トップ :: B 処理操作 運輸 :: B04 物理的または化学的工程を行なうための遠心装置または機械

【発明の名称】 遠心分離機
【発明者】 【氏名】早坂 浩

【氏名】楠元 昭二

【要約】 【課題】アンバランス調整時にダミーの遠心容器を短時間で簡便に準備することができる操作性の高い遠心分離機を提供すること。

【解決手段】試料が収容された複数の遠心容器8を収容可能なロータ5と、該ロータ5を収容するロータ室3と、該ロータ室3内で前記ロータ5を回転駆動する駆動部と、前記ロータ室3の開口部を開閉するドア6を備えた遠心分離機1において、前記ドア6を開けたときに見える前記ロータ室3の開口部近傍にダミーの遠心容器9,10を収納可能な容器収納部11,12を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料が収容された複数の遠心容器を収容可能なロータと、該ロータを収容するロータ室と、該ロータ室内で前記ロータを回転駆動する駆動部と、前記ロータ室の開口部を開閉するドアを備えた遠心分離機において、
前記ドアを開けたときに見える前記ロータ室の開口部近傍に前記遠心容器を収納可能な容器収納部を設けたことを特徴とする遠心分離機。
【請求項2】
前記容器収納部を複数箇所に設けたことを特徴とする請求項1記載の遠心分離機。
【請求項3】
前記複数の容器収納部を大きさの異なるものとしたことを特徴とする請求項2記載の遠心分離機。
【請求項4】
前記複数の容器収納部を、本体上面に形成された同径の複数の孔部と、該孔部に着脱可能に挿通保持される複数のケースとで構成し、前記各ケースに異なる径の収容穴をそれぞれ形成したことを特徴とする請求項2又は3記載の遠心分離機。
【請求項5】
前記容器収納部の近傍に、メモ書き可能なスペースを設けたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の遠心分離機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、試料が収容された複数の遠心容器を収容したロータを回転駆動することによって試料を遠心分離するための遠心分離機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の遠心分離機は、遺伝子工学分野や病院等で細胞培養液や血液等の分離に供されるが、その操作においては分離すべき試料をチューブ等の遠心容器に予め入れておき、この遠心容器をロータにセットする場合が殆どである。
【0003】
ところで、遠心容器がセットされたロータを回転させる場合には、該ロータの回転軸に対する重量バランスを合わせることが重要であり、重量バランスを合わせないでロータを回転させると該ロータに異常振動が発生して所期の目的を達成することができない。
【0004】
そこで、ロータにセットされた遠心容器は2本を対としてバランスを取り、複数の遠心容器を回転中心に対して対称に配置した状態でロータを回転させることが行われている。遠心容器が1本又は奇数本の場合には、対とならない遠心容器と重量的にバランスするダミーの遠心容器を準備し、必ず偶数本の遠心容器を回転中心に対して対称に配置して重量バランスを取った状態でロータを回転させるようにしている。このような操作が頻繁に必要な場合には、ダミーの遠心容器を予め準備している場合が多い。特殊な遠心分離機では、アンバランス状態でも自動でバランスを調整してロータをそのまま回転させることもできるが、装置が高価となるため、ダミーの遠心容器によって重量バランスを取る方法が一般的に多く採用されている。
【0005】
特許文献1には、ダミーの遠心容器を常に遠心分離機の周辺に用意して作業効率の向上を図る目的で、磁石付きダミー遠心管収納体を遠心分離機本体の上面、側面又は前面に磁力によって取り付ける提案がなされている。
【特許文献1】特開平8−126852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来、ロータのバランスを取るためのダミーの遠心容器は本来の遠心容器(分離すべき試料が入った遠心容器)とは別に準備するため、必ずしも遠心分離機の近くにあるとは限らず、その都度準備したり、探したりするために多くの時間を要し、作業効率が悪く面倒であった。
【0007】
又、特許文献1において提案されているようにダミー遠心管収納体を遠心分離機本体の上面、側面又は前面に取り付ける構成を採用すると、ダミー遠心管収納体が本体から飛び出すために操作性が害されるという問題が発生する。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、アンバランス調整時にダミーの遠心容器を短時間で簡便に準備することができる操作性の高い遠心分離機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、試料が収容された複数の遠心容器を収容可能なロータと、該ロータを収容するロータ室と、該ロータ室内で前記ロータを回転駆動する駆動部と、前記ロータ室の開口部を開閉するドアを備えた遠心分離機において、前記ドアを開けたときに見える前記ロータ室の開口部近傍に前記遠心容器を収納可能な容器収納部を設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記容器収納部を複数箇所に設けたことを特徴とする請求項1記載の遠心分離機。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記複数の容器収納部を大きさの異なるものとしたことを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項2又は3記載の発明において、前記複数の容器収納部を、本体上面に形成された同径の複数の孔部と、該孔部に着脱可能に挿通保持される複数のケースとで構成し、前記各ケースに異なる径の収容穴をそれぞれ形成したことを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れかに記載の発明において、前記容器収納部の近傍に、メモ書き可能なスペースを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、ドアを開けたときに見えるロータ室の開口部近傍に遠心容器を収納可能な容器収納部を設けたため、ダミーの遠心容器が常に遠心分離機自体に内蔵されていることとなり、アンバランス調整時にドアを開けてダミーの遠心容器を容器収容部から取り出して短時間で簡便に準備することができる。又、容器収納部及びこれに収容されたダミーの遠心容器が遠心分離機本体の外部に突出することがないため、これらによって操作性が害されることがなく、遠心分離機に高い操作性が確保される。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、容器収納部を複数箇所に設け、請求項3記載の発明によれば、複数の容器収納部を大きさの異なるものとしたため、サイズ(重量)の異なる複数のダミーの遠心容器を準備しておくことができ、利便性が高められる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、本体上面に同径の複数の孔部を形成したため、その孔部に挿通保持されるケースの外形寸法を共通化し、サイズの異なる遠心容器の収納はケースの収容穴の径を変更することで対応可能となり、容器収納部の標準化を図ることができる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、容器収納部の近傍に設けられたメモ書き可能なスペースに、対応する容器収納部に収容されたダミーの遠心容器内の試薬の種類や容量、ユーザー名等の情報を記録しておくことができるため、操作ミスを防いで常に正常な運転を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は本発明に係る遠心分離機の斜視図、図2は同遠心分離機の平面図、図3は図2のA−A線拡大断面図、図4は図2のB−B線拡大断面図である。
【0020】
図1及び図2に示す遠心分離機1の本体2内には、ドラム状容器を構成するロータ室3が内蔵されており、本体2の手前側上部には、斜めに傾斜した操作パネル4が設けられている。そして、ロータ室3内にはロータ5が回転可能に収容されており、ロータ室3の円孔状の上面開口部はドア6によって開閉される。ここで、ドア6は不図示のヒンジによって本体2の上部に回動可能に支持されるとともに、不図示のドアスプリングによって常時開き側に付勢され、これが閉じられたときには不図示のドアロック機構によって閉じ状態がロックされる。
【0021】
ところで、前記ロータ5は、本体2内に内蔵された不図示のモータを含む駆動部によって所定の速度で回転駆動されるが、その周囲には24個のチューブ穴7が等角度ピッチで形成されており、これらのチューブ穴7には、分離すべき試料が収容された試験管状の遠心容器8が挿入される。具体的には、ロータ5の重量バランスを考慮して、ロータ5のチューブ穴7には複数の遠心容器8が2本を対としてロータ5の回転中心に対して対称に挿入される。
【0022】
ところが、遠心容器8は、分離する試料の量や種類によっては必ずしも2本の対にならない場合がある。図示例では、奇数である11本の遠心容器8がロータ5のチューブ穴7に1つ置きに挿入されているが、図示のチューブ穴7−1には遠心容器8−1と対となるべき遠心容器が挿入されていない。このような場合には、ロータ5の重量バランスが崩れるため、チューブ穴7−1にはダミーの遠心容器9を挿入してロータ5の重量バランスを取る必要がある。尚、ダミーの遠心容器9には、本来の遠心容器8と同じ重量になるよう水等の液体が収容されている。
【0023】
而して、本実施の形態では、図1及び図2に示すようにドア6を開けたときに見える本体2の上面の前記ロータ室3の開口部近傍のドア6側コーナー部の2箇所に、ダミーの遠心容器9,10を収納するための容器収納部11,12を設けるとともに、各容器収納部11,12の近傍にメモ書きが可能なスペース13,14を設けた。
【0024】
上記各容器収納部11,12は、図3及び図4に示すように、本体2の上面に形成された同径の孔部2aと、該孔部2aに着脱可能に挿通保持される複数のケース15,16とで構成されており、一方のケース15には、2mlの液体を収容した大きなダミーの遠心容器9を収納することができるよう大きな内径の収容穴15aが形成され、他方のケース16には、0.5mlの液体を収容した小さなダミーの遠心容器10を収納することができるよう小さな内径の収容穴16aが形成されている。このように本体2の上面に同径の2つの孔部2aを形成すれば、その孔部2aに挿通保持されるケース15,16の外形寸法を共通化することができ、サイズの異なるダミーの遠心容器9,10の収納はケース15,16の収容穴15a,16aの径を変更することで対応することができるため、容器収納部11,12の標準化を図ることができる。
【0025】
従って、各容器収納部11,12には異なる大きさのダミー用の遠心容器9,10を予めそれぞれ収納しておくことができ、ドア6を閉じると、これらの容器収納部11,12及びこれらの内部に収容されたダミーの遠心容器9,10がドア6によって覆われて外部に露出することがない。尚、ドア6に一部に窓を設けておき、ドア6を閉めても窓から容器収納部11,12とダミーの遠心容器9,10が外から見えるようにしても良い。
【0026】
而して、本実施の形態によれば、ドア6を開けたときに見えるロータ室3の開口部近傍にダミーの遠心容器9,10を収納可能な容器収納部11,12を設けたため、ダミーの遠心容器9,10が常に遠心分離機1自体に内蔵されていることとなり、アンバランス調整時にドア6を開けてダミーの遠心容器9又は10を容器収容部11又は12から取り出して短時間で簡便に準備することができる。
【0027】
又、容器収納部11,12及びこれらに収容されたダミーの遠心容器9,10が遠心分離機本体2の外部に突出することがないため、これらによって操作性が害されることがなく、遠心分離機1に高い操作性が確保される。
【0028】
更に、本実施の形態では、容器収納部11,12を2箇所に設け、各容器収納部11,12に大きさの異なるダミーの遠心容器9,10を収納するようにしたため、サイズ(重量)の異なる2つのダミー用の遠心容器9,10を準備しておくことができ、利便性が高められる。通常、ダミーの遠心容器が必要となるのは1本であるが、使用するロータによっては複数種の遠心容器(容量の違い等)に対応することができるものもあり、遠心操作によって使用する遠心容器が異なる場合もあるが、本実施の形態のようにサイズ(重量)の異なる2つのダミー用の遠心容器9,10を予め準備しておけば、そのような場合にも適切に対応することができる。
【0029】
又、本実施の形態では、各容器収納部11,12の近傍にメモ書き可能なスペース13,14を設けたため、そのスペース13,14に、各容器収納部11,12に収容されたダミーの遠心容器9,10内の試薬の種類や容量、ユーザー名等の情報を記入又はラベルの貼り付けによって記録しておくことができ、この情報に基づいて操作することによって操作ミスが未然に防がれ、遠心分離機1を常に正常に運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る遠心分離機の斜視図である。
【図2】本発明に係る遠心分離機の平面図である。
【図3】図2のA−A線拡大断面図である。
【図4】図2のB−B線拡大断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 遠心分離機
2 遠心分離機本体
2a 本体の孔部
3 ロータ室
4 操作パネル
5 ロータ
6 ドア
7 チューブ穴
8 遠心容器
9,10 ダミーの遠心容器
11,12 容器収納部
13,14 メモ書き可能なスペース
15,16 ケース
15a,16a ケースの収容穴
【出願人】 【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
【出願日】 平成19年3月8日(2007.3.8)
【代理人】 【識別番号】100092853
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮一


【公開番号】 特開2008−212903(P2008−212903A)
【公開日】 平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願番号】 特願2007−57945(P2007−57945)