トップ :: B 処理操作 運輸 :: B04 物理的または化学的工程を行なうための遠心装置または機械

【発明の名称】 遠心分離機の蓋ロック装置
【発明者】 【氏名】吉田 英樹

【要約】 【課題】減速機付き駆動モータの選択の自由度を増大させ、また駆動モータの取付位置に自由度を持たせることにより、ロータの破壊時に駆動モータが破壊され難く、また駆動モータが破壊されたとしても蓋のロックが解除されないようにした遠心分離機の蓋ロック装置を提供する。

【解決手段】筐体2の蓋3を閉蓋時にロックする蓋ロック装置31を、減速機19付き駆動モータ18と、閉蓋時に駆動モータ18によって回動されることにより蓋3をロックする左右一対のロックカム16A、16Bと、これらのロックカム16A、16Bを連結する連結部材17と、減速機19の駆動軸23の回転をロックカム16Aに伝達する回転伝達機構32とで構成する。回転伝達機構32は、駆動軸23に取付けられたモータカム42と、このモータカム42とロックカム16Aを連結するリンク43とで構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の開口部を閉塞する開閉自在な蓋を閉蓋時にロックする遠心分離機の蓋ロック装置において、
前記筐体内に設けられた減速機付き駆動モータと、閉蓋時に前記減速機付き駆動モータによって回動されることにより前記蓋に設けた係合子に係合し前記蓋をロックするロックカムと、前記減速機付き駆動モータの駆動軸の回転を前記ロックカムに伝達する回転伝達機構とを備え、
前記回転伝達機構を前記駆動軸に取付けられたモータカムと、このモータカムと前記ロックカムを連結するリンクとで構成したことを特徴とする遠心分離機の蓋ロック装置。
【請求項2】
請求項1記載の遠心分離機の蓋ロック装置において、
前記ロックカムを検出する蓋開閉センサをさらに備え、
前記回転伝達機構のリンクは、一端が前記モータカムに第1の連結ピンによって回動自在に連結され、他端がロックカムに第2の連結ピンによって回動自在に連結されており、
前記モータカムは、閉蓋動作の終了直前に前記駆動軸と前記第2の連結ピンとを結ぶ直線を挟んで前記ロックカムの回動中心とは反対側にオーバーランし、
前記蓋開閉センサは、前記モータカムがオーバーランしたとき前記ロックカムを検出し、その検知信号によって前記減速機付き駆動モータを停止させることを特徴とする遠心分離機の蓋ロック装置。
【請求項3】
請求項2記載の遠心分離機の蓋ロック装置において、
前記リンクは、前記モータカムがオーバーランして停止した後のさらなるロックカムおよびモータカムのロック解除方向の変位を制限するストッパ部を有することを特徴とする遠心分離機の蓋ロック装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心力を利用して血液等の液体試料を分離する遠心分離機の蓋ロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遠心分離機の蓋ロック装置としては、駆動源としてソレノイドを用いたものや(例えば、特許文献1、2参照)、駆動モータを用いた蓋ロック装置が知られている。
【0003】
図8〜図10は従来の蓋ロック装置を備えた遠心分離機を示す図で、図8は遠心分離機の蓋を閉じる途中の状態の一部を破断して示す側面図、図9は遠心分離機の蓋を閉じる途中の状態の一部を破断して示す正面図、図10は遠心分離機の閉蓋時の状態の一部を破断して示す正面図、図11は減速機付き駆動モータとロックカムの側面図である。これらの図において、全体を符号1で示す遠心分離機は、上方が開放する矩形の筐体2と、この筐体2の上面開口部を覆う開閉自在な蓋3と、前記筐体2内に配設されたチャンバー4、ロータ5、ロータ5を高速回転させるロータ用駆動モータ6および蓋3を閉蓋時にロックする蓋ロック装置7等で構成されている。
【0004】
前記筐体2の上面には、チャンバー4の開口部を取り囲み閉蓋時に蓋3によって圧縮されることにより、筐体2と蓋3の隙間をシールするシール部材8が配設されている。
【0005】
前記蓋3は、後端が蝶番9によって筐体2の上面後端縁に回動自在に枢着されており、下面前端側の両側部にはローラ10を有する2つの係合子としてのフック11(11A、11B)がそれぞれ垂設されている。
【0006】
前記蓋ロック装置7は、筐体2の内部前方に立設された取付板13の前面に前記各フック11A、11Bにそれぞれ対応して配設された2つのロックカム16(16A、16B)と、これらのロックカム16A、16Bを互いに連結し同期して動作させる連結部材17と、蓋3の閉蓋動作の終了直前に2つのロックカム16のうちのいずれか1つ、例えば右側のロックカム16Bを回動させる減速機19付きの蓋ロック用駆動モータ(以下、単に駆動モータともいう)18等で構成されている。
【0007】
また、前記取付板13の前面両側端部寄りには、一対のベースプレート21(21A、21B)が固定されている。左側のベースプレート21Aは、軸22を有し、これによって一方のロックカム16Aを回転自在に支承している。一方、右側のベースプレート21Bには、前記駆動モータ18が減速機19とともに固定されており、この減速機19の駆動軸23に他方のロックカム16Bが固定されている。
【0008】
前記ロックカム16は、上端に延設された鉤形(逆レの字形)の係合部24を一体に有し、その下面が前記ローラ10を押圧するカム面25を形成している。カム面25は、ロックカム16の回転中心O(図9)からの曲率半径が係合部24の基端から先端に向かうにしたがって徐々に大きくなる曲面に形成されている。
【0009】
このような構造からなる蓋ロック装置7において、2つのロックカム16A、16Bは、蓋3が開いた状態において、図9に示すように右側に最大角度傾いた状態に保持されることにより、係合部24を蓋3のフック11A、11Bの昇降領域外に退避させている。この状態において、蓋3を閉じるときには、手で蓋3を押し下げてシール部材8の上に載せる。蓋3を閉じると、フック11は筐体2に挿入され、蓋3が閉じられたことをフックセンサ26(図8)によって検出される。フックセンサ26は、フック11を検出すると検出信号を制御部に送る。制御部はフックセンサ26からの検知信号を受信すると、駆動信号を送出して駆動モータ18を駆動させる。駆動モータ18が駆動すると、その回転は減速機19によって減速され、駆動軸23を介して右側のロックカム16Bに伝達される。このため、このロックカム16Bは図10に示すように反時計方向に回転して係合部24のカム面25が右側のフック11bのローラ10(図8)の上側周面に接触しローラ10を徐々に押し下げる。このため、蓋3も押し下げられてシール部材8を圧縮させる。このとき、右側のロックカム16Bの回動にともない連結部材17が図9において右方に移動することにより左側のロックカム16Aも右側のロックカム16Bに連動して同方向に回動し、左側のフック11Aのローラ10に係合してこれを押し下げる。そして、2つのロックカム16A、16Bが反時計方向に最大角度回動して図10に示すように略垂直な状態になると、各フック11A、11Bのローラ10が各ロックカム16A、16Bの係合部24の内側屈曲部24aに入り込み、蓋開閉センサ27(図8)がロックカム16Bを検知する。蓋開閉センサ27は、ロックカム16を検出すると、検知信号を制御部に送る。制御部は蓋開閉センサ27による検知信号の受信により駆動モータ18を停止させる。これにより蓋3が完全に閉じた状態にロックされる。
【0010】
このような蓋ロック装置7によって蓋3を完全にロックした状態において、ロックカム16は、減速機19付き駆動モータ18のギアおよびモータの抵抗によりロック解除方向(時計回り方向)の回動を抑制されている。ただし、ロックカム16は、駆動モータ18を駆動しなくても減速機19付き駆動モータ18のギアおよびモータの抵抗以上に大きな時計方向回りの外力が加えられると、同方向に回動して係合部24がローラ10から離間するため、蓋3のロック状態が解除される。なお、閉じている蓋3を開くときには、蓋ロック用駆動モータ18のスイッチをONにして駆動モータ18を駆動する。このときの駆動軸23の回転方向は、ロック解除方向(時計方向)である。
【0011】
【特許文献1】特開平10−34020号公報
【特許文献2】実公昭57−13182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、図8〜図11に示した従来の遠心分離機1の蓋ロック装置7においては、2つのロックカム16のうちの1つを減速機19の駆動軸23に直接取り付けているため、ロックカム16の回転速度が駆動軸23の回転速度に依存していた。このため、設計者の求めるロックカム16の回転速度が、既製の減速機付き駆動モータの駆動軸の回転速度と合わない場合には、特別に減速機付き駆動モータを製作する必要があり、コストアップの要因となっていた。
【0013】
また、従来の蓋ロック装置7は駆動モータ18が通電されていないときは、減速機19付き駆動モータ18のギアおよびモータの抵抗によってロックカム16がロック解除方向に回動しないようにしているものの、ロックカム16Bを減速機19の駆動軸23に直接取付けているために、ロックカム16にロックカム16が開く方向の力が働き、減速機19付き駆動モータ18のギアおよびモータの抵抗以上になると、駆動モータ18が破壊されなくてもロックカム16がロック解除方向に回動し、ドアロックが解除されてしまうという問題があった。
【0014】
また、遠心分離機1の使用ミス(例えば、ロータ5の取付け不良等)により遠心分離時にロータ5が破壊してその破片が筐体2内に飛散し、駆動モータ18を破壊したとき、減速機19付き駆動モータ18のギアおよびモータの抵抗がなくなるため、ロックカム16がロック解除方向に自由に回動し得る状態になる。このため、ロックカム16に大きな外力が加わり、ロックカム16がロック解除方向に回動すると、蓋3のロック状態が解除されてしまい蓋3が開くという問題もあった。特に安価な駆動モータ18を使用した場合は、駆動モータ18や減速機19の外ケースがプラスチック製であることが多いので、破壊されて蓋3のロック状態が解除されることが多くなる。
【0015】
また、ロータ5の破壊時に蓋3のロック状態が解除されて蓋3が開いたりすると、チャンバー4内で破壊したロータ5の破片等が筐体2の外部に飛び散り、周囲の器物を破壊したり、作業者が怪我をするという問題もあった。
【0016】
さらに、従来の蓋ロック装置7は、ロックカム16を減速機19の駆動軸23に直接取付けているために、駆動モータ18の取付位置がロックカム16の前後に限られていた。しかし、この取付位置は、多くの場合ロータ5が破壊したとき、その破片がチャンバー4を突き破って飛散する位置と一致しているため、駆動モータ18が破壊され易いという問題もあった。
【0017】
本発明は上記したような従来の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、減速機付き駆動モータの選択の自由度を増大させ、また駆動モータの取付位置に自由度をもたせることにより、ロータの破壊時に駆動モータが破壊され難く、また駆動モータが破壊されたとしても蓋のロックが解除されないようにした遠心分離機の蓋ロック装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために本発明は、筐体の開口部を閉塞する開閉自在な蓋を閉蓋時にロックする遠心分離機の蓋ロック装置において、前記筐体内に設けられた減速機付き駆動モータと、閉蓋時に前記減速機付き駆動モータによって回動されることにより前記蓋に設けた係合子に係合し前記蓋をロックするロックカムと、前記減速機付き駆動モータの駆動軸の回転を前記ロックカムに伝達する回転伝達機構とを備え、前記回転伝達機構を前記駆動軸に取付けられたモータカムと、このモータカムと前記ロックカムを連結するリンクとで構成したものである。
【0019】
また、本発明は、前記ロックカムを検出する蓋開閉センサをさらに備え、前記回転伝達機構のリンクは、一端が前記モータカムに第1の連結ピンによって回動自在に連結され、他端がロックカムに第2の連結ピンによって回動自在に連結されており、前記モータカムは、閉蓋動作の終了直前に前記駆動軸と前記第2の連結ピンとを結ぶ直線を挟んで前記ロックカムの回動中心とは反対側にオーバーランし、前記蓋開閉センサは、前記モータカムがオーバーランしたとき前記ロックカムを検出し、その検知信号によって前記減速機付き駆動モータを停止させるものである。
【0020】
さらに、本発明は、前記リンクが前記モータカムがオーバーランして停止した後のさらなるロックカムおよびモータカムのロック解除方向の変位を制限するストッパ部を有するものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明においては、減速機付き駆動モータの駆動軸とロックカムとを回転伝達機構によって連結しているので、駆動モータとロックカムを離間させて配置することができ、駆動モータの設置箇所の自由度を増大させることができる。
また、回転伝達機構を用いることにより、駆動軸とモータカムの回転速度を異ならせることができるので、既製のモータの選択肢が広がり、設計の自由度も増大する。
【0022】
また、本発明においては、リンクにモータカムがオーバーランして停止した後のさらなるロックカムとモータカムのロック解除方向の変位を制限するストッパ部を設けているので、ロックカムに減速機19付き駆動モータ18のギアおよびモータの抵抗以上に大きな開く方向の力が働いたり、ロータの破壊にともない駆動軸部分は破壊されず減速機付き駆動モータが破壊されたり、あるいはまた駆動軸部分と減速機付き駆動モータが破壊されたときに、ロックカムに開く方向の力が働いてもロックカムは回動することができず、蓋をロックした状態を維持し続ける。特に、ロータの破壊時に蓋が開くと、破壊されたロータの破片等が筐体外部に飛散するおそれがあるが、本発明においては、駆動モータが破壊された場合であってもストッパ部によってロックカムの回動を制限しているので蓋が開いてロータの破片等が筐体外部に飛散するおそれがなく、遠心分離機の安全性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係る蓋ロック装置を備えた遠心分離機の蓋を閉じる途中の状態の一部を破断して示す側面図、図2は同じく遠心分離機の蓋を閉じる途中の状態の一部を破断して示す正面図、図3は蓋を完全に閉じた状態の一部を破断して示す正面図、図4〜図6は回転伝達機構の動作を示す図、図7はリンクのストッパ部を示す底面図である。なお、図8〜図11で説明した従来装置と同一構成部材、部分については同一符号をもって示し、その説明を適宜省略する。
【0024】
本実施の形態は、図8〜図10に示した従来の遠心分離機1と同様に中型の遠心分離機30の蓋ロック装置31に適用した例を示す。遠心分離機30は、蓋ロック装置31を除いて前記遠心分離機1と全く同一構造である。このため、筐体2の上面開口部を覆う蓋3の下面前端部寄りには、ローラ10を有する左右一対のフック(係合子)11(11A、11B)が垂設されている。
【0025】
前記蓋ロック装置31は、遠心分離機30の筐体2内の前方寄りで左右両側縁部に前記蓋3の各フック11にそれぞれ対応するように回転自在に配設された2つのロックカム16(16A、16B)と、これらのロックカム16A、16Bを互いに連結し連動して動作させる連結部材17と、前記ロックカム16を回動させる1つの減速機19付きの蓋ロック用駆動モータ18と、この駆動モータ18の回転をロックカム16に伝達する回転伝達機構32等で構成されている。
【0026】
2つのロックカム16A、16Bは、同一形状であって、上端に蓋3をロックする方向(図2反時計方向)に延設された鉤形(逆レの字形)の係合部24を一体に有し、高さ方向の略中央が水平な軸36、37によってそれぞれ回転自在に軸支されている。これらの軸36、37は、取付板13の前面両側部にそれぞれ突設されており、蓋3の閉蓋時における各フック11A、11Bの略鉛直下方に位置している。また、2つのロックカム16A、16Bの下端右側部には、前記連結部材17の各端部が連結ピン38、39を介してそれぞれ回動自在に連結されている。
【0027】
前記駆動モータ18は、前記取付板13の前面左側縁部で一方のロックカム16Aの下方に離間して配設されている。減速機19の駆動軸23は、前記軸36の下方に位置している。
【0028】
前記回転伝達機構32は、モータカム42と、リンク43と、第1、第2の連結ピン44,45とで構成されている。モータカム42は、細長い板状に形成されて基端(一端)が前記駆動軸23に固定されており、自由端(他端)に前記リンク43の下端側が前記第1の連結ピン44によって回動自在に連結されている。リンク43は、モータカム42より長い板状に形成され、上端が一方のロックカム16Aの下端左側縁部に前記第2の連結ピン45によって回動自在に連結されている。一方のロックカム16Aの回動中心Oは、前記駆動軸23の中心と前記第2の連結ピン45の中心とを結ぶ直線L(図4〜図6)より右側に位置している。同じくモータカム42は、リンク43との連結部(第1の連結ピン44)が通常前記直線Lよりも右側に位置しており、閉蓋動作にともなって図4時計方向に徐々に回動し、閉蓋動作の終了直前に図6に示すように前記直線Lよりも前記回動中心Oとは反対側に所要角度α(駆動軸23を通る鉛直線Rに対しては角度β)オーバーランするように設けられている。なお、角度βは、図6においては、10°程度として示しているが、これに限らず要は前記直線Lよりも左側にオーバーランすればよい。
【0029】
また、前記リンク43は、閉蓋動作の終了直前に前記モータカム42が前記直線Lよりも前記回動中心Oとは反対側にオーバーランして停止した後、さらにロックカム16およびモータカム42がロック解除方向に変位(回動または直線的な移動)するのを制限するストッパ部46を有している。このストッパ部46は、第1、第2のストッパ部46A、46Bとで構成されている。第1のストッパ部46Aは、リンク43の閉蓋動作時における回転方向(図4〜図6において時計方向)側の側面のうちの下部寄り部分であり、図6に示すようにモータカム42がオーバーランして停止したとき、取付板13に形成した溝50(図7)の左側壁50Aと近接して対向する側面部分である。第2のストッパ部46Bは、リンク43の下端に設けられており、図6に示すように穴13aから取付板13の下面側に入り込むと、取付板13の下面に対向し、モータカム42が時計方向に回動しようとすると、下面に当接してそれ以上の回動を阻止する。第2のストッパ部46Bとしては、図7に示すように遠心分離機30の前方側に略直角に折り曲げられた折り曲げ片で構成されている例を示したが、これに限らずピン、止めねじ等であってもよい。なお、取付板13の穴13aと溝50は連通している。
【0030】
第1のストッパ部46Aを設けた理由は、モータカム42がオーバーランして停止した後、リンク43がさらにロック解除方向(図6、時計方向)に回動しようとしたとき、第2のストッパ部46Bが取付板13の下面に当接するまでの時間が長いと、モータカム42が時計方向に大きく回動されるの避けるためである。このため、溝50を短く形成し、モータカム42がオーバーランして停止すると、第1のストッパ部46Aを溝50の左側壁50Aに近接して対向させ、モータカム42が時計方向に回動しようとしたとき、第1のストッパ部46Aが左側壁50Aに当接してリンク43の時計方向の回動を阻止するようにしている。
【0031】
前記取付板13には、閉蓋時に蓋3のフック11A、11Bをそれぞれ検出する2つのフックセンサ26と、ロックカム16Bを検出する蓋開閉センサ27(27A、27B)が設けられている。
【0032】
このような構造からなる蓋ロック装置31において、2つのロックカム16A、16Bは、蓋3が開いている状態では、図2に示すように右側に最大角度傾斜した状態に保持されることにより、係合部24を蓋3のフック11A、11Bの昇降領域外に退避させている。駆動モータ18は、フックセンサ26が蓋3のフック11A、11Bを検出せず、蓋開閉センサ27Aがロックカム16Bを検出しているため停止している。回転伝達機構32の第1の連結ピン44は、駆動軸23の上方に位置している。第2の連結ピン45は、ロックカム16Aの回転中心Oよりも左上方に位置している。
【0033】
この状態において、遠心分離作業を始めるために蓋3を閉じるときには、手で蓋3を押し下げてシール部材8の上に載せる。蓋3を閉じると、フック11A、11Bは筐体2内に挿入され、挿入されたことがフックセンサ26によってそれぞれ検出される。フックセンサ26はフック11A、11Bを検出するとその検出信号が制御部に送られる。制御部はフックセンサ26からの検知信号を受信すると、駆動信号を送出して駆動モータ18を駆動し、蓋ロック装置31による蓋3のロック動作を開始させる。すなわち、駆動モータ18が駆動すると、その回転は減速機19によって減速され、駆動軸23を回動させる。この駆動軸23の回動方向は、図2〜図6において時計方向である。駆動軸23が時計方向に回動すると、モータカム42も駆動軸23と一体に時計方向に回動する。
【0034】
この場合、本実施の形態においては、ロックカム16A、16Bの回転速度を回転伝達機構32によって減速機19付き駆動モータ18の駆動軸23の回転速度よりも約40%減速させている。このように、ロックカム16A、16Bの回転速度を減速してロックカム16に伝達すると、トルクの小さな減速機付き駆動モータを駆動源として採用することができる。
【0035】
モータカム42が時計方向に回動すると、第1の連結ピン44が下降するため、リンク43は図4において斜め右下方に引き下げられ、徐々に垂直な状態になる。このため、一方のロックカム16Aは軸36を回動中心として反時計方向に回動し、係合部24が左側のフック11Aに設けられているローラ10の上方に徐々に進出し、カム面25によって当該ローラ10を徐々に押し下げる。
【0036】
また、一方のロックカム16Aが反時計方向に回動すると、この回動は連結板17を介して他方のロックカム16Bに伝達されるため、他方のロックカム16Bも一方のロックカム16Aに同期して同方向に回動し、その係合部24が右側のフック11Bに設けられているローラ10の上方に進出し、カム面25によって当該ローラ10を徐々に押し下げる。このため、蓋3は徐々に引き下げられてシール部材8を押し潰す。
【0037】
そして、図5に示すように一方のロックカム16Aが蓋3をロックする位置まで回動すると、略垂直な状態になり、ローラ10が係合部24の内側屈曲部24a付近にまで入り込む。この状態において、第1の連結ピン44は未だ駆動軸23と第2の連結ピン45を結ぶ直線Lよりも右側に位置している。
【0038】
さらにモータカム42が回動して駆動軸23、第1、第2の連結ピン44,45が一直線上に位置して前記直線Lと一致する。このとき、ローラ10は、ロックカム16Aの係合部24の内側屈曲部24aに最も近づく。
【0039】
そして、図6に示すようにモータカム42がさらに回動して駆動軸23と第2の連結ピン45を結ぶ直線Lよりも左側にオーバーランし、第1の連結ピン44が最下点位置を越えると、蓋開閉センサ27Bがロックカム16Bを検出して検知信号を制御部に送る。制御部は蓋開閉センサ27Bからの検知信号を受け取ると、駆動モータ18を停止させる。モータカム42が前記直線Lを越えると、リンク43は上方に若干ではあるが引き上げられるため、ロックカム16Aは、時計方向に小角度回動して図6に示す状態に戻る。このため、ローラ10はロックカム16Aの係合部24の内側屈曲部24aから離間する。これにより蓋3は蓋ロック装置31によって完全に閉じた状態にロックされ、蓋3の閉蓋動作が終了する。このロック状態において、リンク43の第1のストッパ部46Aは取付板13の溝50の左側壁50Aに近接して対向し、第2のストッパ部46Bは、穴13aから取付板13の下面側に入り込んで下面と対向している。この後、遠心分離機30により試料の遠心分離が行われる。
【0040】
遠心分離機30による試料の遠心分離作業が終了すると、チャンバーからロータもしくはロータに装着されている試料管を取り出すために操作者が操作パネルのオープンボタンを操作する。この操作により駆動モータ18が駆動して駆動軸23をロック解除方向(反時計方向)に回転させる。これにより、ロックカム16は、上記とは反対に時計方向に回動して係合部24がフック11のローラ10から離間し、蓋3のロックを解除する。ロックカム16Bが図2に示すように時計方向に最大角度回動すると、蓋開閉センサ27Bがロックカム16Bを検知し、その検知信号に基づいて制御部が駆動モータ16の駆動を停止させる。
【0041】
このように、本発明による蓋ロック装置31は、ロックカム16Aと駆動モータ18を離間させて設け、減速機19の駆動軸23の回転をモータカム42とリンク43とからなる回転伝達機構32を介して前記ロックカム16Aに伝達するように構成したので、モータカム42,リンク43の長さ、ロックカム16Aの回動中心Oから第2の連結ピン45までの距離を変えることにより、駆動軸23の回転速度とロックカム16の回転速度を自由に変えることができる。したがって、設計者の求めるロックカム16の回転速度を既製の減速機付き駆動モータの駆動軸の回転速度と合わせる必要がなく、蓋ロック装置31の設計の自由度が拡大し、既製の安価な減速機付き駆動モータをそのまま使用することができる。
【0042】
また、回転伝達機構32を用いることにより、駆動モータ18をロックカム16Aから離間した位置に取付けることができるため、駆動モータ18の取付位置の自由度が拡大し、ロックカム16Aの前後にモータ設置用のスペースを確保する必要がない。特に、ロータの破壊時にその破片が飛散し易い箇所を避けて駆動モータ18を取付けておくと、駆動モータ18の破壊をより一層確実に防止することができる。
【0043】
さらに、閉蓋動作の終了時にモータカム42をオーバランさせ、リンク43に設けた第1のストッパ部46Aを取付板13の溝50の左側壁50Aに近接して対向させ、第2のストッパ部46Bを取付板13の穴13aから下面側に入り込ませているので、ロータの破壊にともないロックカム16にロック解除方向の外力が加わったとき、第1のストッパ部46Aまたは第2のストッパ部46Bによりモータカム42およびリンク43のロック解除方向への変位を確実に阻止することができる。
ロータの破壊にともないロックカム16に解除方向の力が加わる場合としては(a)減速機19付き駆動モータ18が破壊されない場合
(b)減速機19付き駆動モータ18は破壊されたが、駆動軸23部分は破壊されない場合
(c)減速機19付き駆動モータ18と駆動軸23が破壊されて、モータカム42が駆動軸23から外れた場合
が考えられる。
【0044】
上記(a)の場合、ロックカム16Aにロック解除方向(図6、時計方向)の力が加わり、減速機19付き駆動モータ18のギアおよびモータの抵抗以上になると、ロックカム16Aが時計方向に回動してリンク43を上方に引き上げようとする。このため、モータカム42は時計方向に回動しようとすると、第1のストッパ部46Aが溝50の左側壁50Aに当たってモータカム42の回動を阻止する。したがって、ロックカム16Aは回動することができず、蓋のロック状態が解除されることはない。
【0045】
上記(b)の場合は、減速機19付き駆動モータ18が破壊されているので、モータカム42は減速機19付き駆動モータ18のギアおよびモータの抵抗から解放されており、容易に回動可能な状態に保持されている。この状態で、ロックカム16Aにロック解除方向の力が加わると、ロックカム16Aが時計方向に回動してリンク43を上方に引き上げようとする。このため、上記(a)の場合と同様に、モータカム42は時計方向に回動しようとすると、第1のストッパ部46Aが溝50の左側壁50Aに当たってモータカム42の回動を阻止する。したがって、ロックカム16Aは回動することができず、蓋のロック状態が解除されることはない。
【0046】
上記(c)の場合は、減速機19付き駆動モータ18が完全に破壊されて駆動軸23からモータカム42が外れるかまたは駆動モータ18が取付板13の上に落下して駆動軸23が動いてしまうと、モータカム42とリンク43は重力またはモータの質量により下方に引っ張られて垂直な状態になろうとし、第1のストッパ部46Aが溝50の左側壁50Aに接触する。この状態で、ロックカム16Aにロック解除方向の力が加わると、ロックカム16Aは時計方向に回動してリンク43を上方に引き上げようとする。このとき、リンク43は第1のストッパ部46Aを溝50の左側壁50Aに押し付けることはない。しかし、リンク43が上昇しようとすると、第2のストッパ部46Bが取付板13の下面に当接してリンク43の上方への移動を阻止する。したがって、ロックカム16Aは回動することができず、蓋のロック状態が解除されることはない。
【0047】
このように、いずれの場合においても蓋3はロック解除されて開いてしまうようなことがないので、ロータの破壊した破片が筐体外部に飛び散たりするおそれがなく、遠心分離機30の安全性を向上させることができる。
【0048】
なお、上記した実施の形態では、蓋3に2つのフック11を設けた中型の遠心分離機30の蓋ロック装置31に適用した例を説明したが、本発明はこれに何ら特定されるものではなく、小型の遠心分離機や大型の遠心分離機にも適用することができる。その場合、小型の遠心分離機は、一般にその蓋に1つのフック11を設けているため、1つのロックカム16と、1つの減速機19付き駆動モータ18と、これらを連結する回転伝達機構32とで蓋ロック装置を構成すればよい。一方、大型の遠心分離機の場合は、蓋自体が大きくて重いため、大きなロック力を必要とすることから、個々独立に動作する2つのロックカム16と、これらのロックカム16に対応して設けられた2つの減速機付き駆動モータ18と、互いに対応するロックカム16と減速機19付き駆動モータ18の駆動軸23をそれぞれ連結する2つの回転伝達機構32とで蓋ロック装置を構成すればよい。
【0049】
また、上記した実施の形態においては、リンク43のストッパ部46を第1、第2のストッパ部46A、46Bで構成した例を示したが、本発明はこれに何ら特定されるものではなく、第1のストッパ部46Aを省略し、第2のストッパ部46Bをストッパ部として用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る蓋ロック装置を備えた遠心分離機の蓋を閉じる途中の状態の一部を破断して示す側面図である。
【図2】遠心分離機の蓋を閉じる途中の状態の一部を破断して示す正面図である。
【図3】遠心分離機の蓋を完全に閉じた状態の一部を破断して示す正面図である。
【図4】回転伝達機構の動作を示す図である。
【図5】回転伝達機構の動作を示す図である。
【図6】回転伝達機構の動作を示す図である。
【図7】リンクのストッパ部を示す底面図である。
【図8】従来の遠心分離機の蓋を閉じる途中の状態の一部を破断して示す側面図である。
【図9】遠心分離機の蓋を閉じる途中の状態の一部を破断して示す正面図である。
【図10】遠心分離機の閉蓋時の状態の一部を破断して示す正面図である。
【図11】減速機付き駆動モータとロックカムの側面図である。
【符号の説明】
【0051】
1…遠心分離機、2…筐体、3…蓋、11、11A、11B…フック(係合子)、13…取付板、16、16A、16B…ロックカム、17…連結部材、18…駆動モータ、19…減速機、23…駆動軸、30…遠心分離機、31…蓋ロック装置、32…回転伝達機構、42…モータカム、43…リンク、44…第1の連結ピン、45…第2の連結ピン、46…ストッパ部。
【出願人】 【識別番号】000141691
【氏名又は名称】株式会社久保田製作所
【出願日】 平成19年2月9日(2007.2.9)
【代理人】 【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹

【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹


【公開番号】 特開2008−194595(P2008−194595A)
【公開日】 平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願番号】 特願2007−31187(P2007−31187)