓋
6 喋番
7 フックキャッチ
7a フックキャッチの係合孔
8 制御装置
9 操作パネル
10 ロック機構
11a 駆動側フック
11a−1 駆動側フックの係合爪
11a−11 係合爪の係止部
11a−12 係合爪のガイド部
11b 従動側フック
11b−1 従動側フックの係合爪
11b−11 係合爪の係止部
12 モータ
13a,13b フレーム
14a,14b 軸
15 モータ軸
16 リンクシャフト
17 ディスク板
17a ディスク板の切欠き
18 リンク
19,20 ピン
21 ステー
22 ビス
23,24 フォトセンサ
25a,25b リッドセンサ
26 ドアパッキン
100 遠心分離機
【出願人】 【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
【出願日】 平成19年6月11日(2007.6.11)
【代理人】 【識別番号】100092853
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮一


【公開番号】 特開2008−302331(P2008−302331A)
【公開日】 平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願番号】 特願2007−153488(P2007−153488)