トップ :: B 処理操作 運輸 :: B04 物理的または化学的工程を行なうための遠心装置または機械

【発明の名称】 遠心分離機
【発明者】 【氏名】高橋 廣之

【要約】 【課題】コストを低く抑えつつ、外乱光等に影響されることなくドアの開閉を確実に検知することができる遠心分離機を提供すること。

【解決手段】ロータ1を収容するロータ室2と、該ロータ室2を密閉する開閉可能なドア3と、該ドア3の開閉を検知するドアセンサ15と、ロータ1を回転駆動するモータ5と、ドアセンサ15の信号を受信してモータ5を駆動する制御装置6を備えた遠心分離機において、ドアセンサ15を発光素子と受光素子とで構成し、ドア3が閉められたときに発光素子からの光が受光素子に届くように構成するとともに、制御装置6が発光素子の動作を発光から非発光に変化させときの受光素子の信号変化を検知することによって、受光素子の出力信号が外乱光によるものではなく、発光素子から受光した光によるものであることを検証する誤判定防止手段を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を保持して遠心分離するロータと、該ロータを収容するロータ室と、該ロータ室を密閉する開閉可能なドアと、該ドアの開閉を検知するドアセンサと、前記ロータを回転駆動するモータと、前記ドアセンサの信号を受信して前記モータを駆動する制御装置を備えた遠心分離機において、
前記ドアセンサを発光素子と受光素子とで構成し、前記ドアが閉められたときに前記発光素子からの光が前記受光素子に届くように構成するとともに、前記制御装置が前記発光素子の動作を発光から非発光に変化させときの前記受光素子の信号変化を検出することによって、前記受光素子の出力信号が外乱光によるものではなく、前記発光素子から受光した光によるものであることを検証する誤判定防止手段を設けたことを特徴とする遠心分離機。
【請求項2】
前記誤判定防止手段は、前記制御装置が前記モータを駆動する直前に動作することを特徴とする請求項1記載の遠心分離機。
【請求項3】
前記誤判定防止手段は、前記ドアが閉められている間、所定の周期で繰り返し動作することを特徴とする請求項1又は2記載の遠心分離機。
【請求項4】
前記誤判定防止手段は、前記制御装置が前記モータを駆動している間、所定の周期で繰り返し動作することを特徴とする請求項1又は2記載の遠心分離機。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアの開閉を検知するドアセンサを備えた遠心分離機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遠心分離機は、分離すべき試料をチューブやボトルを介して保持させたロータをロータ室(回転室)の中に収容し、ロータ室を密閉した状態で、モータ等の駆動装置によってロータを高速に回転させることによって、ロータに保持された試料の分離、精製等を行うものである。ここで、ロータの回転速度は用途によって異なり、最高回転速度が数千回転(rpm)程度の比較的低速のものから、最高回転速度が15万回転(rpm)程度の高速のものまで、幅広い回転速度を持つ製品群が一般に提供されている。
【0003】
従来の遠心分離機の構成を図1を用いて説明する。
【0004】
図1に示す遠心分離機は、回転駆動源であるモータ5と、該モータ5の回転軸(シャフト)に固定され、分離する試料を保持するロータ1と、該ロータ1を収容し、上面に開口部を有するロータ室2と、該ロータ室2の開口部を開閉するドア3と、該ドア3の開閉を検知するドアセンサ15と、該ドアセンサ15の信号を入力してモータ5を制御する制御装置6と、該制御装置6によるモータ5の駆動動作を設定及び表示する操作表示部4とを有し、モータ5とロータ室2及び制御装置6は筐体(フレーム)10に収納されている。
【0005】
而して、遠心分離が行われる際は、ロータ1が高速に回転するためにドア3が閉められていることをドアセンサ15で検知し、ドア3が開いていればロータ1を回転させないよう構成されている。
【0006】
ドア3の開閉を検知する方法の1つとして、ドアセンサ15を発光素子と受光素子から成る反射式フォトインタラプタで構成し、ドア3に取り付けられたドアフック13による光の反射を検出する方法が用いられる場合がある。この方式では、外乱光がドアセンサ15の受光部に当たると、ドア3が開いていても閉じているように検知してしまい、ロータ1を回転させることが可能になってしまうという不具合があった。そのため、外乱光が入らないような遮光構造を設けるか、外乱光と発光素子の発光を区別するために変調光方式を用いる必要が生じていた。
【0007】
フォトインタラプタに変調光方式を用いるためには、発振回路を設けたり、受信回路を工夫する必要があることが特許文献1,2,3に開示されている。
【0008】
又、一般的な受光素子は、受光したときに電気信号を導通する特性を有しているため、受光素子が導通モードで故障したり、回路が短絡したときにもドア3が閉じているように検出してしまう。そのため、ドア3が閉められていることの判断の信頼性を確保するため、ドアセンサ15を複数設けた遠心分離機もある。
【特許文献1】特開平08−184680号公報
【特許文献2】特開平11−304922号公報
【特許文献3】特開平05−102824号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記した従来の技術においては、遮光構造や変調回路を設けたり、或いはドアセンサ15を複数設ける等によるコスト増加が発生するため、より安価なドア3の開閉検出方法が望まれていた。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、コストを低く抑えつつ、外乱光等に影響されることなくドアの開閉を確実に検知することができる遠心分離機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、試料を保持して遠心分離するロータと、該ロータを収容するロータ室と、該ロータ室を密閉する開閉可能なドアと、該ドアの開閉を検知するドアセンサと、前記ロータを回転駆動するモータと、前記ドアセンサの信号を受信して前記モータを駆動する制御装置を備えた遠心分離機において、前記ドアセンサを発光素子と受光素子とで構成し、前記ドアが閉められたときに前記発光素子からの光が前記受光素子に届くように構成するとともに、前記制御装置が前記発光素子の動作を発光から非発光に変化させときの前記受光素子の信号変化を検知することによって、前記受光素子の出力信号が外乱光によるものではなく、前記発光素子から受光した光によるものであることを検証する誤判定防止手段を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記誤判定防止手段は、前記制御装置が前記モータを駆動する直前に動作することを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記誤判定防止手段は、前記ドアが閉められている間、所定の周期で繰り返し動作することを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記誤判定防止手段は、前記制御装置が前記モータを駆動している間、所定の周期で繰り返し動作することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、発光素子の発光と非発光を切り替える回路だけを設ければ良いため、遮光構造や変調光発生回路、複数のドアセンサを設ける場合に比してコストを低く抑えながら、外乱光等に影響されることなくドアの開閉を確実に検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
図1及び図2は本発明に係る遠心分離機の基本構成図であり、図1はドアが閉じている状態を示し、図2はドアが開いている状態を示している。
【0018】
図示の遠心分離機は、分離する試料を保持するロータ1と、該ロータ1を回転駆動する駆動源としてのモータ5と、前記ロータ1を収容するロータ室2と、該ロータ室2の開口部を開閉するドア3と、該ドア3の開閉を検出するドアセンサ15と、該ドアセンサ15の信号を入力してモータ5を制御する制御装置6を備えており、モータ5とロータ室2及び制御装置6は筐体(フレーム)10に収容されている。
【0019】
前記ドアセンサ15は、図3に示すように、発光素子15aと受光素子15bから成る反射式センサであって、ドア3に取り付けられているドアフック13からの光の反射によってドア3が閉められたことを検知する。図2に示すようにドア3が開いた状態では、ドア3に取り付けられたドアフック13がドアセンサ15の検出範囲にないため、ドアセンサ15はドア3が開けられたことを検知する。尚、この検知は、制御装置6がモータ5を駆動する直前になされ、制御装置6がモータ5を駆動している間、所定の周期で繰り返し行われる。或いは、ドア3が閉められている間、所定の周期でドア3の開閉を検知するようにしても良い。
【0020】
図3はドアセンサ15の制御回路図であり、発光素子15aの電源を開閉するスイッチSwが設けられている。
【0021】
図4は本発明に係る遠心分離機の動作を示すタイムチャートであり、図4(a)はドアフック13を正常に検出した場合、図4(b)は外乱光にドアセンサ15が反応した場合を示す。
【0022】
図4(a)において、時刻t0でドア3が閉められると、発光素子15aの光がドアフック13から反射されて受光素子15bに入射するため、受光素子15bの出力SigはHIGHからLOWに変化する。次に、時刻t1でSwをOFFすると発光素子15aが非発光となるため、SigはHIGHとなる。更に、に時刻t2で再びSwをONすると、発光素子15aが発光し、光がドアフック13から反射されて受光素子15bに入射するため、SigはLOWとなる。
【0023】
図4(b)では時刻t0で外乱光によってSigがLOWとなり、ドア3が閉められたのと同じ状態になる。次に、時刻t1でSwをOFFにすると発光素子15aが非発光となるが、外乱光が入射しているためにSigはLOWのままである。この結果から、ドア3が正常に閉められていない可能性があることが判断できる。尚、時刻t2以降、外乱光が無くなったときに正常動作できるようにSwはONにしている。
【0024】
図5は本発明に係る遠心分離機の動作を示すフローチャートである。
【0025】
ステップ500で検証機能がスタートすると、受光素子15bの出力SigがLOWになるまで待つ(ステップ501)。SigがLOWになるとSwをOFFして(ステップ502)、発光素子15aを非発光にする。このとき、SigがHIGHに変化すれば、受光素子15bは正常に発光素子15aの光を検知していたと判断し(ステップ504)、SigがLOWのままであれば、SigがLOWとなっているのは発光素子15aの光によるものではない異常状態と判断する(ステップ505)。最後に元通りSwをONして(ステップ506)、終了となる(ステップ507)。
【0026】
以上のように、本実施の形態では、発光素子15aの発光と非発光を切り替える回路だけを設ければ良いため、遮光構造や変調光発生回路、複数のドアセンサを設ける場合に比してコストを低く抑えながら、外乱光等に影響されることなくドア3の開閉を確実に検知することができる。
【0027】
尚、以上の実施の形態においては、誤判定の要因を外乱光によるものとして説明したが、受光素子の導通モード故障や回路の短絡も外乱光と同じ現象となるため、同様の構成によってドア開閉の誤判定を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る遠心分離機のドアが閉じた状態を示す基本構成図である。
【図2】本発明に係る遠心分離機のドアが開いた状態を示す基本構成図である。
【図3】本発明に係る遠心分離機のドアセンサの制御回路図である。
【図4】本発明に係る遠心分離機のドアセンサの動作を示すタイムチャートである。
【図5】本発明係る遠心分離機のドア開閉検知を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0029】
1 ロータ
2 ロータ室
3 ドア
4 操作表示部
5 モータ
6 制御装置
10 筺体
13 ドアフック
15 ドアセンサ
15a 発光素子
15b 受光素子
Sw スイッチ
Sig 受光素子の出力
【出願人】 【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
【出願日】 平成19年3月13日(2007.3.13)
【代理人】 【識別番号】100092853
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮一


【公開番号】 特開2008−221127(P2008−221127A)
【公開日】 平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願番号】 特願2007−62861(P2007−62861)