トップ :: B 処理操作 運輸 :: B04 物理的または化学的工程を行なうための遠心装置または機械

【発明の名称】 遠心分離機
【発明者】 【氏名】赤津 幸一

【氏名】大山 久延

【氏名】高橋 廣之

【要約】 【課題】遠心分離機において加速運転から設定回転数に到達した後の整定(定速)運転の表示は、ロータ制御技術の向上によりロータの回転数が安定するようになったので、表示装置による整定運転中の回転数表示素子と運転状態表示素子が安定な点灯状態となり、かつ整定運転音が静音となった。そのため、視覚的、聴覚的に整定運転を確認し難いという問題がある。

【解決手段】上記問題点を解決するために、ロータ3が設定回転数Ndに到達した後の整定運転中に、表示装置52の複数の数字表示素子52aおよび52bの表示セグメント(LED)a〜fを、一定時間毎に、かつ所定時間間隔をおいて順次点灯させることによって一個の表示装置として回転表示させる。これによって、部品点数を新たに追加することなく、整定運転状態の確認を視覚的に容易に判別することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心分離する試料を保持するためのロータと、該ロータを回転駆動するための駆動装置と、前記ロータの運転条件を入力する入力スイッチを含む入力装置と、前記入力スイッチによって入力した前記運転条件または運転状態を表示するための表示装置と、前記入力スイッチからの入力信号に基づいて前記駆動装置および前記表示装置を制御するための制御装置と、を具備する遠心分離機において、
前記表示装置は、複数桁の数字を表示するように配列された複数の数字表示素子から構成され、かつ前記複数の数字表示素子の各々は、種々の数字を表示するように配列された複数の表示セグメントから構成され、
前記制御装置は、前記ロータが設定回転数に到達した時に、前記表示装置を構成する前記複数の数字表示素子の表示セグメントを選択的に視覚的に一定時間ごとに点灯させることによって、前記ロータが設定回転数で整定回転中であることを示す回転表示形態を表示させることを特徴とする遠心分離機。
【請求項2】
前記回転表示形態は、前記表示装置における前記複数の数字表示素子の表示セグメントを、一定時間ごとに点灯させることによって回転表示させることを特徴する請求項1に記載された遠心分離機。
【請求項3】
前記回転表示形態は、前記表示装置における前記複数の数字表示素子の表示セグメントを英字形式に表示させ、一定時間ごとに点灯させることによって回転表示させることを特徴する請求項1に記載された遠心分離機。
【請求項4】
前記制御装置は、前記ロータを設定回転数で、かつ設定運転時間で回転させた後に減速運転モードに制御する時、前記回転表示形態から前記運転状態を表示する運転表示形態に戻るように制御することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載された遠心分離機。
【請求項5】
前記入力装置は停止指示用スイッチを有し、前記制御装置は、前記ロータが設定回転数で回転中である整定回転時に、前記停止指示用スイッチの入力に基づいて、前記ロータを減速運転モードに移行させ、前記回転表示形態から前記運転状態を表示する運転表示形態に戻るように制御することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載された遠心分離機。
【請求項6】
前記制御装置は、前記ロータが設定回転数で回転中である整定回転時に、所定のタイミングで周期的に前記回転表示形態から前記整定運転の回転数を表示する運転表示形態に戻るように制御することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載された遠心分離機。
【請求項7】
前記表示装置は、前記ロータの運転時間の経過とともに運転状態の表示形態から前記回転表示形態へ変更して表示することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載された遠心分離機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の遠心分離に重要な整定運転の状態を表示するための表示装置を具備する遠心分離機に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心分離機では、ロータに保持される分離する試料の条件に対応させてロータの回転数および運転時間、ならびにロータまたはロータ室の温度等が設定され、制御される。これら試料の分離に必要な設定条件および運転状態を表示させるために表示装置が設けられ、かつ試料を遠心分離する条件を入力させるための入力装置が設けられる。ここで、表示装置としては、発光素子(LED)等から成る複数の表示セグメント(例えば、7セグメントLED)によって構成する数字表示素子を複数桁分組合せて構成したものが使用される。
【0003】
この遠心分離機における数字表示素子で構成した表示装置は、例えば下記特許文献1に開示されているように、入力装置によって入力された設定回転数、設定運転時間および設定温度等の設定分離条件と、現在回転数、現在運転時間および現在温度等の運転状態とを表示するものが一般的である。すなわち、一つの表示装置によって、例えば設定回転数等の設定条件と、例えば現在回転数等の運転状態との2種類の情報を表示させることによって表示装置の小型化を図っている。
【0004】
近時、遠心分離機におけるロータまたは駆動モータの回転制御技術は向上しつつあり、ロータが設定回転数到達後の整定運転において、その回転数の変動値を小さく制御できるため、表示装置におけるロータの回転数表示は、設定運転時間の間、長時間変動することなく一定回転(整定回転)することになる。また、モータ等の駆動部における静音化技術が向上した反面、運転中の遠心分離機を離れると騒音が聞こえず、遠心分離機に近づいてから始めてロータが運転状態にあることに気付く場合がしばしばある。特に、ロータの回転数が低い設定回転数到達後の整定運転の場合は、遠心分離機からの音がさらに小さくなることから、作業者が遠心分離機の隣で作業していてもその運転音(静音)に気付き難く、作業管理または作業効率上の問題が発生する場合がある。このために、特許文献1に開示された技術では、整定運転に到達した場合、表示装置に表示される整定運転状態の回転数および運転時間を拡大して表示することが行われている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−301029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
遠心分離機の整定運転状態の確認は、例えば、表示装置の回転数表示部における現在回転数の表示と、ロータ(またはモータ)の運転開始スイッチ(STARTスイッチ)に一体に設けられた、整定運転時に点灯表示する運転表示灯(例えば、発光素子)とから視覚的に判断できるが、一瞬、視覚的に静的に見える回転数表示部および整定運転表示部は変化がないこと、また遠心分離機は静音であることから、ロータが停止しているものと錯覚を感じる場合がある。
【0007】
逆に、遠心分離機の停止中の状態確認は、表示装置の回転数表示部で回転が停止していることを示す0(rpm)の表示と、ロータの運転停止スイッチ(STOPスイッチ)に一体に設けられた、ロータ停止時に点灯表示する停止表示灯(例えば、発光素子)とから確認できるので、特別な問題は生じない。また、遠心分離機の加速または減速運転中の状態確認は、上記回転数表示部に時間経過とともに変化していく現在回転数の表示と、運転開始スイッチ(STARTスイッチ)の運転表示灯の点滅または運転停止スイッチ(STOPスイッチ)の点滅とによって比較的に明確に判断できる。
【0008】
しかしながら、上述したように、遠心分離機の設定回転数到達後における整定運転中の状態確認は、殆ど視覚的に変化のない回転数表示と運転開始スイッチの運転表示灯の点灯とに基づいて行うことから、また、遠心分離機の運転音が静音化されていることから視覚的、聴覚的に確認し難いという問題点がある。
【0009】
したがって、本発明の目的は、上記したような従来技術の問題点をなくし、使用者がロータの整定運転中(一定回転中)の運転状態を容易に確認できるように、視覚的に容易に整定運転状態を判別できる表示装置を持つ遠心分離機を提供することにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、新たな部品点数を追加することなく、整定運転状態を明確に表示させ得る遠心分離機の表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本願において開示される発明のうち代表的なものの特徴を説明すれば、次のとおりである。
【0012】
本発明の一つの特徴によれば、遠心分離する試料を保持するためのロータと、該ロータを回転駆動するための駆動装置と、前記ロータの運転条件を入力する入力スイッチを含む入力装置と、前記入力スイッチによって入力した前記運転条件または運転状態を表示するための表示装置と、前記入力スイッチからの入力信号に基づいて前記駆動装置および前記表示装置を制御するための制御装置とを具備する遠心分離機において、前記表示装置は、複数桁の数字を表示するように配列された複数の数字表示素子から構成され、かつ前記複数の数字表示素子の各々は、種々の数字を表示するように配列された複数の表示セグメントから構成され、前記制御装置は、前記ロータが設定回転数に到達した時に、前記表示装置を構成する前記複数の数字表示素子の表示セグメントを選択的に視覚的に一定時間ごとに点灯させることによって、前記ロータが設定回転数で整定回転中であることを示す回転表示形態を表示させる。
【0013】
本発明の他の特徴によれば、前記回転表示形態は、前記表示装置における前記複数の数字表示素子の表示セグメントを、一定時間ごとに点灯させることによって回転表示させる。
【0014】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記回転表示形態は、前記表示装置における前記複数の数字表示素子の表示セグメントを英字形式に表示させ、一定時間ごとに点灯させることによって回転表示させる。
【0015】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記制御装置は、前記ロータを設定回転数で、かつ設定運転時間で回転させた後に減速運転モードに制御する時、前記回転表示形態から前記運転状態を表示する運転表示形態に戻るように制御する。
【0016】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記入力装置は停止指示用スイッチを有し、前記制御装置は、前記ロータが設定回転数で回転中である整定回転時に、前記停止指示用スイッチの入力に基づいて、前記ロータを減速運転モードに移行させ、前記回転表示形態から前記運転状態を表示する運転表示形態に戻るように制御する。
【0017】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記制御装置は、前記ロータが設定回転数で回転中である整定回転時に、所定のタイミングで周期的に前記回転表示形態から前記整定運転の回転数を表示する運転表示形態に戻るように制御する。
【0018】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記表示装置は、前記ロータの運転時間の経過とともに運転状態の表示形態から前記回転表示形態へ変更して表示する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の上記特徴によれば、遠心分離機の設定回転数到達後の整定運転状態を視覚的に容易に判別し確認できるので、不用意な主電源の切断を防止し、また遠心分離機に係る作業管理を確実にして作業ミスを防止できる。特に、少量の分離試料(サンプル)については作業ミスを防止できるので、効率の良い遠心分離作業が実現できる。
【0020】
さらに、本発明の上記特徴によれば、新たに部品を追加することなく、整定運転状態を表示させるので、小型な表示装置を有し、かつ製造コストが安価である遠心分離機を提供できる。本発明は、特に小型の遠心分離機に適用して好適である。
【0021】
本発明の上記および他の目的、ならびに上記および他の特徴は、以下の本明細書の記述および添付図面よりさらに明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一機能を有する部材には同一符号を付し、その繰り返しの説明を省略する。
【0023】
図1は本発明の実施形態に係る遠心分離機の機能ブロック図、図2は図1に示す遠心分離機の表示装置および入力装置の構成図を示す。図1に示すように、本発明の遠心分離機1は、金属材料のボウル等を含む隔壁部材32およびドア33によって区画されたロータ室34を有し、ロータ室34には遠心分離する試料を保持するロータ3が配設されている。ロータ3は、駆動部4の回転出力軸41に着脱自在に装着され、駆動部4によって回転駆動される。ロータ3には分離する試料に応じてアングルロータまたはスイングロータが使用できる。
【0024】
駆動部4は、図示されていないが、例えば3相ブラシレス直流モータ等のモータから構成され、モータの電機子巻線に流れる電流をパルス幅変調信号(PWM信号)で制御することによって、ロータ3の回転数を制御する。駆動部4の回転出力軸41には、ロータ3の回転数を検出するための回転検出センサ31が取付けられている。回転検出センサ31は、例えば、回転出力軸41に穴の空いた円盤を取付け、円盤の穴の有無をホトインタラプト等で電気信号として検出する構造となっている。
【0025】
冷凍機6は、ロータ室34を冷却し、ロータ3の温度を所定温度に制御するために設けられている。
【0026】
入力・表示装置5は、ロータ3の設定回転数、設定運転時間および設定温度等の運転条件を入力するための入力装置5bと、それらの設定運転条件またはロータ3の現在の運転状態を表示するための表示装置5aとから成り、図2に示すように、入力装置5bと表示装置5aとは、パネル形式に一体化されている。このパネル形式の入力・表示装置5については後述する。
【0027】
制御装置2は、ロータ3の回転制御、ロータ室34の温度制御等を実行するために設けられ、CPU(演算制御部)20と、メモリ部21と、駆動制御部22と、回転数制御部23と、表示制御部24と、入力検出部25と、温度制御部26とから構成され、それらはバス20aによって相互に電気的接続されている。
【0028】
CPU20は、ロータ3の運転制御を行う制御信号を出力するために設けられている。
【0029】
メモリ部21は、CPU20の処理プログラムや制御データを保存するROMやEEPROM等の不揮発性メモリ、CPU20の作業領域の記憶や、入力装置5bから入力された遠心分離機の運転条件に関するデータ(回転数、運転時間、温度、加速勾配、減速勾配、ロータ形式、使用者等のデータ)の一時記憶を行うためのRAM(ランダム・アクセス・メモリ)等の半導体メモリを含んでいる。
【0030】
駆動制御部22は、CPU20から出力されるロータ3の回転制御信号に基づいてモータを含む駆動部4の回転を制御する。
【0031】
回転数検出部23は、回転検出センサ31によって検出された信号を波形整形し、制御装置2のCPU20へ回転数信号として出力する。CPU20は、ロータ3の現在回転数を認識する。
【0032】
表示制御部24は、表示装置5aの複数の数字表示素子(例えば、7セグメントLED)を点灯、点滅または消灯するために設けられている。
【0033】
入力検出部25は、入力装置5bの入力スイッチによって入力された信号を検出してCPU20へ出力するための回路である。
【0034】
温度制御部26は、冷凍機6を駆動制御してロータ室34(ロータ3)を所定温度に冷却するための制御回路装置である。
【0035】
次に、上述した入力装置5bおよび表示装置5a(入力・表示装置5)の実施例について、図2を参照して説明する。
【0036】
図2に示すように、入力・表示装置5は、入力装置5bと表示装置5aとから成る。表示装置5aは、回転数表示部51と、運転時間表示部52と、ロータ室34(図1参照)の温度表示部53とを有する。
【0037】
回転数表示部51は、ロータ3の回転数における百の位以上の3桁を表示するために、3つの数字表示素子51a、51b、51cを含む。最下位の数字表示素子51cは、百の位を示すために単位表示部51d(×100rpm)が設けられている。数字表示素子51a、51b、51cの各々は、例えば、7つの発光表示セグメント(a、b、c、d、e、f、g)を持つ7セグメント発光ダイオード(LED)から構成され、表示制御部24(図1参照)によって周知のダイナミックスキャン方式によって数値を示す所定のセグメントが発光表示される。
【0038】
運転時間表示部52は、2桁の時間を表示するための2つの数字表示素子52a、52bと、運転時間の単位表示部52c(min)を含む。数字表示素子52a、52bは、上記数字表示素子51aと同様に、7セグメント発光ダイオードから構成される。
【0039】
温度表示部53は、2桁の温度を表示するための2つの数字表示素子53a、53bと、温度の単位表示部53c(℃)を含む。数字表示素子53a、53bは、上記数字表示素子51aと同様に、7セグメント発光ダイオードから構成される。
【0040】
入力装置5bは、ロータ3の回転数を設定(入力)するためのスピードスイッチ(SPEEDスイッチ)54と、運転時間(TIME)を入力するための時間スイッチ(TIMEスイッチ)56と、ロータ室34の温度(TEMP)を入力するための温度スイッチ(TEMPスイッチ)58とを具備する。
【0041】
SPEEDスイッチ54は、設定回転数の増加入力スイッチ54aおよび減少入力スイッチ54bを有する。同様に、TIMEスイッチ56は、設定運転時間の増加入力スイッチ56aおよび減少入力スイッチ56bを有し、またTEMPスイッチ58は、設定温度の増加入力スイッチ58aおよび減少入力スイッチ58bを有する。
【0042】
入力装置5bは、さらに、表示指示スイッチ(DISPスイッチ)55、スタートスイッチ(STARTスイッチ)57および停止指示用スイッチ(STOPスイッチ)59を有する。DISPスイッチ55は、その押下によって、分離条件である設定回転数、設定運転時間および設定温度を表示させることができる。STARTスイッチ57は押下によってロータ3の運転を開始させることができる。
【0043】
STARTスイッチ57と一体に設けられた運転状態表示用発光素子57aは、ロータ3の加速時に「点滅」表示を行い、設定回転数に到達後の整定運転(定速運転)時に「点灯」表示を行う。
【0044】
STOPスイッチ59は、その押下によって、ロータ3の減速運転を開始して停止させる。STOPスイッチ59と一体に設けられた運転停止状態表示用発光素子59aは、ロータ3の減速時に「点滅」表示を行い、停止した時には「点灯」表示を行う。
【0045】
図3は、上記入力・表示装置5のSTOPスイッチ59およびSTARTスイッチ57等を使用して遠心分離機1を運転した場合のタイミングチャートを示す。図3を参照して遠心分離機1の動作モードについて説明する。
【0046】
まず、図3の時刻t0乃至時刻t1の停止モードAにおいてドア33(図1参照)を開き、遠心分離すべき試料を保持したロータ3をロータ室34の回転出力軸41にセットし、ドア33を閉める。しかる後、ロータ3に保持された試料に対応して入力装置5bによって運転条件を設定する。ロータ3が停止モードAにある場合、回転数表示部51は0(rpm)を表示し、かつSTOPスイッチ59の発光素子59aを点灯させる。
【0047】
時刻t1において、STARTスイッチ57を押すことにより、制御装置2は、駆動制御信号を発生し、駆動制御部22を介してロータ3を加速モードBに制御する。この時、ロータ3の回転が加速モードBにあるので、STARTスイッチ57の発光素子57aは点滅表示する。
【0048】
時刻t2においてロータ3(駆動部4のモータ)の回転数Nが設定回転数Ndに到達すると、定速(整定)モードCに制御する。この定速状態での駆動制御部22による回転制御は、駆動部4のモータ(ロータ3)の回転数Nを目標整定回転数Ndに一定に維持するために、目標回転数Ndに対する現在回転数(回転数検出部23の回転数出力)との差をCPU20によってPID演算し、その結果に基づいて駆動制御部22によって駆動部4を定速回転に制御する。具体的には、駆動部4はモータ巻線を駆動するインバータ部を有するので、駆動制御部22は、駆動部4のインバータへ供給するPWM信号のパルス幅をPID演算によって可変、生成して駆動部4のモータを回転制御する。ロータ3が定速(整定)モードCの状態になると、STARTスイッチ57の発光素子57aは、加速状態を示す点滅表示から、定速(整定)状態を示す点灯表示へ切換わる。
【0049】
時刻t3において、ロータ3の回転を停止させる場合、STOPスイッチ59を押すと、ロータ3はSTOPスイッチ59の回転停止機能へ優先的に切換えられるので、STOPスイッチ59から入力検出部25を介してCPU20へ停止指令信号が送られる。CPU20により駆動制御部22を通して駆動部4に制御信号が送られ、駆動部4のモータの回転を減速させることにより、ロータ3の回転を停止させる。すなわち、減速モードDの状態に制御される。減速運転中は、回転数表示部51に時間経過とともに減少していく現在回転数が表示され、STOPスイッチ59の発光素子59aを点滅させる。
【0050】
時刻t4においてロータ3の回転が停止すると、STOPスイッチ59の発光素子59aは点灯し、ロータ室34のドア33を開けることができる。このドア33の開放により遠心分離された試料またはロータ3を取り出すことができる。
【0051】
以上の遠心分離機1の動作において、入力装置5bおよび表示装置5aの各動作モード(A〜D)に対する表示形態は次のようになる。
(1)ロータ3の停止中(モードA)においては、回転数表示部51に0(rpm)を表示し、かつSTOPスイッチ59の発光素子59aを点灯させる。またDISPスイッチ55を押下すると、回転数表示部51に分離条件である設定回転数を表示させる。
(2)ロータ3の加速運転中(モードB)では、回転数表示部51に時間経過とともに増加していく現在回転数を表示し、STARTスイッチ57の発光素子57aを点滅させる。
(3)ロータ3が設定回転数Ndへ到達し、その後の整定運転中(モードC)では、回転数表示部51に現在回転数を表示させ、かつSTARTスイッチ57の発光素子57aを点灯させる。
(4)減速運転中(モードD)では、回転数表示部51に時間経過とともに減少していく現在回転数を表示させ、STOPスイッチ59の発光素子59aを点滅させる。
【0052】
なお、温度表示部53は、停止中(モードA)および運転中(モードB〜D)では、現在温度を表示し、DISPスイッチ55を押下すると、分離条件である設定温度を表示させる。
【0053】
本発明によれば、以上の各動作モードの表示形態に追加して、上記整定運転中(モードC)に視覚的に動的(ダイナミック)な回転表示形態が付加される。以下に、本発明の実施例に係る整定運転中の回転表示形態を、図4に示す運転制御フローチャートを参照して説明する。
【0054】
視覚的に動的な回転表示形態は、一つの表示装置(例えば、時間表示装置52)を構成する複数の数字表示素子、例えば時間表示装置52の複数の数字表示素子52a、52bについて、表示セグメントa〜gを選択的に視覚的に一定時間ごとに順次点灯させることによって、ロータ3が設定回転数Ndで整定回転中であることを示す回転表示形態とする。なお、本発明において使用される「回転表示形態」とは、表示セグメントが視覚的に回転模様をイメージさせるような表示形態に限定されず、後述する実施例のように表示セグメントが「run」のような文字形態の点滅表示(動的表示)であってもよい。
【0055】
まず、整定回転中を表示する回転表示形態の一例を、図5の(1)〜(3)および図6の(1)〜(8)に示す。なお、図5および図6において黒塗りされたセグメント(a〜g)は点灯(発光)したセグメントを示すものとする。また、図6の(1)〜(8)は、図5に示す表示装置5aの時間表示部52を取り出して表示セグメント(a〜f)の点灯する順番を示したものである。図6の(1)〜(8)に示す順番に沿って、表示セグメントを一定時間点灯した後、所定時間(目の残像時間より長い時間)空けてから次のセグメントを点灯することによって動的な表示形態を形成する。
【0056】
図5および図6に示す例は、時間表示装置52の複数の数字表示素子52a、52bの表示セグメント(a〜f)を一体の表示装置のセグメントとして用いることによって、両数字表示素子52aおよび52bの表示セグメント(外周セグメントa〜f)を一定時間毎に、かつ所定時間(ただし、目の残像時間以上の時間)の間隔を置いて、図6の(1)から(8)へ外周に沿う所定位置のセグメントを順番に順次点灯させ、かつ図6の(1)〜(8)の点灯パターンを繰り返し点灯させて動的に回転表示させたものである。図6に示す二つの数字表示素子52aおよび52bを用いた回転表示形態は視覚的に動的に見えるので、ロータ3が整定回転中であることを明確に判別できる。
【0057】
次に、図4を参照して制御装置2が運転時間表示部52を回転表示させるための制御フローチャートについて説明する。
【0058】
ステップS11においてロータ3の設定回転数Ndを入力装置5bのSPEEDスイッチ54より入力検出部25を介してCPU20へ取り込み、ステップS12において設定回転数Ndを表示装置5aの回転数表示部51に表示させる。図5に示す例は、回転数表示部51は、10000rpmを表示している。
【0059】
ステップS13においてSTARTスイッチ57を押下(ON処理)すると、CPU20より駆動制御部22に加速制御指令が送信され、駆動部4を加速制御してロータ3を加速運転モードB(図3参照)で回転させる(ステップS14)。
【0060】
次に、ステップS15において、温度制御部26は、入力装置5bの温度スイッチ58で予め入力された設定温度(例えば、8℃)にロータ室34(ロータ3)の温度を制御するため冷凍機6を駆動制御する。また、ステップS16において、表示制御部24は、表示装置5aの回転数表示部51、運転時間表示部52および温度表示部53を制御して、それぞれの表示部に現在回転数、現在運転時間、現在温度を表示する。
【0061】
ロータ3が加速制御されて加速モードBの状態にあると、ステップS17において、表示制御部24は、STARTスイッチ57の運転状態表示用発光素子57bを点滅させて
ロータが加速運転状態であることを表示する。
【0062】
ステップS18において、CPU20は、回転数検出部23から入力された現在回転数信号に基づいて、ロータ3の設定回転数すなわち目標回転数と比較演算し、現在回転数が設定回転数に到達したか否かを判定する。もし現在回転数が設定回転数に到達していない場合は、設定回転数に到達するまでステップS14〜ステップS17の処理を繰り返して継続する。
【0063】
ロータ3の現在回転数が設定回転数(Nd)に達すると、ステップS19において、駆動制御部22は、駆動部4を整定制御(例えば、PID制御)して、ロータ3の回転数を設定回転数Ndとなるように一定に制御する。
【0064】
ステップS20において、ステップS15におけるロータ室34(ロータ3)の温度制御処理と同様に、ロータ3の温度を設定温度に制御する。ステップS21において、表示制御部24は、表示装置5aの各表示部51、52および53の表示セグメント(a〜g)を点灯して、現在回転数、現在運転時間、現在温度を表示する。
【0065】
ステップS22において、DISPスイッチ55が1回以上押下(ON)されたか否かを判定する。もし、DISPスイッチ55がONされている場合は、ステップS26へ進み、STOPスイッチ59が押下(ON)されたか否かを判定する。また、DISPスイッチ55がOFFの場合は、ステップS23へ進み、STARTスイッチ57の発光素子(LED)57aを点灯表示させてロータ3が整定運転状態であることを表示する。
【0066】
ステップS24において、ロータ3が加速制御されて目標回転数Ndへ到達した後に、所定時間経過したか否かカウントする。この所定時間のカウントは、安定した整定回転の開始を確保するために設けられる。もし、ステップS24の時間カウント処理が所定時間終了していないと判断した時は、所定の時間のカウントが終了するまでステップS19〜ステップS23の処理を繰り返す。
【0067】
ステップS24における時間カウント処理が所定時間を終了したと判断された時は、図5の(1)〜(3)および図6の(1)〜(8)を参照して上述したように、本発明に従って、運転時間表示装置52は、整定回転中を表示する回転表示形態に表示制御される。すなわち、図6の(1)〜(8)に示したように、運転時間表示装置52の複数の数字表示素子52a、52bのLEDセグメントa〜fを一定時間ごとに所定の順番で順次点灯させて数字表示部を回転表示させる。これによって、運転時間表示装置52は整定回転中を表示する回転表示形態として機能し、動的な回転表示を行う。従って、作業者はロータ3が整定回転中であることを視覚的に明確に判別できる。図5の(1)〜(3)に示した例は、設定回転数10,000rpm、設定温度8℃の遠心分離条件で整定運転している状態を示す。
【0068】
ステップS26においてSTOPスイッチ59がONされたか否か判断する。STOPスイッチ59がONされれば、ステップS30へ進み、運転時間表示装置52がステップ25で開始した回転表示形態を停止させ、再び、通常の運転時間を表示するように制御する。
【0069】
一方、ステップS26でSTOPスイッチ59がONされなかった場合、ステップS27へ進み、整定回転中の現在運転時間が設定運転時間を経過したか否か判断される。設定時間を経過した場合(Yesの場合)、上述したステップS30へ進み、運転時間表示装置52がステップS25で開始した回転表示形態を停止させ、再び、通常の運転時間を表示するように制御する。
【0070】
ステップS27で設定運転時間が経過しない間に、ステップS28でDISPスイッチ55がONされた場合、ステップS29へ進み、運転時間表示装置52による回転表示形態(LED回転表示)が停止され、運転時間表示装置52は通常の運転時間を表示する形態へ戻る。ステップS28でDISPスイッチ55がONされない時は、ステップS19〜S22の処理と、ステップS26〜S28の処理を繰り返し実行する。
【0071】
ロータ3の整定回転中にSTOPスイッチ59がONされた場合(ステップS26)、または整定回転が設定運転時間を経過した場合(ステップS27)、ステップS31において、STOPスイッチ59の停止状態表示用発光素子59aは点滅するように制御され、ロータ3は駆動部4によって減速運転モードDで駆動されることを表示する。
【0072】
ステップS32において、駆動制御部22は、駆動部4の整定運転状態を停止して減速運転状態を開始する。
【0073】
ステップS33において、温度制御部26は冷凍機6を制御してステップS15の処理と同様に、ロータ3(ロータ室34)を設定温度に制御する。
【0074】
ステップS34において、表示制御部24は、表示装置5aの各表示部51、52、53の所定の発光セグメントを点灯して現在回転数、現在運転時間、および現在温度を表示する。
【0075】
ステップS35の停止処理は、ロータ3が回転を停止しているか否かを判断する。停止していない場合(Noの場合)、ロータ3が停止するまで、ステップS31〜ステップS34の処理を継続する。ステップS35でロータ3が回転を停止していると判断された場合(Yesの場合)、ステップS36へ進み、 表示制御部24は、STOPスイッチ59の停止状態表示用発光素子59aを点灯させて停止状態であることを表示する。
【0076】
以上の実施例から明らかなように、本発明によれば、運転時間等を表示する通常使用される表示装置を、ロータの整定運転状態では回転表示装置として使用するので、整定運転状態であることを視覚的に容易に判別できる。さらに、回転表示装置として新たな部品点数を追加することなく、整定運転状態を明確に表示させることができる。
【0077】
なお、上記実施例において、回転表示装置として使用することによって見えなくなる運転状態値(上記の場合、運転時間)を、何の操作もなく自動的に確認できるようにするために、所定のタイミングで周期的に運転状態値表示を行ってもよい。また、数字を構成する数字表示素子の表示セグメントを一定時間ごとに所定の順番で順次点灯後消灯させて回転表示している場合、整定運転の時間経過とともに回転表示形態とする表示装置の位置を変化させることによって、運転時間経過をさらに容易に判別可能としてもよい。
【0078】
また、上記実施例では図6に示すように、運転時間表示部52の表示装置52aおよび52bを整定運転の回転表示形態として使用したが、図7に示すように、回転数表示部51の表示装置51a〜51cを整定運転の回転表示形態として使用してもよい。すなわち、3桁の数字表示素子51a〜51cの表示セグメント(発光素子)を、図7の(1)〜(10)に示した順番に沿って、一定時間ごとに点灯後、消灯させて繰り返して回転表示させる。このように回転数表示部51の3個の表示装置51a〜51cを使用する場合は、運転時間表示部52の2個の表示装置52aおよび52bを使用する場合に比較して回転表示形態(回転する輪)がより大きくなるので、回転表示形態がより見易くなる。
【0079】
さらに、本発明において使用される回転表示形態は、表示セグメントが視覚的に回転模様をイメージさせるような表示形態に限定されず、図8に示すように、3個の表示装置51a〜51cの表示セグメントを「run」のような文字形態の点滅表示(動的表示)にしてもよい。
【0080】
上記実施例では表示装置の数字表示素子の表示セグメントがLEDセグメントによって構成されたものを使用したが、液晶などの他の素子で表示セグメントを構成してもよい。上記実施例のようにLEDセグメントを使用する場合は、他の表示セグメントに比較して回転表示形態をより明確に表示できる。
【0081】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施形態に係る遠心分離機の機能ブロック図。
【図2】図1に示す遠心分離機に使用された入力装置および表示装置の構成図。
【図3】図1に示す遠心分離機の運転状態を示すタイミングチャート。
【図4】図1に示す遠心分離機を運転するための制御フローチャート。
【図5】図2に示す入力装置および表示装置の表示形態の時間変化を示す状態図。
【図6】図2に示す時間表示装置による回転表示形態の時間変化を示す状態図。
【図7】図2に示す回転数表示装置による回転表示形態の時間変化を示す状態図。
【図8】図2に示す時間表示装置による他の回転表示形態を示す状態図。
【符号の説明】
【0083】
1:遠心分離機 2:制御装置 3:ロータ 4:駆動部
5:入力・表示装置 5a:表示装置 5b:入力装置
6:冷凍機 20:CPU 21:メモリ部 22:駆動制御部
23:回転数検出部 24:表示制御部 25:入力検出部
26:温度制御部 31:回転検知センサ部 32:隔壁部材
34:ドア 51:回転数表示部 51a〜51c:数字表示素子
51d:単位表示部 52:運転時間表示部 52a、52b:数字表示素子
52c:単位表示部 53:温度表示部 53a、53b:数字表示素子
53c:単位表示部 54:回転数スイッチ(SPEEDスイッチ)
54a:設定回転数の増加入力スイッチ 54b:設定回転数の減少入力スイッチ
55:表示指示スイッチ(DISPスイッチ)
56:時間スイッチ(TIMEスイッチ) 56a:設定時間の増加入力スイッチ
56b:設定時間の減少入力スイッチ
57:スタートスイッチ(STARTスイッチ) 57a:運転状態表示用発光素子
58:温度スイッチ(TEMPスイッチ) 58a:設定温度の増加入力スイッチ
58b:設定温度の減少入力スイッチ 59:ストップスイッチ(STOPスイッチ)
59a:運転停止状態表示用発光素子
【出願人】 【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
【出願日】 平成19年3月20日(2007.3.20)
【代理人】 【識別番号】100072394
【弁理士】
【氏名又は名称】井沢 博


【公開番号】 特開2008−229488(P2008−229488A)
【公開日】 平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願番号】 特願2007−72262(P2007−72262)