トップ :: B 処理操作 運輸 :: B04 物理的または化学的工程を行なうための遠心装置または機械

【発明の名称】 遠心分離機
【発明者】 【氏名】赤津 勝則

【氏名】相沢 正春

【氏名】今野 達也

【要約】 【課題】ロータを含む試料流路の構成部品を蒸気滅菌された高温状態から迅速に冷却することによって遠心分離作業の効率向上を図ることができる遠心分離機を提供すること。

【解決手段】液体試料を分離するためのロータ14と、該ロータ14を回転駆動する駆動部12と、前記ロータ14を収容するチャンバ10を備え、試料流路の構成部品を遠心分離後に蒸気滅菌する遠心分離機において、前記チャンバ10の上部と底部に貫通孔6,5をそれぞれ形成するとともに、各貫通孔5,6に開閉バルブ7,8をそれぞれ設け、蒸気滅菌後に両開閉バルブ7,8を開いて一方の貫通孔5から冷却用の気体(圧縮空気)を前記チャンバ10内に導入し、チャンバ10内の気体を他方の貫通孔6からチャンバ10外に排出することによって、チャンバ10内のロータ14の周囲を気体で冷却する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体試料を分離するためのロータと、該ロータを回転駆動する駆動部と、前記ロータを収容するチャンバを備え、試料流路の構成部品を遠心分離前又は遠心分離後に蒸気滅菌する遠心分離機において、
前記チャンバの上部と底部に貫通孔をそれぞれ形成するとともに、各貫通孔に開閉バルブをそれぞれ設け、前記蒸気滅菌後に両開閉バルブを開いて一方の貫通孔から冷却用の気体を前記チャンバ内に導入し、チャンバ内の気体を他方の貫通孔からチャンバ外に排出することによって、チャンバ内のロータの周囲を気体で冷却するようにしたことを特徴とする遠心分離機。
【請求項2】
試料流路から前記ロータ内に冷却用の気体又は液体を流すことを特徴とする請求項1記載の遠心分離機。
【請求項3】
前記2つの貫通孔を前記ロータの回転軸を中心として周方向に90°〜270°の角度離した位置に配置したことを特徴とする請求項1記載の遠心分離機。
【請求項4】
前記冷却用の気体を排出する側の開閉バルブの開放端にフィルタを設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の遠心分離機。
【請求項5】
前記冷却用の気体を排出する側の開閉バルブの開放端に配管を接続し、該配管の開放端を室外に開口させたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の遠心分離機。
【請求項6】
前記開閉バルブの少なくとも一方を動力式バルブとし、該動力式バルブを制御する制御手段を設けたこと特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の遠心分離機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、液体試料をロータ内に連続的に流しながらロータを高速回転させて液体試料中の微小粒子を遠心分離するための遠心分離機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の遠心分離機としては、特許文献1に開示された液体媒体中のウイルスを分離するための遠心分離機、特許文献2,3に開示された連続遠心分離機等のように、被分離試料を外気と遮断した状態で分離するものが知られている。
【0003】
ここで、従来の遠心分離機を図8及び図9に基づいて説明する。
【0004】
図8は従来の遠心分離機の斜視図、図9は同遠心分離機の回転装置部の縦断面図であり、図示の遠心分離機は、回転しているロータ14に液体試料を連続的に注入してこれを遠心分離するものであって、ウイルス、培養細胞、培養菌体等を大量分離してワクチンや医薬品に使用する原料を精製するため等に用いられる。
【0005】
図8は円筒形のロータ14をチャンバ10に収納する前の吊り下げ状態を示しており、回転装置部101はリフト機構13を備えている。ここで、リフト機構13は、縦長のロータ14を着脱するための駆動部12を備え、該駆動部12の回転軸21に取り付けられたロータ14と共にアッパプレート17をリフト機構13によって上昇、前進、下降させることができ、前進及び下降状態でロータ14を着脱することができる。
【0006】
制御装置部3は、回転装置部101を運転するための駆動部12の電源と、チャンバ10を真空引きするための真空ポンプを備えており、下部軸受部23の冷却用冷却水、ロータ14を冷却するための冷却コイル用を流れる冷媒、試料の注入・排出部であるメカニカルシール24,25(図9参照)を冷却するための冷却水等を供給する。又、制御装置部3は、運転に必要な電源や電気信号を制御する不図示のコントローラを内蔵しており、当該遠心分離機の運転条件である回転数、回転時間、温度等を設定するとともに運転状態を表示し、運転のスタート・ストップのスイッチを有するコントロールパネル31を有している。更に、図示しないが、制御装置3には、冷却水を冷却するための冷凍機、ロータ14を冷却するための冷却コイル用冷媒のための冷凍機、リフト機構13を駆動するための油圧ポンプ、制御弁等を含む油圧ユニットが内蔵されている。
【0007】
又、図8に示す配管・電気配線接続部4は、制御装置部3から回転装置部101を運転するための前記各種電気関係、冷却水、冷媒、真空引き等の供給と制御を行うための接続部分である。
【0008】
図9は遠心分離機の回転装置部101の主要部縦断面を示しており、垂直方向に配設された円筒形のロータ14は、軸方向にそれぞれ延出された中空状の上下回転軸21,22によって支持されており、該ロータ14の内部と回転軸21,22の中空部によって連続的な液体流路が形成されている。
【0009】
又、ロータ14の内部には、円周方向に複数等配に分割された羽根状の隔壁が外周部に突設された交換可能なコア28が配設され、このコア28によって試料の流路が形成されている。上回転軸21は駆動部12に連結され、この上回転軸21にはロータ14を回転駆動する駆動力が伝達される。下回転軸22は、ロータ14を芯出しするため及び回転振動を減衰させるために滑り軸受とその外周部に設けられたダンパを有する下軸受部23によって回転可能に支持されている。尚、上下の滑り軸受は潤滑油によって潤滑されており、ロータ14の回転中は僅かに潤滑油がチャンバ10側に漏れ出してチャンバ10内の底部に溜まる。この廃油を運転停止後に回収するためにチャンバ10の底部には小孔が形成され、該小孔の開放端にはドレンバルブ30が設けられている。
【0010】
更に、上下の回転軸21,22の端部には、メカニカルシール24,25がそれぞれ設けられており、ロータ14と回転軸21,22が高速回転している間もこれらのメカニカルシール24,25を通じて液体試料の流通が行えるように構成されており、メカニカルシール24,25の周りは冷却のために冷却水が流されている。これらのメカニカルシール24,25は、回転軸側部材と回転しない固定シール及び該固定シールを回転軸21,22に当接するスプリング等から構成されており、回転軸21,22が高速回転している間もこれらを通して液体試料の流通が行えるよう構成されている。
【0011】
ロータ14の周りには該ロータ14を冷却のための冷却コイル15が巻装され、その外側には防御壁16が設けられており、これらを取り囲んでチャンバ10が設けられている。チャンバ10は、その下部のベース11と駆動部12の支持部材でもあるアッパプレート17とで真空チャンバを構成しており、該チャンバ10の胴部に設けられた配管接続口から真空引きされるよう構成されており、ロータ14は真空状態にあるチャンバ10内で回転駆動される。
【0012】
以上のように構成された遠心分離機において、遠心分離される液体試料は、不図示のポンプ等の移送手段によって回転装置部101のコネクタ部26(又は27)から供給され、回転軸21(又は22)を経てロータ14内に導入され、ロータ14内で強大な遠心力を受けて遠心分離され、上澄み液が他方の回転軸22(又は21)、メカニカルシール25(又は24)、コネクタ部27(又は26)を経て排出される。そして、排出された遠心処理後の液体試料は不図示の貯蔵容器等に回収される。
【0013】
斯かる遠心分離機において扱われる試料は、例えばインフルエンザウイルス、日本脳炎ウイルス、百日咳ウイルス、エイズウイルス、肝炎ウイルス等であり、それらの出発原料は培養液や動物から採取された細胞や体液等を液体に浮遊させたものであり、本遠心分離機を用いて分離・精製してワクチンや医薬品の原料として用いられている。これらの試料は、他のウイルスや菌、或いは不純物の混入等によって汚染されないように細心の注意が払われる必要がある。医薬品製造、医療の現場においては、医薬品製造機械や器具に付着した細菌や雑菌の滅菌手段として蒸気滅菌(「オートクレーブ」とも言う)が多用されている。
【0014】
しかしながら、遠心分離機では、このような蒸気滅菌は構造的及び部品の材質的に制約があって実施されることがなく、専ら薬液によって滅菌を行う方法が採られていた。薬液滅菌は、使用される薬液によっては効果を有しない細菌や雑菌があって不十分であり、又、これらの細菌や雑菌が遠心分離機の構成部品に接触した場合に構成部品を腐食させたり、変質させることがあった。
【0015】
一方、蒸気滅菌は、その有効範囲は広く、殆どの細菌や雑菌に滅菌効果を有し、又、滅菌効果が蒸気による加熱によって得られるため、遠心分離機の試料流路の構成部品が耐熱性を有していれば適用することができる。近年、特許文献3に開示されているように、遠心分離機用ロータ内に蒸気滅菌可能な金属製コアを挿入し、連続遠心分離機に対しても蒸気滅菌が適用できるようになってきた。
【0016】
又、特許文献4には、引火性を有する試料を取り扱う遠心分離機において、不活性ガスが充填されたロータ室内の酸素濃度を測定し、測定された酸素濃度が予め定められた一定値をオーバーした場合には駆動装置を停止させる技術が提案されている。
【特許文献1】実公昭48−028863号公報
【特許文献2】特公平7−106328号公報
【特許文献3】特開2004−322054号公報
【特許文献4】特開2001−321699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところで、遠心分離機に円筒形ロータを装着して蒸気滅菌した場合、蒸気滅菌温度は最低でも115℃、多くは効果がより高い121℃に設定されることから、それらの高温度から遠心分離時の温度である4℃〜室温まで迅速に円筒形ロータを冷却するには長時間を要し、作業能率が甚だ悪いという問題があった。
【0018】
上記問題の解決策の1つとして、低温の液体を高温の円筒形ロータ内に注入してロータを冷却する方法があるが、注入された液体が高温で沸騰や蒸発する際にロータや遠心分離機の試料流路構成部品の表面に液体中の不純物や組成物が固着し、その後の使用時の試料汚染源になる不都合を生ずることがあった。
【0019】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、ロータを含む試料流路の構成部品を蒸気滅菌された高温状態から迅速に冷却することによって遠心分離作業の効率向上を図ることができる遠心分離機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、液体試料を分離するためのロータと、該ロータを回転駆動する駆動部と、前記ロータを収容するチャンバを備え、試料流路の構成部品を遠心分離前又は遠心分離後に蒸気滅菌する遠心分離機において、前記チャンバの上部と底部に貫通孔をそれぞれ形成するとともに、各貫通孔に開閉バルブをそれぞれ設け、前記蒸気滅菌後に両開閉バルブを開いて一方の貫通孔から冷却用の気体を前記チャンバ内に導入し、チャンバ内の気体を他方の貫通孔からチャンバ外に排出することによって、チャンバ内のロータの周囲を気体で冷却するようにしたことを特徴とする。
【0021】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、試料流路から前記ロータ内に冷却用の気体又は液体を流すことを特徴とする。
【0022】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記2つの貫通孔を前記ロータの回転軸を中心として周方向に90°〜270°の角度離した位置に配置したことを特徴とする。
【0023】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記冷却用の気体を排出する側の開閉バルブの開放端にフィルタを設けたことを特徴とする。
【0024】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れかに記載の発明において、前記冷却用の気体を排出する側の開閉バルブの開放端に配管を接続し、該配管の開放端を室外に開口させたことを特徴とする。
【0025】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5の何れかに記載の発明において、前記開閉バルブの少なくとも一方を動力式バルブとし、該動力式バルブを制御する制御手段を設けたこと特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
請求項1記載の発明によれば、チャンバの上部と底部にそれぞれ形成された貫通孔の一方から冷却用の気体をチャンバ内に導入し、チャンバ内の気体を他方の貫通孔からチャンバ外に排出することによって、チャンバ内のロータの周囲を気体で冷却するようにしたため、ロータを含む試料流路の構成部品を蒸気滅菌された高温状態から迅速に冷却することでき、遠心分離作業の効率向上を図ることができる。
【0027】
請求項2記載の発明によれば、試料流路からロータ内にも冷却用の気体又は液体を流すようにしたため、蒸気滅菌によって高温となったロータを内外から効果的に冷却することができ、ロータを含む試料流路の構成部品を一層迅速に冷却して遠心分離作業の高効率化を図ることができる。
【0028】
請求項3記載の発明によれば、2つの貫通孔をロータの回転軸を中心として周方向に90°〜270°の角度離した位置に配置したため、チャンバ内を流れる気体がロータの外表面を包み込むように流れてロータ等の表面と熱交換し、ロータを含む試料流路の構成部品の冷却効率が高められ、該構成部品を一層迅速に冷却することができる。
【0029】
請求項4記載の発明によれば、冷却用の気体を排出する側の開閉バルブの開放端にフィルタを設けたため、気体によるチャンバ内の強制空冷時に発生した危険試料のチャンバ内対流物がフィルタによって確実にトラップされ、遠心分離機の操作者や関係者に危害が及ぶことがなく、高い安全性を確保することができる。又、遠心分離機をクリーンルームやバイオハザード室に設置して使用する場合は、この部屋のフィルタの目詰まりを生じさせるトラブルを回避することができる。
【0030】
請求項5記載の発明によれば、冷却用の気体を排出する側の開閉バルブの開放端に配管を接続し、該配管の開放端を室外に開口させたため、遠心分離機が設置された部屋の汚染防止や危険防止が図られるとともに、気体が排出される際に生ずる騒音が低減される。
【0031】
請求項6記載の発明によれば、開閉バルブの少なくとも一方を動力式バルブとし、該動力式バルブの開閉を制御手段によって制御するようにしたため、所望の開閉バルブをバルブスイッチ等によって容易に開閉操作することができる。又、遠心分離機の制御部と連携した操作も容易且つ簡便に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0033】
<実施の形態1>
図1は本発明の実施の形態1に係る遠心分離機の正面図であり、該遠心分離機の回転装置部1は、ボルトによって床に固定されており、その右側には所定の間隔をおいて制御装置部3が設置され、これらの回転装置部1と制御装置部3とは接続用各種配管・電気配線4によって接続されている。
【0034】
上記制御装置部3は、上部に当該遠心分離機の運転条件である回転数、回転時間、温度等の設定機能、運転状態表示機能、運転のスタート・ストップスイッチ等を有するコントロールパネル31が設けられ、内部には回転装置部1を運転するための駆動部12の電源(例えばインバータ)、駆動部12や下部軸受部23の冷却用冷却水を供給するためのタンクをそれぞれ設け、更に冷却コイル、冷凍機を備え、又、円筒形のロータ14を冷却するための冷却コイル中を流れる冷媒を送り出す冷凍機、試料の注入・排出部であるメカニカルシール24,25を冷却するための冷却水等をコントロールするバルブ、チャンバ10の内部を真空引きするための真空ポンプを備えており、駆動部用インバータや運転に必要な電源や電気信号を制御するコントローラを内蔵している。
【0035】
又、制御装置部3は、リフト機構13を動作させるために高圧の油を供給・制御する油圧ユニット及び駆動部12を冷却するための冷却装置を有しており、その左下には、下部軸受部23内部のメカニカルシール部用冷却水のタンク32やメカニカルシール冷却水配管33を備えている。
【0036】
次に、回転装置部1の構成の詳細を図2に基づいて説明する。
【0037】
図2は回転装置部1の正断面図であり、図示のように、チャンバ10の下方には、チャンバ10内に通ずる底部貫通孔5に連結された底部バルブ7が設けられ、チャンバ10の上方には、チャンバ10内に通ずる上部貫通孔6に連結された上部バルブ8が設けられている。又、回転装置部1は、ロータ14の着脱のためのリフト機構13が動作してロータ14部をチャンバ10から上方に抜き出し、これを前方に移動及び下降させてロータ14の着脱が行えるよう構成されている。
【0038】
チャンバ10は、床にボルトで固定されたベース11の上にボルトで固定されており、該チャンバ10の上面開口部は蓋としてのアッパプレート17が被着され、該アッパプレート17の上に駆動部12が搭載されている。
【0039】
垂直方向に配設された円筒形のロータ14は、駆動部12と下軸受部23から軸方向にそれぞれ延出された中空状の上下回転軸21,22によって回転可能に支持されており、該ロータ14の内部と回転軸21,22の中空部とを連結する通路によって連続的な試料流路が形成されている。そして、ロータ14の内部には、円周方向に複数等配に分割する羽根状の隔壁が外周部に突設された交換可能なコア28が配設され、このコア28によって試料流路が形成されている。
【0040】
ところで、ロータ14は、例えば40,000rpmという高速回転に耐えるために、通常はチタン合金で構成されており、外径160mm、長さ約800mmの中空部品であり、その質量は約25kg程度である。又、ロータ14内に挿入されているコア28は、試料をロータ14の内径壁側方向の遠心加速度が高い位置まで導く目的で使用されており、これにはロータ14と同様に高強度が必要であり、又、蒸気滅菌に耐えるためにチタン合金等の耐熱性の高い金属で構成されている。
【0041】
上回転軸21は、駆動部12に連結され、これにはロータ14を回転駆動する駆動力が伝達される。下回転軸22は、ロータ14を芯出しするため及び回転振動を減衰させるために滑り軸受及びその外周部に設けられたダンパを有する下軸受部23で回転可能に支持されている。そして、上下の回転軸21,22の端部には、メカニカルシール24,25が設けられており、ロータ14及び回転軸21,22が高速回転している間もこれらを通じて液体試料の流通が行えるよう構成されており、メカニカルシール24,25の周りは冷却のために冷却水が流されている。
【0042】
ここで、メカニカルシール24,25は、回転軸側部材と回転しない固定シール及び該固定シールを回転軸21,22に当接させるスプリング等から構成されており、回転軸21,22が高速回転している間もこれらを通して液体試料の流通が行えるように構成されている。
【0043】
ロータ14の周りには、該ロータ14を冷却するための冷却コイル15が巻装され、その外側には防御壁16が設けられており、これらを取り囲んでチャンバ10が設けられている。チャンバ10は、その下部のベース11と駆動部12の支持部材でもあるアッパプレート17とで真空チャンバを構成しており、該チャンバ10の胴部に設けられた配管接続口から真空引きされるようになっており、ロータ14は真空状態にあるチャンバ10内で回転駆動される。
【0044】
又、チャンバ10の底部を構成するベース11には、チャンバ10内に通ずる底部貫通孔5が形成されており、該底部貫通孔5の下部開放端には底部バルブ7が結合されている。同様に、チャンバ10の上方のアッパプレート17には、チャンバ10内に通ずる上部貫通孔6が形成されており、該上部貫通孔6の上部開放端には上部バルブ8が結合されている。
【0045】
このように構成された回転装置部1の蒸気滅菌は、遠心分離を開始する前の試料流路の滅菌、又は危険な試料を分離した後の試料流路の滅菌を目的に実施される。具体的には、図2に示す状態で、蒸気が上部試料用コネクタ部26から導入され、下部試料用コネクタ部27から排出されるが、その先で圧力や結露水の制御がなされ、ロータ14を含む試料流路が所定温度(例えば、121℃)で所定時間(例えば、20分間)保持されることにより滅菌される。蒸気滅菌の所定時間が経過した後に蒸気の供給が停止されるが、チタン合金製であるロータ14やコア28は熱容量が大きく、これらを常温まで自然冷却するには5〜8時間の長時間を要し、作業能率が甚だ悪い。
【0046】
そこで、本実施の形態では、ベース11に設けた底部バルブ7に不図示の気体注入用配管を接続し、底部バルブ7を開いて気体注入用配管から例えば圧縮空気をチャンバ10内に導入し、アッパプレート17に設けた上部バルブ8を開いて圧縮空気をチャンバ10外へと排出することによって、圧縮空気がロータ14の外周部を流れながらロータ14から熱を奪って該ロータ14を強制的に冷却するようにしている。これと同時に、上部試料用コネクタ部26から圧縮空気を試料流路に導入し、下部試料用コネクタ部27から圧縮空気を排出してロータ14の内面とコア28を強制的に冷却するようにしている。このような形態で、実際に圧縮空気の圧力を0.5MPaとして実験した結果、121℃から20℃までの冷却時間は約1.5時間であり、自然冷却に比較して冷却時間を1/5〜1/4に大幅に短縮することができた。又、強制空冷で例えば60℃まで冷却し、その後、試料流路への液体注入による冷却方法を併用すると、121℃から20℃までの合計冷却時間を約45分に短縮することができ、実用上何ら問題ない値まで短縮することができた。
【0047】
図3及び図4は本実施の形態に係る回転装置部1を示す図であり、図3はチャンバ10部の上面図であって、チャンバ10内に通ずる底部貫通孔5とアッパプレート17に形成された上部貫通孔6との位置関係を示しており、両貫通孔5,6を周方向に図示の角度θだけ離して配置することによってロータ14等の強制冷却の効率向上を図ることができる。ここで、角度θとしては90°〜270°が適当であるが、その理由を図4に基づいて以下に説明する。
【0048】
即ち、図4は回転装置部1の正断面図であり、底部貫通孔5と下部貫通孔6を図3に示すようにロータ14の回転軸を中心として周方向に角度θ(90°〜270°)だけ離して配置することによって、底部バルブ7を通って底部貫通孔5からチャンバ10内に導入された圧縮空気は、図4に矢印40にて示すようにロータ14の外表面を包み込むように流れて該ロータ14の表面と熱交換し、ロータ14を効率良く冷却するためである。因みに、両貫通孔5,6の周方向の配置角度θが90°未満である場合には、圧縮空気の大部分は特定幅の流れとなり、例えば角度が180°側(ロータ14の裏側)の圧縮空気の流れが小さく、ロータ14との熱交換が進まない状態となり、ロータ14の冷却効率が悪くなると考えられる。
【0049】
尚、本実施の形態では、圧縮空気をチャンバ10内の底部から導入し、チャンバ10の上部から圧縮空気を排出するとともに、上部試料用コネクタ部26からの圧縮空気をロータ14内で上方から下方に向かって流すようにしたが、圧縮空気の流れは逆であっても良い。又、本実施の形態では、冷却用空気として圧縮空気を用いたが、これに代えて窒素ガス等の不活性ガスを用いても良い。
【0050】
又、チャンバ10とロータ14内に圧縮空気を流してロータ14の温度が或る程度下がると、ロータ14内に蒸留水を流してロータ14を冷却するようにしても良い。或いは、チャンバ10内には圧縮空気を流しながら、同時にロータ14内には蒸留水を流しても良く、チャンバ10内に圧縮空気を流してロータ14の温度が或る程度下がると、ロータ14内に蒸留水を流すようにしても良い。
【0051】
ところで、底部バルブ7と上部バルブ8を図5に示すように電気や空気圧で動作するバルブ駆動部7A,8Aを備えた動力式バルブで構成し、これらの底部バルブ7と上部バルブ8をバルブ用スイッチ42によって駆動されるバルブ駆動源41によって開閉するようにしても良い。或いは、遠心分離機制御部43によってバルブ用スイッチ42を操作して底部バルブ7と上部バルブ8を自動で開閉させるようにしても良い。尚、図示例では、底部バルブ7と上部バルブ8の双方を動力式バルブで構成したが、何れか一方のみを動力式バルブとしても良い。
【0052】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2を図6に基づいて説明する。
【0053】
図6は本発明の実施の形態2に係る遠心分離機の回転装置部の正断面図であり、本図においては図1〜図4において示したものと同一要素には同一符号を付しており、以下、それらについての再度の説明は省略する。
【0054】
本実施の形態に係る遠心分離機は、チャンバ10の上部に被着されたアッパプレート17に設けられた上部バルブ8の開放端にエアフィルタ9を設けたことを特徴としており、他の構成は前記実施の形態1に係るものと同じである。
【0055】
連続遠心分離機で扱う試料には、前述のようにウイルスや細菌等の生物に危険をもたらす可能性があるものである。この種の試料が遠心分離機での取扱中にロータ14から漏れ出てチャンバ10内に放出されることが起こり得る。このような場合、圧縮空気等の気体によるチャンバ10内の強制空冷時に危険な試料のチャンバ10内で対流する可能性があり、チャンバ10内で対流する危険な試料は、アッパプレート17に設けた上部バルブ8の開放端から大気中に放出され、遠心分離機の操作者や関係者にとって好ましくない事態を引き起こすことがあり得る。
【0056】
而して、本実施の形態では、アッパプレート17に設けられた上部バルブ8の開放端にエアフィルタ9を設けたため、チャンバ10内に対流する危険物質はエアフィルタ9によって確実にトラップされ、高い安全性が確保される。
【0057】
ところで、遠心分離機をクリーンルームやバイオハザード室に設置して使用する場合は、強制空冷用の気体が部屋内に放出されるが、チャンバ10内のゴミや異物が気体と共に上部バルブ8の開放端から放出されることは好ましいことではない。なぜならば、これらの部屋は、気体の流入・流出を制限しており、境界にはHEPAフィルタ等のフィルタが設けられているが、この部屋のフィルタの目詰まりを生じさせる原因になるからである。
【0058】
尚、エアフィルタ9のメッシュ(目の粗さ)は、危険物質をトラップできる細かさが必要であり、一般的にウイルスや細菌をトラップするには、1〜2μmメッシュのものが使用される。
【0059】
<実施の形態3>
次に、本発明の実施の形態3を図7に基づいて説明する。
【0060】
図7は本発明の実施の形態3に係る遠心分離機の回転装置部の正断面図であり、本図においては図6において示したものと同一要素には同一符号を付しており、以下、それらについての説明は省略する。
【0061】
本実施の形態では、チャンバ10の上方のアッパプレート17に設けられた上部バルブ8に配管34を接続し、該配管34を間仕切り壁36を貫通して遠心機設置室外37へと延長し、その開放端35を室外37に開口させ、チャンバ10内に導入された冷却用の気体を配管34から室外に排出するようにしており、他の構成は前記実施の形態1,2のそれと同じである。
【0062】
而して、本実施の形態によれば、遠心分離機が設置された部屋の汚染防止や危険防止が図られるとともに、気体が排出される際に生ずる騒音が低減されるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態1に係る遠心分離機の正面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る遠心分離機の回転装置部の正断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る遠心分離機のチャンバ部の上面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る遠心分離機の圧縮空気の流れを示す回転装置部の正断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る遠心分離機の底部バルブと上部バルブの駆動制御系の一例を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る遠心分離機の回転装置部の正断面図である。
【図7】本発明の実施の形態3に係る遠心分離機の回転装置部の正断面図である。
【図8】従来の遠心機分離機の斜視図である。
【図9】従来の遠心分離機の回転装置部の縦断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 回転装置部
3 制御装置部
4 配管・電気配線接続部
5 底部貫通孔
6 上部貫通孔
7 底部バルブ
7A 底部バルブの駆動部
8 上部バルブ
8A 上部バルブの駆動部
9 エアフィルタ
10 チャンバ
11 ベース
12 駆動部
13 リフト機構
14 ロータ
15 冷却コイル
16 防御壁
17 アッパプレート
21 上回転軸
22 下回転軸
23 下軸受部
24,25 メカニカルシール部
26,27 試料用コネクタ部
28 コア
30 ドレンバルブ
31 コントロールパネル
32 冷却水タンク
33 メカニカルシール冷却水配管
34 配管
35 配管の開放端
36 間仕切り壁
37 遠心機設置室外
40 気体の流れ(矢印)
41 バルブ駆動源
42 バルブスイッチ
43 遠心分離機制御部
【出願人】 【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
【出願日】 平成19年5月31日(2007.5.31)
【代理人】 【識別番号】100092853
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮一


【公開番号】 特開2008−296125(P2008−296125A)
【公開日】 平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願番号】 特願2007−144677(P2007−144677)