トップ :: B 処理操作 運輸 :: B04 物理的または化学的工程を行なうための遠心装置または機械

【発明の名称】 遠心機
【発明者】 【氏名】佐川 典久

【氏名】高橋 廣之

【氏名】鈴木 利幸

【要約】 【課題】ロータの回転が停止するまでの時間短縮化が図れる作業性に優れた遠心機を提供する。

【解決手段】ロータ判別信号発生器2からのロータ信号と、回転信号発生器16からのモータ信号とからモータ15を回転制御するものであり、両信号により算出されたモータの回転数の差が所定範囲にないときに異常が生じたと判断する。この場合制御器1はモータの減速制御を行い、ロータの回転が停止するまでの時間短縮化が図れ作業性に優れている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料容器を収容可能なロータと、
該ロータに回転動力を伝達するモータと、
該ロータ底部或いはロータ側面に埋め込まれたマグネットにより、上記ロータを判別するロータ判別信号を発生する第1の信号発生手段と、
前記モータの回転に応じたモータ回転信号を発生する第2の信号発生手段と、
前記第1及び第2の信号発生手段からのロータ判別信号及びモータ回転信号が加えられる制御器とを備え、
前記制御器は、前記ロータ判別信号によりロータを判別すると共に、
該ロータの1回転当たりの前記ロータ判別信号の数と、該ロータ判別信号数をカウントする時間よりモータの回転数を算出し、
前記第2の信号発生手段により発生するモータ信号数から算出されたモータの回転数と、前記ロータ判別信号の数より算出されたモータの回転数との差が所定範囲にないときには、前記ロータ判別信号及びモータ回転信号のいずれかに異常が生じたと判断することを特徴とする遠心機。
【請求項2】
請求項1において、異常と判断されたとき制御器は前記モータの減速制御を行うことを特徴とする遠心機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心機に関するもので、回転検出部における異常時の処理方法に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
遠心機は、サンプルに応じて回転数,運転時間(分離時間),保持温度等のいわゆる分離条件を基に運転される。近年、誘導モータの制御に関する技術的進歩により、インバータ制御などの最適制御が行われている。このような制御を行う場合には加減速を精度良く制御する必要があり、特に回転数を精度良く検出することが重要になってくる。ところが回転検出部からの回転信号が不安定になったり、或いは消失してしまったりするなど回転検出部に異常が発生してしまうと、過電流や過電圧状態により制御回路が損傷してしまうという不具合が生じる。このため、従来は、回転信号の異常時には、アラームを発生すると共に周波数制御をやめモータへの供給電力を遮断してモータすなわちロータを自然減速させている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したように、回転信号の異常は、アラームにより確認することができる。しかし、ロータは自然減速状態にあるため、完全にロータの回転が停止するまでの間、使用者は待たなければならなかった。ロータの回転が停止するまでの時間は、ロータによって異なるが長いものでは数時間以上かかり、ロータ内から試料を取り出すのに手間がかかるという問題があった。
【0004】
本発明の目的は、上記問題を解消し、ロータの回転が停止するまでの時間短縮化が図れる作業性に優れた遠心機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために本発明は、試料容器を収容可能なロータと、該ロータに回転動力を伝達するモータと、該ロータ底部或いはロータ側面に埋め込まれたマグネットにより、上記ロータを判別するロータ判別信号を発生する第1の信号発生手段と、前記モータの回転に応じたモータ回転信号を発生する第2の信号発生手段と、前記第1及び第2の信号発生手段からのロータ判別信号及びモータ回転信号が加えられる制御器とを備え、前記制御器は、前記ロータ判別信号によりロータを判別すると共に、該ロータの1回転当たりの前記ロータ判別信号の数と、該ロータ判別信号数をカウントする時間よりモータの回転数を算出し、前記第2の信号発生手段により発生するモータ信号数から算出されたモータの回転数と、前記ロータ判別信号の数より算出されたモータの回転数との差が所定範囲にないときには、前記ロータ判別信号及びモータ回転信号のいずれかに異常が生じたと判断することに一つの特徴を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、モータ回転信号すなわち第2の信号発生手段の信号から算出されたモータ回転数と、前記ロータ判別信号の数より算出されたモータの回転数に基づいて異常を判別するため、ロータの回転が停止するまでの時間短縮化が図れる作業性に優れた遠心機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本実施形態における遠心機を図1〜図4を用いて説明する。図1は本実施形態における遠心機の制御装置を示すブロック図、図2は本実施形態における遠心機の制御を示すフローチャート、図3は本実施形態における遠心機を示す概略構成図、図4は本実施形態における回転信号発生器16からのモータ信号(a)とロータ判別信号インターフェース3からのロータ信号(b)との関係を示すタイミングチャートである。
【0008】
図1〜図3において、遠心機は、図示しないファンにより強制空冷される誘導モータ15(以下モータと称す)と、モータ15の回転動力を伝達するための出力軸によって回転され且つ試料容器14を収容可能なロータ13と、ロータ13を収容し且つ外周に配される図示しない冷却パイプ内を流れる冷媒により冷却される回転室12と、回転室12の開口上部を閉塞或いは開放するためのドア18と、ドア18に設けた図示しないドアフックに係合可能な図示しないドアロック装置及び上記モータ15などを収容する筐体11上面部に設けたパネル部17(操作表示装置)と、パネル部17及び上記モータ15を制御するための制御器1とを有し、更にロータ13に設けたロータ判別信号発生器であるマグネット2及びロータ判別信号インターフェース3から構成されるロータ自動判別器とを備えている。
【0009】
このような構成において、ロータ13の回転中は、ドア18に設けたドアフックにドアロック装置が係合し、ドア18を開けられないようにドアロック制御している。また、ロータ13の回転停止中は、ドア18に設けたドアフックからドアロック装置が離脱し、ドア18を開き回転室12内からロータ13を取り出すことができるように制御している。また、上記パネル部17は、運転条件を入力するための設定部及びその運転条件などを表示するための表示部から構成されており、具体的にはSTART SW19(スタートスイッチ),STOP SW20(ストップスイッチ),運転表示部である数字表示部21の他にロータID表示部,回転速度表示指示器,遠心加速度表示指示器,ROTOR SW,SPEED/RCF SW,ジョグダイヤルを有している。
【0010】
このような構成を有する遠心機は、試料を収容する試料容器14をロータ13に設けた試料挿入穴に挿入し、モータ15の回転動力を伝達する回転軸上にロータ13を載置した状態でドア18を閉じて回転室12内を密閉する。その後、パネル部17に設けたスタートスイッチ19をオンすることでモータ15を回転させ試料の遠心分離を行う。モータ15の回転に応じて発生する回転信号発生器16のモータ回転信号であるモータ信号(a)は、制御器1の信号処理部4に入力されると共に、ロータ13の回転に応じてのロータ底部或いはロータ側面に埋め込まれたマグネット2により発生するロータ判別信号器2のロータ信号(b)は、ロータ判別信号インターフェース3を介して制御器1の信号処理部4に入力される。そして信号処理部4に入力されたこれら信号(a),(b)を基にパネル部17から設定された回転数にてモータ15を制御している。
【0011】
次に図4を用いて回転信号発生器16からのモータ信号(a)とロータ判別信号インターフェース3からのロータ信号(b)との関係を説明する。例えばモータ15が1回転した時、回転信号発生器16からの信号が36個だとすると、波形成形/分周回路4aを経ることにより信号処理部4には、9個のモータ回転信号数が入力されるようになっている。一方、ロータ13が1回転した時、信号処理部4には、ロータ判別信号インターフェース3からの判別信号として4個のロータ信号が入力されるようになっている。よって、1回転当たりのモータ信号数に対するロータ信号数を信号処理部の記憶手段に記憶しておくことで、万一、モータ信号数に異常が発生しても4個のロータ信号を全カウントするまでにかかる時間を逆算(時間的処理)することにより、モータ15の実回転数を算出することができる。このようにロータ13の1回転当たりのロータ信号数を検出することによりモータ15の実回転数を算出することができるので、モータ15の回転数にマイナスのスベリ周波数を与える周波数制御を行うことにより、ブレーキモードでモータ15の減速制御を行うことができる。これにより、自然減速時より短い時間でロータ13の回転を停止させることができるので、使用者の待機時間を短くして作業効率の向上を図ることができる。
【0012】
この制御を図2を参照して説明する。
【0013】
回転信号発生器16が正常なら次のステップに進み、回転信号発生器16からモータ15の回転数を算出する。これは上記した如く、信号処理部4の波形成形/分周回路4aが9個のモータ回転信号(a)をカウントする時間を監視し、この時間を逆算することによりモータ15の回転数を算出できる。算出された回転数は次のステップにおいて記憶され、記憶された回転数に基づいて、前記インバータ制御によりモータ15が制御される。
【0014】
一方回転信号発生器16が正常でないなら次のステップに進み、アラーム表示されると共に減速停止が行われ、ロータ判別信号(b)から回転数が算出される。すなわち前記信号処理部4が4個のロータ判別信号(b)が入力される時間を監視し、この時間を逆算することによりロータ13すなわちモータ15の回転数を算出できる。算出された回転数は、上記同様、次のステップにおいて記憶され、記憶された回転数に基づいて、前記インバータ制御によりモータ15が制御される。すなわちモータ15が減速制御される。
【0015】
なお、上述した実施形態では、正常時に記憶した1回転当たりのモータ信号数に対するロータ信号数を記憶手段に記憶しておくことで、運転中にモータ信号数の異常を判断した場合にはモータ15の減速制御を行うとしたが、ロータ信号数から算出された回転数を常に算出することで、モータ信号数から算出された回転数とロータ信号数から算出された回転数との違いを見張り、回転数異常と判断した場合(例えば計算誤差を考慮して5%の違いなど)に、即ちどちらかの信号が異常と判断した場合にモータ15の減速制御を行うようにしても良く、これにより運転時早々に回転数異常と判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明になる遠心機の制御装置を示すブロック図である。
【図2】本発明になる遠心機の制御を示すフローチャートである。
【図3】本発明になる遠心機を示す概略構成図である。
【図4】本発明になる回転信号発生器からのモータ信号(a)とロータ判別信号インターフェースからのロータ信号(b)との関係を示す波形のタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0017】
1は制御器、2はロータ判別信号発生器、3はロータ判別信号インターフェース、4は信号処理部、4aは分周部、11は遠心機筐体、12は回転室、13はロータ、14は試料容器、15はモータ、16は回転信号発生器、17はパネル部、18はドア、19はスタートスイッチ、20はストップスイッチ、21は回転速度表示部、(a)はモータ信号、(b)はロータ信号である。
【出願人】 【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
【出願日】 平成20年4月8日(2008.4.8)
【代理人】 【識別番号】100072394
【弁理士】
【氏名又は名称】井沢 博


【公開番号】 特開2008−207184(P2008−207184A)
【公開日】 平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願番号】 特願2008−100085(P2008−100085)