トップ :: B 処理操作 運輸 :: B04 物理的または化学的工程を行なうための遠心装置または機械

【発明の名称】 遠心分離機
【発明者】 【氏名】早坂 浩

【氏名】高橋 廣之

【要約】 【課題】簡単な構造で蓋のロック機構を実現し、信頼性の高い安全な遠心分離機の提供。

【解決手段】回転室5aを画成する回転室枠5と、回転室5aを閉止する蓋3と、蓋3を閉止状態でロックするフック61と蓋3に設けられフック61が掛止するフックキャッチ62とから構成されるロック機構6と、モータ71の駆動軸部71Aの回転運動を往復運動に変換しフック61に接続されるリンク機構72とを備える駆動機構7と、蓋3が閉止された状態でフック61のフックキャッチ62への掛止を検出する検出部8とを有し、検出部8は、駆動軸部71Aに固定され外周面が凹凸面状をなすディスク部材83と、ディスク部材83の凹、凸部を検出する第一、第二センサ81、82を有し、駆動機構7はディスク部材83の回転に連動し、凹、凸部の位置はフック61が掛止する位置に対応している遠心分離機1を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
試料を内蔵する試料容器を装着する回転可能なロータと、
該ハウジング内に設けられ該ロータを収容する回転室を画成する回転室枠と、
該回転室を選択的に開放、閉止可能な蓋と、
該蓋を閉止状態でロックするために、該ハウジング若しくは該蓋のいずれか一方に設けられた掛止部と、該ハウジング若しくは該蓋のいずれか他方に設けられ該掛止部が掛止する被掛止部とから構成されるロック機構と、
回転駆動される駆動軸部を備える駆動部と、該駆動軸部の回転運動を往復運動に変換し該掛止部に接続されるリンク機構とを備える掛止部駆動機構と、
該蓋が閉止された状態で該掛止部が該被掛止部に掛止する位置に移動したことを検出する検出部とを有し、該検出部は、該駆動軸部に固定され外周面が凹凸面状をなす被検出部材と、該被検出部材の凹部又は凸部を検出する少なくとも一個のセンサを有し、該掛止駆動機構は該被検出部材の回転に連動し、該凹部及び凸部の位置は該掛止部が該被掛止部に掛止する位置に対応していることを特徴とする遠心分離機。
【請求項2】
該センサは、第一センサと第二センサとから構成されるとともに該第一センサと該第二センサとは、該駆動軸部を中心として所定角度離間して配置され、
該凹部は、第一凹部と第二凹部とから構成され、該第一凹部と該第二凹部とは、それぞれ該所定角度より小さい角度で切欠かれていることを特徴とする請求項1に記載の遠心分離機。
【請求項3】
該凸部は、回転方向において該第一凹部と該第二凹部との間にそれぞれ位置する第一凸部と第二凸部とから構成され、
該被検出部材の回転方向における該第一凸部の一端から他端までの該駆動軸部を中心とした中心角は該所定角度より小さく構成され、
該回転方向における該第二凸部の一端から他端までの該駆動軸部を中心とした中心角は該所定角度よりより大きく構成されていることを特徴とする請求項2に記載の遠心分離機。
【請求項4】
該センサは、第一センサと第二センサとから構成されるとともに該第一センサと該第二センサとは、該駆動軸部を中心として所定角度離間して配置され、
該凸部は、該被検出部材の回転方向において該凹部によって区切られる第一凸部と第二凸部とから構成され、該第一凸部と該第二凸部とは、それぞれ該所定角度より小さい角度の範囲に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の遠心分離機。
【請求項5】
該凹部は、第一凹部と第二凹部とから構成され、該第一凹部は該所定角度より小さい角度で切り欠かれ、該第二凹部は該所定角度より大きい角度で切り欠かれていることを特徴とする請求項4に記載の遠心分離機。
【請求項6】
該蓋が閉められた状態を検出する蓋センサが設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の遠心分離機。
【請求項7】
該掛止部及び該被掛止部は、それぞれ複数設けられ、複数の該掛止部は互いに連動することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載に遠心分離機。
【請求項8】
該所定角度は約90°に設定されていることを特徴とする請求項4に記載の遠心分離機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は遠心分離機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に実験室等で使われる遠心分離機は、回転中のロータに触れないように蓋が自動でロックされた状態に保たれる。ロックの方法としては、単にラッチ等で引っかけるタイプや蓋を閉めた状態を検出して自動でロック機構が働き、手動では開けないようにしているタイプがある。
【0003】
ロック部分の駆動部分に関しては、単なる電磁ソレノイドを使った往復動作でラッチするタイプと、特許文献1に示されるようにモータを使って蓋を引き込み完全に密閉できるようにしているタイプがある。また近年、遠心分離機においては安全性への配慮が高まっており、回転中にロータが破壊した場合でもその破片が機外に出ないように構成されている。密閉製を高めるという点においては、特許文献1に示されるような、密閉力の大きなモータ駆動式のロック機構が有利である。
【特許文献1】特開2001−300350号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、モータを使ったロック機構は幾つか実用化されているが、故障状態で安全サイドであることが求められるため、機構が複雑となりセンサ等の数も多くなっていた。例えば、モータを停止する位置は少なくとも、ロック位置と解除位置の2ヶ所は必要でありこれに対応するセンサが必要となる。更にセンサ故障時におけるバックアップ用センサも必要となる。センサでカバーできない場合には機構で対応することになるが実用化するには複雑な機構が必要になる。
【0005】
よって本発明は、簡単な構造で蓋のロック機構を実現し、信頼性の高い安全な遠心分離機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、ハウジングと、試料を内蔵する試料容器を装着する回転可能なロータと、該ハウジング内に設けられ該ロータを収容する回転室を画成する回転室枠と、該回転室を選択的に開放、閉止可能な蓋と、該蓋を閉止状態でロックするために、該ハウジング若しくは該蓋のいずれか一方に設けられた掛止部と、該ハウジング若しくは該蓋のいずれか他方に設けられ該掛止部が掛止する被掛止部とから構成されるロック機構と、回転駆動される駆動軸部を備える駆動部と、該駆動軸部の回転運動を往復運動に変換し該掛止部に接続されるリンク機構とを備える掛止部駆動機構と、該蓋が閉止された状態で該掛止部が該被掛止部に掛止されたことを検出する検出部とを有し、該検出部は、該駆動軸部に固定され外周面が凹凸面状をなす被検出部材と、該被検出部材の凹部又は凸部を検出する少なくとも一個のセンサを有し、該掛止駆動機構は該被検出部材の回転に連動し、該凹部及び凸部の位置は該掛止部が該被掛止部に掛止する位置に対応している遠心分離機を提供する。
【0007】
このような構成によると、単純な構成で駆動軸部の回転位置を把握することが可能となる。駆動軸部の回転位置が把握できるため、駆動軸部の回転に応じて移動する掛止部の位置も把握することができる。よって掛止部を被掛止部から離間させると危険な状態において、掛止部の動作を禁止することができる。
【0008】
上記構成の遠心分離機において、該センサは、第一センサと第二センサとから構成されるとともに該第一センサと該第二センサとは、該駆動軸部を中心として所定角度離間して配置され、該凹部は、第一凹部と第二凹部とから構成され、該第一凹部と該第二凹部とは、それぞれ該所定角度より小さい角度で切欠かれていることが好ましい。
【0009】
このような構成によると、第一凹部と第二凹部とが、それぞれ第一センサ及び第二センサにより同時に検出されることが防がれる。よってセンサに凹部の検出パターンを減らすことができ、センサの誤認識を減らすことができる。
【0010】
また該凸部は、回転方向において該第一凹部と該第二凹部との間にそれぞれ位置する第一凸部と第二凸部とから構成され、該被検出部材の回転方向における該第一凸部の一端から他端までの該駆動軸部を中心とした中心角は該所定角度より小さく構成され、該回転方向における該第二凸部の一端から他端までの該駆動軸部を中心とした中心角は該所定角度よりより大きく構成されていることが好ましい。
【0011】
このような構成によると、第一凸部については第一センサ及び第二センサにより同時に検出されることが防がれる。また第二凸部については、第一センサ及び第二センサにより同時に検出することが可能となる。よって第一凸部と第二凸部とを容易に把握することができ、より正確にモータの回動位置を制御することができる。
【0012】
また該センサは、第一センサと第二センサとから構成されるとともに該第一センサと該第二センサとは、該駆動軸部を中心として所定角度離間して配置され、該凸部は、該被検出部材の回転方向において該凹部によって区切られる第一凸部と第二凸部とから構成され、該第一凸部と該第二凸部とは、それぞれ該所定角度より小さい角度の範囲に設けられていてもよい。また該所定角度は約90°に設定されていることが好ましい。
【0013】
このような構成によると、第一凸部については第一センサ及び第二センサにより同時に検出されることが防がれる。また第二凸部については、第一センサ及び第二センサにより同時に検出することが可能となる。よって第一凸部と第二凸部とを容易に把握することができ、より正確にモータの回動位置を制御することができる。
【0014】
また該凹部は、第一凹部と第二凹部とから構成され、該第一凹部は該所定角度より小さい角度で切り欠かれ、該第二凹部は該所定角度より大きい角度で切り欠かれていてもよい。
【0015】
このような構成によると、第一凹部と第二凹部とが、それぞれ第一センサ及び第二センサにより同時に検出されることが防がれる。よってセンサに凹部の検出パターンを減らすことができ、センサの誤認識を減らすことができる。
【0016】
また該蓋が閉められた状態を検出する蓋センサが設けられていることが好ましい。このような構成によると、上述のモータによる駆動及びセンサによる制御を蓋が閉められている場合のみ行えば良く、より誤動作を減らすことができる。
【0017】
また該掛止部及び該被掛止部は、それぞれ複数設けられ、複数の該掛止部は互いに連動することが好ましい。このような構成によると、より確実に蓋をロックすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の遠心分離機によれば、簡単な構造でモータ駆動のロック機構を実現し、信頼性及び安全性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態による遠心分離機について図1乃至図6に基づいて説明する。図1に示される遠心分離機1は、ハウジング2と、蓋3とから主に構成されている。ハウジング2内には、駆動装置4と、回転室枠5と、ロック機構6と、駆動機構7と、検出部8と、制御装置9とが主に内蔵されている。またハウジング2の内部には、ハウジング2に固定されると共に後述のシャフト63等を支持する第一支持部21及び第二支持部22(図2)が設けられている。
【0020】
蓋3は、ハウジング2上方であって回転室枠5を塞ぐように配置されており、軸31によってハウジング2に回動可能に連結されている。蓋3が閉じられることにより、回転室枠5内に形成された後述の回転室5aが密閉される。また蓋3は、ロックされていない状態で、図示しないスプリングによって、ハウジング2の上面に対して20〜30°の角度で開いている。
【0021】
駆動装置4は、ハウジング2内において下方に設けられており、回転力を出力する出力軸部41が上方を向くように配置されている。また出力軸部41は後述の回転室5a内に突出するように構成されている。この駆動装置4は、ハウジング2に対して図示せぬダンパ等の減振装置を介して接続されている。
【0022】
回転室枠5は、駆動装置4の上方に配置されており、内部にロータ51が配置される空間である回転室5aが形成されている。また回転室枠5の駆動装置4と対向する部分には、孔5bが形成されており、この孔5bを貫通して出力軸部41が回転室5a内に突出している。ロータ51は、遠心分離する試料が内蔵された図示せぬ容器を複数保持可能に構成されており、出力軸部41の端部に同軸回転するように固定されている。
【0023】
ロック機構6は、掛止部であるフック61と被掛止部であるフックキャッチ62と蓋センサであるロックセンサ64とから主に構成されている。フック61は、図2に示されるように第一支持部21側と第二支持部22側とにそれぞれ第一フック61Aと第二フック61Bとが設けられて構成されている。第一フック61Aと第二フック61Bの間には、シャフト63が設けられており、第一フック61Aと第二フック61Bとのそれぞれに固定されている。よって第一フック61Aをシャフト63の軸心回りに回動させることにより、第二フック61Bも同様に回動することが可能となっている。
【0024】
フックキャッチ62は、蓋3に設けられており、第一フック61Aと第二フック61Bとに対応して一対設けられている。フック61が回動してフックキャッチ62に対する掛止可能・非掛止状態を採っている。ロックセンサ64は、第一支持部21において第一フック61A近傍位置に配置されており、フックキャッチ62が第一フック61Aに被掛止可能な位置に配置されたときにフックキャッチ62を認識可能に構成されている。
【0025】
駆動機構7は、モータ71(図2)と、リンク機構72とから主に構成されている。モータ71は駆動軸部71Aを有し、第一支持部21に駆動軸部71Aの軸方向がシャフト63と略平行になるように設けられている。またモータ71は、図1の紙面上において、時計回りを正回転として駆動軸部71Aを回転駆動している。
【0026】
リンク機構72は、クランク73とロッド74とから構成されている。クランク73は一端で駆動軸部71Aに固定され、他端にシャフト63の軸方向と平行に延びるクランクピン73Aを有している。ロッド74は一端がクランクピン73Aに回動可能に設けられ、他端が第一フック61Aのシャフト63が設けられた部分から離間した部分に回動可能に接続されている。よって駆動軸部71Aの回転運動が、リンク機構72によりロッド74の往復運動に変換され、このロッド74の往復運動により、フック61が所定角度内で往復回動運動を行うことが可能になっている。尚、ロッド74が往復運動において上死点側に移動したときにフック61がフックキャッチ62に最も深く掛止し、下死点側に移動したときにフック61がフックキャッチ62から最も離間するように、ロッド74が第一フック61Aに接続されている。
【0027】
検出部8は、第一センサ81及び第二センサ82と被検出部材であるディスク部材83とから主に構成されている。第一センサ81及び第二センサ82は光センサから構成され、各々のセンサ内で照射している光をディスク部材83で遮ることにより、OFF状態の検出及びON状態からOFF状態への変化を検出可能に構成されている。尚、ディスク部材83を回動させることにより、各々のセンサにおいてON状態の検出及びOFF状態からON状態への変化を検出することも可能である。これら第一センサ81及び第二センサ82は、駆動軸部71Aを中心として所定角度である90°離間した状態で第一支持部21に配置されている。
【0028】
ディスク部材83は、図1に示されるように駆動軸部71Aに同軸回転可能に固定されており、図3に示されるように、外周面が第一凸部83A、第二凸部83B、第一凹部83a、及び第二凹部83bにより凹凸面状を成している。第一凸部83Aは、駆動軸部71Aを中心として150°の範囲で配置されている。第二凸部83Bは、第一凸部83Aの駆動軸部71Aを挟んで反対側位置に、駆動軸部71Aを中心として50°の範囲で配置されている。
【0029】
第一凹部83aと第二凹部83bとは、第一凸部83Aの外周方向一端側と他端側とであって第二凸部83Bとの間にそれぞれ形成されており、それぞれ駆動軸部71Aを中心として80°の範囲に形成されている。ディスク部材83の外周部分が第一センサ81及び第二センサ82の近傍に位置するように、ディスク部材83を配置することにより、第一凸部83A〜第二凹部83bを第一センサ81及び第二センサ82で検出することが可能になっている。第一センサ81及び第二センサ82がそれぞれ第一凹部83aと第二凹部83bを検出した状態をOFF状態と定義し、第一センサ81及び第二センサ82がそれぞれ第一凸部83A及び第二凸部83Bを検出した状態をON状態と定義する。
【0030】
第一センサ81及び第二センサ82が駆動軸部71Aを中心として90°離間して配置してあるのに対して、第一凹部83a及び第二凹部83bはそれぞれ80°の範囲で形成されているため、第一センサ81及び第二センサ82が同時に第一凹部83a及び第二凹部83bのいずれか一方を検出することは無い。
【0031】
第二凸部83Bは駆動軸部71Aを中心として50°の範囲に設けられているため、第一センサ81及び第二センサ82が同時に第二凹部83bを検出することはない。また、第一センサ81及び第二センサ82は、第二凸部83Bを跨いで第一凹部83aと第二凹部83bとをそれぞれ検出することができる。第一凸部83Aは駆動軸部71Aを中心として150°の範囲で設けられているため、第一センサ81及び第二センサ82が同時に第一凸部83Aを検出することができる。
【0032】
尚、ディスク部材83は、ロッド74が上死点へ移動するように駆動軸部71Aが回転した状態で、第一センサ81位置及び第二センサ82位置に第二凸部83Bを跨いで第一凹部83aと第二凹部83bとがそれぞれ位置するように、駆動軸部71Aに配置されている(図5C)。したがってロッド74が下死点へ移動するように駆動軸部71Aが回転した状態においては、ディスク部材83において第一センサ81位置及び第二センサ82位置に第一凸部83Aが配置されることになる(図5A)。
【0033】
制御装置9は、図示せぬCPU、RAM等を含んで構成されており、ロックセンサ64、第一センサ81、及び第二センサ82に接続されて、各センサの状態を把握すると共に、駆動装置4、モータ71と接続してその駆動を制御している。制御装置9における制御例としては、(1)ロックセンサ64で蓋3を感知し、第一センサ81、及び第二センサ82がON状態の場合のみ駆動装置4に電源を供給可能とする。(2)第一センサ81でOFF状態を検出している状態で第二センサ82においてON状態からOFF状態への変化を検知した場合に、モータ71への電源供給を停止する。(3)遠心分離機1の主電源投入時においてロックセンサ64でのフックキャッチ62が第一フック61Aに被掛止可能な位置に移動したことを認識していない状態で、第一センサ81及び第二センサ82において何れもOFF状態を検出した場合には、モータ71への電源供給を禁止する。(4)第二センサ82でON状態を検出している状態で、第一センサ81においてOFF状態からON状態への変化を検知した場合に、モータ71への電源供給を停止する。
【0034】
また制御装置9には、図4に示される操作パネル91が接続されている。操作パネル91はハウジング2の上方位置に設けられて各センサの状態を表示するとともに、蓋3のロックに係る開閉スイッチ91Aやその他駆動装置4等の動作を入力するスイッチが設けられている。
【0035】
以下、遠心分離機1において、蓋3を閉止する動作について図5及び図6のタイムチャートに基づき説明する。図5(a)に示されるように、第一センサ81及び第二センサ82のそれぞれが第一凸部83Aを検出している状態(ON状態、図6のA位置)においてオペレータが、20〜30°程度開いている蓋3を押して閉じる。これによりロックセンサ64が蓋3の閉止動作を検出し、制御装置9によりモータ71が駆動される。モータ71の駆動により駆動軸部71Aが回転してロッド74が上方へ移動すると共にディスク部材83が回転し、図5(b)に示されるように第二センサ82位置に第一凹部83aが位置し、第二センサ82はOFF状態となる(図6のB位置)。
【0036】
駆動軸部71Aを回転させることにより第二センサ82位置に第二凸部83Bが移動し、第二センサ82はON状態になり(図6のC位置)、第一センサ81位置に第一凹部83aが移動し、第一センサ81は、OFF状態となる(図6のD位置)。更に駆動軸部71Aを回転させ、第一センサ81位置に第一凹部83aがある状態で、第二センサ82位置に第二凹部83bを移動させる。このときに第一センサ81でOFF状態を検出している状態で、第二センサ82はON状態からOFF状態への変化を検出するため、モータ71への電力供給が停止し、モータ71の回転が停止する。
【0037】
駆動軸部71Aにおいては、特にブレーキ等の制動機器が設けられていないため、電力供給が停止されたとしても惰性により若干回転する。第一センサ81と第二センサ82とは駆動軸部71Aを中心として90°の位置にあり、第二凸部83Bは駆動軸部71Aを中心として50°の範囲に設けられている。第二センサ82位置において第二凸部83Bから第二凹部83bに移動した(第二センサ82がON状態からOFF状態に変化した)瞬間においては、第一センサ81と第二凸部83Bとの間には約40°分の隙間があり、駆動軸部71Aが惰性により若干回転したとしても、第一センサ81位置まで第二凸部83Bが移動すること(第一センサ81がON状態になること)は抑制される。よってモータ71への電力供給停止後において、図5(c)に示されるように、第一センサ81位置と第二センサ82位置とにそれぞれ第一凹部83aと第二凹部83bとが位置し、第一センサ81と第二センサ82との両方がOFF状態になり(図6のE位置)。この状態においてロッド74は上死点または上死点近傍に位置するため、フックキャッチ62がフック61により最も深く掛止され、蓋3がロックされて開放不能な状態になる。
【0038】
図示せぬ試料を分離後、ロータ51の回転が停止した状態で、操作パネル91の開閉スイッチ91Aを操作すると、再度モータ71に電力が供給されて駆動軸部71Aが回転する。同時にディスク部材83も回転し、図5(d)に示されるように、第二センサ82位置に第一凸部83Aが移動し、第一センサ81位置に第二凹部83bが移動する。この状態においては、第一センサ81はOFF状態を検出し、第二センサ82はON状態を検出している(図6のF位置)。更にディスク部材83を回転させることにより、第一センサ81位置に第一凸部83Aが移動し(図6のG位置)、第一センサ81及び第二センサ82の何れともON状態を検出するため、制御装置9によりモータ71への電力供給が停止され、駆動軸部71Aの回転が停止する。
【0039】
この場合においても駆動軸部71Aは惰性により若干回転するが、第一センサ81と第二センサ82との間の角度(90°)に比べて、第一凸部83Aの角度は150°と広く採ってあるため、惰性による回転で第二センサ82位置を第一凸部83Aが通過することは防がれ、好適にON状態を検出することが可能になっている。この状態においてロッド74は下死点または下死点近傍に位置するため、フック61はフックキャッチ62から最も離間し、容易に蓋3を開放して内部の図示せぬ試料を取り出すことが可能になる。
【0040】
制御装置9においては、上述のように第一センサ81と第二センサ82との両方がOFF状態を検出しているときにフック61により蓋3がロックされていると判断している。またロックセンサ64で蓋3が閉じられたことを確認した場合のみ駆動装置4に電力を供給可能にしている。よって蓋3が閉じられて駆動装置4に電力供給可能な状態で停電等が発生した場合、ロックセンサ64でのフックキャッチ62の被掛止位置への移動が認識されずにロータ51が回転状態にあるか否か判らない状態であっても、制御装置9においてロック状態にあると判断された場合には、モータ71への電力供給を禁止することにより、蓋3の開放が防止され、回転中のロータ51による事故を防止することができる。第一センサ81と第二センサ82との何れかがON状態であるときは、蓋3がロック状態ではないため、ロータ51が回転していることがあり得ず、よってモータ71へ電力を供給して蓋3が開放可能な位置まで回転させても良い。よって検出部8により駆動軸部71の回転位置を把握することにより、フック61をフックキャッチ62から離間させると危険な状態において、フック61の動作を禁止することができ、安全性を高めることができる。
【0041】
本発明による遠心分離機は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えばディスク部材83において、凹部と凸部とを入れ換えてもよい。この場合においては、制御装置9において第一センサ81及び第二センサ82で検出するON/OFF状態に係る制御を入れ換えることにより、本実施の形態形態に係る遠心分離機1と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態に係る遠心分離機の側面部分断面図。
【図2】本発明の実施の形態に係る遠心分離機の駆動機構周辺を表す部品図。
【図3】本発明の実施の形態に係る遠開放スイッチ心分離機の検出部を示す部品図。
【図4】本発明の実施の形態に係る遠心分離機の操作パネルの平面図。
【図5(a)】本発明の実施の形態に係る遠心分離機の検出部の動作を示す図(フック非掛止状態)
【図5(b)】本発明の実施の形態に係る遠心分離機の検出部の動作を示す図(フックが掛止している状態)
【図5(c)】本発明の実施の形態に係る遠心分離機の検出部の動作を示す図(フック掛止状態)
【図5(d)】本発明の実施の形態に係る遠心分離機の検出部の動作を示す図(フックが外れている状態)
【図6】本発明の実施の形態に係る遠心分離機の検出部の動作を示すタイムチャート。
【符号の説明】
【0043】
1・・遠心分離機 2・・ハウジング 3・・蓋 4・・駆動装置 5a・・回転室
5b・・孔 6・・ロック機構 7・・駆動機構 8・・検出部 9・・制御装置
21・・第一支持部 22・・第二支持部 41・・出力軸部 51・・ロータ
61・・フック 61A・・第一フック 61B・・第二フック
62・・フックキャッチ 63・・シャフト 64・・ロックセンサ 71・・モータ
71A・・駆動軸部 72・・リンク機構 73・・クランク 73A・・クランクピン
74・・ロッド 81・・第一センサ 82・・第二センサ 83・・ディスク部材
83A・・第一凸部 83B・・第二凸部 83a・・第一凹部 83b・・第二凹部
91・・操作パネル
【出願人】 【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
【出願日】 平成19年2月28日(2007.2.28)
【代理人】 【識別番号】100094983
【弁理士】
【氏名又は名称】北澤 一浩

【識別番号】100095946
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 伸

【識別番号】100099829
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 朗子


【公開番号】 特開2008−207142(P2008−207142A)
【公開日】 平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願番号】 特願2007−48428(P2007−48428)