トップ :: B 処理操作 運輸 :: B04 物理的または化学的工程を行なうための遠心装置または機械

【発明の名称】 遠心分離機
【発明者】 【氏名】綿引 孝之

【要約】 【課題】試料を高温で遠心分離する必要がある場合に低価格で目的を達成することができる遠心分離機を提供すること。

【解決手段】駆動源であるモータ13と、該モータ13によって回転されるロータ10と、該ロータ10を収容する遠心室18と、前記ロータ10及び該ロータ10に収容した試料を冷却するための冷凍機15と、ロータ10に収容した試料を遠心分離するための運転条件を入力する入力装置23と、運転状態を表示する表示部21を備え、ロータ10に収容した試料を高温で遠心する遠心分離機において、予備運転により予熱を行い、前記ロータ10を収容する遠心室8及びロータ10が目的の温度に到達したときにメロディー及びメッセージにより通知する予熱モード機能を付加する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源であるモータと、該モータによって回転されるロータと、該ロータを収容する遠心室と、前記ロータ及び該ロータに収容した試料を冷却するための冷凍機と、ロータに収容した試料を遠心分離するための運転条件を入力する入力装置と、運転状態を表示する表示部を備え、ロータに収容した試料を高温で遠心する遠心分離機において、
予備運転により予熱を行い、前記ロータを収容する遠心室及びロータが目的の温度に到達したときにメロディー及びメッセージにより通知する予熱モード機能を付加したことを特徴とする遠心分離機。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、試料を高温で遠心分離するために、予め回転体を収容する遠心室及び回転体を予熱する予備運転による予熱モード機能を備えた遠心分離機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遠心分離機は様々なウィルスの検査を行うために検査施設において使用されているが、ウィルス検査を行う検体によっては高温で遠心分離を行う場合がある。高級な機種では、ロータを収容する遠心室内を高温に保つためヒータ機能を持たせたものがある。
【0003】
一方、低価格機ではヒータ機能を持たず、ロータを大気中で回転させて該ロータの回転に伴う摩擦熱の発生によりロータを収容する遠心室内の温度を上昇させ、ロータ及び該ロータに収容された試料を遠心分離機の周囲温度よりも高温に保って遠心分離を行っている。或るウィルス検査で使用するロータは発熱が大きく、運転開始後10分程度で遠心室内及びロータをウィルスの検査に使用する温度に到達させることができる。
【特許文献1】特願平3−135460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウィルス検査を行う場合は、試料が少量であり、遠心分離を行う回転速度が比較的低速で短時間の運転であることから低価格機の使用が適切な場合がある。
【0005】
しかし、短時間の運転を行うには、予め遠心室内と試料を収容したロータを予熱しておく必要がある。低価格機にはヒータ機能が無いことから、特別にヒータ機能を追加することが考えられるが、ヒータ機能を追加するには高額な費用が掛かる。
【0006】
又、ヒータ機能を追加しない場合には、予備運転を行って予熱する方法が考えられるが、遠心室内と試料を収容したロータがどの時点で目的とする温度に到達して予備運転が終了したのかが不明確なため、前処理に無駄な時間を費やしてしまう場合がある。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、試料を高温で遠心分離する必要がある場合に低価格で目的を達成することができる遠心分離機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、駆動源であるモータと、該モータによって回転されるロータと、該ロータを収容する遠心室と、前記ロータ及び該ロータに収容した試料を冷却するための冷凍機と、ロータに収容した試料を遠心分離するための運転条件を入力する入力装置と、運転状態を表示する表示部を備え、ロータに収容した試料を高温で遠心する遠心分離機において、予備運転により予熱を行い、前記ロータを収容する遠心室及びロータが目的の温度に到達したときにメロディー及びメッセージにより通知する予熱モード機能を付加したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ウィルス検査を行う場合、検体を高温で遠心分離する前に予備運転を行い、ロータを収容する遠心室とロータを予熱し、遠心室及びロータが目的の温度に到達したときにメロディー及びメッセージにより通知する予熱モード機能を用いれば、ヒータ機能を追加する高額な費用を削減することができる。又、予備運転の終了を通知することによって予備運転の終了が明確となり、前処理に要する無駄な時間を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
先ず、本発明に係る遠心分離機の概略構成を図1に基づいて説明する。
【0012】
図1は本発明に係る遠心分離機の概略構成図であり、図示のように、筐体19の上部は操作パネル21となっており、この操作パネル21には、運転するロータ10のNo.を設定・表示するロータNo.設定・表示部1と、回転速度の設定及び実測回転速度を表示する回転速度の設定・表示部2と、回転速度・運転時間・制御温度等の設定データを入力するジョグダイヤル3と、運転時間の設定及び経過/残時間を表示する運転時間設定・表示部4と、温度の設定及び実測温度を表示する温度設定・表示部5と、設定した各種運転条件で運転を開始する場合に使用するスタートSW6と、運転を開始後故意に運転を停止したい場合に使用するストップSW7等が設けられている。
【0013】
又、筐体19の内部には、チャンバ9に囲まれた遠心室8が設けられており、その内部には、遠心分離すべき検体を収容する試験管17とそれを格納するロータ10が収容されている。
【0014】
上記ロータ10は、シャフト11によりモータ13の駆動により回転する。回転制御は、回転センサ16から制御装置14に入力される回転計測信号が予め設定された回転速度となるようモータ13をフィードバック制御することによってなされる。又、温度制御は、遠心室8内に設けられた温度センサ12から制御装置14に入力される温度計測信号により遠心室8内のロータ10の温度が予め設定された温度になるように冷凍機15をフィードバック制御することによってなされる。そして、ロータ10及び試験管17の出し入れはドア18を開閉して行う。
【0015】
次に、本発明に係る遠心分離機の制御系の構成を図2に示すブロック図に基づいて説明する。
【0016】
遠心室8内は大気状態であり、その内部でロータ10が回転すると該ロータ10の回転に伴う摩擦熱が発生する。このロータ10の空気との摩擦による発熱量はロータ10の形状・サイズ(重量)や回転速度によって異なるため、温度センサ12によって検出される温度とロータ10の実際の温度との間に差が生じる。このため、形状やサイズ(重量)の異なる各種ロータ毎に回転速度に対する温度補正値を予めフラッシュメモリ26に記憶しておき、CPU24はフラッシュメモリ26に格納されている使用ロータに対応した温度補正値を取り出し、これを設定温度に加算して制御温度を算出し、温度センサ12の温度が制御温度となるように冷凍機15をオン/オフ制御する。
【0017】
予熱モードであることを操作パネル21の入力部23から認識したCPU24は、操作パネル21の表示部22に予熱モードの表示を行うと同時にEEPROM25に予熱モードであることを記憶する。CPU24は、予熱モードである場合に、温度センサ12の温度計測信号が制御温度に到達後一定時間安定した温度に保たれたことを確認した場合、予熱終了と判断する。
【0018】
次に、実際の予熱モードの使用手順を図3に示すフローチャートに従って説明する。
【0019】
予熱モードは、前述のように予備運転を行ってロータを収容する遠心室及びロータを予熱するモードのことであり、予備運転は予熱を最短の時間で行うために使用するロータや回転速度、設定温度等を予め規定した運転のことである。
【0020】
先ず、TEMP SWを5秒以上長押しして予熱モードに切り替える(ステップ31)。予熱モードの間、TEMP表示部を点滅するようにし、予熱モードであることが分かるようにすると同時に、予備運転の運転条件(回転速度、運転時間、設定温度)を自動的に設定するようにする(ステップ32)。そして、予備運転のために検体を入れないロータ10を搭載してドア18を閉じる(ステップ33)。
【0021】
次に、スタートSW6を押して予備運転を開始する(ステップ34)。運転時間の設定は規定せず、遠心室8の温度センサ12の入力値が制御温度となった場合に、予備運転終了のブザーを鳴らしTIME表示部とTEMP表示部に予備運転終了の意味の「End」表示を行うようにする(ステップ35)。
【0022】
遠心分離機の使用者は、予備運転終了ブザー及び予備運転終了表示「End」を確認した後、ストップSW7を押して遠心分離を終了する(ステップ36)。その後、遠心分離機が停止すると、操作パネル21の設定値を使用者が設定していた運転条件に自動的に戻すようにする(ステップ37)。
【0023】
以上で予熱モードが終了し、通常の運転を行うモードとなる。予備運転終了表示「End」は何らかのSWが押されたときにクリアされる。
【0024】
尚、予備運転を行い、ロータ10を収容する遠心室8が目的の温度に到達したときにメロディー及びメッセージにより通知すると同時に、遠心分離機を停止させるようにしても良い。
【0025】
以上のように、ウィルス検査を行う場合、検体を高温で遠心分離する前に予備運転を行い、ロータ10を収容する遠心室8とロータ10を予熱し、遠心室8及びロータ10が目的の温度に到達したときにメロディー及びメッセージにより通知する予熱モード機能を用いれば、ヒータ機能を追加する高額な費用を削減することができる。
【0026】
又、予備運転の終了を通知することによって予備運転の終了が明確となり、前処理に要する無駄な時間を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る遠心分離機の概略構成図である。
【図2】本発明に係る遠心分離機の制御ブロック図である。
【図3】本発明に係る遠心分離機の予熱モード操作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0028】
1 ロータNo.設定・表示部
2 回転速度設定・表示部
3 ジョグダイヤル
4 運転時間設定・表示部
5 温度設定・表示部
6 スタートSW
7 ストップSW
8 遠心室
9 チャンバ
10 ロータ
11 シャフト
12 温度センサ
13 モータ
14 制御装置
15 冷凍機
16 回転センサ
17 試験管
18 ドア
19 筐体
21 操作パネル
22 表示部
23 入力部
24 CPU
25 EEPROM
26 フラッシュメモリ
【出願人】 【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
【出願日】 平成19年4月13日(2007.4.13)
【代理人】 【識別番号】100092853
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮一


【公開番号】 特開2008−259976(P2008−259976A)
【公開日】 平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願番号】 特願2007−105449(P2007−105449)